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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053030
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】梱包システム及び梱包方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 11/54 20060101AFI20220329BHJP
   B65B 55/20 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
B65B11/54
B65B55/20
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020159605
(22)【出願日】2020-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】520174067
【氏名又は名称】SBロジスティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207778
【弁理士】
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】金澤 周平
(72)【発明者】
【氏名】田中 忍
(72)【発明者】
【氏名】朴 相逸
【テーマコード(参考)】
3E051
【Fターム(参考)】
3E051AA02
3E051AA03
3E051AB02
3E051BA01
3E051CB07
3E051DA07
3E051FD01
3E051JA02
3E051JA06
(57)【要約】
【課題】熱収縮フィルムを用いて箱体に被梱包物を安定して保持することを可能とする。
【解決手段】梱包システムは、少なくとも一対のフラップを有する箱体に被梱包物を梱包する梱包システムであって、熱収縮性を有するフィルムの中央部を箱体の内部の底面と接着させるとともに、フィルムの両端部を一対のフラップのそれぞれから垂下させる接着装置と、フィルムが接着された箱体の内部に被梱包物を配置する配置装置と、垂下されたフィルムの両端部を保持して被梱包物の上方で相互に対向させ、両端部の対向面同士を接着させることにより、フィルムで被梱包物を被覆する被覆装置と、両端部が接着されたフィルムを加熱して収縮させる収縮装置と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対のフラップを有する箱体に被梱包物を梱包する梱包システムであって、
熱収縮性を有するフィルムの中央部を前記箱体の内部の底面と接着させるとともに、前記フィルムの両端部を前記一対のフラップのそれぞれから垂下させる接着装置と、
前記フィルムが接着された前記箱体の内部に前記被梱包物を配置する配置装置と、
前記垂下されたフィルムの両端部を保持して前記被梱包物の上方で相互に対向させ、前記両端部の対向面同士を接着させることにより、前記フィルムで前記被梱包物を被覆する被覆装置と、
前記両端部が接着されたフィルムを加熱して収縮させる収縮装置と、
を有することを特徴とする梱包システム。
【請求項2】
前記被覆装置は、前記垂下されたフィルムの両端部を上方に折り返した後に、前記被梱包物の上方に移動させることで、前記両端部を相互に対向させる、
請求項1に記載の梱包システム。
【請求項3】
前記被覆装置は、複数の吸気口が設けられた平板状の吸着部を有し、前記垂下されたフィルムの両端部を前記吸着部に面状に吸着することにより保持する、
請求項1又は2に記載の梱包システム。
【請求項4】
少なくとも一対のフラップを有する箱体に被梱包物を梱包する梱包システムによって実行される梱包方法であって、
熱収縮性を有するフィルムの中央部を前記箱体の内部の底面と接着させるとともに、前記フィルムの両端部を前記一対のフラップのそれぞれから垂下させ、
前記フィルムが接着された前記箱体の内部に前記被梱包物を配置し、
前記垂下されたフィルムの両端部を保持して前記被梱包物の上方で相互に対向させ、前記両端部の対向面同士を接着させることにより、前記フィルムで前記被梱包物を被覆し、
前記両端部が接着されたフィルムを加熱して収縮させる、
