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特開2022-53511配線を有する基板、機器または部品の検査装置、及び当該基板、機器の検査方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053511
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】配線を有する基板、機器または部品の検査装置、及び当該基板、機器の検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/72 20060101AFI20220329BHJP
   G01J 5/48 20220101ALI20220329BHJP
   G01N 29/06 20060101ALI20220329BHJP
   G01N 29/07 20060101ALI20220329BHJP
   G01N 29/38 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G01N25/72 F
G01J5/48 A
G01N29/06
G01N29/07
G01N29/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151558
(22)【出願日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2020159215
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】598014825
【氏名又は名称】株式会社クオルテック
(72)【発明者】
【氏名】寺戸 祐介
(72)【発明者】
【氏名】高原 博司
【テーマコード(参考)】
2G040
2G047
2G066
【Fターム(参考)】
2G040AA05
2G040AB12
2G040BA18
2G040BA27
2G040CA02
2G040DA06
2G040DA12
2G040EA02
2G040EC02
2G040HA06
2G040ZA01
2G047AA05
2G047AC10
2G047BA03
2G047BB01
2G047BC02
2G047BC10
2G047BC18
2G047CA01
2G047DB03
2G047DB12
2G047FA01
2G047GA21
2G047GE02
2G047GF06
2G047GG02
2G047GG24
2G047GG30
2G047GH06
2G066AC20
2G066BA14
2G066CA02
2G066CA04
(57)【要約】
【課題】短絡部が高抵抗の場合は、印加した電流による発熱によりホットスポットが発生せず、短絡部を検出できないという課題があった。
【解決手段】
回路基板210の配線209の端子電極208にプローブ207を圧接して接続し、配線209にロックイン信号206を印加する。短絡部211が完全短絡の場合、短絡部211のホットスポットが発生しないが、ロックイン信号206を印加した配線209から赤外線が発生し、短絡部211を含む観察領域216を特定するとともに赤外線画像を取得できる。観察領域216は超音波顕微鏡で回路基板210の層構成、断面構造を測定して構造画像を取得する。赤外線画像と構造画像を画像処理することにより、短絡部211を特定することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配線が形成された部材の検査装置であって、
前記複数の配線にロックイン信号を印加し、前記配線の赤外線画像を取得する赤外線画像取得手段と、
前記複数の配線に超音波を照射し、超音波画像を取得する超音波画像取得手段と、
前記赤外線画像と超音波画像から、前記複数の配線間の短絡部を検出する検査装置。
【請求項2】
複数の配線が形成された部材の短絡部を検出する検査方法であって、
前記複数の配線にロックイン信号を印加し、前記配線の赤外線画像を取得し、
前記複数の配線に超音波を照射し、超音波画像を取得する超音波画像を取得し、
前記赤外線画像と超音波画像から、前記複数の配線間の短絡部を検出する検査方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板、フレキシブル基板、半導体回路チップ等の配線に関し、短絡部、不良箇所、温度変化部等を検出、不良状態の評価、配線、素子の短絡、コンタクトホール等接続部の不良の検査、不良位置の特定を行う検査装置、評価装置及び検査方法、評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子製品は、小型化及び体積を減少するために、軽薄短小にする傾向が強い。電子製品に使用するプリント配線基板は、回路、配線が緊密に配置されており、かつスペースの要求によって、プリント配線基板は多層にして構成される。
【0003】
プリント配線基板の回路基板の実装密度が高くなり、配線も細く、かつ配線間隔も短くなっている。そのため、隣接した配線が短絡する、電子部品が接触する、異物により配線等が短絡する等の不良が多く発生する。
以上のことは、プリント配線基板だけでなく、多層のフレキシブル基板、ICなどの半導体チップ、ハイブリッド基板、家電機器(部品)等でも多く発生する。
【0004】
液晶ディスプレイ(LCD)などの薄膜で形成された装置(機器)は、内部に形成された薄膜のコンタクトホールで短絡あるいは断線等の不良部が発生する。また、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等の部品では、電気回路と微細な機械構造に欠陥が発生することがある。
これらの機器、部品では、高精細、高密度で素子、配線が形成されるため、不良部、欠陥を検出、発見、特定することが困難になっている。
プリント配線基板等を検査し、不良箇所の検出、修正等を行う必要があるが、配線等が高密度になり、不良の検出、不良位置の特定が困難となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2016-534347号公報
【0006】
特許文献1には、ロックイン温度装置によって、回路基板の配線等の短絡部が発熱し、発熱によるホットスポットの位置で短絡部を特定する方法が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の方法では、短絡部が高抵抗の場合は、印加した電流による発熱によりホットスポットが発生し、短絡部を検出することができる。しかし、短絡部が配線と同様の抵抗値(完全短絡等)であり、印加した電流による発熱が少ないか、発生しない場合、ホットスポットは発生せず、短絡部を検出できないという課題があった。
機器(部品)では不良部は、印加される信号により不良状態が変化する。そのため、不良部分の検出が困難であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
回路基板210の配線209の端子電極208等にプローブ207等で電気的に接続し、配線209にロックイン信号206を印加して、短絡部211を検出する。短絡部211の発熱が小さい等により、短絡部211を特定できない場合、複数の端子電極208から配線209にロックイン信号206を印加して、短絡部211を含む範囲の観察領域216を特定する。また、X線光217による回路基板210の配線209のパターンを撮影し、短絡部211を含む部位(観察領域216)を特定する。
【0009】
配線209が回路基板210等の内層の場合、配線209の上に絶縁物が形成されている場合は、内層の上の構成物等にレーザ光214を使用して除去し、あるいはレーザ光214、赤外線の照射により加熱し、また、配線209に電気的接続がとれるようにする。前記配線209との接続位置を移動させながら、接続位置と端子位置間の抵抗値、あるいは端子位置を基準とする接続位置の電圧値を測定し、短絡部211を含む部位を特定する。次に、短絡部211を含む部位を超音波顕微鏡2で観察し、短絡部211を特定する。
【0010】
回路基板210の配線209の端子電極208にプローブ207を圧接して接続し、配線209にロックイン信号206を印加する。短絡部211が完全短絡の場合、短絡部211のホットスポットは発生しないが、ロックイン信号206を印加した配線209から赤外線が発生し、短絡部211を含む観察領域216を特定することができる。また、配線209、短絡部211等の赤外線画像を取得できる。観察領域216は超音波顕微鏡2で回路基板210の層構成、断面構造を測定して構造画像を取得する。赤外線画像と構造画像を画像処理することにより、短絡部211を特定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、主として短絡部211の発熱が小さいか、短絡部211を特定できない場合であっても、ロックイン信号206等を印加等により、短絡部211を含む観察領域216を特定し、観察領域216を超音波顕微鏡2等で観察あるいは測定することにより短絡部211の位置を確実に特定あるいは検出することができる。
【0012】
また、機器(部品)が出力する信号に同期して、機器(部品)の欠陥部・不良部の温度変化を検出するため、欠陥部・不良部位置を確実に特定あるいは検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例における検査装置、評価装置の説明図である。
図2】本発明の実施例における検査方法、評価方法の説明図である。
図3】本発明の実施例における検査方法、評価方法の説明図である。
図4】本発明の実施例における検査方法、評価方法の説明図である。
図5】本発明の実施例における検査方法、評価方法の説明図である。
図6】本発明の実施例における検査装置、評価装置の説明図である。
図7】本発明の実施例における検査方法、評価方法の説明図である。
図8】本発明の実施例における検査方法、評価方法の説明図である。
図9】本発明の実施例における検査方法、評価方法の説明図である。
図10】本発明の実施例における検査方法、評価方法の説明図である。
図11】本発明の実施例における検査装置、評価装置のブロック図である。
図12】本発明の実施例における検査方法、評価方法の説明図である。
図13】本発明の実施例における検査方法、評価方法の説明図である。
図14】本発明の実施例における検査方法、評価方法のフローチャート図である。
