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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053460
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】樹木判別プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20220329BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220329BHJP
   A01G 23/00 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
G06Q50/10
A01G23/00 551Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067026
(22)【出願日】2021-04-12
(62)【分割の表示】P 2020159387の分割
【原出願日】2020-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】519045387
【氏名又は名称】ASSEST株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】澤田 綾子
【テーマコード(参考)】
5L049
5L096
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L096CA02
5L096CA27
5L096DA02
5L096EA39
5L096FA66
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】森林の樹木の種類をより高精度に判別する。
【解決手段】森林における樹木の種類を判別する樹木判別プログラムにおいて、新たに樹木の種類を判別する森林がある土地の分類に関する土地分類情報を取得する情報取得ステップと、過去において森林がある土地の分類に関する参照用土地分類情報と、その森林における樹木の種類との3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにおいて取得した土地分類情報に応じた参照用土地分類情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、樹木の種類を判別する判別ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
森林における樹木の種類を判別する樹木判別プログラムにおいて、
新たに樹木の種類を判別する森林がある土地の分類に関する土地分類情報を取得する情報取得ステップと、
過去において森林がある土地の分類に関する参照用土地分類情報と、その森林における樹木の種類との3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにおいて取得した土地分類情報に応じた参照用土地分類情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、樹木の種類を判別する判別ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする樹木判別プログラム。
【請求項2】
上記情報取得ステップでは、新たに樹木の種類を判別する森林がある土地の地形に関する地形情報を取得し、
上記判別ステップでは、上記参照用土地分類情報と、過去において参照用土地分類情報を取得した森林がある土地の地形に関する参照用地形情報とを有する組み合わせと、その森林における樹木の種類との3段階以上の連関度を参照し、更に上記情報取得ステップにおいて取得した地形情報に応じた参照用地形情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、樹木の種類を判別すること
を特徴とする請求項1記載の樹木判別プログラム。
【請求項3】
上記情報取得ステップでは、新たに樹木の種類を判別する森林の測定点からの距離を測距センサにより測定した距離情報を取得し、
上記判別ステップでは、上記参照用土地分類情報と、過去において参照用土地分類情報を取得した森林の測定点からの距離を測距センサにより測定した参照用距離情報とを有する組み合わせと、その森林における樹木の種類との3段階以上の連関度を参照し、更に上記情報取得ステップにおいて取得した距離情報に応じた参照用距離情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、樹木の種類を判別すること
を特徴とする請求項1記載の樹木判別プログラム。
【請求項4】
上記情報取得ステップでは、新たに種類を判別する樹木について測定点からの距離を測距センサにより距離情報を測定することにより樹木の形状に関する形状情報を取得し、
上記判別ステップでは、上記参照用土地分類情報と、過去において参照用土地分類情報を取得した森林における樹木について測定点からの距離を測距センサにより測定することにより樹木の形状に関する参照用形状情報とを有する組み合わせと、その森林における樹木の種類との3段階以上の連関度を参照し、更に上記情報取得ステップにおいて取得した形状情報に応じた参照用形状情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、樹木の種類を判別すること
を特徴とする請求項1記載の樹木判別プログラム。
【請求項5】
上記情報取得ステップでは、新たに樹木の種類を判別する森林がある地域の気候に関する気候情報を取得し、
上記判別ステップでは、上記参照用土地分類情報と、過去において参照用土地分類情報を取得した森林がある地域の気候に関する参照用気候情報とを有する組み合わせと、その森林における樹木の種類との3段階以上の連関度を参照し、更に上記情報取得ステップにおいて取得した気候情報に応じた参照用気候情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、樹木の種類を判別すること
を特徴とする請求項1記載の樹木判別プログラム。
【請求項6】
森林における樹木の種類を判別する樹木判別プログラムにおいて、
新たに樹木の種類を判別する森林の測定点からの距離を測距センサにより測定した距離情報を取得する情報取得ステップと、
過去において森林の測定点からの距離を測距センサにより測定した参照用距離情報と、その森林における樹木の種類との3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにおいて取得した距離情報に応じた参照用距離情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、樹木の種類を判別する判別ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする樹木判別プログラム。
