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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053455
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20220329BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
H01L21/302 103
H05H1/46 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059073
(22)【出願日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2020159638
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】岡本 芳枝
(72)【発明者】
【氏名】寺門 秀晃
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084BB25
2G084BB30
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC14
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD04
2G084DD05
2G084DD13
2G084DD37
2G084DD40
2G084DD55
2G084FF21
2G084HH34
2G084HH42
5F004BA04
5F004BA14
5F004BA20
5F004BB03
5F004BB13
5F004BB14
5F004BB22
5F004BB25
5F004CA04
5F004CA06
5F004CB10
5F004DA01
5F004DA16
5F004DA18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】検出位置における変化を精度良く検出することができ、且つ、検出位置の変更が可能なプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】プラズマ処理装置1は、窓23を介して、処理物100の表面に光を照射可能な投光部81と、処理物の表面において反射され、窓を介して出射する反射光を受光可能な受光部82と、を備えている。窓の周縁には、窓の中心軸に対して傾いた第1の傾斜面23a1と、窓の中心軸に対して傾き、第1の傾斜面とは傾き方向が逆の第2の傾斜面23a2と、が設けられている。投光部は、第1の傾斜面に対峙している。受光部は、第2の傾斜面に対峙している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なチャンバと、
前記チャンバの内部にガスを供給可能なガス供給部と、
前記チャンバの内部に設けられ、処理物が載置可能な載置台と、
前記チャンバの内部を減圧可能な減圧部と、
前記チャンバに設けられ、前記載置台と対向する窓と、
前記チャンバの外部であって、前記窓の、前記載置台側とは反対側に設けられ、前記チャンバの内部にプラズマを発生可能なプラズマ発生部と、
前記窓を介して、前記処理物の表面に光を照射可能な投光部と、
前記処理物の表面において反射され、前記窓を介して出射する反射光を受光可能な受光部と、
を備え、
前記窓の周縁には、
前記窓の中心軸に対して傾いた第1の傾斜面と、
前記窓の中心軸に対して傾き、前記第1の傾斜面とは傾き方向が逆の第2の傾斜面と、
が設けられ、
前記投光部は、前記第1の傾斜面に対峙し、
前記受光部は、前記第2の傾斜面に対峙しているプラズマ処理装置。
【請求項2】
平面視において、前記第2の傾斜面は、前記第1の傾斜面と対峙している請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1の傾斜面と、前記窓の、前記載置台側とは反対側の面との間の角度をθ1とした場合に、以下の式を満足する請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
θ1≦43°
【請求項4】
前記第2の傾斜面と、前記窓の、前記載置台側とは反対側の面との間の角度をθ2とした場合に、以下の式を満足する請求項1~3のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
θ2≦43°
【請求項5】
前記第1の傾斜面と、前記窓の、前記載置台側とは反対側の面との間の角度をθ1とし、
前記第2の傾斜面と、前記窓の、前記載置台側とは反対側の面との間の角度をθ2とした場合に、角度θ2は、角度θ1と略同じである請求項1~4のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記投光部は、前記第1の傾斜面に沿って移動可能に設けられ、
前記受光部は、前記第2の傾斜面に沿って移動可能に設けられている請求項1~5のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記投光部を移動可能な第1の移動部と、
前記受光部を移動可能な第2の移動部と、
をさらに備えた請求項6記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記プラズマ発生部に設けられたアンテナと、前記窓と、を覆うカバーと、
前記カバーを昇降可能なカバー移動部と、
をさらに備えた請求項1~7のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記窓の周縁には、略円環状の治具の内壁に設けられた凸部と接触する平坦面が設けられている請求項1~8のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記カバーは、前記投光部および前記受光部を覆う第2のカバーを有し、
前記第2のカバーの外側面は、開閉可能である請求項1~9のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記第1の移動部および前記第2の移動部は、前記カバーに取り付けられる請求項7~10のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライエッチングなどに用いられるプラズマ処理装置においては、プラズマ処理の終点検出が行われている。例えば、プラズマの発光スペクトルの変化に基づいて、プラズマ処理の終点を検出する場合がある(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、プラズマの発光スペクトルの変化や、処理物の表面に照射された光の散乱強度の変化は、比較的広い範囲における光の変化となる。そのため、終点検出を行うセンサに入射する光の強度は、比較的広い範囲における光の強度の平均値となるので、処理物の表面の僅かな変化を検出するのが困難となる。
【0003】
また、チャンバの側方にセンサを設け、処理物の表面に対して傾いた方向から検出位置に検出光を入射させる技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
