IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タニタの特許一覧

<>
  • 特開-測定装置 図1
  • 特開-測定装置 図2
  • 特開-測定装置 図3
  • 特開-測定装置 図4
  • 特開-測定装置 図5
  • 特開-測定装置 図6
  • 特開-測定装置 図7
  • 特開-測定装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053264
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/053 20210101AFI20220329BHJP
   G01G 19/44 20060101ALI20220329BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20220329BHJP
   A61B 5/06 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
A61B5/05 B
G01G19/44 D
A61B5/00 A
A61B5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020160003
(22)【出願日】2020-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(72)【発明者】
【氏名】児玉 美幸
(72)【発明者】
【氏名】永濱 敏樹
(72)【発明者】
【氏名】酒井 良雄
(72)【発明者】
【氏名】谷田 千里
【テーマコード(参考)】
4C117
4C127
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XE20
4C117XE73
4C127AA06
4C127DD03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】人工物を備えている人の身体の測定装置を提供する。
【解決手段】被測定者の身体の一以上の部位の電気抵抗値を測定する電気抵抗値測定部23と、電気抵抗値を用いて被測定者の体組成情報を算出する体組成算出部24と、を有する測定装置1であって、測定装置1は、少なくとも被測定者の体内に人工物を入れているか否かを含む人工物に関する情報を受け付け、体組成算出部24は、人工物に関する情報に基づいて体組成情報を算出する、測定装置1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の身体の一以上の部位の電気抵抗値を測定する電気抵抗値測定部と、
前記電気抵抗値を用いて前記被測定者の体組成情報を算出する体組成算出部と、を有する測定装置であって、
前記測定装置は、
少なくとも前記被測定者の体内に人工物を入れているか否かを含む人工物に関する情報を受け付け、
前記体組成算出部は、
前記人工物に関する情報に基づいて前記体組成情報を算出する、
ことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記人工物に関する情報として人工物の重さの情報を、さらに含み、
前記体組成算出部は、
前記電気抵抗値と、測定した被測定者の体重を少なくとも前記人工物の重さの情報を用いて補正した体重とを用いて、前記被測定者の体組成情報を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記体組成算出部は、
前記被測定者の体重と、前記被測定者が身につけている重さと、前記被測定者の体内に入れた人工物の重さとを用いて、前記被測定者の体組成情報を算出する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記体組成算出部は、
前記体重の測定時または前記体組成情報の算出時に、前記被測定者の体内に入れた人工物に関する情報の入力を受け付ける、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の測定装置。
【請求項5】
前記体組成算出部は、
前記被測定者が所持するデバイスから、前記被測定者の体内に入れた人工物に関する情報の入力を受け付ける、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の測定装置。
【請求項6】
前記測定装置は、
前記体組成算出部が算出した体組成情報を前記デバイスに送ることで前記デバイスに記憶させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記測定装置は、
前記被測定者を認証する認証部と、
前記被測定者と前記被測定者の前記人工物に関する情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、を備えており、
前記体組成算出部は、
前記認証した被測定者の識別情報を用いて、前記人工物に関する情報を読出して、前記測定した被測定者の体重と前記読み出した人工物に関する情報とを用いて補正した体重を算出する、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の測定装置。
【請求項8】
前記測定装置は、
前記被測定者の体内に入れた人工物の重さの入力を促す、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の測定装置。
