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特開2022-53527半導体素子試験装置及び半導体素子の試験方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053527
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】半導体素子試験装置及び半導体素子の試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20220329BHJP
   H02M 1/00 20070101ALI20220329BHJP
【FI】
G01R31/26 A
G01R31/26 B
H02M1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153708
(22)【出願日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2020159276
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】598014825
【氏名又は名称】株式会社クオルテック
(72)【発明者】
【氏名】神澤 功治
【テーマコード(参考)】
2G003
5H740
【Fターム(参考)】
2G003AA01
2G003AA02
2G003AA03
2G003AB01
2G003AB09
2G003AB16
2G003AC08
2G003AD01
2G003AE08
2G003AE09
2G003AG08
2G003AG17
2G003AH04
5H740BA11
5H740BB05
5H740BC01
5H740BC02
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5H740MM01
5H740MM08
5H740MM11
5H740PP05
(57)【要約】
【課題】
従来の半導体素子試験装置では、半導体素子の接続状態を確認することができない。
【解決手段】
スイッチ回路Ssb、Ssdはオンされ、スイッチ回路SscとSsaはオフされる。トランジスタ117sにはオン電圧が、トランジスタ117mにはオフ電圧が印加される。トランジスタ117sが正常に接続されている場合、電流センサ129によりクランプメータ128に電流Iaが検出される。トランジスタ117mの接続確認は、スイッチ回路Ssb、Ssd、Ssaはオフされ、スイッチ回路Sscはオンされる。トランジスタ117mにはオン電圧が、トランジスタ117sにはオフ電圧が印加される。接続不良の場合はIaが検出されない。接続が正常の場合、次のサイクルから電源装置132は試験電流Idを流す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順方向の電流を発生する第1の電流回路と、逆方向の電流を発生する第2の電流回路とを有する電源装置と、
第1のトランジスタをオンオフ制御する第1の制御回路と、
第2のトランジスタをオンオフ制御する第2の制御回路と、
前記電源装置が出力する電流を前記第1のトランジスタに印加する電流経路を形成する第1のスイッチ回路と、
前記電源装置が出力する電流を前記第2のトランジスタに印加する電流経路を形成する第2のスイッチ回路と、
前記電流を検出する電流検出手段を具備し、
前記電流は、第1の電流と、前記第1の電流より大きな第2の電流があり、
前記第1の電流を前記第1のトランジスタまたは前記第2のトランジスタに印加し、前記電流検出手段で検出し、
前記第1の電流を検出後に、前記第2の電流を前記第1のトランジスタまたは前記第2のトランジスタに印加することを特徴とする半導体素子試験装置。
【請求項2】
電流を発生する電源装置と、
第1のトランジスタをオンオフ制御する第1の制御回路と、
第2のトランジスタをオンオフ制御する第2の制御回路と、
前記電源装置が出力する電流を前記第1のトランジスタに印加する電流経路を形成する第1のスイッチ回路と、
前記電源装置が出力する電流を前記第2のトランジスタに印加する電流経路を形成する第2のスイッチ回路と、
前記電流を検出する電流検出手段と、
前記電流の極性を反転させる極性切り替え回路を具備し、
前記電流は、第1の電流と、前記第1の電流より大きな第2の電流があり、
前記第1の電流を前記第1のトランジスタまたは前記第2のトランジスタに印加し、前記電流検出手段で検出し、
前記第1の電流を検出後に、前記第2の電流を前記第1のトランジスタまたは前記第2のトランジスタに印加することを特徴とする半導体素子試験装置。
【請求項3】
いずれかの前記スイッチ回路と、前記トランジスタの接続は、フォークプラグで行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体素子試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子、電気素子の試験を行う電気素子試験装置及び電気素子の試験方法に関するものである。また、電気素子/半導体素子の評価方法、評価試験装置、電気素子/半導体素子の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の電気素子の寿命試験は、通電する電流をオンオフすることが行われている。インバータ回路、パワー回路に供給する半導体素子からの電流は数十アンペア以上と大きい。電気素子の試験は多くの種類があり、試験の種類に対応させて接続配線の接続を変更する必要がある。
【0003】
電気素子試験のためには、試験開始時に接続を確認し、確認後に試験をスタートさせる必要がある。また、半導体素子の試験は、実際に実施される回路構成に適合した試験を実施する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-17822
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インバータ回路等、回路動作が複雑なため、半導体素子試験装置も回路動作等に適合して動作を変更する必要がある。しかし、従来の半導体素子試験装置では、実使用状態に適合して半導体素子の信頼性試験を行うことができなかった。
【0006】
トランジスタ等の試験は、大きな電流を印加する。そのため、試験の開始時にトランジスタの端子と試験回路とが確実に接続されているかの確認が必要である。もし、接続不良で試験をスタートすると、サージ電圧、突入電流が発生し、トランジスタ等を破壊する。
従来の半導体素子試験装置では、半導体素子の接続状態を確認することができず、試験開始時に半導体素子を破壊することがあった。
【0007】
インバータ回路が駆動する機器は、モータ等のインダクタンスが大きい機器が多い。インダクタンスに通電すると、大きなサージ電圧、過渡現象が発生する。したがって、インバータ回路を駆動するトランジスタ等は発生するサージ電圧、過渡現象を想定して試験を実施する必要がある。
しかし、サージ電圧、過渡現象は多種多様であるため、容易に想定した試験を実施することができない。
【0008】
トランジスタ等の半導体素子を試験するために印加する電流は数百A以上の電流のため、接続配線は低抵抗の太い線材を使用する必要がある。太い接続配線は硬く、柔軟性がない。試験項目に対応させる時の太い線材の接続配線の接続変更は、長時間を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
電源装置132は、接続確認時に電流Ia(図示せず)を出力する。電流Iaは、接続確認のための試験電流よりも十分小さい電流である。Ia<0.1Idが例示される。電流Iaが流れる場合、スイッチ等の接続、試験デバイスの接続等が完了しているとして、試験電流を流す試験モードに入る。電流Iaが測定できない場合、スイッチ等の接続、試験デバイスの接続等が不良として試験モードにはならない。
【0010】
スイッチ回路Ssbとスイッチ回路Ssdはオンされ、スイッチ回路Sscはオフされる。トランジスタ117sにはオン電圧が印加され、トランジスタ117mにはオフ電圧が印加される。トランジスタ117sが正常に接続されている場合、電流センサ129によりクランプメータ128に電流Iaが検出され、接続不良の場合、Iaは検出されない。接続が正常の場合、次のサイクルから電源装置132は試験電流Idを流す。
【0011】
トランジスタ117mの接続確認は、スイッチ回路Ssbとスイッチ回路Ssdはオフされ、スイッチ回路Sscはオンされる。トランジスタ117mにはオン電圧が印加され、トランジスタ117sにはオフ電圧が印加される。トランジスタ117mが正常に接続されている場合、電流センサ129によりクランプメータ128に電流Iaが検出され、接続不良の場合、Iaは検出されない。接続が正常の場合、次のサイクルから電源装置132は試験電流Idを流す。
【発明の効果】
【0012】
半導体試験は、試験する半導体素子等の接続確認を行ってから、通常の試験電流Idを印加するため、試験をする半導体素子等を破壊することがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例における半導体素子試験装置のブロック図及び説明図である。
図2】本発明の半導体素子試験装置の構成図である。
図3】本発明の半導体素子試験装置のブロック図及び説明図である。
図4】本発明の半導体素子試験装置のブロック図及び説明図である。
図5】本発明の半導体素子試験装置のブロック図及び説明図である。
図6】本発明の半導体素子試験装置のブロック図及び説明図である。
図7】本発明の半導体素子試験装置の説明図及び構成図である。
図8】本発明の半導体素子試験装置の説明図及び構成図である。
図9】本発明の半導体素子試験装置の半導体素子取付け部の説明図及び構成図である。
図10】本発明の半導体素子試験装置の半導体素子取付け部の説明図及び構成図である。
図11】本発明の半導体素子試験装置の接続構造体の説明図及び構成図である。
図12】本発明の半導体素子試験装置の接続構造体の説明図及び構成図である。
図13】本発明の半導体素子試験装置のヒートパイプ部の説明図及び構成図である。
図14】本発明の半導体素子試験装置のヒートパイプ部の説明図及び構成図である。
図15】本発明の半導体素子試験装置の取付け金具の説明図及び構成図である。
図16】本発明の半導体素子試験装置の取付け金具の説明図及び構成図である。
図17】本発明の実施例における半導体素子の試験方法の説明図である。
図18】本発明の実施例における半導体素子の試験方法の説明図である。
図19】本発明の実施例における半導体素子試験装置のブロック図及び説明図である。
図20】本発明の実施例における半導体素子の試験方法の説明図である。
図21】本発明の実施例における半導体素子の試験方法の説明図である。
図22】本発明の実施例における半導体素子の試験方法のタイミングタート図である。
図23】本発明の実施例における半導体素子の試験方法のタイミングタート図である。
図24】本発明の実施例における半導体素子の試験方法のタイミングタート図である。
図25】本発明の実施例における半導体素子の試験方法のタイミングタート図である。
図26】本発明の実施例における半導体素子の試験方法のタイミングタート図である。
図27】本発明の実施例における半導体素子の試験方法のタイミングタート図である。
図28】試験をする半導体素子の説明図及び等価回路図である。
図29】半導体素子を用いて3相モータを駆動する説明図である。
図30】3相電流波形の説明図である。
図31】PWM信号で正弦波電流させる方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る電気素子の試験装置及び試験方法を説明する。
明細書で記載する実施形態では、電気素子としてのパワー半導体素子のうち、主としてIGBTを例にとって説明する。
【0015】
本発明はIGBTに限定されるものではなく、逆導通IGBT(RC-IGBT)、SiCトランジスタ、MOSFET、JFET、サイリスタ、ダイオード、サーミスタ、ポジスタ等の各種の半導体素子に適用することができる。
【0016】
また、半導体素子に限定されるものではなく、抵抗素子、コンデンサ、コイル、水晶素子、バリスタ、ZNR等の半導体素子以外の電気素子にも本発明が適用できることは言うまでもない。
明細書、図面に記載する本発明の実施例は、それぞれの実施例の一部または全部と組み合わせることができ、変更して組み合わせることができる。
【0017】
図2は本発明の半導体素子試験装置の構成図及び説明図である。図2に図示するように本発明の半導体素子試験装置は、筐体210、チラー(冷却・加温装置)136と、加熱冷却プレート134、加熱冷却プレート134とチラー136間を循環する循環水パイプ135を有する。
【0018】
加熱冷却プレート134には、試験をするトランジスタ117等が加熱冷却プレート134と密着して配置される。密着させるため、熱伝達シートを配置、シリコングリスを塗布してもよい。
【0019】
図10に図示するように、隔壁217には、図7図8図9等で説明する接続構造体218を挿入する開口部216が配置されている。隔壁215には電源配線212を挿入する穴が配置されている。
【0020】
図2に示す制御ラック131には、半導体素子117に試験電流、試験電圧を供給する電源装置132と、半導体素子117等を制御あるいは試験条件を設定する制御回路133を有している。電源装置132は、一例として電源装置132aと電源装置132bを有する。電源装置132aは順方向(正極性)の電流Idを出力し、電源装置132bは電源装置132aと逆方向の電流Id(逆極性)を出力あるいは発生する。
【0021】
なお、電流Idは定電流として説明するが、定電流に限定されるものではない。試験をする半導体素子等の試験状態に応じて変化させる可変電流であってもよい。また、試験をする半導体素子に供給するものは電流Idに特定されるものではなく、電圧であってもよい。
【0022】
半導体素子117の温度情報Tjが所定値となるように、制御回路133は、電流Id、ゲート駆動電圧Vg、トランジスタ117のチャンネル間電圧Vceを変化させて試験の条件を設定し、試験を実施する。
【0023】
なお、温度情報Tjとは、トランジスタ等の試験素子の温度、トランジスタあるいはダイオード等など試験を行う素子に流す電流による端子電圧、端子電圧の変化、前記端子電圧等から求められる温度関連情報、前記端子電圧等から計算される値、試験素子等を測定して得られる発熱等である。本明細書では、温度情報Tjと記載するが、温度情報はTjに限定されるものではないことは言うまでもない。
図2に図示する制御回路133は、電源装置132を制御し、電源装置132は、試験をする半導体素子117に試験電圧または電流を供給する。
【0024】
温度情報Tjが変化あるいは所定値まで変化すると、試験をしている半導体素子117が劣化あるいは特性が変化していると判断し、半導体素子117の試験を停止、あるいは、試験方法、制御方法を変更する。
【0025】
チラー136の循環水を加温または冷却することにより、半導体素子117の温度を規定値あるいは所定値に維持する。また、試験条件に対応して半導体素子等の温度を周期的に変化させ、また、一定に冷却し、または加熱する。
【0026】
本発明の半導体素子試験装置及び半導体素子の試験方法は、多種多様な半導体素子117、半導体モジュール117に対応できる。一例として図28の半導体素子117等は、大電流が印加あるいは出力される端子P電極端子、O電極端子、N電極端子と、ゲート電圧を印加するゲート端子g(ゲート端子gm、ゲート端子gs)、コレクタ端子c(コレクタ端子cm、コレクタ端子cs)、エミッタ端子e(エミッタ端子em、エミッタ端子es)を有する。
【0027】
図28は半導体素子の概観図と等価回路図である。図28(a1)(a2)は、トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)とダイオードDi(ダイオードDim、ダイオードDis)を有する構成である。