ことを含むことを特徴とする梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包システム及び梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倉庫等において、コンベアにより搬送された段ボール箱等の箱体に物品を梱包して出荷することがなされている。梱包された物品が箱体に固定されていない場合、配送中等に箱体と物品とが接触し、箱体又は物品が損傷することがある。そこで、物品を梱包する際にフィルムを用いて物品を箱体に保持することがなされている。例えば、特許文献1には、フィルムの中央部を箱体の底面に接着し、被梱包物を中央部の上に配置した後にフィルムの両端部をそれぞれ被梱包物に被せることで、被梱包物を箱体の底面に保持する方法が記載されている。
【0003】
ところで、物品を包装するフィルムとして熱収縮フィルムが知られている。熱収縮フィルムにより物品を載置した容器を被覆してから加熱することで、物品を容器に安定して固定することが可能となる。特許文献1に記載の方法においてフィルムとして熱収縮フィルムを用いることで、物品をより安定して保持可能となることが期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-101353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、熱収縮フィルムはシュリンクトンネルを用いて周囲から熱風を吹き付けること等により加熱される。特許文献1に記載されているように箱体の内部においてフィルムが物品を被覆している場合には、箱体の断熱作用により加熱が妨げられて、箱体の底面付近のフィルムが加熱されにくくなる。したがって、底面付近のフィルムを十分に収縮させることができず、物品が安定して保持されない場合があった。他方、底面付近のフィルムを十分に収縮させるために高温で加熱したり、熱収縮性が大きいフィルムを用いたりした場合、収縮により物品の一部がフィルムから露出する場合があった。
【0006】
図12は、フィルムの収縮について説明するための模式図である。図12において、箱体91の内部に物品92が収容されている。物品92は、箱体91と底面で接着された、熱収縮性を有するフィルム93によって被覆されることで、箱体91に保持されている。この状態でフィルム93が収縮された場合、フィルム93が箱体91の底面に接着されているため、フィルム93のうち物品92の上面を覆っている部分が底面に向かう矢印94に沿った方向に引っ張られる。したがって、収縮の程度が大きい場合には物品92の上面又は側面が露出することがあった。
【0007】
物品の一部がフィルムから露出した場合、配送中に物品がフィルムから飛び出すおそれがある。そこで、熱収縮フィルムを用いて物品を箱体に安定して保持することが求められていた。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、熱収縮フィルムを用いて箱体に被梱包物を安定して保持することを可能とする梱包システム及び梱包方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る梱包システムは、少なくとも一対のフラップを有する箱体に被梱包物を梱包する梱包システムであって、熱収縮性を有するフィルムの中央部を箱体の内部の底面と接着させるとともに、フィルムの両端部を一対のフラップのそれぞれから垂下させる接着装置と、フィルムが接着された箱体の内部に被梱包物を配置する配置装置と、垂下されたフィルムの両端部を保持して被梱包物の上方で相互に対向させ、両端部の対向面同士を接着させることにより、フィルムで被梱包物を被覆する被覆装置と、両端部が接着されたフィルムを加熱して収縮させる収縮装置と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る梱包システムにおいて、被覆装置は、垂下されたフィルムの両端部を上方に折り返した後に、被梱包物の上方に移動させることで、両端部を相互に対向させる、ことが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る梱包システムにおいて、被覆装置は、複数の吸気口が設けられた平板状の吸着部を有し、垂下されたフィルムの両端部を吸着部に面状に吸着することにより保持する、ことが好ましい。
【0012】