図15】本発明の実施例における検査方法、評価方法のフローチャート図である。
図16】本発明の実施例における検査方法、評価方法の説明図である。
図17】本発明の実施例における検査方法、評価方法の説明図である。
図18】本発明の実施例における検査方法、評価方法の説明図である。
図19】本発明の実施例における検査装置、評価装置の説明図である。
図20】本発明の実施例における検査装置、評価装置の説明図である。
図21】本発明の実施例における検査装置、評価装置の説明図である。
図22】本発明の実施例における検査方法、評価方法の説明図である。
図23】本発明の実施例における検査方法、評価方法の説明図である。
図24】本発明の実施例における検査方法、評価方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。なお、説明を容易にするため、あるいは図示を容易にするため、省略あるいは簡略する場合がある。
【0015】
本発明の実施例において、配線が形成された基板として、プリント配線基板等の回路基板210を例示して説明をするが、これに限定するものではない。たとえば、単層あるいは多層の配線が形成されたフレキシブル基板、内部に複数の金属層、薄膜、めっき膜、カーボンを有する合金、有機導電膜などからなる配線パターン基板あるいはフィルム、配線、電極が形成されたセラミック基板、金属等に微細な配線パターンが形成された半導体IC、電子部品の電極等であっても、本発明を適用できる。
【0016】
また、本発明の検査、評価対象は配線基板等に限定されない。たとえば、本発明の実施例に記載するように、液晶ディスプレイ(LCD)などの薄膜が形成された機器(部品)、MEMSのように、機械的な可動あるいは変化部を有する機器(部品)の検査、評価方法に適用あるいは応用できる。
【0017】
本発明は、機器(部品)あるいは基板等の短絡部、断線箇所、不良箇所等の検出、不良状態の評価、配線の検査を行う検査装置、検査方法、検出方法、評価方法、測定方法、温度、温度変化割合、加熱度およびこれらの評価装置、測定装置、データの蓄積方法等に関するものである。
【0018】
図1は本発明の検査装置の説明図である。本発明は周期的なロックイン信号206に検査対象の配線209等に印加し、検査対象の配線209等から発生する赤外線202を、ロックイン信号206に同期して赤外線カメラ201で取り込む。
赤外線カメラ201で取り込んだ赤外線画像を画像処理あるいは視覚的に判断することにより配線等に発生した短絡部211を検出あるいは判断する。
【0019】
ロックイン信号206は電流I信号であり、周期的にオンオフされる。周期はtcであり、電流が流れる期間はt2である。なお、ロックイン信号206は、電圧V信号であってもよい。
【0020】
本明細書では、ロックイン信号206で、短絡部211の発熱を制御し、赤外線カメラ201等から取得した温度情報から短絡部211等を検出する、あるいは検査、あるいは評価する、あるいは欠陥等の状態を判断する、あるいは短絡部211を含む特定箇所を評価する装置を、ロックイン温度装置と呼ぶ。あるいは充放電部(温度変化部)301を含む特定箇所を評価する装置を、ロックイン温度装置と呼ぶ。
【0021】
また、本明細書では、機器(部品)が出力する同期信号(ロックイン信号)206で、短絡部211、充放電部(温度変化部)391、断線部、切断部の発熱あるいは発熱しない状態を観測あるいは測定し、赤外線カメラ201等から取得した温度情報等から短絡部211、断線部あるいは充放電部等を検出あるいは特定する、あるいは検査、あるいは評価する、あるいは欠陥等の状態、程度を判断する、あるいは短絡部211、充放電部(温度変化部)301を含む特定箇所を評価する装置を、ロックイン温度装置、あるいはロックイン温度評価装置と呼ぶ。
【0022】
本発明は、ロックイン温度装置に関するものであり、また、ロックイン温度装置、X線撮影装置、超音波撮影装置、レーザ加工装置、画素処理装置等から、1つ以上の装置と組み合わせて構成される検査(評価)装置あるいは検査(評価)システムに関するものである。また、これらを用いる、応用する検査方法に関するものである。検査とは検出、評価、測定、観察、分析、解析等の概念、技術的思想を含む。
【0023】
制御装置203は制御信号205aを励起信号源204に印加する。励起信号源204はパルス状の電流Iを出力する電源装置、あるいはパルス状の電圧Vを出力する電源装置である。
以下、説明を容易にするため、励起信号源204はパルス状の電流Iを出力するとして説明をする。なお、電圧の場合は、電流Iを電流Vに置き換えればよい。
【0024】
パルス状の電流Iは制御信号205aに同期して、出力され、プローブ207に印加される。ロックイン信号206の周期Tcは制御信号205aと同一周期であるが、制御信号205aのH期間t1に対するロックイン信号206のI期間のt2は可変あるいは調整(位相調整)することができる。位相調整することにより、最も感度が高い温度分布、高い温度精度を取得できる。
【0025】
電流の大きさIあるいは電圧の大きさ、同期信号の振幅も可変、調整することができる。また、電流I等はt2の期間に定常値であることに限定されず、リニアに変化させることができる。たとえば、電流Iを三角波、正弦波、のこぎり波、台形波にすることが例示される。電流波形等にピークを形成することにより、感度が高い温度分布、高い温度精度を取得できる。また、電流波形等の周波数を可変できる。
【0026】
赤外線カメラ201はロックイン信号206と同期を取り、短絡部211、充放電部301等で発生する赤外線202を計測、評価、測定、検出する。赤外線カメラ201は最も感度が高くなるように、ロックイン信号206との位相関係を調整する機能を有する。
ロックイン信号206の周期は赤外線カメラ201が短絡箇所211を検出できるように、赤外線202の発生量を適切にするように可変する。
【0027】
制御信号205bにより、赤外線カメラ201は赤外線202を取り込む。赤外線202の取り込み期間は、制御信号205bのt3期間である。ロックイン信号206と制御信号205bの周期はtcであるが、ロックイン信号206と制御信号205bの位相関係は可変あるいは調整することができる。
【0028】
赤外線カメラ201はロックイン信号(周期的な信号)206aに反応して温度情報を取得し、高い温度感度を実現する。ロックイン信号206aに同期しない定常的な発熱には反応しない。あるいは反応の感度を低下させることができる。
【0029】
赤外線カメラ201はロックイン信号206aと同期した制御信号205bと同期して、赤外線202を取り込み、取り込んだデータDtを制御装置203に転送する。本発明の検査装置は、制御信号205aと制御信号205bとは位相を調整する機能がある。
【0030】
赤外線カメラ201は内部に、赤外線を検出するマトリックス状に配置されたCCDを具備する。CCDは所定の赤外線202の強度で、同一の出力となるように補正がされている。また、必要に応じて、赤外線カメラ201は、XY方法に移動できるように、移動ステージが配置されている。もしくは、回路基板210が移動ステージに積載され、位置移動できるように構成されている。
【0031】
プローブ207は、配線209の端子電極208に接触され、プローブ207を介して、検査をする配線209にロックイン信号206が印加される。ロックイン信号206はパルス状の電流Iであり、ロックイン信号206に同期して、赤外線カメラ201に配線209等が発生する赤外線が2次元的に取り込まれる。
【0032】
プローブ207は接続する端子(端子電極208a、端子電極208b、端子電極208c、端子電極208d)位置を変更し、各プローブ207の接続位置で、赤外線202が赤外線カメラ201に取り込まれる。
【0033】
なお、図1では、2本のプローブ207を端子電極208に接続した状態を図示しているが、これに限定するものではなく、3本以上のプローブ207と3箇所以上の端子電極208と電気的に接続し、赤外線カメラ201でデータDtを取得しても良いことは言うまでもない。3本以上のプローブ207のうち、1つのプローブ207あるいは複数のプローブを選択し、あるいは切り替えて制御する。また、接続はプローブ207に特定されるものではなく、コネクタ、スイッチ、リレー等の電気素子で選択あるいは接続しても良いことは言うまでもない。
【0034】
多層の配線が形成された回路基板210では、下層から上層まで異なる深度に配線209が埋没している。短絡部211で発生する発熱箇所(ホットスポット)の位置特定は、前記ホットスポットを励起するために、回路基板の電気回路(配線等)に多重周波数のロックイン信号206を印加する。
【0035】
ロックイン信号206を電気回路に印加しながら、配線の上面をロックイン信号206に同期して、赤外線カメラ201で撮影することで、ホットスポットからの熱の伝搬に相関するIR画像を取得する。IR画像はデータDtより作成する。
【0036】
IR画像から周期的な間隔で熱応答信号を検出し、前記熱応答信号の周波数に対応して回路基板210の上面におけるホットスポット画像の発生、ホットスポット画像の変化を特定することにより、短絡部211の検出、検査が行われる。
【0037】
短絡部211の検出は、ロックイン信号206の電流Iの大きさ、周期Tcの変更、電流Iを印加している期間t2を変化させて行う。ロックイン信号206の同期した制御信号205bのタイミングで赤外線カメラ201は配線209から放射される赤外線202を測定あるいは取得する。
【0038】
短絡部211、充放電部301の検出は、ロックイン信号206の周波数を可変することができる。周波数を上げれば上げるほど、発熱反応を小さく絞り込むことができる。しかし、周波数を上げれば、時間に対する赤外線放射量は均一(フラット)となるため、発熱現象を検出しにくくなる。赤外線202の発生量は低下するが、周波数を低くし、オン時間t2を短くすると、短絡部211の位置は特定しやすくなる。周波数、オン時間t2を調整し、赤外線カメラ201の赤外線202の取り込みタイミングを調整することにより、短絡部211を検出する。
【0039】
図2図3図4は本発明の短絡部211の検出方法の説明図である。図2図3図4等において、配線209、短絡部211、端子電極208は説明を容易にするために模式的に図示したものである。配線209の両端には端子電極208が形成または配置されている。
図2に図示するように、配線209aと配線209b間に短絡部211が発生しているとする。配線209cには短絡部211の発生はない。