しかしながら、チャンバの側方にセンサを設け、処理物の表面に対して傾いた方向から検出位置に検出光を入射させると、検出位置における検出光の照射面積が大きくなる。検出光の照射面積が大きくなると、検出位置の周囲の情報が混入するので、検出位置における僅かな変化を検出するのが困難となる。
【0004】
また、チャンバの側方にセンサを設ける場合には、検出光を透過させるための窓をチャンバの側壁に設ける必要がある。しかしながら、チャンバの側壁には、チャンバ内にガスを供給するためのノズルや、ロードロックチャンバなどが設けられているので、窓の設置位置が限定される。また、チャンバの気密性を考慮すると、大きな窓を設けることができない。窓の設置位置が限定されたり、大きな窓を設けられなかったりすると、検出位置の変更が困難となる。
【0005】
そこで、検出位置における変化を精度良く検出することができ、且つ、検出位置の変更が可能なプラズマ処理装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-66935号公報
【特許文献2】特開平7-58081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、検出位置における変化を精度良く検出することができ、且つ、検出位置の変更が可能なプラズマ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係るプラズマ処理装置は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なチャンバと、前記チャンバの内部にガスを供給可能なガス供給部と、前記チャンバの内部に設けられ、処理物が載置可能な載置台と、前記チャンバの内部を減圧可能な減圧部と、前記チャンバに設けられ、前記載置台と対向する窓と、前記チャンバの外部であって、前記窓の、前記載置台側とは反対側に設けられ、前記チャンバの内部にプラズマを発生可能なプラズマ発生部と、前記窓を介して、前記処理物の表面に光を照射可能な投光部と、前記処理物の表面において反射され、前記窓を介して出射する反射光を受光可能な受光部と、を備えている。前記窓の周縁には、前記窓の中心軸に対して傾いた第1の傾斜面と、前記窓の中心軸に対して傾き、前記第1の傾斜面とは傾き方向が逆の第2の傾斜面と、が設けられている。前記投光部は、前記第1の傾斜面に対峙している。前記受光部は、前記第2の傾斜面に対峙している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、検出位置における変化を精度良く検出することができ、且つ、検出位置の変更が可能なプラズマ処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
図2】比較例に係る検出部を例示するための模式断面図である。
図3】他の比較例に係る検出部を例示するための模式断面図である。
図4】投光部、受光部、傾斜面、および傾斜面を例示するための模式断面図である。
図5】投光部、受光部、傾斜面、および傾斜面を例示するための模式平面図である。
図6】検出位置の変更を例示するための模式断面図である。
図7】移動部を例示するための模式図である。
図8図7における移動部をX方向から見た模式図である。
図9】ガイドを例示するための模式図である。
図10】ガイドを例示するための模式図である。
図11図10におけるガイドをZ方向から見た模式図である。
図12】(a)~(c)は、ケースを例示するための模式図である。
図13】複数の移動部を例示するための模式図である。
図14】第2のカバーに相当するカバーの構成を例示するための模式図である。
図15】カバー移動部を例示するための模式側面図である。
図16】カバー移動部を例示するための模式斜視図である。
図17】(a)、(b)は、窓のメンテナンスに用いる治具を例示するための模式平面図である。
図18】窓の設置を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
なお、各図中における矢印X、矢印Y、および、矢印Zは、互いに直交する三方向を表している。例えば、矢印Xおよび矢印Yは水平方向を表し、矢印Zは鉛直方向を表している。
【0012】
また、以下においては、一例として、上部に誘導結合型電極を有し、下部に容量結合型電極を有する二周波プラズマ処理装置を例示する。
ただし、プラズマの発生方法はこれに限定されるわけではない。例えば、プラズマ処理装置は、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を用いたプラズマ処理装置や、容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)を用いたプラズマ処理装置などであってもよい。
【0013】
また、高周波を用いてプラズマを発生させるプラズマ処理装置に限定されるわけではなく、例えば、マイクロ波を用いてプラズマを発生させるプラズマ処理装置などであってもよい。
すなわち、本実施の形態に係るプラズマ処理装置1は、処理物を載置する載置台と対向し、電磁場を透過させることができる窓を有するものであればよい。
【0014】
なお、誘導結合型プラズマ、容量結合プラズマ、およびマイクロ波プラズマを用いるプラズマ処理装置の一般的な構成には、既知の技術を適用することができるので、これらのプラズマ処理装置の詳細な説明は省略する。
【0015】
また、本実施の形態に係るプラズマ処理装置1により処理される処理物100は、例えば、フォトマスク、マスクブランク、ウェーハ、ガラス基板などとすることができる。ただし、処理物100は、例示をしたものに限定されるわけではなく、後述するガスGをプラズマにより励起、活性化させて生成したラジカルやイオンにより処理される部分を有するものであればよい。
【0016】
図1は、本実施の形態に係るプラズマ処理装置1を例示するための模式断面図である。 図1に示すように、プラズマ処理装置1には、チャンバ2、電源ユニット3、電源ユニット4、減圧部5、ガス供給部6、載置台7、検出部8、およびコントローラ9を設けることができる。
【0017】
コントローラ9は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算部と、メモリなどの記憶部とを有する。コントローラ9は、例えば、コンピュータとすることができる。コントローラ9は、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、プラズマ処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する。なお、各要素の動作を制御する制御プログラムには既知の技術を適用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0018】
チャンバ2は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な気密構造を有している。チャンバ2は、例えば、略円筒形状を呈している。チャンバ2は、例えば、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。チャンバ2は、接地することができる。
【0019】
