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特開2022-53531ステータの巻線の導電性セグメントを位置決めするための装置
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  • 特開-ステータの巻線の導電性セグメントを位置決めするための装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053531
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】ステータの巻線の導電性セグメントを位置決めするための装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/04 20060101AFI20220329BHJP
   H02K 15/085 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
H02K15/04 F
H02K15/085
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021154661
(22)【出願日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】20198239.4
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521416487
【氏名又は名称】ヴァレオ、エレクトリック、アンド、エレクトロニック、システムズ、エスピー.ゼット、オー.オー.
【氏名又は名称原語表記】VALEO ELECTRIC AND ELECTRONIC SYSTEMS SP. Z O.O.
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル、チュク
(72)【発明者】
【氏名】ウォイチェフ、マンドック
(72)【発明者】
【氏名】ミロスロー、スクルジップザーク
(72)【発明者】
【氏名】マルチン、ツェブラウスキ
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP13
5H615QQ03
5H615QQ06
5H615QQ12
5H615QQ25
5H615QQ27
5H615SS09
5H615SS10
5H615SS16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ステータの巻線のセグメントの2つの端部を互いに近接した位置に確保する装置を提供する。
【解決手段】回転電気機械のステータの巻線5の導電性セグメントを位置決めするための装置1は、回転軸を中心にして配置された少なくとも1つのカムを有する少なくとも1つの回転リングを備える。回転リングは、導電性セグメントの位置を確保するように少なくとも2つの一連のフィンガ6、7、8を径方向に運動させるように配置され、第1の一連のフィンガ6のフィンガおよび第2の一連のフィンガ7のフィンガが、一対のセグメントの2つの導電性セグメントを互いに押し付けるよう構成されるように、2つの一連のフィンガは、互いに反対方向に運動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電気機械のステータ(19)の巻線(5)の導電性セグメントを位置決めするための装置(1)であって、
回転軸(100)を中心にして配置された少なくとも1つのカム(201;202;301)を有する少なくとも1つの回転リング(2;3)を備え、
前記回転リング(2;3)は、前記導電性セグメントの位置を確保するように少なくとも2つの一連のフィンガ(6;7;8)を径方向に運動させるように配置され、
第1の一連のフィンガ(6)のフィンガおよび第2の一連のフィンガ(7)のフィンガが、一対のセグメント(51;52)の2つの導電性セグメントを互いに押すよう構成されるように、2つの前記一連のフィンガ(6;7;8)は、互いに反対方向に運動する、
装置。
【請求項2】
前記装置(1)は、第1回転リング(2)と、第2回転リング(3)と、を備え、
前記第1回転リング(2)は、第1の一連のフィンガ(6)および第2の一連のフィンガ(7)の両方を径方向に運動させるように構成され、
前記第2回転リング(3)は、第3の一連のフィンガ(8)を径方向に運動させるように構成される、
請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記第3の一連のフィンガ(8)は、各対のセグメント(51;52)を径方向に整列させるように構成される、
請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記第3の一連のフィンガ(8)の各フィンガは、肩部(809)を有し、
前記肩部は、一対のセグメント(51;52)の2つの導電性セグメントの互いに対する押し付けに関与するように構成される、
請求項2または3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記第1の一連のフィンガ(6)の各フィンガおよび前記第2の一連のフィンガ(7)の各フィンガは、複数の横方向凸部(603;703;604)を有する、
請求項1~4のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項6】