【請求項9】
前記測定装置は、
前記人工物を入れた前記被測定者の体内の部位の情報または人工物の種類の情報の入力を受け付ける、
ことを特徴とする請求項1から請求項8に記載の測定装置。
【請求項10】
前記測定装置は、
前記人工物を入れた前記被測定者の体内の部位の情報または前記人工物の種類の情報に応じて、前記被測定者の体組成情報を算出するアルゴリズムを変更する、または前記電気抵抗値を補正する、
ことを特徴とする請求項9に記載の測定装置。
【請求項11】
前記測定装置は、
表示部を備えており、
前記表示部は、
前記被測定者の体重または前記被測定者の体組成情報について、補正された体重または補正された体重に基づく体組成情報とは異なる値の表示をする、表示をしない、または表示形態を通常とは変更する、
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の測定装置。
【請求項12】
前記表示部は、
前記被測定者の体重として前記被測定者の補正前の体重を表示し、
前記被測定者の体組成情報として前記体組成算出部で補正した体重を用いて算出した体組成情報を表示する、
ことを特徴とする請求項11に記載の測定装置。
【請求項13】
前記測定装置は、
前記補正された体重または補正された体重に基づく体組成情報を、前記被測定者が所持するデバイスに送る、
ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の測定装置。
【請求項14】
被測定者の体組成情報を算出する情報処理装置であって、
前記情報処理装置は、
体組成関連情報を取得する取得部と、
前記体組成関連情報と、前記被測定者の体内に人工物を入れているか否かを含む人工物に関する情報とを用いて前記被測定者の体組成情報を算出する体組成算出部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
コンピュータを、
測定した被測定者の体重から、少なくとも前記被測定者の体内に入れた人工物の重さを補正した体重を算出し、測定した前記被測定者の電気抵抗値と補正した体重とを用いて体組成の情報を算出する体組成算出部、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項16】
コンピュータを、
被測定者の体内に入れた人工物の重さの入力を受け付けた場合において、前記被測定者の体重または体組成情報について、補正された体重または補正された体重に基づく体組成情報とは異なる値の表示をする、表示をしない、または表示形態を通常とは変更する表示部、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の身体の測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人の身体の体組成を測定する方法として、BIA(Bioelectrical impedance analysis:生体インピーダンス法)を用いた測定装置、いわゆる測定装置が知られている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-220855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
BIAを用いた測定装置では、身体に微弱な電流を流してその電気抵抗値を測定し、測定した電気抵抗値のほか、被測定者の性別、年齢、身長、体重等の情報を用いて、被測定者の体組成を推定(測定)している。すなわち、筋肉組織はその太さ(断面積)により電気抵抗値が異なり、断面積が大きいほど電気抵抗値が低く、断面積が小さいほど電気抵抗値が高くなる。そのため、測定した電気抵抗値と、あらかじめ入力された身長から筋肉組織の長さを算出し、太さ(断面積)と長さとを組み合わせることで筋肉量を推定できる。そして、推定した筋肉量と測定した体重、性別、年齢などの情報を用いることで体脂肪率などを算出している。
【0005】
一方、被測定者が身体に何らかの人工物を備えていると、その人工物が絶縁体の場合、その人工物に電気が流れず、電気抵抗値は、人工物がある場合とない場合とでほぼ同じとなる。そのため、電気抵抗値による筋肉量は変わらないのに、人工物の分だけ体重が重くなり、体脂肪率などの算出を正確には行えなくなる課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者らは上記課題に鑑み、本発明の被測定者が身体に何らかの人工物を入れている場合であっても、従来よりも体組成を正確に算出することができる測定装置を発明した。
【0007】
一態様の測定装置は、被測定者の身体の一以上の部位の電気抵抗値を測定する電気抵抗値測定部と、前記電気抵抗値を用いて前記被測定者の体組成情報を算出する体組成算出部と、を有する測定装置であって、前記測定装置は、少なくとも前記被測定者の体内に人工物を入れているか否かを含む人工物に関する情報を受け付け、前記体組成算出部は、前記人工物に関する情報に基づいて前記体組成情報を算出する。
【0008】
被測定者が体内に人工物を入れている場合、その材質によっては電気が流れない。そのため、電気抵抗値と身長とを用いて算出する筋肉量はほぼ同じであるが、被測定者の体重は、電気を通さないものの重さが増えた、つまり脂肪(電気は通さない)の重さが増えたとして、被測定者の本来の状態(人工物を入れていない状態)よりも体組成の一つである体脂肪率が高く算出されてしまう。
