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特開2022-53061記録装置、記録装置の制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053061
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】記録装置、記録装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20220329BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
B41J2/165
B41J2/01 305
B41J2/165 211
B41J2/165 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020159663
(22)【出願日】2020-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 俊喜
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EB12
2C056EB13
2C056EC23
2C056EC24
2C056EC54
2C056EC57
2C056FA10
2C056HA28
2C056HA29
2C056JA13
2C056JB04
2C056JC06
2C056JC13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】記録媒体が載置された状態でヘッド回復処理を実行した場合に、記録媒体へのインク飛散量を軽減する記録装置を提供する。
【解決手段】記録媒体への記録動作を実行する記録ヘッドと、記録ヘッドを回復する回復動作を実行する回復手段と、載置されている記録媒体を検出する検出手段と、回復手段を制御する制御手段と、を有し、制御手段は、検出手段による検出結果に基づく内容の回復動作を、回復手段に実行させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体への記録動作を実行する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを回復する回復動作を実行する回復手段と、
載置されている前記記録媒体を検出する検出手段と、
前記回復手段を制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記検出手段による検出結果に基づく内容の前記回復動作を、前記回復手段に実行させる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記検出手段が前記記録媒体を検出しない場合、前記回復手段に第1の回復動作を実行させ、
前記検出手段が前記記録媒体を検出した場合、前記回復手段に第2の回復動作を実行させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記第2の回復動作によるインク飛散量は、前記第1の回復動作によるインク飛散量より少ない、
ことを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記回復動作を実行する前に、前記記録媒体が載置されている場合、
前記制御手段は、前記回復手段に前記第1の回復動作を実行させることなく、前記第2の回復動作を実行させる、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記回復動作の実行中に、前記記録媒体が載置された場合、
前記検出手段は、前記載置された記録媒体を検出し、
前記制御手段は、前記回復手段に実行させる回復動作を、前記第1の回復動作から前記第2の回復動作に変更する、
ことを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記回復動作は、キャップ部材を前記記録ヘッドのインク吐出面に当接させた状態でポンプユニットを駆動させ該キャップ部材内で負圧を発生させるインク吸引動作と、該キャップ部材上で前記インク吐出面から所定発数分の吐出を実行する予備吐出動作と、を含み、
前記検出手段が前記記録媒体を検出した場合、前記制御手段は、前記インク吸引動作と、前記予備吐出動作とのそれぞれを分割して実行するよう制御する、
ことを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記インク吸引動作の1回あたりのリフトポンプモーターの移動量に関して、前記第1の回復動作は前記第2の回復動作より多く、
前記インク吸引動作の1回あたりの発数に関して、前記第1の回復動作は前記第2の回復動作より多い、
ことを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記回復手段による前記回復動作が実行される第1の領域と、前記記録ヘッドによる前記記録媒体への記録動作が実行される第2の領域とが隣接する、
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記回復手段には、前記記録ヘッドのインク吐出面に付着したインクを拭き取るためのブレードが含まれ、
前記ブレードは、前記第1の領域と、前記第2の領域との境界に配される、
