IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車両用照明装置、および車両用灯具 図1
  • 特開-車両用照明装置、および車両用灯具 図2
  • 特開-車両用照明装置、および車両用灯具 図3
  • 特開-車両用照明装置、および車両用灯具 図4
  • 特開-車両用照明装置、および車両用灯具 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053211
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/47 20180101AFI20220329BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20220329BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20220329BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20220329BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20220329BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20220329BHJP
   F21W 103/40 20180101ALN20220329BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20220329BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20220329BHJP
【FI】
F21S45/47
F21V29/503
F21W103:00
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:45
F21W103:40
F21W103:55
F21W103:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020159907
(22)【出願日】2020-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】松尾 倫宏
(57)【要約】
【課題】放熱性を向上させることができ、且つ、製造コストの低減を図ることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用照明装置は、一方の端部に凹部を有するソケットと:前記凹部の内部に設けられ、金属を含む基部と;板状を呈し、前記基部の、前記凹部の底面側とは反対側に設けられた第1の導電部と;板状を呈し、前記第1の導電部と隣接して設けられた第2の導電部と;前記第1の導電部と前記第2の導電部との間、および、前記第1の導電部および前記第2の導電部と、前記基部との間、に設けられた絶縁部と;一方の電極が前記第1の導電部に電気的に接続され、他方の電極が前記第2の導電部に電気的に接続された発光素子と;を具備している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部に凹部を有するソケットと:
前記凹部の内部に設けられ、金属を含む基部と;
板状を呈し、前記基部の、前記凹部の底面側とは反対側に設けられた第1の導電部と;
板状を呈し、前記第1の導電部と隣接して設けられた第2の導電部と;
前記第1の導電部と前記第2の導電部との間、および、前記第1の導電部および前記第2の導電部と、前記基部との間、に設けられた絶縁部と;
一方の電極が前記第1の導電部に電気的に接続され、他方の電極が前記第2の導電部に電気的に接続された発光素子と;
を具備した車両用照明装置。
【請求項2】
前記基部の厚みは、前記第1の導電部の厚みよりも厚い請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記第2の導電部の厚みは、前記第1の導電部の厚みと略同じである請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
板状を呈し、前記第2の導電部と隣接して設けられた第3の導電部と;
一方の電極が前記第2の導電部に電気的に接続され、他方の電極が前記第3の導電部に電気的に接続された素子と;
をさらに具備し、
前記絶縁部は、前記第2の導電部と前記第3の導電部との間、および、前記第3の導電部と前記基部との間、にも設けられている請求項1~3のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記ソケットは、高熱伝導性樹脂を含んでいる請求項1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを備えた車両用照明装置に代えて発光ダイオードを備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。
発光ダイオードを備えた車両用照明装置においては、発光ダイオードが設けられた基板を、ソケットの一方の端部側に接合している。
【0003】
ここで、発光ダイオードを点灯させると熱が発生する。そのため、発生した熱により発光ダイオードの温度が上昇する。また、自動車に設けられる車両用照明装置の場合には、使用環境の温度が、-40℃~85℃となる。そのため、発光ダイオードの温度は、点灯による発熱と、環境温度の上昇により高くなりやすい。発光ダイオードの温度が、例えば、最大ジャンクション温度を超えると、発光ダイオードが故障したり、寿命が短くなったり、機能が低下したりするおそれがある。
【0004】
そのため、車両用照明装置の場合には、セラミックスから形成された基板の表面に配線パターンを設け、配線パターンに発光ダイオードを実装するようにしている。セラミックスは熱伝導率が高いので、発光ダイオードにおいて発生した熱をソケットに伝えるのが容易となる。そのため、発光ダイオードの温度が、最大ジャンクション温度を超えるのを抑制することができる。
【0005】
ところが、近年においては、より光束の大きい車両用照明装置が求められており、発光ダイオードに流れる電流が多くなる傾向にある。発光ダイオードに流れる電流が多くなると、発光ダイオードの温度が高くなるので、発光ダイオードにおいて発生した熱の放熱性を向上させることが求められる。
