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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053514
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】配電調整システムおよび配電調整方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20220329BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20220329BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20220329BHJP
   B60L 53/80 20190101ALI20220329BHJP
   B60L 55/00 20190101ALI20220329BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J7/34 J
B60L53/80
B60L55/00
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152250
(22)【出願日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】202011015793.6
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517062311
【氏名又は名称】▲葛▼ 熾昌
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲葛▼ 熾昌
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G066AD14
5G066HB09
5G066JA01
5G066JA05
5G066JB03
5G066KA01
5G503AA01
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB02
5G503BB05
5G503DA07
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD04
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC13
5H125BC21
5H125BC24
5H125BC26
5H125BE01
(57)【要約】
【課題】配電調整システムおよび配電調整方法を提供する。
【解決手段】配電調整システムは複数の収容空間、DCバス、AC/DCコンバータおよびエネルギーコントロールセンターを備える。それぞれの収容空間内の交換可能なバッテリーパックはDCバスに接続され、AC/DCコンバータはDCバスと送電網との間に接続される。配電調整方法は下記の通りである。まず異なる電気自動車から取り外した複数の交換可能なバッテリーパックを集めて保管する。続いて、エネルギーコントロールセンターはそれぞれの収容空間内の交換可能なバッテリーパックを指定し、指定した交換可能なバッテリーパックをDCバスおよびAC/DCコンバータを介して第一配電調整作業に応じさせて送電網に電力を供給する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電調整ステーションに応用される配電調整方法であって、
前記配電調整ステーションは複数の収容空間、DCバス、AC/DCコンバータおよび複数のコネクターを備え、複数の前記コネクターはそれぞれ前記収容空間に対応するように配置され、前記DCバスに連結され、前記AC/DCコンバータは前記DCバスと送電網との間に連結され、
前記配電調整方法は下記のステップを含み、
ステップ1は異なる電気自動車から取り外した複数の交換可能なバッテリーパックを複数の前記収容空間内に集めて保管し、それぞれの前記収容空間において前記交換可能なバッテリーパックと前記コネクターとを電気的に接続することであり、
ステップ2はエネルギーコントロールセンターによって前記AC/DCコンバータおよびそれぞれの前記収容空間内の前記交換可能なバッテリーパックを制御し、一部分の前記収容空間内の前記交換可能なバッテリーパックを指定して第一配電調整作業に応じさせることであり、
前記第一配電調整作業は指定した前記交換可能なバッテリーパックが前記DCバスおよび前記AC/DCコンバータを介して前記送電網に電力を供給することを特徴とする配電調整方法。
【請求項2】
前記第一配電調整作業に応じていない前記交換可能なバッテリーパックの一部分は前記第一配電調整作業が進む間に前記DCバスによって充電されることを特徴とする請求項1に記載の配電調整方法。
【請求項3】
前記エネルギーコントロールセンターは第二電力需要指令に基づいて第二配電調整作業を行い、前記第一配電調整作業と異なる前記交換可能なバッテリーパックを指定し、第二配電調整作業に応じさせることを特徴とする請求項1に記載の配電調整方法。
【請求項4】
前記第一配電調整作業に応じる前記交換可能なバッテリーパックは前記第一配電調整作業が進む間に数が増加することを特徴とする請求項1に記載の配電調整方法。
【請求項5】
前記第一配電調整作業は第一発電力調整作業または第一消費電力調整作業を含むことを特徴とする請求項1に記載の配電調整方法。
【請求項6】
前記エネルギーコントロールセンターは前記DCバスの電圧を設定範囲内に制御することを特徴とする請求項1に記載の配電調整方法。
【請求項7】
複数の前記第一配電調整作業に応じる前記交換可能なバッテリーパックの一部分は別の配電調整ステーションの配電調整作業にも応じることを特徴とする請求項1に記載の配電調整方法。
【請求項8】
配電調整ステーションに応用される配電調整システムであって、
前記配電調整ステーションは異なる電気自動車から取り外した複数の交換可能なバッテリーパックを集めて保管し、それぞれの前記交換可能なバッテリーパックは相互に連結されるDC/DCコンバータと、複数の相互に電気的接続するバッテリーセルとを有し、一部分の同じ形の前記交換可能なバッテリーパックは容量が異なり、
前記配電調整システムは複数の収容空間、AC/DCコンバータおよびエネルギーコントロールセンターを備え、
複数の前記収容空間はコネクターを有し、それぞれの前記コネクターは対応する前記交換可能なバッテリーパックとDCバスに接続され、
前記AC/DCコンバータは前記DCバスと送電網との間に連結され、
前記エネルギーコントロールセンターは前記AC/DCコンバータおよびそれぞれの前記収容空間内の前記交換可能なバッテリーパックを制御し、一部分の前記収容空間内の前記交換可能なバッテリーパックを指定して第一配電調整作業に応じさせ、
前記第一配電調整作業は指定した前記交換可能なバッテリーパックが前記DCバスおよび前記AC/DCコンバータを介して前記送電網に電力を供給することを特徴とする配電調整システム。
【請求項9】
それぞれの前記交換可能なバッテリーパックの前記DC/DCコンバータは非隔離式タイプであることを特徴とする請求項8に記載の配電調整システム。
【請求項10】