ことを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記回復手段による前記回復動作は、前記記録ヘッドによる前記記録媒体への記録動作が実行される前に実行される、
ことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項11】
記録媒体への記録動作を実行する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを回復する回復動作を実行する回復手段と、
載置されている前記記録媒体を検出する検出手段と、
前記回復手段を制御する制御手段と、
を有する記録装置の制御方法であって、
前記制御手段が、前記検出手段による検出結果に基づく内容の前記回復動作を、前記回復手段に実行させるステップ
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項12】
コンピュータに請求項11に記載の方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に対して記録ヘッドを移動させつつインクを吐出することにより画像を記録するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンタ装置において、記録位置に記録媒体(例えば、用紙など)がセットされた状態で吸引回復などのヘッド回復処理を行うと、記録媒体にインクが飛散することがある。このため、記録前や記録完了後など、記録位置に記録媒体がない状態で回復処理を行うのが一般的である。
【0003】
また、回復処理による記録媒体へのインク飛散を防止するための他の技術として、特許文献1は、飛散したインクを受けるインク受けを有するインクジェット記録装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-276133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、省スペース設計の装置構成では、インク受け機構を備えつけることが困難であり、ヘッド機構の回復を行う領域と、記録媒体への記録を行う領域とが隣接する場合、ヘッド回復処理の実行によって記録媒体にインクが飛散することがある。
【0006】
そこで本発明の一実施形態は、上記の課題に鑑み、記録媒体が載置された状態でヘッド回復処理を実行した場合に、記録媒体へのインク飛散量を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、記録媒体への記録動作を実行する記録ヘッドと、前記記録ヘッドを回復する回復動作を実行する回復手段と、載置されている前記記録媒体を検出する検出手段と、前記回復手段を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記検出手段による検出結果に基づく内容の前記回復動作を、前記回復手段に実行させる、ことを特徴とする記録装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、記録媒体が載置された状態でヘッド回復処理を実行した場合に、記録媒体へのインク飛散量を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】インクジェット記録装置の主要部を示す斜視図
図2】インクジェット記録装置のワイプ動作を説明するための断面図
図3】インクジェット記録装置の制御系の構成を説明するためのブロック図
図4】記録動作前における一連の処理の流れを示すフローチャート
図5】通常回復シーケンスに従う一連の回復処理を実行する場合の制御フローを示すフローチャート
図6】通常回復シーケンスと、記録媒体有り時回復シーケンスとを示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、本発明を具体的に実現した形態を例示するものである。従って、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって、以下に説明される実施形態の構成は適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
<インクジェット記録装置>
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例であるインクジェット記録装置(以下、「記録装置」という場合がある)1の主要部を示す斜視図である。ここで、図中の白抜き矢印Aは、記録ヘッドが走査する方向(いわゆる主走査方向)を表している。また、図中の座標軸について、X軸方向は、主走査方向を示すものであり、Y軸方向は、X軸方向と直交し、かつ、開口部63の短手方向を示すものであり、Z軸方向は、記録媒体Pに垂直な方向を示すものである。
【0012】
インクジェット記録装置1は、キャリッジユニット20と、キャリッジユニット20を駆動するキャリッジ移動機構30と、記録装置1を制御する本体制御部(制御手段)40と、メンテナンスユニット50と、給紙ユニット60と、を有する。以下、これらの概要を順に説明する。
【0013】
<キャリッジユニット>