【請求項7】
森林における樹木の種類を判別する樹木判別プログラムにおいて、
新たに種類を判別する樹木について測定点からの距離を測距センサにより距離情報を測定することにより樹木の形状に関する形状情報を取得する情報取得ステップと、
過去において参照用土地分類情報を取得した森林における樹木について測定点からの距離を測距センサにより測定することにより樹木の形状に関する参照用形状情報と、その森林における樹木の種類との3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにおいて取得した形状情報に応じた参照用形状情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、樹木の種類を判別する判別ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする樹木判別プログラム。
【請求項8】
上記情報取得ステップでは、距離情報と樹木の形状とをデータセットにして学習させた機械学習モデルを利用し、新たに取得した距離情報から上記形状情報を探索し、
上記判別ステップでは、上記機械学習モデルを利用し、新たに取得した距離情報から上記参照用形状情報を探索すること
を特徴とする請求項7記載の樹木判別プログラム。
【請求項9】
上記判別ステップでは、人工知能におけるニューラルネットワークのノードの各出力の重み付け係数に対応する上記連関度を利用すること
を特徴とする請求項1~8のうち何れか1項記載の樹木判別プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、森林における樹木の種類を判別する樹木判別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、人工衛星やドローンなどにより空撮した森林の撮影画像等に基づいて、森林の状態を解析する技術が注目されている。森林の状態が解析できれば、森林の育成計画を立案し、木材の生産量も予測することができ、伐倒、造材の各作業計画も立案することができる。
【0003】
しかしながら、従来において森林の状態の中でも特に樹木の種類をより高精度に判別する技術が提案されていないのが現状であった。樹木の種類が特定できない場合、森林の育成計画を立案し、木材の生産量も予測することが困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、森林の樹木の種類をより高精度に判別することが可能な樹木判別プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明に係る樹木判別プログラムは、森林における樹木の種類を判別する樹木判別プログラムにおいて、新たに樹木の種類を判別する森林がある土地の分類に関する土地分類情報を取得する情報取得ステップと、過去において森林がある土地の分類に関する参照用土地分類情報と、その森林における樹木の種類との3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにおいて取得した土地分類情報に応じた参照用土地分類情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、樹木の種類を判別する判別ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
特段のスキルや経験が無くても、森林の種類を高精度に判別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明を適用したシステムの全体構成を示すブロック図である。
図2】探索装置の具体的な構成例を示す図である。
図3】本発明の動作について説明するための図である。
図4】本発明の動作について説明するための図である。
図5】本発明の動作について説明するための図である。
図6】本発明の動作について説明するための図である。
図7】本発明の動作について説明するための図である。
図8】本発明の動作について説明するための図である。
図9】本発明の動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した樹木の種類を判別するための樹木判別プログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0009】
図1は、本発明を適用した樹木判別プログラムが実装される樹木判別システム1の全体構成を示すブロック図である。樹木判別システム1は、情報取得部9と、情報取得部9に接続された探索装置2と、探索装置2に接続されたデータベース3とを備えている。
【0010】
情報取得部9は、本システムを活用する者が各種コマンドや情報を入力するためのデバイスであり、具体的にはキーボードやボタン、タッチパネル、マウス、スイッチ等により構成される。情報取得部9は、テキスト情報を入力するためのデバイスに限定されるものではなく、マイクロフォン等のような音声を検知してこれをテキスト情報に変換可能なデバイスで構成されていてもよい。また情報取得部9は、カメラ等の画像を撮影可能な撮像装置として構成されていてもよい。情報取得部9は、紙媒体の書類から文字列を認識できる機能を備えたスキャナで構成されていてもよい。また情報取得部9は、後述する判別装置2と一体化されていてもよい。情報取得部9は、検知した情報を判別装置2へと出力する。また情報取得部9は地図情報をスキャニングすることで位置情報を特定する手段により構成されていてもよい。また情報取得部9は、温度センサ、湿度センサ、風向センサ、を測るための照度センサで構成されていてもよい。また情報取得部9は、天候についてのデータを気象庁や民間の天気予報会社から取得する通信インターフェースで構成されていてもよい。また情報取得部9は身体に装着して身体のデータを検出するための身体センサで構成されていてもよく、この身体センサは、例えば体温、心拍数、血圧、歩数、歩く速度、加速度を検出するためのセンサで構成されていてもよい。また身体センサは人間のみならず動物の生体データを取得するものであってもよい。また情報取得部9は図面等の情報をスキャニングしたり、或いはデータベースから読み出すことで取得するデバイスとして構成されていてもよい。情報取得部9は、これら以外に臭気や香りを検知する臭気センサにより構成されていてもよい。
【0011】
データベース3は、樹木判別を行う上で必要な様々な情報が蓄積される。データベース3は、過去において森林を空中から撮像した参照用空中画像情報、過去において森林を地上から撮像した参照用地上画像情報、過去において参照用空中画像情報を撮像した森林がある土地の分類に関する参照用土地分類情報、過去において参照用空中画像情報を撮像した森林がある土地の地形に関する参照用地形情報、過去において参照用空中画像情報を撮像した森林の測定点からの距離を測距センサにより測定した参照用距離情報、過去において参照用空中画像情報を撮像した森林における樹木について測定点からの距離を測距センサにより測定することにより樹木の太さ及び高さからなる参照用形状情報、過去において参照用空中画像情報を撮像した森林がある地域の気候に関する参照用気候情報と、過去において判別された樹木の種類とのデータセットが記憶されている。