【0028】
図28(b1)(b2)は、トランジスタ117(トランジスタ117m、またはトランジスタ117s)とダイオードDi(ダイオードDim、またはダイオードDis)を有する半導体素子の端子を接続することにより、複数のトランジスタを連結して試験を行う構成である。
【0029】
図28(c1)(c2)は、トランジスタ117(トランジスタ117m、またはトランジスタ117s)とダイオードDs、ダイオードDmを有する構成である。ダイオードDs、ダイオードDmはトランジスタ117の温度を検出あるいは温度変化を評価するダイオードである。ダイオードDs、ダイオードDmはトランジスタの3端子(ゲート端子、コレクタ端子、エミッタ端子)から独立して配置、形成されている。
【0030】
以下の実施例では、主として図28に図示する半導体素子117を例示して説明をする。また、IGBTに限定されるものではなく、SiC、バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタ、FET等の他の3端子を有するトランジスタでもよいことは言うまでもない。また、これに限定するものではなく、抵抗素子等の半導体素子以外の電気的素子にも本発明の実施例が適用できることは言うまでもない。
【0031】
また、図28に図示するように、複数のトランジスタが接続されたものに限定されるものではなく、1個のトランジスタあるいは半導体あるいは電気素子を試験するものであっても適用できることは言うまでもない。
【0032】
図1は本発明の半導体素子試験装置のブロック図及び説明図である。図1は試験を実施する半導体素子117として、図28(a)と例示している。ただし、図28(a)に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0033】
半導体素子試験装置の電源装置132は、順方向の定電流を発生する電源装置132a、逆方向の定電流を発生する電源装置132bを有する。トランジスタ117s、トランジスタ117mに試験電流を印加する時は、電源装置132aから定電流を供給する。ダイオードDis、ダイオードDimに試験電流を印加する時は、電源装置132bから定電流を供給する。なお、試験は定電流に限定されるものではなく、一定電圧でも良い。また、所定時間あるいは所定周期で、電圧または電流を可変しても良い。
【0034】
電源装置132から流出、あるいは電源装置132に流入あるいは流出する電流は、電流センサ129で検出あるいはピックアップされ、クランプメータ128により電流を検出あるいは電流を測定される。
【0035】
クランプメータ128は、試験とするトランジスタ117に印加されるゲート制御信号(オンオフ信号)に同期して、電源配線212に流れる電流を測定あるいはサンプリングする。なお、電流の測定器はクランプメータ128に限定されるものではなく、例えば、電源配線212からの磁気、電磁波を検出する機器などであってもよい。
【0036】
電源装置132に流入する電流は、図1の電流センサ129aのように、電源配線212a(グランド配線)に配置する。電源装置132から流出する電流は、図1の電流センサ129bのように、電源配線212b(電源配線)に配置あるいは設置する。
【0037】
クランプメータ128は、試験とするトランジスタ117に印加されるゲート制御信号(オンオフ信号)に同期して、電源配線212に流れる電流を測定あるいはサンプリングする。なお、電流の測定器はクランプメータ128に限定されるものではなく、例えば、電源配線212からの磁気、電磁波を検出する機器などであってもよい。
【0038】
接続を変更するスイッチ回路124との接続は、フォークプラグ205を用いる。接続及び接続変更は、筐体の隔壁に設けた開口部を介して、フォークプラグ205を挿入し、スイッチ回路124と電気的に接触させることにより行う。
【0039】
電源装置132は、トランジスタ117を試験するための大電流の定電流を出力する。電源装置132は、コントロール回路基板(コントローラ)111からの制御信号に同期させて電力(電流、電圧)を供給する。電源装置132は、出力する最大電圧値を設定することができる。
【0040】
電源装置132は、順方向の電流Idを出力する電源装置132aと、逆方向の電流Idを出力する電源装置132bとを保有する。電源装置132a及び電源装置132bはコントローラ111により制御される。
【0041】
スイッチ回路122a(SWa)は、電源装置132aが出力する定電流の供給をオン(供給、印加)オフ(遮断、オープン)させる機能を有する。スイッチ回路122b(SWb)は、電源装置132bが出力する定電流の供給をオン(供給、印加)オフ(遮断、オープン)させる機能を有する。
【0042】
スイッチ回路124cは主としてトランジスタ117sのチャンネル間(エミッタ端子-コレクタ端子)を短絡する機能を有する。あるいは、グランド配線とトランジスタ117mのコレクタ端子とを接続する機能を有する。
【0043】
スイッチ回路124dは主としてトランジスタ117mのチャンネル間(エミッタ端子-コレクタ端子)を短絡する機能を有する。あるいは、電源配線212とトランジスタ117sのエミッタ端子とを接続する機能を有する。
【0044】
図1に図示するように、トランジスタ117mの端子(エミッタ端子em、ゲート端子gm、コレクタ端子cm)にコネクタ202mが接続される。トランジスタ117sの端子(エミッタ端子es、ゲート端子gs、コレクタ端子cs)にコネクタ202sが接続される。
【0045】
図3図6等に図示するように、P電極端子(素子端子226a)にフォークプラグ205eが接続され、O電極端子(素子端子226c)にフォークプラグ205hが接続され、N電極端子(素子端子226b)にフォークプラグ205cが接続される。フォークプラグ205の脱着等により、スイッチ回路124と半導体素子117の端子(P端子、O端子、N端子)とが接続される。
【0046】
試験を行う半導体素子117(半導体素子117s、半導体素子117m)のダイオードDi(ダイオードDim、ダイオードDis)には、試験電流Idが印加されていない期間に、所定の定電流Icが印加される。ダイオードの等価的抵抗値は温度によって変化し、所定の定電流の印加によりダイオードDiの端子電圧が変化する。この端子電圧Viの情報から温度情報Tjを求める。
図3図1のサンプル接続回路203を中心とし、サンプル接続回路203を説明する説明図およびブロック図である。
【0047】
サンプル接続回路203は、トランジスタ117m、トランジスタ117sのコレクタ端子、ゲート端子、エミッタ端子と接続される。サンプル接続回路203は、デバイス制御回路基板209、コントロール回路基板111と接続され、制御される。
【0048】
図3に図示するように、トランジスタ117mのゲート端子gmとエミッタ端子em間に短絡回路137mが形成または配置される。トランジスタ117sのゲート端子gsとエミッタ端子es間に短絡回路137sが形成または配置される。
【0049】
なお、短絡回路137は、スイッチに限定されるものではなく、たとえば、短絡コネクタであってもよい。短絡回路137の動作は、コントロール回路基板111等により制御できるように構成することが好ましい。たとえば、短絡回路137はアナログスイッチ等で構成する。
【0050】
短絡回路137sがオンすることにより、トランジスタ117sのゲート端子gsとエミッタ端子es間が短絡され、トランジスタ117sがダイオード接続される。
【0051】
短絡回路137mがオンすることにより、トランジスタ117mのゲート端子gmとエミッタ端子em間が短絡され、トランジスタ117mがダイオード接続される。
【0052】
図3に図示するように、トランジスタ117mのダイオードDimに定電流Icmを流すように、定電流回路118mが構成され、トランジスタ117mのコレクタ端子cmとエミッタ端子em間の電圧でダイオードDimの端子間電圧を測定する。また、トランジスタ117sのダイオードDisに定電流Icsを流すように、定電流回路118sが構成され、トランジスタ117sのコレクタ端子csとエミッタ端子es間の電圧でダイオードDisの端子間電圧を測定する。
【0053】
ダイオードDiに定電流を流す時は、トランジスタ117をオフさせる。ダイオードDimへの定電流Icmは、トランジスタTmより引込電流として流す。ダイオードDisへの定電流Icsは、トランジスタTsより引込電流として流す。
【0054】
ダイオードDimの端子間電圧は、トランジスタ117mのコレクタ端子cmとエミッタ端子emに接続された電圧検出回路116mで測定あるいは取得する。ダイオードDisの端子間電圧は、トランジスタ117sのコレクタ端子csとエミッタ端子esに接続された電圧検出回路116sで測定あるいは取得する。
【0055】
サンプル接続回路203には、ゲート信号制御回路112、ゲートドライバ回路113、ドライブ素子回路127a、短絡回路137、定電流回路118、電圧検出回路116、温度測定回路115等が形成、配置されている。
【0056】
各回路の端子は、コネクタ202の接続ピン206、コネクタ208の接続ピン206と接続されている。接続ピン206との接続位置の変更は、ソケットピン(図示せず)等により変更あるいは可変できるように構成されている。また、アナログスイッチ(図示せず)等のより、任意のあるいは所定の接続ピン206と接続変更ができるように構成されている。したがって、本発明の半導体素子試験装置は、試験をする半導体素子117の端子位置、試験条件、試験方法により、サンプル接続回路203の内部配線と接続ピン206の接続を変更することができる。
【0057】
サンプル接続回路203は図7に図示するように、試験をする半導体素子117等の近傍に配置される。半導体素子117とサンプル接続回路203とを接続する信号配線222の長さを短くするためである。信号配線222には、トランジスタ117のゲートオンオフ信号等が伝送される。ゲートオンオフ信号にノイズ等が多重されると、試験中のトランジスタ117がノイズでオンし、破壊する危険があるからである。
【0058】
本発明はサンプル接続回路203をトランジスタ117の近傍に配置する。トランジスタ117は試験する信号により、サンプル接続回路203の配線接続を変更する必要がある。本発明はサンプル接続回路203の内部配線を容易に変更できるように構成しているため、サンプル接続回路203の位置を移動することなく、各種の試験に対応することができる。
【0059】
図3の実施例は、トランジスタ117は、図28(a)、または図28(b)を試験するトランジスタとして用いた構成である。図4の実施例は、トランジスタ117は、図28(c)を試験するトランジスタとして用いた構成である
【0060】
図3図4で図示するように、試験するトランジスタ117の構成が異なると、コネクタ202の接続ピン206の結線状態が異なる。図3図4に図示するように、本発明のサンプル接続回路203内で結線状態を容易に変更することができる。
【0061】
図4では、定電流回路118の一端子は、コネクタ202のP2端子と接続され、図3では、定電流回路118の一端子は、コネクタ202のP4端子と接続される。接続変更は、手動であるいは、アナログスイッチ回路等でコントローラ回路111からの設定で変更される。
図1に図示するように、トランジスタ117mにはコネクタ202mが接続され、トランジスタ117sにはコネクタ202sが接続されている。
【0062】
ダイオードDmとダイオードDsのうち、少なくとも一方に温度モニター用の所定の定電流Ic(Ics、Icm)が印加される。ダイオードの等価的抵抗値は半導体素子117の温度によって変化し、所定の定電流の印加によりダイオードD(ダイオードDm、ダイオードDs)の端子電圧が変化する。この端子電圧Viの情報から温度測定回路(温度測定回路115s、温度測定回路115m)温度情報Tj(温度情報Tjs、温度情報Tjm))を求める。
【0063】
図3図4に図示するように、トランジスタ117mのゲート端子gmとエミッタ端子em間に短絡回路137mが形成される。トランジスタ117sのゲート端子gsとエミッタ端子es間に短絡回路137sが形成される。短絡回路137は、一例としてスイッチングトランジスタである。あるいはアナログスイッチが例示される。
なお、短絡回路137はトランジスタ等の素子だけに限定されるものではない。たとえば、コネクタ、ショートピンでメカニカルに短絡してもよい。
【0064】
短絡回路137(短絡回路137m、短絡回路137s)がオンすることにより、トランジスタ117mまたはトランジスタ117sのエミッタ端子とゲート端子が短絡される。トランジスタ117m、トランジスタ117sのエミッタ端子とゲート端子が短絡させることにより、トランジスタ117m、トランジスタ117sはダイオード接続となる。なお、短絡回路137(短絡回路137s、短絡回路137m)は、サンプル接続回路203(サンプル接続回路203s、サンプル接続回路203m)内に配置または構成してもよい。
【0065】
サンプル接続回路203は、ゲートドライバ回路113、ゲート信号制御回路112、ダイオードの端子電圧を測定する電圧検出回路116、ダイオードに印加する定電流を発生する定電流回路118(定電流回路118s、定電流回路118m)、ドライブ素子回路127a(ドライブ素子回路127as、ドライブ素子回路127am)等を保有する。
【0066】
ゲートドライバ回路113は、出力電圧Vsgを可変することができる。ゲートドライバ回路113はオン電圧、オフ電圧を変化あるいは設定することができる。たとえば、図22に図示するように、オフ電圧0Vから、0Vより低いVt電圧までを駆動タイミングに合わせて変更することができる。また、0V以上の電圧に設定することができる。
また、ゲートドライバ回路113は、図22に図示するオン電圧Vgを駆動タイミングに合わせて変化変更させる。
【0067】
たとえば、tn2、tn1期間等において、ダイオードD(ダイオードDis、ダイオードDim)に電流Icを供給し、試験をするトランジスタ117の温度情報を取得する際には、トランジスタ117のゲート端子にVt電圧を印加し、試験電流Idを流す場合は、トランジスタ117のVg電圧を印加する場合が例示される。
【0068】
Vg2>Vg1の場合において、トランジスタ117に電流Icを流して温度情報を取得する際は、トランジスタ117のゲート端子に高い電圧Vg2を印加してトランジスタ117のチャンネル間の抵抗値を低くする。トランジスタ117のチャンネル間の抵抗値が低くすることにより、トランジスタ117のチャンネル間での発熱が極めて小さくなり、精度よくトランジスタ117の温度(温度情報Tj)を取得することができる。試験時は、トランジスタ117のゲート端子に試験電圧Vg1を印加して試験を行う。
定電流Icを流した状態で、意図した温度情報Tjを設定し、パワーサイクル試験を実施することができる。
【0069】
温度情報Tjは、一定周期あるいは一定期間で取得する。したがって、Vg2、Vg1は一定周期あるいは一定期間で変化あるいは変更する。Vg2、Vg1は、任意の電圧値に設定できる。
【0070】
以上のように、温度測定(温度情報Tj)の測定時と、試験時のゲート端子電圧を変化あるいは設定することにより、良好な温度情報の取得と、試験を実施することができる。なお、Vg2とVg1の電圧変更は、図23の周期tc(tc1、tc2、・・・・・)に同期して実施できるように構成している。
【0071】
図3において、ダイオードDi(ダイオードDim、ダイオードDis)に定電流を印加してダイオードDiの端子電圧を測定することにより、試験する半導体素子117の温度を測定する。しかし、これに限定するものではない。ダイオードDiの代わりに、トランジスタ117の形成時に付加的に形成された寄生ダイオードを用いて温度を測定してもよい。また、トランジスタ117のパッケージに別チップからなるダイオードを組み込んでおき、このダイオードを用いて、トランジスタ117の温度、温度特性を測定してもよいことは言うまでもない。