キャリッジユニット20は、記録ヘッド(記録手段)22を保持する記録ヘッドユニット21と、記録ヘッドユニット21を搭載するキャリッジ23と、エンコーダーセンサ24と、を有する。記録ヘッド22は、インクを吐出するためのインク吐出部としてのノズル(不図示)を有する。
【0014】
<キャリッジ移動機構>
キャリッジ移動機構30は、キャリッジモーター31と、キャリッジモーター31により駆動される無端のキャリッジ駆動ベルト32と、を有し、キャリッジユニット20を主走査方向に沿って移動させる。また、キャリッジ移動機構30はさらに、キャリッジ23の位置検出に用いられるエンコーダーフィルム33と、キャリッジユニット20の移動経路を規定するガイド部34と、をキャリッジユニット20の動作領域上に有する。
【0015】
<本体制御部>
本体制御部40は、図3などを用いて後述されるCPU100や各駆動回路などを有し、給紙動作、記録動作、回復動作などを制御する。
【0016】
<メンテナンスユニット>
メンテナンスユニット(回復手段)50は、クリーニングブレード51と、キャップ部材52と、吸引回復機構53と、を有する。クリーニングブレード51は、キャリッジユニット20がホームポジションHPに位置する待機状態から記録状態へと移行する過程で、記録ヘッド22のインク吐出部に当接するとともに、インク吐出面に付着した余分なインクを拭き取るワイプ動作を行う。図2は、図1の矢印Bの方向から装置正面を見たときのワイプ動作を示す断面図である。記録ヘッド(記録手段)22をキャップ部材52と当接した待機位置から、クリーニングブレード51上を図中の矢印Cの方向へ走査して、記録ヘッド22の下部表面に付着したインク300を拭き取ることによってワイプ動作を行う。図2に示すように、記録ヘッド22の回復動作が行われる領域と、記録ヘッド22による記録動作が行われる領域とは隣接しており、これらの領域の境界にクリーニングブレード51は配される。
【0017】
図1に示すキャップ部材52は、待機状態のキャリッジユニット20に対して、記録ヘッド22のインク吐出部に対するインク固着防止や異物の付着防止のために、記録ヘッド22のインク吐出面に当接する。吸引回復機構53は、インクを回収する廃棄用貯蔵タンク(不図示)と、負圧発生手段であるポンプユニット(不図示)と、チューブ(不図示)と、を有する。このチューブは、ポンプユニットを介して、キャップ部材52の吸引孔(不図示)及び廃棄用貯蔵タンクのそれぞれに連通される。吸引回復機構53は、キャップ部材52を記録ヘッド22のインク吐出面に当接させた状態において、ポンプユニットを駆動させ、キャップ部材52内に負圧を発生させる。これにより、気泡や乾燥によって増粘したインク又は混入した塵埃等を、吸引排出させて記録ヘッド22のノズルの吐出性能を回復させるインク吸引動作を行う。更に、キャップ部材52上で記録ヘッド22のインク吐出面から所定発数分の吐出を行うことで、記録ヘッド22内の増粘したインクなどを除去する予備吐出動作を行う。更に、予備吐出動作によってキャップ部材52内に溜まったインクを除去するため、キャップ部材52を記録ヘッド22のインク吐出面と離間した状態で、ポンプユニットを駆動させてキャップ部材内に負圧を発生させる。この負圧によってキャップ部材内に溜まったインクが吸引排出される。このような、負圧を発生させてキャップ部材内に溜まったインクを吸引排出する動作を、キャップ吸引動作と呼ぶ。
【0018】
<給紙ユニット>
給紙ユニット60は、給紙機構61と、開口部63を有するプレート部材62と、記録媒体Pのセットを検出するトレイ紙検出センサ68(図1では不図示、図3参照)を有する。給紙機構61は、プレート部材62の下方に設けられ、記録媒体Pを下面から支持する給紙トレイ(不図示)と、給紙トレイを上昇及び下降させるリフト部材(不図示)及び回動機構(不図示)と、を有する。給紙機構61において、給紙トレイに記録媒体Pがセットされたことをトレイ紙検出センサ68により検出すると、リフト部材及び回動機構が給紙トレイを記録ヘッド22に向かって垂直方向に上昇させる。その後、給紙機構61は、記録媒体Pの表面がプレート部材62の下部に押し付けられる位置まで移動すると、給紙トレイとプレート部材62との間に記録媒体Pを挟持した状態で上昇を停止させる。このとき、プレート部材62の開口部63から露出した記録媒体Pの部分が記録ヘッド22によって記録可能な領域となる。
【0019】
<制御系の構成>
図3は、図1に示されるインクジェット記録装置1の制御系の構成を説明するためのブロック図である。CPU100は、データバス及びシステムバス101を介して、ホストコンピュータなどの外部装置からの指令及びインクジェット記録装置1で記録するための記録データの受信、記録動作、回復動作など統括的な制御を司る演算処理装置である。CPU100は、ROM102、RAM103、パネル操作部105、トレイ紙検出センサ68、リフトポンプモーター71、リフトHPセンサ65に通信可能に接続されている。ROM102には、記録する画像データや、制御プログラム、各回復シーケンスの情報などが格納され、RAM103は、それらのプログラムに従い作業用メモリとして用いられる。パネル操作部105は、それを介して、インクジェット記録装置1のステータス情報を表示したり、ユーザーが記録動作等の指令を入力したりするためのものである。リフトポンプモーター71は、詳細は後述するが、給紙機構61及び吸引回復機構53を同一駆動源により駆動する正転方向及び逆転方向に回転可能なパルスモーターであり、必要な移動距離分のパルスを出力して所望の動作を行う。