【0009】
たとえば衣服のように外部から視認できる場合には、衣服の重さが体重に影響を及ぼすことで体組成情報に与える可能性があることを理解しやすい。しかし、人工物は体内に入れているため、それが体組成情報に影響を与える可能性があることを理解している被測定者は多くはない。これを理解せずに体組成情報を測定したとしても、正しい体組成情報が得られず、体組成の測定を怠ってしまう可能性もある。
【0010】
また体組成を測定する人のほとんどの人は衣服を着ているため、衣服の重さを控除するように一律に設定することもできる。しかし、人工物を体内に入れているか否かは被測定者によって異なり、一律に設定することはできない。また、衣服とは異なり、人工物が体内に入っていること自体を、被測定者が周囲に隠しておきたい場合もある。そのため、人工物を体内に入れている場合であっても、周囲に悟られずに正しい体組成情報を得たいという要望を被測定者が持つ場合もある。
【0011】
一方で、人工物を体内に入れていることを隠しておきたい被測定者は、人工物を考慮しない体組成情報の測定結果に違和感を抱いたとしても、そのことを測定装置の製造者や販売者に尋ねることをためらい、結果として、正しい体組成情報を得る機会がなくなってしまうことがある。
【0012】
そこで、本発明の測定装置を用い、被測定者が体内に入れた人工物に関する情報を受け付け、それに基づいて体組成情報を算出することで、より正確に体組成を算出することができる。
【0013】
上記の測定装置において、前記人工物に関する情報として人工物の重さの情報を、さらに含み、前記体組成算出部は、前記電気抵抗値と、測定した被測定者の体重を少なくとも前記人工物の重さの情報を用いて補正した体重とを用いて、前記被測定者の体組成情報を算出してもよい。
【0014】
本発明のように構成することで、被測定者が体内に人工物を入れていた場合であっても、人工物による体組成情報の算出への影響を減らして、被測定者の体組成情報を算出することができる。
【0015】
上記の測定装置において、前記体組成算出部は、前記被測定者の体重と、前記被測定者が身につけている重さと、前記被測定者の体内に入れた人工物の重さとを用いて、前記被測定者の体組成情報を算出してよい。
【0016】
被測定者は、測定時に、体内のみならず、被服や身飾品など、被測定者の身(体外)に付けている物があるので、身につけている重さをさらに補正するとよい。
【0017】
上記の測定装置において、前記体組成算出部は、前記体重の測定時または前記体組成情報の算出時に、前記被測定者の体内に入れた人工物に関する情報の入力を受け付けてもよい。
【0018】
本発明のように、人工物に関する情報が測定のタイミングで変わる可能性がある場合には、測定時または算出時に人工物に関する情報の入力を受け付けることで、より正確に測定、算出できる。
【0019】
上記の測定装置において、前記体組成算出部は、前記被測定者が所持するデバイスから、前記被測定者の体内に入れた人工物に関する情報の入力を受け付けてもよい。
【0020】
被測定者によっては、自らの体内に人工物を入れていることを知られたくない場合もある。そこで、被測定者が所持するデバイスから人工物に関する情報を受け付けることで、入力操作を省略でき、被測定者が体内に人工物を入れていることを周囲に知られないようにすることができる。
【0021】
上記の測定装置において、前記体組成算出部が算出した体組成情報を前記デバイスに送ることで前記デバイスに記憶させてもよい。
【0022】
補正した体重を用いて算出した体組成情報をデバイスに送って記憶させることで、被測定者は、その場ではなく、あとで体組成情報を確認することができる。
【0023】
上記の測定装置において、前記被測定者を認証する認証部と、前記被測定者と前記被測定者の前記人工物に関する情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、を備えており、前記体組成算出部は、前記認証した被測定者の識別情報を用いて、前記人工物に関する情報を読出して、前記測定した被測定者の体重と前記読み出した人工物に関する情報とを用いて補正した体重を算出してもよい。
【0024】
これによって、被測定者は人工物に関する情報の入力を毎回、入力する手間を省略することができ、また、測定装置の周囲の人に人工物を入れていることを知られることを防止できる。
【0025】
上記の測定装置は、前記被測定者の体内に入れた人工物の重さの入力を促してもよい。
【0026】
被測定者は、体内に入れた人工物の重さが体組成の算出に影響を与えることを知らない場合、あるいは失念している場合がある。そのため、かかる表示を行うことで、入力の必要性を認識させることができる。
【0027】
上記の測定装置において、前記人工物を入れた前記被測定者の体内の部位の情報または人工物の種類の情報の入力を受け付けてもよい。
【0028】
人工物を入れた部位あるいは人工物の種類によっては、電気抵抗値の測定に影響が生じる可能性がある。そのため、人工物を入れた部位や人工物の種類の情報の入力を受け付けることで、より精度よく体組成情報を算出することができる。
【0029】
上記の測定装置において、前記人工物を入れた前記被測定者の体内の部位の情報または前記人工物の種類の情報に応じて、前記被測定者の体組成情報を算出するアルゴリズムを変更する、または前記電気抵抗値を補正してもよい。
【0030】