また、セラミックスから形成された基板は、樹脂から形成された基板に比べて価格が高いという問題もある。
そこで、放熱性を向上させることができ、且つ、製造コストの低減を図ることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-247061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、放熱性を向上させることができ、且つ、製造コストの低減を図ることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る車両用照明装置は、一方の端部に凹部を有するソケットと:前記凹部の内部に設けられ、金属を含む基部と;板状を呈し、前記基部の、前記凹部の底面側とは反対側に設けられた第1の導電部と;板状を呈し、前記第1の導電部と隣接して設けられた第2の導電部と;前記第1の導電部と前記第2の導電部との間、および、前記第1の導電部および前記第2の導電部と、前記基部との間、に設けられた絶縁部と;一方の電極が前記第1の導電部に電気的に接続され、他方の電極が前記第2の導電部に電気的に接続された発光素子と;を具備している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、放熱性を向上させることができ、且つ、製造コストの低減を図ることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式斜視図である。
図2図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
図3】発光モジュールを例示するための模式平面図である。
図4図3における発光モジュールのB-B線断面図である。
図5】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
図1および図2に示すように、車両用照明装置1は、例えば、ソケット10、発光モジュール20、および給電部30を有する。
【0014】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けることができる。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、例えば、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有する。
【0015】
バヨネット12は、装着部11の外側面に設けることができる。例えば、バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対峙している。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いられる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0016】
フランジ13は、例えば、板状を呈している。例えば、フランジ13は、円板状を呈している。フランジ13の外側面は、バヨネット12の外側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0017】
放熱フィン14は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けることができる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、図1に例示をしたソケット10には複数の放熱フィン14が設けられている。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、例えば、板状を呈している。
【0018】
コネクタホルダ15は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けることができる。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、例えば、フランジ13の周縁近傍に設けられる。
【0019】
コネクタホルダ15は、コネクタ105が挿入可能となっている。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部に孔15aを有する。孔15aには、シール部材105aを有するコネクタ105が挿入される。
【0020】
ソケット10は、例えば、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料(例えば、アルミニウム合金などの金属)から形成することができる。
【0021】
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、高熱伝導性樹脂から形成することが好ましい。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と無機材料を用いたフィラーを含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン等の樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものである。
【0022】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法などを用いて、ソケット10と給電部30を一体成形することもできる。
【0023】
給電部30は、例えば、複数の給電端子31、および保持部32を有する。