チャンバ2の側壁には、処理物100の搬入と搬出を行うための孔2aを設けることができる。チャンバ2の孔2aが設けられた部分には、ロードロックチャンバ21を接続することができる。ロードロックチャンバ21にはゲートバルブ22を設けることができる。プラズマ処理を行う際には、ゲートバルブ22により孔2aが気密となるように閉鎖される。処理物の搬入と搬出を行う際には、ゲートバルブ22により孔2aがロードロックチャンバ21と連通される。
【0020】
チャンバ2の天井には、窓23が気密となるように設けられている。窓23は、処理物100を載置する載置台7(静電チャック71)と対向している。窓23は、板状を呈している。窓23は、電磁場を透過させることができる。窓23は、プラズマ処理を行った際にダメージを受けにくい材料から形成することができる。窓23は、例えば、石英などの誘電体材料から形成することができる。
【0021】
電源ユニット3は、チャンバ2の内部空間においてプラズマPを発生させる。電源ユニット3は、チャンバ2の外部であって、窓23の、載置台7側とは反対側に設けられている。プラズマ処理装置1においては、電源ユニット3が、チャンバ2の内部にプラズマPを発生可能なプラズマ発生部となる。
【0022】
電源ユニット3は、例えば、アンテナ31、整合器32、および電源33を有する。
アンテナ31は、チャンバ2の外部であって、窓23の上に設けることができる。アンテナ31は、整合器32を介して電源33と電気的に接続されている。アンテナ31は、例えば、電磁場を発生させる複数のコイルと、複数のコンデンサとを有することができる。また、アンテナ31と窓23を覆うカバー34をさらに設けることができる。カバー34は、金属から形成され接地することができる。また、アンテナ31と窓23との間にファラデーシールドをさらに設けることができる。
【0023】
整合器32は、電源33側のインピーダンスと、プラズマP側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合回路などを備えることができる。
【0024】
電源33は、高周波電源とすることができる。電源33は、例えば、100KHz~100MHz程度の周波数を有する高周波電力をアンテナ31に印加する。この場合、電源33は、プラズマPの発生に適した周波数(例えば、13.56MHz)を有する高周波電力をアンテナ31に印加する。また、電源33は、出力する高周波電力の周波数を変化させるものとすることもできる。
【0025】
電源ユニット4は、いわゆるバイアス制御のために設けられている。すなわち、電源ユニット4は、処理物100に引き込むイオンのエネルギーを制御するために設けられている。この場合、処理物100に引き込むイオンのエネルギーを大きくすれば、イオンによるスパッタ効果が生じ易くなる。また、処理物100に引き込むイオンのエネルギーを小さくすれば、ラジカルによる化学的な処理が生じ易くなる。
【0026】
電源ユニット4は、例えば、ベース41、整合器42、および電源43を有する。
ベース41は、絶縁部材41aを介して、チャンバ2の底部に設けられている。また、絶縁部材41aは、ベース41の側面を覆うことができる。絶縁部材41aは、例えば、石英などの誘電体材料から形成することができる。
【0027】
ベース41は、整合器42を介して電源43と電気的に接続されている。また、ベース41の上には、静電チャック71を設けることができる。ベース41は、電源43により高周波電力が印加される電極となるとともに、静電チャック71を支持する支持台となる。この場合、ベース41は、内部に冷却水を流す流路を有し、静電チャック71の冷却を行うこともできる。ベース41は、例えば、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。
【0028】
整合器42は、ベース41と電源43との間に電気的に接続されている。整合器42は、電源43側のインピーダンスと、プラズマP側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合回路などを備えることができる。
【0029】
電源43は、高周波電源とすることができる。電源43は、イオンを引き込むために適した周波数(例えば、1MHz~27MHzの周波数)を有する高周波電力をベース41に印加する。
【0030】
減圧部5は、チャンバ2の内部を所定の圧力まで減圧する。
減圧部5は、例えば、開閉バルブ51、ポンプ52、および圧力コントローラ53を有する。
開閉バルブ51は、例えば、チャンバ2の側壁に設けられた孔2bに接続することができる。開閉バルブ51は、チャンバ2とポンプ52との間の流路の開閉を行う。開閉バルブ51は、例えば、ポペットバルブとすることができる。
【0031】
ポンプ52は、例えば、ターボ分子ポンプ(TMP:Turbo Molecular Pump)などとすることができる。
【0032】
圧力コントローラ53は、開閉バルブ51とポンプ52との間に設けることができる。圧力コントローラ53は、チャンバ2の内部圧力を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、チャンバ2の内部圧力が所定の圧力となるように制御する。圧力コントローラ53は、例えば、APC(Auto Pressure Controller)などとすることができる。
【0033】
ガス供給部6は、チャンバ2の側壁に設けられたノズル2cを介して、チャンバ2の内部空間にガスGを供給する。この場合、複数のノズル2cを、チャンバ2の中心軸周りに略等間隔で設けることもできる。この様にすれば、プラズマPが発生する領域においてガスGの濃度がばらつくのを抑制することができる。
【0034】
ガス供給部6は、例えば、ガス源61、ガスコントローラ62、および開閉バルブ63を有する。
ガス源61は、ガスコントローラ62および開閉バルブ63を介して、チャンバ2の内部にガスGを供給する。ガス源61は、例えば、ガスGを収納した高圧ボンベなどとすることができる。また、ガス源61は、例えば、工場配管などであってもよい。
【0035】
ガスGは、プラズマPにより励起、活性化された際に、所望のラジカルやイオンが生成されるものとすることができる。例えば、プラズマ処理がエッチング処理である場合には、ガスGは、処理物100の露出面をエッチングすることができるラジカルやイオンが生成されるものとすることができる。この場合、ガスGは、例えば、塩素を含むガス、フッ素を含むガスなどとすることができる。例えば、ガスGは、塩素ガスと酸素ガスの混合ガス、CHF、CHFとCFの混合ガス、SFとヘリウムガスの混合ガスなどとすることができる。
【0036】
ガスコントローラ62は、ガス源61とチャンバ2の間に設けることができる。ガスコントローラ62は、ガス源61から供給されたガスGの流量および圧力の少なくともいずれかを制御する。ガスコントローラ62は、例えば、MFC(Mass Flow Controller)などとすることができる。
【0037】
開閉バルブ63は、ガスコントローラ62とチャンバ2の間に設けることができる。開閉バルブ63は、ガスGの供給の開始と、供給の停止とを制御する。開閉バルブ63は、例えば、2ポート電磁弁などとすることができる。なお、開閉バルブ63の機能をガスコントローラ62に持たせることもできる。
【0038】
載置台7は、チャンバ2の内部に設けられ、処理物100が載置される。
載置台7は、例えば、静電チャック71、マスクリング72、電源ユニット73、温度制御部74、およびリフトピン75を有する。
