(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053261
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】携帯端末
(51)【国際特許分類】
H01M 50/20 20210101AFI20220329BHJP
【FI】
H01M2/10 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020159995
(22)【出願日】2020-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 昌幹
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA20
5H040AS12
5H040AY04
5H040AY12
5H040CC01
5H040CC33
5H040DD06
5H040DD07
(57)【要約】
【課題】 携帯端末の落下の際に、過大な負荷が接続端子に作用することを抑制するための技術を提供する。
【解決手段】 携帯端末は、バッテリ収容部を有する携帯端末本体と、携帯端末本体のバッテリ収容部に着脱可能なバッテリと、バッテリの先端面に配置されている第1の接続端子と、携帯端末本体に固定されており、当接面と載置面とを有する当接部材であって、バッテリがバッテリ収容部に取付けられたときに当接面が先端面の一部と対面する当接部材と、当接部材の載置面に配置されており、バッテリがバッテリ収容部に取付けられたときに第1の接続端子と接続される第2の接続端子と、を備え、当接部材の載置面は、バッテリの先端面の一部が当接面に当接するときに通常位置から通常位置よりもバッテリから遠い側の特定位置に移動可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ収容部を有する携帯端末本体と、
前記携帯端末本体の前記バッテリ収容部に着脱可能なバッテリと、
前記バッテリの先端面に配置されている第1の接続端子と、
前記携帯端末本体に固定されており、当接面と前記当接面とは異なる載置面とを有する当接部材であって、前記バッテリが前記バッテリ収容部に取付けられたときに前記当接面が前記先端面の一部と対面する前記当接部材と、
前記当接部材の前記載置面に配置されており、前記バッテリが前記バッテリ収容部に取付けられたときに前記第1の接続端子と接続される第2の接続端子と、
を備え、
前記当接部材の前記載置面は、前記バッテリの前記先端面の一部が前記当接面に当接するときに通常位置から前記通常位置よりも前記バッテリから遠い側の特定位置に移動可能である、携帯端末。
【請求項2】
前記携帯端末は、さらに、
前記第2の接続端子と前記当接部材とを前記携帯端末本体に共締めする締結部材を備える、請求項1に記載の携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、本体に着脱可能なバッテリを備える携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本体に着脱可能なバッテリを備える接続機器(例えばカメラ)が開示されている。接続機器は、バッテリの接続端子と接続される端子接続部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接続機器が落下すると、バッテリに外力が作用し、バッテリの接続端子が接続機器の端子接続部に対して摺動する。接続端子が端子接続部に過度に近づくと、過大な負荷が接続端子及び端子接続部に作用する可能性がある。
【0005】
本明細書では、携帯端末の落下の際に、過大な負荷が接続端子に作用することを抑制するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する携帯端末は、バッテリ収容部を有する携帯端末本体と、前記携帯端末本体の前記バッテリ収容部に着脱可能なバッテリと、前記バッテリの先端面に配置されている第1の接続端子と、前記携帯端末本体に固定されており、当接面と前記当接面とは異なる載置面とを有する当接部材であって、前記バッテリが前記バッテリ収容部に取付けられたときに前記当接面が前記先端面の一部と対面する前記当接部材と、前記当接部材の前記載置面に配置されており、前記バッテリが前記バッテリ収容部に取付けられたときに前記第1の接続端子と接続される第2の接続端子と、を備え、前記当接部材の前記載置面は、前記当接面に前記バッテリの前記先端面の一部が当接するときに通常位置から前記通常位置よりも前記バッテリから遠い側の特定位置に移動可能である。
【0007】
