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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053188
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】屋根構造及び導水部材
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/15 20060101AFI20220329BHJP
   E04D 3/40 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
E04D13/15 G
E04D3/40 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020159861
(22)【出願日】2020-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永野 龍博
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AA02
2E108AA04
2E108AS01
2E108AZ08
2E108BN01
2E108CC01
2E108CC15
2E108DD05
2E108EE01
2E108FF01
2E108FG01
2E108GG09
(57)【要約】
【課題】風雨が鼻隠しの軒樋よりも上側の部分に到達しにくく、この部分が雨水の付着により劣化するのが抑えられる屋根構造及び導水部材を提供する。
【解決手段】屋根構造1は、野地板3と、鼻隠し4と、軒樋7と、導水部材5と、を備える。鼻隠し4は、野地板3の下方に位置する。軒樋7は、鼻隠し4に取り付けられる。導水部材5は、野地板3上を流下した雨水を軒樋7に導く。導水部材5は、少なくとも野地板3の外側端部の上面から軒樋7の上端700よりも下方の軒樋内空間70に位置する先端500にかけて配置され、かつ、軒に沿う方向に沿って連続して延びている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
野地板と、
前記野地板の下方に位置する鼻隠しと、
前記鼻隠しに取り付けられる軒樋と、
前記野地板上を流下した雨水を前記軒樋に導く導水部材と、を備え、
前記導水部材は、少なくとも前記野地板の外側端部の上面から前記軒樋の上端よりも下方の軒樋内空間に位置する先端にかけて配置され、かつ、軒に沿う方向に沿って連続して延びている、
屋根構造。
【請求項2】
前記導水部材の先端は、前記軒樋の幅方向における中央部で、かつ、前記軒樋の上下方向の中央よりも上側に位置する、
請求項1に記載の屋根構造。
【請求項3】
前記野地板上に載置される屋根材と、
前記屋根材を覆うように前記屋根材に取り付けられるカバー屋根材と、を更に備え、
前記導水部材の前記先端と反対側の部分が前記カバー屋根材に取り付けられている、
請求項1又は2に記載の屋根構造。
【請求項4】
前記導水部材は、
前記野地板の前記外側端部から前記軒樋内空間に延びる本体部と、
前記本体部の基端から延びて前記野地板と前記屋根材との間に位置する取付部と、を有し、
前記取付部の先端が、前記カバー屋根材に取り付けられる前記反対側の部分となるものであり、
前記取付部に、水抜き孔が形成されている、
請求項3に記載の屋根構造。
【請求項5】
野地板上を流下した雨水を軒樋に導く導水部材であって、
少なくとも前記野地板の外側端部の上面から前記軒樋の上端よりも下方の軒樋内空間に位置する先端にかけて配置され、かつ、軒に沿う方向に沿って連続して延びる本体部と、
前記本体部の基端から前記野地板の方に延びる取付部と、を有する、