【0012】
つまり、データベース3には、このような参照用空中画像情報、参照用地上画像情報、参照用土地分類情報、参照用地形情報、参照用距離情報、参照用形状情報、参照用気候情報の何れか1以上と、過去において判定された樹木の種類とが互いに紐づけられて記憶されている。
【0013】
探索装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。ユーザは、この探索装置2による探索解を得ることができる。
【0014】
図2は、探索装置2の具体的な構成例を示している。この探索装置2は、探索装置2全体を制御するための制御部24と、操作ボタンやキーボード等を介して各種制御用の指令を入力するための操作部25と、有線通信又は無線通信を行うための通信部26と、各種判断を行う推定部27と、ハードディスク等に代表され、実行すべき検索を行うためのプログラムを格納するための記憶部28とが内部バス21にそれぞれ接続されている。さらに、この内部バス21には、実際に情報を表示するモニタとしての表示部23が接続されている。
【0015】
制御部24は、内部バス21を介して制御信号を送信することにより、探索装置2内に実装された各構成要素を制御するためのいわゆる中央制御ユニットである。また、この制御部24は、操作部25を介した操作に応じて各種制御用の指令を内部バス21を介して伝達する。
【0016】
操作部25は、キーボードやタッチパネルにより具現化され、プログラムを実行するための実行命令がユーザから入力される。この操作部25は、上記実行命令がユーザから入力された場合には、これを制御部24に通知する。この通知を受けた制御部24は、推定部27を始め、各構成要素と協調させて所望の処理動作を実行していくこととなる。この操作部25は、前述した情報取得部9として具現化されるものであってもよい。
【0017】
推定部27は、探索解を推定する。この推定部27は、推定動作を実行するに当たり、必要な情報として記憶部28に記憶されている各種情報や、データベース3に記憶されている各種情報を読み出す。この推定部27は、人工知能により制御されるものであってもよい。この人工知能はいかなる周知の人工知能技術に基づくものであってもよい。
【0018】
表示部23は、制御部24による制御に基づいて表示画像を作り出すグラフィックコントローラにより構成されている。この表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現される。
【0019】
記憶部28は、ハードディスクで構成される場合において、制御部24による制御に基づき、各アドレスに対して所定の情報が書き込まれるとともに、必要に応じてこれが読み出される。また、この記憶部28には、本発明を実行するためのプログラムが格納されている。このプログラムは制御部24により読み出されて実行されることになる。
【0020】
上述した構成からなる樹木判別システム1における動作について説明をする。
【0021】
樹木判別システム1では、例えば図3に示すように、参照用空中画像情報と、樹木の種類との3段階以上の連関度が予め設定され、取得されていることが前提となる。
【0022】
参照用空中画像情報とは、空中、上空から森林を撮像した画像である。この参照用空中画像情報を取得するためには航空機やヘリコプター、更にはドローン等の無人航空機により上空から森林を撮像することに得ることができる。また参照用空中画像情報は、人工衛星により撮像した衛星画像により構成されるものであってもよい。この参照用空中画像情報は、通常のRGB画像以外に、スペクトル毎に色分けされたいわゆるスペクトル画像で構成されるものであってもよい。
【0023】
樹木の種類は、スギ、クヌギ、ヒノキ、マツ等、実際の樹木の種類名で構成される。
【0024】
つまり、この参照用空中画像情報と、樹木の種類のデータセットを通じて、参照用空中画像情報において生じた様々な画像の特徴と、樹木の種類の関係が分かる。つまり参照用空中画像情報の画像の特徴と樹木の種類とがデータセットとなっている。このため、参照用空中画像情報と樹木の種類のデータセットを集めておくことにより、過去どのような画像の特徴がある場合に、樹木の種類がどのように判定されたかを知ることが可能となる。
このデータセットを構築する場合には、予め樹木の種類が既知である森林地帯について上空から画像を撮像することで参照用空中画像を取得し、その既知の樹木の種類とデータセットを作る。
【0025】
図3の例では、入力データとして例えば参照用空中画像情報P01~P03であるものとする。このような入力データとしての参照用空中画像情報は、出力に連結している。この出力においては、出力解としての、樹木の種類が表示されている。
【0026】
参照用空中画像情報は、この出力解としての樹木の種類に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用空中画像情報がこの連関度を介して左側に配列し、樹木の種類が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用空中画像情報に対して、何れの樹木の種類と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用空中画像情報が、いかなる樹木の種類に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用空中画像情報から最も確からしい樹木の種類を選択する上での的確性を示すものである。図3の例では、連関度としてw13~w19が示されている。このw13~w19は以下の表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力としての樹木の種類と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力としての樹木の種類と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0027】
【表1】
【0028】
探索装置2は、このような図3に示す3段階以上の連関度w13~w19を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用空中画像情報と、その場合の樹木の種類の何れが採用されたか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図3に示す連関度を作り上げておく。
【0029】
例えば、ある参照用空中画像情報が、樹木の種類A(例えば、ヒノキ)と判定されたものとする。このような状況において、類似のパターンの参照用空中画像情報が、樹木の種類Aと判定されたものが同様に多かったものとする。このような場合には、樹木の種類Aの連関度が強くなる。これに対して、全く同じ参照用空中画像情報のパターン(分類)において、樹木の種類B(例えば、スギ)と判定されたものが多く、樹木の種類Aと判定されたものが少なかったものとする。かかる場合には、樹木の種類Bの連関度が強くなり、樹木の種類Aの連関度が低くなる。