【0039】
静電チャック71は、静電力を発現させて、処理物100を吸着する。静電チャック71は、クーロン力を用いるものであってもよいし、ジョンソン・ラーベック力(Johnsen-Rahbek force)を用いるものであってもよい。また、静電チャック71は、処理を行う際に、処理物100の温度を制御することもできる。すなわち、静電チャック71は、少なくとも処理物100を吸着する機能を有し、さらに処理物100の温度を制御する機能をも有することができる。
【0040】
静電チャック71は、ベース41の上に設けることができる。静電チャック71は、例えば、板状の誘電体と、誘電体の内部に設けられた電極を有することができる。誘電体は、例えば、酸化アルミニウムなどのセラミックスから形成することができる。
【0041】
誘電体の表面には、複数の溝を設けることができる。複数の溝には、温度制御部74から温度制御ガスが供給される。供給された温度制御ガスは、溝と載置された処理物100とで画された空間の内部を流通し、温度制御ガスと処理物との間で熱交換が行われる。
また、誘電体には、厚み方向を貫通する複数の孔を設けることができる。複数の孔のそれぞれには、リフトピン75を設けることができる。
【0042】
電極は、板状を呈し、例えば、タングステンやモリブデンなどの金属から形成することができる。電極は、単極型であってもよいし、双極型であってもよい。例えば、双極型の場合には、同一平面上に2つの電極を並べて設けることができる。
【0043】
マスクリング72は、筒状を呈し、例えば、ベース41の上面の周縁近傍、あるいは、静電チャック71の上面の周縁近傍に設けることができる。マスクリング72は、例えば、石英などの誘電体材料から形成することができる。
【0044】
電源ユニット73は、例えば、直流電源73a、および切り替えスイッチ73bを有する。直流電源73aは、静電チャック71の電極と電気的に接続されている。直流電源73aにより、電極に電圧が印加されると、電極の、処理物100側の面に電荷が発生する。そのため、電極と処理物100との間に静電力が発生し、発生した静電力により、処理物100が静電チャック71に吸着される。
【0045】
切り替えスイッチ73bは、直流電源73aと、静電チャック71の電極との間に電気的に接続され、処理物100の吸着と、吸着の解除とを切り替える。
【0046】
温度制御部74は、静電チャック71に温度制御ガスを供給する。
温度制御部74は、例えば、ガス源74a、ガスコントローラ74b、温調部74c、および開閉バルブ74dを有する。
【0047】
ガス源74aは、例えば、温度制御ガスを収納した高圧ボンベなどとすることができる。なお、ガス源74aは、例えば、工場配管などであってもよい。温度制御ガスは、例えば、ヘリウムガスなどとすることができる。
【0048】
ガスコントローラ74bは、ガス源74aと静電チャック71との間に設けることができる。ガスコントローラ74bは、例えば、ガス源74aから供給された温度制御ガスの流量を制御する。ガスコントローラ74bは、例えば、MFCなどとすることができる。
【0049】
温調部74cは、ガスコントローラ74bと静電チャック71との間に設けることができる。温調部74cは、温度制御ガスの温度を調整することで、処理物100の温度を調整する。温調部74cは、例えば、ヒータなどの加熱装置、および、熱交換器などを備えた冷却装置の少なくともいずれかとすることができる。
【0050】
開閉バルブ74dは、温調部74cと静電チャック71との間に設けることができる。開閉バルブ74dは、温度制御ガスの供給の開始と、供給の停止とを制御する。開閉バルブ74dは、例えば、2ポート電磁弁などとすることができる。なお、開閉バルブ74dの機能をガスコントローラ74bに持たせることもできる。
【0051】
リフトピン75は、複数設けることができる。図示しない搬送装置に処理済みの処理物100を受け渡したり、図示しない搬送装置から処理前の処理物100を受け取ったりする際には、複数のリフトピン75を上昇させて、複数のリフトピン75を静電チャック71の上面から突出させる。処理物100に処理を施す際には、複数のリフトピン75を下降させて、複数のリフトピン75を静電チャック71の上面よりも下方に移動させる。複数のリフトピン75の昇降は、例えば、サーボモータなどの制御モータや、エアシリンダなどにより行うことができる。
【0052】
ここで、本実施の形態に係る検出部8を説明する前に、比較例に係る検出部180と検出部280とについて説明する。
図2は、比較例に係る検出部180を例示するための模式断面図である。
図2は、本実施の形態に係る検出部8に代えて、検出部180と透過窓121を設けた場合である。
【0053】
図2に示すように、比較例に係る検出部180は、投光部180a、および受光部180bを有する。また、透過窓121は、チャンバ2の側壁の、投光部180aと対峙する位置、およびチャンバ2の側壁の、受光部180bと対峙する位置にそれぞれ設けられている。
【0054】
投光部180aから出射した検出光は透過窓121を透過して、処理物100の表面の検出位置に入射する。検出光は、処理物100の表面と、検出光との間の角度が角度θaで処理物100の表面に対して照射される。検出位置に入射した検出光は反射され、透過窓121を透過して受光部180bに入射する。受光部180bは、入射した反射光を受光量に応じた電気信号に変換する。コントローラ9は、電気信号に基づいて、処理物100の状態を検出する。
【0055】
ここで、処理物100の表面上にある検出位置に検出光を垂直に照射する場合を想定する。検出光は、投光部180aから出射し処理物100の表面に届くまでに拡がる。一般的には、検出位置における検出光の照射面積は、投光部180aのアパーチャの径と検出光の拡がりに基づいて予め決められている。この場合、検出位置における検出光の照射面積が大きくなると、検出位置の周囲の情報が検出結果に混入し易くなる。そのため、検出位置における検出光の照射面積は、なるべく小さくすることが好ましい。なお、検出光の拡がりは、図3に示す距離L1に比例する。
【0056】
しかしながら、図2に示すように、チャンバ2の側方に投光部180aを設け、処理物100の表面に対して傾いた方向から処理物100の表面に検出光を照射すると、検出位置における検出光の照射面積が、前述した予め決められた照射面積よりも大きくなる。例えば、図2では、検出位置における検出光の照射面積は、X方向に拡がる。そのため、検出位置の周囲の情報が検出結果に混入して、検出位置における僅かな変化を検出するのが困難となる。
【0057】
また、処理物100を載置する載置台7と、載置台7の上方に設けられた窓23と、の間の距離Lが長くなると、窓23の直下において発生したプラズマPにより生成されたラジカルが、載置台7に載置された処理物100に到達する前に失活し易くなる。そのため、載置台7と窓23との間の距離Lは短くなる傾向にある。載置台7と窓23との間の距離Lが短くなると、処理物100の表面と、検出光との間の角度θaが小さくなる。照射面積のX方向への拡がりは、角度θaが小さいほど大きくなる。したがって、検出位置における検出光の照射面積がさらに大きくなる。
【0058】
またさらに、近年においては、処理部分の微細化が進み、例えば、形成される凹凸や孔などの開口率が1%以下となる場合もある。この様な場合には、除去される物質の量が少なくなるため、検出光の変化量がさらに微小となり、検出位置における光学的な変化を検出するのがさらに困難となる。