導水部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根構造及び導水部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の軒先構造が開示されている。この特許文献1記載の軒先構造は、屋根の軒先に沿って軒樋と軒先材とが設けられたものであって、軒先材は取付部と、この取付部の下部先端から下方に延設された軒先本体とからなる長尺体である。そして、軒先本体の少なくとも先端側は櫛歯形状になされ、軒先材の取付部が屋根下端部に取り付けられ、軒先本体の先端は軒樋の中に挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-125630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した軒先構造にあっては、軒先本体の先端側が櫛歯形状になされているため、屋外側より屋内側に向けて風が吹きつけると、櫛歯の間を通って風が鼻隠しの軒樋よりも上側の部分に到達してしまい、この部分に雨水が付着したりして劣化が促進されるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、風雨が鼻隠しの軒樋よりも上側の部分に到達しにくく、この部分が雨水の付着により劣化するのが抑えられる屋根構造及び導水部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の屋根構造は、野地板と、鼻隠しと、軒樋と、導水部材と、を備える。前記鼻隠しは、前記野地板の下方に位置する。前記軒樋は、前記鼻隠しに取り付けられる。前記導水部材は、前記野地板上を流下した雨水を前記軒樋に導く。前記導水部材は、少なくとも前記野地板の外側端部の上面から前記軒樋の上端よりも下方の軒樋内空間に位置する先端にかけて配置され、かつ、軒に沿う方向に沿って連続して延びている。
【0007】
本発明の一態様の導水部材は、野地板上を流下した雨水を軒樋に導く。前記導水部材は、本体部と、取付部と、を有する。前記本体部は、少なくとも前記野地板の外側端部の上面から前記軒樋の上端よりも下方の軒樋内空間に位置する先端にかけて配置され、かつ、軒に沿う方向に沿って連続して延びる。前記取付部は、前記本体部の基端から前記野地板の方に延びる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の屋根構造及び導水部材によれば、風雨が鼻隠しの軒樋よりも上側の部分に到達しにくく、この部分が雨水の付着により劣化するのが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る屋根構造の断面図である。
図2図2は、図1のA部拡大図である。
図3図3Aは、同上の屋根構造が備える導水部材の右側面図である。図3Bは、同上の導水部材の正面図である。図3Cは、同上の導水部材の平面図である。図3Dは、同上の導水部材の左側面図である。図3Eは、同上の導水部材の背面図である。図3Fは、同上の導水部材の底面図である。
図4図4は、同上の導水部材二つを対向させた状態の斜視図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態に係る屋根構造の断面図である。
図6図6は、本発明の第3実施形態に係る屋根構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0011】
(1)第1実施形態
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態は、本発明を建物の軒先構造に適用している。図1に本実施形態の屋根構造1を示す。屋根構造1を有する建物は、例えば、住宅建築物である、なお、建物は、住宅建築物に限定されず、店舗、工場又は倉庫等の非住宅建築物であってもよい。
【0012】
屋根構造1は、例えば、切妻屋根を形成する。なお、屋根構造1によって形成される屋根の種類は、切妻屋根に限定されない。屋根構造1によって形成される屋根の種類は、例えば、入母屋屋根、片流れ屋根、寄せ棟屋根又は方形屋根等であってもよい。
【0013】
屋根構造1は、複数の垂木10及び野地板3を備えている。複数の垂木10は、軒に沿う方向に間隔をあけて並んでいる。複数の垂木は、母屋等に固定されている。各垂木10は、軒先側(平側)に近い部分ほど下方に位置するように傾斜している。
【0014】
野地板3は、屋根下地である。野地板3は、例えば、構造用合板、パーティクルボード又は挽板等の木材から形成される。野地板3は、複数の垂木10に載置されており、軒先に近い部分ほど下方に位置するように傾斜している。野地板3は、複数の垂木10に固定されている。野地板3を複数の垂木10に固定する手段は、例えば、釘又はねじ等の固着具である。野地板3の軒先側の端部は、複数の垂木10よりも軒先側に突出している。野地板3の軒先側の端面は、野地板3の下面に対して垂直であり、上端に近い部分ほど軒先側に位置するように鉛直方向に対して傾斜している。