【0020】
記録前の動作処理として、CPU100は、給紙トレイに記録媒体Pがセットされたことをトレイ紙検出センサ68で検出すると、リフトポンプモーター71を正転方向に回転駆動し、給紙トレイが上昇開始されたことを、リフトHPセンサ65で検出する。その後、CPU100は、リフトポンプモーター71を正転方向に所定量駆動して、給紙トレイとプレート部材62との間に記録媒体Pが挟持されたら、リフトポンプモーター71を停止させる。
【0021】
次に、記録時の動作処理として、CPU100は、キャリッジモーター31を駆動し、キャリッジユニット20を主走査方向に沿って移動させる。この際、CPU100は、エンコーダーセンサ24から入力されるパルス数を、キャリッジユニット20の移動に同期させてカウントすることで、キャリッジユニット20の相対位置の検出及び制御を行う。また、CPU100は、記録ヘッド22の記録開始位置への到達を検出すると、記録ヘッド22内のヒーターを加熱し、記録媒体Pへインクを吐出する一方、記録ヘッド22のホームポジションHPへの到達を検出すると、キャリッジモーター31を停止する。
【0022】
また、吸引回復時の動作処理として、CPU100は、リフトポンプモーター71を正転方向に回転駆動し、ポンプユニットの大気開放動作を行ったり、リフトポンプモーター71を逆転方向に回転駆動し、インクの吸引回復動作を行ったりする。
【0023】
<記録動作前における回復シーケンス>
図4は、本実施形態における記録動作前に実行される、記録ヘッド22に対する回復シーケンスの流れを示す制御フローチャートである。
【0024】
ステップS101では、CPU100は、トレイ紙検出センサ68を用いて、給紙トレイ上にユーザーによりセットされた記録媒体Pが載置されているか、具体的には、トレイ紙検出センサ68からON信号を検出するか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、ステップS103に進む一方、該判定結果が偽の場合(つまり、ON信号を検出しない場合)、ステップS102に進む。尚、以降では、簡単のため「ステップS~」を「S~」と略記する。
【0025】
S102では、CPU100は、外部のホストコンピュータなどからインクジェット記録装置1の記録データを受信したか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S103に進む一方、該判定結果が偽の場合、S101に戻る。
【0026】
S103では、CPU100は、メンテナンスユニットによるノズルの吐出性能の回復処理(具体的には吸引回復処理など)を実行するかを判定するために用いられる条件(回復処理の実行条件)を満たすか判定する。回復処理の実行条件の一例としては、前回の回復処理の実行時間からの経過時間が所定の時間閾値以上であることが挙げられる。本ステップの判定結果が真の場合、S104に進む一方、該判定結果が偽の場合、S107に進む。
【0027】
S104では、CPU100は、給紙トレイ上に記録媒体Pが載置されているか、具体的には、トレイ紙検出センサ68からON信号を検出するか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S106に進む一方、該判定結果が偽の場合(つまり、ON信号を検出しない場合)、S105に進む。
【0028】
S105では、CPU100は、回復処理として、通常回復シーケンス(記録媒体無し時回復シーケンスとも呼ぶ)に従って一連の処理を実行する。
【0029】
S106では、CPU100は、実行する回復処理の内容について、通常回復シーケンスから、該通常回復シーケンスよりインク飛散量が少ないシーケンス(記録媒体有り時回復シーケンスとする)へと変更する。その上で、CPU100は、この記録媒体有り時回復シーケンスに従って、一連の処理を実行する。通常回復シーケンス及び記録媒体有り時回復シーケンスに関しては、図6を用いて後述する。
【0030】
S105又はS106における回復処理の実行が完了したら、S107に進む。S107では、CPU100は、給紙トレイ上に記録媒体Pが載置されて、かつ、外部のホストコンピュータなどからインクジェット記録装置1の記録データを受信したか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S108に進む一方、該判定結果が偽の場合、S107の判定処理が再び行われる。
【0031】
S108では、CPU100は、記録ヘッド22、キャリッジモーター31等を用いて、記録媒体Pへの記録処理を実行する。
【0032】
図5は、通常回復シーケンスに従う一連の回復処理を実行する場合の(図4のS105)制御フローを示すフローチャートである。S105では通常の回復処理として、所定の通常回復シーケンスに従う一連の回復処理を実行するが、この一連の回復処理の実行中に、以下の処理が実行される。
【0033】
S201では、CPU100は、給紙トレイ上に記録媒体Pが載置されたか、具体的には、トレイ紙検出センサ68からON信号を検出するか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S203に進む一方、該判定結果が偽の場合、S202に進む。
【0034】