人工物を入れた部位や人工物の種類の情報の入力を受け付けた場合、それに応じて、アルゴリズムを変更したり、電気抵抗値を補正することで、より精度よく体組成情報を算出することができる。
【0031】
上記の測定装置は、表示部を備えており、前記表示部は、前記被測定者の体重または前記被測定者の体組成情報について、補正された体重または補正された体重に基づく体組成情報とは異なる値の表示をする、表示をしない、または表示形態を通常とは変更するようにしてもよい。
【0032】
人工物の重さで補正した被測定者の体重や補正された体重に基づく体組成情報をそのまま表示すると、測定装置の周囲にいる人に、被測定者の体格などから予想される体重や体組成情報に、違和感が生じる可能性がある。そのため、それらの表示に対して処理を加えることで、かかる違和感が生じないようにすることができる。
【0033】
上記の測定装置において、前記表示部は、前記被測定者の体重として前記被測定者の補正前の体重を表示し、前記被測定者の体組成情報として前記体組成算出部で補正した体重を用いて算出した体組成情報を表示してもよい。
【0034】
被測定者の外観と異なる、たとえば補正した体重を表示すると、測定装置の周囲にいる人に違和感が生じる可能性がある。そのため、体重は補正前の測定した表示をする一方、補正した体重を用いて算出した体組成情報を表示することで、被測定者の外観と一致する体重と、自らの体に基づく体組成情報を知ることができる。
【0035】
上記の測定装置は、前記補正された体重または補正された体重に基づく体組成情報を、前記被測定者が所持するデバイスに送るようにしてもよい。
【0036】
被測定者の外観と異なる、たとえば補正した体重、補正された体重に基づく体組成情報を表示した場合、被測定者は人工物を入れていない状態の体重、体組成情報を確認することができなくなる。そのため、これらの情報を、被測定者の所持するデバイスに送ることで、被測定者は、あとでデバイスから情報を確認することができる。
【0037】
一態様の情報処理装置は、体組成関連情報を取得する取得部と、前記体組成関連情報と、前記被測定者の体内に人工物を入れているか否かを含む人工物に関する情報とを用いて前記被測定者の体組成情報を算出する体組成算出部と、を有している。
【0038】
上記の測定装置は、一態様のプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することで実現することができる。すなわち、コンピュータを、測定した被測定者の体重から、少なくとも前記被測定者の体内に入れた人工物の重さを補正した体重を算出し、測定した前記被測定者の電気抵抗値と補正した体重とを用いて体組成の情報を算出する体組成算出部、として機能させるプログラムである。
【0039】
上記の測定装置は、一態様のプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することで実現することができる。すなわち、コンピュータを、被測定者の体内に入れた人工物の重さの入力を受け付けた場合において、前記被測定者の体重または体組成情報について、補正された体重または補正された体重に基づく体組成情報とは異なる値の表示をする、表示をしない、または表示形態を通常とは変更する表示部、として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0040】
本発明の測定装置を利用することで、被測定者が身体に何らかの人工物を入れている場合であっても、従来よりも体組成を正確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の測定装置の概略構成図である。
図2】本発明の測定装置の処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
図3】実施例1において、補正後の体重を用いて算出した体脂肪率を表示する画面の一例である。
図4】実施例2において、被測定者が体内に人工物を入れている重さの入力を促す画面の一例である。
図5】実施例2において、人工物を入れている部位の選択を受け付ける画面の一例である。
図6】実施例2において、人工物の種類の入力を受け付ける画面の一例である。
図7】実施例4において、通常とは異なる表示形態としてマークを表した画面の一例である。
図8】実施例4において、測定装置の表示が図7の場合に、スマートフォンなどのデバイスで表示する画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の実施の形態の測定装置1の概略構成図の一例を図1に示す。測定装置1は、被測定者に微弱電流を流すことで、インピーダンス、リアクタンス、レジスタンスなどの身体の電気抵抗値を測定する装置である。
【0043】
測定装置1は、本体部2と右ハンドグリップ3Rと左ハンドグリップ3Lとを備える。本体部2は、被測定者が載る載台20と表示部21と体重測定部22と電気抵抗値測定部23と体組成算出部24と記憶部25とを備える。被測定者は、裸足で載台20の上に立ち、右手で右ハンドグリップ3Rを、左手で左ハンドグリップ3Lをそれぞれ把持することで、体組成を測定することが好ましいが、載台20のみを用い右ハンドグリップ3Rおよび左ハンドグリップ3Lを用いない、あるいは載台20を用いずに右ハンドグリップ3Rおよび左ハンドグリップ3Lのみを用いるようにしてもよい。
【0044】