前記DCバスの電圧はそれぞれの前記交換可能なバッテリーパックの前記バッテリーセルの電圧より大きいことを特徴とする請求項8に記載の配電調整システム。
【請求項11】
前記AC/DCコンバータは複数の電源コンバータを有し、複数の前記電源コンバータはDC/ACコンバータユニット、AC/DCコンバータユニットまたはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項8に記載の配電調整システム。
【請求項12】
前記AC/DCコンバータは変圧器を介して前記送電網に接続されることを特徴とする請求項8に記載の配電調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力システムおよび稼働方法に関し、詳しくは配電調整システムおよび配電調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
世界中では、分布範囲、配置密度および使用率が最も高いエネルギーは電気エネルギーである。給電のバランスを失う際、送電網を崩壊させることが最も深刻な状態である。つまり、送電網の安定性を維持するには常に給電のバランスを保つことが必要である。配電調整作業とは電力需要の負荷に応じて送電網の電力供給を適切に調整することである。
【0003】
電力は火力、水力または核エネルギーによって生成される。基本の電力需給に応じるのが核エネルギー発電および火力電力に対し、水力発電は起動が迅速であり、並列運転を迅速に行って送電網に必要な電力を供給できることが特徴であるため、緊急の電力需給に適用される。しかし厖大な貯水池を予め設置することは水力発電の欠点である。また使用済み水を処理する際、使用済み水は送電網のオフピーク時間帯にポンプによって貯水池へ輸送される。言い換えれば、水力発電所を建設する際、降水量などの自然要素および設置環境を考慮しなければならない。
【0004】
近年、多くの業者に大いに推薦される太陽光発電や風力発電などのグリーンエネルギー技術は日射時間または風力の強弱などの自然要素によって発電効率が左右されるため、送電網の安定性を維持することが難しく、配電調整作業のコストが高くつく。
【0005】
従来の火力や水力などによる発電システムに対し、グリーン電力システムは慣性(inertia)が比較的小さい。かつ発電出力が変動する際、発電システムの周波数が目標値からずれることがよくある。詳しく言えば、発電システムのトリップ事故が発生した際、グリーン電力システムの慣性が比較的小さいことが原因で周波数応答が速くなり、システム全体が不安定になるため、グリーン電力システムを導入した送電網に配電を調整することは簡単ではない。
【0006】
バッテリーセルエネルギー貯蔵による発電技術は反応が迅速に起こることが特徴である。ピーク時間帯または瞬時の電力不足を解決するために、水力発電技術の代わりに、バッテリーセルエネルギー貯蔵による発電技術、即ち慣性の低いグリーンエネルギーによる発電技術で配電を調整すれば比較的好ましいが、設置コストは相当高い。詳しく言えば、設置コストは送電網のコスト、バッテリーの減価償却費および電力再生コストを含む。貯蔵用リチウム電池は1kWhのコストが180から200アメリカドルであり、別のエネルギー貯蔵式発電所の発電コストより遥かに高い。つまり、単独で効率よいバッテリーエネルギー貯蔵による発電所を建設するにはコストがかなり高くつく。
【0007】
送電網の需要性に応じて配電を効率よくかつ経済的に調整し、電力システムの安定性を維持する方法を如何に探るのかは現今の最も重要な課題の一つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した問題に鑑み、単一の配電調整ステーションで送電網の負荷シフト(load shifting)、バッテリーのエネルギー貯蔵および発電および電気自動車のバッテリー交換を同時に処理することによって電力を柔軟的に調整し、送電網の需要に応じて配電を効率よくかつ経済的に調整し、電力システムの安定性を維持することが可能である配電調整システムおよび配電調整方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、配電調整方法は配電調整ステーションに応用される。配電調整ステーションは複数の収容空間、DCバス、AC/DCコンバータおよび複数のコネクターを備える。複数の収容空間は交換可能なバッテリーパックを保管する。複数のコネクターはそれぞれ収容空間に対応し、DCバスに連結される。AC/DCコンバータはDCバスと送電網との間に連結される。配電調整方法は少なくとも二つのステップを含む。
【0010】
ステップ1はそれぞれの収容空間に複数の交換可能なバッテリーパックを集めて保管し、それぞれの交換可能なバッテリーパックとそれぞれの収容空間に対応するコネクターとを電気的に接続することである。複数の交換可能なバッテリーパックは異なる規格または型番の電気自動車から取り外されたものである。ステップ2はエネルギーコントロールセンターが第一電力需要指令に基づいてAC/DCコンバータおよびそれぞれの収容空間内の交換可能なバッテリーパックを制御し、一部分の収容空間内の交換可能なバッテリーパックを指定して第一配電調整作業に応じさせることである。第一配電調整作業は指定した交換可能なバッテリーパックがDCバスおよびAC/DCコンバータを介して送電網に電力を供給するか、DCバスを介して送電網の電力を消費し、指定した交換可能なバッテリーパックを充電することである。指定した交換可能なバッテリーパックのうちの一つは別の配電調整ステーションに充電されたことがある。
【0011】
一つの実施形態において、第一配電調整作業に応じていない交換可能なバッテリーパックの一部分は第一配電調整作業が進む間にDCバスによって充電される。
【0012】
一つの実施形態において、エネルギーコントロールセンターは第二電力需要指令に基づいて第二配電調整作業を行い、第一配電調整作業と違う数の交換可能なバッテリーパックを指定し、第二配電調整作業に応じさせるか、第一電力調整作業に応じていなかった交換可能なバッテリーパックの一部分を指定し、第二配電調整作業に応じさせる。
【0013】
一つの実施器形態において、第一配電調整作業および第二配電調整作業に応じる交換可能なバッテリーパックの一部分はそれぞれ異なる収容空間内に位置する。
【0014】
一つの実施器形態において、第一配電調整作業に応じる交換可能なバッテリーパックは第一配電調整作業が進む間に数が増加することができる。
【0015】
一つの実施形態において、第一配電調整作業は第一発電力調整作業および第一消費電力調整作業を含む。第一発電力調整作業は交換可能なバッテリーパックがDCバスおよびAC/DCコンバータを介して送電網に電力を供給する(即ち交換可能なバッテリーパックがDCバスを介して放電する)ことである。第一消費電力調整作業はDCバスおよびAC/DCコンバータを介して送電網の電力を消費し、一部分の交換可能なバッテリーパックを充電する(即ちDCバスを介して交換可能なバッテリーパックを充電する)ことである。
【0016】
一つの実施形態において、第一配電調整作業に応じる交換可能なバッテリーパックの一部分は異なる配電調整ステーションの配電調整作業を行ったことがある。
【0017】
