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  • 特開-りん棒 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053477
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】りん棒
(51)【国際特許分類】
   A47G 33/00 20060101AFI20220329BHJP
【FI】
A47G33/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104507
(22)【出願日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2020159200
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020194053
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】392031790
【氏名又は名称】株式会社小泉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】小泉 俊博
(57)【要約】
【課題】さらに手で持ちやすくするとともに、紛失や幼児等の誤飲等によるトラブルの発生を防ぐのに有効なりん棒の提供を目的とする。
【解決手段】打撃部と把持部と、前記打撃部と前記把持部とをつなぐ連結部を備え、前記把持部は中心側が開口した開口部を有するリング形状部になっていて、前記開口部の大きさが人の指先が入る大きさであることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃部と把持部と、前記打撃部と前記把持部とをつなぐ連結部を備え、
前記把持部は中心側が開口した開口部を有するリング形状部になっていて、前記開口部の大きさが人の指先が入る大きさであることを特徴とするりん棒。
【請求項2】
前記リング形状部の外形寸法が前記打撃部の外形寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のりん棒。
【請求項3】
前記リング形状部は柔軟性材又は弾性材で形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のりん棒。
【請求項4】
前記打撃部は重り部を内設した被覆部を有し、
前記被覆部、連結部及び把持部とが一体的に成形されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のりん棒。
【請求項5】
前記リング形状部は開口部の内側上部に凸部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のりん棒。
【請求項6】
前記リング形状部は略ハート形状であることを特徴とする請求項5記載のりん棒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仏りんを打ち鳴らすために用いられる、りん棒に関する。
【背景技術】
【0002】
仏りんは、おりん(お鈴)とも称され、仏壇等にお参りする際に打りんして音を鳴らすのに用いられている。
このおりんを打ち鳴らす打りんに用いられるのが、りん棒である。
おりんは打りん時に、例えばチーンという澄んだ音色の音が鳴り、人々の邪念を払うと言われ、仏様や先祖、故人への思いを込めて鳴らすものであり、法事等の家族や親類の集まりの中で行われることも多い。
近年は小家族化が進み、おりん等の仏具も小型になり、りん棒も小型化している。
このような状況に伴い、小型であっても手で持ちやすくて、おりんを打りんしやすいりん棒が要求されている。
また、りん棒が小型化されるのに伴い、紛失しやすかったり幼児等による誤飲等のトラブル対策も必要である。
さらには、小さいりん棒では、高齢者や手指の不自由な人にとっては持ち難い問題も生じている。
【0003】
本出願人は先に、個人の好みに応じた多彩なデザインを施した鈴棒を提案している(特許文献1)。
この特許文献1に開示するりん棒は、把持部を平板状にすることで各種のデザイン的に優れたものになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-147648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、さらに手で持ちやすくするとともに、紛失や幼児等の誤飲等によるトラブルの発生を防ぐのに有効なりん棒の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るりん棒は、打撃部と把持部と、前記打撃部と前記把持部とをつなぐ連結部を備え、前記把持部は中心側が開口した開口部を有するリング形状部になっていて、前記開口部の大きさが人の指先が入る大きさであることを特徴とする。
なお、持ちやすい点では、前記リング形状部の外形寸法が前記打撃部の外形寸法よりも大きいのが好ましい。
人の指先が入る大きさとは、高齢になると握力が低下し、小型のりん棒を摘まみ上げるのが難しくなるが、リング形状部の開口部に指先が入ると、このリング部に指先を差し込み、持ち上げることができる。
【0007】
ここで前記リング形状部は、柔軟性材又は弾性材で形成されているのが好ましい。
このように、リング形状部を柔軟性材又は弾性材で形成すると、リング形状部が潰れるように手で握って持ち上げることもでき、手を離すとリング形状に戻る。
ここで、柔軟性材,弾性材としては、ゴム製,樹脂製及び金属線材等が例として挙げられる。
また、紐材を用いてもよいが、その場合には幼児等の誤飲を防止できる程度に弾力性を有する比較的硬いものがよい。
また、把持部がリング形状であると、りん棒を横にして置いた際に転がるのを防止し、また、リング形状部の開口部を用いて吊り下げて収納することもできる。
幼児が誤って呑み込んだ際にもリング形状部が口の中に残り、それ以上呑み込むのを防止する。
【0008】
ここでリング形状部とは、リング部材を枠状に形成したものであり、枠状の形状は略円形状、楕円形状、逆三角形状、略四角形状あるいは多角形状等、中心部側が開口した枠状であれば、その外形形状に制限はない。
例えば、リング形状部はハート形状にしてもよい。
さらには、リング形状部の開口部内側の上部に凸部を有すると、この凸部を支点にして左右,前後に振れやすくなる。
【0009】