【0040】
端子電極208aと端子電極208c等にプローブ207を接続し、ロックイン信号206を印加することにより、短絡部211に電流が流れる。短絡部211が高抵抗の短絡部の場合、短絡部211が発熱し、発熱で発生した赤外線202を赤外線カメラ201で取り込み、画像処理することにより短絡部211を検出することができる。
【0041】
短絡部211が完全短絡で抵抗値がない場合、端子電極208aと端子電極208c等にプローブ207を接続し、ロックイン信号206を印加し、短絡部211に電流が流れて発熱しない。この場合、図3に図示するように配線209の全体が均一に発熱し、短絡部211を検出することができない。短絡部211の発熱量と配線209の発熱量が近似するからと思われる。
図3は短絡部211が低抵抗値の短絡(完全短絡)の場合の配線209の発熱状態を模式的に図示している。
【0042】
図3に図示するように、端子電極208a、端子電極208b、端子電極208c、端子電極208dのいずれの端子電極208にプローブ207を圧接してロックイン信号206を印加しても、短絡部211が発熱しないため、配線209a、配線209bの全体から赤外線202が放射されていることが観察されるだけで、短絡部211を検出することができない。
ロックイン信号206の電流Iを大きくしても、配線209の全体から赤外線202の放射量が大きくなるだけで短絡部211を特定することができない。
【0043】
したがって、赤外線カメラ201で取り込んだデータDtからは配線209cには短絡部はなく、配線209aと配線209bの近傍に短絡部211等の不良箇所があるということしか検出することができない。
【0044】
図4は、配線209aが表層の配線パターンであり、配線209bが内層の配線パターンであることを図示している。短絡部211は、表層の配線パターン209aと配線209bが内層の配線パターン間に発生している。
【0045】
図5は、一例としての回路基板210の配線209のパターン図である。図5(a)は回路基板210の表面の第1レイヤの配線209のパターンであり、図5(b)は回路基板210の内層の第2レイヤの配線209のパターンである。
配線209aに短絡部211aが発生し、配線209bに短絡部211bが発生し、配線209cに短絡部211cが発生している。
プローブ207を接触させる端子電極として、c1~c3、d1~d3とし、これらにロックイン信号206を印加し、短絡部211を検出することになる。
【0046】
図5に図示するように、実際の回路基板210の配線209は細く、比較的抵抗値がある。そのため、短絡部211の抵抗値が小さいと、配線209からの赤外線を検出されるだけで、短絡部211の位置を特定することができない。
【0047】
短絡部211が配線209と同程度に発熱する場合は、配線209にロックイン信号206を印加して配線209の赤外線画像を取り込み、図5に図示するような、回路基板210の配線パターンを入手し、赤外線画像と回路基板210の配線パターンを同一の縮尺として、重ね合せることにより、短絡部211の箇所を特定することができる。短絡部211が配線209と同様に赤外線を放射しているからである。
【0048】
図5のように、回路基板210の配線209のレイアウト図面を得ることができる場合は、前述の方法により、赤外線画像と回路基板210の配線レイアウト図面により、短絡部211の位置を特定することができる。
【0049】
配線のレイアウト図面の画像と赤外線画像とを、画像処理等で縮尺などを一致させ、差異箇所を画像処理あるいは視覚的に検出する。赤外線画像において、短絡部は図3に図示するように配線209と同様な赤外線発生があり、配線のレイアウト図面ではない赤外線発生する短絡部を検出することができる。
【0050】
以上のように、本発明は、配線のレイアウト図面と、赤外線カメラ201で取得した赤外線の発生分布とを比較参照することにより、短絡部211、充放電部301を位置検出あるいは評価あるいは測定することを特徴とする。
【0051】
以上のように、本発明は短絡部211が低抵抗値ありは完全短絡の場合であっても、ロックイン信号206を使用する本発明の検査装置を使用して短絡部211を検出あるいは位置特定をすることができる。
回路基板210の配線レイアウト図面が入手できない場合は、図6に図示するX線装置を用いて回路基板210の配線パターンを取得する。
【0052】
図6は、回路基板210の配線209を取得するX線装置の説明図である。図6に図示するように、回路基板210にX線光217aを照射して、回路基板210の透過X線を撮像するX線撮像装置218に配置されたX線撮像装置218を具備する。
【0053】
回路基板210を平坦なX線撮像装置218のX線撮像装置218に対して平行に移動させる位置決め装置219を具備し、位置決め装置219はX線撮像装置218を所定位置に位置決めを行う。
【0054】
図6において、X線検査装置は、コーンビーム状のX線光217を照射するX線照射装置220を具備する。X線光217は、回路基板210を透過してX線撮像装置218に入射する。X線光217は、X線撮像装置218でX線透過画像に変換される。X線光217の強度は可変することができる。また、短絡部211を中心として照射するX線の範囲を設定することができる。
【0055】
X線透過画像には、配線209、短絡部211が撮影されている。ただし、図5のように表層レイヤの配線209と内層レイヤの配線209とは重ねあわされて撮影されている。短絡部211の検出であるから、表層レイヤの配線209と内層レイヤの配線209とが重ねあわされていても支障はない。
得られたX線透過画像と、図1で得られた赤外線画像とで、短絡部211の位置を特定することができる。
【0056】
短絡部211は半田材料等で形成されている等、配線209を形成する材料と異なっている材料の場合が多い。したがって、短絡部211は配線209部とX線透過率が異なる。したがって、X線透過画像では、短絡部211と配線209とは画像の濃淡が異なる。ただし、濃淡の度合は差異が少ない場合が多く、短絡部211をX線透過画像だけで判断することは難しい。
【0057】
X線透過画像と赤外線画像とを、画像処理等で縮尺などを一致させ、差異箇所を画像処理あるいは視覚的に検出する。赤外線画像において、短絡部は図3に図示するように配線209と同様な赤外線発生があり、X線透過画像ではない赤外線発生する短絡部を検出することができる。
【0058】
以上のように、短絡部211が低抵抗値ありは完全短絡の場合、ロックイン信号206を使用する本発明の検査装置を使用して短絡部211を検出あるいは位置特定をすることができる。
【0059】
以上のように、本発明は、ロックイン信号206を用いること、X線透過画像と赤外線画像とを用いることにより、また、配線バターンのレイアウト図を用いることにより、短絡部211の位置を特定することができる。
【0060】
X線透過画像において、短絡部211がアルミニウム、カーボン等、原子量が小さいものはX線透過画像として撮像されない。その時は、短絡部211が特定することが困難である場合がある。特に、図4に図示するように、配線209bが内層に形成されている場合、配線209bは検出しにくく、短絡部211は視覚的に見えない。
【0061】
本発明は、図1で説明したように、短絡部211が完全短絡であっても、端子電極208にロックイン信号206を印加することにより、図3に図示するように、配線209a、配線209b部に短絡部211が発生検出していることを検出できる。しかし、図5に図示するように、配線209は長く、図3のように短絡部211を含むと判断された面積は広い。したがって、短絡部211の位置を特定することは困難であることがある。
【0062】
本発明の短絡部211の検査方法では、図7図8で図示するように、レーザ装置212等により配線209b上に加工をし、短絡部211を含む面積を絞り込み、図12等で説明する超音波顕微鏡で短絡部211と特定する。
【0063】
図7図8は配線209の上層をレーザ装置212で加工する説明図である。図8はレーザ装置212でレーザ加工部215を形成し、レーザ加工部215のp点にプローブ207を圧接することを説明する本発明の検査方法の説明図である。
【0064】
配線209bの上層の加工は、フェムト秒レーザ加工装置212が発生するレーザ光214で行う。加工状態は、フェムト秒レーザ光214のレーザ強度、照射するレーザパルスの移動速度を変更あるいは設定することにより容易に実現できる。
【0065】
フェムト秒レーザ加工装置212は、一般にパルス幅が、サブピコ秒から数十フェムト秒のフェムト秒レーザ光214を発生する。サブピコ秒から数十フェムト秒の超短パルスのレーザ光214を材料に照射した場合、材料の熱拡散時間に比べてパルス幅が十分に短いため、光エネルギーを有効に照射部に投入できる。
【0066】
その結果、照射周辺部への熱影響を局限化することが可能で、高精度な微細加工が実現できる。また、レーザ光の電場強度が非常に高いので、ビームが集光されたところにのみ、空間選択的に多光子吸収、多光子イオン化等の非線形作用を誘起することができる。
【0067】
短絡部、欠陥部などは、他の正常部に比較して、レーザ光の吸収率が異なる場合が多い。したがって、短絡部、欠陥部と推定される箇所あるいはその近傍等にレーザ光を照射することにより、短絡部、欠陥部が正常部に比較して異なる温度あるいは温度分布となる。この温度あるいは温度分布を赤外線カメラ201で温度情報を取得する。
【0068】
以上の事項は、レーザ光に限定されるものではない。短絡部、欠陥部を探す場合は、比較的広範囲に赤外光を照射し、配線等を加熱し、同時にロックイン信号206を印加あるいは機器(部品)からの出力信号に同期して、赤外線カメラ201で温度情報を取得する。
以下、説明を容易にするため、加熱手段、あるいは加工手段は、レーザ光として実施例を説明する。
【0069】
本発明において、フェムト秒グリーンレーザは、第二高調波であるため、比較的高出力を取り出すことができ、配線209の上層を構成する材料に対しても、照射したレーザ光の吸収が良好である。
【0070】
フェムト秒グリーンレーザが出射する光の波長は500nm~540nmであるのが好ましい。パルス幅は、1フェムト秒~1000フェムト秒であるのが好ましい。
【0071】
ピコ秒レーザを用いる場合、ピコ秒レーザが出射する光の波長は500nm~540nmであるのが好ましい。パルス幅は、1ピコ秒~10ピコ秒であるのが好ましい。