この様に、チャンバ2の側方に検出部180を設けると、検出位置における光学的な変化を精度良く検出するのが困難となってきている。
【0059】
また、前述したように、チャンバ2の側壁には、チャンバ2の内部にガスGを供給するためのノズル2cや、ロードロックチャンバ21などが設けられているので、窓23の設置位置が限定される。また、チャンバ2は気密構造とする必要があるので、大きな窓23を設けることが難しい。窓23の設置位置が限定されたり、大きな窓23が設けられなかったりすると、投光部180aおよび受光部180bの配置が限定されることになる。投光部180aおよび受光部180bの配置が限定されると、検出位置が限定されるので、検出位置の変更が困難となる。
【0060】
以上に説明した様に、チャンバ2の側方に検出部180を設けると、検出精度の向上と、検出位置の変更が困難となる。
【0061】
図3は、他の比較例に係る検出部280を例示するための模式断面図である。
図3は、本実施の形態に係る検出部8に代えて、検出部280を設けた場合である。
図3に示すように、検出部280は、投光部と受光部が一体化された、いわゆる投受光センサとすることができる。検出部280は、チャンバ2の外部であって、窓23の、載置台7側とは反対側に設けられている。検出部280は、処理物100の表面に対して略垂直な方向から検出位置に検出光を入射させ、検出位置において反射した反射光を受光する。この様にすれば、検出位置における検出光の照射面積が、前述した予め決められた照射面積とほぼ同じとなる。そのため、検出位置における変化を精度良く検出するのが容易となる。
【0062】
ところが、前述したように、窓23の上にはアンテナ31やファラデーシールドなどが設けられている。そのため、検出部280の配置が、アンテナ31やファラデーシールドなどにより制限される。
そのため、窓23の上方に検出部280を設けると、検出精度の向上が図れたとしても、検出位置の変更が困難となる。
【0063】
次に、図1に戻って、本実施の形態に係る検出部8について説明する。
検出部8は、プラズマ処理の最中に生じる光学的な変化に基づいて、処理物100の状態を検出する。例えば、検出部8は、プラズマ処理の終点検出に用いることができる。
【0064】
図1に示すように、検出部8は、例えば、投光部81、および受光部82を有する。
投光部81は、例えば、発光ダイオードやレーザダイオードなどとすることができる。投光部81は、窓23を介して、処理物100の表面に検出光を照射することができる。投光部81は、後述する傾斜面23a1と対峙させて設けることができる。
【0065】
受光部82は、処理物100の表面において反射され、窓23を介して出射する反射光を受光することができる。例えば、受光部82は、検出光が処理物100の検出位置に入射した際に生じた干渉光を受光し、電気信号に変換することができる。受光部82は、例えば、フォトダイオードとすることができる。なお、受光部82は、フォトダイオードに限定されるわけではなく、光学的な変化を検出可能なものであればよい。受光部82は、後述する傾斜面23a2と対峙させて設けることができる。
【0066】
また、受光部82は、分光器をさらに有していてもよい。分光器が設けられていれば、所定の波長を有する光を抽出することができるので、検出精度の向上を図ることができる。
コントローラ9は、受光部82からの信号に基づいて、処理物の状態(例えば、プラズマ処理の終点)を検出することができる。
【0067】
また、図1に示すように、窓23の周縁の一部には、傾斜面23a1(第1の傾斜面の一例に相当する)と傾斜面23a2(第2の傾斜面の一例に相当する)が設けられている。傾斜面23a1および傾斜面23a2に凹凸があると、凹凸によって光が散乱してしまうので、傾斜面23a1および傾斜面23a2の平面度を高くすることが好ましい。例えば、光学研磨によって、傾斜面23a1および傾斜面23a2の表面粗さをRa0.02以下にすることができる。
【0068】
図4は、投光部81、受光部82、傾斜面23a1、および傾斜面23a2を例示するための模式断面図である。
図5は、投光部81、受光部82、傾斜面23a1、および傾斜面23a2を例示するための模式平面図である。
【0069】
図4および図5に示すように、例えば、傾斜面23a1の一方の端部は、窓23の、載置台7側とは反対側の面に接続することができる。例えば、傾斜面23a1の他方の端部は、窓23の側面と接続することができる。例えば、傾斜面23a2の一方の端部は、窓23の、載置台7側とは反対側の面に接続することができる。例えば、傾斜面23a2の他方の端部は、窓23の側面と接続することができる。
【0070】
図5に示すように、平面視において、傾斜面23a2は、窓23の中心軸23bを挟んで、傾斜面23a1と対峙する位置に設けることができる。
図4に示すように、傾斜面23a1は、窓23の中心軸23bに対して傾いている。傾斜面23a2は、窓23の中心軸23bに対して傾いている。傾斜面23a2の傾き方向は、傾斜面23a1の傾き方向とは逆となっている。
【0071】
例えば、窓23が石英から形成され、チャンバ2の内圧が0.1Pa~100Pa程度の場合には、図4に示すように、傾斜面23a1と、窓23の、載置台7側とは反対側の面との間の角度θ1は、「θ1≦43°」とすることができる。この様にすれば、投光部81から出射し、傾斜面23a1を介して窓23の内部に導入された検出光が、窓23の、載置台7側の面において全反射されるのを抑制することができる。
【0072】
傾斜面23a2と、窓23の、載置台7側とは反対側の面との間の角度θ2は、「θ2≦43°」とすることができる。この様にすれば、処理物100の検出位置において反射され、窓23の、載置台7側の面に入射した反射光が、窓23の、載置台7側の面において全反射されるのを抑制することができる。
【0073】
また、角度θ2は、角度θ1と同じとすることができる。ただし、角度θ1と角度θ2とを同じとする場合に、製造誤差程度の違いは許容することができる。すなわち、角度θ2は、角度θ1と略同じとすることができる。
【0074】
図5に示す傾斜面23a1の平面寸法L2と傾斜面23a2の平面寸法L3には特に限定はない。例えば、図5に示すように、傾斜面23a1の平面寸法L2は投光部81の平面寸法L4以上とすることができる。例えば、傾斜面23a2の平面寸法L3は受光部82の平面寸法L5以上とすることができる。この場合、傾斜面23a2の平面寸法L3は、傾斜面23a1の平面寸法L2と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0075】
投光部81の投光側の端部と傾斜面23a1との間には、隙間を設けることもできるし、図4に示すように、投光部81の投光側の端部と傾斜面23a1とを接触させることもできる。
ただし、投光部81の投光側の端部と傾斜面23a1との間に隙間が設けられていると、プラズマ処理装置1に震動が加えられた場合に、投光部81と傾斜面23a1とが別々に振動するので、ノイズが発生するおそれがある。また、外部の光が、隙間を介して傾斜面23a1に入射するとノイズが発生するおそれがある。そのため、投光部81の投光側の端部と傾斜面23a1とを接触させることが好ましい。なお、投光部81の投光側の端部と傾斜面23a1との間に、光ファイバなどを有する導光部を設けることもできる。導光部が設けられていれば、投光部81を任意の位置に配置するのが容易となる。