【0072】
また、トランジスタチップにボディダイオードを形成し、このダイオードを用いてもよい。その他、熱電対、温度センサ等を用いてもよい。温度を測定する手段物は、半導体素子117に内蔵してもよいし、半導体素子117に密接して取り付けてもよい。
【0073】
また、トランジスタ117のパッケージに取り付けた熱電対等によりトランジスタ117の温度を測定してもよい。以上の事項は、本発明の他の半導体素子においても適用される。
【0074】
図4において、ダイオードDs、またはダイオードDmに定電流Icを印加してダイオードDsまたはダイオードDmの端子電圧を測定することにより、試験する半導体素子117の温度を測定する。しかし、これに限定するものではない。ダイオードDs等の代わりに、トランジスタ117の形成時に付加的に形成されたボディダイオードを用いて温度を測定してもよい。その他、熱電対、温度センサ等を用いてもよい。温度を測定する手段物は、半導体素子117に内蔵してもよいし、半導体素子117に密接して取り付けてもよい。
【0075】
図1図7図8に図示するように、サンプル接続回路203はトランジスタ117(半導体素子117)と接続する信号配線222の長さを短くするように、トランジスタ117の近傍に配置される。近傍とは50mm程度以下である。
【0076】
図3のトランジスタ117では、独立したダイオードは形成されていない。したがって、定電流回路118の出力電流は、コネクタ202のP1とP4間に印加する。図4のトランジスタ117では、独立したダイオードは形成されている。したがって、定電流回路118の出力電流は、コネクタ202のP1とP2間に印加する。
【0077】
図3のトランジスタ117の構成と、図4のトランジスタ117の構成では、定電流回路118が出力する電流の大きさ、電流印加タイミング、接続するコネクタ202のピン位置を変更する必要がある。また、ドライブ素子回路127aの抵抗値等も試験をするトランジスタ117の使用に合わせて設定変更をする必要がある。また、短絡回路137の制御、接続ピン206位置の変更も必要となる場合がある。
【0078】
本発明は、サンプル接続回路203を基本的に共通とし、試験条件、試験方法、試験をするトランジスタ117の仕様に合わせて接続状態を切り替えることができる。なお、図3図4では図示していないが、サンプル接続回路203内に、アナログスイッチ回路あるいはリレー回路が配置され、これらの回路で、設定変更を行う。
【0079】
サンプル接続回路203はトランジスタ117mのゲート端子gmに印加するゲート信号波形を発生するゲートドライバ回路113m、ゲート信号の立ち上がり波形及び立下り波形を調整、あるいは設定するドライブ素子回路127am、短絡回路137m等を保有する。
【0080】
また、サンプル接続回路203はトランジスタ117mのダイオードDmに印加する定電流Icmを発生する定電流回路118m、ダイオードDmの端子電圧を測定あるいは検出する電圧検出回路116mを保有する。
【0081】
また、サンプル接続回路203はトランジスタ117sのゲート端子gsに印加するゲート信号波形を発生するゲートドライバ回路113s、ゲート信号の立ち上がり波形及び立下り波形を調整、あるいは設定するドライブ素子回路127as、短絡回路137s等を保有する。
【0082】
また、サンプル接続回路203は、トランジスタ117sのダイオードDsに印加する定電流Icsを発生する定電流回路118s、ダイオードDsの端子電圧を測定あるいは検出する電圧検出回路116sを保有する。
【0083】
図3図4では、トランジスタ117のゲート端子gの入力インピーダンスはドライブ素子回路127aが接続されているとした。しかし、トランジスタ117の駆動波形の設定は、抵抗値の変更あるいは設定に限定されるものではない。
本発明は、ゲート端子等に印加する信号波形の変更、信号波形設定、試験状態の変更のため、図5に示すドライブ可変回路126を形成あるいは構成している。
【0084】
ドライブ可変回路126内は、複数のドライブ素子回路127を保有する。ドライブ可変回路126はコントロール回路111で制御され、1つ以上のドライブ素子回路127が選択されて、試験をするトランジスタ117のゲート端子と電気的に接続される。また、ドライブ素子回路127の抵抗素子の抵抗値(Vr、R1、R2)は可変され、所定値に設定される。
【0085】
ドライブ可変回路126のドライブ素子回路127aの抵抗値Vrは、0(Ω)から500(Ω)間で任意の値に設定できる。また、一定電圧、あるいは時間的に変化させることができるように構成されている。たとえば、電子ボリウムの使用が例示される。
【0086】
ドライブ可変回路126は、トランジスタ117のゲート端子gに印加するゲート電信号の立ち上がり波形の傾斜(立ち上がり時間Tr)と立ち下がり波形の傾斜(立ち下がり時間Td)を設定できる。
【0087】
図3図4等において、ドライブ可変回路126のドライブ素子回路127aの抵抗値Vrは、可変としたがこれに限定するものではない。例えば、ドライブ可変回路126を外付け抵抗としてもよい。
【0088】
図5は本発明の半導体素子試験装置のドライブ可変回路126を中心とした説明図及びブロック図である。主として、ドライブ可変回路126は、トランジスタ117等の半導体素子のゲート端子のインピーダンス、ゲート端子に印加する信号波形の立ち上がり(ターンオン)波形、立ち下り(ターンオフ)時間波形を設定する回路である。
【0089】
図5において、ドライブ可変回路126内には、複数のドライブ素子回路127が配置されている。ドライブ可変回路126は、トランジスタ117s及びトランジスタ117mに対応するように配置されている。ドライブ素子回路127aの抵抗素子は、抵抗値を0Ωから300Ωの範囲で可変できるように構成されている。
【0090】
スイッチ回路S1(スイッチ回路S1s、スイッチ回路S1m)、スイッチ回路S2(スイッチ回路S2s、スイッチ回路S2m)、スイッチ回路S3(スイッチ回路S3s、スイッチ回路S3m)、スイッチ回路S4(スイッチ回路S4s、スイッチ回路S4m)は、各々独立してオンオフ(オープン、クローズ)設定できるように構成されている。したがって、複数のドライバ素子回路127を同時に選択することができる。
【0091】
低オン電圧を保持するのに、IGBT、バイポーラトランジスタでは大きなベース電流が必要である。一方、パワーMOSFETは電圧制御素子のため、ゲートに電荷をチャージするだけの小さな電力でドライブすることができる。
パワーMOSFETの入力容量はやや大きいため、特に高速スイッチングの場合、低インピーダンス信号源で入力容量を急速に充電する必要がある。
ターンオン時間を短くするためには低インピーダンスドライブが必要であるが、ゲート・ソース間電圧を高くすると、逆にターンオフ時間が長くなる。
【0092】
以上のように、試験をする半導体素子117の特性に合わせてゲート端子への入力インピーダンス等を適正に設定する必要がある。本発明では、ドライブ可変回路126内にドライバ素子回路127を有することにより、容易に入力インピーダンス等を設定することができる。つまり、試験をする半導体素子のゲート抵抗値を変えることでスイッチング時間を変えることができる。
【0093】
本発明において、オンとオフ側でスイッチング性能を変えたい場合は、ドライブ可変回路126内の任意のドライブ素子回路127の選択、ドライブ素子回路127aの抵抗値の変更により可能である。
【0094】
以上のように、試験をする半導体素子117の特性に合わせてゲート端子への入力インピーダンス等を適正に設定する必要がある。本発明では、ドライブ可変回路126内にドライバ素子回路127を有することにより、容易に入力インピーダンス等を設定することができる。つまり、試験をする半導体素子のゲート抵抗値を変えることでスイッチング時間を変えることができる。
【0095】
本発明において、オンとオフ側でスイッチング性能を変えたい場合は、ドライブ可変回路126内の任意のドライブ素子回路127の選択、ドライブ素子回路127aの抵抗値の変更により可能である。
【0096】
たとえば、ドライブ素子回路127bの場合、オン時のゲート抵抗はR1、オフ時のゲート抵抗は R2となる。ドライブ素子回路127cの場合、オン時のゲート抵抗はR1とR2の並列、オフ時のゲート抵抗はR2となる。ドライブ素子回路127dの場合、オン時のゲート抵抗はR2、オフ時のゲート抵抗はR1とR2の並列となる。ドライブ素子回路127の選択は、コントローラ111により行う。
【0097】
以上のように本発明の半導体素子試験装置は、ドライブ可変回路126により、実使用状態で半導体素子の試験を実施することができる。また、過負荷駆動試験、サージ耐圧試験、アバランシェ試験等の多種多様な試験を容易に実施することができる。
【0098】
トランジスタ117のゲート端子gに印加するゲート駆動信号Vsgは、エミッタ端子eの電位が基準となる。図22(a)に図示するように、トランジスタ117をオンさせる電圧をVgとすれば、エミッタ電位から、Vg電圧を印加した時、トランジスタ117がオン状態となる。
【0099】
本発明では、0(V)電位は、トランジスタ117をオフさせる電圧としている。図22(a)のVt電圧は、0(V)電位よりも負極性の電圧である。オン電圧の印加前に、負電圧Vt電圧を印加することにより、負電圧Vtからオン電圧(Vg)までの立ち上がり電圧カーブが急峻になる。また、トランジスタ117の種類によっては、トランジスタ117のオフ特性が良好になる。
【0100】
Vt電圧は、tn2期間、tn1期間の時間に印加し、tn2期間、tn1期間は、任意に設定できるように構成されている。なお、ton期間はVg電圧(トランジスタ117のオン電圧)を印加する期間である。また、Vt電圧は任意の電圧に可変し、設定できるように構成されている。
【0101】
図5に図示するように、ドライブ可変回路126のドライブ素子回路127を選択することにより、ゲート駆動信号Vsgの電圧波形を変化させることができる。図22(a)では、一例として、ドライブ素子回路127の選択により変化させるゲート駆動信号Vsg波形を実線、点線等で図示している。
【0102】
ゲート駆動信号Vsg波形の変化により、トランジスタ117のチャンネルに流れる電流Idは、図22(b)に図示するように、実線、点線等のように変化する。電流Iaは可変することができる。したがって、電流Idの立下り、立ち上がり時に発生する、サージ電圧・電流、過渡電圧、過渡電流などを試験に適合させて発生させることができる。
【0103】
図22において、一例としてVgをオン電圧、0(V)またはVt電圧をオフ電圧としている。図22(a)のように、オン電圧Vgの印加前に、負電圧を印加し、オン電圧からオフ電圧に変化した後、0(V)にする場合もある。図22(a)のように、Vt電圧の印加期間をなくして、0(V)電圧を印加する場合もある。本発明は、オン電圧、オフ電圧の値あるいは制御はそれぞれに応じて適正に設定する。
【0104】
図22(a)のオン信号電圧Vsgに基づいて、トランジスタ117はオンオフ制御される。ゲートドライバ回路113はデバイス制御回路基板209で制御される。
電流電源121は定電流Idを出力し、定電流Idがトランジスタ117のIdとして供給される。
【0105】
ゲートドライバ回路113から出力されるVsg信号電圧により、トランジスタ117はオンオフ動作し、トランジスタ117がオンしている期間にトランジスタ117のチャンネル間に電流Idが流れる。
【0106】
図5に図示するように、ゲートドライバ回路113の出力側には、ドライブ可変回路126が配置され、ドライブ可変回路126には、ドライブ素子回路127aを有している。または、図3図4に図示するように、可変抵抗回路125が配置されている。可変抵抗回路125あるいはドライブ素子回路127aの値は、0(Ω)から500(Ω)間で、所定値に、あるいはステップ的に設定できるように構成されている。ゲート端子gの波形を観察しながら、コントローラ回路基板111(コントローラ111)からの制御信号によりドライブ素子回路127aの値を設定してもよい。
【0107】
なお、図5において、ドライブ素子回路127aが図3図4のドライブ素子回路127aに対応する。本発明の半導体素子試験装置は、ゲート端子に印加する信号波形を試験条件に適合させ、あるいは多種多様な信号波形に対応させるため、図5のように、ドライブ可変回路126を配置あるいは構成する。
【0108】
トランジスタ117(トランジスタ117s、トランジスタ117m)のゲート端子gとエミッタ端子eまたは、コレクタ端子c間に抵抗R(図示せず)を配置してもよい。抵抗Rの値を調整することにより、ゲート信号の立ち上がりおよび立ち下がり電圧波形の傾斜角度を調整できる。
【0109】
ドライブ素子回路127aの値が大きい場合は、トランジスタ117のゲート端子に印加するトランジスタ117のゲート信号の立ち上がり/立ち下がり波形の傾斜が緩やかになる。
【0110】
一方、ドライブ素子回路127aの抵抗値が小さい場合は、ゲート信号の立ち上がり/立ち下がり波形の傾斜が急峻になる。ドライブ素子回路127aの値を変更あるいは所定値に設定することにより、トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)のオン時間を調整できる。
【0111】
また、ダイオードを有するドライバ素子回路127b~ドライバ素子回路127dを選択することにより、ゲート信号の立ち上がり/立ち下がり波形の傾斜を設定あるいは変更あるいは制御することができる。
【0112】
ゲートドライバ回路113は、トランジスタ117のゲート端子gに印加するゲート電圧において、立ち上がり波形の傾斜(立ち上がり時間Tr)と立ち下がり波形の傾斜(立ち下がり時間Td)を設定できる。立ち上がり時間Trと立ち下がり時間Tdを別々に調整することによりトランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)のオン時間等を任意に調整できる。
【0113】
ドライブ素子回路127aの抵抗値等、ドライブ素子回路127の選択は、コントローラ回路基板111(コントローラ111)により設定する。設定は、一定値であることに限定されない。ゲートドライバ回路113の立ち上がり波形の傾斜(立ち上がり時間Tr)と、立ち下がり波形の傾斜(立ち下がり時間Td)を変化させてもよい。ゲート信号の立ち上がり時の抵抗値と、立ち下がり時の抵抗値とを変化させてもよい。また、リアルタイムに抵抗値を可変制御してもよい。ドライブ素子回路127aを可変制御することにより、トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)のオン時間が安定する。
【0114】
ゲート信号の立ち上がり時の抵抗値を小さくすると、トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)のゲート端子gに印加されるオン電圧の波形が急峻になり、高速にトランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)がオンする。ゲート信号の立ち上がり時の抵抗値を大きくすると、トランジスタ117のゲート端子に印加されるオン電圧の波形が緩やかになり、緩やかにトランジスタ117がオンする。
【0115】
ゲート信号の立ち下がり時の抵抗値を小さくすると、トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)のゲート端子gに印加されるオン電圧の波形が急峻になり、高速にトランジスタ117がオフする。ゲート信号の立ち下がり時の抵抗値を大きくすると、トランジスタ117のゲート端子gに印加されるオン電圧の波形が緩やかになり、緩やかにトランジスタ117がオフする。
【0116】