【0072】
図10(a)は観察部216の平面図であり、図10(b)は図10(a)のおける断面図である。図10(b)に図示するように、表層の配線209aと内層の配線209b間に短絡部211が発生している。
【0073】
図8に図示するように、端子電極208bのプローブ207aを圧接し(電気的に接続し)、端子電極208bのプローブ207aを圧接する(電気的に接続する)。プローブ207bとプローブ207a間にロックイン信号206を印加し、赤外線カメラ201で配線209a、配線209bから放射される赤外線202を測定し、赤外線画像を取得する。
【0074】
なお、図8では、レーザ加工部215a、レーザ加工部215b、レーザ加工部215c、レーザ加工部215d、レーザ加工部215eの順番に、レーザ光214を照射して加工するように図示しているが、これに限定するものではなく、レーザ加工部215の順序はいずれでもよい。
【0075】
本明細書、図面では説明等を容易にするため、レーザ加工部215a、レーザ加工部215b、レーザ加工部215c、レーザ加工部215d、レーザ加工部215eの順番に加工するとして説明をする。また、複数のレーザ加工部215は、抵抗値を測定することなく、連続して形成してもよい。その後、各レーザ加工部215での抵抗値を測定する。
【0076】
図7図8に図示するように、レーザ加工部215aにレーザ光214を照射し、内層の配線209bを露出させる。次に、p1位置にプローブ207cを圧接する。
【0077】
プローブ207cとプローブ207a間にロックイン信号206を印加し、赤外線カメラ201で配線209a、配線209bから放射される赤外線202を測定し、赤外線画像を取得する。
プローブ207aとプローブ207c間の抵抗値を抵抗測定装置221で測定する。測定した抵抗値は、図9に示すグラフにp1としてプロットする。
次に、レーザ加工部215bにレーザ光214を照射し、内層の配線209bを露出させる。次に、p2位置にプローブ207cを圧接する。
【0078】
プローブ207cとプローブ207a間にロックイン信号206を印加し、赤外線カメラ201で配線209a、配線209bから放射される赤外線202を測定し、赤外線画像を取得する。
プローブ207aとプローブ207c間の抵抗値を測定する。測定した抵抗値は、図9に示すグラフにp2としてプロットする。
次に、レーザ加工部215cにレーザ光214を照射し、内層の配線209bを露出させる。次に、p2位置にプローブ207cを圧接する。
【0079】
プローブ207cとプローブ207a間にロックイン信号206を印加し、赤外線カメラ201で配線209a、配線209bから放射される赤外線202を測定し、赤外線画像を取得する。
プローブ207aとプローブ207c間の抵抗値を測定する。測定した抵抗値は、図9に示すグラフにp3としてプロットする。
次に、レーザ加工部215dにレーザ光214を照射し、内層の配線209bを露出させる。次に、p2位置にプローブ207cを圧接する。
【0080】
プローブ207cとプローブ207a間にロックイン信号206を印加し、赤外線カメラ201で配線209a、配線209bから放射される赤外線202を測定し、赤外線画像を取得する。
プローブ207aとプローブ207c間の抵抗値を抵抗測定装置221で測定する。測定した抵抗値は、図9に示すグラフにp4としてプロットする。
次に、レーザ加工部215eにレーザ光214を照射し、内層の配線209bを露出させる。次に、p2位置にプローブ207cを圧接する。
【0081】
プローブ207cとプローブ207a間にロックイン信号206を印加し、赤外線カメラ201で配線209a、配線209bから放射される赤外線202を測定し、赤外線画像を取得する。
プローブ207aとプローブ207c間の抵抗値を測定する。測定した抵抗値は、図9に示すグラフにp5としてプロットする。
【0082】
図9のグラフにおいて、p1点からp4点は抵抗値が低下しているが、p4点からp5点では抵抗値が増加している。したがって、p4点とp5点間で短絡部211がある可能性が高いことを検出できる。
【0083】
以上のように、本発明は、レーザ装置、抵抗あるいは電圧の測定装置221、ロックイン信号206発生装置を使用することにより、短絡部211を順次、位置特定をする。
【0084】
以上の実施例では、レーザ加工部215aにレーザ光214を照射し、内層の配線209bを露出させる。次に、p1位置にプローブ207cを圧接して、抵抗値等を測定するとしたが、本発明はこれに限定するものではない。
【0085】
短絡箇所211等のレーザ加工部215aに、レーザ光214を照射することにより、短絡箇所211あるいは配線等が加熱され、抵抗値が増加する。抵抗値の増加により、プローブ207に流れる電流が変化する。電流の変化により不良箇所あるいは観察箇所の温度変化を、赤外線カメラ201で赤外線202を測定し、赤外線画像を取得してもよい。
【0086】
近年、配線209は複雑に形成され、また、回路基板210には回路基板(図示せず)等が実装されているため、抵抗値の測定だけでは、短絡部211の位置を特定することができない。また、短絡部211が完全短絡あるいは低抵抗値で短絡している場合は、ロックイン信号206を印加し、赤外線観察しても短絡部211の位置を特定することができない。
p3からp4での抵抗値の変化量と、p4からp5での抵抗値の変化量の割合が小さくなることでも、短絡部211の位置を推定できる。
【0087】
赤外線、レーザ光を照射し、抵抗値変化を発生させて、抵抗値あるいは抵抗値変化を赤外線カメラ201で赤外線202を測定し、赤外線画像を取得することにより、短絡部211の位置を推定、特定してもよい。
【0088】
図8で、図7で説明したように、レーザ光214で配線209b上の回路基板210の材料を除去するとしたが、配線209bが表層に形成されている場合は、レーザ光214の加工は不要であることは言うまでもない。
【0089】
図8で説明したように、レーザ光214でレーザ加工部215を形成し、レーザ加工部215のp点での抵抗値を測定することにより、概略の短絡部211の位置を特定できる。概略の位置を、図8において、観察領域216で示す。
次に、観察領域216を、本発明の検査装置である超音波観察装置で観察する。図11は超音波観察装置のブロック図である。
図11は構造解析装置1、超音波顕微鏡2、及び回路基板210の構成を示すブロック図である。
構造解析装置1は、装置全体を制御する制御部11、主記憶部12、通信部13、操作部14、表示パネル15、補助記憶部16を備える。
【0090】
構造解析装置1は、例えばデスクトップ型コンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット等で構成することができる。以上の事項は、図1の制御装置203についても同様である。
【0091】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成することができる。制御部11はGPU(Graphics Processing Unit)を含んで構成してもよい。
【0092】
主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の一時記憶領域であり、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0093】
通信部13は、ネットワーク170を介して、構造解析装置1との間で通信を行う機能を有し、所要の情報の送受信を行うことができる。操作部14は、例えばハードウェアキーボード、マウス、タッチパネル等で構成される。
【0094】
表示パネル15は、液晶パネルまたは有機EL(Electro Luminescence)表示パネル等で構成することができる。制御部11は、表示パネル15に所要の情報を表示するための制御を行う。
【0095】
補助記憶部16は、大容量メモリ、ハードディスク等であり、制御部11が処理を実行するために必要なプログラム、並びに波形解析プログラム171、三次元座標データ生成プログラム161、音速算出プログラム162を記憶している。
【0096】
補助記憶部16に記憶される、波形解析プログラム171、三次元座標データ生成プログラム161、音速算出プログラム162は、各プログラムを読み取り可能に記録した記録媒体169により提供されてもよい。記録媒体169は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、マイクロSDカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の可搬型のメモリである。
【0097】
記録媒体169に記録される各プログラムは通信部13を介した通信により提供される。また、図に示していない読取装置を用いて記録媒体169から読み取られ、補助記憶部16にインストールされてもよい。
【0098】
補助記憶部16は、スキャンデータ(1)データベース(DB)163、材料または組成データベース(DB)164、スキャンデータ(2)データベース(DB)165、伝播時間データベース(DB)166、音速データベース(DB)167、及び三次元座標データデータベース(DB)168を記憶している。スキャンデータは縦軸に振幅、横軸に伝播時間を取った超音波波形データである。
【0099】
トランスデューサ21は、回路基板210は配置された平面に対して、2次元方向(X方向、Y方向)に移動する機能、任意に設定した距離を移動して回路基板210上に位置決めをする機能、層材料、界面等に超音波を照射するため、回路基板210が配置された平面に対して垂直方向(Z方向)に移動あるいは位置決めする機能、界面等に超音波を送信する機能、界面等で反射した超音波を受信する機能、受信した超音波を電気信号に変換あるいは表示する機能を有する。
【0100】
スキャンデータ(1)DB163は、超音波顕微鏡2のトランスデューサ21が回路基板210のXY平面を走査し、各点において取得したスキャンデータ(1)を記憶している。トランスデューサ21は、XY平面(2次元方向)を移動して超音波を回路基板210に照射し、また、XY平面に垂直な方向(Z方向)に位置調整機能を有し、反射された超音波を電気信号に変換する。超音波の照射範囲が、観察領域216とする。
【0101】
スキャンデータ(1)は、回路基板210のXY平面において、所定測定間隔(距離)ごとに取得される。なお、所定測定間隔は回路基板210の形状あるいは界面状態に応じて、変更される。たとえば、界面状態の変化が大きい位置では所定測定間隔は短距離に設定あるいは変更される。