載台20には右足通電電極201Rと右足測定電極202Rと左足通電電極201Lと左足測定電極202Lとを備えている。また、右ハンドグリップ3Rは右手通電電極31Rと右手測定電極32Rとを備えており、左ハンドグリップ3Lは、左手通電電極31Lと左手測定電極32Lとを備えている。
【0045】
表示部21は、体組成算出部24などで演算処理をした結果を表示する表示装置であって、たとえば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができるが、これらに限定されない。
【0046】
体重測定部22は、被測定者の体重を測定するためのロードセルを備えている。ロードセルは荷重に応じて変形する金属部材の起歪体と、起歪体に貼られる歪みゲージとによって構成される。被測定者が載台20の上に載ると、被測定者の荷重によってロードセルの起歪体が撓んで歪みゲージが伸縮する。歪みゲージの抵抗値(出力値)は、その伸縮に応じて変化する。
【0047】
電気抵抗値測定部23は、各通電電極から被測定者の身体の所定部位に所定の周波数の微弱電流を流すことにより測定された電流経路に生じる電位差と、電流とに基づいて電気抵抗値を測定する。
【0048】
被測定者の全身および各身体部位のインピーダンス(生体インピーダンス)などの電気抵抗値の測定は、たとえば以下のようにして行う。
(1)全身の生体インピーダンスの測定では、左手通電電極31L及び左足通電電極201Lを用いて電流を供給し、左手、左腕、胸部、腹部、左脚部、左足を流れる電流経路において、その左手に接触している左手測定電極32Lと左足に接触している左足測定電極202Lとの間の電位差を測定する。
(2)右脚の生体インピーダンスの測定では、右手通電電極31R及び右足通電電極201Rを用いて電流を供給し、右手、右腕、胸部、腹部、右脚部、右足を流れる電流経路において、その左足に接触している左足測定電極202Lと右足に接触している右足測定電極202Rとの間の電位差を測定する。
(3)左脚の生体インピーダンスの測定では、左手通電電極31L及び左足通電電極201Lを用いて電流を供給し、左手、左腕、胸部、腹部、左脚部、左足を流れる電流経路において、その左足に接触している左足測定電極202Lと右足に接触している右足測定電極202Rとの間の電位差を測定する。
(4)右腕の生体インピーダンスの測定では、右手通電電極31R及び右足通電電極201Rを用いて電流を供給し、右手、右腕、胸部、腹部、右脚部、右足を流れる電流経路において、その左手に接触している左手測定電極32Lと右手に接触している右手測定電極32Rとの間の電位差を測定する。
(5)左腕の生体インピーダンスの測定では、左手通電電極31L及び左足通電電極201Lを用いて電流を供給し、左手、左腕、胸部、腹部、左脚部、左足を流れる電流経路において、その左手に接触している左手測定電極32Lと右手に接触している右手測定電極32Rとの間の電位差を測定する。
【0049】
電気抵抗値測定部23は、一つの周波数の微弱電流を流すほか、低周波電流、高周波電流のように複数の周波数の電流を流してもよい。また、測定する電気抵抗値も、インピーダンスのみならず、リアクタンスとレジスタンスとを別々に電気抵抗値として測定してもよい。
【0050】
体組成算出部24は、被測定者の年齢、性別、身長の情報のほか、被測定者の体重と、電気抵抗値測定部23で測定した電気抵抗値とを所定の回帰式に適用して演算することで、全身および/または身体部位ごとの体組成の測定値を算出する。この際に、補正した被測定者の体重を用いる。すなわち、被測定者の身体に装着している人工物の重さの入力を受け付け、体重測定部22で測定した体重から、入力を受け付けた人工物の重さを減算等により補正して、被測定者の体重を補正する。補正する重さの入力の受付は、たとえば表示部21のタッチパネルから入力を受け付けてもよいし、被測定者が所持するスマートフォンなどの可搬型通信端末、活動量計(歩数計)、非接触通信が可能なカードなど任意のデバイスにあらかじめ記憶している人工物の重さの情報の入力を受け付けるのでもよい。
【0051】
体組成算出部24は、体組成の測定値として、脂肪率、脂肪量、除脂肪量、筋肉量、内臓脂肪量、内臓脂肪レベル、内臓脂肪面積、皮下脂肪量、基礎代謝量、骨量、体水分率、BMI、細胞内液量、細胞外液量等を算出する。体組成測定値の演算に関する処理は、一般の測定装置1(体組成計)と同様の構成を用いることができる。なお、被測定者の年齢、性別、身長の情報は、被測定者から入力を受け付けてもよいし、被測定者が所持するデバイスにあらかじめ記憶しておき、それらから情報の入力を受け付けてもよい。また、後述する記憶部25に、被測定者の年齢、性別、身長の情報などを記憶しておき、それらを所定の操作で呼び出して処理に用いてもよい。
【0052】
たとえば、被測定者が乳房にシリコンバッグを入れる豊胸手術をしている場合、シリコンバッグには電気は流れない。そのため、電気抵抗値と身長とを用いて算出する筋肉量は、豊胸手術をしている場合としていない場合とでほぼ同じである。しかし、被測定者の体重は、シリコンバッグの分だけ重くなるので、電気を通さないものの重さが増えた、つまり脂肪(電気は通さない)の重さが増えたとして、被測定者の本来の状態(シリコンバッグを入れていない状態)よりも体組成の一つである体脂肪率が高く算出されてしまうこととなる。そのため、体組成算出部24は、補正した被測定者の体重と、電気抵抗値測定部23で測定した電気抵抗値とを所定の回帰式に適用して演算することで、全身および/または身体部位ごとの正確な体組成の測定値を算出することができる。