一つの実施形態において、エネルギーコントロールセンターは第二電力需要指令に基づいて第二配電調整作業を行う。第二電力需要指令は第一電力需要指令と同じである。第二配電調整作業に応じる交換可能なバッテリーパックの一部分は第一配電調整作業を行ったことがない。同じ電力需要指令とは送電網に同じ電力および時間ごとの同じ発電量を維持させることである。
【0018】
上述した課題を解決するため、配電調整システムは配電調整ステーションに応用される。配電調整ステーションは異なる型番の電気自動車から取り外した複数の交換可能なバッテリーパックを集めて保管する。交換可能なバッテリーパックは相互に連結されるDC/DCコンバータと、複数の相互に電気的接続するバッテリーセルとを有する。一部分の同じ形の交換可能なバッテリーパックは容量が異なる。配電調整システムは複数の収容空間およびそれらに対応するコネクター、AC/DCコンバータおよびエネルギーコントロールセンターを備える。それぞれのコネクターは収容空間に配置され、対応する交換可能なバッテリーパックとDCバスに接続される。AC/DCコンバータはDCバスと送電網との間に連結される。エネルギーコントロールセンターは第一電力需要指令に基づいてAC/DCコンバータおよびそれぞれの収容空間内の交換可能なバッテリーパックを介してそれぞれの収容空間内の交換可能なバッテリーパックの一部分を指定し、第一配電調整作業に応じさせる。配電調整作業は発電力調整作業または消費電力調整作業である。発電力調整作業は指定した交換可能なバッテリーパックがDCバスおよびAC/DCコンバータを介して送電網に電力を供給することである。指定した交換可能なバッテリーパックの少なくとも一部分は別の配電調整ステーションで充電されたことがある。
【0019】
一つの実施形態において、配電調整システムの第一配電調整作業が進む間に、第一配電調整作業に応じていない交換可能なバッテリーパックの一部分はDCバスによって充電される。
【0020】
一つの実施形態において、DCバスの電圧は交換可能なバッテリーパックの内部のバッテリーセルの電圧より大きい。
【0021】
上述をまとめてみると、本発明は交換可能なバッテリーパックおよびメインバッテリーパックを備える電気自動車から交換可能なバッテリーパックを取り外し、配電調整ステーションに集める。続いて、配電調整ステーションと電気自動車との間に共用される交換可能なバッテリーパックによって電気自動車のバッテリー交換、送電網の負荷シフトおよび電力貯蔵システム (Energy Storage System)などの三つの機能を果たす。本発明による配電調整方法および配電調整システムは配電調整ステーションのハードウェア設備および交換可能なバッテリーパックを共用し、電気自動車バッテリー交換ステーションおよびバッテリー貯電・発電を統合し、管理コストを分担するため、稼働のループ化、配電調整の柔軟化およびコストの削減が実現できる。以下、本発明の主な技術特徴について説明する。
【0022】
それぞれの収容空間に対応してDCバスと交換可能なバッテリーパックとの間に連結されるコネクターは固定タイプ、または継電器などの部品から構成される非固定タイプである。非固定タイプは制御信号に基づいて継電器に構造上の接続関係を切り替えることができる。
【0023】
共用できる交換可能なバッテリーパックを用いて電気自動車のバッテリー交換を行う実施形態は下記の通りである。異なる規格または型番の電気自動車から取り外した交換可能なバッテリーパックは配電調整ステーションで充電され、そののち異なる電気自動車の収容空間に搭載され、同時に異なる電気自動車内の異なる規格または型番のメインバッテリーパックを充電する。異なる電気自動車の収容空間とは収容空間の大きさが同じであるとは限らず、形の規格が同じように設計された交換可能なバッテリーパックに対応することである。同様に配電調整ステーションの収容空間は上述したとおりである。
【0024】
同じ形の交換可能なバッテリーパックはサイズが必ずしも同じではない。設計の際に同じ形を基準とし、互換性を確保することさえできればよい。互換性を例として説明してみると、単四電池(AAA)は製造メーカーによって形とサイズが必ずしも同じではない。設計または製作の際に生じた誤差は要因の一つとして考えられる。また異なる装置に対応する単四電池は収容空間のサイズまたは接続方式が必ずしも同じではない。つまり、設計の際に同じ形を基準とし、使用上の互換性を確保するという条件を満たせば問題は発生しない。
【0025】
共用できる交換可能なバッテリーパックをまとめて使用することによって送電網の負荷シフトおよび電力貯蔵システムを達成する実施形態は下記の通りである。異なる規格または型番の電気自動車から交換可能なバッテリーパックを取り外し、配電調整ステーションにまとめる。複数の取り外した交換可能なバッテリーパックは容量が異なっても同じ収容空間に格納され、DCバスとの接続によって充電されたり、送電網に電力を供給したりすることができる。また、バッテリー交換作業をスムーズに行うには、数が十分なバッテリーパックを保管し、十分な貯蔵空間、専用の着脱装置、効率よい充電装置および管理設備を揃えることが必要である。送電網の負荷シフトおよびバッテリー貯電・発電を行うには、十分な発電量(在庫バッテリーパック、貯蔵空間、充電装置、発電装置)および管理設備を揃えるほかに配備および容量を即時更新することが必要である。
【0026】
配電調整を行う実施形態は下記の通りである。交換可能なバッテリーパックおよびメインバッテリーパックを兼ね備える電気自動車が市内および高速道路の間の複数の配電調整ステーションの間を任意に走行する際、交換可能なバッテリーパックは配電調整ステーションで電気自動車から分離し、充電されたり、放電したりすることができる。つまり、交換可能なバッテリーパックに電力を柔軟に調整することができる。
【0027】
複数の指定した交換可能なバッテリーパックを配電調節作業に応じさせる際、それらの接続関係が非固定タイプである場合、接続方式を予め指定することが必要である。例えば、第一交換可能なバッテリーパックと第二交換可能なバッテリーパックはそれぞれ第一継電器および第二継電器を介してDCバスに接続される。通常状態の第一継電器および第二継電器は開回路(open circuit)である。第一交換可能なバッテリーパックを指定し、配電調整作業に応じさせれば、第一継電器は指定され、短絡(short circuit)を生じて導通状態になる。
【0028】
選択された交換可能なバッテリーパックの制御方式を指定する実施形態は下記の通りである。需要電力が10KWである場合、10組の交換可能なバッテリーパックを選んでそれぞれの出力を1KWに設定すればよい。それに対し、別の方法は5組の交換可能なバッテリーパックの出力を1.2KWに設定し、別の5組の交換可能なバッテリーパックの出力を0.8KWに設定すれば、総電力は出力10KWに達することができる。需要電力が20KWである場合、20組の交換可能なバッテリーパックを選んでそれぞれの出力を1KWに設定するか、10組の交換可能なバッテリーパックを選んでそれぞれの出力を2KWに設定すれば、総電力は出力20KWに達することができる。
【0029】