材料または組成DB164は、回路基板210の各層を構成する材料の外形寸法(厚み)及び密度等を記憶している。
【0102】
スキャンデータ(2)DB165は、各層の音速を算出するために、超音波顕微鏡2のトランスデューサ21が回路基板210を構成する各材料サンプルのXY平面を走査し、各点において取得したスキャンデータ(2)を記憶している。
伝播時間DB166は、後述する方法により算出した界面までの伝播時間を記憶している。
【0103】
音速DB167は、スキャンデータ(2)DB165に記憶されたスキャンデータ(2)から算出した伝播時間、及び材料または組成DB164に記憶された各層の材料の外形寸法(厚み)に基づいて算出した音速が記憶されている。
三次元座標データDB168には、三次元座標データ生成プログラム161により生成した回路基板210の三次元座標データが記憶されている。
【0104】
回路基板210は、例えば、図11に図示するように第1層31、第2層32、第3層33、第4層34、及び第5層35の多層構造になっている回路基板である。
【0105】
理解を容易にするために回路基板210を例示して説明するが、これに限定するものではない。本発明の技術的思想は、半導体素子、薄膜デバイスあるいは厚膜デバイス、電子機器等にも適用することができる。
【0106】
本発明は、複数の材料または複数の組成が異なる層を有する構造物において、異なる材料または異なる組成が接する界面を有するものであれば、前記材料の膜厚、または組成を構成する厚み、またはそれらの三次元的な反り量や歪み量等を良好に測長することができる。従って、本発明の技術的思想、方法は、複数の材料から構成される物体、複数の組成からなる生物の構造解析に適用することができることは言うまでもない。
【0107】
超音波を使用すれば、X線が透過するアルミニウム、カーボン等の短絡部211であっても検出することができる。なお、X線撮影装置と組み合わせることにより、より短絡部211の位置特定ができることは言うまでもない。
【0108】
超音波顕微鏡2は、一定周波数の電気信号の送信波23をパルス発生器(図示せず)によりパルス状に整形後、トランスデューサ21によって電気信号から機械振動(超音波)に変換する。
【0109】
トランスデューサ21は回路基板210のXY平面(観察領域216)上を走査する。発生させた超音波を音響レンズ(図示せず)によって、回路基板210の深さ方向(Z方向)の界面に焦点を合わせて送信波23を照射し、受信波24を電気的な受信信号に変換する。
【0110】
ゲート(図示せず)は、回路基板210の反射信号から検出する反射波を、所定時刻から所定時間、あるいは一定の時間の間で取り出す。ゲートに入力される反射波が所定閾値または最大になるように、音響レンズの焦点位置を界面に合わせる。また、ゲートが受信する信号強度が一定になるようにゲインを調整し、各界面における伝播時間を算出する。
【0111】
図12を用いて、回路基板210の各層の厚み及び各界面の反り量や歪み量等を計算する方法を示す。図12は、第1層31が銅箔などの”金属”、第2層32がガラスエポキシ材料等の”樹脂”、第3層33が銅箔などの”金属”である場合を例示している。
【0112】
トランスデューサ21から、例えば金属からなる第1層31の入側の界面(表面)31aに向けて発振された超音波の送信波23(U1)は、界面31aで反射し、受信波24(R1)が受信される。界面31aにおける反射波形に基づいて、トランスデューサ21から界面までの伝播時間t1が算出される。
【0113】
トランスデューサ21から、第1層31と例えば樹脂からなる第2層32との界面32aに向けて発振された超音波の送信波23(U2)は該界面で反射し、受信波24(R2)が受信される。界面31a及び32aにおける反射波形に基づいて、第1層31を伝播する伝播時間t2が算出される。
【0114】
トランスデューサ21から、第2層32と、例えば、金属からなる第3層33との界面33aに向けて発振された超音波の送信波23(U3)は、界面33aで反射し、受信波24(R3)が受信される。界面32a及び33aにおける反射波形に基づいて、第2層32を伝播する伝播時間t3が算出される。
【0115】
算出された伝播時間t1、t2、t3におけるそれぞれの音速に基づいて、トランスデューサ21から界面31aまでの距離、界面31aから界面32aまでの距離、界面32aから界面33aまでの距離を算出でき、その距離を深さ方向(Z方向)に加算することで、回路基板210が有する界面31a、界面32a、界面33aの変位を三次元座標データとして生成し、材料または組成DB164等のデータを用いることにより回路基板210の各層の厚み、短絡部211及び各界面の反り量や歪み量等を計算することができる。
【0116】
図13を用いて、各層を伝播する時間を精度良く測定する方法を示す。図13(a1)では、界面31aにトランスデューサ21の焦点を合わせているため、図13(a2)のスキャンデータについて、手前の波形のピーク強度は強くなるが、奥の波形のピーク強度は弱くなっている。
【0117】
図13(b1)では、界面31aと界面32aの中間にトランスデューサ21の焦点を合わせているため、図13(b2)のスキャンデータについて、奥の波形のピーク強度は、(a2)に比べて強くなっている。
【0118】
図13(c1)では、界面32aにトランスデューサ21の焦点を合わせているため、図13(c2)のスキャンデータについて、奥の波形のピーク強度は、図13(b2)に比べて強くなっている。
【0119】
以上より、界面31aにおける反射波の伝播時間を計測したい場合は、図13(a1)のように界面31aにトランスデューサ21の焦点を合わせて計測することにより、波形ピークを精度良く捉えることができる。
【0120】
一方で、界面32aにおける反射波の伝播時間を計測したい場合は、図13(c1)のように界面32aにトランスデューサ21の焦点を合わせて計測することにより、波形ピークを精度良く捉えることができる。
【0121】
最もピーク強度が高くなる焦点位置を探索的に走査させる方法については、図18のような山登り法で実施している。山登り法とは、「現在の解の近傍の内で最も成績の良い解」を近傍解として選び、「現在の解より近傍解の成績の方が良い場合」に近傍解と現在の解を入れ換える局所探索法の方法である。極値を見つけ出すことがゴールであり、極値を見つけ出したら探索が終了となる。
焦点位置を変化させることにより、図18(a)(b)(c)(d)に図示するように、界面位置におけるピーク波形が変化する。
【0122】
図18(a)の矢印Aの位置から開始すると、ピーク強度は、図18(b)矢印B、図18(c)矢印C、図18(d)矢印Dと変化する。図18(a)の矢印Aの位置から、よりピーク強度が高くなる方に焦点位置をずらしていくが、図18(b)矢印Bの位置を通り越し、図18(c)矢印Cの位置まで行くと、ピーク強度が低くなる。この時点で、ピーク強度を高くするためには、図18(d)矢印Dのようになるまで焦点位置を戻す必要がある。
【0123】
このような処理を何度も繰り返すことで、最もピーク強度が高くなる焦点位置を探索することが出来る。この手法は、人手によりピーク強度が高くなる位置を探すこともできるが、コンピュータプログラムにより、より効率的に探索することが可能となる。
【0124】
このように、計測したい対象(界面31a、界面32a、界面33a)によって、スキャンデータのピーク強度を観測しながら、最もピーク強度が高くなる焦点位置を探索的に走査させ、その焦点位置での波形ピークを検出することで、各層を伝播する時間を精度良く測定することができる。
【0125】
なお、ピーク位置の検出は、最大値あるいは最小値のみに限定するものではない。たとえば、最大値に対して-5%以内あるいは定量的な所定値の範囲内になったとき、ピーク位置を検出したとして処理してもよい。また、最小値に対して+5%以内あるいは定量的な所定値の範囲内になったとき、ピーク位置を検出したとして処理してもよい。
トランスデューサ21は、各材料サンプル3上のX方向、Y方向に順次移動し、各位置の波形を検出する。
【0126】
計測したい対象(界面31a、界面32a、界面33a)によって、トランスデューサ21の焦点を変化させ、そのスキャンデータから波形ピークあるいは受信信号の所定閾値以上若しくは所定閾値以下かを検出することで、各層を伝播する時間を精度良く測定することができる。
【0127】
トランスデューサ21の焦点位置を変化させ、スキャンデータを取得することにより、波形ピーク、あるいは所定閾値以上若しくは所定閾値以下、あるいは波形の変化速度に関する情報を得ることにより、各層を伝播する時間を精度良く測定することができる。
【0128】
トランスデューサ21が送信する超音波の送信波の位相を調整あるいは変化させ、受信波のスキャンデータを取得することにより、波形ピーク、あるいは所定閾値以上若しくは所定閾値以下、あるいは波形の変化速度に関する情報を得て、各層を伝播する時間を精度良く測定することができる。
【0129】
計測したい対象(界面31a、界面32a、界面33a)によって、トランスデューサ21の焦点位置を変化させる。また、トランスデューサ21が送信する超音波の送信波の位相を調整あるいは変化させることで、それぞれの波形ピーク、あるいは所定閾値以上若しくは所定閾値以下、あるいは波形の変化速度に関する情報を得ることができる。例えば、界面32aに合わせた場合、界面32aに加えて界面33aの波形ピーク等の情報も得られ、それらにより各層を伝播する時間を精度良く測定することもできる。
【0130】
図19(a)に図示するように、観察領域216において、回路基板210が界面(31a、32a、33a)を有しているとする。トランスデューサ21は、X方向に所定距離dx、Y方向に所定距離dyで順次、測定位置181に移動する。測定位置181で焦点位置を合わせる。移動した測定位置181で超音波を出射し、界面での超音波の反射波を受信する。焦点位置をZ軸方向に移動あるいは変化させることにより、界面31a、界面32a、界面33aの位置を求める。求められた界面位置はデータベースに蓄積される。
【0131】
図19(b)に図示するように、回路基板210が、第1層31、第2層32、第3層33の3つの材料あるいは構成体で形成されている場合、図19(b)のA位置では、第3層33だけが存在する。図19(b)のB位置では、第1層31、第3層33が存在する。図19(b)のC位置では、第1層31、第2層32、第3層33が存在する。