【0076】
受光部82の受光側の端部と傾斜面23a2との間には、隙間を設けることもできるし、図4に示すように、受光部82の受光側の端部と傾斜面23a2とを接触させることもできる。
ただし、受光部82の受光側の端部と傾斜面23a2との間に隙間が設けられていると、プラズマ処理装置1に震動が加えられた場合に、受光部82と傾斜面23a2とが別々に振動するので、ノイズが発生するおそれがある。また、外部の光が、隙間を介して受光部82に入射するとノイズが発生するおそれがある。そのため、受光部82の受光側の端部と傾斜面23a2とを接触させることが好ましい。なお、受光部82の受光側の端部と傾斜面23a2との間に、光ファイバなどを有する導光部を設けることもできる。導光部が設けられていれば、受光部82を任意の位置に配置するのが容易となる。
【0077】
窓23の周縁には、アンテナ31やファラデーシールドなどが設けられていない。そのため、傾斜面23a1および傾斜面23a2を任意の位置に設けることができるので、処理物100の表面の所望の位置を検出するのが容易となる。前述の通り、角度θaが小さいほど照射面積が大きくなる。窓23の傾斜面23a1から検出光を照射することで、検出部180と比べて角度θaを大きくすることができる。したがって、検出部180と比べて照射面積を小さくすることができる。
【0078】
また、傾斜面23a1および傾斜面23a2が1組設けられる場合を例示したが、傾斜面23a1および傾斜面23a2を複数組設けることもできる。傾斜面23a1および傾斜面23a2が複数組設けられていれば、所望の検出位置に応じて、傾斜面23a1および傾斜面23a2を選択することができる。
【0079】
次に、検出位置の変更について説明する。
傾斜面23a1および傾斜面23a2が複数組設けられていれば、傾斜面23a1および傾斜面23a2を選択することで検出位置の変更を行うことができる。
また、傾斜面23a1および傾斜面23a2が1組設けられている場合にも、検出位置の変更を行うことができる。以下においては、傾斜面23a1および傾斜面23a2が1組設けられている場合を説明する。
【0080】
図6は、検出位置の変更を例示するための模式断面図である。
図6に示すように、投光部81を傾斜面23a1の傾斜方向に沿って移動させれば、処理物100の表面における検出光の入射位置(検出位置)を変更することができる。検出光の入射位置が変われば、傾斜面23a2における反射光の入射位置が変わるので、傾斜面23a2における反射光の入射位置に応じて受光部82を移動させる。
この様にすれば、処理物100の表面における検出位置を容易に変更することができる。そのため、処理物100の表面における複数の箇所の処理状態を検出することが可能となる。
【0081】
なお、図6に例示をしたものは、投光部81を傾斜面23a1の傾斜方向に沿って移動させたが、図5に示すように、投光部81を傾斜面23a1に沿って、Y方向に移動させてもよい。また、投光部81を傾斜面23a1の傾斜方向およびY方向に移動させてもよい。
すなわち、投光部81が傾斜面23a1に沿って移動可能に設けられ、受光部82が傾斜面23a2に沿って移動可能に設けられていれば、検出位置の変更が可能となる。
【0082】
また、傾斜面23a1および傾斜面23a2が複数組設けられている場合には、傾斜面の選択と、傾斜面に沿った、投光部81および受光部82の移動を組み合わせることもできる。
【0083】
投光部81および受光部82の移動は、例えば、操作者が投光部81および受光部82の取り付け位置を変更することで行うことができる。
また、図1に示すように、投光部81を移動させる移動部81a(第1の移動部の一例に相当する)と、受光部82を移動させる移動部82a(第2の移動部の一例に相当する)をさらに設けることができる。移動部81a、82aは、例えば、一軸制御が可能な一軸テーブルや、二軸制御が可能な二軸テーブルなどとすることができる。また、一軸テーブルを複数組み合わせたものや、一軸テーブルと2軸テーブルを組み合わせたものとすることもできる。移動部81a、82aが設けられていれば、コントローラ9により検出位置を逐次変更することが可能となる。そのため、処理物100の表面の複数の箇所の処理状態をリアルタイムで検出することが可能となる。
【0084】
また、図1に示すように、投光部81および受光部82を覆うカバー83をさらに設けることができる。カバー83は、金属から形成され、接地することができる。投光部81および受光部82を配置する際に、前述したカバー34に孔が設けられる場合がある。カバー34に孔が設けられると、アンテナ31において発生した電磁場が、プラズマ処理装置1の外部に漏れるおそれがある。カバー83が設けられていれば、カバー34から漏れた電磁場が、プラズマ処理装置1の外部に漏れるのを抑制することができる。なお、カバー34が、アンテナ31、投光部81、受光部82、および移動部81a、82aを覆うようにしてもよい。
【0085】
次に、移動部81a、82aの具体的な構成の一例を説明する。
図7は、移動部181、182を例示するための模式図である。
移動部181は、投光部81を移動させる移動部81aの具体的な構成の一例である。
移動部182は、受光部82を移動させる移動部82aの具体的な構成の一例である。
図7に示すように、移動部181には、投光部81を取り付けることができる。移動部182には、受光部82を取り付けることができる。移動部181は、窓23を挟んで、移動部182と対向する位置に設けられている。
なお、移動部181の構成は、移動部182の構成と同様とすることができる。そのため、以下においては、主に、移動部182の構成について説明する。
【0086】
図8は、図7における移動部182をX方向から見た模式図である。
図7および図8に示すように、移動部182(181)は、ガイド182a(181a)、ガイド182b(181b)、およびケース182c(181c)を有する。
ガイド182a(181a)は、カバー34の外側面に設けられている。
【0087】
図9は、ガイド182a(181a)を例示するための模式図である。
図10は、ガイド182b(181b)を例示するための模式図である。
図11は、図10におけるガイド182b(181b)をZ方向から見た模式図である。
【0088】
図8および図9に示すように、ガイド182a(181a)は、一対のレール182a1(181a1)と、台座182a2(181a2)を有する。
一対のレール182a1(181a1)は、カバー34に設けられた孔34aの周囲に設けられている。一対のレール182a1(181a1)は、孔34aを挟んで対向している。例えば、一対のレール182a1(181a1)は、長方形の孔34aの長辺に沿って延びている。
【0089】
台座182a2(181a2)は、一対のレール182a1(181a1)の上に設けられている。台座182a2(181a2)は、一対のレール182a1(181a1)に沿って移動可能に設けられている。台座182a2(181a2)のカバー34と対向する面には、長方形の孔182a3(181a3)が設けられている。また、台座182a2(181a2)の位置を保持する図示しない保持装置を設けることができる。
【0090】