【0053】
体組成算出部24は、本体部2における所定の演算処理装置が所定のコンピュータプログラムを実行することで実現できる。
【0054】
記憶部25は、本発明の測定装置1における演算処理装置で実行するコンピュータプログラムやそのコンピュータプログラムの処理で演算するための情報などを記憶している。たとえば体組成算出部24で用いる回帰式や算出式などを実行するコンピュータプログラム、被測定者の年齢、性別、身長などの情報などを記憶している。記憶部25は、SSD、HDDなどの記憶媒体によって構成される。記憶部25は、本体部2に対して着脱可能な可搬型の記憶媒体であってもよい。演算処理装置は、記憶部25に対して情報の読出し、書き込みを行う。なお、表示部21、演算処理装置および記憶装置は、一体となってタブレット型コンピュータ、スマートフォンなどで構成されていてもよい。コンピュータプログラムは、あらかじめ記憶部25に記憶されていてもよいし、演算処理装置がネットワークを介してダウンロードして記憶部25に記憶してもよいし、可搬型の記憶媒体を介して記憶部25に記憶させてもよい。
【0055】
なお、測定装置1は、サーバなどのほかの情報処理装置との通信機能を有していてもよい。
【実施例0056】
つぎに本発明の測定装置1を用いた場合の処理の一例を図2のフローチャートを用いて説明する。
【0057】
まず測定装置1を利用する際に、被測定者または医師などの第三者は、たとえば表示部21を介して、被測定者の年齢、性別、身長の情報の入力を行う。この入力を体組成算出部24で受け付ける(S100)。この入力は、被測定者自らが行ってもよいし、あるいは、医師、看護師、臨床検査技師などをはじめとした医療従事者などの、測定を行う第三者が被測定者から聴取をして入力を行ってもよい。
【0058】
そして、被測定者または医療従事者などの第三者は、たとえば表示部21を介して、被測定者が身につけている被服や身飾品等の重さ(被測定者が体外に身につけている物の重さ)の入力を行う。この入力を同様に、体組成算出部24で受け付ける(S110)。なお、被測定者の被服や身飾品等の重さは、個別に入力を受け付けるのではなく、あらかじめ一定の重さとして設定していてもよい。
【0059】
そして、被測定者または医療従事者などの第三者は、同様に、たとえば表示部21を介して、被測定者の体内に入れている人工物、とくに絶縁体である人工物を入れているか否かの入力を受け付け、入れていたことの入力を受け付けた場合にはその人工物の重さの入力を行う。この入力を体組成算出部24で受け付ける(S120)。絶縁体の人工物として、たとえばシリコンバッグなどがある。
【0060】
被測定者は、測定装置1の載台20に、右足を右足通電電極201Rと右足測定電極202Rの上に、左足を左足通電電極201Lと左足測定電極202Lの上に位置するように裸足でのる。また右手では右ハンドグリップ3Rを握り、左手では左ハンドグリップ3Lを握る。電気抵抗値測定部23は、各通電電極から被測定者の身体の所定部位に一または複数の周波数の微弱電流を流し、電流経路に生じる電位差を測定する。そして測定した電位差および電流に基づいて電気抵抗値を算出する(S130)。さらに、体重測定部22で被測定者の体重を測定する(S140)。
【0061】
体組成算出部24は、体重測定部22で測定した体重から、被測定者の被服や身飾品等の重さおよび被測定者の体内に入れている人工物の重さを減算し、被測定者の補正後の体重を算出する。
【0062】
そして、体組成算出部24は、被測定者の年齢、性別、身長、被測定者の補正後の体重、電気抵抗値測定部23で測定した電気抵抗値を、所定の回帰式(アルゴリズム)に適用して演算することで、全身および/または身体部位ごとの体組成の測定値を算出する(S150)。なお、このアルゴリズムには、上述した測定した電気抵抗値を用いて体組成の値を算出する回帰式のほか、測定した電気抵抗値を入力値とし、体組成の値を出力値として出力する機械学習モデルを用いることもできる。
【0063】
体組成の算出後、表示部21において体組成の測定値を表示する(S160)。この表示の一例を図3に示す。図3では、補正後の体重を用いて算出した体脂肪率を表示している。
【0064】
以上のような処理によって、被測定者の元々の身体部分のみ(人工物を入れていない身体部分のみ)の正確な体組成の測定値を、被測定者や測定を行う医療従事者などの第三者は把握することができる。
【0065】
なお、上述のS100乃至S120の情報の入力、電気抵抗値の測定、体重の測定については、任意の順番で行ってよい。また、S120における被測定者の体内の人工物の重さの入力を受け付けるタイミングは、いかなるタイミングであってもよく、たとえば体重の測定前、体重の測定時、体重の測定後、体組成の測定値の算出前、体組成の算出時など、適宜、設定することができる。被測定者に対して情報を知らせる方法としては、表示部21における表示のほか、音声や振動など各種の方法で報知してもよい。
【実施例0066】
上述の実施例1における測定装置1の表示部21は、被測定者または測定を行う第三者に対して、体内に人工物を入れている場合にはその重さの入力を促す表示を行ってもよい。たとえば、表示部21は、被服や身飾品等の被測定者が身(体外)につけている物の重さの入力を促し、その入力を受け付けた後、被測定者が体内に人工物を入れている場合にはその重さの入力をメッセージなどで促し、その入力を受け付けるようにしてもよい。これによって、被測定者が体内の人工物の重さの入力を失念することを防止できる。被測定者が体内に人工物を入れている重さの入力を促す画面の一例を図4に示す。