本発明に係る梱包方法は、少なくとも一対のフラップを有する箱体に被梱包物を梱包する梱包システムによって実行される梱包方法であって、熱収縮性を有するフィルムの中央部を箱体の内部の底面と接着させるとともに、フィルムの両端部を一対のフラップのそれぞれから垂下させ、フィルムが接着された箱体の内部に被梱包物を配置し、垂下されたフィルムの両端部を保持して被梱包物の上方で相互に対向させ、両端部の対向面同士を接着させることにより、フィルムで被梱包物を被覆し、両端部が接着されたフィルムを加熱して収縮させる、ことを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る梱包システム及び梱包方法は、熱収縮フィルムを用いて箱体に被梱包物を安定して保持することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の概要について説明するための模式図である。
図2】梱包システム1の正面図である。
図3】梱包システム1の概略構成の一例を示す図である。
図4】箱体10の斜視図である。
図5】接着部材が貼付された箱体10の正面図である。
図6】接着装置4の動作について説明するための模式図である。
図7】被覆装置6の斜視図である。
図8】被覆装置6の動作について説明するための模式図である。
図9】被覆装置6の動作について説明するための模式図である。
図10】収縮装置7の動作について説明するための模式図である。
図11】梱包方法の流れの一例を示すフロー図である。
図12】フィルムの収縮について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の様々な実施形態を説明する。本発明の技術的範囲はこれらの実施形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0016】
図1は、実施形態の概要を説明するための模式図である。実施形態に係る梱包システム1は、コンベア等により箱体10を搬送しながら、箱体10に被梱包物を梱包する。箱体10は、少なくとも一対のフラップ103を有する。箱体10は、例えば段ボール箱である。
【0017】
まず、梱包システム1は、熱収縮性を有するフィルムFの中央部F1を箱体10の内部の底面101と接着させるとともに、フィルムFの両端部F2を一対のフラップ103のそれぞれから垂下させる。中央部F1は、接着剤又は粘着テープ等の接着部材により底面101と接着される。
【0018】
図1(a)はフィルムFが接着された箱体10の斜視図であり、図1(b)は図1(a)のIB断面における断面図である。なお、図1(a)においては、見やすさのため、フィルムFが斜線により網掛けされて図示されており、後述する図1(c)及び(e)についても同様である。図1(a)及び(b)に示すように、フィルムFは、箱体10の底面101、相互に対向する一対の側面102及び側面102に設けられたフラップ103を被覆し、フラップ103の外側の端部から垂下される。
【0019】
続いて、梱包システム1は、フィルムFが接着された箱体10の内部に被梱包物106を載置する。図1(c)は被梱包物106が載置された状態における箱体10の斜視図であり、図1(d)は図1(c)のID断面における断面図である。図1(c)及び図1(d)に示すように、被梱包物106は箱体10の底面101に接着されたフィルムFの中央部F1の上に載置される。
【0020】
続いて、梱包システム1は、垂下されたフィルムFの両端部F2を保持して被梱包物106の上方で相互に対向させ、両端部F2の対向面同士を接着させる。対向面は、例えばヒートシーラー等を用いて溶着されることにより接着される。図1(e)は対向面同士が接着された状態における箱体10の斜視図であり、図1(f)は図1(e)のIF断面における断面図である。図1(e)及び(f)に示すように、フィルムFの両端部F2が被梱包物106の上方で接着されることにより、被梱包物106がフィルムFにより被覆される。
【0021】
続いて、梱包システム1は、両端部F2が接着されたフィルムFを加熱して収縮させる。フィルムFは、例えばシュリンクトンネルにより熱風が吹き付けられることにより加熱される。このとき、フィルムFの両端部F2が被梱包物106の上方であらかじめ接着されているため、両端部F2の収縮により被梱包物106の上面が露出することはない。したがって、熱収縮フィルムを用いて箱体に被梱包物を安定して保持することが可能となる。
【0022】
上述した図1の説明は、本発明の内容への理解を深めるための説明にすぎない。本発明は次に説明する実施形態において実施され、且つ、本発明の原則を実質的に超えずにさまざまな変形例によって実施されてもよい。このような変形例は全て本発明及び本明細書の開示範囲に含まれる。