以上のように、トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)のゲート端子に接続されたドライブ素子回路127aの値、ドライブ素子回路127の選択、あるいはゲートドライバ回路113の立ち上がり時間/立ち下がり時間を制御、あるいは調整、または設定することにより、ゲート波形Vsgを設定できる。
【0117】
したがって、ゲートドライバ回路113の機能として、トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)に発生させる突入電流Is、サージ電圧Vsを変化あるいは変更することができる。
【0118】
トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)の動作は、トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)のゲート端子gのオン電圧の制御だけでなく、電流電源121がトランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)に供給する定電流Idあるいは電圧Vmの値を変化あるいは設定できることは言うまでもない。
ゲートドライバ回路113の出力側のドライブ素子回路127aはコントローラ回路基板111により制御される。
【0119】
ゲート端子gに印加するゲート波形Vsg等により、トランジスタ117のチャンネルに流れる電流Idは変化し、電流Idにより、図22(c)に図示する温度情報Tjが変化する。図22(c)では実線、点線等により温度情報Tjの変化を図示している。
【0120】
図3図4等において、Vi電圧(Vis、Vim)は、差分アンプ(減算器)回路で測定あるいは取得する。したがって、トランジスタ117、ダイオードDiに過電圧が印加されることがなく、また、安定して、Vi電圧(Vis、Vim)を取得することができる。
【0121】
差分アンプ(減算器)回路は、オペアンプ回路等を使用するアナログ回路に限定されるものではない。たとえば、ダイオードDiの端子電圧、ドライブ素子回路127aの端子電圧をアナログ-デジタル変換してデジタル回路処理等で、Vi電圧(Vis、Vim)を取得する構成であってもよいことは言うまでもない。電圧検出回路116(電圧検出回路116m、電圧検出回路116s)及びその周辺回路部においても同様である。
【0122】
トランジスタ117mの端子にはコネクタ202mの接続ピン206が接続され、トランジスタ117sの端子にはコネクタ202sの接続ピン206が接続される。コネクタ202はトランジスタ117の端子と容易に脱着できるように構成されている。
【0123】
図1におけるサンプル接続回路203(サンプル接続回路203s1、サンプル接続回路203s2、サンプル接続回路203m1、サンプル接続回路203m2)内には、ゲートドライバ回路113、ドライブ素子回路127a、定電流回路118が配置または形成されている。
【0124】
図7に図示するように、サンプル接続回路203は、試験を行うトランジスタ117に近い位置に配置できるように、デバイス制御回路基板209から分離されて配置されている。
【0125】
サンプル接続回路203は、試験する各トランジスタ117あるいは各トランジスタ117m、各トランジスタ117sに1つのサンプル接続回路203等を設けることが好ましい。しかし、これに限定するものではなく、複数のトランジスタ117等に対して、複数の信号回路を含む1つのサンプル接続回路203を配置してもよい。
【0126】
図7に示すように、サンプル接続回路203は、コネクタ202の接続ピン206でトランジスタ117と接続されている。ゲートドライバ回路113とトランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)のゲート端子g(ゲート端子gm、ゲート端子gs)間は、30mm以下の短距離となるように配置されている。
【0127】
ゲートドライバ回路113とトランジスタ117のゲート端子g間が長いとゲート端子gにノイズ等が重畳され、トランジスタ117が誤動作してトランジスタ117の破壊に直結する。
【0128】
図2に図示するように、サンプル接続回路203s(サンプル接続回路203s1、サンプル接続回路203s2)はコネクタ208sを介して、デバイス制御回路基板209sと接続される。
【0129】
サンプル接続回路203m(サンプル接続回路203m1、サンプル接続回路203m2)はコネクタ208mを介して、デバイス制御回路基板209mと接続される。
【0130】
コントロール回路基板111(コントローラ111)により、デバイス制御回路基板209(デバイス制御回路基板209s、デバイス制御回路基板209m)、サンプル接続回路203s(サンプル接続回路203s1、サンプル接続回路203s2、短絡回路137(短絡回路137m、短絡回路137s)が制御され、必要に応じて、各種データ、電圧、電流値が送受信される。
【0131】
図7に図示するように、デバイス制御回路基板209は半導体素子試験装置の筐体210のB室に配置される。筐体210は半導体素子試験装置の電源装置132、駆動回路、加熱冷却プレート134が組み込まれたフレームあるいは装置本体である。
サンプル接続回路203は、試験するトランジスタ117に近い位置に配置するため、半導体素子試験装置の筐体210のC1室に配置される。
【0132】
サンプル接続回路203(サンプル接続回路203m1、サンプル接続回路203m2、サンプル接続回路203s1、サンプル接続回路203s2)は、筐体210の側面に配置されたコネクタ208と接続される。コネクタ208の接続ピン206に接続された配線は、B室のデバイス制御回路基板209と接続されている。
【0133】
本発明の実施例において、接続プラグ205として、フォークプラグを例示して説明をする。トランジスタ117のコレクタ端子に接続されたフォークプラグ205e、電源装置132の一端子に接続されたフォークプラグ205dのように、各接続配線211、各電源配線212の一端にフォークプラグ205を接続して、導体板204と接続する。
【0134】
なお、本明細書、図面において導体板204として説明するが、板状に限定されるものではなく、棒状のものであってもよい。複数の構造物から構成してもよい。フォークプラグ205等の構造物と接合できるものであればいずれの形状等であってもよい。たとえば、ソケット、コネクタ等の構造物であってもよい。また、導体板204をフォークプラグ形状とし、フォークプラグ205と前記フォークプラグとを接続してもよい。
【0135】
本発明は、試験を実施するトランジスタ117の少なくとも1つの端子にフォークプラグ205等を形成または配置し、フォークプラグ205と導体板204等の接続対象と電気的接続を取るものであれば、いずれの構成であってもよい。
【0136】
フォークプラグ205は隔壁214等の空間を分離する構成物あるいは構造物に、フォークプラグ205を挿入するとして説明する。しかし、これに限定するものではない。たとえば、導体板204bにフォークプラグ205cを接続し、フォークプラグ205cを隔壁214から挿入して、トランジスタ117の一端子(エミッタ端子e)と電気的に接続してもよい。
【0137】
図7等に図示する本発明の半導体素子試験装置の隔壁214、隔壁215、隔壁217は、空間あるは領域を区分あるいは分離するものであればいずれのものであってもよい。壁状、板状、メッシュ状、フィルム状、箔状等、多種多様な構成あるいは構造が該当する。
【0138】
フォークプラグ205は、導体板204等の対象物に圧入、圧接、挿入、圧着、挟持、嵌合等により電気的に接続ができる構成、構造、形態、形式、方法のいずれのものであってもよい。
【0139】
トランジスタ117に流す試験電流Idは電源装置132を動作させることにより供給する。電源装置132はコントロール回路基板(コントローラ)111からの信号により動作/非動作(オン/オフ)制御される。また、電流Idの出力と非出力とが切り替えられる。デバイス制御回路基板209はコントロール回路基板(コントローラ)111により制御される。
【0140】
図1図3図6等において、試験を行うトランジスタ117は、図28(a)に図示するダイオードDi(ダイオードDim、ダイオードDis)を有するものを例示して説明をする。トランジスタ117mのエミッタ端子emは接地(グランド)されているとして説明をする。トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)のゲート端子g(ゲート端子gm、ゲート端子gs)には、ゲートドライバ回路113(ゲートドライバ回路113m、ゲートドライバ回路113s)が接続されている。
【0141】
サンプル接続回路203(サンプル接続回路203m、サンプル接続回路203s)は、ゲートドライバ回路113、ドライブ素子回路127a、定電流回路118、電圧検出回路116が配置または形成されている。
【0142】
サンプル接続回路203は、コネクタ202の接続ピン206でトランジスタ117と接続されている。ゲートドライバ回路113とトランジスタ117のゲート端子g間は、30mm以下の短距離となるように配置されている。ゲートドライバ回路113とトランジスタ117のゲート端子g間が長いとゲート端子gにノイズ等が重畳され、ノイズによりトランジスタ117が誤動作する。
【0143】
図1図3に図示すように、ゲートドライバ回路113からトランジスタ117のゲート端子gに試験信号を印加する。ゲートドライバ回路113はオペアンプ回路を有している。
【0144】
図7に図示するように、デバイス制御回路基板209は半導体素子試験装置の筐体210のB室に配置される。筐体210は電源装置132、駆動回路系、加熱冷却プレート134等が組み込まれている。
【0145】
サンプル接続回路203は、試験するトランジスタ117に近い位置に配置するため、半導体素子試験装置の筐体210のC1室に配置される。サンプル接続回路203は筐体210の側面に配置されたコネクタ208と接続される。コネクタ208の接続ピン206に接続された配線は、B室のデバイス制御回路基板209と接続されている。
【0146】
サンプル接続回路203はコネクタ208の接続ピン206によりデバイス制御回路基板209と接続されている。サンプル接続回路203は試験する各トランジスタ117に対応して個別に配置され、サンプル接続回路203はコネクタ202等により容易に取り外しが可能なように構成されている。
【0147】
定電流回路118はトランジスタ117のチャンネル間に配置または形成されたダイオードDiに定電流Icを供給する。電圧検出回路116はダイオードDiの端子電圧をバッファリングし(出力インピーダンスを低く)、Vi電圧として出力する。Vi電圧は、温度測定回路115でアナログ-デジタル変換される。
【0148】
温度測定回路115は端子電圧Viからトランジスタ117の温度情報Tjを求め、コントロール回路基板111に転送する。温度情報はデバイス制御回路基板209のコネクタ213からマザー基板207に出力され、コントロール回路基板111に送られる。
ゲートドライバ回路113は、設定された周波数(オンオフ周期)、設定されたオン電圧をトランジスタ117のゲート端子に印加する。
【0149】
ゲートドライバ回路113から出力されるVg信号電圧により、トランジスタ117は動作/非動作(オンオフ)動作し、トランジスタ117がオンしている期間にトランジスタ117のチャンネル間に電流Idが流れる。
ドライブ素子回路127aの抵抗値Vrは、0(Ω)から500(Ω)間で、一定電圧、あるいは時間的に変化する電圧に設定できるように構成されている。
【0150】
ドライブ素子回路127aは、抵抗値Vrを可変あるいは制御することにより、トランジスタ117のゲート端子gに印加するゲート電圧信号の立ち上がり波形の傾斜(立ち上がり時間Tr)と立ち下がり波形の傾斜(立ち下がり時間Td)を設定できる。
【0151】
図3等において、ドライブ素子回路127aの抵抗値Vrは、可変としたがこれに限定するものではない。例えば、ドライブ素子回路127aを外付け抵抗としてもよい。
【0152】
定電流回路118は、所定の定電流Icを流す。定電流IcはダイオードDiに印加される。ダイオードDiの端子電圧をモニターすることにより、トランジスタ117の温度変化を測定あるいは観察することができる。
【0153】
定電流Icでトランジスタ117が発熱することを防止するため、定電流Icはトランジスタ117のチャンネルに流す定電流Idよりも十分に小さい電流値にする。
【0154】
具体的には、定電流Icは試験時にトランジスタ117に流す電流Idの1/1000以下に設定する。好ましくは、トランジスタ117に流す電流Icは電流Idの1×10の1以上1×10の1以下にする。定電流Icは0.1mA以上100mA以下にする。
【0155】
チャンネル電流Idを変化させ、ダイオードDi電圧(トランジスタ117のコレクタ-エミッタ端子間電圧)を測定して、温度係数Kを求める。求められた温度係数Kは、温度測定回路115に記憶させる。
【0156】
温度係数Kは、トランジスタ117を加熱冷却プレート134で所定温度にし、ダイオードDiに定電流Icを流して、端子電圧を測定する。前記所定温度を変化させ、かつダイオードDiの端子電圧を測定することにより、トランジスタ117の温度に対するダイオードDiの端子電圧を取得できる。したがって、温度に対するダイオードDiの端子電圧からトランジスタ117の温度係数Kを求めることができる。
【0157】
定電流Icは、チャンネル電流Idが流れていない時にダイオードDiに流す。つまり、トランジスタ117がオンしていない時に、定電流Icを流してダイオードDiの端子間電圧を測定する。 電圧検出回路116は、ダイオードDiの端子電圧Vi(端子c-端子e)を出力する。
【0158】
電圧検出回路116は、オペアンプ素子から構成されるものに限定されない。入力インピーダンスよりも出力インピーダンスが低いものであればいずれのものでもよい。
【0159】
求められた温度情報Tjはコントロール回路基板(コントローラ)111に送られる。コントロール回路基板(コントローラ)111は、温度情報Tjが所定設定値以上となった場合、トランジスタ117が所定のストレス状態、あるいは劣化状態となったと判断し、試験の制御変更あるいは試験の停止等を行う。
【0160】
図1(a)等の実施例において、スイッチ回路124はスイッチ回路の記号を使用している。スイッチ回路124は、トランジスタ、メカニカルリレー、フォトトランジスタ、フォトダイオードスイッチ、フォトMOSリレー、MOSFET等が例示される。図1(b)に図示するように、スイッチ回路124は、MOSFETが好ましい。MOSFETはチャンネル間の電圧(Vsd)が小さく好ましい。以下の実施例では、スイッチ回路124は、パワーMOSFET124として説明をする。
【0161】
パワーMOSFET124aのオン時のチャネル電圧(Vsda)は、パワーMOSFET124bのオン時のチャネル電圧(Vsdb)以下となるものを選定することが好ましい。パワーMOSFET124aのオン時のチャネル電圧(Vsda)は、パワーMOSFET124bのオン時のチャネル電圧(Vsdb)よりも小さくなるようにする。スイッチ回路124aがオンし、電源装置132の端子間を短絡した時に、電流Imを安定して流すためである。
【0162】
スイッチ回路124はスイッチ回路基板201に実装あるいは形成されている。スイッチ回路124は導体板204に接続されている。導体板204は、一例として厚み5mm、幅50mmの銅からなる板である。導体板204の長さは、一例として、250mmである。
図6図7図11はフォークプラグ205及びフォークプラグ205と導体板204の接続(接触)状態を示している。
【0163】
図11(a)は、スイッチ回路等が形成されたスイッチ回路基板(プリント基板)201に導体板204が取付けられ、フォークプラグ205を導体板204に接続した状態を上方向から模式的に図示した図である。図11(b)は導体板204の一端にフォークプラグ205を挟持させた状態での説明図である。