複数の給電端子31は、例えば、棒状体である。複数の給電端子31は、例えば、所定の方向に並べて設けられる。複数の給電端子31の、発光モジュール20側の端部は、基部21の上面21cや導電部21aと半田付けされる(例えば、図3を参照)。複数の給電端子31の放熱フィン14側の端部は、コネクタホルダ15の孔15aの内部に露出する。孔15aの内部に露出する複数の給電端子31には、コネクタ105が嵌め合わされる。複数の給電端子31は、例えば、銅合金などの金属から形成される。なお、給電端子31の数、形状、配置、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0024】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、アルミニウム合金などの金属や、炭素を含むフィラーを用いた高熱伝導性樹脂などは、導電性を有している。また、後述する発光モジュール20の基部21も、アルミニウム合金などの金属から形成されるので導電性を有している。そのため、保持部32は、給電端子31と、導電性を有するソケット10および基部21と、の間を絶縁するために設けられる。また、保持部32は、複数の給電端子31を保持する機能をも有する。なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムを含むフィラーを用いた高熱伝導性樹脂など)から形成され、複数の給電端子31と基部21との間にギャップがある場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10が複数の給電端子31を保持する。
【0025】
保持部32は、絶縁性を有する樹脂から形成することができる。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔10aに圧入したり、孔10aの内壁に接着したりすることができる。
【0026】
図2に示すように、発光モジュール20は、ソケット10の一方の端部側に設けることができる。発光モジュール20は、凹部11aの底面11a1に開口する凹部11cの内部に設けることができる。発光モジュール20(基部21)は、凹部11cの内部に接着することができる。
【0027】
発光モジュール20(基部21)を接着する接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、熱伝導率が高い材料を用いたフィラーが混合された接着剤などである。熱伝導率が高い材料は、例えば、炭素、酸化アルミニウムなどのセラミックス、金属などである。接着剤の熱伝導率は、例えば、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下である。
【0028】
この様な接着剤が硬化することで形成された層が、接着層40となる。接着層40は、樹脂とフィラーを含んでいる。また、接着層40の熱伝導率は、例えば、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下である。発光モジュール20(基部21)とソケット10との間に、この様な熱伝導率を有する接着層40が設けられていれば、発光モジュール20において発生した熱を、接着層40を介してソケット10に伝えるのが容易となる。
【0029】
また、発光モジュール20(基部21)は、熱伝導グリス(放熱グリス)を含む層を介して、凹部11cの内部に設けることもできる。熱伝導グリスは、例えば、変性シリコーンに、熱伝導率が高い材料を用いたフィラーが混合されたものである。熱伝導率が高い材料は、例えば、炭素、酸化アルミニウムなどのセラミックス、金属などである。熱伝導グリスの熱伝導率は、例えば、1W/(m・K)以上、5W/(m・K)以下である。
【0030】
また、発光モジュール20(基部21)を凹部11cの内部に圧入することもできる。 ただし、車両用照明装置1の場合には、点灯と消灯が繰り返し行われる。そのため、ソケット10および基部21の、加熱と冷却が繰り返し生じることになる。材料が異なるため、ソケット10の材料の線膨張係数(熱膨張量)と、基部21の材料の線膨張係数(熱膨張量)は異なるものとなるので、加熱と冷却が繰り返し生じると、熱応力が繰り返し生じることになる。また、車両用照明装置1には、走行に伴う振動が加わる。
【0031】
熱応力が繰り返し生じたり、振動が加わると、圧入された基部21と凹部11cの内壁との間に隙間が生じる場合がある。隙間が生じると、基部21からソケット10への熱伝導が阻害される。
【0032】
基部21が、接着層40、または熱伝導グリスを含む層を介して、凹部11cの内部に設けられていれば、これらの層が緩衝層となる。そのため、発生した熱応力を緩和させたり、走行に伴う振動を減衰させたりすることができるので、隙間が生じるのを抑制することができる。隙間が生じるのを抑制することができれば、ソケット10への熱伝導(放熱性)を高めることができる。そのため、発光素子22の温度上昇を抑制することができる。
【0033】
例えば、接着層40に含まれる樹脂は、シリコーン樹脂とすることが好ましい。エポキシ樹脂などよりも柔軟なシリコーン樹脂を含む接着層40とすれば、熱応力の緩和効果や振動の減衰効果を向上させることができる。また、振動などが加えられた際に、接着層40が剥がれたり、ひびが生じたりするのを抑制することができる。
【0034】
図3は、発光モジュール20を例示するための模式平面図である。
図4は、図3における発光モジュール20のB-B線断面図である。
図3および図4に示すように、発光モジュール20は、例えば、基部21、発光素子22、および素子23を有する。
【0035】
基部21は、例えば、ブロック状を呈している。基部21の平面形状は、例えば、四角形である。基部21は、導電性を有し、且つ、熱伝導率の高い材料から形成される。基部21は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属から形成される。
基部21の厚みは、導電部21aの厚みよりも厚くすることができる。
基部21の厚みは、例えば、0.5mm以上、35mm以下である。
【0036】
基部21の上面21c(凹部11cの底面側とは反対側の面)には、凹部21c1を設けることができる。
複数の導電部21a(例えば、導電部21a1~21a3:第1の導電部~第3の導電部の一例に相当する)は、絶縁部21bを介して、凹部11cに設けることができる。
なお、基部21の上面21cに凹部21c1を設けずに、絶縁部21bを介して、複数の導電部21aを並べて設けることもできる。この場合、基部21の上面は、平坦面とすることができる。
すなわち、複数の導電部21aは、基部21の、凹部11cの底面側とは反対側に設けられていればよい。
【0037】
複数の導電部21aは、導電性を有する板状体とすることができる。複数の導電部21aは、例えば、発光素子22および素子23を電気的に接続する配線、および、発光素子22および素子23において発生した熱を基部21に伝える伝熱部材となる。そのため、複数の導電部21aは、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属から形成される。複数の導電部21aの平面形状には特に限定がない。複数の導電部21aの平面形状は、発光素子22、素子23、および給電端子31の配置などに応じて適宜変更することができる。