【0030】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用空中画像情報P01である場合に、過去の樹木の種類の判定結果のデータから分析する。参照用空中画像情報P01である場合に、樹木の種類Aの事例が多い場合には、この樹木の種類Aにつながる連関度をより高く設定し樹木の種類Bの事例が多い場合には、この樹木の種類Bにつながる連関度をより高く設定する。例えば参照用空中画像情報P01の例では、樹木の種類Aと樹木の種類Bにリンクしているが、以前の事例から樹木の種類Aにつながるw13の連関度を7点に、樹木の種類Bにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0031】
また、この図3に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0032】
かかる場合には、図4に示すように、入力データとして参照用空中画像情報が入力され、出力データとして各樹木の種類が出力され、入力ノードと出力ノードの間に少なくとも1以上の隠れ層が設けられ、機械学習させるようにしてもよい。また、逆に樹木の種類が入力で参照用空中画像情報が出力となるように構成されていてもよい。
【0033】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに樹木の種類の判定を行う上で、上述した学習済みデータを利用して樹木の種類を予測することとなる。かかる場合には、実際に新たに樹木の種類を判別したい森林の空中画像情報を取得する。この空中画像情報の取得方法は、上述した参照用空中画像情報と同様である。
【0034】
新たに取得する空中画像情報は、上述した情報取得部9により入力される。情報取得部9は、このような空中画像情報を電子データとして取得するようにしてもよい。
【0035】
このようにして新たに取得した空中画像情報に基づいて、実際にその空中画像情報に対して、判定される可能性の高い樹木の種類を探索する。かかる場合には、予め取得した図3(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した空中画像情報がP02と同一かこれに類似するものである場合には、連関度を介して樹木の種類Bがw15、樹木の種類Cが連関度w16で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い樹木の種類Bを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる樹木の種類Cを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0036】
このようにして、新たに取得する空中画像情報から、判定すべき樹木の種類を探索し、ユーザに表示することができる。この探索結果を見ることにより、ユーザは、探索された樹木の種類に基づいて、樹木の伐採計画や育成計画を練ることが可能となる。ちなみに、この樹木の種類を出力する過程において、単に探索された樹木の種類のみを表示する以外に、この樹木の種類に基づいて、具体的にどの時期に伐採すべきかまでを表示することで助言を構成するようにしてもよい。
【0037】
図5の例では、入力データとして例えば参照用空中画像情報P01~P03、参照用地上画像情報P14~17であるものとする。このような入力データとしての、参照用空中画像情報に対して、参照用地上画像情報が組み合わさったものが、図5に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、各樹木の種類が表示されている。
【0038】
図5の例では、参照用空中画像情報と、参照用地上画像情報との組み合わせが形成されていることが前提となる。参照用地上画像情報とは、実際に地上から森林を撮像した画像である。この参照用地上画像情報は、通常のRGB画像以外に、スペクトル毎に色分けされたいわゆるスペクトル画像で構成されるものであってもよい。また参照用地上画像情報は、樹木の枝葉の部分を撮像したものであっても良いが、あえて樹木の幹の部分や根の部分を撮像したものであっても良い。
【0039】
図5の例では、入力データとして例えば参照用空中画像情報P01~P03、参照用地上画像情報P14~17であるものとする。このような入力データとしての、参照用空中画像情報に対して、参照用地上画像情報が組み合わさったものが、図5に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての樹木の種類が表示されている。
【0040】
参照用空中画像情報と参照用地上画像情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての樹木の種類に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用空中画像情報と参照用地上画像情報がこの連関度を介して左側に配列し、樹木の種類が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用空中画像情報と参照用地上画像情報に対して、各樹木の種類と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用空中画像情報と参照用地上画像情報が、いかなる樹木の種類に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用空中画像情報と参照用地上画像情報から最も確からしい各樹木の種類を選択する上での的確性を示すものである。空中画像情報に加え、実際にその地上から撮像した画像に応じて判別することでその精度を向上させることが可能となる。このため、これらの参照用空中画像情報と参照用地上画像情報の組み合わせで、最適な樹木の種類を探索していくこととなる。
【0041】
図5の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0042】
探索装置2は、このような図5に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で参照用空中画像情報と参照用地上画像情報、並びにその場合の樹木の種類の何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図5に示す連関度を作り上げておく。
