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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053171
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】回転式操作ハンドルのロック切換機構
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/09 20060101AFI20220329BHJP
   F16B 1/02 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
E01C23/09 A
F16B1/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020159834
(22)【出願日】2020-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000175386
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107375
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 明広
(72)【発明者】
【氏名】村本 健一
(72)【発明者】
【氏名】堀口 数馬
【テーマコード(参考)】
2D053
【Fターム(参考)】
2D053AA26
2D053AA41
2D053DA03
(57)【要約】
【課題】非操作時において、ハンドルシャフトが自動的にロックされ又はロックが解除され、誤動作を回避することができる回転式操作ハンドルのロック切換機構を提供する。
【解決手段】ハンドルシャフト2と、固定部3及び可動部4からなるハンドルステーと、係合することによってハンドルシャフトを他の要素に対してロックすることができる一対のロック手段(ロックピン33、係合部61)と、ロック手段を動作させるための力を伝達する伝達機構とを有し、固定部3が、基端部31及び突出部32を有し、可動部4が、伸展状態から屈曲状態まで回動可能なように、突出部32に対して枢着されるとともに、屈曲する方向へ付勢され、可動部4の回動によってロック手段(ロックピン33)が動作するように可動部4とロック手段とが伝達機構によって接続されるように構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なように支持されたハンドルシャフトと、固定部及び可動部からなるハンドルステーと、係合することによってハンドルシャフトを他の要素に対してロックすることができる一対のロック手段と、ロック手段を動作させるための力を伝達する伝達機構とを有する回転式操作ハンドルのロック切換機構であって、
固定部が、ハンドルシャフトに固定された基端部と、基端部から外側へ向かって延在する突出部とを有し、
可動部が、伸展状態から屈曲状態まで回動可能なように、固定部の突出部に対して枢着されるとともに、屈曲する方向へ付勢され、
可動部の回動によってロック手段が動作するように、可動部とロック手段とが伝達機構によって接続されていることを特徴とする回転式操作ハンドルのロック切換機構。
【請求項2】
可動部とロック手段とを接続する伝達機構として、可動部の端面と従動ピンからなるカム機構を有し、
従動ピンは、固定部の突出部に形成された空洞部内に配置されるとともに、可動部側へ付勢され、先端部が可動部の端面に対して常に押し付けられるように構成され、
可動部の端面は、従動ピンと可動部の端面との接点から可動部の枢着点までの距離が、可動部の伸展状態から屈曲状態にかけて漸減する曲面のカム形状に形成され、可動部を枢着点廻りに回動させると、従動ピンが可動部の端面に追随して直線的に動作するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の回転式操作ハンドルのロック切換機構。
【請求項3】
従動ピンが可動部側へ付勢され、カム形状の端面に押し付けられることによって、可動部が、屈曲する方向へ付勢されていることを特徴とする、請求項2に記載の回転式操作ハンドルのロック切換機構。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の回転式操作ハンドルのロック切換機構が、昇降ハンドルに適用されたコンクリートカッターであって、
一対のロック手段として、ハンドルシャフトとともに回転しない係合部と、この係合部に係合することによってハンドルシャフトの回転をロックするロックピンとを有し、