複数の導電部21aの厚みは、略同じとすることができる。
複数の導電部21aの厚みは、例えば、10μm以上、2mm以下である。
【0038】
導電部21aは、発光素子22や素子23の1つの極性(電極)に対して、1つ設けることができる。複数の発光素子22同士を直列接続したり、発光素子22と素子23を直列接続したりする場合には、1つの導電部21aに、互いに隣接する2つの素子を電気的に接続することができる。
【0039】
例えば、図3に示すように、発光素子22の一方の電極が、導電部21a1に電気的に接続され、他方の電極が、導電部21a1に隣接する導電部21a2に電気的に接続される。
例えば、素子23の一方の電極が導電部21a2に電気的に接続され、他方の電極が導電部21a2に隣接する導電部21a3に電気的に接続される。
この場合、図4に示すように、基部21の上面21cを、導電部21aとして用いることもできる。
【0040】
絶縁部21bは、例えば、複数の導電部21a同士の間、および、複数の導電部21aと、基部21(例えば、凹部11cの底面および側面)と、の間に設けられている。
絶縁部21bは、複数の導電部21a同士の間を絶縁する。絶縁部21bは、複数の導電部21aと基部21との間を絶縁する。また、絶縁部21bは、複数の導電部21a同士を接合する。絶縁部21bは、複数の導電部21aと基部21を接合する。
【0041】
また、絶縁部21bは、後述する膜状の抵抗や、導電部21aの露出面を覆うこともできる。すなわち、絶縁部21bは、絶縁膜の機能と保護膜の機能を有することができる。
【0042】
絶縁部21bは、例えば、絶縁性を有する樹脂から形成される。この場合、熱伝導率の高い樹脂とすることが好ましい。熱伝導率の高い樹脂は、例えば、酸化アルミニウムを含むフィラーを用いた高熱伝導性樹脂などである。
【0043】
絶縁部21bは、例えば、熱伝導率の高い接着剤を硬化させることで形成することができる。接着剤は、例えば、酸化アルミニウムなどのセラミックスを用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。この場合、絶縁部21bは、例えば、樹脂とフィラーを含んでいる。絶縁部21bの熱伝導率は、例えば、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下である。
【0044】
なお、インサート成形法などを用いて、基部21、複数の導電部21a、および絶縁部21bを一体に形成してもよい。また、複数の導電部21a同士の間、および、複数の導電部21aと基部21との間に樹脂を充填してもよい。インサート成形法や樹脂の充填には、例えば、酸化アルミニウムなどのセラミックスを用いたフィラーが混合された高熱伝導性樹脂を用いることができる。
【0045】
発光素子22は、導電部21aの上に設けることができる。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。図1図3図4に例示をした発光モジュール20には、複数の発光素子22が設けられている。複数の発光素子22が設けられる場合には、複数の発光素子22を直列接続することができる。また、発光素子22は、素子23と直列接続することができる。
【0046】
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
発光素子22は、例えば、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)型などの表面実装型の発光素子とすることができる。発光素子22は、例えば、砲弾型などのリード線を有する発光素子とすることもできる。なお、図1図4に例示をした発光素子22は、表面実装型の発光素子である。
【0047】
また、発光素子22は、COB(Chip On Board)により実装されるものとしてもよい。COBにより実装される発光素子22とする場合には、チップ状の発光素子と、発光素子と導電部21aとを電気的に接続する配線と、発光素子と配線を囲む枠状の部材と、枠状の部材の内部に設けられた封止部などを導電部21aの上に設けることができる。この場合、枠状の部材は、封止部の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有することができる。また、封止部には、蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)などである。なお、枠状の部材を設けずに封止部のみを設けることもできる。封止部のみを設ける場合には、ドーム状の封止部が導電部21aの上に設けられる。
【0048】
発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0049】
素子23は、導電部21aの上に設けることができる。素子23は、例えば、抵抗、ダイオード、サージアブソーバ、バリスタ、FETなどのトランジスタ、集積回路、演算素子などである。なお、素子23の種類、数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0050】
素子23は、例えば、抵抗とすることができる。抵抗は、例えば、表面実装型の抵抗、リード線を有する抵抗(酸化金属皮膜抵抗)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗などである。
【0051】
膜状の抵抗の材料は、例えば、酸化ルテニウム(RuO)である。膜状の抵抗は、例えば、スクリーン印刷法および焼成法を用いて形成することができる。素子23が膜状の抵抗であれば、抵抗と導電部21aとの接触面積を大きくすることができるので、放熱性を向上させることができる。また、複数の抵抗を一度に形成することができる。そのため、生産性を向上させることができる。また、複数の抵抗における抵抗値のばらつきを抑制することができる。
【0052】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる場合がある。順方向電圧特性のばらつきが大きい場合には、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、抵抗により、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗の抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0053】