配電調整作業は発電力調整作業および消費電力調整作業を含む。発電力調整作業は配電調整ステーションが電力需要指令に基づいて送電網の消費電力を増やす(即ち配電調整ステーションが送電網を介して消費した電力を減らす)作業である。その方法は下記のとおりである。一つ目の方法は送電網を介して配電調整ステーションに供給する充電電流を減らす(Grid power peak shaving)ことである。二つ目の方法は配電調整ステーションを電力消費モードから貯電・発電モードに切り換えるか、貯電・発電モードの配電調整ステーションが発電量を増加させることによって送電網の消費できる電力を上げることである。つまり、すべでの交換可能なバッテリーパックからDCバスに流れ込む電流の総和を増加させることができる。
【0030】
配電調整作業を行う際、配電調整ステーションは電力需要指令に基づいて送電網の消費電力を上げる。その方法は配電調整ステーションの発電量を減らし、発電モードから電力消費モードに切り替えるか、消費電力を上げること(Grid power Valley filling)である。電力消費モードとはバッテリーパックを充電することである。言い換えれば、DCバスからすべての交換可能なバッテリーパックに流れ込む電流の総和は配電調整作業によって増加する。
【0031】
交換可能なバッテリーパックはDC/DCコンバータに接続されるバッテリーセルから構成される。異なる規格のバッテリーセルは異なる交換可能なバッテリーパックを構成する。配電調整ステーションが配電調整作業を行う際、AC/DCコンバータの電力と、配電調整作業に応じる交換可能なバッテリーパックのDC/DCコンバータとを同時に制御し、DCバスを正確な作動範囲内に維持することが必要である。
【0032】
交換可能なバッテリーパックは出荷の際に搭載されたメインバッテリーパックに応じて設計され、異なるメーカーの電気自動車に特性を発揮させる。異なる交換可能なバッテリーパックのDC/DCコンバータは規格や作動モードなどのパラメータが必ずしも同じではないため、配電調整作業を行う際、パラメータと、配電調整作業に応じる交換可能なバッテリーパックのDC/DCコンバータとを同時に制御することが必要である。
【0033】
電気自動車の需要量が増大するのに対し、配電調整ステーションは電気自動車のバッテリー交換作業に応じて大量の交換可能なバッテリーパックを保管することが一般的である。配電調整ステーションで保管される交換可能なバッテリーパックの容量は一般のバッテリーエネルギー貯蔵発電所の容量が大きい。詳しく言えば、一台の電気自動車の交換可能なバッテリーパックの容量が20KWhであれば、市内を走行する10,000台の電気自動車の交換可能なバッテリーパックは容量の総和が200MKhである。2018年に世界中の最も大きいバッテリーエネルギー貯蔵発電所、即ちアメリカのテスラ社(Tesla)はオーストラリアのホーンズデール(Hornsdale)での風力発電所のバッテリーの容量が129MKhである。つまり、電気自動車が相当な数であれば、配電調整ステーションで保管される交換可能なバッテリーパックおよびそれらの容量が相当な数である。
【0034】
従来のバッテリーエネルギー貯蔵発電所において、バッテリーの容量は一定である。バッテリーの充電が完了した後、次の発電作業を行うまでの間は充電作業をしなくてもよい。それに対し、本発明により掲示された配電調整ステーションは常に電気自動車から取り外した交換可能なバッテリーパックに充電作業を行い、かつ膨大な充電作業の需要性に応じ、電気自動車の頻繁な出入りに伴ってバッテリーパックの容量の総和を上げることによって送電網の負荷シフトを達成する。
【0035】
送電網の給電のバランスが崩れた場合、電力需要指令は配電調整作業、即ち発電力調整作業を行うことである。配電調整ステーションは発電量を上げる作業か、交換可能なバッテリーパックの総充電量を下げる作業か、それらの作業を組み合わせることを選択し、送電網の給電量を上げることができる。配電調整作業が消費電力調整作業である場合、配電調整ステーションは発電量を下げる作業か、交換可能なバッテリーパックの総充電量を上げる作業か、それらの作業を組み合わせることを選択し、送電網の給電量を下げることができる。
【0036】
言い換えれば、エネルギーコントロールセンターが電力需要指令を受けると、収容空間内の一部分の交換可能なバッテリーパックを指定し、配電調整作業に応じさせる。続いて、収容空間内の交換可能なバッテリーパックの総充電量の増減、総放電量の増減およびそれらの組み合わせ作業を制御することによって発電力調整作業および消費電力調整作業を完了させる。
【0037】
上述をまとめてみると、本発明による配電調整システムおよび配電調整方法は電気自動車の交換可能なバッテリーパックをまとめた後、適切な調整を行い、日増しに増加する電気自動車の交換可能なバッテリーパックを効果的に統合するものである。また充電が完了した交換可能なバッテリーパックは電気自動車に使用されるか、貯電が必要な送電網に電力を迅速に供給することができる。送電網に電力が余る際、バッテリーパックの総充電量を迅速に上げて送電網補償を行うことができる。配電調整ステーションで交換可能なバッテリーパックがまとめられる際、配電調整システムは電気自動車のバッテリー交換、送電網の負荷シフトおよび電力貯蔵システムを実現させることができる。共用できる交換可能なバッテリーパック、貯蔵空間、充電装置および管理設備は固定費および変動費のコスト削減が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の一実施形態による配電調整システムおよび配電調整方法を応用した電気自動車のバッテリーセルの配置位置を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態による配電調整システムおよび配電調整方法に対応する交換可能なバッテリーパックの構築を示す模式図である。
図3】本発明の一実施形態による配電調整システムの構築を示す模式図である。
図4A】本発明の一実施形態においてAC/DCコンバータおよび交換可能なバッテリーパックを接続した状態を示す模式図である。
図4B】本発明の一実施形態においてAC/DCコンバータおよび交換可能なバッテリーパックを接続した他の状態を示す模式図である。
図5A】本発明の一実施形態において電圧に対応する変圧器、AC/DCコンバータおよび送電網を接続した状態を示す模式図である。
図5B】本発明の一実施形態において電圧に対応する変圧器、AC/DCコンバータおよび送電網を接続した他の状態を示す模式図である。
図6】本発明の一実施形態による配電調整システムおよび配電調整方法によって交換可能なバッテリーパックを配電調整ステーションにまとめるステップを示す模式図である。
図7】本発明の一実施形態による配電調整方法のステップを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明による配電調整システムおよび配電調整方法を図面に基づいて説明する。
【0040】
なお、明細書において、第一、第二などの順番表示に関わる用語は説明に合わせて挙げられる。連結(couple)とは直接または間接的な電気的接続、通信方式による情報またはデータ連結などの接続方式を含むことである。
【0041】
(一実施形態)
本発明の一実施形態による配電調整システムおよび配電調整方法は電気自動車の交換可能なバッテリーパックによって応用される。図1に示すように、電気自動車100はメインバッテリーパック11、交換可能なバッテリーパック収容空間12および交換可能なバッテリーパック(swappable battery pack)13を有する。