可動部が屈曲状態にあるとき、ロックピンが係合部と係合して回転軸がロック状態となり、可動部が伸展状態にあるとき、ロックピンと係合部の係合が解除されて回転軸がロック解除状態となるように構成されていることを特徴とするコンクリートカッター。
【請求項5】
ハンドルシャフトの上端部が、コンクリートカッターの機体の上面カバーに形成されている貫通孔を貫通して上面カバーの上方へ突出するように構成され、
係合部が、上面カバーの貫通孔の周囲に複数個形成されていることを特徴とする、請求項4に記載のコンクリートカッター。
【請求項6】
請求項1~3のいずれかに記載の回転式操作ハンドルのロック切換機構が、走行ハンドルに適用されたコンクリートカッターであって、
ハンドルシャフトと後輪の駆動軸を接続した状態と、非接続状態とを切り換えることができる一対のロック手段を有し、
可動部が伸展状態にあるとき、ロック手段が係合してハンドルシャフトが後輪の駆動軸に対してロックされ、走行ハンドルの回転操作によって後輪を駆動させることが可能となり、可動部が屈曲状態にあるとき、ロック手段の係合が解除されて、ハンドルシャフトに対して後輪の回転がフリーとなるように構成されていることを特徴とするコンクリートカッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路のアスファルト舗装面やコンクリート表面を切断又は切削するコンクリートカッター等の作業機械における回転式操作ハンドルのロック切換機構に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の作業機械の中には、回転式操作ハンドルを備えたものが存在する。例えば、道路のアスファルト舗装面やコンクリート表面を切断又は切削するコンクリートカッターには、ブレードの深度を調整するための操作手段として、回転式操作ハンドル(昇降ハンドル)が装備されているものが多い。
【0003】
具体的に説明すると、一般的なコンクリートカッターは、図6に示すように、機体フレーム72が車輪(前輪73及び後輪76)によって支持されるとともに、ブレード71が、機体フレーム72のフロント部の側方に支持され、機体フレーム72に搭載されているエンジン等の原動機(図示せず)から駆動力を受けて、高速で回転するように構成されている。
【0004】
前輪73は、支持アーム74の先端において支持されている。支持アーム74は、図示しない回転式操作ハンドル(昇降ハンドル)とリンク75を介して接続されており、この回転式操作ハンドルを回転操作することにより、枢着点Pを通る水平軸線廻りに所定角度範囲内で回動させることができるようになっている。これにより、後輪76を基点とする機体フレーム72の前後方向の傾斜角度を、図6(1)に示す位置から図6(2)に示す位置までの範囲で変更することができ、機体フレーム72のフロント側の高さ、及び、ブレード71の深度を自在に調整できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-43941号公報
【特許文献2】特開2012-162939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コンクリートカッターによって切削作業を行う場合、ブレード71を高速回転させた状態で、回転式操作ハンドル(昇降ハンドル)を回転操作してブレード71の深度を調整し、ブレード71が設定深度に到達したら、回転式操作ハンドルが回転しないようにロック機構(図示せず)を手動操作して固定し、コンクリートカッターを予定線に沿って前進させることになるが、ロック機構の操作を忘れて切削作業を継続した場合、機体自体の振動や外部からの衝撃により、意図に反して回転式操作ハンドルが回転してしまうこと(誤動作)があり、この場合、ブレード71の深度が設定値からずれてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来技術における問題を解決しようとするものであって、非操作時において回転式操作ハンドルが自動的にロックされ又はロックが解除され、誤動作を回避することができる回転式操作ハンドルのロック切換機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る回転式操作ハンドルのロック切換機構は、回転可能なように支持されたハンドルシャフトと、固定部及び可動部からなるハンドルステーと、係合することによってハンドルシャフトを他の要素に対してロックすることができる一対のロック手段と、ロック手段を動作させるための力を伝達する伝達機構とを有し、固定部が、ハンドルシャフトに固定された基端部と、基端部から外側へ向かって延在する突出部とを有し、可動部が、伸展状態から屈曲状態まで回動可能なように、固定部の突出部に対して枢着されるとともに、屈曲する方向へ付勢され、可動部の回動によってロック手段が動作するように、可動部とロック手段とが伝達機構によって接続されていることを特徴としている。