【0023】
図2は、梱包システム1の正面図であり、図3は、梱包システム1の概略構成の一例を示す図である。梱包システム1は、第1コンベア11、第2コンベア12、組立装置2、貼付装置3、接着装置4、配置装置5、被覆装置6、収縮装置7及び制御装置8を有する。
【0024】
制御装置8は、サーバ又はPC(Personal Computer)等の情報処理装置である。制御装置8は、第1コンベア11、第2コンベア12、組立装置2、貼付装置3、接着装置4、配置装置5、被覆装置6及び収縮装置7とネットワークを介して通信可能に接続される。制御装置8は、通信部81、記憶部82及び処理部83を有する。
【0025】
通信部81は、制御装置8を他の装置と通信可能にするための構成であり、例えば有線又は無線LAN(Local Area Network)等の通信インタフェース回路を備える。記憶部82は、データ及びプログラムを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリ等を備える。処理部83は、制御装置8の動作を統括的に制御するための構成であり、例えばCPU(Central Processing Unit)等の処理回路を備える。制御装置8は、記憶部82に記憶された所定のアプリケーションプログラムを処理部83が実行することによって生成された各装置の制御信号を、通信部81を介して送信することにより、梱包システム1の他の装置を制御する。
【0026】
第1コンベア11及び第2コンベア12は、載置された物を所定の経路に従って搬送する装置であり、例えばベルトコンベア又はローラコンベアである。第1コンベア11及び第2コンベア12は、制御装置8から受信した制御信号に基づいて駆動する。梱包システム1において、第1コンベア11は箱体10を搬送し、第2コンベア12は被梱包物106を搬送する。
【0027】
組立装置2、貼付装置3、接着装置4、配置装置5、被覆装置6及び収縮装置7は、第1コンベア11の経路に従って設けられる。これらの装置は、制御装置8から受信した制御信号に基づいて駆動し、第1コンベア11によって搬送された箱体10に対して、後述するように順次梱包作業を施す。
【0028】
組立装置2は、箱体10を組立てる装置であり、例えば自動製函機である。組立装置2は、段ボールシートから所定のサイズの段ボール紙を切り出し、罫入れ、糊付け、折加工及び製函等を行い、箱体10を組立てる。
【0029】
図4は、組立装置2によって組立てられた箱体10の斜視図である。箱体10は、底面101、4つの側面102a~102d及び4つのフラップ103a~103dを有する。箱体10は、組立装置2によってフラップ103a~103dのそれぞれが側面102a~102dと略平行である状態に組立てられる。なお、見やすさのため、図4においてはフラップ103a~103dが外側に開いた状態で図示されている。なお、区別する必要がないときは、側面102a~102dを側面102と称し、フラップ103a~103dをフラップ103と称することがある。
【0030】
貼付装置3は、箱体10の内部の底面101に第1の接着部材を貼付するとともに、一対のフラップ(フラップ103a及び103b)のそれぞれに第2の接着部材を貼付する装置である。貼付装置3は、箱体10の内部の底面に第1の接着部材を貼付する第1貼付部と、一対のフラップ103のそれぞれに第2の接着部材を貼付する第2貼付部とを有する。
【0031】
第1の接着部材は、フィルムFの中央部F1を箱体10の底面に接着するための部材であり、第2の接着部材は、フィルムFの両端部F2を箱体10に仮止めするための部材である。したがって、第1の接着部材及び第2の接着部材は、第2の接着部材の接着強度(例えば、剥離強度又は引張強度)が第1の接着部材の接着強度よりも小さくなるように選択される。例えば、第1の接着部材が接着用途の接着剤である場合、第2の接着部材は、第1の接着部材よりも剥離強度が小さい滑り止め用途の接着剤である。
【0032】
第1の接着部材は、例えば、DF6618(ヘンケルジャパン社製)等の合成ゴム系のホットメルト接着剤である。第1の接着部材は、PS8030(ヘンケルジャパン社製)又はHT350J(ヘンケルジャパン社製)等の滑り止め用途のオレフィン系のホットメルト接着剤でもよい。第1の接着部材は、接着用途のオレフィン系のホットメルト接着剤でもよい。第1貼付部は、例えば、これらの接着剤を塗布可能な自動塗布ガンである。第1貼付部は、箱体10の内部の底面101の所定の位置に、加熱されたこれらの接着剤を塗布することにより、第1の接着部材を貼付する。