【0067】
さらに、被測定者が体内に人工物を入れている場合には、その重さのみならず、入れている部位の入力を受け付けてもよい。たとえば人体を模したイメージ図から、被測定者が人工物を入れている部位の選択を受け付けることで、人工物を入れた部位によって電気抵抗値の変化がある場合には、当該部位における電気抵抗値自体の変化に対応することができる。人工物を入れている部位の選択を受け付ける画面の一例を図5に示す。
【0068】
加えて、人工物の種類の入力を受け付けてもよい。人工物の種類によっては、電気を通す人工物(導体の人工物)、電気を通さない人工物(絶縁体の人工物)、導体と絶縁体の中間である人工物(半導体の人工物)がある。そのため、被測定者が入れている人工物の種類の入力を受け付け、それによって人工物の種類に応じた回帰式を適用したり、電気抵抗値を補正したりしてもよい。人工物の種類の入力を受け付ける画面の一例を図6に示す。
【実施例0069】
上述の各実施例では、S100乃至S120で入力する情報を、被測定者や医療従事者などの第三者が入力を行う場合を説明したが、被測定者が所持する任意のデバイスにそれらの情報を記憶しておき、測定装置1が接触通信または非接触通信によりデバイスからそれらの情報を受け付けることで、入力を不要としてもよい。
【0070】
この場合、測定装置1は、表示部21などにおいて、体組成算出部24における補正処理の機能を有効とするボタン等を表示させ、被測定者がそのボタンを有効とする所定の操作をすることで、体組成算出部24における補正処理の機能を有効としてもよい。そして、測定装置1は、測定装置1にデバイスが接触することでデバイスと通信をし、または通信圏内にデバイスが位置することで非接触でデバイスと通信をし、デバイスからS100乃至S120における情報を受け付けて、体組成算出部24による補正処理を自動的に実行するように構成してもよい。
【0071】
また、体組成算出部24における補正処理の機能が有効となっているにもかかわらず、被測定者が所持するデバイスから被測定者が体内に入れている人工物の重さの情報を受け付けなかった場合には、実施例2のように、被測定者が体内に入れている人工物の種類、部位、重さなどの入力を促すようなメッセージを表示し、その入力を受け付けるようにしてもよい。
【0072】
本実施例3の処理について、たとえばデバイスが近距離無線通信(NFC)の可能なスマートフォンなどの可搬型通信端末の場合、当該スマートフォンに所定のアプリケーションソフトウェアをインストールしておく。そしてこのアプリケーションソフトウェアが参照する所定の記憶手段に、被測定者の年齢、性別、身長、体内に入れている人工物の種類、部位、重さなどの情報をあらかじめ記憶しておく。被測定者が載台20に載った場合に、スマートフォンを測定装置1の所定箇所に近づけると、スマートフォンと測定装置1との間で近距離無線通信を開始し、アプリケーションソフトウェアが参照する記憶手段から被測定者の年齢、性別、身長、体内に入れている人工物の種類、部位、重さなどを読出し、読み出した情報を測定装置1に送る。
【0073】
これらの情報を受け付けた測定装置1は、体組成算出部24による補正処理、体組成算出部24による体組成の算出処理を自動的に実行する。
【0074】
また、被測定者の年齢、性別、身長、体内に入れている人工物の種類、部位、重さなどの情報は、被測定者の識別情報に対応づけて測定装置1の記憶手段に記憶していてもよい。この場合、測定装置1において被測定者であることの認証処理を認証部(図示せず)において行うと、認証した被測定者の識別情報に基づいて、被測定者の年齢、性別、身長、体内に入れている人工物の種類、部位、重さなどの情報を記憶手段から読出し、読み出した情報に基づいて、測定装置1は、体組成算出部24による補正処理、体組成の算出処理を自動的に実行する。なお、被測定者の年齢、性別、身長、体内に入れている人工物の種類、部位、重さなどの情報は、スマートフォンなどの可搬型通信端末や測定装置1のほか、データベースなど任意の記憶手段に記憶していてよい。またこのデータベースはクラウド上にあってもよい。
【0075】
被測定者であること認証処理は、たとえば被測定者の顔、指紋、掌紋などの生体情報を読み取る生体認証で行うほか、IDとパスワードに基づく認証、被測定者が所持するカードやスマートフォンなどの可搬型通信端末に記憶した認証情報を受け取る方法など、各種の認証処理の方法を用いることができる。
【0076】
このような処理とすることで、被測定者はスマートフォンを測定装置1の所定箇所に近づけるだけで、体内に入れている人工物の重さなどが加味された体組成の算出処理を実行させることができる。
【0077】
なお近距離無線通信は、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標、FeliCa(登録商標)、RFIDなどのそれぞれの通信規格で実現することができる。
【実施例0078】
上述の各実施例における測定装置1の表示部21は、体組成算出部24で算出をした体組成の測定値、あるいは体重測定部22で測定した体重とは異なる表示を行ってもよい。
【0079】