なお、ガイド182a(181a)は、例示をした構成に限定されるわけではなく、直線移動が可能なガイド機構であればよい。例えば、ガイド182a(181a)は、直動軸受けを有するガイド機構などであってもよい。
【0091】
図8図10、および図11に示すように、ガイド182b(181b)は、台座182a2(181a2)の上に設けられている。
ガイド182b(181b)は、一対のレール182b1(181b1)と、台座182b2(181b2)を有する。
一対のレール182b1(181b1)は、台座182a2(181a2)に設けられた孔182a3(181a3)の周囲に設けられている。一対のレール182b1(181b1)は、孔182a3(181a3)を挟んで対向している。例えば、一対のレール182b1(181b1)は、長方形の孔182a3(181a3)の長辺に沿って延びている。
【0092】
台座182b2(181b2)は、一対のレール182b1(181b1)の上に設けられている。台座182b2(181b2)は、一対のレール182b1(181b1)に沿って移動可能に設けられている。台座182b2(181b2)のカバー34と対向する面には、ケース182c(181c)が挿入される孔182b4(181b4)が設けられている。また、台座182b2(181b2)の向かい合う側面には、ホーローセット(イモネジ)182b3(181b3)がねじ込まれるネジ孔182b5(181b5)が設けられている。また、台座182b2(181b2)の位置を保持する図示しない保持装置を設けることができる。
【0093】
なお、ガイド182b(181b)は、例示をした構成に限定されるわけではなく、直線移動が可能なガイド機構であればよい。例えば、ガイド182b(181b)は、直動軸受けを有するガイド機構などであってもよい。
【0094】
図7に示すように、ケース181cの内部には、投光部81が設けられ、ケース182cの内部には、受光部82が設けられている。
図12(a)~(c)は、ケース182c(181c)を例示するための模式図である。
図12(a)に示すように、ケース182c(181c)は、略直方体状の箱とすることができる。ケース182c(181c)の、短手方向における互いに対向する側面には、ケース182c(181c)の長手方向に延びる掘り込み溝182c1(181c1)が設けられている。ケース182c(181c)の長手方向における一方の側面には、受光部82(投光部81)の受光面(投光面)が露出し、他方の側面からは配線が引き出されている。
【0095】
ケース182c(181c)の掘り込み溝182c1(181c1)が設けられていない側面には、不図示のネジ孔が設けられている。受光部82(投光部81)の側面にも不図示の溝が設けられている。ケース182c(181c)の側面に設けられたネジ孔にホーローセット(イモネジ)をねじ込み、受光部82(投光部81)の側面に設けられた溝にホーローセット(イモネジ)を挿入する。受光部82(投光部81)は、挿入されたホーローセットによって押圧されることで、ケース182c(181c)に固定される。
【0096】
受光部82(投光部81)をケース182c(181c)に固定する方法は、上記に限定されない。例えば、受光部82(投光部81)の側面に複数の凹部を設け、ケース182c(181c)の掘り込み溝182c1(181c1)が設けられていない側面には、孔を設ける。そして、ケース182c(181c)の側面に設けられた孔を介してピンが、受光部82(投光部81)に設けられた複数の凹部のうちの一つに挿入されることで、ケース182c(181c)に受光部82(投光部81)を固定してもよい。また、受光部82(投光部81)の外周をオネジとし、ケース182c(181c)の長手方向に貫通する孔をメネジとする。そして、ケース182c(181c)に受光部82(投光部81)をねじ込むことで、ケース182c(181c)に受光部82(投光部81)を固定してもよい。
【0097】
図12(b)、(c)に示すように、ケース182c(181c)は、台座182b2(181b2)の孔182b4(181b4)に挿入される。また、ホーローセット(イモネジ)182b3(181b3)が台座182b2(181b2)のネジ孔182b5(181b5)にねじ込まれる。ホーローセット(イモネジ)182b3(181b3)は、孔182b4(181b4)の内部に突出し、ケース182c(181c)の掘り込み溝182c1(181c1)に挿入されている。
そのため、台座182b2(181b2)に対するケース182c(181c)の位置、ひいては、窓23の傾斜面23a2に対する受光部82(投光部81)の位置を調整することができる。また、ケース182c(181c)は、台座182b2(181b2)を介してカバー34に接続される。したがって、受光部82(投光部81)をカバー34に接続することができる。
なお、ケース182c(181c)の位置を保持する図示しない保持装置を設けることもできる。
【0098】
なお、台座182b2(181b2)とケース182c(181c)を接続する方法は、例示をした構成に限定されるわけではない。例えば、ケース182c(181c)の側面に掘り込み溝182c1(181c1)に代わって複数の凹部を設け、台座182b2(181b2)のネジ孔182b5(181b5)に代わって孔を設ける。そして、台座182b2(181b2)に設けられた孔を介して、ケース182c(181c)に設けられた複数の凹部のうちの一つにピンが挿入されることで、台座182b2(181b2)とケース182c(181c)を接続してもよい。また、ケース182c(181c)を万力で挟んで固定してもよい。この場合、万力の挟む部分が台座182b2(181b2)の孔に挿入され、孔182b4(181b4)の内部に突出する。
【0099】
複数の投光部81(受光部82)が設けられる場合には、移動部181(182)を複数設けることができる。
図13は、複数の移動部を例示するための模式図である。
図13に示すように、移動部181(182)を複数設ける場合には、ガイド182a(181a)を兼用としてもよい。
この様にすれば、移動部の構成の簡易化を図ることができる。
【0100】
図14は、第2のカバーに相当するカバー83の構成を例示するための模式図である。 前述の通り、カバー83は、カバー34に設けることができる。カバー83は、本体83bと扉83aからなる。
本体83bは、例えば、金属の筒である。本体83bの一端は、カバー34に接続される。なお、カバー83とチャンバ2の天井とでカバー34の孔34aを密閉できる場合、本体83bのチャンバ2と接する面は、省略することができる。つまり、本体83bは、断面がn字形状の金属の板であってもよい。
扉83aは、例えば、金属の板である。扉83aは、本体83bの他端に開閉可能に設けられる。例えば、扉83aは、ヒンジを介して本体83bの他端と接続される。
図14に示すように、扉83aが閉じた状態のとき、扉83aは、カバー83の外側面となる。また、扉83aには、扉83aが開いた状態を維持するための不図示のストッパを設けることができる。
【0101】
ここで、図1に示すように、カバー83は、投光部81、受光部82、および移動部81a、82a(181、182)を覆っている。また、投光部81、受光部82、および移動部81a、82a(181、182)は、作業者によるメンテナンスや調整などが必要となる場合もある。