【0033】
第2の接着部材は、例えば、PS8030(ヘンケルジャパン社製)又はHT350J(ヘンケルジャパン社製)等の滑り止め用途のオレフィン系のホットメルト接着剤である。第2の接着部材は、接着用途のオレフィン系のホットメルト接着剤でもよい。第2貼付部は、例えば、これらの接着剤を塗布可能な自動塗布ガンである。第2貼付部は、箱体10の一対のフラップ103a及び103bの所定の位置に、加熱されたこれらの接着剤を塗布することにより、第2の接着部材を貼付する。
【0034】
貼付装置3は、ホットメルト接着剤である第2の接着部材を、その単位面積当たりの塗布量がホットメルト接着剤である第1の接着部材よりも少なくなるように塗布する。例えば、貼付装置3は、第1の接着部材をビード状に塗布し、第2の接着部材をスパイラル状に又はスプレーにより塗布する。
【0035】
なお、ビード状に塗布するとは、接着剤を線状の経路に沿って厚く塗布することをいい、これにより、単位面積当たりの塗布量が多くなるように接着剤が塗布される。また、スパイラル状に塗布するとは、接着剤をらせん状の経路に沿って薄く塗布することをいい、これにより、単位面積当たりの塗布量が少なくなるように接着剤が塗布される。また、スプレーによって塗布することにより、単位面積当たりの塗布量が少なくなるように接着剤が塗布される。
【0036】
第2の接着部材は、DCX-1018(スリーエム社製)等の両面テープでもよい。この場合、第2貼付部は、両面テープを所定の長さに切断して一対のフラップの所定の位置に貼付可能なラベラーである。
【0037】
図5は、貼付装置3によって第1の接着部材及び第2の接着部材が貼付された箱体10の正面図である。図5においては、見やすさのためにフラップ103が外側に開いた状態で図示されている。図5に示すように、底面101の外周に沿った複数の位置に第1の接着部材104a~104dがビード状に塗布される。また、一対のフラップ103a及び103bの、側面102a及び102b(図3参照)に接する辺に対向する辺に沿った位置に第2の接着部材105a及び105bがスパイラル状に塗布される。
【0038】
接着装置4は、フィルムFの中央部F1を箱体10の内部の底面101と接着させるとともに、フィルムFの両端部F2を一対のフラップ103a及び103bのそれぞれから垂下させる装置である。接着装置4は、把持部41、押込部42及びフラップ操作部43を有する。把持部41は、箱体10の上方で所定の長さに切り取られたフィルムFを把持する。押込部42は、把持部41によって把持されたフィルムFの上方から、把持されたフィルムFの中央部F1を箱体10の内部に押込む。フラップ操作部43は、フィルムが接着されたフラップ103を外側に開く。
【0039】
フィルムFは、伸縮性及び熱収縮性を有する塩化ビニル系樹脂又はポリエチレン系樹脂等の合成樹脂により形成される。フィルムFの長さは、フラップ103a及び103bを開いたときにフィルムFの両端部F2がフラップ103a及び103bから垂下するように定められる。なお、フィルムFの長さはあらかじめ定められた一定の長さでもよく、箱体10の大きさや箱体10に配置される被梱包物の大きさ又は数量等に応じて異なる長さでもよい。
【0040】
図6は、接着装置4の動作を説明するための模式図である。まず、図6(a)に示すように、把持部41は、箱体10の上方でフィルムFを把持する。
【0041】
続いて、図6(b)に示すように、押込部42は、把持されたフィルムFの上方から、把持されたフィルムFの中央部F1を箱体10の内部に押込む。押込部42のフィルムFとの接触面は、箱体10の底面101の形状をわずかに縮小した形状を有する。これにより、押込部42がフィルムFの中央部F1を押込んだ際に、中央部F1が第1の接着部材104a及び104bのそれぞれと接触し、底面101と接着する。また、フィルムFは、第2の接着部材105a及び105bのそれぞれと接触し、一対のフラップ103a及び103cのそれぞれと接着する。
【0042】