トレイ紙検出センサ68からON信号を検出しない場合(S201でNOの場合)、引き続き、通常の回復処理として、所定の通常回復シーケンスに従う一連の回復処理を実行し、その後、S202に進んで、該一連の回復処理が終了したか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、通常の回復処理を終了する一方、該判定結果が偽の場合、S201に戻る。
【0035】
一方、トレイ紙検出センサ68からON信号を検出した場合(S201でYESの場合)、回復処理中に給紙トレイ上に記録媒体Pが載置されたとみなして、S203に進む。
【0036】
S203では、CPU100は、実行中の一連の回復処理において、残処理にワイプ処理があるか判定する。本ステップの判定結果が真の場合(つまり、本ステップの判定時点でワイプ処理が完了しておらず、実行中の一連の回復処理の残処理にワイプ処理が存在する場合)、S204に進む。一方、本ステップの判定結果が偽の場合(つまり、本ステップの判定時点でワイプ処理が既に完了していて実行中の一連の回復処理の残処理にワイプ処理が存在しない場合)、S207に進む。
【0037】
S204では、CPU100は、実行中の一連の回復処理について、未完了のワイプ処理の前に実行される予備吐出処理もしくはインク吸引処理の実行前か判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S206に進む一方、該判定結果が偽の場合、S205に進む。
【0038】
S205では、CPU100は、ワイプ実行速度の変更を行う。具体的には、CPU100は、ワイプ実行速度を下げる。変更方法としては、例えば、キャリッジの動作速度を通常時(100mm/s)の半分の速度(50mm/s)とする方法がある。
【0039】
S206では、CPU100は、実行中の一連の回復処理における以降の処理を変更する(回復シーケンスの変更)。回復シーケンスの変更に関しては、図6を用いて後述する。
【0040】
S207では、CPU100は、所定の回復処理が終了したか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、回復処理を終了する。一方、本ステップの判定結果が偽の場合、時間をおいてS207の判定処理が再び行われる。
【0041】
図6は回復シーケンスの変更の一例を示す図である。図6(a)は、記録媒体Pが給紙トレイ上に載置されない場合に実行される、記録ヘッド22の回復シーケンス(通常回復シーケンスとする)を示す。図6(b)は、記録媒体Pが給紙トレイ上に載置されている場合に実行される、記録ヘッド22の回復シーケンス(記録媒体有り時回復シーケンスとする)を示す。
【0042】
図4のS104で用紙が載置されていないと判定され(S104でNO)、さらにその後、記録媒体Pが給紙トレイ上に載置されなかった場合、図6(a)に示す通常回復シーケンスの内容に従った一連の処理が実行される。前述の通り、インク吸引はリフトポンプモーター71を逆転方向に回転駆動することで行うが、通常回復シーケンスでは図6(a)に示すように、インク吸引時のリフトポンプモーター71の駆動速度を513pps、移動量を1448plsとする。インク吸引動作の実行後、キャップ吸引動作、ワイプ動作を実行する。インク吸引~キャップ吸引~ワイプの一連の動作が完了した後、予備吐出処理を実行する。通常回復シーケンス(図6(a))における一連の予備吐出処理では、1回あたり2000発の吐出動作を4回行う。4回の予備吐出動作が完了したら、キャップ吸引動作、ワイプ動作を実行する。
【0043】
これに対し、S106(図4参照)で記録媒体有り時回復シーケンスに従う一連の処理を実行する場合、図6(b)に示すシーケンスの内容に従って処理を実行する。図6(b)に示すように、記録媒体有り時回復シーケンスでは、通常回復シーケンス(図6(a))では1回ずつ行っていた一連のインク吸引処理と一連の予備吐出処理とのそれぞれを2回に分割して実行する。分割後の一連のインク吸引処理に含まれるインク吸引動作におけるリフトポンプモーター71の移動量を、通常回復シーケンス時の半分(724pls)に設定し、該一連のインク吸引処理(インク吸引動作~キャップ吸引動作~ワイプ動作)を2回続けて実行する。分割後の一連の予備吐出処理に含まれる予備吐出動作では、1回に実行する予備吐出処理の発数を2000発から1000発へ変更し、該一連の予備吐出処理(予備吐出動作~キャップ吸引動作~ワイプ動作)を2回続けて実行する。
【0044】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態では、トレイ紙検出センサの検出結果に基づいて、メンテナンスユニットが実行する回復動作の内容を変更する。これにより、記録媒体が記録位置に載置されている場合であっても、ヘッド回復処理の回復シーケンスを変更して実行することで、回復動作に起因する記録媒体へのインク飛散量を軽減することができる。
【0045】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0046】
22 記録ヘッド
50 メンテナンスユニット
40 本体制御部(制御手段)
68 トレイ紙検出センサ
P 記憶媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6