【0043】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用空中画像情報P01で、参照用地上画像情報P16である場合に、その樹木の種類を過去のデータから分析する。樹木の種類Aの事例が多い場合には、この樹木の種類Aにつながる連関度をより高く設定し、樹木の種類Bの事例が多く、樹木の種類Aの事例が少ない場合には、樹木の種類Bにつながる連関度を高くし、樹木の種類Aにつながる連関度を低く設定する。例えば中間ノード61aの例では、樹木の種類Aと樹木の種類Bの出力にリンクしているが、以前の事例から樹木の種類Aにつながるw13の連関度を7点に、樹木の種類Bにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0044】
また、この図5に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0045】
図5に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用空中画像情報P01に対して、参照用地上画像情報P14の組み合わせのノードであり、樹木の種類Cの連関度がw15、樹木の種類Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用空中画像情報P02に対して、参照用地上画像情報P15、P17の組み合わせのノードであり、樹木の種類Bの連関度がw17、樹木の種類Dの連関度がw18となっている。
【0046】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから樹木の種類判定のための探索を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、新たに樹木の種類の判定を行う企業から空中画像情報に加え、地上画像情報を取得する。この地上画像情報は、上述した参照用地上画像情報に対応するものであり、その取得方法も同様である。
【0047】
このようにして新たに取得した空中画像情報、地上画像情報に基づいて、最適な樹木の種類を探索する。かかる場合には、予め取得した図5(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した空中画像情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、地上画像情報がP17と同一かこれに類似する場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、樹木の種類Cがw19、樹木の種類Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い樹木の種類Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる樹木の種類Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0048】
また、入力から伸びている連関度w1~w12の例を以下の表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
この入力から伸びている連関度w1~w12に基づいて中間ノード61が選択されていてもよい。つまり連関度w1~w12が大きいほど、中間ノード61の選択における重みづけを重くしてもよい。しかし、この連関度w1~w12は何れも同じ値としてもよく、中間ノード61の選択における重みづけは何れも全て同一とされていてもよい。
【0051】
図6は、上述した参照用空中画像情報と、参照用土地分類情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する樹木の種類との3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0052】
参照用土地分類情報とは、例えば国土交通省が掲載、発表している、土地分類調査のデータ等で構成され、表層の地質や土壌、土地の利用状況や災害履歴に関する情報である。この参照用土地分類情報は、これらの中でも表層の地質や土壌に関する情報で構成される。
【0053】
図6の例では、入力データとして例えば参照用空中画像情報P01~P03、参照用土地分類情報P18~21であるものとする。このような入力データとしての、参照用空中画像情報に対して、参照用土地分類情報が組み合わさったものが、図6に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、樹木の種類が表示されている。
【0054】
参照用空中画像情報と参照用土地分類情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、樹木の種類に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用空中画像情報と参照用土地分類情報がこの連関度を介して左側に配列し、樹木の種類が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用空中画像情報と参照用土地分類情報に対して、樹木の種類と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用空中画像情報と参照土地分類情報が、いかなる樹木の種類に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用空中画像情報と参照用土地分類情報から最も確からしい各樹木の種類を選択する上での的確性を示すものである。空中画像情報に加え、実際の土壌との関係に応じて、種類を絞り込むことができる。このため、これらの参照用空中画像情報と参照用土地分類情報の組み合わせで、最適な樹木の種類を探索していくこととなる。
【0055】
図6の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0056】
探索装置2は、このような図6に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用空中画像情報と参照用土地分類情報、並びにその場合の樹木の種類が何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図6に示す連関度を作り上げておく。
【0057】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用空中画像情報P01で、参照用土地分類情報P20である場合に、その樹木の種類を過去のデータから分析する。例えば中間ノード61aの例では、樹木の種類Aと、樹木の種類Bの出力にリンクしているが、以前の事例から樹木の種類Aにつながるw13の連関度を7点に、樹木の種類Bにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0058】
また、この図6に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0059】