【0015】
屋根構造1は、鼻隠し下地材11を更に備えている。鼻隠し下地材11は、複数の垂木10の軒先側の端面に沿って配されている。鼻隠し下地材11は、軒に沿って延びた長尺な部材である。鼻隠し下地材11は平板状に形成されており、鼻隠し下地材11の厚み方向を水平にした状態で複数の垂木10に固定されている。
【0016】
屋根構造1は、野地板3の下方に位置する鼻隠し4を更に備えている。鼻隠し4は、鼻隠し下地材11の表面(屋外側の面)に沿っている。鼻隠し4は、例えば、モルタル、セメント、木材又は金属等から形成される。鼻隠し4は、軒に沿って延びた長尺な部材である。鼻隠し4は、平板状に形成されており、鼻隠し4の厚み方向を水平にした状態で鼻隠し下地材11に取り付けられている。鼻隠し4を鼻隠し下地材11に取り付ける手段は、例えば、釘又はねじ等の固着具である。鼻隠し4の下端部は、鼻隠し下地材11よりも下方に突出している。
【0017】
なお、鼻隠し4及び鼻隠し下地材11は、厚み方向が水平方向に対して傾斜した状態で施工されてもよい。また、鼻隠し下地材11は省略可能である。この場合、鼻隠し4は、例えば、複数の垂木10に直接取り付けられる。
【0018】
鼻隠し4及び鼻隠し下地材11の各々は、野地板3における軒側の端部の下方に位置している。軒棟方向のうちの軒側を「外側」とし、軒棟方向のうちの棟側(軒と反対側)を「内側」としたとき、鼻隠し下地材11及び鼻隠し4の各々は、野地板3の外側端部の下方に位置し、鼻隠し4の内側に鼻隠し下地材11が位置している。
【0019】
屋根構造1は、軒天井材12を更に備えている。軒天井材12は、上面が複数の野縁13の下面に沿い、かつ、軒先側の端面が鼻隠し4の裏面(屋外側とは反対側の面)の下端部に沿っている。軒天井材12は、複数の野縁13に固定されている。
【0020】
屋根構造1は、軒先水切15を更に備えている。軒先水切15は、野地板3の軒側の端部を覆っている。軒先水切15は、軒に沿って延びた長尺な部材であり、板状に形成されている。軒先水切15は、例えば、金属製であり、金属板を曲げ加工することにより形成される。なお、軒先水切15の材料は金属に限定されない。また、軒先水切15は、野地板3の軒側の端部において軒に沿う方向の全長にわたる一つの部材であってもよいし、野地板3の軒側の端部において軒に沿って並ぶ複数の部材で構成されてもよい。
【0021】
図2に示すように、軒先水切15の断面形状は、「く」字状である。軒先水切15は、野地板3の上面に沿った板状の固定片150と、固定片150の軒側の端部から下方に突出した板状の水切片151とを有している。固定片150は、例えば、釘又はねじ等の固着具によって野地板3に取り付けられている。これにより、軒先水切15は、野地板3及び鼻隠し下地材11に取り付けられている。
【0022】
軒先水切15は、水切片151の厚み方向が水平となるように野地板3及び鼻隠し下地材11に取り付けられる。なお、水切片151の厚み方向は、水平方向に対して傾斜してもよい。また、本実施形態の固定片150の棟側の端部及び水切片151の下端部の各々には、折返部152が形成されているが、折返部152は形成されなくてもよい。
【0023】
図1に示すように、屋根構造1は、下葺材(防水シート)14を更に備えている。下葺材14は、例えば、合成高分子系下葺材又はアスファルトルーフィング(アスファルトフェルト及び改質アスファルトルーフィングを含む)等である。下葺材14は、野地板3の上面と、軒先水切15の固定片150の上面とに敷かれている。
【0024】
屋根構造1は、複数の屋根材16を更に備えている。各屋根材16は、野地板3上に下葺材14及び軒先水切15を介して葺かれている。各屋根材16は、平板状に形成されている。各屋根材16は、例えば、スレート瓦であり、セメント系成形材料を成形し、養生硬化することで製造される。
【0025】
複数の屋根材16は、軒棟方向に隣り合う屋根材16のうち、上段の屋根材16の軒先側部分が、下段の屋根材16の棟側部分の上に重なった状態で葺かれる。各屋根材16は、例えば、釘又はねじ等の固着具によって野地板3に固定される。