このような構成によれば、第2の接続端子は、当接部材の当接面とは異なる載置面に配置される。携帯端末が落下して、バッテリの先端面の一部が当接面に当接すると、バッテリに押されて、当接面が変形し、それに伴い、載置面が、通常位置から特定位置に移動する。載置面に配置されている第2の接続端子も同じ方向に移動する。即ち、バッテリの先端面が当接面に当接した後では、第1の接続端子と第2の接続端子が同じ方向に移動し、第1の接続端子が第2の接続端子に過度に近づくことが抑制される。携帯端末の落下の際に、過大な負荷が接続端子に作用することを抑制することができる。
【0008】
前記携帯端末は、さらに、前記第2の接続端子と前記当接部材とを前記携帯端末本体に共締めする締結部材を備えてもよい。
【0009】
このような構成によれば、当接部材を携帯端末本体に固定する締結部材を利用して、第2の接続端子を当接部材に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図6】従来例のバッテリの接続構造の平面図を示す。
【
図7】
図7のVII-VII線における断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(携帯端末10の構成;
図1、
図2)
図1、
図2に示される本実施例に係る携帯端末10は、情報コード(例えばバーコード)に記録されているデータを読み取るための装置である。携帯端末10は、表示部12と、操作部14と、情報コードを撮像する撮像部16と、を備える。携帯端末10は、操作部14の操作に応じて、撮像部16を起動し、情報コードを撮像する。そして、携帯端末10は、撮像済みの情報コードに記録されたデータを読み取り、当該データを出力する。例えば、携帯端末10は、当該データによって表される読み取り結果(例えば文字列)を表示部12に表示する。また、携帯端末10は、当該データを外部の装置(例えばサーバ)に送信する。なお、図中には、XYZ座標系が記載されている。
【0012】
また、携帯端末10は、携帯端末10の各部(例えば表示部12)に電力を供給するバッテリ30を備える。
図2に示すように、バッテリ30を収容するバッテリ収容部22が携帯端末10の筐体18に設けられている。バッテリ30は、バッテリ収容部22に着脱可能である。バッテリ収容部22は、蓋20によって塞がれる。バッテリ30は、携帯端末10の長手方向における一方、即ち、Z軸負方向に偏って配置されている。なお、
図2では、バッテリ30及びバッテリ収容部22が蓋20によって隠れて見えないことに留意されたい。
【0013】
(バッテリの接続構造:
図3~
図5)
図3は、バッテリ30を携帯端末10の各部を制御する基板40に接続する接続構造の平面図を示す。
図4は、
図3のIV-IV線における断面図を示す。
図3に示すように、バッテリ収容部22は、Z軸方向(即ち携帯端末10の長手方向)に延びている。
【0014】
バッテリ30は、Z軸方向に長手で扁平なバッテリである。バッテリ30のZ軸正方向における先端面32には、導電性の雌端子34が配置されている。
【0015】
一方、基板40は、バッテリ収容部22のZ軸正方向の隣に配置されている。基板40のZ軸負方向における端部には、当接部材42と、導電性の雄端子44と、が配置されている。当接部材42は、絶縁性の材料(例えば樹脂)で製造されている。当接部材42は、当接面42aを有する。当接面42aは、バッテリ30の先端面32のうち、雌端子34よりバッテリ収容部22の底面の側(即ちX軸負方向の側)に位置する底面側領域32aと対面する。
【0016】
図4に示すように、雄端子44は、当接部材42の表面のうち、当接面42aとは異なる上面42c(即ちX軸正方向における面)に配置されている。雄端子44には、導電部材46の一端が接続されている。導電部材46の他端は、基板40に接続されている。導電部材46は、例えば、フレキシブルプリント基板である。なお、変形例では、導電部材46は、リード線、バスバー等であってもよい。また、
図3では、導電部材46の図示が省略されていることに留意されたい。
【0017】
図5に示すように、雄端子44には、2個の貫通孔44bが成形されており、当接部材42にも、2個の貫通孔42bが成形されている。雄端子44と当接部材42は、各貫通孔44b、42bを通過する締結部材48(例えばネジ)によって、筐体18に共締めされる。なお、締結箇所の個数は、2個に限らず、1個、3個でもよい。
【0018】
例えば、雄端子44が、第1の締結部材によって当接部材42に締結され、当接部材42が第2の締結部材によって筐体18に締結される比較例が想定される。この比較例では、当接部材42を筐体18に締結する第2の締結部材とは別の第1の締結部材を必要とする。これに対して、実施例の構成によれば、当接部材42を携帯端末本体に固定する締結部材48を利用して、雄端子44を当接部材42に固定することができる。部品点数を削減することができる。なお、変形例では、上記の比較例を採用してもよい。
【0019】