【0164】
図6図7図8等で図示するように、スイッチ回路基板201には2枚の導体板204が取付けられている。導体板204とスイッチ回路基板201はネジ等により密着されて、固定される。
【0165】
フォークプラグ205と導体板204とは機械的(メカニカル)に嵌合させることにより電気的接続を実現する。フォークプラグ205のU字部は、導体板204に差し込まれる際、良好にフォークプラグ205と導体板204が接合される。
図11に図示するように、フォークプラグ205には接続ボルト219が取付けられている。接続ボルト219に接続配線211が接続される。
【0166】
図11(a)のAA’での断面を図11(b)に示す。導体板204とフォークプラグ205とは、フォークプラグ205に形成された接触部220a、接触部220bで接触する。接触部220はリン青銅、ニッケル合金で構成され、ばね性を有している。接触部220の表面は金メッキあるいは銀メッキが施されている。メッキにより接触部220の電気的安定度が向上する。
【0167】
図7図8に図示するように、フォークプラグ205と導体板204とは、隔壁214の開口部216からフォークプラグ205を差し入れることにより電気的に接続される。
【0168】
図7に本発明の半導体素子試験装置の各構成部材の配置を示す。半導体素子試験装置の筐体210は、複数の部分を有する。筐体の下部は、A室とB室に分離されている。A室には電源装置132が配置される。A室とB室とは隔壁215で分離されている。C1室とC2室は隔壁217で分離されている。
【0169】
電源装置132、スイッチ回路基板201、トランジスタ117は動作/非動作を繰り返すことにより大きなノイズを発生する。ノイズにより、回路基板等が誤動作する。各室の隔壁を静電シールド、電磁シールドすることにより誤動作を防止できる。
【0170】
静電シールド、電磁シールドは、導通を有する板、金属板、金属フィルム、金網を各室の周りあるいは隔壁表面あるいは内部に取付ける、あるいは形成ることにより実現する。
【0171】
C1室には、図2に示す加熱冷却プレート134、循環水パイプ135等が配置され、加熱冷却プレート134に試験をするトランジスタ117が密着して配置される。
【0172】
C1室の加熱冷却プレートの周囲には漏水センサ(図示せず)が配置されている。循環水(冷却媒体)等が漏れると漏水センサが働き、半導体素子試験装置を停止または警報を発するように構成されている。
【0173】
加熱冷却プレート134の周囲には、排水用の溝(図示せず)が形成されている。加熱冷却プレートから循環水(冷却媒体)が漏れると排水用の溝に、循環水(冷却媒体)が流れ込み、半導体素子試験装置外に排出されるように構成されている。
加熱冷却プレート134はトレイ(図示せず)に搭載され、トレイは隔壁214から脱着できるように構成されている。
以上のように、隔壁214は循環水パイプ135等が損傷しても、下側のA室、B室に循環水(冷却媒体)等が漏れないように構成されている。
【0174】
電源装置132が配置されたA室と、駆動回路系が配置されたB室間には隔壁215が形成されている。隔壁215には静電シールド板、あるいは電磁シールド板が配置され、電源装置132のノイズが遮蔽され、ノイズはB室の駆動回路系には印加されない。
【0175】
本発明の実施例では、C2室からフォークプラグ205を差し込み、B室の導体板204と接続する。隔壁214にはフォークプラグ205を挿入する開口部216が形成されている。
【0176】
本発明の実施例では、上側から下側にフォークプラグ205を挿入する。本発明はこれに限定するものではない。たとえば、C2室に導体板204が配置され、B室からフォークプラグ205を挿入して、フォークプラグ205と導体板204とを電気的に接続してもよい。
【0177】
図11(c)に図示するように、マザー基板207にコネクタ213が取付けられている。マザー基板207のコネクタ213にコントロール回路基板111、デバイス制御回路基板209、スイッチ回路基板201が取付けられている。試験するトランジスタ117の個数に応じてスイッチ回路基板201を準備する。スイッチ回路基板201の枚数は、マザー基板207に取付けるスイッチ回路基板201の枚数を変更することにより容易に実現できる。
【0178】
マザー基板207には、温度情報Tj、電圧Vi、ドライブ素子回路127aの制御信号、定電流回路118の制御信号等が伝送される。また、各回路の電源配線、グランド配線が形成され、コネクタ213を介して各回路基板に供給されている。
【0179】
図11(c)に図示するように、導体板204は、スイッチ回路基板201からはみ出るように配置されている。このはみ出た部分にフォークプラグ205が接続される。
【0180】
フォークプラグ205aはスイッチ回路基板201aの導体板204aと接続される。電源配線212は隔壁215の開口部216を介して、スイッチ回路基板201aと接続される。
【0181】
図7図8に図示するように、フォークプラグ205dはスイッチ回路基板201bの導体板204cと接続される。電源配線212は隔壁215の開口部216を介して、スイッチ回路基板201bと接続される。フォークプラグ205bはスイッチ回路基板201aの導体板204bと接続される。電源配線212は隔壁215の開口部216を介して、スイッチ回路基板201aと接続される。
【0182】
図6に図示するように、スイッチ回路基板201bの導体板204dと導体板204c間にはスイッチ回路124bが配置され、導体板204dと導体板204c間を電気的に短絡する。短絡することにより、電源装置132が出力する電流Idが試験電流Idとしてトランジスタ117に供給される。
【0183】
図6に図示するように、スイッチ回路基板201aの導体板204iと導体板204j間にはスイッチ回路124aが配置されている。スイッチ回路124aがオンすることにより、導体板204iと導体板204j間が短絡する。短絡することにより、電源装置132が出力する電流Idが放電電流Imとしてグランドに流れる。あるいは、電源装置132に充電された電荷が放電される。そのため、トランジスタ117のチャンネル間に過渡電圧等が印加されることはなく、また、トランジスタ117に過渡電流等が流れることはなく、トランジスタ117等の電気素子を破壊することはない。
【0184】
導体板204bには、フォークプラグ205cが接続される。導体板204aにはフォークプラグ205fが接続される。また、導体板204dには、フォークプラグ205eが接続される。導体板204cにはフォークプラグ205dが接続される。
【0185】
フォークプラグ205の材質はアルミニウム等の金属で構成されている。フォークプラグ205はメッキ下地にニッケル処理し、表面に銀メッキが施されている。
フォークフラグ205はネジ溝が形成されており、接続ボルト219で接続配線211をフォークプラグ205に取り付けができるように構成されている。
【0186】
図8は、2枚のスイッチ回路基板201a、スイッチ回路基板201bを図示している。スイッチ回路基板201はマザー基板207のコネクタ213と接続される。
【0187】
図7図8に図示するように、一例として、フォークプラグ205cは、C2室とB室間に設けられた隔壁214の開口部216から差し込まれ、導体板204bと接続される。フォークプラグ205eは、C2室とB室間に設けられた隔壁214の開口部216から差し込まれ、導体板204dと接続される。
【0188】
試験するトランジスタ117に流す電流は数百アンペアと大きいため、使用する接続配線211の太さも太い。そのため、太い接続配線211、電源配線212は硬い。そのため、接続配線211、電源配線212は接続変更が容易でない。
【0189】
本発明の半導体素子試験装置では、隔壁214の任意の開口部216に、C2室からフォークプラグ205を挿入する。フォークプラグ205を挿入する開口部216の位置を変更することにより、任意のスイッチ回路基板201と接続できる。したがって、トランジスタ117の試験条件により使用するスイッチ回路基板201との接続変更は、接続配線211を結線変更する必要がなく、フォークプラグ205を挿入する開口部216の位置の変更だけでよい。また、図11(c)に図示するように、スイッチ回路基板201は、マザー基板207に接続するコネクタ213の位置の変更だけでよい。
【0190】
以上のように、半導体素子などの電気素子117の試験内容、試験する電気素子117の個数に応じて、マザー基板207に接続するスイッチ回路基板201、デバイス制御回路基板209を配置する。また、スイッチ回路基板201等と接続切り替えは、隔壁214の開口部216に挿入するフォークプラグ205位置を変更することにより実施する。
【0191】
図1図6図7図8に図示するように、トランジスタ117に接続された接続配線211aはフォークプラグ205eに接続されている。トランジスタ117に接続された接続配線211bはフォークプラグ205hに接続されている。トランジスタ117に接続された接続配線211cはフォークプラグ205cに接続されている。
【0192】
フォークプラグ205e、フォークプラグ205f、フォークプラグ205cと導体板204から脱着することにより、試験する半導体素子117を試験回路から脱着することができる。
【0193】
図6等に図示するように、電流電源121の出力を短絡するスイッチ回路基板201bは電流電源121の個数に対応した数量でよい。たとえば、半導体素子試験装置に電流電源121が1台の場合は、スイッチ回路基板201b(スイッチ回路124b)は1つでよい。
【0194】
スイッチ回路基板201は、試験するトランジスタ117の個数以上の枚数が必要である。たとえば、試験するトランジスタ117が12個であれば、スイッチ回路基板201は12枚以上を準備することが好ましい。具体的には、試験をする電気素子117数に対応するスイッチ回路基板数を準備する。
【0195】
試験をする半導体素子117に対応するスイッチ回路基板201と、電源装置132の出力を短絡するスイッチ回路基板201は同一の基板仕様とすると、コスト的に有利である。つまり、スイッチ回路基板201は共通の構成とする。
【0196】
図7に図示するように、スイッチ回路基板201には、スイッチ回路124としてのトランジスタ等を複数実装することが好ましい。スイッチ回路124の個数が多いほど、2枚の導体板204間を短絡するインピーダンスが小さくすることができる。
【0197】
図12(a)(b)は、隔壁214の開口部216にフォークプラグ205を挿入した状態を図示したものである。図12(a)は隔壁214の表面から見た図であり、図12(b)は隔壁214の裏面から見た図である。
【0198】
図12の導体板204bには、一例として、フォークプラグ205bと複数のフォークプラグ205c(フォークプラグ205c1~フォークプラグ205c5)が接続されている。導体板204d1にはフォークプラグ205e1、導体板204d2にはフォークプラグ205e2、導体板204d3にはフォークプラグ205e3、導体板204d4にはフォークプラグ205e4、導体板204d5にはフォークプラグ205e5が接続されている。
【0199】
スイッチ回路基板201のスイッチ回路124がオンオフすることにより大きなノイズが発生する。この対策として、図11(c)では図示していないが、2枚のスイッチ回路基板201間にシールドとして機能させる金属板を配置し、金属板をアース接地している。
【0200】
スイッチ回路124の発熱は導体板204に放熱される。スイッチ回路124には放熱板(図示せず)が取付けられている。スイッチ回路124のグランド端子はスイッチ回路基板201のグランドに接続される。導体板204の熱はスイッチ回路基板201のグランド銅箔を介しても放熱される。
【0201】
図6に図示するように、スイッチ回路基板201aには導体板204i、導体板204jが取付けられている。導体板204jは、フォークプラグ205jと接続されている。導体板204iは、フォークプラグ205iと接続されている。フォークプラグ205iは電源装置132の出力端子と接続されている。導体板204jはフォークプラグ205jと接続されている。フォークプラグ205jは電源装置132のグランド端子と接続されている。
【0202】
スイッチ回路124aがオン(クローズ)すると、電源装置132の出力端子間が短絡され、短絡電流Imがグランドに流れる。そのため、電源装置132の出力電流はトランジスタ117には供給されない。スイッチ回路124aがオープンの時に、電源装置132の出力電流Idがトランジスタ117に供給される。
【0203】
スイッチ回路基板201bには導体板204c、導体板204dが取付けられている。導体板204cは、フォークプラグ205dと接続されている。フォークプラグ205dは電源装置132の出力端子と接続されている。導体板204dはフォークプラグ205eと接続されている。フォークプラグ205eは試験を行うトランジスタ117のコレクタ端子と接続されている。
【0204】
スイッチ回路基板201cには導体板204e、導体板204fが取付けられている。導体板204fには、フォークプラグ205h、フォークプラグ205gが接続されている。導体板204eには、フォークプラグ205aが接続されている。フォークプラグ205aは電源装置132の出力端子と接続されている。フォークプラグ205hは試験を行うトランジスタ117のO端子と接続されている。
【0205】
スイッチ回路基板201dには導体板204b、導体板204aが取付けられている。導体板204bには、フォークプラグ205bが接続されている。導体板204aには、フォークプラグ205fが接続されている。フォークプラグ205fはフォークプラグ205gと接続されている。フォークプラグ205bスイッチ回路基板201aの導体板204aと接続されたフォークプラグ205jと接続され、フォークプラグ205jは電源装置132と接続されている。
【0206】
図8は、図示を容易にするため、1個のトランジスタ117を図示している。隔壁217の開口部216aに接続構造体218aが挿入され、隔壁217の開口部216bに接続構造体218bが挿入されている。隔壁217の開口部216cに接続構造体218cが挿入されている。
【0207】
本発明の半導体素子試験装置は、複数個の半導体素子117を加熱冷却プレート134上に配置して試験を行う。したがって、図10に図示するように、隔壁217には複数個の開口部216が形成されている。
【0208】
図10はn(nは1以上の正数)個の開口部216が形成されている。nは同時に試験する半導体素子117の最大個数、あるいは、加熱冷却プレート134上に配置あるいは実装できる半導体素子117の最大個数である。
【0209】
開口部216a1に接続構造体218a1が挿入され、開口部216b1に接続構造体218b1が挿入される。開口部216c1に接続構造体218c1が挿入される。
【0210】
開口部216a2に接続構造体218a2が挿入され、開口部216b2に接続構造体218b2が挿入される。開口部216c2に接続構造体218c2が挿入される。
【0211】
以降、同様に、開口部216anに接続構造体218anが挿入され、開口部216bnに接続構造体218bnが挿入される。開口部216cnに接続構造体218cnが挿入される。
【0212】
接続構造体218aはトランジスタ117の素子端子226aと連結され、接続構造体218bはトランジスタ117の素子端子226bと連結されている。接続構造体218cはトランジスタ117の素子端子226cと連結されている。
【0213】
図8に図示するように、トランジスタ117のコレクタcs端子、ゲート端子gs、エミッタ端子esには、コネクタ202sが接続される。トランジスタ117のコレクタ端子cm、ゲート端子gm、エミッタ端子emには、コネクタ202mが接続される。
【0214】