【0009】
尚、この回転式操作ハンドルのロック切換機構は、可動部とロック手段とを接続する伝達機構として、可動部の端面と従動ピンからなるカム機構を有し、従動ピンは、固定部の突出部に形成された空洞部内に配置されるとともに、可動部側へ付勢され、先端部が可動部の端面に対して常に押し付けられるように構成され、可動部の端面は、従動ピンと可動部の端面との接点から可動部の枢着点までの距離が、可動部の伸展状態から屈曲状態にかけて漸減する曲面のカム形状に形成され、可動部を枢着点廻りに回動させると、従動ピンが可動部の端面に追随して直線的に動作するように構成されていることが好ましく、また、従動ピンが可動部側へ付勢され、カム形状の端面に押し付けられることによって、可動部が、屈曲する方向へ付勢されていることが好ましい。
【0010】
本発明に係るコンクリートカッターは、上記のような回転式操作ハンドルのロック切換機構が、コンクリートカッターの昇降ハンドルに適用され、一対のロック手段として、ハンドルシャフトとともに回転しない係合部と、この係合部に係合することによってハンドルシャフトの回転をロックするロックピンとを有し、可動部が屈曲状態にあるとき、ロックピンが係合部と係合して回転軸がロック状態となり、可動部が伸展状態にあるとき、ロックピンと係合部の係合が解除されて回転軸がロック解除状態となるように構成されていることを特徴としている。
【0011】
このコンクリートカッターは、ハンドルシャフトの上端部が、コンクリートカッターの機体の上面カバーに形成されている貫通孔を貫通して上面カバーの上方へ突出するように構成され、係合部が、上面カバーの貫通孔の周囲に複数個形成されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係るコンクリートカッターは、上記のような回転式操作ハンドルのロック切換機構が、コンクリートカッターの走行ハンドルに適用され、ハンドルシャフトと後輪の駆動軸を接続した状態と、非接続状態とを切り換えることができる一対のロック手段を有し、可動部が伸展状態にあるとき、ロック手段が係合してハンドルシャフトが後輪の駆動軸に対してロックされ、走行ハンドルの回転操作によって後輪を駆動させることが可能となり、可動部が屈曲状態にあるとき、ロック手段の係合が解除されて、ハンドルシャフトに対して後輪の回転がフリーとなるように構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る回転式操作ハンドルのロック切換機構は、非操作時に、ハンドルシャフトを他の要素に対してロックし又はロックを解除するための手動操作が不要で、作業者がグリップ等から手を離すと、自動的にロックされ又はロックが解除され、誤動作を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明に係る回転式操作ハンドルのロック切換機構をコンクリートカッターの昇降ハンドルに適用した第一実施形態の説明図であって、昇降ハンドル1(ロック解除状態)の断面図、並びに、ロックピン33及び従動ピン34の斜視図である。
図2図2は、図1に示す昇降ハンドル1のロック状態の断面図である。
図3図3は、図1に示す上面カバー6に形成されている係合部61及び貫通孔62の平面図である。
図4図4は、本発明に係る回転式操作ハンドルのロック切換機構の第二実施形態の説明図であって、回転式操作ハンドル(ロック解除状態)の断面図である。
図5図5は、図4に示す回転式操作ハンドルのロック状態の断面図である。
図6図6は、一般的なコンクリートカッターにおけるブレードの深度調整機構の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に沿って本発明「回転式操作ハンドルのロック切換機構」(以下、単に「ロック切換機構」と称する)の実施形態について説明する。図1(1)は、本発明に係るロック切換機構をコンクリートカッターの昇降ハンドル(回転式操作ハンドル)に適用した第一実施形態の説明図であって、昇降ハンドル1(ロック解除状態)の断面図、図1(2)は、ロックピン33の斜視図、図1(3)は、従動ピン34の斜視図である。また、図2は、図1に示す昇降ハンドル1のロック状態の断面図である。