バッテリ30をバッテリ収容部22に収容する手順を説明する。ユーザは、バッテリ30の先端面32をZ軸正方向に向けて、バッテリ30をバッテリ収容部22に収容する。この際、基板40の雄端子44がバッテリ30の雌端子34に挿入されて、雄端子44と雌端子34が接続される。ここで、当接部材42の当接面42aとバッテリ30の先端面32の底面側領域32aが対面する。なお、当接面42aと底面側領域32aとの間には、雄端子44と雌端子34との間の隙間Gよりも狭い僅かな隙間が存在する。
【0020】
(本実施例の効果)
バッテリ30は、比較的に重い部品である。このため、携帯端末10が落下すると、携帯端末10は、バッテリ30が偏って配置されている側、即ち、Z軸負方向における先端面10a(
図2参照)から落下し易い。このため、携帯端末10が落下すると、バッテリ30は、Z軸正方向に移動する。この際、バッテリ30の底面側領域32aが当接部材42の当接面42aに当接する。底面側領域32aが当接面42aに当接すると、バッテリ30に押されて、当接面42aが変形し、それに伴い上面42cが、バッテリ30に押される前の通常位置から、当該通常位置よりもバッテリ30から遠い側の特定位置(即ちZ軸正方向側の位置)に移動する。上面42cに配置されている雄端子44も同じ方向に移動する。即ち、バッテリ30が当接面42aに当接する前では、隙間Gが狭まるように、雌端子34が雄端子44に近づく。しかし、バッテリ30が当接面42aに当接した後では、雌端子34と雄端子44が同じ方向に移動し、雌端子34が雄端子44に過度に近づくことが抑制される。携帯端末10の落下の際に、過大な負荷が接続端子34、44に作用することを抑制することができる。
【0021】
例えば、過大な負荷が接続端子に作用することを抑制するための他の構成として、
図6、
図7に示す従来例が想定される。従来例の携帯端末100は、当接部材42を備えず、雄端子144が基板40のZ軸負方向における端部に直接に接続されている。また、携帯端末100の筐体118には、壁118aが形成されている。壁118aは、バッテリ130の先端面132の一部と対面する。携帯端末100が落下すると、バッテリ130がZ軸正方向に移動し、バッテリ130の先端面132の一部が壁118aに当接する。壁118aを厚くして強度を高めれば、バッテリ130の移動が壁118aに遮られて、雌端子34が雄端子44に過度に近づくことが抑制される。しかし、壁118aを厚くすると、壁118aの厚みに応じてバッテリ130のZ軸方向における収容スペースが狭くなる問題が生じ得る。また、バッテリ130の収容スペースを確保するために、壁118aを薄くすると、壁118aの強度が不足し、壁118aが変形する。この場合、雌端子34が雄端子44に近づくことを抑制することができず、過大な負荷の作用を抑制することができない可能性がある。本実施例では、バッテリ30のZ軸方向における収容スペースを確保しつつ、携帯端末10の落下の際に、過大な負荷が接続端子34、44に作用することを抑制することができる。
【0022】
(対応関係)
筐体18、バッテリ30、先端面32、雌端子34が、それぞれ、「携帯端末本体」、「バッテリ」、「先端面」、「第1の接続端子」の一例である。当接部材42、雄端子44が、それぞれ、「当接部材」、「第2の接続端子」の一例である。当接面42a、上面42cが、それぞれ、「当接面」、「載置面」の一例である。締結部材48が、「締結部材」の一例である。
【0023】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0024】
(変形例1)バッテリ30の先端面32に雄端子が配置されており、基板40に雌端子が接続されていてもよい。本変形例では、雄端子、雌端子が、それぞれ、「第1の接続端子」、「第2の接続端子」の一例である。
【0025】
(変形例2)雄端子44は、当接部材42のY軸方向における両側面のうちの一方に配置されていてもよい。本変形例では、両側面のうちの一方が、「載置面」の一例である。
【0026】
(変形例3)当接部材42は、下側(即ちX軸負方向の側)の筐体18に代えて、上側(即ちX軸正方向の側)の筐体に締結されていてもよい。この場合、雄端子44は、当接部材42の下面に配置されていてもよい。本変形例では、下面が、「載置面」の一例である。
【0027】
(変形例4)当接部材42及び雄端子44の固定方法は、締結部材48に限らず、例えば、接着、スナップフィット等を利用する方法であってもよい。
【0028】
(変形例5)当接部材42は、筐体に直接に形成されていてもよい。
【0029】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0030】
10 :携帯端末
10a :先端面
12 :表示部
14 :操作部
16 :撮像部
18 :筐体
20 :蓋
22 :バッテリ収容部
30 :バッテリ
32 :先端面
32a :底面側領域
34 :雌端子
40 :基板
42 :当接部材
42a :当接面
42b :貫通孔
42c :上面(載置面)
44 :雄端子
44b :貫通孔
46 :導電部材
48 :締結部材