【0042】
メインバッテリーパック11は電気自動車100の四つの車輪101a~101Dの間に装着されて電気自動車100の車体(図中未表示)と結合する。メインバッテリーパック11の装着位置は車種の設定によって変わる。
【0043】
交換可能なバッテリーパック収容空間12は電気自動車100によって設計された半密閉または密閉式空間(図中未表示)であり、同じ形の交換可能なバッテリーパック13を収容および固定する。図2に示すように、交換可能なバッテリーパック13は型番および規格が必ずしも同じではない。異なる型番または規格の交換可能なバッテリーパック13は交換可能なバッテリーパック収容空間12に収容および接続されることができる。図2に示すように、交換可能なバッテリーパック13は相互に接続するDC/DCコンバータ(DC-to-DC converter)131、複数のバッテリーセル(battery cell)132および一つの接続端子133を有する。複数のバッテリーセル132は相互に電気的に接続され、リチウム電池、リチウムコバルト電池、リチウムマンガン電池、リチウムニッケル電池、リチウムニッケルコバルト電池、リチウム鉄リン酸塩電池、リチウム鉄リン酸塩電池などから構成される。DC/DCコンバータ131は単方向タイプ、双方向タイプ、隔離式タイプまたは非隔離式タイプである。DC/DCコンバータ131は単独でバッテリーセル132の特性によって設計され、バッテリーの使用寿命の延長および電力変換効率の向上を実現させる。DC/DCコンバータ131は接続端子133に電気的に接続されるため、交換可能なバッテリーパック13は接続端子133を介して電力を外部へ伝送するか、外部からの電力を受けることができる。
【0044】
電気自動車100において、メインバッテリーパック11と交換可能なバッテリーパック13は形が異なる。交換可能なバッテリーパック13が異なれば容量および規格が異なる。言い換えれば、交換可能なバッテリーパック13を電気自動車100に搭載する際、時間帯によって異なる容量の交換可能なバッテリーパック13を使用することができる。交換可能なバッテリーパック13は容量が異なってもメインバッテリーパック11を充電するか、メインバッテリーパック11とともに電気自動車100に動力を供給し、走行を維持させる。電気自動車100の電力が足りなくなる際、充電スタンドによってメインバッテリーパック11または交換可能なバッテリーパック13を充電する方式、または配電調整ステーションで交換可能なバッテリーパック13を取り換える方式を選択すれば、短時間(3から6分間)で電気自動車100に必要な電力を補給することができる。
【0045】
電気自動車100の販売台数の増加および配電調整ステーションの分布範囲の拡大に伴って走行中の電気自動車100は配電調整ステーションを利用する機会が多くなる。つまり、数多くの交換可能なバッテリーパック13は電気自動車100と配電調整ステーションとの間に調整される。詳しく言えば、配電調整ステーションは電気自動車100に交換可能なバッテリーパック13の交換サービスを提供するほかに、電力が足りない交換可能なバッテリーパック13を充電するか、送電網に電気不足の緊急事態が発生した際、交換可能なバッテリーパック13を介して送電網30と合併し、発電所として送電網30に電力を供給することができる。
【0046】
上述した技術特徴により、図3に示すように、配電調整システム20は複数の交換可能なバッテリーパック21、複数の収容空間22、AC/DCコンバータ23、エネルギーコントロールセンター24およびDCバス25を有する。配電調整システム20は配電調整ステーションの拠点によって配置される。配電調整ステーションは電気自動車100の交換可能なバッテリーパック21を交換するになると同時に、複数の異なる電気自動車100の交換可能なバッテリーパック21をまとめて保管する。複数の交換可能なバッテリーパック21は往来する電気自動車100を介して複数の配電調整ステーションの間を流通する。つまり、本発明の技術特徴により、一つの交換可能なバッテリーパック21は異なる配電調整ステーションの配電調整作業に対応できる。また配電調整ステーションに保管されるすべての交換可能なバッテリーパック21は必ずしも電気自動車から取り外したものではない。
【0047】
交換可能なバッテリーパック21はそれに対応する収容空間22内に安定して収容される。交換可能なバッテリーパック21は交換可能なバッテリーパック13と同じように相互に接続するDC/DCコンバータ211および複数のバッテリーセル212を有する。複数のバッテリーセル212は相互に電気的に接続される。それぞれの収容空間22はコネクターを有する。コネクターはそれに対応する交換可能なバッテリーパック21に接続されると同時にDCバス25に接続される。本実施形態において、配電調整ステーションに集まる交換可能なバッテリーパック21は容量および規格が異なっても収容空間22内に収容されることができる。別の実施形態において、容量および規格が異なる交換可能なバッテリーパック21は分類され、続いてそれぞれ対応する収容空間内にまとまって配置される。それに対し、現有のバッテリーエネルギー貯蔵発電所のDCバスに接続されるすべての直列バッテリーは規格が同じである。つまり、本発明の技術特徴により、配電調整ステーションのDCバス25と接続するバッテリーセル212は異なる規格のバッテリーセル212からなる交換可能なバッテリーパック21を採用することができる。
【0048】
図4Aおよび図4Bに示すように、収容空間22は配電調整ステーションに配置される。複数の収容空間22は交換可能なバッテリーパックグループ21a1~21an、21b1~21bn、21z1~21zn、21a'~21z'を構成する。交換可能なバッテリーパックグループ21a1~21an、21b1~21bn、21z1~21zn、21a'~21z'は適切な設計によって直列(series connection)形態、並列(parallel connection)形態または直列・並列形態に形成される。
【0049】
図3に示すように、AC/DCコンバータ23はDCバス25と送電網30との間に接続され、直流から交流に変換するか交流から直流に変換することを行う。詳しく言えば、交換可能なバッテリーパック21からDCバス25に伝送された電気エネルギーはAC/DCコンバータ23によってAC電源に変わって送電網30へ伝送される。送電網30からのAC電源はAC/DCコンバータ23によってDC電源に変わってDCバス25へ伝送され、交換可能なバッテリーパック21に充電作業を行う。またAC電源を送電網30に伝送すれば送電網30と合併して発電することができる。
【0050】
AC/DCコンバータ23は複数の電源コンバータ231a~231z(図4A参照)を有する。複数の電源コンバータ231a~231zはDC/ACコンバータユニット、AC/DCコンバータユニットおよびそれらの組み合わせ(即ちDC/AC変換機能およびAC/DC変換機能を同時に備える電源コンバータ)を含む。複数の電源コンバータ231a~231zの前段レベル(forestage)は送電網30に電気的に接続されるか、変圧器26、261a~261z(図5A参照)を介して送電網30に接続される。複数の電源コンバータ231a~231zの後段レベル(post-stage)はDCバス25およびそれらに対応する収容空間22のコネクターによってそれぞれの収容空間22内の交換可能なバッテリーパック21に電気的に接続される。