コネクタ202(コネクタ202m、コネクタ202s)に接続された信号配線222(信号配線222m、信号配線222s)はサンプル接続回路203に接続される。サンプル接続回路203の信号配線235はコネクタ208を介して、デバイス制御回路基板209に接続されている。
【0215】
隔壁(隔壁214、隔壁215、隔壁217)は、各室(C1室、C2室、A室、B室)を分離する機能と、外気が流入しないようにする機能がある。特に、C1室は、低温状態の試験で結露することがあるため、C1室にはドライエアを流入させる。
【0216】
図8図9図13図14に図示するように、接続構造体218に他端には、固定ネジ221が取付けられ、接続配線211が接続構造体218に接続されている。接続配線211の他端には接続部材としてのフォークプラグ205が取付けられている。
固定ネジ221はネジに限定されるものではなく、接続構造体218に接続配線211を電気的に接続できるものであればいずれのものでもよい。
【0217】
サンプル接続回路203はコネクタ208の接続ピン206によりデバイス制御回路基板209と接続されている。サンプル接続回路203は試験する各トランジスタ117に対応して個別に配置され、サンプル接続回路203は容易に取り外しが可能なように構成されている。
【0218】
図13は本発明の半導体素子試験装置における一実施例である接続構造体218の説明図である。図13(a)は裏面を模式的に図示した図であり、図13(b)は側面を模式的に図示した図である。
【0219】
接続構造体218の凹部234には、ヒートパイプ223が密着されている。接続構造体218の凹部234とヒートパイプ間に熱伝導性グリス、放熱用シリコーンオイルコンパウンドを塗付してもよい。
【0220】
凹部234にはめ込むようにヒートパイプ223が配置されている。接続構造体218の裏面の凹部にヒートパイプ223を配置することによりヒートパイプ223が損傷するリスクが低下する。ヒートパイプ223は、接続構造体218の両面に配置してもよい。
【0221】
接続構造体218は、試験時に加熱される。したがって、ヒートパイプ223及びヒートパイプ金具231も加熱される。加熱により、ヒートパイプ223及びヒートパイプ金具231が膨張する。
【0222】
本発明は、接続構造体218のヒートパイプ金具231の線膨張率は、ヒートパイプ223パイプの線膨張率よりも小さい材料が採用される。あるいは、接続構造体218のヒートパイプ223パイプの線膨張率はヒートパイプ金具231の線膨張率よりも大きい材料が採用される。ヒートパイプ223材料が凹部234内で膨張が大きくなりヒートパイプ223が凹部234により強固にはめ込まれる。したがって、ヒートパイプ223がはずれることがない。
【0223】
ヒートパイプ金具231の材料として、銅(線膨張率16.8)、黄銅(線膨張率19)、鉄(線膨張率12.1)、ステンレス(SUS304)(線膨張率17.3)が例示される。ヒートパイプ223の材料としてヒートパイプ金具231より線膨張率が大きい材料、たとえば、アルミニウム(線膨張率23)、錫(線膨張率26.9)、鉛(線膨張率29.1)が例示される。中でも、ヒートパイプ金具231の材料として、銅(線膨張率16.8)、ヒートパイプ223の材料として、アルミニウム(線膨張率23)を採用することが好ましい。ヒートパイプ金具231は、金属以外のカーボンなどを採用することもできる。
【0224】
接続構造体218は、主としてヒートパイプ金具231、接続圧力部232、接続保持部233からなる。接続圧力部232と接続保持部233間に半導体素子の素子端子226が差し込まれる。
図9は、トランジスタ117と接続構造体218の接続状態を説明する説明図である。ヒートパイプ223は接続構造体218の裏面に配置されている。
【0225】
トランジスタ117は加熱冷却プレート134に密着して固定される。固定はバネ(図示せず)の押圧により行われる。必要に応じて、トランジスタ117の上側にも加熱冷却プレートが配置され、トランジスタ117を所定の温度条件に設定できるようにする。
【0226】
試験を行うトランジスタ117は加熱冷却プレート134に密着させて固定させる必要があるため、容易に取り外すことが難しい。トランジスタ117の取付け作業は、最初に試験を行う複数個のトランジスタ117を加熱冷却プレート134に固定する。次に、試験を行うトランジスタ117を選択して接続構造体218を、隔壁217の開口部216から挿入し、半導体素子117の素子端子226に取付ける。
【0227】
つまり、選択するトランジスタ117は、選択するトランジスタ117が位置する開口部216にC2室側から接続構造体218を挿入して半導体素子117の素子端子226と電気的接続を行う。
【0228】
半導体素子117との電気的接続は、接続構造体218を挿入する位置を選択するだけであるので容易である。また、接続構造体218に接続された接続配線211の印加信号を変更することにより、半導体素子117の試験条件、試験内容を容易に変更することができる。
【0229】
接続構造体218の一端には接続配線211が接続され、接続配線211から定電流Idが半導体素子117に印加される。接続構造体218の裏面側にはヒートパイプ223が配置されている。
【0230】
素子端子226には、数百アンペア(A)の電流が流れる。接点部225にわずかな抵抗があっても、数百アンペア(A)の電流により、大きな熱が発生し、素子端子226部を過熱する。素子端子226が過熱されると半導体素子117が過熱され、半導体素子117が劣化あるいは破壊する。
【0231】
本発明は、素子端子226で発生した熱はヒートパイプ223により、接続構造体218の接続配線211側に伝熱される。したがって、接点部225が過熱されることはない。接続構造体218の下側には冷却ファン227が配置され、ヒートパイプ223の熱を放熱させる。
【0232】
図14(a)に図示するように、ヒートパイプ223に密着するように、放熱フィン228を形成または配置してもよい。図14(b)に図示するように、接続構造体218内に、循環水パイプ135を形成または配置し、接続構造体218を冷却してもよい。
【0233】
図9は、図28等の3つの素子端子226(素子端子226a(P)、素子端子226b(O)、素子端子226c(N))を有する半導体モジュール117と接続構造体218との接続状態を図示した説明図である。
【0234】
図9において、接続構造体218aにはヒートパイプ223aが、接続構造体218bにはヒートパイプ223bが形成または配置されている。接続構造体218cにはヒートパイプ223cが形成または配置されている。
【0235】
なお、素子端子226b(O端子)に電流が流れない、あるいは電流が小さい場合は、接続構造体218bにはヒートパイプ223bを形成する必要がない。たとえば、図1の実施例において、短絡回路137sまたは短絡回路137mを動作させ、一方のトランジスタ117(トランジスタ117s、トランジスタ117m)をダイオード接続し、他方のトランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)をオン(動作)させる場合は、O端子には電流が流れない。この場合等は、接続構造体218bを他の接続構造体218(接続構造体218a、接続構造体218c)よりも細く形成することにより、接続構造体218とトランジスタ117の素子端子226との接続が容易になる。また、トランジスタ117を配置するスペースが狭くてもよいため、加熱冷却プレート134に搭載できるトランジスタ117の数を多くすることができる。
【0236】
図15(a)に図示するように、本発明の他の実施例における接続構造体218は、主としてヒートパイプ金具231、接続受け部225、接続圧力部232、接続保持部233からなる。接続受け部225と接続保持部233間に半導体素子の素子端子226が差し込まれる。
【0237】
接続受け部225と接続圧力部232のバネ穴239にはバネ236が挿入または配置される。接続受け部225の中央部の位置決めネジ穴240に位置決めネジ237が挿入または配置され、接続受け部225と接続圧力部232とが位置決めされる。
【0238】
バネ236は押圧手段であり、または摺動手段であり、または位置決め手段である。バネ236は、一例としてコイルバネが例示される。その他、板ばね、渦巻バネ、皿バネが例示される。バネ236は金属材料で形成あるいは構成される。耐熱性があるゴム、プラスチック、セラミックス材料で形成してもよい。
【0239】
接続受け部225と接続圧力部232間には、コイルバネ236が配置されている。接続圧力部232は、1つ以上の固定ネジ224bで接続される。固定ネジ224bを締め付ける、あるいは取付けることにより、接続受け部225と接続保持部233間に圧力(押圧)が印加される。
【0240】
接続受け部225と接続保持部233間に素子端子226が挟まれ、バネ236の圧力により接続受け部225と接続保持部233間に素子端子226が所定圧力(所定押圧)で挟持される。
【0241】
圧力(押圧)はバネ236を変更することにより容易に調整できる。また、固定ネジ224bの締め付け度合により圧力(押圧)を調整あるいは設定できる。ヒートパイプ金具231と接続保持部233は1つ以上の固定ネジ224aで固定される。
【0242】
接続圧力部232と接続保持部233間には、接続受け部225が配置されている。接続受け部225の構成材料あるいは少なくとも表面材料として、白金、金、銀、タングステン、銅、ニッケル、モリブデン、または、それらを組合せた合金が用いられる。
【0243】
同様に、接続保持部233が素子端子226と接する面には、表面の構成材料として、白金、金、銀、タングステン、銅、ニッケル、モリブデン、またはそれらを組合せた合金が用いられる。
【0244】
接続保持部233はヒートパイプ金具231に固定ネジ224aで固定されている。接続圧力部232は接続保持部233に固定ネジ224bで固定される。ヒートパイプ金具231の左端には接続配線211が固定ネジ221で固定される。
図15(a)、図15(d)は、接続保持部233、接続受け部225、接続圧力部232の組合せ状態を説明する説明図である。
【0245】
接続保持部233は、ネジ穴238a1、ネジ穴238a2に挿入されたネジ224a(図示せず)により、ヒートパイプ223とヒートパイプ金具231とを接続して固定される。ヒートパイプ223とヒートパイプ金具231は熱伝導性、電気伝導性が良好となるように密着されて接続して固定される。また、接続保持部233は、ネジ穴238b1、ネジ穴238b2に挿入されたネジ224b(図示せず)により、接続圧力部232と接続して固定される。
【0246】
接続受け部225は、両端に凸部251が形成され、接続圧力部232は両端に溝部252が形成されている。接続受け部225の凸部251は、接続圧力部232の溝部252に、はめ込まれる。接続受け部225の凸部251と、接続圧力部232の溝部252とは電気的に接触するように構成されている。
【0247】
素子端子226と接続受け部225は接触性を良好にするため、図15(c)に図示するように、接続受け部225の表面に三角形状等の凹凸を形成することが好ましい。
図15の構成は、接続圧力部232の平面と接続保持部233の平面間に素子端子226を挟持させる構成である。
【0248】
図16は、押圧具取付け板313と接続保持部233間に素子端子226を挟持させる構成である。押圧具取付け板313には押圧具311a、押圧具311bが取付けられている。押圧具311は、たとえば、金属からなる板バネが例示される。なお、押圧具311は、シリコン樹脂材料等の非導電物で形成してもよい。押圧具取付け板313に押圧具311がはめ込まれている。
【0249】
押圧具311と接続保持部233の平面間に素子端子226が挟持される。押圧具311の押圧により、素子端子226と接続保持部233とが電気的に接続される。
【0250】
図15(a)の実施例では、バネ(圧力金具)236は接点部225のバネ穴239に挿入されていた。バネ(圧力金具)236、接点部225、接続圧力部232が導電材料で構成されている場合、素子端子226 -> 接点部225 -> バネ(圧力金具)236 -> 接続圧力部232に電気が流れる場合がある。この場合、バネ(圧力金具)236の抵抗値が大きい場合、バネ(圧力金具)236に電流が流れ、バネが発熱して焼損する。
【0251】
図16の本発明の実施例では、バネ穴239は、絶縁板312に形成されている。押圧具311が素子端子226と接触し、バネ236が押圧具取付け板313を押圧する。押圧具取付け板313の上側には絶縁板312が配置され、押圧具取付け板313とバネ236間を絶縁する。絶縁板312にバネ穴239が形成され、バネ穴239にバネ236が挿入されている。他の構成は、図13と同様であるので説明を省略する。絶縁板312は絶縁フィルム、絶縁膜もしくは空気などの絶縁気体等であってもよい。
【0252】
図16(b)は、押圧具取付け板313部を側面から見た図である。押圧具取付け板313に押圧具311a、押圧具311bが配置、挿入されている。図16(c)は、図16(b)のA方向から見た図である。
【0253】
絶縁板312は絶縁物で構成されているため、押圧具取付け板313が金属のように導電物であっても、バネ(圧力金具)236には電流が流れない。したがって、素子端子226 -> 接点部225 -> バネ(圧力金具)236 -> 接続圧力部232の電流経路は発生しない。
【0254】
図16(a)の実施例は、絶縁板312で絶縁する構成であった。本発明における絶縁効果は、図16(a)のように、絶縁板312を用いる構成に限定されない。たとえば、図16(d)に図示する構成が例示される。
【0255】
図16(d)は、接続圧力部232のネジ穴238bの周囲に樹脂材料等で構成した絶縁部315を配置した構成である。ネジ穴238bの周囲が絶縁部315で絶縁されているため、固定ネジ224bには電流が流れない。したがって、素子端子226 -> 接点部225 -> バネ(圧力金具)236 -> 接続圧力部232の電流経路は発生せず、バネ(圧力金具)236が焼損することはない。
以上のように、本発明は押圧を印加するバネ236側に、絶縁板312を配置し、電流が押圧具取付け板313、接点部225側に流れないように構成する。
【0256】
電流が流れると、バネ236等の押圧部品、固定ネジ224bに流れ、バネ236、固定ネジ224bが焼損する。素子端子226には、バネ236等の高抵抗部が少ない接続保持部233側を介して試験電流を供給する。
【0257】
図17図18は本発明の第1の実施例における半導体素子の試験方法の説明図である。また、図23は、本発明の半導体素子の試験方法を説明するタイミングチャート図である。試験する半導体素子117は、図28(a)、図28(b)を例示するが、これに限定するものではない。
また、半導体素子117として、図29に図示するように、3個以上のトランジスタが1つのパッケージとして構成されたものも例示される。
【0258】
図29は、三相モータ229を回転させるインバータである。半導体素子117内の6個のトランジスタで、三相交流を発生させる。インバータは、電車に使われているような、三相モータを回転させるために使用される。
【0259】
モータ229のUVW相に印加する波形を図30に図示する。UVW相はアナログ波形であるが、このアナログ波形は、図31に図示するように、半導体素子117内のトランジスタ117を、高速にONとOFFを繰り返し、ONする時間とOFFする時間の割合を変化させることで、擬似的にアナログ波形にする。
【0260】
ON、OFFする周期が一定のまま、ONする時間とOFFする時間の割合を変化させて擬似的なアナログ信号を得る制御法を、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)といい、ONする時間とOFFする時間の割合のことをデューティー(Duty)比と言う。
【0261】