前記第1回転リング(2)は、前記第1の一連のフィンガ(6)の各フィンガと協働するように構成された第1カム(201)と、前記第2の一連のフィンガ(7)の各フィンガと協働するように構成された第2カム(202)と、を有する、
請求項1~5のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項7】
前記第1カム(201)および前記第2カム(202)は、波形状を持つ円形状であって同心円形状を有する、
請求項6に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記第1カム(201)と前記第2カム(202)とは、角度的に互いにオフセットしており、
このようなオフセットは、前記第1の一連のフィンガ(6)の移動の時間が、前記第2の一連のフィンガ(7)の移動に対してずれるように構成される、
請求項6または7に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記第2回転リング(3)は、規則的に角度を付けて分散配置された複数の湾曲カム(301)を有する、
請求項2と組み合わせた請求項1~8のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項10】
前記装置(1)は、前記一連のフィンガ(6;7;8)を受容するように構成された複数の案内溝(401)を有する円形支持体(4)を備え、
前記第1の一連のフィンガ(6)および前記第2の一連のフィンガ(7)は、前記第1の一連のフィンガ(6)と前記第2の一連のフィンガ(7)とが互いに交互の態様にしたがって配置されるように、複数の前記案内溝(401)に配置される、
請求項1~9のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項11】
前記円形支持体(4)は、2つの前記回転リング(2;3)の間に挿入される、
請求項2と組み合わせた請求項10に記載の装置(1)。
【請求項12】
各案内溝(401)は、前記第3の一連のフィンガ(8)のフィンガ、および前記第1または前記第2の一連のフィンガ(6;7)のうちの一方のフィンガを受容するように構成される、
請求項2と組み合わせた請求項10または11に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記第3の一連のフィンガ(8)は、長フィンガ(804)および短フィンガ(805)を有し、
前記長フィンガ(804)は、各案内溝(401)において前記第1の一連のフィンガ(6)のフィンガに重ねられ、
前記短フィンガ(805)は、各案内溝(401)において前記第2の一連のフィンガ(7)のフィンガに重ねられる、
請求項12に記載の装置(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の装置(1)により実施される、回転電気機械のステータ(19)の巻線(5)の導電性セグメントを位置決めする方法であって、
-前記装置(1)を、前記機械の回転軸に沿った並進移動により前記巻線上に設置する第1ステップであって、少なくとも第1の一連のフィンガ(6)および第2の一連のフィンガ(7)の前記軸方向移動により、前記巻線のセグメントは、複数対のセグメント(51;52)に分離される第1ステップと、
-一対のセグメント(51、52)の少なくとも2つの導電性セグメントを互いに対して押し付けるように、前記第1回転リング(2)を前記回転軸を中心として回転させて、第1の一連のフィンガ(6)および第2の一連のフィンガ(7)を、反対の径方向にいずれも運動させる第2ステップであって、一対のセグメントの前記押し付けられた導電性セグメントの溶接作業の前に実施される第2ステップと、
を備える位置決め方法。
【請求項15】
各対のセグメント(51;52)の前記セグメントを少なくとも径方向に整列させるように、前記第2回転リング(3)を回転させて、前記第3の一連のフィンガ(8)を径方向に運動させる、前記第2ステップに続く第3ステップを備える、
請求項2と組み合わせた請求項1~13のいずれかに記載の装置により実施される請求項14に記載の位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電気機械のステータの導電性セグメントの溶接に関する。より具体的には、本発明は、溶接前にステータの導電性セグメントを位置決めするための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車またはハイブリッド車にエネルギーを供給するために、回転電気機械を備えた電気エンジンを使用することが知られている。このような回転電気機械は、ロータおよびステータを備えている。内部ロータを有するモータのレイアウトにおいて、ステータは、磁性要素を設けられたロータを受容するように回転軸の周囲に配置された円筒状要素からなる場合がある。ステータは、歯を規定する金属片の積層体と各歯の周囲の巻線とを備えている。したがって、回転電気機械がモータモードで動作しているときには、巻線に電流が流れることにより、ステータのコイルにより磁界が形成される。このような磁界によりロータが回転駆動され、車両の推進力が確保される。回転電気機械が発電機モードで動作しているときには、ロータの回転運動によりステータに磁界が形成され、このような磁界がステータの巻線を流れる電流となって、車両の機器への電力供給が確保される。
【0003】