続いて、図6(c)に示すように、フラップ操作部43は、フィルムが接着された箱体10のフラップ103a及び103bを外側に開く。このとき、フィルムFの両端部F2が自重によりフラップ103a及び103bから垂下される。なお、図6(c)に示す例ではフラップ操作部43は吸着ノズルであり、フラップ103を外側から吸着することにより開いているが、このような例に限られない。例えば、フラップ操作部43はフラップ103を把持して開くような構造を有してもよく、フラップ103を内側から押し開くような構造を有してもよい。また、フラップ操作部43はフィルムが接着されていないフラップ103c及び103dをさらに開いてもよい。
【0043】
配置装置5は、フィルムが挿入された箱体10の内部に被梱包物を配置するための装置である。配置装置5は、台紙配置部5a及び被梱包物配置部5bを有する。台紙配置部5aは、アームを有し、台紙D(図8参照)をアームによって箱体10の内部の底面に配置する。被梱包物配置部5bは、アームを有し、第2コンベア12によって搬送された被梱包物をアームによって把持して台紙Dの上に配置する。なお、配置装置5は、台紙配置部5aを有さなくてもよい。
【0044】
被覆装置6は、垂下されたフィルムFの両端部F2を保持して被梱包物106の上方で相互に対向させ、両端部F2の対向面同士を接着させる装置である。被覆装置6は、一対の支持部61a及び61b、一対の吸着部62a及び62b並びに一対の接着部63a及び63bを有する。
【0045】
図7は、被覆装置6の斜視図である。なお、支持部61b、吸着部62b及び接着部63bはそれぞれ支持部61a、吸着部62a及び接着部63aと対照の構成を有するため、図7においては支持部61a、吸着部62a及び接着部63aのみが図示されている。なお、区別する必要がないときは、支持部61a及び61b、吸着部62a及び62b並びに接着部63a及び63bをそれぞれ支持部61、吸着部62、接着部63と称することがある。
【0046】
支持部61aは、フラップ103aを支持するための構成である。支持部61aは、水平方向に延伸し、その一端が鉛直方向上方に折り曲げられた支持板611及び支持板611の水平部分を下方から上方に貫通する円筒状のノズル612を有する。ノズル612は、下端に接続された吸引パイプ613を介して、ノズル612内の気圧を低下させることにより吸引力を生じさせる不図示の吸引機と接続される。ノズル612の上端には吸着パッド614が設けられる。ノズル612は、吸着パッド614の中央の吸気口615に生ずる吸引力により、フラップ103a(図7では点線にて図示)を下方から吸着することによって支持する。なお、図7に示す例では支持部61aは二つのノズル612を有しているが、このような例に限られず支持部61aは任意の数のノズル612を有してよい。
【0047】
吸着部62aは、フィルムFの端部F2を保持するための構成である。吸着部62aは、端部F2を保持する吸着板621及び吸着板621を両側から挟持する吸着支持部622を有する。吸着支持部622は、アクチュエータを有する不図示の駆動部に接続され、吸着板621を挟持した状態で水平方向及び垂直方向に移動可能である。吸着板621には、その両側の吸着支持部622にそれぞれ接続される軸623が挿通される。軸623の一端には不図示のモータに接続されたプーリー624が設けられ、プーリーからの回転力により軸623は吸着板621とともに回転する。これにより、吸着板621は軸623を中心に回動可能となる。
【0048】
吸着板621には、表面の外周に沿って複数の吸気口625が設けられる。吸着板621は、吸引パイプ626を介して不図示の吸引機と接続され、吸気口625に生ずる吸引力によりフィルムFの端部F2aを吸着する。
【0049】
接着部63aは、フィルムFの両端部の対向面同士を接着させるための構成である。接着部63aは、接着面631と駆動部632とを有する。接着面631の幅は、フィルムFの幅よりも大きく形成される。接着部63aはヒータを内蔵し、フィルムFの両端部F2の対向面同士を溶着可能となるような高温に接着面631が加熱される。駆動部632は不図示のアクチュエータに接続され、接着面631を水平方向に移動させる。
【0050】
図8及び図9は、被覆装置6の動作について説明するための模式図である。まず、図8(a)に示すように、フラップ103の下側に支持部61が配置され、支持部61のノズル612が箱体10のフラップ103を吸着する。これにより、フラップ103が水平に支持される。このとき、支持部61は、フラップ103から垂下されたフィルムFの両端部F2が支持板611の鉛直部分に沿うように配置される。
【0051】