【0016】
この昇降ハンドル1は、ハンドルシャフト2(回転軸)、ハンドルステー(固定部3、可動部4)、及び、グリップ5によって構成されている。これらのうちハンドルシャフト2は、図示しないベアリングによって、中心軸線A廻りに回転可能なように支持されている。
【0017】
ハンドルシャフト2の上端部は、コンクリートカッターの機体の上面カバー6に形成されている貫通孔62を貫通して上面カバー6の上方へ突出している。一方、ハンドルシャフト2の下端部(図示せず)は、図6に示す例(一般的なコンクリートカッターにおけるブレードの深度調整機構の一例)と同様に、コンクリートカッターの前輪(73)を支持する支持アーム(74)と、リンク(75)を介して接続されており、ハンドルシャフト2(昇降ハンドル1)を回転操作することにより、支持アーム(74)を回動させて、機体フレーム(72)の前後方向の傾斜角度、及び、ブレード(71)の深度を調整することができるようになっている。
【0018】
ハンドルステーは、固定部3と、可動部4とによって構成されている。これらのうち、固定部3は、ハンドルシャフト2上端部の側部に固定され、ハンドルシャフト2に沿って(上下方向に)延在する基端部31と、基端部31から外側(ハンドルシャフト2とは反対側)斜め上方へ向かって延在する突出部32とを有している。一方、可動部4は、先端部41にグリップ5が装着されるとともに、枢着部42が、突出部32の先端部に対して枢着されており、図1(1)に示す伸展状態(可動部4が、突出部32の延長方向へ伸展した状態)から、図2に示す屈曲状態(可動部4が、半径方向内側へ折れ曲がり、グリップ5が、伸展状態よりも半径方向内側にある状態)までの範囲で、回動可能なように構成されている。
【0019】
この昇降ハンドル1は、ロック切換機構により、可動部4が図2に示す屈曲状態にあるとき、一対のロック手段が係合してハンドルシャフト2が他の要素(本実施形態においては、上面カバー6)に対してロックされ、回転操作ができない状態となり、可動部4が図1(1)に示す伸展状態にあるとき、ロック手段の係合が解かれてハンドルシャフト2のロックが解除され、回転操作が可能な状態となる。
【0020】
この点について具体的に説明すると、固定部3の基端部31の内部には空洞部が形成されており、この空洞部内には、ロックピン33が、上下方向(ハンドルシャフト2の中心軸線Aと平行な方向)へ移動可能な状態で配置されている。ロックピン33の下方側には、ロックピン33の下端部33dを進入させて係合させることができる係合部61が、上面カバー6に形成されている。尚、係合部61は、図3に示すように、上面カバー6の貫通孔62の周囲(半径方向外側)に等角度間隔をおいて複数個(本実施形態においては60°間隔で6個)形成されている。ロックピン33と係合部61は、係合することによってハンドルシャフト2を上面カバー6(ハンドルシャフト2とともに回転しない要素)に対してロックすることができる一対のロック手段として機能する。また、固定部3の突出部32の内部にも空洞部が形成されており、この空洞部内には従動ピン34が、突出部32の長手方向へ移動可能な状態で配置されている。
【0021】
ロックピン33は、図1(2)に示すように、下半部33aが細長い角柱状に形成され、上半部33bに下向きのテーパ面33c(ロックピン33の長手方向に対して傾斜した面)が形成されている。従動ピン34は、図1(3)に示すように、円柱状の上半部34aと、上半部34aよりも直径が小さい円柱状の下半部34bとによって構成されている。尚、図1(3)に示すように、下半部34bにはコイルスプリング35が装着されている。従動ピン34は、このコイルスプリング35によって先端側(可動部4側)へ付勢されており、先端部が可動部4の枢着部42(端面42a)に対して常に押し付けられて、接触した状態となっている。
【0022】
従動ピン34が接触する可動部4の端面42aは、図示されているようにカム形状となっており、従動ピン34と可動部4の端面42aとの接点Cから、可動部4の枢着点Pまでの距離が、図1(1)に示す伸展状態のときに最も大きく、図2に示す屈曲状態のときに最も小さく、かつ、伸展状態から屈曲状態にかけて当該距離が漸減するような曲面となっている。
【0023】
従って、可動部4及びグリップ5を枢着点P廻りに回動させると、可動部4の枢着部42(端面42a)はカムとして動作し、従動ピン34は、カムに追随するフォロワとして、突出部32の長手方向に沿って(斜め方向へ)直線的に動作する。より具体的には、図1(1)に示す伸展状態のとき、接点Cから枢着点Pまでの距離が最も大きくなるため、従動ピン34は突出部32内の最も深い位置(ロックピン33寄りの位置)まで押し込まれることになり、図2に示す屈曲状態のとき、接点Cから枢着点Pまでの距離は最も小さくなるため、従動ピン34は最も浅い位置(枢着点P寄りの位置)までせり上がった状態となる。