スイッチには、FETやIGBTが使われ、ONかOFFかのはっきりした駆動がされるため、素子による電力消費がほとんどなくなります。120°ずれた正弦波のPWMをそれぞれに使うと、三相交流を得られる。三相インバータの場合はスイッチとしてのトランジスタが6個、必要になります。
図31(a)はU相駆動パルスであり、図31(b)はV相駆動パルスであり、図31(c)はW相駆動パルスである。各パルスは位相が120°ずれている。
【0262】
図29に図示するインバータ回路を構成する半導体素子117を半導体素子117a、半導体素子117b、半導体素子117cとして試験を実施すればよい。また、インバータとしての試験であるため、図31のPWM波形となるように、半導体素子117a、半導体素子117b、半導体素子117cを駆動する。したがって、半導体素子117a、半導体素子117b、半導体素子117cの駆動は同一である。ただし、実使用状態では、位相は120°異なる。
【0263】
以下の実施例として、半導体素子117はトランジスタ117として説明をする。図17図18図20図21において、トランジスタ117が図29のトランジスタ117a、トランジスタ117b、トランジスタ117cが対応する。
【0264】
図23に図示するように、トランジスタ117のゲート端子gにゲート駆動信号Vsgがオン時間tonの間、印加される。オン時間の周期は、tcである。本発明の半導体素子試験装置は、ton時間、tc時間は、任意に設定することができる。tc時間におけるton時間を長くするとトランジスタ117に電流Idが流れる期間が長くなり、Tjの変化が速くなる。
【0265】
図23図1において、Ssaはスイッチ回路124aが該当する。Ssbはスイッチ回路124bが該当する。Sscはスイッチ回路124cが該当する。Ssdはスイッチ回路124dが該当する。電流Idはトランジスタ117sまたはトランジスタ117mのチャンネルを流れる電流であり、図23におけるStとは、図3図4に図示するダイオードDi、Dsに定電流を印加し、ダイオードの端子間電圧を測定するタイミング信号tgを示す。
【0266】
ton時間の開始前に、スイッチ回路124a(スイッチ回路Ssa)がオンする(オン期間ta)。また、ton時間の終了前にスイッチ回路Ssaがオンする(オン時間tb)。スイッチ回路Ssaがオンすることにより、電源装置132の出力端子間が短絡され、トランジスタ117のチャンネル間に電荷が放電される。
【0267】
オン期間taの前、オン時間tbの後に、St信号のオンレベル(tg)となり、トランジスタ117のダイオードに定電流が印加されて、ダイオードの端子電圧が測定され、温度情報Tjを取得する。
スイッチ回路Ssaがオンすることにより、電源装置132の端子間の電荷は放電され、また、トランジスタ117のチャンネル間に電荷は放電される。
【0268】
図23の実施例におけるタイミングチャートでは、スイッチ回路Ssaのtb期間後に、St信号がtg期間オンする。tg期間にダイオードに定電流を印加する。tg期間で温度情報Tjを得る。
【0269】
温度情報Tjは、スイッチ回路Ssaのta期間前にも取得し、スイッチ回路Ssaのtb期間後にも取得することが好ましい。スイッチ回路Ssaのta期間前に取得する温度情報Tjaは、トランジスタ117に電流印加前の温度情報Tjである。スイッチ回路Ssaのtb期間後に取得する温度情報Tjbは、トランジスタ117に電流印加の直後に取得する温度情報Tjである。
【0270】
温度情報Tjは、トランジスタ117に電流印加の直後に取得する温度情報Tjbを採用するが、トランジスタ117に電流印加前の温度情報Tjaと比較することにより、温度情報Tjが良好に取得できているかを判断あるいは評価できる。温度情報Tjaと温度情報Tjbが近似していると、温度情報Tjbが良好に取得できていない場合がある。温度情報Tjaと温度情報Tjbの両方を取得することにより、温度情報Tjの精度が向上する。
【0271】
図23のSt信号のタイミングは、図28(a)、図28(b)のトランジスタ117の構成の場合に実施される。図28(c)のトランジスタ117の構成の場合は、ダイオードDsがトランジスタの端子と独立しているため、ダイオードDsに定電流を印加するタイミングに制約がない。
【0272】
図27は、温度情報Tjを取得するタイミングを説明するタイミングチャート図である。図27において、St1信号は、図28(a)、図28(b)のトランジスタ117を試験する時の温度情報Tjを取得するタイミングである。トランジスタ117の2端子(コレクタ端子、エミッタ端子)に温度情報Tjを取得するダイオードDi(ダイオードDis、ダイオードDim)が接続されている。トランジスタ117の2端子にダイオードDiが接続されているため、トランジスタ117のチャンネル間に電流Idが流れていない期間に、ダイオードDiに定電流を印加し、温度情報Tjを取得する必要がある。
【0273】
したがって、図27のSt1のタイミングのように、チャンネル電流Idが流れていない期間かつ、電流Idが流れる前後にタイミングtg1、tg2でSt1信号をオンさせて温度情報Tjを取得する。
【0274】
図27において、St2信号は、図28(c)のトランジスタ117を試験する時の温度情報Tjを取得するタイミングである。トランジスタ117の2端子(ゲート端子、コレクタ端子、エミッタ端子)と独立した温度情報Tjを取得するダイオードD(ダイオードDs、ダイオードDm)が接続されている。ダイオードDは、トランジスタ117の3端子から独立(別端子)しているため、ダイオードDには、トランジスタ117に電流Idが流れている期間に関わらず、定電流Ic(定電流Ics、定電流Icm)を印加することができる。
トランジスタ117のチャンネル間に電流Idが流れている期間であっても、ダイオードDに定電流Icを印加し、温度情報Tjを取得できる。
【0275】
したがって、図27のSt2のタイミングのように、チャンネル電流Idが流れている期間tg2でSt2信号をオンさせて温度情報Tjを取得することができる。
【0276】
図26は、図1等における本発明の半導体素子の試験方法を説明するタイミングチャート図である。Vgsは試験をするトランジスタ117のゲート端子gに印加するゲート駆動信号Vsgである。
【0277】
ゲート端子gに印加するVsg信号の立ち上がり前から、スイッチ回路Ssaをオンさせる。オンさせることにより、電源装置132の出力端子間を短絡する。また、Vsg信号の立下り後もスイッチ回路Ssaはオン状態を継続させる。つまり、ゲート端子gに印加するオン電圧の前後には、スイッチ回路Ssaをオンさせて、トランジスタ117のチャンネル間を短絡して電荷を放電させる。
【0278】
また、スイッチ回路Ssaがオンしている期間に、スイッチ回路Ssbをオンさせて、トランジスタ117の1端子に電源装置132が出力する電流(電圧)を印加する。したがって、スイッチ回路Ssaがオフすると、トランジスタ117のチャンネル間に電流Idが流れる。電流Idが流れることにより、トランジスタ117のチャンネル間電圧Vceが変化する。
【0279】
電流Idが流れることにより、トランジスタ117は発熱し、温度情報Tjが上昇する。温度情報Tjは温度を検出するダイオードに定電流を流すことにより、取得する。
以上の実施例では、スイッチ回路Ssaとオンさせて、電荷を放電させるとした。電荷の放電に関して、本発明は他の方法も実施することができる。
【0280】
図24は、図1の試験回路構成において、電源装置132の端子間の短絡(電荷の放電等)、試験をするトランジスタ117のチャンネル間の放電、トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)の動作の説明図である。
【0281】
図24(a)は、電荷の放電(電源装置132の短絡等)においてスイッチ回路Ssc、スイッチ回路Ssdはオフ状態で使用した実施例である。電荷の放電は、スイッチ回路Ssaで実施する。スイッチ回路Ssbをオン(Von)させた時に、トランジスタ117のチャンネル電流が流れる。図24(a)では、トランジスタ117sとトランジスタ117mに、同一タイミングでゲートオン電圧Vsgが印加されている。したがって、トランジスタ117sのcs端子からトランジスタ117mのem端子に電流が流れ、トランジスタ117が試験される。
【0282】
図24(b)は、電荷の放電(電源装置132の短絡等)においてスイッチ回路Ssaはオフ状態で使用した実施例である。電荷の放電は、スイッチ回路Sscとスイッチ回路Ssdで実施する。
【0283】
スイッチ回路Sscとスイッチ回路Ssdとが同時にオンすることにより、電源装置132の端子間等が短絡し、電荷を放電させることができる。スイッチ回路Ssbをオン(Von)させた時に、トランジスタ117のチャンネル電流が流れる。
【0284】
図24(b)では、トランジスタ117sとトランジスタ117mに、同一タイミングでゲートオン電圧Vsgが印加されている。したがって、トランジスタ117sのcs端子からトランジスタ117mのem端子に電流が流れ、トランジスタ117が試験される。
【0285】
図25は、本発明の図1等の半導体素子試験装置において、トランジスタ117m、トランジスタ117sの試験方法を説明するタイミングチャート図である。図25では、スイッチ回路Ssaは常時オフ状態である。したがって、スイッチ回路Ssaは省略することができる。以上の事項は、図24(b)においても同様である。
【0286】
図25(a)において、スイッチ回路Sscとスイッチ回路Ssdは同一信号波形で、同一タイミングでオンオフ動作する。スイッチ回路Ssc、スイッチ回路Ssdがオンした時に、電源装置132の出力端子が短絡される。スイッチ回路Ssbがオン状態で、スイッチ回路Sscがオフ状態で、トランジスタ117のゲート端子gにオン電圧が印加された際に、トランジスタ117のチャンネル間に電流が流れる。
【0287】
図25(a)では、トランジスタ117sとトランジスタ117mのゲート端子gに駆動信号Vsgが同時に印加されているため、トランジスタ117sとトランジスタ117mに貫通電流Idが流れ、トランジスタ117を試験することができる。
【0288】
図25(b)、図25(c)において、スイッチ回路Ssaは常時オフ(0V)状態である。したがって、半導体素子試験装置の回路構成として、スイッチ回路Ssaは省略可能である。
【0289】
図25(b)において、スイッチ回路Sscとスイッチ回路Ssdの両方がオン(Von)している時に、電源装置132の出力が短絡される。スイッチ回路Ssbがオン(Von)し、スイッチ回路Sscがオフ(0V)であり、トランジスタ117sのゲート端子gにオン電圧が印加されると、トランジスタ117sのチャンネル間に電流が流れ、トランジスタ117sが通電試験される。
【0290】
図25(c)において、スイッチ回路Sscとスイッチ回路Ssdの両方がオン(Von)している時に、電源装置132の出力が短絡される。スイッチ回路Ssaは常時オフ(0V)状態である。したがって、半導体素子試験装置の回路構成として、スイッチ回路Ssaは省略可能である。また、スイッチ回路Ssbは常時オフ(0V)状態である。したがって、半導体素子試験装置の回路構成として、スイッチ回路Ssbは省略可能である。
【0291】
スイッチ回路Ssbとスイッチ回路Ssdの両方がオフ(0V)の時に、トランジスタ117bのゲート端子gにオン電圧が印加されると、トランジスタ117mのチャンネル間に電流が流れ、トランジスタ117mが通電試験される。
【0292】
以上のように、図25のタイミング信号により、トランジスタ117sとトランジスタ117mの同時オン試験、トランジスタ117sをオフしトランジスタ117mのオンさせる試験、トランジスタ117sをオンしトランジスタ117mのオフさせる試験を実施することができる。
【0293】
半導体素子の試験を開始時に、半導体素子が試験回路と電気的接続がとれているかを確認することが重要である。電気的接続がとれていない場合、電気的接続が不十分な場合、試験をする半導体素子が破壊する。
【0294】
たとえば、試験をするトランジスタ117のゲート端子gが接続されておらず、フローティング状態で、エミッタ端子eとコレクタ端子cに電圧が印加されるとトランジスタ117が破壊する場合がある。また、エミッタ端子e等の高電流が流れる端子との接続が不十分で抵抗を有する場合、高電流が流れることにより発熱し、トランジスタ117が熱で過熱し破壊する場合がある。以上ことから、試験を開始する場合に、接続確認を行ってから試験を開始する必要がある。
【0295】
図23は、以上の課題に対応する本発明の半導体素子の試験方法の説明図である。本発明は試験開始時に、電源装置132から小さい電流Iaを印加し、この電流Iaの状態を検出することにより試験をする半導体素子の接続確認を行うことを特徴とする。
【0296】
電流Iaの検出は、たとえば、図1図6図19に図示するように、電流経路に電流センサ129を配置し、クランプメータ128で測定または検出もしくは評価する。なお、電流検出は電流センサ129による方法に限定されるものではない。たとえば、電源配線212に検出抵抗を挿入し、検出抵抗間に発生する電圧値で検出あるいは測定する構成、トランジスタ117に流れる電流により発生する電磁波を検出あるいは測定する構成、電源装置132内に配置された電流計により検出あるいは測定する構成、トランジスタ117のゲート端子g電圧の変化により検出する構成等、多種多様な方法が例示される。本実施例では、電流センサ129により検出する方法を例示して説明をする。
【0297】
たとえば、試験時の電流IdをIbとし、Ib=100(A)とすれば、Iaは1(A)である。トランジスタ117のゲート端子gにオン電圧を印加し、電流Iaが流れる経路に電流が流れていることを検出できれば、トランジスタ117の接続ができていることを把握することができる。電流Iaが検出できない、あるいは不安定、あるいは所定値Iaより小さいなどのことが検出できれば、トランジスタ117が接続できていない、あるいは接続不良の可能性があることを検出できる。
【0298】
電流Iaの検出時間は少なくとも、1サイクルtc期間の間、実施する。トランジスタ117が正常あるいはトランジスタ117の電気的接続が正常と確認された後、通常のサイクル試験を実施する。正常でない場合、通常のサイクル試験には移行せず、停止する。
【0299】
本発明の実施例では、トランジスタ117に流れるチェンネル電流Iaを検出するとしたが、図26に図示するように、チャンネル間電圧Vce、温度情報Tj等の変化あるいは変化割合を検出あるいは測定することによっても、トランジスタ等の試験サンプルの接続状態を把握し、通常のサイクル試験に移行するかを判定、評価等してもよい。
【0300】
図26において、ゲート駆動信号Vsgがオン電圧Vgとなることにより、トランジスタ117がオンする。トランジスタ117がオンすることにより、チャンネル電流Idが流れ始める。同時に、トランジスタ117のチャンネル間電圧Vceが変化し、また、温度情報Tjも変化を開始する。
【0301】
トランジスタ117にオン電圧Vgが印加された時点をt0とし、t1時間を経過した時点の変化量を検出あるいは測定する。t1の時点で、電流Idは、Ibとなり、VceがVbとなり、TjがTbになったとする。Ib、Vb、Tbが所定の値を超えたときに、接続状態が正常と判断する。また、t0からt1までに経過した時の変化割合であるd1、d2、d3が所定の値を超えたときに、接続状態が正常と判断する。
【0302】
なお、測定あるいは判断の開始の時刻t0は、ゲート駆動信号Vsgの開始時刻に限定するものではない。たとえば、t0から所定期間経過した時刻を原点としてもよい。
本発明の一実施例は、微小電流(1A程度)を流し、1回のみのパワーサイクル試験を行う。その時に流れる実電流をモニターし判定を行う。
【0303】
また、開始1Cycle目はId=1Aで試験実施し、本1サイクル目は試験回数にはカウントせず0回目とする。1サイクル目は下限監視も既定の値で強制的に有効として、異常(接続不良)を検出する。2サイクル目から設定条件で試験を実施する。