続いて、図8(b)に示すように、吸着部62が吸着板621を箱体10の方向に、矢印D1に沿って移動させるとともに、フィルムFの両端部F2を吸着することにより保持する。このとき、両端部F2は支持板611の鉛直部分に支えられるため、吸着板621の移動により生ずる風圧等によりばたつくことなく吸着板621に吸着される。また、吸着板621の幅はフィルムFの幅よりも大きく形成され且つ吸着板621の表面の外周に沿って複数の吸気口が設けられていることにより、両端部F2は吸着板621に面状に吸着される。
【0052】
続いて、図8(c)に示すように、吸着部62が軸623を中心に吸着板621を半回転させながら、吸着板621をフラップ103の上方に矢印D2に沿って移動させる。これにより、フラップ103から垂下されていたフィルムFの両端部F2が上方に折り返される。
【0053】
続いて、図9(a)に示すように、吸着部62が吸着板621を被梱包物の上方に矢印D3に沿って移動させる。このとき、吸着板621の吸着面は何れも外側を向いているため、フィルムFの両端部F2が被梱包物の上方で相互に離隔して対向する。
【0054】
続いて、図9(b)に示すように、吸着部62が吸着板621を矢印D4に沿って上方に移動させるとともに、接着部63が被梱包物の上方に矢印D5に沿って移動して、接着面631によりフィルムFの両端部F2を挟んで、対向面同士を接着させる。吸着板621が上方に移動することによってフィルムFが上方に引っ張られた状態となるため、両端部F2が弛むことなく適切に接着される。また、接着部63の接着面631の幅がフィルムFの幅よりも大きく形成されるため、両端部F2の対向面同士が幅方向の全体にわたって接着される。
【0055】
続いて、図9(c)に示すように、接着部63が矢印D6に沿って元の位置に戻り、吸着部62がフィルムFの吸着を止める。これにより、被梱包物106がフィルムFにより被覆される。
【0056】
収縮装置7は、フィルムFを加熱することにより収縮させる装置であり、例えばシュリンクトンネルである。収縮装置7は、フィルムFによって被覆された被梱包物が収容された箱体10を加熱することによりフィルムFを収縮させる。
【0057】
図10は、収縮装置の動作について説明するための模式図であり、図10(a)は収縮前の箱体10を、図10(b)は収縮後の箱体10をそれぞれ模式的に示す。収縮装置7は、箱体10に熱風を吹き付けること等によりフィルムFを収縮させる。このとき、フィルムFの中央部F1は第1の接着部材104a及び104bにより底面101と接着されているため、収縮時の張力により、フィルムF2の一方の端部F2aは方向Taに沿って、他方の端部F2bは方向Tbに沿ってそれぞれ引かれる。
【0058】
このとき、仮に両端部F2が接着されていなければ、両端部F2が引かれることにより被梱包物106の上面が露出する可能性がある。しかしながら、被覆装置6が両端部F2を接着させることにより、図10(b)に示すように、フィルムF2は被梱包物106を被覆したまま収縮される。これにより、被梱包物106が箱体10に安定して保持される。
【0059】
図11は、梱包システム1によって実行される梱包方法の流れの一例を示すフローチャートである。
【0060】
まず、組立装置2は、箱体10を組み立てる(S101)。組立てられた箱体10は、第1コンベア11により貼付装置3の位置に搬送される。
【0061】
続いて、貼付装置3は、箱体10の内部の底面101に第1の接着部材を貼付するとともに、一対のフラップ103のそれぞれに第2の接着部材を貼付する(S102)。第1の接着部材及び第2の接着部材が貼付された箱体10は、第1コンベア11により接着装置4の位置に搬送される。
【0062】
続いて、接着装置4は、フィルムFの中央部F1を箱体10の内部の底面101と接着させるとともに、フィルムFの両端部F2を一対のフラップ103のそれぞれから垂下させる(S103)。フィルムが接着された箱体10は、第1コンベア11により配置装置5の位置に搬送される。
【0063】
続いて、配置装置5は、フィルムが挿入された箱体10の内部に、第2コンベア12によって搬送された被梱包物106を配置する(S104)。被梱包物106が配置された箱体10は、第1コンベア11により被覆装置6の位置に搬送される。
【0064】
続いて、被覆装置6は、垂下されたフィルムFの両端部F2を保持して被梱包物106の上方で相互に対向させ、両端部F2の対向面同士を接着させる(S105)。収容された被梱包物106が被覆された箱体10は、第1コンベア11により収縮装置7の内部に搬送される。