本発明において、前記打撃部は重り部を内設した被覆部を有し、前記被覆部、連結部及び把持部とが一体的に成形されているようにすることもできる。
ここで重り部とは、把持部や連結部よりも重く、りん棒全体の重心が打撃部の中心寄りに、さらにはそれよりも打撃部の底部(先端部)側に有する。
このようにすると、把持部側を上にして重り部側が下側に位置するように起立させることもできる。
重り部の底部は凸形状になっていて、凸部の突面が平坦であると安定して自立する。
【0010】
例えば、この重り部の側面部を鋳ぐるむようにして連結部及び把持部とを射出成形等にて一体成形すると生産性に優れる。
このように、重り部の側面部を鋳ぐるみ、底部から重り部が外部に露出するようにすると不用になり、廃棄する際に重り部を取り出し、分別しやすくなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るりん棒は、リング形状部からなる把持部と打撃部とからなるので、リング形状部を指先で持ち上げやすくなり、おりんを打りんするのが容易になる。
従来の棒状のりん棒では、指で摘まみ上げるのに少なくとも3本の指が必要となり、握力が低下した高齢者や手指が不自由な人には、摘まみにくかった。
これに対して本発明は、リング形状からなる把持部にしたので、例えば親指の指先を差し込み持ち上げて、振り子のように打りんとすることもできる。
また、リング形状部をリング部が保持できる柔軟性材,弾性材にすると、手で握るように潰しながら持ち上げることもできる。
また、りん棒を横にした場合にはリング形状部は横方向に延在するようになり、打撃部が略球状であっても転がるのを防止する。
さらには、幼児が誤って打撃部を口の中に入れたとしてもリング形状部の外形寸法が打撃部の外形寸法よりも大きい場合には、誤って呑み込むのを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)は本発明に係るりん棒の外観を示し、(b)はその断面図を示す。
図2】りん棒を横に寝かした状態を示す。
図3】りん棒のリング部を親指にて持ち上げた状態を示す。
図4】リング部の開口部内側の上部に凸部を有する例を示す。
図5】リング部の形状がハート形状である例を示す。
図6】ハート形状のリング部を親指にて持ち上げた例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るりん棒10の構造例を図1に示し、横に寝かした状態を図2に示す。
また、りん棒のリング部を親指にて持ち上げた状態を図3に示す。
りん棒は、おりんの縁部に打ち当たる打撃部11と、リング部材を用いてリング形状部としたリング部13aを有し、この打撃部11とリング部13aとは連結部12にて繋いである。
本実施例では、リング部13aを形成するリング部材は、断面が円形状で外径寸法dが3~6mmの樹脂製となっている。
打撃部11は、略球形状で重り部11bと、この重り部11bが内設された被覆部11aとから形成された例になっている。
また、リング形状部となっている把持部13と、連結部12から被覆部11aまでを樹脂材料を用いて一体的に、例えば射出成形等により一体成形した例になっている。
樹脂としては、ポリピロピレン,ポリエチレン,ナイロン,ポリスチレン等の汎用性樹脂を用いることができ、例えば半透明の樹脂を用いると重り部が外部から見え、厳かなデザインになる。
また、カラーユニバーサルデザインの観点から、白色を基調にしたものにしてもよい。
【0014】
本発明に係るりん棒は、上記実施例に限定されるものではなく、連結部12と打撃部11とは別部品としてそれぞれ製作し、ネジや嵌合あるいは接合等にて連結してもよい。
重り部11bは、把持部13よりも重いものであればよい。
また、リング部13aと連結部12も本実施例のように、一体的である必要がなく、別部材をネジや嵌合、接合等により連結してもよい。
リング部13aの形成方法としては、いろいろな方法を採用でき、金属線材をリング状に曲げてもよく、ゴム製あるいは樹脂製のリング部材を用いてもよい。
【0015】
図1に示したりん棒は、重り部に銅合金を用いて重り部の底部11c付近を除いて全体を樹脂材で鋳ぐるんであり、りん棒全体の重心が打撃部11の中心部、あるいはそれよりも底部11c側に位置するようになっている。
凸部形状からなる底部11cの突面を図1に示すように、平坦部に形成すると安定して自立する。
【0016】
また、図1に示したりん棒の例は、打撃部11が略球形状になっている。
打撃部11の外形寸法Wが約15~25mmで、リング部13aの外形寸法WがこのWよりも大きく、約30~40mmであり、全長の長さ寸法Lが60~80mmの小さなりん棒になっている。
また、リング部13aを形成するリング部材の外径寸法dが3~6mmとなっているので、開口部13bの内径寸法が打撃部11の外形寸法Wよりもやや大きいものになっている。
本実施例は、連結部12が棒状であり、リング部材の外径寸法dと同等になっている。
ここで、開口部13bの内径寸法は指先が入る大きさになっていて、日本人の統計によると、男性の親指の太さの平均サイズが約20mm、女性の親指の太さの平均サイズが約18mmとなっている。
また、男性の大きい人で約23mmとなっているので、開口部の大きさは23mm以上が好ましい。
図3に親指で持ち上げた状態を示す。
開口部は、指先が入りやすいように上下方向に長い略楕円形状になっていて、手で握りつぶすように摘まむこともできる。
連結部12の長さは、20~30mmと比較的長く設定すると、リング部に指先を入れて持ち上げ、振り子のように揺らして打りんすることもできる。
【0017】
図2は、りん棒を横に寝かした状態を示し、リング形状からなる把持部13が床面等に当たるので、りん棒が転がるのを防止する。
また、本実施例では、金属製の重り部11bの底部側が外部に露出するように、樹脂材で鋳ぐまれているので、カッター等で切り込みを入れて重り部を分別することもできる。
【0018】
図4は、リング部13aの開口部13bの内側であって、上部に下向き方向の凸部13cを形成した例を示し、図5はリング部を略ハート形状にすることで、開口部113bの内側上部に凸部13cを形成した例を示す。
このようにすると、図6に示すように開口部113bに指を差し込み持ち上げると、凸部13cを支点にして振れやすくなり、その振れを利用して打りんできる。
【符号の説明】
【0019】
10 りん棒
11 打撃部
11a 被覆部
11b 重り部
11c 底部
12 連結部
13 把持部
13a リング部
13b 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6