カバー83に扉83aが設けられていれば、作業者によるメンテナンスや調整などが容易となる。
【0102】
また、カバー83は、前述の通り、カバー34から漏れた電磁場が、プラズマ処理装置1の外部に漏れるのを抑制することができる。また、投光部81および受光部82に外乱光が入らないようにすることもできる。
【0103】
次に、本実施の形態に係るプラズマ処理装置1のメンテナンスについて説明する。
図1に示すように、チャンバ2の天井側には、窓23、電源ユニット3、および検出部8が設けられている。そして、これらの要素は、メンテナンスが必要となる。例えば、プラズマ処理を行うことで、経時的に、窓23に損傷が発生する。そのため、窓23の交換や修理が必要となる。また、電源ユニット3や検出部8の部品を交換したり、調整したりする場合がある。
【0104】
ところが、窓23、電源ユニット3、および検出部8は、アンテナ31において発生した電磁場を遮蔽するためのカバー34で覆われている。そのため、メンテナンスを行う際のカバー34の取り外しと、メンテナンス後のカバー34の再設置が必要となる。
また、前述したように、カバー34には、投光部81が取り付けられた移動部と、受光部82が取り付けられた移動部とが設けられている。そのため、カバー34を再設置する際には、カバー34を元の位置に設置する必要がある。
【0105】
そこで、本実施の形態に係るプラズマ処理装置1には、カバー34を昇降可能なカバー移動部10が設けられている。
図15は、カバー移動部10を例示するための模式側面図である。
図16は、カバー移動部10を例示するための模式斜視図である。
図15および図16に示すように、カバー移動部10は、例えば、保持部11、駆動部12、および、複数の位置決めピン13を有する。
【0106】
保持部11は、カバー34を保持する。
駆動部12は、保持部11を昇降させる。駆動部12により保持部11が上昇すると、保持部11に保持されたカバー34がチャンバ2の上方に移動する。そのため、チャンバ2の天井側に設けられた窓23と電源ユニット3を露出させることができるので、窓23と電源ユニット3のメンテナンスが容易となる。
また、図16に示すように、駆動部12は、保持部11を旋回させることもできる。例えば、駆動部12は、保持部11を上昇させる際や上昇端において、保持部11を旋回させることができる。この様にすれば、カバー34をチャンバ2の側方に移動させることができるので、窓23と電源ユニット3のメンテナンスがさらに容易となる。
また、投光部81および受光部82をカバー34と共に移動させることができるので、メンテナンスがさらに容易となる。投光部81および受光部82の取り外し作業を省略することができる。また、投光部81および受光部82がカバー34に固定されている。そのため、カバー34の再設置の際に元の位置戻すと、投光部81および受光部82も元の位置に戻る。したがって、投光部81および受光部82の光軸の再調整も容易となる。
【0107】
図16に示すように、複数の位置決めピン13は、チャンバ2の天井に設けることができる。また、保持部11またはカバー34には、位置決めピン13が挿入される孔を設けることができる。駆動部12により保持部11が下降した際には、位置決めピン13が保持部11またはカバー34に設けられた孔に挿入される。そのため、カバー34を、元の位置に設置することができる。
【0108】
図17(a)、(b)は、窓23のメンテナンスに用いる治具123を例示するための模式平面図である。
図17(b)は、図17(a)における治具123のA部の模式拡大図である。
図18は、窓23の設置を例示するための模式図である。
図17(a)および図18に示すように、治具123は略円環状を呈している。治具123には、位置決めピン13を挿入するための孔123bが複数設けられている。メンテナンスの度に治具123が所定の位置に所定の向きで必ず配置されるように、位置決めピン13の配置は、円環状の治具123に対して非対称の配置とすることが好ましい。このようにすることで、所定の位置で所定の向き以外では位置決めピン13が孔123bに嵌らない配置となる。
また、図17(a)、(b)に示すように、治具123の内壁には、凸部123aが設けられている。凸部123aの先端は、窓23の周縁に設けられた平坦面23a3と接触可能となっている。すなわち、窓23の周縁には、略円環状の治具123の内壁に設けられた凸部123aと接触する平坦面23a3が設けられている。
【0109】
窓23の設置を行う際には、図18に示すように、まず、治具123をチャンバ2の天井に設置する。この際、位置決めピン13を孔123bに挿入することで、治具123が所定の位置に所定の向きで設置される。
次に、窓23を治具123の内部に挿入し、治具123の凸部123aに、窓23の平坦面23a3を接触させる。この様にすれば、チャンバ2に対する窓23の位置を決めることができる。
次に、窓23をチャンバ2に固定した後に、治具123をチャンバ2から取り外す。
治具123を用いれば、窓23を所定の位置に設置するのが容易となる。
【0110】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0111】
例えば、ケース182c(181c)の長手方向における一方の側面に弾性体を設けてもよい。ケース182c(181c)の長手方向における一方の側面は、窓23と接触する面である。そのため、弾性体は、窓23よりも硬度の小さい材料であることが好ましい。弾性体は、例えば、ゴムやスポンジとすることができる。弾性体を設けることで、カバー移動部10によってカバー34が元の位置に戻される際に、窓23を傷つけることを防止することができる。なお、光が受光部82(投光部81)の受光面(投光面)を通過するのを妨げることが無い場合、弾性体は、受光部82(投光部81)の受光面(投光面)にも設けることができる。
【0112】
例えば、ケース182c(181c)を図12(b)のように、窓23から遠ざかる位置に移動させてからカバー34を元の位置に戻してもよい。このようにすることで、カバー移動部10によってカバー34が元の位置に戻される際に、窓23を傷つけることを防止することができる。なお、上記の弾性体を設ける場合と比べると、投光部81および受光部82の光軸を再調整する必要がある。そのため、作業者の作業量は、増加する。したがって、メンテナンスにかかる時間が増加する。しかし、台座182b2(181b2)が一対のレール182b1(181b1)の上にて保持されていれば、ケース182c(181c)のY方向の位置は、元の位置と同じである。そのため、投光部81および受光部82がカバー34と別体である場合と比べ、投光部81および受光部82の光軸を再調整することは、容易である。したがって、作業者の作業量は、減少する。その結果、メンテナンスにかかる時間は、減少する。
【符号の説明】
【0113】
1 プラズマ処理装置、2 チャンバ、3 電源ユニット、4 電源ユニット、5 減圧部、6 ガス供給部、7 載置台、8 検出部、9 コントローラ、10 カバー移動部、23 窓、23a1 傾斜面、23a2 傾斜面、23a3 平坦面、23b 中心軸、31 アンテナ、34 カバー、81 投光部、81a 移動部、82 受光部、82a 移動部、100 処理物、123 治具、123a 凸部、G ガス
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