【0051】
DCバス25はAC/DCコンバータ23および交換可能なバッテリーパック21に接続されて電力変換用の接続インターフェースを構成する。配電調整を行う際、AC/DCコンバータ23の電力は交換可能なバッテリーパック21のDC/DCコンバータ211の電力より大きいため、AC/DCコンバータ23はDCバス25を介して複数の交換可能なバッテリーパック21を接続することが一般的である。本実施形態において、DCバス25は複数のサブバス251a~251z、252a~252z、25na~25nzを有する。複数のサブバス251a~251z、252a~252z、25na~25nzは複数の直列接続方式(multiple series connection)によって配置されるが、これに限定されない。複数のサブバス251a~251z、252a~252z、25na~25nzの役割はDCバス25を直列に接続してより高い出力電圧をキャッチし、高い電力のAC/DCコンバータ23と接続することである。
【0052】
エネルギーコントロールセンター24は送電網30、AC/DCコンバータ23、DCバス25および収容空間22に別々に電気的に接続されたうえでデータ連結を介して情報の制御および検索を行う。詳しく言えば、エネルギーコントロールセンター24はそれぞれ対応する収容空間22内のコネクターに電気的に接続されて収容空間22内の交換可能なバッテリーパック21と通信する。エネルギーコントロールセンター24と交換可能なバッテリーパック21との間の通信ができた後、エネルギーコントロールセンター24は交換可能なバッテリーパック21の電気規格パラメータおよびリアルタイムの電気パラメータを取得できるだけでなく、交換可能なバッテリーパック21の作動モード、給電能力および充電効率を制御できる。
【0053】
本実施形態において、AC/DCコンバータ23と交換可能なバッテリーパック21とを配電調整システム20によって接続する構築には様々なタイプがある。続いて、図4Aおよび図4Bを参考にして二つのタイプの構築を説明する。回路トポロジーは図4Aおよび図4Bにより掲示された構築に基づいて形成される。
【0054】
図4Aに示すように、一つ目のタイプは下記の通りである。AC/DCコンバータ23は複数の電源コンバータ231a~231zを有する。複数の電源コンバータ231a~231zはそれぞれ送電網30に接続され、同時にサブバス251a~251z、252a~252z、25na~25nzを介して交換可能なバッテリーパックグループ21a1~21an、21b1~21bn、21z1~21znに電気的に接続される。それぞれの交換可能なバッテリーパックグループの間は複数の収容空間22から構築される。収容空間22は数が異なるか、同じである。それぞれの電源コンバータ231a~231zの定常電流は直列に接続した交換可能なバッテリーパックグループの定常電流の総和に等しい。それぞれの交換可能なバッテリーパックグループは複数の並列の交換可能なバッテリーパック21を有する。それぞれの交換可能なバッテリーパック21はDC/DCコンバータ211を有する。DC/DCコンバータ211とAC/DCコンバータ23はエネルギーコントロールセンター24に制御されたうえでDCバス25の作動を設定電圧範囲内に確保し、配電調整作業を完成させる。図面中の英数字a、n、zは区別のために挙げられる。
【0055】
図4Bに示すように、二つ目のタイプは下記の通りである。複数の電源コンバータ231a~231zは送電網30とDCバス25のサブバス251a~251zとの間に並列に接続される。複数の交換可能なバッテリーパック21は並列に繋いで交換可能なバッテリーパックグループ21a'~21z'を構成する。交換可能なバッテリーパックグループ21a'~21z'はそれぞれサブバス251a~251zの間に並列に接続される。詳しく言えば、交換可能なバッテリーパックグループ21a'の場合、交換可能なバッテリーパックグループ21a'はサブバス251aとサブバス251bとの間に電気的に接続される。交換可能なバッテリーパックグループ21a'~21z'は数が一致しなくてもよい。すべての交換可能なバッテリーパックグループ21a'~21z'が直列配列であれば、交換可能なバッテリーパック21のDC/DCコンバータ211は制御されたうえですべての交換可能なバッテリーパックグループ21a'~21z'の定常電流を一致させるように確保する。この回路構築は作動中の電源コンバータ231a~231zの数をシステムの負荷に応じて増減させるため、作動中の電源コンバータ231a~231zの数を最小限にし、システムの効率を向上させることができる。それぞれの交換可能なバッテリーパック21は独立DC/DCコンバータ211を有するため、進行中の配電調整作業において交換可能なバッテリーパック21は即時作動または停止することができる。それに対し、現有のエネルギー貯蔵式発電所に使用されたバッテリーは進行中の配電調整作業において作動が即時停止することができるが、配電調整作業の途中からの即時起動はできない。従って、本発明は配電調整を行う際の柔軟性が比較的高い。
【0056】
作動中の電源コンバータ231a~231zは数が負荷の変化に応じて増減するため、変換効率を最大化することができるだけでなく、DCバス25と大量の交換可能なバッテリーパックグループ21a'~21z'とを並列に接続し、最良の配電調整効果を発揮することができる。本実施形態において、交換可能なバッテリーパックグループ21a'~21z'は作動形態がグループに限定されず、単独で交換可能なバッテリーパック21の作動を制御することができる。交換可能なバッテリーパックグループ21a'~21z'の制御を受けていない交換可能なバッテリーパック21は作業内容(充電または放電)が同じである。
【0057】
図5Aおよび図5Bに示すように、配電調整ステーションと送電網30は電圧レベル(voltage level)が異なる。送電網30の電圧レベルは配電調整ステーションの電圧レベルより高いため、送電網30とAC/DCコンバータ23との間に変圧器26を直列に接続し、両方の電圧を相互に対応させることが必要である。AC/DCコンバータ23と変圧器26の接続方法は下記の通りである。図5Aに示すように、電源コンバータ231a~231zと、それぞれ対応する変圧器261a~261zとを直列に接続し、続いてそれらを送電網30に接続する。図5Bに示すように、電源コンバータ231a~231zをACバス27に並列に接続し、続いてそれらを変圧器26を介して送電網30に接続する。
【0058】
現有のエネルギー貯蔵式発電所の構築において、複数のバッテリーストリング(battery string)はDCバスに電気的に接続される。DCバスはバッテリーストリングと同じように標準電圧源であるため、DCバスの電圧、即ちバッテリーストリングを制御することは必要ではない。
【0059】