【0024】
従動ピン34とロックピン33は、ロックピン33のテーパ面33cに対して従動ピン34の下端部が鋭角に接するような位置関係をもってそれぞれ配置されており、可動部4の回動によって従動ピン34が斜め方向へ動作すると、テーパ面33cに作用して(より詳細には、従動ピン34の下端部がテーパ面33c上を摺動し、ロックピン33が直動カムの反対カムとして動作して)、ロックピン33が上下動することになる。
【0025】
より具体的には、図1(1)に示す伸展状態のとき、従動ピン34は、最も深い位置(ロックピン33寄りの位置)まで押し込まれた状態となるため、ロックピン33のテーパ面33cの下方側の部分と接触することになり、その結果ロックピン33は、図1(1)に示すように、基端部31の空洞部内の上方の位置に保持される。また、図2に示す屈曲状態のとき、従動ピン34は、最も浅い位置(枢着点P寄りの位置)までせり上がった状態となるため、ロックピン33のテーパ面33cの上方側の部分と接触することになり、その結果ロックピン33は、図2に示すように、基端部31の空洞部内の下方の位置に保持される。
【0026】
尚、ロックピン33は、図1(1)に示す伸展状態のとき、下端部33dが上面カバー6よりも上方に位置し、図2に示す屈曲状態のとき、上面カバー6の係合部61内に進入して係合するような形状及び寸法となっている。
【0027】
ロックピン33の位置が、いずれかの係合部61の位置と一致している(上下方向に重なっている)状態で、可動部4が屈曲して図2に示す屈曲状態となった場合、ロックピン33の下端部33dが当該係合部61内に進入して係合し、ハンドルシャフト2は回転不能な状態となる。ロックピン33の位置が、係合部61の位置からずれている状態で、可動部4が屈曲状態となった場合には、ロックピン33の下端部33dをそのまま係合部61内に進入させることはできないが、その後、機体の振動や衝撃を受けてハンドルシャフト2が回転して(或いは、作業者がハンドルシャフト2を回転させて)、ロックピン33とその近傍の係合部61の位置が一致した時点で係合状態となり、ハンドルシャフト2はロックされる。
【0028】
また、図2に示す屈曲状態から、作業者がグリップ5等を把持して可動部4を半径方向外側へ回動させ、図1(1)に示す伸展状態とすると、ロックピン33が上昇し、下端部33dと係合部61との係合が解かれ、ハンドルシャフト2はロック解除状態となる。従って、ハンドルシャフト2(昇降ハンドル1)を回転操作することにより、ブレードの深度調整が可能となる。
【0029】
尚、上述の通り従動ピン34は、コイルスプリング35によって可動部4側へ付勢され、カム形状の端面42aに押し付けられているため、可動部4は、屈曲する方向へ(図1(1)に示す伸展状態の姿勢から図2に示す屈曲状態の姿勢に向かって)付勢されている。従って、図1(1)に示す伸展状態において、作業者がグリップ5等から手を離すと(昇降ハンドル1の非操作時)、可動部4及びグリップ5は自動的に回動し、図2に示す屈曲状態となり、ハンドルシャフト2がロック状態となる。
【0030】
このように本実施形態においては、可動部4が、従動ピン34及びコイルスプリング35によって、屈曲する方向へ付勢されているが、枢着部42の枢着点Pの近傍に配置した渦巻バネ或いは板バネにより、又は、屈曲する方向へ可動部4を引っ張るように、或いは、押し出すように作用するコイルスプリングを配置することによって、可動部4を付勢することもできる。
【0031】
また、本実施形態においては、図3に示すように、ハンドルシャフト2が貫通する上面カバー6の貫通孔62の外周部を、半径方向外側へ部分的に切り欠くことによって複数の係合部61を形成しているが、上面カバー6以外の要素(ハンドルシャフト2とともに回転しない要素)(例えば、棒状部材を放射状に配置したものや、パンチングプレート等)をハンドルシャフト2の周囲に配置して係合部を形成することもできる。
【0032】
更に、本実施形態においては、ロックピン33がハンドルシャフト2の中心軸線Aと平行な方向へ動作するように構成されているが、ロックピンが、ハンドルステーの回転平面の半径方向へ動作し、当該半径方向外側に配置した係合部と係合するように構成することもできる。
【0033】