【0026】
本実施形態の屋根構造1は、リフォームされた屋根構造であり、各屋根材(既存屋根材)16は、金属製のカバー屋根材2によって覆われている。カバー屋根材2は、屋根材16を覆うように屋根材16に取り付けられる。軒側の端部に位置するカバー屋根材2は、軒側の端部に位置する屋根材16の下面を覆う折り返し片21を有している。なお、屋根構造1は、リフォームされた屋根構造に限定されず、カバー屋根材2は省略可能である。
【0027】
屋根構造1は、複数の軒樋吊具6と軒樋7とを更に備えている。複数の軒樋吊具6は、鼻隠し4の長さ方向に間隔をあけて並んでいる。各軒樋吊具6は、鼻隠し4に取り付けられ、かつ、軒樋7を支持している。軒樋吊具6は、例えば、耐候性の優れた合成樹脂から形成される。なお、軒樋吊具6の材料は、合成樹脂に限定されず、例えば、金属であってもよい。
【0028】
各軒樋吊具6は、固定部材60と保持部材61とを有している。固定部材60は板状に形成されており、鼻隠し4の屋外側の面に沿って配されている。固定部材60は、鼻隠し4に取り付けられている。固定部材60は、例えば、釘又はねじ等の固着具によって鼻隠し4に固定される。
【0029】
固定部材60には、軒樋7を吊り下げて保持する保持部材61が固定部材60の屋外側の面に沿って配された状態で固定されている。保持部材61は、固定部材60を介して鼻隠し4に取り付けられている。保持部材61は、例えば、ねじ等の固着具によって固定部材60に取り付けられる。
【0030】
保持部材61は、固定部材60から鼻隠し4とは反対側に向かって突出している。保持部材61には、軒樋7の幅方向の両側に形成された耳部71,72が引掛けられている。これにより、軒樋7は、軒樋吊具6によって保持されている。なお、固定部材60における鼻隠し4とは反対側の面(すなわち、保持部材61の鼻隠し4側の面に沿う面)は、鉛直であってもよいし、鉛直に対して傾斜してもよい。
【0031】
複数の軒樋吊具6で支持された軒樋7は、鼻隠し4の屋外側に位置している。軒樋7は、複数のカバー屋根材2の上面から軒側に流れ落ちた雨水と、軒先水切15の水切片151から流れ落ちた雨水とを受ける。
【0032】
屋根構造1は、野地板3上を流下した雨水を軒樋7に導く導水部材5を更に備えている。図2に示すように、導水部材5は、少なくとも野地板3の外側端部の上面から軒樋7の上端700よりも下方の軒樋内空間70に位置する先端500にかけて配置される。
【0033】
図3に示すように、導水部材5は、本体部50と、取付部51と、を有する。本体部50は、野地板3の外側端部から軒樋内空間70に延びる。本体部50は、図3A図3Fに示すように、矩形板状をしたものである。本体部50は、野地板3の外側端部の上面から、軒樋7の上端700よりも下方の軒樋内空間70に位置する先端500にかけて延びている。導水部材5(少なくとも本体部50)は、軒に沿う方向(図2において紙面に垂直な方向)に沿って連続して延びている。本実施形態では、本体部50の先端500は、図3B及び図3Eに示すように、軒に沿う方向に沿って直線状に延びている。なお、本体部50の先端500は、必ずしも直線状に延びなくてもよいが、一直線を基準として所定の範囲内(例えば基準とする直線からの距離が所定の距離(例えば1cm、3cm又は5cm等)に収まる。
【0034】
図2に示すように、導水部材5の先端500は、軒樋7の幅方向における中央部701で、かつ、軒樋7の上下方向の中央702よりも上側に位置する。軒樋7の幅方向における中央部701とは、軒樋7の幅方向における中央703を中心として、所定の距離(例えば1cm又は2cm等、あるいは、軒樋7の幅704の5%、10%又は20%等の長さ)の範囲内に収まる領域を意味する。なお、軒樋7の幅方向における中央部701が、軒樋7の幅方向における中央703のみを意味してもよい。
【0035】
本体部50は、風を遮断する機能を有する。本体部50の矩形状をした外郭の範囲内には、孔又は切欠が形成されないのが好ましいが、若干の孔又は切欠は形成され得る。例えば、本体部50の矩形状をした外郭の範囲内の面積全体のうち、5%以下の面積に孔又は切欠が形成され得る。屋外側より鼻隠し4及び軒樋7を水平に見た場合、鼻隠し4の軒樋7よりも上側の部分は導水部材5により覆われて全く(又は殆ど)見えない。これにより、屋外側より水平に吹く風は、軒樋7よりも上側の鼻隠し4に障害なく到達することはない。