配電調整システム20の構築において、複数の交換可能なバッテリーパック21はDCバス25に電気的に接続される。交換可能なバッテリーパック21は相互に電気的接続するバッテリーセル212とDC/DCコンバータ211との接続によって構成される。回路基板において、DC/DCコンバータ211はDCバス25に並列に接続されるため、それぞれの交換可能なバッテリーパック21のDC/DCコンバータ211はエネルギーコントロールセンター24によって制御されたうえで並列動作の安定性を確保し、サブバスを含有したDCバス25の電圧を設定範囲内に維持する。言い換えれば、本発明の技術特徴の一つはエネルギーコントロールセンター24によってAC/DCコンバータ23および交換可能なバッテリーパック21のDC/DCコンバータ211を別々に制御し、DCバス25の電圧を設定範囲内に維持することである。
【0060】
図3に示すように、エネルギーコントロールセンター24は第一電力需要指令I01に基づいて一部分の収容空間22内の交換可能なバッテリーパック21を第一配電調整作業に応じさせる。続いて、交換可能なバッテリーパック21はDCバス25およびAC/DCコンバータ23を介して送電網30に電力を供給するか、送電網30の電力を消費する。一つのエネルギーコントロールセンター24は一つの配電調整システムとコミュニケーションを取るだけでなく、同時に複数の配電調整システムとコミュニケーションを取ることによって良好な調整能力を発揮することができる。
【0061】
第一電力需要指令I01は送電網によって伝送される。或いは、第一電力需要指令I01はエネルギーコントロールセンター24が電力負荷状況に応じて生じたものである。エネルギーコントロールセンター24は第一電力需要指令I01に基づいて配電調整ステーションの電力を調整し、配電調整ステーションと送電網30とを合併して発電作業または送電網30の電力消費を行う。
【0062】
供給予備容量は配電調整ステーションで発電のために予め用意している容量である。配電調整ステーションで保管されるすべての交換可能なバッテリーパック21の総容量からバッテリー交換の回数に対する容量を引いた後の容量は、発電可能な最大容量である。一般的に言えば、供給予備容量は発電可能な最大容量より大きい。
【0063】
配電調整ステーションに集まる交換可能なバッテリーパック21は充電中状態、放電中状態および待機状態を表示する。待機状態の交換可能なバッテリーパック21が満タンである場合、交換可能なバッテリーパック21をバッテリー交換または発電作業に使用することができる。待機状態の交換可能なバッテリーパック21が満タンではない場合、交換可能なバッテリーパック21を発電作業の準備に使用するか、交換可能なバッテリーパック21を満タンにしてバッテリー交換または発電作業に使用することができる。
【0064】
エネルギー貯蔵式発電所のバッテリー容量、即ち供給予備容量は一定である。配電調整ステーションに集まる交換可能なバッテリーパック21は電気自動車の往来に応じて数が変動する。つまり、本発明の技術特徴の一つは配電調整ステーションの供給予備容量が変動することである。
【0065】
上述した記載により、本発明の配電調整方法を図面に基づいて説明を進める。図6は複数の交換可能なバッテリーパック21を配電調整ステーションに集めるプロセス(即ちステップS01からステップS04)を示す模式図である。ステップS01は交換可能なバッテリーパック21が搭載してある電気自動車100を配電調整ステーションに入庫することである。
【0066】
ステップS02は配電調整ステーションで電気自動車100から交換可能なバッテリーパック21を取り外すことである。電気自動車100が特定エリアまたは空間まで案内された後、ロボットアーム(robotic arm)または自動化装置によって電気自動車100から交換可能なバッテリーパック21を取り外す。
【0067】
ステップS03は取り外した交換可能なバッテリーパック21を配電調整ステーションの交換可能なバッテリーパック収容空間に入れて充電することである。取り外した交換可能なバッテリーパック21は無人搬送車(Automatic Guided Vehicle,AGV)または輸送装置によって対応する収容空間22内に送り込まれ、対応するコネクターに接続される。ステップS03において、さらにロックされた交換可能なバッテリーパック21の解錠を行い、交換可能なバッテリーパック21の双方向DC/DCコンバータ211にバッテリーの充電方向を有効(enable)にさせる。DCバス25およびDC/DCコンバータ211によって交換可能なバッテリーパック21に電力を供給し、充電作業を行うことができる。
【0068】
ステップS04は充電が完了した交換可能なバッテリーパック21を別の電気自動車100に搭載することである。配電調整ステーションに入庫した別の電気自動車100に交換可能なバッテリーパック21の交換が必要である場合、ロックが必要な交換可能なバッテリーパック21に施錠を行い、続いて満タンに充電された交換可能なバッテリーパック21を無人搬送車または輸送装置によって電力が必要な電気自動車100に搭載する。
【0069】
上述したステップにより、交換可能なバッテリーパック21は電気自動車100を介して異なる配電調整ステーションおよび電気自動車の間を流通する。配電調整ステーションは交換可能なバッテリーパック21を集めて保管するになるだけでなく、不要になった交換可能なバッテリーパック21を集める。交換可能なバッテリーパック21は互換性を有し、かつコネクターおよびファームウェアが同じである。不要になった交換可能なバッテリーパック21を配電調整ステーションで再利用すれば、不要になった交換可能なバッテリーパック21の価値が高くなり、コストの削減が実現できる。交換可能なバッテリーパック21は同じ形および接続インターフェースを使用する。また科学技術の進歩に伴って内部のバッテリーセル212の容量増大、DC/DCコンバータ211の効率向上および交換可能なバッテリーパック21の互換性向上が実現できるようになるため、交換可能なバッテリーパック収容空間12の使用を継続することができる。つまり、本発明の技術特徴の一つは使用中の交換可能なバッテリーパック21および不要になった交換可能なバッテリーパック21が交換可能なバッテリーパック収容空間12を共用できることである。不要になった交換可能なバッテリーパックとは、電気自動車業界において実際容量が標示容量の80%以下に下がった廃バッテリーのことである。
【0070】
図7は配電調整方法のステップS11からステップS18を示す模式図である。給電のバランスが崩れた時、電力会社は電力の現状に基づいて電力需要指令を配電調整システムに発信し、続いて配電調整システムによって下記のステップを行う。
【0071】
ステップS11はエネルギーコントロールセンター24によって第一時間帯に第一電力需要指令I01をキャッチし、それに対応する第一配電調整作業を行うことである。
【0072】
ステップS12はエネルギーコントロールセンター24によって配電調整ステーションの供給予備容量、充電状態および充電できる容量を判断することである。エネルギーコントロールセンター24は収容空間12内の交換可能なバッテリーパック21との通信によって交換可能なバッテリーパック21のパラメータなどのすべてのデータを読み取って最適化計算する。パラメータはすべての交換可能なバッテリーパックの即時総電力または個別の交換可能なバッテリーパックの電気量であるが、これに限定されない。
【0073】