トランスデューサ21を所定距離dx、dyで移動させて、位置決めし、焦点位置を変化させて界面位置を、順次、測定位置181での界面位置を求めていく。
【0132】
図19(b)において、Aを含む領域では、水面から第3層31までの伝播時間t1、第3層33の伝播時間t2を測定する。Aを含む領域での第3層33の凹凸、反り、歪みが算出される。
【0133】
図19(b)において、Bを含む領域では、水面から第1層31までの伝播時間t3、第1層の伝播時間t4、第1層31から第3層33間の伝播時間t5、第3層の伝播時間t6を測定する。Bを含む領域での第1層31の凹凸、反り、歪みが、第3層33の凹凸、反り、歪みが算出される。また、Aを含む領域の第3層の厚みと、Bを含む領域の第3層の厚みの差が定量的に測定される。
【0134】
図19(b)において、Cを含む領域では、水面から第1層31までの伝播時間t7、第1層の伝播時間t8、第2層32の伝播時間t9、第3層の伝播時間t10を測定する。Cを含む領域での第1層31の凹凸、反り、歪みが、第2層32の凹凸、反り、歪みが、第3層33の凹凸、反り、歪みが算出される。また、Bを含む領域の第1層の厚みと、Cを含む領域の第1層の厚みの差が定量的に測定される。また、Bを含む領域の第3層の厚みと、Cを含む領域の第3層の厚みの差が定量的に測定される。
【0135】
図14は、制御部11による、材料を伝播するときの音速を算出する処理の手順を示すフローチャートである。制御部11は、音速算出プログラム162を読み出して音速の算出処理を実行する。
【0136】
制御部11は、超音波顕微鏡2のトランスデューサ21を、回路基板210を構成する各材料サンプルに対してXY平面上で走査させ、図13で示した測定方法を用いて、スキャンデータを取得する(S1)。スキャンデータを取得するXY平面上の点は、回路基板210のスキャンデータを取得するXY平面上の点と同数である。
しかし、これには限定されない。たとえば、取得したスキャンデータの変化が大きい場合は、単位距離当たりの測定点を増加させる。
【0137】
制御部11は、前記で得られたスキャンデータをスキャンデータ(2)DB165に記憶する(S2)。 制御部11は、スキャンデータの材料出側の界面における反射波形のピークに到達した時間と、材料入側の界面における反射波形のピークに到達した時間との差により、材料を伝播する伝播時間を求める(S3)。
【0138】
あるいは受信した受信波24に関して、所定の閾値を設定し、所定の閾値以上あるいは所定の閾値以下となる範囲、変化割合等から、材料を伝播する伝播時間を求める。
制御部11は、伝播時間を伝播時間DB166に記憶する(S4)。
制御部11は、材料または組成DB164から材料の外形寸法(厚み)を取得する(S5)。
制御部11は、伝播時間、及び前記厚みに基づいて材料の音速を算出する(S6)。
伝播時間をt、厚みをLとしたとき、音速は、下記の式により算出される。
音速=L/t。
制御部11は、音速を音速DB167に記憶する(S7)。
【0139】
図15は、制御部11による、三次元座標データ生成処理の手順を示すフローチャートである。制御部11は、波形解析プログラム171、三次元座標データ生成プログラム161を読み出して三次元座標データ生成の処理を実行する。
【0140】
制御部11は、超音波顕微鏡2のトランスデューサ21を回路基板210のXY平面上で走査させ、図13で示した測定方法を用いて、XY平面上の各点におけるスキャンデータを層毎に取得する(S11)。
制御部11は、前記で得られたスキャンデータをスキャンデータ(1)DB163に記憶する(S12)。
【0141】
制御部11は、材料の界面における反射波形のピークを検出する範囲を決定する(S13)。ピークを検出する範囲の初期の設定範囲は、測定する対象に関する、材料または組成DB164から得られる材料の外形寸法(厚み)と音速DB167から得られる音速を用いて、あらかじめ計算された範囲で実施する。
制御部11は、下層の音響インピーダンスZ2が上層の音響インピーダンスZ1より大きいか否かを判定する(S14)。
音響インピーダンスは、超音波の通りにくさを示し、次式で算出される。
Z(音響インピーダンス)=p(物質の密度)×c(物質固有の音速)。
【0142】
物質は複数の物質が混合されている場合があり、また、複数の金属などが合金化されている場合がある。また、物質には物質内に微小な空隙があるものがある。また、物質とは複数の材料が粗密に組み合わされ、合成され、混濁している場合がある。また、物質には光波長以下の薄い薄膜が多層に形成されて構成されている場合がある。
【0143】
従って、物質とはこれらの多種多様な材料、構成、組成を有するものを意味し、また、物質の密度とはこれらの物質の総合的な、あるいは微視的な密度をも意味する。また、物質固有の音速とはこれらの物質の総合的な、あるいは微視的な音速をも意味する。
【0144】
音響インピーダンスは、狭義には物質の密度×物質固有の音速である。しかし、音響インピーダンスに一定の比率あるいは定数が加算、減算あるいは乗算、除算したものをも含む。
【0145】
また、音響インピーダンスに、たとえば温度などに依存して変化する係数が一定の比率あるいは定数で、加算、減算あるいは乗算、除算したものをも含むものでも良いことは言うまでもない。
【0146】
制御部11は、Z2>Z1であると判定した場合(S14:YES)、反射波形はポジティブ波形となるため、上記検出範囲内での反射波形の局所的最大値を算出する(S15)。
制御部11は、反射波形の局所的最大値までの伝播時間を算出する(S15)。
【0147】
制御部11は、Z2>Z1でないと判定した場合(S14:NO)、反射波形はネガティブ波形となるため、上記検出範囲内での反射波形の局所的最小値を算出する(S17)。
制御部11は、反射波形の局所的最小値までの伝播時間を算出する(S18)。
【0148】
図12に示すように、界面が第1層31の界面31aである場合、伝播時間としてt1を算出する。界面が第1層31と第2層32との間の32aである場合、t2を算出する。界面が第2層32と第3層33との間の33aである場合、t3を算出する。
【0149】
S19において、制御部11は、算出した伝播時間に基づいて、トランスデューサ21の下面(基準点)から各界面までの距離(界面位置)を算出する。制御部11は、各界面へ超音波が伝播するときのそれぞれの音速を音速DB167から取得し(S7より)、各界面間を伝播するときの伝播時間に、各層を構成する材料に対応する音速を乗じて距離を算出する。
制御部11は、算出した界面位置に基づいて、三次元座標データを生成する(S20)。
制御部11は、三次元座標データを三次元座標データDB168に記憶する(S21)。
重ね合わせた材料の上層の音響インピーダンスZ1と下層の音響インピーダンスZ2とした時、界面での音波の振幅反射率は
(Z2-Z1)/(Z2+Z1)。
【0150】
と計算される。すなわち、両材料の音響インピーダンスZ1、Z2が等しければ、反射が発生しない。よって、図16に示すように、(b1)の場合はLarge Positive、(b2)の場合はPositive、(b3)の場合はNo Signal、(b4)の場合はNegative、(b5)の場合はLarge Negativeの波形となる。
【0151】
実施の形態においては、送信波23を構造物3に送信し、受信波24を測定あるいは解析する。測定あるいは解析は、送信波の送信した時刻から受信波を受信した時刻、受信波を受信した第1の時刻から所定の第2の時刻(ゲート時間)内の受信波の振幅の大きさ、振幅の変化割合、受信波の極性(ポジティブ、ネガティブ)等を用いて演算あるいは計算する。
【0152】
また、測定あるいは解析は、送信波の送信した時刻から所定時間経過後の第1の時刻から、所定時間内の時間(ゲート時間) の受信波の振幅の大きさ、振幅の変化割合、受信波の極性(ポジティブ、ネガティブ)等を用いて演算あるいは計算する。
演算あるいは計算には、構造物を構成する材料等の寸法、密度などのDBのデータを使用して実施する。
【0153】
例えば、図17の(a1)及び(a2)に示すように、第1層31が樹脂、第2層が金属からなる場合、界面31a及び32aにおける波形はポジティブ波形、界面33aにおける波形はネガティブ波形である。
【0154】
なお、界面31a、界面33aは水と接している。界面31aにおいて、樹脂の音響インピーダンスをZ2、水の音響インピーダンスZ1をとした場合、Z2>Z1の関係があるが、一般的にZ2とZ1の差は小さい。従って、ポジティブ波形となるが、ピークは小さい。
【0155】
界面32aにおいて、樹脂の音響インピーダンスをZ1、金属の音響インピーダンスZ2をとした場合、Z2>Z1の関係があり、Z2とZ1の差は大きい。従って、ピークの大きいポジティブ波形となる。
【0156】
界面33aにおいて、金属の音響インピーダンスをZ2、水の音響インピーダンスZ1をとした場合、Z2<Z1の関係があり、Z2とZ1の差は大きい。従って、ピークの大きいネガティブ波形となる。
【0157】
トランスデューサ21から界面31a及び32aそれぞれにおける波形の局所的最大値までの伝播時間の差がt2である。界面32aにおける波形の局所的最大値、及び界面33aにおける波形の局所的最小値までの伝播時間の差がt3である。
【0158】
図17の(b1)及び(b2)に示すように、第1層31が樹脂、第2層32が金属、第3層33が樹脂からなる場合、界面31a及び32aにおける波形はポジティブ波形、界面33a及び34aにおける波形はネガティブ波形である。
【0159】
なお、界面31a、界面34aは水と接している。界面31aにおいて、樹脂の音響インピーダンスをZ2、水の音響インピーダンスZ1をとした場合、Z2>Z1の関係があるが、一般的にZ2とZ1の差は小さい。従って、ポジティブ波形となるが、ピークは小さい。
【0160】
界面32aにおいて、樹脂の音響インピーダンスをZ1、金属の音響インピーダンスZ2をとした場合、Z2>Z1の関係があり、Z2とZ1と差はあるが、大きな差はない。従って、ピークは、界面31aより多少大きいポジティブ波形となる。
【0161】
界面33aにおいて、金属の音響インピーダンスをZ1、樹脂の音響インピーダンスZ2をとした場合、Z2<Z1の関係があり、Z2とZ1と差が大きい。従って、ピークは、大きいポネガティブ波形となる。
【0162】