図6に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用空中画像情報P01に対して、参照用土地分類情報P18の組み合わせのノードであり、樹木の種類Cの連関度がw15、樹木の種類Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用空中画像情報P02に対して、参照用土地分類情報P19、P21の組み合わせのノードであり、樹木の種類Bの連関度がw17、樹木の種類Dの連関度がw18となっている。
【0060】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに森林の樹木の種類判別を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、上述した空中画像情報に加え、新たに樹木の種類を判定する森林の土地分類情報を取得する。土地分類情報は、参照用土地分類情報に対応したものであり、例えば国土交通省やその他機関において保存されているデータから取得するようにしてもよい。
【0061】
このようにして新たに取得した空中画像情報、土地分類情報に基づいて、樹木の種類を探索する。かかる場合には、予め取得した図6(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した空中画像情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、土地分類情報がP21である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、樹木の種類Cがw19、樹木の種類Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い樹木の種類Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる樹木の種類Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0062】
なお、上述した図6に示す実施形態は、参照用情報として参照用土地分類情報を利用しているが、これに限定されるものではなく、参照用土地分類情報の代替として、参照用地形情報を参照用空中画像情報と共に学習させるようにしてもよい。この参照用地形情報は、同様に国土交通省が保有するデータから取得可能なものであり、その参照用空中画像情報を撮像した森林がある土地の地形に関するあらゆる情報である。この参照用地形情報の例としては、標高データや等高線データ、山の斜面に生えている樹木であればその斜面の勾配、川があるのであれば川との位置関係等、地形に関連するあらゆるデータが含まれる。
【0063】
かかる場合には、図6において、参照用土地分類情報の代替として参照用地形情報と、参照用空中画像情報とを有する組み合わせと、その森林における樹木の種類との3段階以上の連関度を形成しておく。そして入力データとして、空中画像情報に加えて、新たに地形情報を取得する。この地形情報は、空中画像情報を撮像する森林の地形に関する情報であり、その情報の内容は参照用地形情報に応じたものとなる。この取得した地形情報と同一又は類似の参照用地形情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、樹木の種類を判別する。
【0064】
なお、上述した図6に示す実施形態は、参照用情報として参照用土地分類情報を利用しているが、これに限定されるものではなく、参照用土地分類情報の代替として、過去において参照用空中画像情報を撮像した森林がある地域の気候に関する参照用気候情報を参照用空中画像情報と共に学習させるようにしてもよい。この参照用気候情報は、例えば気象庁や民間の気象予測業者が保有するデータから取得可能なものであり、その参照用空中画像情報を撮像した森林がある地域における気候に関するあらゆる情報である。この参照用気候情報の例としては、その地域における過去の温度や湿度、天気、降水量、風向きや風速等に関する情報である。その森林における樹木の種類は、その地域における気候と相関している場合があることから、これを学習データに加えたものである。
【0065】
かかる場合には、図6において、参照用土地分類情報の代替として参照用気候情報と、参照用空中画像情報とを有する組み合わせと、その森林における樹木の種類との3段階以上の連関度を形成しておく。そして入力データとして、空中画像情報に加えて、新たに気候情報を取得する。この気候情報は、空中画像情報を撮像する森林の地域における気候に関する情報であり、その情報の内容は参照用気候情報に応じたものとなる。この取得した気候情報と同一又は類似の参照用気候情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、樹木の種類を判別する。
【0066】
図7は、上述した参照用空中画像情報と、参照用距離情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する樹木の種類との3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0067】
参照用距離情報とは、過去において参照用空中画像情報を撮像した森林の測定点からの距離を測距センサにより測定した情報である。測距センサは、例えば赤外線を利用した公知の測距センサであってもよいし、公知のレーザ距離計を利用してもよい。また、LiDAR(Light Detection And Ranging) のようなは光学式レーダー又はレーザーレーダを利用するようにしてもよい。即ち、電磁波の代わりにレーザー光を用いて距離センシングと二次元又は三次元の空間イメージングをレーザ画像を介して取得するようにしてもよい。
【0068】
このような測距センサにより距離を測定する際には、地上のある測定点からセンシングを行う。センシングの対象は、一の樹木に着目してもよいし、複数の樹木を捉えるようにしてもよい。一の樹木に着目する際には、更に樹木の枝葉を対象とするのか、樹木の幹を対象とするのかを予め決めておくようにしてもよい。
【0069】
図7の例では、入力データとして例えば参照用空中画像情報P01~P03、参照用距離情報P18~21であるものとする。このような入力データとしての、参照用空中画像情報に対して、参照用距離情報が組み合わさったものが、図7に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、樹木の種類が表示されている。
【0070】
参照用空中画像情報と参照用距離情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、樹木の種類に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用空中画像情報と参照用距離情報がこの連関度を介して左側に配列し、樹木の種類が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用空中画像情報と参照用距離情報に対して、樹木の種類と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用空中画像情報と参照距離情報が、いかなる樹木の種類に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用空中画像情報と参照用距離情報から最も確からしい各樹木の種類を選択する上での的確性を示すものである。距離の情報を介して樹木の二次元的な形状や三次元的な形状も検出することができ、これらの情報を通じて樹木の種類を絞り込むことができる。このため、これらの参照用空中画像情報と参照用距離情報の組み合わせで、最適な樹木の種類を探索していくこととなる。