抵抗が表面実装型の抵抗やリード線を有する抵抗などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗を選択する。抵抗が膜状の抵抗の場合には、抵抗の一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。
【0054】
また、素子23は、例えば、ダイオードとすることもできる。ダイオードは、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けることができる。図3に例示をした素子23は、表面実装型のダイオードである。
【0055】
また、素子23は、例えば、プルダウン抵抗とすることもできる。プルダウン抵抗は、発光素子22に関する導通の検出や、誤点灯防止などのために設けることができる。
【0056】
以上に説明した様に、発光モジュール20には、板状の導電部21aが設けられているので、発光素子22および素子23において発生した熱を基部21に伝える際の熱抵抗を小さくすることができる。また、ブロック状の基部21が設けられているので、図2に示すように、基部21と放熱フィン14との間の距離を小さくすることができる。そのため、発光素子22および素子23において発生した熱が、放熱フィン14に伝わり易くなるので、放熱性を向上させることができる。
また、基部21や導電部21aは、切削加工や板金加工などにより容易に形成することができる。そのため、価格の高いセラミックス製の基板を用いる場合に比べて、製造コストの低減を図ることができる。
すなわち、本実施の形態によれば、放熱性を向上させることができ、且つ、製造コストの低減を図ることができる車両用照明装置1とすることができる。
【0057】
(車両用灯具)
次に、車両用灯具100について例示する。
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0058】
図5は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図5に示すように、車両用灯具100には、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素部103、シール部材104、およびコネクタ105を設けることができる。
【0059】
筐体101には車両用照明装置1を取り付けることができる。筐体101は、装着部11を保持することができる。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成することができる。筐体101の底面には、装着部11の、バヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aを設けることができる。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部を設けることができる。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0060】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、例えば、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0061】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けることができる。カバー102は、透光性を有する樹脂などから形成することができる。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0062】
光学要素部103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素部103は、例えば、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。図6に例示をした光学要素部103はリフレクタである。この場合、光学要素部103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンを形成する。
【0063】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けることができる。シール部材104は、環状を呈している。シール部材104は、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成される。
【0064】
車両用照明装置1が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間を密閉することができる。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0065】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。コネクタ105には、図示しない電源などを電気的に接続することができる。そのため、コネクタ105を複数の給電端子31の端部に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とを電気的に接続することができる。
【0066】
また、コネクタ105には、シール部材105aを設けることができる。シール部材105aを有するコネクタ105が、コネクタホルダ15の孔に挿入された際には、コネクタホルダ15の孔が水密となるように密閉される。シール部材105aは、環状を呈し、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成することができる。
【0067】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 車両用照明装置、10 ソケット、11 装着部、11a 凹部、11a1 底面、11c 凹部、12 バヨネット、13 フランジ、14 放熱フィン、20 発光モジュール、21 基部、21a 導電部、21b 絶縁部、21c 上面、22 発光素子、23 素子、100 車両用灯具、101 筐体
図1
図2
図3
図4
図5