【0036】
取付部51は、本体部50の基端から延びて野地板3と屋根材16との間に位置する。図3A図3Fに示すように、取付部51は、本体部50の基端から延びる基部片511と、基部片511の先端から折り返される引っ掛け片512と、を有している。
【0037】
この導水部材5の野地板3及び屋根材16(カバー屋根材2を含む)への取り付けについて説明する。導水部材5は、主にリフォーム時に屋根構造1に追加で取り付けられることが想定されている。このため、既存の屋根構造1に導水部材5を追加するとして説明する。
【0038】
まず、導水部材5の基部片511の下面に、接着剤を塗布する。
【0039】
次に、導水部材5の取付部51を、軒側より、野地板3と屋根材16との間に挿入する。
【0040】
次に、導水部材5を軒側に移動させて、引っ掛け片512の先端をカバー屋根材2の折り返し片21の上側に引っ掛ける。これにより、導水部材5がカバー屋根材2に引っ掛かり、落下が防止される。また、基部片511の下面に塗布された接着剤が野地板3の上面に接着されて、導水部材5が野地板3に固定される。
【0041】
上述した導水部材5にあっては、野地板3の外側端部の上面から軒樋7の上端700よりも下方の軒樋内空間70に位置する先端500にかけて配置され、かつ、軒に沿う方向に沿って連続して延びている。これにより、屋外側より水平に吹く風は、鼻隠し4の軒樋7よりも上側の部分に障害なく到達することはない。この結果、風雨が鼻隠し4の軒樋7よりも上側の部分に到達しにくく、この部分が雨水の付着により劣化するのが抑えられる。
【0042】
また、導水部材5の先端500が、軒樋7の幅方向における中央部701に位置することにより、特許文献1に示すように先端が軒樋内空間の屋外側に位置しているもののように、導水部材5上面を勢いよく流下する雨水が軒樋7の屋外側に流下してしまうといったことが起こりにくい。
【0043】
また、本実施形態の導水部材5にあっては、図3B及び図3Eに示すように、取付部51に、水抜き孔52が形成されている。水抜き孔52は、一個、又は、導水部材5の長手方向(軒に沿う方向)に間隔をあけて複数個が形成される。水抜き孔52が形成されることにより、野地板3上(更に詳しくは軒先水切15の上に敷かれた下葺材14上)を流下する水が屋根構造1外に排出されやすくなる。
【0044】
また、本実施形態の導水部材5にあっては、図4に示すように、切欠部53が形成される。導水部材5は、隣接する導水部材5A、5Bの端部同士が重なる状態で、連続するように配置される。この時、屋外側に位置する導水部材5Aの本体部50の角部に切欠部531が形成され、屋内側に位置する導水部材5Bの引っ掛け片512の角部に切欠部532が形成される。このような切欠部53が形成されることにより、導水部材5A、5Bの端部を互いの端部に挿入する際に、端部同士が引っ掛かりにくく、摩擦による抵抗が低減される。更に、いずれの切欠部53も、重なる導水部材5のうちの屋内側の導水部材5に形成されるため、屋外側には切欠部53が形成されていない導水部材5が位置して、雨水が導水部材5A、5Bの間に侵入しにくい。
【0045】
(2)第2実施形態
次に第2実施形態について図5に基づいて説明する。以下の説明では、第1実施形態と共通する要素については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0046】
第2実施形態の導水部材5は、本体部50及び取付部51を有し、取付部51は、基部片511を有するが、引っ掛け片512を有しない。基部片511は、接着剤により野縁13(更に詳しくは下葺材14)の上面に接着される。
【0047】
これにより、第1実施形態におけるような引っ掛け片512を形成する必要がなく、導水部材5の形状が簡素になる。
【0048】
(3)第3実施形態
次に第3実施形態について図6に基づいて説明する。以下の説明では、第1実施形態と共通する要素については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0049】