【0065】
続いて、収縮装置7は、フィルムを加熱することにより収縮させる(S106)。箱体10は、第1コンベア11により収縮装置7の外部に搬送される。
【0066】
フィルムが収縮された後に、作業者又は機器により、フラップ103a~103dが閉じられ、封がされることにより被梱包物106は箱体10に梱包される。
【0067】
以上説明したように、梱包システム1は、フィルムFの中央部F1を箱体10の内部の底面101に接着させ、両端部F2をフラップ103から垂下させる。そして、梱包システム1は、両端部F2を被梱包物106の上方で接着させた後に、フィルムFを収縮させる。これにより、梱包システム1は熱収縮フィルムを用いて箱体に被梱包物を安定して保持することを可能とする。
【0068】
また、梱包システム1は、垂下された両端部F2を上方に折り返した後に、被梱包物106の上方に移動させる。これにより、両端部F2を移動させる際にフィルムFが損傷するおそれが低減され、被梱包物がより安定して保持される。
【0069】
すなわち、仮に両端部F2を折り返さずに被梱包物106の上方に移動させる場合、フィルムFとフラップ103との接着部分において、フィルムFを上方に引っ張る力が加わるため、これによりフィルムFが損傷するおそれがある。これに対し、両端部F2を折り返してから被梱包物106の上方に移動させる場合、フィルムFとフラップ103との接着部分において、フィルムFに接着面と平行な力が加わることとなるため、フィルムFが損傷することなく容易に剥離される。
【0070】
また、梱包システム1において、被覆装置6は複数の吸気口が設けられた平板状の吸着板621を有し、垂下された両端部F2を吸着板621に面状に吸着することにより保持する。これにより、両端部F2を移動させる際にフィルムFが風圧等によりばたつくことを防ぎ、両端部F2の対向面同士を安定して接着させることが可能となるため、被梱包物がより安定して保持される。
【0071】
上述した説明では、箱体10は少なくとも一対のフラップ103を有するものとしたが、箱体10はフラップを有しなくてもよい。この場合、接着装置4は、フィルムFの両端部F2を箱体10の側面102から垂下させる。また、この場合、両端部F2は箱体10の側面102に沿うように垂下されるため、被覆装置6はフィルムF2を支持するための支持部61を有しなくてもよい。
【0072】
上述した説明では、S102において貼付装置3はフラップ103に第2の接着部材を貼付するものとしたが、フラップ103には接着部材が貼付されなくてもよい。
【0073】
上述した説明では、被覆装置6において吸着板621には表面の外周に沿って複数の吸気口625が設けられるものとしたが、フィルムFの端部F2を面状に吸着可能であれば、吸気口の数及び形状は任意に設定されてよい。
【0074】
上述した説明では、被覆装置6はフィルムFの両端部F2を上方に折り返した後に被梱包物106の上方に移動させるものとしたが、被覆装置6は両端部F2を上方に折り返さなくてもよい。この場合、被覆装置6が吸着板621を回動させる機構を備える必要がなくなる。
【0075】
上述した説明では、被覆装置6において接着面631の幅はフィルムFの幅よりも大きく形成され、フィルムFの両端部F2の対向面同士を幅方向の全体にわたって接着するものとしたが、このような例に限られない。接着面631は、フィルムFの両端部F2の対向面の一部のみを接着するものとしてもよい。また、接着の方法は溶着に限られず、粘着テープや留め具等が用いられてもよい。
【0076】
上述した説明では梱包システム1は制御装置8を有するものとしたが、このような例に限られない。例えば、梱包システム1は制御装置8を有さず、梱包システム1の各装置が制御用のプロセッサ等の処理部を有するものとしてもよい。
【0077】
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した各部の処理は、本発明の範囲において、適宜に異なる順序で実行されてもよい。また、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 梱包システム
4 接着装置
5 配置装置
6 被覆装置
61 支持部
62 吸着部
63 接着部
7 収縮装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12