【0071】
図7の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0072】
探索装置2は、このような図7に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用空中画像情報と参照用距離情報、並びにその場合の樹木の種類が何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図7に示す連関度を作り上げておく。
【0073】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用空中画像情報P01で、参照用距離情報P20である場合に、その樹木の種類を過去のデータから分析する。例えば中間ノード61aの例では、樹木の種類Aと、樹木の種類Bの出力にリンクしているが、以前の事例から樹木の種類Aにつながるw13の連関度を7点に、樹木の種類Bにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0074】
また、この図7に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0075】
図7に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用空中画像情報P01に対して、参照用距離情報P18の組み合わせのノードであり、樹木の種類Cの連関度がw15、樹木の種類Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用空中画像情報P02に対して、参照用距離情報P19、P21の組み合わせのノードであり、樹木の種類Bの連関度がw17、樹木の種類Dの連関度がw18となっている。
【0076】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに森林の樹木の種類判別を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、上述した空中画像情報に加え、新たに樹木の種類を判定する森林の距離情報を取得する。距離情報は、参照用距離情報に対応したものであり、例えば国土交通省やその他機関において保存されているデータから取得するようにしてもよい。
【0077】
このようにして新たに取得した空中画像情報、距離情報に基づいて、樹木の種類を探索する。かかる場合には、予め取得した図7(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した空中画像情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、土地分類情報がP21である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、樹木の種類Cがw19、樹木の種類Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い樹木の種類Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる樹木の種類Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0078】
なお、この図7に示す形態においては、参照用距離情報をそのまま利用するのではなく、その測距センサにより測定したデータに基づいて取得した樹木の形状からなる参照用形状情報を利用するようにしてもよい。ここでいう樹木の形状は、樹木の幹の太さ、幹の高さ、枝分かれの度合い、樹木の表皮の形状、樹木の高さ、葉の繁る位置等、あらゆる形状の情報が含まれる。
【0079】
かかる場合には、測距センサにより測定した距離データと、樹木の形状データとの間で互いの関係を予め調べておき、測距センサにより測定した距離データに対する樹木の形状データとのテーブルを作っておき、これをデータベース3に格納しておく。そして、測距センサにより新たに距離データを測定した場合、これに該当する樹木の形状データをデータベース3に格納したテーブルを参照し、これに適合する樹木の形状データを読み出す。
【0080】
このとき、図8に示すように予め参照用距離情報と、樹木の形状とをデータセットにして学習させた機械学習モデルを利用してもよい。人間が判定した樹木の形状、又は画像から判定した樹木の形状に対して、測距センサによる距離データに基づく参照用距離情報との間でデータセットを作り、これを学習させる。そして、入力情報として新たに距離情報を取得した場合に、これに該当する樹木の形状を解探索する。この解探索の具体的な方法は、図3、4の説明を引用することで以下での説明を省略する。
【0081】
図9は、参照用距離情報を通じて取得した樹木の形状をデータ化した、或いは測距センサを通じて直接的に取得した参照用形状情報と、参照用空中画像当該組み合わせに対する樹木の種類との3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0082】
探索装置2は、このような図9に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用空中画像情報と参照用形状情報、並びにその場合の樹木の種類が何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図9に示す連関度を作り上げておく。この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。
【0083】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに森林の樹木の種類判別を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、上述した空中画像情報に加え、形状情報を取得する。形状情報は、参照用形状情報に対応したものであり、その取得方法も参照用形状情報と同様であり、データベース3に記憶された上述したテーブルや、図8に示す機械学習モデルを利用する。
【0084】
このようにして新たに取得した空中画像情報、形状情報に基づいて、樹木の種類を探索する。かかる場合には、予め取得した図9(表1)に示す連関度を参照し、上述と同様に解探索する。
【0085】