第3実施形態の導水部材5は、本体部50及び取付部51を有し、取付部51は、基部片511を有するが、引っ掛け片512を有しない。本体部50は、軒先水切15の外側端部から軒樋7の上端700よりも下方の軒樋内空間70に位置する先端500にかけて配置される。取付部51は、軒先水切15の水切片151にビス等により取り付けられる。
【0050】
これにより、第1実施形態におけるような引っ掛け片512を形成する必要がなく、導水部材5の形状が簡素になる。また、第2実施形態におけるように、接着剤により野縁13(更に詳しくは下葺材14)の上面に接着されずにすむため、取り外す際に野縁13や導水部材5が破損しにくい。
【0051】
なお、上述した実施形態はそれぞれ、適宜設計変更可能である。例えば、複数の垂木10、野地板3、鼻隠し下地材11、鼻隠し4、軒天井材12、軒先水切15、下葺材14、複数の屋根材16、複数のカバー屋根材2、軒樋吊具6及び軒樋7の各々は、形状、大きさ、位置、数及び材質等、適宜変更可能である。水抜き孔52及び切欠部53は任意の構成であり、設けられなくてもよい。
【0052】
導水部材5は、長手方向(軒に沿う方向)に、端部が重ならないように端縁が突き合わされてもよい。
【0053】
(4)態様
以上、述べた実施形態から明らかなように、第1の態様の屋根構造1は、野地板3と、鼻隠し4と、軒樋7と、導水部材5と、を備える。鼻隠し4は、野地板3の下方に位置する。軒樋7は、鼻隠し4に取り付けられる。導水部材5は、野地板3上を流下した雨水を軒樋7に導く。導水部材5は、少なくとも野地板3の外側端部の上面から軒樋7の上端700よりも下方の軒樋内空間70に位置する先端500にかけて配置され、かつ、軒に沿う方向に沿って連続して延びている。
【0054】
第1の態様によれば、風雨が鼻隠し4の軒樋7よりも上側の部分に到達しにくく、この部分が雨水の付着により劣化するのが抑えられる。
【0055】
第2の態様は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、導水部材5の先端500は、軒樋7の幅方向における中央部701で、かつ、軒樋7の上下方向の中央702よりも上側に位置する。
【0056】
第2の態様によれば、導水部材5上面を勢いよく流下する雨水が軒樋7の屋外側に流下してしまうといったことが起こりにくい。
【0057】
第3の態様は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様では、屋根構造1は、屋根材16と、カバー屋根材2と、を更に備える。屋根材16は、野地板3上に載置される。カバー屋根材2は、屋根材16を覆うように屋根材16に取り付けられる。導水部材5の先端500と反対側の部分がカバー屋根材2に取り付けられている。
【0058】
第3の態様によれば、フォーム時に既存の屋根構造1に導水部材5を追加して取り付けやすい。
【0059】
第4の態様は、第3の態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様では、導水部材5は、本体部50と、取付部51と、を有する。本体部50は、野地板3の外側端部から軒樋内空間70に延びる。取付部51は、本体部50の基端から延びて野地板3と屋根材16との間に位置する。取付部51の先端500が、カバー屋根材2に取り付けられる反対側の部分となるものである。取付部51に、水抜き孔52が形成されている。
【0060】
第4の態様によれば、野地板3上を流下する水が屋根構造1外に排出されやすくなる。
【0061】
第5の態様は、野地板3上を流下した雨水を軒樋7に導く導水部材5である。導水部材5は、本体部50と、取付部51と、を有する。本体部50は、少なくとも野地板3の外側端部の上面から軒樋7の上端700よりも下方の軒樋内空間70に位置する先端500にかけて配置され、かつ、軒に沿う方向に沿って連続して延びる。取付部51は、本体部50の基端から野地板3の方に延びる。
【0062】
第5の態様によれば、風雨が鼻隠し4の軒樋7よりも上側の部分に到達しにくく、この部分が雨水の付着により劣化するのが抑えられる。
【符号の説明】
【0063】
1 屋根構造
16 屋根材
2 カバー屋根材
3 野地板
4 鼻隠し
5 導水部材
50 本体部
500 先端
51 取付部
52 水抜き孔
7 軒樋
70 軒樋内空間
700 上端
701 中央部
702 中央
図1
図2
図3
図4
図5
図6