また、本実施形態においては、可動部4とロック手段(ロックピン33)とがカム機構(枢着部42の端面42aと従動ピン34、及び、ロックピン33のテーパ面33cと従動ピン34)を介して接続されることにより、可動部4の回動に応じてロック手段が動作して、ロック状態とロック解除状態とが切り換えられるように構成されているが、他の伝達機構を介して可動部4とロック手段とを接続し、ロック手段を動作させるための力が伝達されるように構成することもできる。
【0034】
例えば図4及び図5に示すようなワイヤ駆動機構を介して、可動部4とロック手段(図示せず)とが接続されるように構成してもよい(第二実施形態)。具体的には、ハンドルシャフト2の外側であって固定部3の下方側の位置に、ワイヤー9の上端が固定された筒状部材8を、ハンドルシャフト2廻りに回転しないように、かつ、上下に移動可能なように保持する。更に、筒状部材8をスプリング82によって上方側へ付勢し、筒状部材8の上面81に従動ピン34の下端部が接するように構成する。
【0035】
そして、ワイヤー9の下端をロック手段に接続し、可動部4を回動させることにより筒状部材8を上下に動作させ、ワイヤー9を引っ張り、或いは、緩めて、ロック手段を動作させる(ロック状態とロック解除状態とを切り換える)。このように構成した場合、可動部4から離れた位置にロック手段を配置することができる。従って、本発明に係るロック切換機構を、半自走式コンクリートカッターの走行ハンドルに適用することも可能である。
【0036】
半自走式コンクリートカッターは、ハンドルシャフトと、後輪を支持する駆動軸とを動力的に接続させることができるように構成された走行ハンドル(回転式操作ハンドル)を備え、切削作業時に、この走行ハンドルを回転操作することによって後輪を駆動させ、機体を低速で走行させることができるように構成されている。切削作業を伴わない単なる機体の移動時には、機体を押して走行させることになるが、このとき走行ハンドルと後輪の駆動軸が動力的に接続された状態であると、走行ハンドルが回転してしまい、後輪の回転に大きな負荷がかかってしまうため、一般的な半自走式コンクリートカッターは、ハンドルシャフトの下端に接続されたウォームギアと後輪の駆動軸を接続した状態(ロック状態)と、非接続状態(ロック解除状態)とを手動で切り換えることができるロック手段(図示せず)を備えており、単なる機体の移動時には、走行ハンドルと後輪の駆動軸とのロックを解除する手動操作を行うことにより、後輪が自由に回転する状態に切り換えることができる。
【0037】
このような半自走式コンクリートカッターにおいて、図4及び図5に示すようなワイヤ駆動機構を介して可動部4とロック手段とを接続し、可動部4の回動に応じてロック手段が動作して、ロック状態とロック解除状態とが自動的に切り換えられるように構成した場合、より具体的には、可動部4が、図4に示す伸展状態から図5に示す屈曲状態に変化すると、筒状部材8が上昇してロック解除状態となって、後輪の回転がフリーとなり、反対に、図5に示す屈曲状態から図4に示す伸展状態となるように可動部4を操作すると、筒状部材8が下降してロック状態となり、ハンドルシャフト2が後輪の駆動軸に対してロックされ、走行ハンドルの回転操作によって後輪を駆動させ、機体を走行させることができるように構成した場合、上述したようなロック手段の手動切換操作が不要となり、作業を円滑に行うことができる。
【0038】
尚、リンク機構や歯車機構等を介して可動部4とロック手段とを接続し、ロック手段を動作させるための力が伝達されるように構成することもできる。更に、本発明に係る回転式操作ハンドルのロック切換機構の適用対象は、コンクリートカッターの昇降ハンドル、及び、走行ハンドルに限定されるものではなく、各種の作業機械(建設用機械、農業用機械等)における同様の回転式操作ハンドルに対して適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1:昇降ハンドル、
2:ハンドルシャフト、
3:固定部、
31:基端部、
32:突出部、
33:ロックピン、
33a:下半部、
33b:上半部、
33c:テーパ面、
33d:下端部、
34:従動ピン、
34a:上半部、
34b:下半部、
35:コイルスプリング、
4:可動部、
41:先端部、
42:枢着部、
42a:端面、
5:グリップ、
6:上面カバー、
61:係合部、
62:貫通孔、
71:ブレード、
72:機体フレーム、
73:前輪、
74:支持アーム、
75:リンク、
76:後輪、
8:筒状部材、
81:上面、
82:スプリング、
9:ワイヤー、
A:中心軸線、
C:接点、
P:枢着点、
図1
図2
図3
図4
図5
図6