界面34aにおいて、樹脂の音響インピーダンスをZ1、水の音響インピーダンスをZ2とした場合、Z2<Z1の関係があり、Z2とZ1の差は比較的大きい。従って、比較的ピークの大きいネガティブ波形となる。
【0163】
界面31a及び界面32aそれぞれにおける波形の局所的最大値までの伝播時間の差がt2である。界面32aにおける波形の局所的最大値、及び界面33aにおける波形の局所的最小値までの伝播時間の差がt3である。界面33a及び34aそれぞれにおける波形の局所的最小値までの伝播時間の差がt4である。
【0164】
図17の(c1)の実施例は、樹脂と金属の中央部にボイド(空間)が発生している状態を示している。図17(c1)及び(c2)に示すように、第1層31が樹脂、第2層32が金属からなる場合、界面31aは、水と樹脂との界面であるから、界面31aにおける波形はポジティブ波形となる。界面32bは、樹脂31とボイド(空間)の界面である。樹脂の音響インピーダンスZ2と空間(ボイド)の音響インピーダンスZ1の差(Z2-Z1)が大きい。従って、界面32bでは、大きなネガティブ波形が検出される。界面31aにおける波形の局所的最大値、及び界面32aにおける波形の局所的最小値までの伝播時間の差がt2である。界面32bにおいてボイド、短絡部等が生じていることが、検出される波形により容易に検知することができる。
【0165】
以上のように、観察領域2内を図19に示すように、超音波顕微鏡2で回路基板210の表層、内層を観察、測定することにより、配線209、短絡部211を含む構造、構成を取得することができる。
【0166】
超音波顕微鏡2による測定は測定ポイントが多い場合、長時間を有することが多いが、図8に図示するように、観察領域216と特定しているため、測定ポイントは少なく、また、概略の短絡部211の位置を特定しているため、短絡部211と推測される箇所の刻みを小さくして精度よく測定することができ、短絡部211であると思われる位置を特定できる。
【0167】
本発明は、超音波顕微鏡2の観察画像と、ロックイン信号206による赤外線画像を組み合わせることにより、短絡部211が完全短絡していても、短絡部211の位置を特定することができる。
【0168】
また、本発明は、超音波顕微鏡2の観察画像、ロックイン信号206による赤外線画像、X線撮像装置によるX線撮影画像、パターンのレイアウト図、図7で説明したレーザ装置加工、図8で説明した抵抗値あるいは電圧値の測定、視覚的な配線209の観察のうち、少なくとも1つ以上あるいは複数の組合せにより短絡部211の位置特定、検出、評価あるいは検査をすることができる。
【0169】
以上の実施例は、主として回路基板210の配線209の端子電極208等にプローブ207等で電気的に接続し、配線209にロックイン信号206を印加して、短絡部211を検出する方式であった。本発明はこれに限定されない。
【0170】
図20は、機器(部品)が出力する同期信号を、同期信号検出器313に取り込み、この同期信号に同期して、制御機器203が赤外線カメラ201で、対象物から放射される赤外線を取り込み、対象物の温度変化等を検出する方法の説明図である。
【0171】
図20は、機器(部品)305から、ロックイン信号が出力される例である。説明を容易にするため、図20では、機器(部品)305の一例として、液晶ディスプレイ(LCD)として説明する。
【0172】
図22に図示するように、LCD305は、表示領域306を有し、また、ゲートドライバ回路307、ソースドライバ回路308を有している。同期信号として、ゲートドライバ回路307のスタートパルス(垂直走査信号のスタート信号STV)が例示される。スタートパルスは、ソースドライバ回路308から信号出力(または入力)端子303aに出力され、ゲートドライバ回路307に印加される。一方、グランド(GND)は、グランド(GND)端子303bに所定電圧が出力される。
信号出力端子303aにプローブ207aが圧接され(接続され)、グランド端子303bにプローブ207bが圧接される(接続される)。
【0173】
プローブ207に出力された同期信号STVは、ロックイン信号206として、この同期信号STVに同期して、赤外線カメラ201は充放電部(温度変化部)301から放射される赤外線あるいは温度変化を取り込む。
【0174】
図22に図示するLCDでは、ゲートドライバ回路307の出力端子に、コンタクトホール311を介して、ゲート信号線309が接続されている。コンタクトホールが製造時に接続不良を発生すると、ゲート信号線309には電圧が印加されない。ゲート信号線309には、見かけ上寄生容量が発生している。ゲート信号線309にはオン電圧(VGH)とオフ電圧(VGL)が周期的に印加される。
【0175】
ゲート信号線309に印加されるゲート電圧(VGH、VGL)により、コンタクトホール311には充放電電流が流れる。コンタクトホール311は比較的抵抗値が高いため、コンタクトホール311に電流が流れることにより、コンタクトホールは発熱する。ゲート信号線309には、順番にオン電圧が印加される。オン電圧の印加時に、ゲート信号線309の電位はオフ電圧(VGL)から、オン電圧(VGH)に変化し、該当コンタクトホール311に充放電電流が流れる。コンタクトホール311が接続されていないと、充放電電流は流れず、コンタクトホール311は発熱しない。
【0176】
ゲート信号線309はSTV信号に同期して、オンオフ電圧が印加されるため、STV信号に同期して、コンタクトホール311の発熱状態を観察すれば、コンタクトホール311の接続状態の正常、異常を検出できる。
【0177】
たとえば、コンタクトホール311aが正常接続されており、コンタクトホール311aが接続されている場合、コンタクトホール311aが発熱し、温度状態を検出することにより、正常と判断できる。コンタクトホール311bが接続されていない場合、コンタクトホール311aは発熱せず、異常と判断できる。
【0178】
なお、図20図22の実施例では、コンタクトホールの温度変化等を観察するとして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、異なる金属膜が接する箇所、TFT(薄膜トランジスタ)などの素子、複数の信号線が絶縁膜を介して交差する箇所など、多様な部位、箇所に適用することができる。
【0179】
以上のように、同期信号STVに同期して、赤外線カメラ201で取り込んだ赤外線画像を画像処理あるいは視覚的に判断することによりコンタクトホール311等に発生した接続不良を検出あるいは判断する。
【0180】
図22に図示するLCDでは、ソースドライバ回路308の出力端子に、コンタクトホール312を介して、ソース信号線310が接続されている。コンタクトホール312が製造時に接続不良を発生すると、ソース信号線310には電圧(信号)が印加あるいは供給されない。ソース信号線310には、付加容量、あるいはTFT等の素子が形成されている。ソース信号線310にはゲート信号線309の選択(VGH電圧が印加される)に同期(垂直同期信号VS)して、映像信号が印加あるいは変化する。
【0181】
ソース信号線310に印加される映像信号により、コンタクトホール312には充放電電流が流れる。コンタクトホール312は比較的抵抗値が高いため、コンタクトホール312に電流が流れることにより、コンタクトホール312はわずかに発熱する。コンタクトホール312で断線などが発生していると、映像信号による充放電電流は流れず、コンタクトホール312は発熱しない。
【0182】
ゲート信号線309選択に同期(同期信号VS)して、コンタクトホール312の発熱状態あるいは温度を観察すれば、コンタクトホール312の接続状態の正常、異常を検出できる。
【0183】
たとえば、コンタクトホール312aが正常接続されている場合、コンタクトホール312aが発熱し、温度状態あるいは温度もしくはその両方を検出することにより、正常と判断できる。コンタクトホール312bが接続されていない場合、コンタクトホール312aは発熱せず、異常と判断できる。
【0184】
各ゲート信号線309は、同期信号VSの立ち上がりから所定時間経過後に、オン電圧が印加される。したがって、同期信号から、ゲート信号線309の選択時間に一致させて、温度情報等を取得する。
【0185】
以上のように、垂直同期信号VSに同期して、赤外線カメラ201で取り込んだ赤外線画像を画像処理あるいは視覚的に判断することによりコンタクトホール312等に発生した接続不良を検出あるいは判断する。垂直同期信号VS等は、信号出力端子303に出力される。
【0186】
なお、以上の実施例では、信号出力端子303に出力される同期信号等を取得し、同期信号検出器313で検出して、赤外線カメラ201等を制御するとした。しかし、本発明はこれに限定するものではない。
【0187】
信号端子303を信号入力端子とし、同期信号検出器313が同期信号を発生し、発生した同期信号で、機器(部品)を制御するとともに、赤外線カメラ201等を制御してもよい。ロックイン信号206は同期信号であり、周期的に変化する。周期はtcである。
【0188】
本明細書では、ロックイン信号206で、赤外線カメラ201等で観察箇所の温度情報を検出あるいは取得する。あるいは検査、あるいは評価する、あるいは欠陥等の状態を判断する、あるいは観察箇所を含む特定箇所を評価する。
【0189】
また、機器(部品)が出力する同期信号(ロックイン信号)206で、コンタクトホール等の断線部、切断部の発熱あるいは発熱しない状態を観測あるいは測定し、赤外線カメラ201等から取得した温度情報等から検査、あるいは評価する。
【0190】
本発明は、ロックイン温度装置に関するものであり、また、ロックイン温度装置、X線撮影装置、超音波撮影装置、レーザ加工装置、位置決め装置219、画素処理装置等から、1つ以上の装置と組み合わせて構成される検査(評価)装置あるいは検査(評価)システムに関するものである。
また、これらを用いる、応用する検査方法に関するものである。検査とは検出、評価、測定、観察、分析、解析等の概念、技術的思想を含む。
【0191】
制御装置203は同期信号206を制御信号205aとして同期信号検出器313に供給する。同期信号検出器313が検出した同期信号を制御装置203に供給する。
【0192】
また、同期信号検出器313は信号発生源として、同期信号を機器(部品)に供給する。同時に、同期信号を制御信号205として、制御装置203として印加する。
【0193】