ステップS13はエネルギーコントロールセンター24によって配電調整ステーション中の一部分の交換可能なバッテリーパック21を指定し、第一配電調整作業に対応させることである。一般の作動モードの場合、配電調整ステーションは別の電気自動車のバッテリー交換に使う電力を予め備えるために、バッテリー交換履歴に基づいて最適化計算を行って一部分の交換可能なバッテリーパック21を保留し、一部分の交換可能なバッテリーパック21を第一配電調整作業に対応させる。
【0074】
詳しく言えば、第一電力需要指令I01において、送電網30に100KW電力が必要である場合、エネルギーコントロールセンター24は配電調整ステーションの電力容量などの情報を読み取り、以下の二つの方法によって配電調整作業を行う。一つ目の方法は指定した交換可能なバッテリーパック21に電気を放出させ、AC/DCコンバータ23を介して送電網30に100KW電力を供給することである。二つ目の方法は指定した交換可能なバッテリーパック21に対して100KWの充電量を減らすことによって送電網30に100KW電力を追加することである。或いは、上述した二つの方法を用いて送電網30に必要な電力を供給することもできる。
【0075】
配電調整作業の内容が発電力調整作業である場合、即ち交換可能なバッテリーパック21を指定して発電力調整作業に対応させる際、指定した作業内容に基づいて収容空間22を複数のエリアを分割し、交換可能なバッテリーパック21を対応する収容空間22内に入れ、続いてそれぞれのエリアにおいて電力制御方式によって発電作業を順番に行う。上述をまとめてみると、配電調整作業は発電作業に対応する交換可能なバッテリーパックの数と、交換可能なバッテリーパックの出力電力とを指定することである。またそれぞれのエリアにおいて発電作業を順番に行う際、一つのエリアの収容空間22内の交換可能なバッテリーパック21を指定し、予め設定した順序に基づいて電力を制御し、発電作業を行う方法を採用することができる。
【0076】
ステップS14は第一配電調整作業が完了することである。第一配電調整作業、即ち発電力調整作業が完了する際、配電調整システム20は送電網30の負荷シフトを行い、送電網30の安定性を持続的に維持する。
【0077】
ステップS15はエネルギーコントロールセンター24によって第二時間帯に第二電力需要指令をキャッチし、それに対応する第二配電調整作業を行うことである。ステップS16はステップ12と同じようにエネルギーコントロールセンター24によって配電調整ステーションの供給予備容量、充電状態および充電できる容量を判断することである。ステップ17はステップ13と同じようにエネルギーコントロールセンター24によって配電調整ステーション中の一部分の交換可能なバッテリーパック21を指定し、第二配電調整作業に対応させることである。ステップS18はステップ14と同じように第二配電調整作業が完了することである。
【0078】
配電調整システム内の交換可能なバッテリーパック21は往来する電気自動車100を介して複数の配電調整ステーションの間を流通するため、第一配電調整作業に対応する交換可能なバッテリーパック21は第二配電調整作業に対応する交換可能なバッテリーパック21と異なってもよい。詳しく言えば、配電調整作業に対応する交換可能なバッテリーパック21の数や収容空間22の位置または交換可能なバッテリーパック21の本体は必ずしも同じではない。つまり、交換可能なバッテリーパック21のバッテリーセル212が異なれば交換可能なバッテリーパック21の電圧または出力電流が異なる。
【0079】
配電調整作業の最中に送電網30の電力需要量を急に上げる際、配電調整ステーションは発電作業が進行したうえで別の交換可能なバッテリーパック21を指定し、途中から配電調整作業に対応させる。それぞれの交換可能なバッテリーパック21はDC/DCコンバータ211を有するため、配電調整作業の途中から参入したり退出したりすることができる。言い換えれば、配電調整作業の最中に配電調整作業に対応する交換可能なバッテリーパック21の数を増減させることができる。それに対し、現有のエネルギー貯蔵式発電所はバッテリーセルによってDCバスに接続される。バッテリーセルとDCバスは電圧が異なるため、発電作業の最中にDCバスと接続するバッテリーセルを増加させることはできない。上述をまとめてみると、配電作業の最中に送電網30の電力需要量を上げるか、電力需要時間を延長する必要がある場合、本発明の技術特徴により、送電網30と合併して発電作業に対応する交換可能なバッテリーパック21の数を増やして送電網の変動に対応することができる。
【0080】
本実施形態において、交換可能なバッテリーパックは異なる配電調整ステーションによって配電調整作業が異なる。配電調整ステーションの収容空間内の交換可能なバッテリーパックはDCバスに電気的に接続されるため、同じ配電調整ステーションにおいて配電調整作業を行う際、DCバスは一部分の交換可能なバッテリーパックを充電状態に維持し、一部分の交換可能なバッテリーパック21を放電状態に維持する。バッテリー交換作業に対応する交換可能なバッテリーパックの数が足りない際、発電作業中の交換可能なバッテリーパックはDCバスを介して部分の交換可能なバッテリーパックを充電することができる。上述した技術特徴により、配電調整ステーションに集まる交換可能なバッテリーパックの電気量を最適化計算し、電気自動車のバッテリー交換作業の急増に対応することができる。
【0081】
上述をまとめてみると、本発明による配電調整システムおよび配電調整方法は電気自動車の交換可能なバッテリーパックをまとめた後、適切な調整を行い、日増しに増加する電気自動車の交換可能なバッテリーパックを効果的に統合するものである。詳しく言えば、送電網にバックアップ電源が必要である際、交換可能なバッテリーパックは送電網と合併して発電作業を迅速に行う。本発明による配電調整システムはDC/DCコンバータを有する交換可能なバッテリーパックに適用されるため、電気負荷の変化に応じて交換可能なバッテリーパックの数を適切に調整することができるだけでなく、送電網と合併して発電作業を行う際、交換可能なバッテリーパックの数を適宜に増減させることができる。上述した技術特徴により、送電網に電力を供給することが必要な時と、電気自動車に交換可能なバッテリーパックを交換することが必要な時には、調整作業を最適にすることができる。電気自動車に充電が必要な時には、送電網をサポートし、送電網の負荷を分担することができる。
【符号の説明】
【0082】
100:電気自動車
101aから101d:車輪
11:メインバッテリーパック
12:交換可能なバッテリーパック収容空間
13:交換可能なバッテリーパック
131:DC/DCコンバータ
132:バッテリーセル
133:接続端子
20:配電調整システム
21:交換可能なバッテリーパック、
21a1~21an、21b1~21bn、21z1~21zn、21a'~21z':交換可能なバッテリーパックグループ、
211:DC/DCコンバータ
212:バッテリーセル、
22:収容空間
23:AC/DCコンバータ
231a~231z:電源コンバータ
24:エネルギーコントロールセンター
25:DCバス
251a~251z、252a~252z、25na~25nz:サブバス
26、261a~261z:変圧器
27:ACバス
30:送電網
I01:第一電力需要指令
S01~S04、S11~S18:ステップ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7