たとえば被測定者が所持する任意のデバイスに、表示部21に表示させたい体組成の測定値、体重の情報を記憶しておく。また表示部21では、体重測定部22で測定した補正前の体重、体組成算出部24で補正前の体重に基づいて算出した体組成の測定値とは異なる表示を行う機能を有効とするボタン等を表示させ、被測定者がそのボタンを有効とする所定の操作をすることで、当該機能を有効とする。そして、測定装置1は、測定装置1にデバイスが接触することでデバイスと通信をし、または通信圏内にデバイスが位置することで非接触によりデバイスと通信をし、デバイスから表示部21に表示させる体組成の測定値、体重の情報を受け付け、算出した体組成の測定値、測定した体重とは別に、デバイスから受け付けた情報を表示部21に表示させる。これによって、表示部21には算出、測定した値とは異なる表示を行えるので、被測定者の羞恥心などを取り除くことができる。
【0080】
この機能が有効になっている場合には、たとえば表示部21は、所定のマークMを表示する、文字や数字の色、フォント、大きさなどを変更するなどの、表示形態を通常とは異なる表示を行うことで、被測定者には、補正前の体重およびそれに基づく体組成情報とは異なる情報を表示部21で表示していることを認識させてもよい。また、表示部21は、体組成の測定値、体重の情報の表示を行わずに、イメージアニメーションを表示させるなどしてもよい。これらの場合、被測定者が所持するデバイスからは、表示部21に表示させる情報ではなく、当該機能を有効にすることの情報を受け付け、その情報を受け付けた測定装置1が表示部21で表示の変更処理を行うようにしてもよい。この場合の画面の一例を図7に示す。図7では、通常とは異なる表示形態としてマークMを表示しており、体重は補正後の体重、体脂肪率は補正後の体重を用いて算出した体脂肪率を表示している。
【0081】
なお、体組成算出部24で算出した補正前の体重に基づく体組成の測定値、体重測定部22で測定した補正前の体重の情報、身長、性別などの情報(これらを総称して「身体情報」という)は、測定装置1からデバイスに対して送り、被測定者はデバイスを閲覧することで、補正前の体重およびそれに基づく体組成の測定値を知ることができる。この場合、測定装置1に、補正前の体重およびそれに基づく体組成の測定値を記憶してもよい。測定装置1の表示が図7の場合に、スマートフォンなどのデバイスで表示する画面の一例を図8に示す。
【実施例0082】
上述の各実施例における測定装置1について、表示部21は、体重測定部22で測定した体重を表示する一方、体組成算出部24では、補正した体重(体重測定部22で測定した体重から人工物の重さなどを減算して補正した体重)を用いて算出した体組成の測定値を表示するようにしてもよい。これによって、体重は見た目とおりの表示とし、体組成の測定値は、被測定者の本来の身体の測定値を表示できる。
【実施例0083】
上述の各実施態様の別の例として、体組成算出部24、記憶部25などの機能については、測定装置1に備えるのではなく、測定装置1で測定した体組成に関する情報(体組成関連情報)を取得部(図示せず)で取得することで、測定装置1とは異なる装置、たとえばスマートフォンやタブレット型コンピュータなどの可搬型通信端末を含むコンピュータまたはサーバなどの情報処理装置において、アプリケーションプログラムとして実現してもよい。体組成関連情報とは、電気抵抗値、体重またはこれらを用いて算出された体組成情報のうち一以上を含むものとする。一例として、測定装置1には体重測定部22、電気抵抗値測定部23を備え、体重測定部22で測定した補正前の体重と、電気抵抗値測定部23で測定した電気抵抗値と、人工物に関する情報とを、上述の情報処理装置で取得し、その情報処理装置のアプリケーションプログラムで実現する体組成算出部24などにおいて上述と同様の処理を実行する。人工物に関する情報は、取得部で取得してもよく、また、情報処理装置であらかじめ記憶していてもよい。
【0084】
さらに上述の別の例として、測定装置1の体重測定部22で測定した補正前の体重、電気抵抗値測定部23で測定した電気抵抗値を用いて、体組成算出部24が補正前の体重に基づく体組成の測定値を算出する。そして、測定装置1から補正前の体重に基づく体組成の測定値を情報処理装置の取得部で取得し、情報処理装置のアプリケーションプログラムで実現する体組成算出部24において、被測定者の体内に入れた人工物の重さの情報の入力を受け付け、取得した補正前の体重に基づく体組成の測定値を、人工物の重さの情報を用いて補正するように構成してもよい。この場合の体組成算出部24は、補正前の体重に基づく体組成の測定値と人工物の重さの情報とを用いて補正後の体組成の測定値を算出する回帰式をあらかじめ記憶しておき、その回帰式により、人工物の重さの情報で補正した体組成の測定値を算出すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の測定装置1を利用することで、被測定者が身体に何らかの人工物を入れている場合であっても、従来よりも体組成を正確に算出することができる。
【符号の説明】
【0086】
1:測定装置
2:本体部
3R:右ハンドグリップ
3L:左ハンドグリップ
20:載台
21:表示部
22:体重測定部
23:電気抵抗値測定部
24:体組成算出部
25:記憶部
31R:右手通電電極
31L:左手通電電極
32R:右手測定電極
32L:左手通電電極
201R:右足通電電極
201L:左足通電電極
202R:右足測定電極
202L:左足測定電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8