なお、上述した実施の形態では、あくまで参照用空中画像情報と、樹木の種類との関係を予め学習させる場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではない。参照用空中画像情報の代替として、参照用地上画像情報と樹木の種類との関係を学習させて上述した連関度を介して関連付けるようにしてもよいし、参照用距離情報と樹木の種類との関係を学習させて上述した連関度を介して関連付けるようにしてもよいし、更には参照用形状情報と樹木の種類との関係を学習させて上述した連関度を介して関連付けるようにしてもよい。かかる場合には、その学習させた参照用情報に応じた情報(地上画像情報、距離情報、形状情報の何れか)の入力を受け付けた場合に、これに応じた探索解としての樹木の種類を求める。その具体的な求め方は、上述した図3、4の説明を引用することにより以下での説明を省略する。
【0086】
また、基調とする参照用情報が、参照用地上画像情報、参照用距離情報、参照用形状情報の何れかである場合に、これと他の参照用情報(参照用地上画像情報、参照用土地分類情報、参照用地形情報、参照用距離情報、参照用形状情報、参照用気候情報)を組み合わせて、樹木の種類との3段階以上の連関度を形成するようにしてもよい。そして入力データとして、基調とする参照用情報(参照用地上画像情報、参照用距離情報、参照用形状情報の何れか)に応じた情報(地上画像情報、距離情報、形状情報)と、基調とする参照用情報と組み合わせた他の参照用情報に応じた情報(地上画像情報、土地分類情報、地形情報、距離情報、形状情報、気候情報)が入力された場合に、上述と同様に探索解としての樹木の種類を求める。その具体的な求め方は、上述した図5~7の説明を引用することにより以下での説明を省略する。
【0087】
なお、基調となる情報(空中画像情報、地上画像情報、距離情報、形状情報)に加えて、他の情報(地上画像情報、土地分類情報、地形情報、距離情報、形状情報、気候情報)の何れか2以上を取得する場合には、その取得する2以上の情報に応じた、2以上の参照用情報を基調となる参照用情報(参照用空中画像情報、参照用地上画像情報、参照用距離情報、参照用形状情報)との組み合わせと、当該組み合わせに対する樹木の種類との3段階以上の連関度からなる学習用データを作っておくことで、同様に信用度の解探索を行うことができる。
【0088】
上述した連関度においては、10段階評価で連関度を表現しているが、これに限定されるものではなく、3段階以上の連関度で表現されていればよく、逆に3段階以上であれば100段階でも1000段階でも構わない。一方、この連関度は、2段階、つまり互いに連関しているか否か、1又は0の何れかで表現されるものは含まれない。
【0089】
上述した構成からなる本発明によれば、特段のスキルや経験が無くても、誰でも手軽に融資を検討している企業の信用度の探索を行うことができる。また本発明によれば、この探索解の判断を、人間が行うよりも高精度に行うことが可能となる。更に、上述した連関度を人工知能(ニューラルネットワーク等)で構成することにより、これを学習させることでその判別精度を更に向上させることが可能となる。
【0090】
なお、上述した入力データ、及び出力データは、学習させる過程で完全に同一のものが存在しない場合も多々あることから、これらの入力データと出力データを類型別に分類した情報であってもよい。つまり、入力データを構成する情報P01、P02、・・・・P15、16、・・・は、その情報の内容に応じて予めシステム側又はユーザ側において分類した基準で分類し、その分類した入力データと出力データとの間でデータセットを作り、学習させるようにしてもよい。
【0091】
また、本発明によれば、3段階以上に設定されている連関度を介して最適な解探索を行う点に特徴がある。連関度は、上述した10段階以外に、例えば0~100%までの数値で記述することができるが、これに限定されるものではなく3段階以上の数値で記述できるものであればいかなる段階で構成されていてもよい。
【0092】
このような3段階以上の数値で表される連関度に基づいてより信用度に関する信憑性が高く、誤認の低い信用度を判別することで、探索解の可能性の候補として複数考えられる状況下において、当該連関度の高い順に探索して表示することも可能となる。
【0093】
これに加えて、本発明によれば、連関度が1%のような極めて低い出力の判別結果も見逃すことなく判断することができる。連関度が極めて低い判別結果であっても僅かな兆候として繋がっているものであり、何十回、何百回に一度は、その判別結果として役に立つ場合もあることをユーザに対して注意喚起することができる。
【0094】
更に本発明によれば、このような3段階以上の連関度に基づいて探索を行うことにより、閾値の設定の仕方で、探索方針を決めることができるメリットがある。閾値を低くすれば、上述した連関度が1%のものであっても漏れなく拾うことができる反面、より適切な判別結果を好適に検出できる可能性が低く、ノイズを沢山拾ってしまう場合もある。一方、閾値を高くすれば、最適な探索解を高確率で検出できる可能性が高い反面、通常は連関度は低くてスルーされるものの何十回、何百回に一度は出てくる好適な解を見落としてしまう場合もある。いずれに重きを置くかは、ユーザ側、システム側の考え方に基づいて決めることが可能となるが、このような重点を置くポイントを選ぶ自由度を高くすることが可能となる。
【0095】
更に本発明では、上述した連関度を更新させるようにしてもよい。この更新は、例えばインターネットを始めとした公衆通信網を介して提供された情報を反映させるようにしてもよい。また市況情報に加え、イベント情報、外部環境情報、家計情報、不動産情報、専門家意見情報、自然環境情報に関する知見、情報、データを取得した場合、これらに応じて連関度を上昇させ、或いは下降させる。
【0096】
つまり、この更新は、人工知能でいうところの学習に相当する。新たなデータを取得し、これを学習済みデータに反映させることを行っているため、学習行為といえるものである。
【0097】
また、この連関度の更新は、公衆通信網から取得可能な情報に基づく場合以外に、専門家による研究データや論文、学会発表や、新聞記事、書籍等の内容に基づいてシステム側又はユーザ側が人為的に、又は自動的に更新するようにしてもよい。これらの更新処理においては人工知能を活用するようにしてもよい。
【0098】
また学習済モデルを最初に作り上げる過程、及び上述した更新は、教師あり学習のみならず、教師なし学習、ディープラーニング、強化学習等を用いるようにしてもよい。教師なし学習の場合には、入力データと出力データのデータセットを読み込ませて学習させる代わりに、入力データに相当する情報を読み込ませて学習させ、そこから出力データに関連する連関度を自己形成させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 樹木判別システム
2 探索装置
21 内部バス
23 表示部
24 制御部
25 操作部
26 通信部
27 推定部
28 記憶部
61 ノード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9