【0304】
また、各々の下限値を設定し試験を開始し、温度測定値(温度情報)が、設定下限値を超えた後の温度を監視する。たとえば、10サイクル目の温度変動が1℃以内になった事をモニターし、その時点で下限監視を開始させる。
【0305】
図23は、図1図3図4等において、トランジスタ117の接続状態を検出し、通常のサイクル試験に移行する半導体素子試験装置および半導体素子の試験方法の説明図である。なお、温度情報Tjを取得する期間tgは取得タイミングを自由に設定できように構成されている。
【0306】
開始時のtc1期間では、電源装置132は、電流Iaを出力する。スイッチ回路Ssbがtf期間の間オンし、スイッチ回路Ssdがオンする。また、トランジスタ117sのゲート端子gsにオン電圧が印加され、トランジスタ117mのゲート端子gにはオフ電圧が印加される。
【0307】
したがって、トランジスタ117sの接続状態が正常であれば、トランジスタ117sに電流Iaが流れる。電流Iaを検出できれば、次のtc2期間に移行し、電源装置132は試験電流Idを出力し、通常の試験モードに移行する。電流Iaを検出できない場合、正常値でない場合は、通常の試験モードへの移行は停止する。トランジスタ117sの接続状態を確認あるいは検出するtc1期間は複数のサイクル期間を行ってもよいことは言うまでもない。また、図26で説明したように、Ib、Vb,Tb、d1、d2、d3の大きさあるいは変化を検出あるいは測定して、tc2のサイクルに移行するかを判断してもよいことは言うまでもない。
【0308】
tc3期間では、電源装置132は、電流Iaを出力する。スイッチ回路Ssbはオフし、スイッチ回路Ssdがオフし、スイッチ回路Sscがオンする。また、トランジスタ117mのゲート端子gsにオン電圧が印加され、トランジスタ117sのゲート端子gにはオフ電圧が印加される。
【0309】
したがって、トランジスタ117mの接続状態が正常であれば、トランジスタ117mに電流Iaが流れる。電流Iaを検出できれば、次のtc4期間に移行し、電源装置132は試験電流Idを出力し、通常の試験モードに移行する。電流Iaを検出できない場合、正常値でない場合は、通常の試験モードへの移行は停止する。トランジスタ117mの接続状態を確認あるいは検出するtc1期間は複数のサイクル期間を行ってもよいことは言うまでもない。また、図26で説明したように、Ib、Vb,Tb、d1、d2、d3の大きさあるいは変化を検出あるいは測定して、tc4のサイクルに移行するかを判断してもよいことは言うまでもない。
【0310】
以上の事項は、図19等の本発明の他の半導体素子試験装置、半導体素子の試験方法にも適用できることは言うまでもない。また、本発明の他の実施例と組み合わせることができることも言うまでもない。
【0311】
図17において、スイッチ回路124aがオンすることにより、電源装置132の出力が短絡され、電源装置132が出力する電流Idは、電流Imとしてグランドに流れる。あるいは、スイッチ回路124bがオンすることにより、電源装置132の端子間に充電されている電荷が放電される。
電流Imを流すことにより、電源装置132の端子間電圧が0(V)となり、試験をするトランジスタ117が試験以外の駆動により破壊することがない。
【0312】
スイッチ回路124c、スイッチ回路124dが同時にオンすることによっても、電流Imが流れて、電源装置132の出力が短絡され、電源装置132の電荷等が放電される。
【0313】
スイッチ回路124cとスイッチ回路124dがオンになるタイミングをずらすことも有効である。たとえば、スイッチ回路124cがスイッチ回路124dより先にオンすることによりトランジスタ117sのチャンネル間が短絡する。
【0314】
次に、スイッチ回路124dがオンすることによりトランジスタ117mのチャンネル間が短絡する。あるいは、スイッチ回路124dがスイッチ回路124cより先にオンすることによりトランジスタ117mのチャンネル間が短絡する。次に、スイッチ回路124cがオンすることによりトランジスタ117sのチャンネル間が短絡する。
以上のように、順番に、スイッチ回路124をオンさせることより、半導体素子117に発生するサージ電圧等の発生を、より抑制することができる。
【0315】
以上の事項は、図3図4図19図20図21等の他の実施例においても同様に適用できることは言うまでもない。また、本明細書で説明する他の実施例あるいは類似の動作、構成と組み合わせること、あるいは適用できることは言うまでもない。
フォークプラグ205は、隔壁214の開口部216から挿入され、スイッチ回路基板201と電気的に接続される。
【0316】
スイッチ回路124aをオフ(オープン)後に、スイッチ回路124bをオン(クローズ)させる。一方、電源装置132のスイッチ回路122aとオンし、スイッチ回路122bはオフすることにより、電流電源121aからの順方向の定電流Idが出力されるように制御する。
【0317】
図17(a)に図示するように、トランジスタ117sのゲート端子gsのオン電圧が印加され、トランジスタ117mのゲート端子gmにオフ電圧が印加される。スイッチ回路124dはオンし、スイッチ回路124cはオフに制御される。スイッチ回路124c、スイッチ回路124dはコントローラ111で制御される。
【0318】
なお、図17図18図20図21において、トランジスタ117s、トランジスタ117mのオンオフ制御は、図31のPWM波形となるように実施する。
スイッチ回路124aがオンすることにより、電源装置132が出力する電流Idがトランジスタ117sに供給される。
【0319】
図17(a)に図示するように、順方向の電流Idは、電源装置132a -> スイッチ回路124b -> トランジスタ117s -> スイッチ回路124d -> 電源装置132aに流れる。
【0320】
次に、図17(b)に図示するように、電源装置132のスイッチ回路122aとオフし、スイッチ回路122bはオンすることにより、電流電源121bからの逆方向の定電流Idが出力されるように制御する。
【0321】
図17(b)に図示するように、逆方向の電流Idは、電源装置132b -> スイッチ回路124d -> ダイオードDis -> スイッチ回路124b -> 電源装置132bに流れる。
以上の図17の動作により、トランジスタ117s(ダイオードDis)の試験が実施される。
【0322】
次に、図18に図示するように、トランジスタ117sのゲート端子gsにオフ電圧を印加し、トランジスタ117mのゲート端子gmにオン電圧を印加する。また、スイッチ回路124cをオンさせ、スイッチ回路124dをオフにする。
【0323】
図18(c)に図示するように、電源装置132のスイッチ回路122aとオンし、スイッチ回路122bはオフすることにより、電流電源121aからの順方向の定電流Idが出力されるように制御する。
【0324】
図18(c)に図示するように、順方向の電流Idは、電源装置132a -> スイッチ回路124c -> トランジスタ117m -> 電源装置132aに流れる。
【0325】
図18(d)に図示するように、電源装置132のスイッチ回路122aとオフし、スイッチ回路122bはオンすることにより、電流電源121bからの逆方向の定電流Idが出力されるように制御する。
【0326】
図18(d)に図示するように、逆方向の電流Idは、電源装置132b -> スイッチ回路124c -> ダイオードDim -> 電源装置132bに流れる。
以上の図18の動作により、トランジスタ117m(ダイオードDim)の試験が実施される。
【0327】
図17(a)、図17(b)、図18(a)、図18(b)の制御は、図31のPWM波形となるように実施することにより、実動作に適合した試験を実施することができる。また、図29のトランジスタ117a、トランジスタ117b、トランジスタ117cを図17図18の本発明の半導体素子の試験方法を120°の位相を異ならせて実施することにより、UVWの交流駆動に適合した試験を実現することができる。
【0328】
本発明の半導体素子試験装置は、図1に図示する短絡回路137を動作させることにより、同時にトランジスタ117sとトランジスタ117mに電流Idを流し、試験を行うことができる。この場合、スイッチ回路124c、スイッチ回路124dをオフするか、フォークプラグ205hを導体板204fから切り離す。
【0329】
トランジスタ117sの短絡回路137sをオンさせることにより、トランジスタ117sはダイオード接続される。したがって、トランジスタ117mのゲート端子gmのオン電圧を印加することにより、試験電流Idがトランジスタ117s、トランジスタ117mに流れる。したがって、トランジスタ117mのゲート端子gmにオンオフ信号を印加させることにより、トランジスタ117を試験することができる。
【0330】
また、トランジスタ117mの短絡回路137mをオンさせることにより、トランジスタ117mはダイオード接続される。したがって、トランジスタ117sのゲート端子gsのオン電圧を印加することにより、試験電流Idがトランジスタ117s、トランジスタ117mに流れる。したがって、トランジスタ117sのゲート端子gsにオンオフ信号を印加させることにより、トランジスタ117を試験することができる。
【0331】
トランジスタ117にId電流を通電していない期間に、図3で説明したように、ダイオードDisまたはダイオードDimに定電流Icmまたは定電流Icsを供給することにより、温度情報Tjを取得し、トランジスタ117の劣化あるいは変化をモニターする。温度情報Tjの変化割合、変化量から、トランジスタ117の試験の停止、あるいは動作を制御する。
【0332】
以上の事項は、図19図20図21等の他の実施例においても同様に適用できることは言うまでもない。また、本明細書で説明する他の実施例あるいは類似の動作、構成と組み合わせること、あるいは適用できることは言うまでもない。
【0333】
図19は、本発明の第2の実施例における半導体素子試験装置の構成図及び説明図である。図1との差異は、電源装置132内に順方向の定電流を出力する電流電源121があり、逆方向の定電流を出力する電流電源121がない点である。また、スイッチ回路124g、スイッチ回路124h、スイッチ回路124e、スイッチ回路124fが追加されている点である。
【0334】
スイッチ回路124c、スイッチ回路124d、スイッチ回路124e、スイッチ回路124f、スイッチ回路124g、スイッチ回路124hはコントローラ111で制御される。
他の構成、あるいは動作は、図1と同様あるいは類似であるので説明は省略する。
図20図21は、図19の本発明の半導体素子試験装置における半導体素子の試験方法を説明する説明図である。
図20では、トランジスタ117sのゲート端子gsにはオン電圧が印加され、トランジスタ117mのゲート端子gmにはオフ電圧が印加される。
【0335】
図20(a)に図示するように、スイッチ回路124g、スイッチ回路124b、スイッチ回路124d、スイッチ回路124hはオンされる。スイッチ回路124a、スイッチ回路124c、スイッチ回路124eはオフにされる。
【0336】
図20(a)に図示するように、電流Idは、電源装置132 -> スイッチ回路124g -> トランジスタ117s -> スイッチ回路124d-> スイッチ回路124h -> 電源装置132に流れる。
【0337】
次に、図20(b)に図示するように、スイッチ回路124b、スイッチ回路124d、スイッチ回路124e、スイッチ回路124fはオンされる。スイッチ回路124c、スイッチ回路124g、スイッチ回路124hはオフにされる。
【0338】
図20(b)に図示するように、電流Idは、電源装置132 -> スイッチ回路124e -> スイッチ回路124d -> ダイオードDis -> スイッチ回路124b -> スイッチ回路124g -> 電源装置132に流れる。
次に、図21に図示するように、トランジスタ117sのゲート端子gsにオフ電圧を印加し、トランジスタ117mのゲート端子gmにオン電圧を印加する。
【0339】
図21(c)に図示するように、スイッチ回路124g、スイッチ回路124c、スイッチ回路124hはオンされる。スイッチ回路124b、スイッチ回路124d、スイッチ回路124e、スイッチ回路124fはオフにされる。
【0340】
図21(c)に図示するように、電流Idは、電源装置132 -> スイッチ回路124g -> スイッチ回路124c -> トランジスタ117m -> スイッチ回路124h-> 電源装置132に流れる。
【0341】
次に、図21(d)に図示するように、スイッチ回路124c、スイッチ回路124e、スイッチ回路124はオンされる。スイッチ回路124b、スイッチ回路124g、スイッチ回路124d、スイッチ回路124hはオフにされる。
【0342】
図21(d)に図示するように、電流Idは、電源装置132 -> スイッチ回路124e -> ダイオードDim -> スイッチ回路124c -> スイッチ回路124f -> 電源装置132に流れる。
【0343】
図19図20図21では、電源装置132は、1個の電流電源121で、図1図17図18での、順方向の定電流と逆方向の定電流を実現できる。したがって、電源装置132のコストを低減することができる。
【0344】
本発明の実施例において、図1図3図4図19等のように、トランジスタ117mとトランジスタ117sとを直列に接続した半導体素子を試験するとしたが、これに限定するものではない。たとえば、1個のトランジスタ117を電源装置132に接続して試験を行うものであってもよいことは言うまでもない。
本明細書及び図面に記載した事項あるいは内容は、相互に組み合わせることができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0345】
本発明は、インバータ回路等の回路動作に適合でき、トランジスタ等の半導体素子の試験内容、半導体素子の同時試験数に応じて、容易に接続変更できる半導体素子試験装置及び半導体試験方法、また、試験とする半導体素子等の接続確認を行ってから、試験電流を印加するため、試験をする半導体素子等を破壊することなく試験を実施することができる。
【符号の説明】
【0346】
111 コントロール回路基板(コントローラ)
112 ゲート信号制御回路
113 ゲートドライバ回路
115 温度測定回路
116 電圧検出回路
117 パワートランジスタ
118 定電流回路
121 電流電源
122 スイッチ回路
124 スイッチ回路
125 可変抵抗回路
126 ドライブ可変回路
127 ドライブ素子回路
128 クランプメータ
129 電流センサ
131 制御ラック
132 電源装置
133 制御回路
134 加熱冷却プレート
135 循環水パイプ
136 チラー
137 短絡回路
201 スイッチ回路基板
202 コネクタ
203 サンプル接続回路
204 導体板
205 フォークプラグ
206 接続ピン
207 マザー基板
208 コネクタ
209 デバイス制御回路基板
210 筐体
211 接続配線
212 電源配線
213 コネクタ
214 隔壁
215 隔壁
216 開口部
219 接続ボルト
220 接触部
221 固定ネジ
222 信号配線
223 ヒートパイプ
224 固定ネジ
225 接点部
226 素子端子
227 冷却ファン
228 放熱フィン
229 モータ
231 ヒートパイプ金具
232 接続圧力部
233 接続保持部
236 バネ(圧力金具)
237 位置固定ネジ
238 ネジ穴
239 バネ穴
240 位置決めネジ穴
251 凸部
252 溝部
302 電圧選択回路
311 押圧具
312 絶縁板
313 押圧具取付け板
315 絶縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図20
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