同期信号等は、プローブ207を介して信号入力(出力)端子303に供給あるいは取得する。同期信号等は、調整(位相調整)することができる。位相調整することにより、最も感度が高い温度分布、高い温度精度を取得できる。
【0194】
赤外線カメラ201は制御信号205と同期を取り(位相を調整してタイミングを調整し)、温度測定部311あるい短絡部211等で発生する赤外線202を計測、評価、測定、検出する。赤外線カメラ201は最も感度が高くなるように、制御信号205との位相関係を調整する機能を有する。
ロックイン信号206の周期は赤外線カメラ201が短絡箇所211を検出できるように、赤外線202の発生量を適切にするように可変する。
【0195】
制御信号205bにより、赤外線カメラ201は赤外線202を取り込む。赤外線202の取り込み期間は、制御信号205bのt3期間である。t3期間は可変できる。同期信号206と制御信号205bの周期はtcであるが、ロックイン信号206と制御信号205bの位相関係は可変あるいは調整することができる。
【0196】
赤外線カメラ201は制御信号(周期的な信号)206に反応して温度情報を取得し、高い温度感度を実現する。ロックイン信号206aに同期しない定常的な発熱には反応しない。あるいは反応の感度を低下させることができる。
【0197】
赤外線カメラ201は同期信号206と同期し、赤外線202を取り込み、取り込んだデータDtを制御装置203に転送する。本発明の検査装置は、制御信号205aと制御信号205bとは位相を調整する機能がある。
【0198】
赤外線カメラ201は、XY(Z)方法に移動できるように、移動ステージ(図示せず)が配置されている。もしくは、機器(部品)305は位置決め装置219に積載され、位置移動できるように構成されている。
【0199】
図20では、2本のプローブ207を信号端子303に接続した状態を図示しているが、これに限定するものではなく、3本以上のプローブ207と3箇所以上の信号端子303と電気的に接続し、赤外線カメラ201でデータDtを取得しても良いことは言うまでもない。信号端子303にプローブ207の接続なしに、コネクタ等を介して接続してもよい。また、リレー、スイッチ等を介して電気的に接続してもよい。
【0200】
IR画像から周期的な間隔で熱応答信号を検出し、前記熱応答信号の周波数に対応して機器(部品)305のコンタクトホール等の観察箇所におけるホットスポット画像の発生、ホットスポット画像の変化を特定することにより、観察箇所(充放電部、温度変化部)301の検出、検査が行われる。
【0201】
図20の実施例では、図22に示すLCDを例示して説明したが、本発明はこれに限定するものではない。機器(部品)において、同期信号に同期して、信号線あるいは配線などに電圧あるいは電流信号を供給あるいは停止する物等であれば、いずれにも本発明を適用できることは言うまでもない。
【0202】
図21は、本発明の他の実施例における説明図である。検査、評価対象はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)が例示される。MEMSは、電気回路と微細な機械構造を、一つの半導体基板上に集積させたデバイス(部品)であり、半導体製造技術やレーザ加工技術等、各種の微細加工技術を応用し、微小な電気要素と機械要素を一つの基板上に組み込んだセンサー、アクチュエーターなどのデバイスやシステムである。
【0203】
そのため、LSI(大規模集積回路)が、半導体基板上で電気信号のみを処理するのに対して、MEMSは、材料の機械的特性を利用した上下や左右に動く可動部を活用する。
【0204】
図23は、MEMSの一例としての振動型ジャイロスコープ(vibrating structure gyroscope : VGS、振動ジャイロ)である。振動あるいは移動による角速度を検出するジャイロスコープである。
【0205】
振動する物体が回転している場合、その回転軸に垂直な平面上で振動に対して垂直な力が発生することが物理的な基本原理となっている。振動子が回転している時に発生する力は、コリオリの力の運動方程式に起因するため、工学文献ではコリオリ振動ジャイロ(coriolis vibratory gyro : CVG)とも呼ばれる。
【0206】
振動型ジャイロスコープは、従来の回転型ジャイロスコープに比べ、同程度の精度をより単純により安価に実現可能である。この原理を使って小型化されたデバイスとして、比較的安価なタイプの姿勢指示器がある。
速度vで動作するプルーフマスに、角速度Ωの回転を与えると、コリオリの効果によって加速度が発生する。プルーフマス面上の位置でのプルーフマス面上の速度xpである。mはプルーフマスの質量、kp(pはx、y等)はプルーフマス面外で定義したバネ定数、Ωはプルーフマス面上の角速度ベクトル(回転により発生したプルーフマスの動きに対して垂直を示す。
MEMSである振動型ジャイロスコープがX、Y方向に移動すると、プルーフマス面外で定義したバネ定数kp(等価的にバネと表せるものとし、説明を容易にするため、バネk(ky、kxと呼ぶ))が変化し、温度の変化が変化する。バネkが不良の場合、温度が変化しない。
【0207】
したがって、バネkpの温度を測定あるいは観察することにより、振動型ジャイロスコープ等のMEMS(部品である)の正常、不良を判定あるいは評価できる。
図21は、振動型ジャイロスコープ等のMEMSを検査、評価する検査装置(評価装置)の説明図である。
【0208】
MEMS305は、位置決め装置219に積載されている。MEMS219の信号線端子(グランド端子)303には、プローブ207またはコネクタ(図示せず)を介して信号を入出力できるように構成されている。信号の印加(入力)、出力、同期信号検出器313、ロックイン信号に関しては図20等で説明しているため省略をする。
【0209】
図24に図示するように、位置決め装置219はA位置とB位置を移動し、図21に図示するように、位置決め装置219は、A位置とB位置間を往復移動する。A位置からB位置に移動し、次にB位置からA位置に移動する。B位置では赤外線カメラ201が配置されている。B位置でバネkpの温度あるいは温度情報を取得する。
【0210】
A位置からB位置に移動し、B位置からA位置に方向転換して移動を行うため、B位置で停止状態となる。B位置では、振動型ジャイロスコープのバネkpの等価抵抗値が変化するため、バネkpが発熱する。振動型ジャイロスコープのバネkpが不良の場合、等価抵抗値は変化せず、バネkpの温度変化が発生しない。時間(時刻)t2、時間(時刻)t4で、MEMS305は、B位置で停止する。
B位置で停止したMEMS305のバネkpが変化し、温度変化が発生し、温度変化を赤外線カメラ201で測定あるいは検出する。
【0211】
MEMS305の信号端子303は同期信号等が出力されるか、または同期信号等が入力されて、MEMS305は同期信号等に同期して、制御される、あるいは動作する。なお、温度検出、温度取得方法等に関しては、他の実施例で説明しているため説明を省略する。
【0212】
なお、図22図23の実施例では、バネkpとしたが、これに限定するものではなく、MEMSの機械的可動部が、移動等により変化させるものであれば、いずれの構成、機器、部品であってもよい。
【0213】
なお、A位置とB位置の往復移動に限定されるものではなく、一方向あるいは円形などに移動し、その所定位置で停止と移動開始を実施するものであれば、いずれの構成でも良いことは言うまでもない。
【0214】
本明細書に記載事項は、本明細書に記載の実施例と相互に組み合わせることができることは言うまでもない。たとえば、図6等で説明したX線検査装置あるいはX線検査装置の制御方法、図11の超音波顕微鏡と組み合わせ、図21の位置決め装置等との組み合わせることができることは言うまでもない。
【0215】
また、図7図8で説明したように、レーザ加工部215aにレーザ光214を照射し、内層の配線209bを加工し、赤外線カメラ201で配線209a、配線209bから放射される赤外線202を測定する方式と組み合わせできることは言うまでもない。
図11等で説明した構造解析装置1、超音波顕微鏡2の構成あるいは方法と組み合わせることができることは言うまでもない。
【0216】
また、図8図10に図示して説明したように、レーザ光、赤外線を照射し、赤外線カメラ201で、放射される赤外線202を測定し、赤外線画像を取得する方法と組み合わせても良いことはいうまでもない。
また、これらの装置あるいは方法を、複数あるいはすべてを組み合わせできることも言うまでもない。
【0217】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本明細書及び図面に記載した事項あるいは内容は、相互に組み合わせることができることは言うまでもない。

【符号の説明】
【0218】
1 構造解析装置
2 超音波顕微鏡
11 制御部
12 主記憶部
13 通信部
14 操作部
15 表示パネル
16 補助記憶部
21 トランスデューサ
23 送信波
24 受信波
31 第1層
32 第2層
33 第3層
34 第4層
35 第5層
31a 界面
32a 界面
33a 界面
34a 界面
161 三次元座標データ生成プログラム
162 音速算出プログラム
163 スキャンデータ(1)DB
164 材料または組成DB
165 スキャンデータ(2)DB
166 伝播時間DB
167 音速DB
168 三次元座標データDB
171 波形解析プロブラム
169 記録媒体
170 ネットワーク
181 測定位置
201 赤外線カメラ
202 赤外線
203 制御装置
204 励起信号源
205 制御信号
206 ロックイン信号
207 プローブ
208 端子電極
209 配線
210 回路基板
211 短絡部
212 レーザ装置
214 レーザ光
215 レーザ加工部
216 観察部領域
217 X線光
218 X線撮像装置
219 位置決め装置(位置移動装置)
220 X線照射装置
221 抵抗測定装置
301 充放電部(温度変化部)
303 信号端子(信号電極端子)
304 グランド(GND)端子(グランド電極端子)
305 機器(部品)
306 表示領域
307 ゲートドライバ回路
308 ソースドライバ回路
309 ゲート信号線
310 ソース信号線
311 コンタクトホール
312 コンタクトホール
313 同期信号検出器

図1
図2
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