巻線は、各歯に連続的に巻き付けられた柔軟な電線により実現され得る。組付を単純化し得る他の解決策は、2つの連続する歯の間の各溝に別個に導入される導電性セグメントであって、その自由端部が互いに溶接されて巻線の接続が完了する導電性セグメントを使用することである。このような溶接は、例えば、レーザー溶接により実施されることでより高い精度が保証される。
【0004】
このような溶接ツールの精度を以てしても、各導電性セグメントの各端部の位置が理論的位置の近くに存在する場合しか正しい溶接に至らないことに注意しなければならない。互いに溶接されないはずの2つのセグメントの端部同士が近接し過ぎている場合、溶接中にレーザーがセグメント同士を誤って接続してしまう可能性がある。逆に、互いに溶接されるはずの2つのセグメントの端部同士が互いに離れ過ぎている場合、レーザーは電気的接続に失敗する可能性がある。
【0005】
互いに溶接されるべきでないセグメント間の分離を確保するためのツールが既に知られている。このようなツールは、溶接ステップの前に、セグメントの2つの端部の間に径方向に挿入されるスペーサからなる。
【0006】
互いに溶接されるべきセグメントの端部の径方向整列を確保する他のツールが知られている。このようなツールは、2列のセグメントの端部間に挿入される径方向フィンガからなる。このようなツールは、互いに溶接されるべきセグメントの端部を整列させること、および互いに離すべきセグメントの列を径方向に分離させることの両方に有効である。
【0007】
いずれの場合にも、溶接ステップが実現するまで、ツールをステータに固定して動かないようにしなければならない。この結果、複数のツールを同時に使用することができない。また、互いに溶接されるべきでないセグメント同士の完全なる離間を保証する装置は知られていない。さらに、互いに溶接されるべきセグメントの2つの端部を互いに近接した位置に確保するツールも提供されていない。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、回転軸を中心にして配置された少なくとも1つのカムを有する少なくとも1つの回転リングを備える、回転電気機械のステータの巻線の導電性セグメントを位置決めするための装置において、前記回転リングは、前記導電性セグメントの位置を確保するように少なくとも2つの一連のフィンガを径方向に運動させるように配置され、第1の一連のフィンガのフィンガおよび第2の一連のフィンガのフィンガが、一対のセグメントの2つの導電性セグメントを互いに押し付けるよう構成されるように、2つの前記一連のフィンガは、互いに反対方向に運動する装置を提供することにより、これらの問題のうちの少なくとも1つを解決する。
【0009】
本発明の装置は、互いに固定されるべき全てのセグメントがグループ化されることを少なくとも確保することによって、溶接を容易にし、ステータの全ての巻線の正しい溶接を保証する。また、このような装置、より具体的にはフィンガおよび対応する回転リングのレイアウトは、互いに溶接されるべきでないセグメントを分離して短絡を避けるのに役立つ。
【0010】
一連のフィンガが導電性セグメントと機械的に相互作用し得るように、装置はステータの巻線上に設置される。回転リングは、回転リングの移動中に関連する一連のフィンガの位置に影響を与える少なくとも1つのカムを備えている。その後、回転リングを回転させることにより、一連のフィンガは径方向移動にしたがって移動する。一連のフィンガのこのような移動により、前記フィンガと相互作用する導電性セグメントの移動が生じる。
【0011】
これらの導電性セグメントは対として組み立てられ、対をなす一対のセグメントの各対のセグメントは、互いに溶接される必要がある。装置は、第1の一連のフィンガのフィンガが一対のセグメントの第1セグメントと相互作用し、第2の一連のフィンガのフィンガが当該一対のセグメントの第2セグメントと相互作用するように巻線上に設置される。第1の一連のフィンガと第2の一連のフィンガとの反対方向の運動により、これらのフィンガは、一対のセグメントの各セグメントの互いに対する押し付けを保証する。
【0012】
本発明の一態様によれば、第1の一連のフィンガおよび第2の一連のフィンガは、装置が巻線上に設置されたときの初期位置に対応する停止位置と、これらのフィンガが各対のセグメントの2つのセグメントを互いに対して押し付ける作動位置との間で交互に動くことができる。第1回転リングが移動すると、第1および第2の一連のフィンガのフィンガは、反対の径方向に運動し、それらは各対のセグメントの2つのセグメントを互いに対して押し付ける。この状態において、第1の一連のフィンガのフィンガ、および第2の一連のフィンガのフィンガは、作動位置にあり、溶接作業中のそれらの機能を確保している。
【0013】
本発明の一態様によれば、第1の一連のフィンガの各フィンガおよび第2の一連のフィンガの各フィンガは、交互の態様にしたがって配置され、第2の一連のフィンガのフィンガが第1の一連のフィンガの2つのフィンガに周方向に隣り合っている。第1の一連のフィンガのフィンガおよび第2の一連のフィンガのフィンガは、軸方向に整列していてもよく(軸方向に揃えられてもよく)、軸方向にずれていてもよい。
【0014】
本発明の一態様によれば、第1の一連のフィンガの各フィンガおよび第2の一連のフィンガの各フィンガは、2つの一対の導電性セグメントを押し付けるように構成され、前記2つの一対の導電性セグメントの一方は、他方に比較して周方向にずれている。したがって、各フィンガは、2つの隣り合うスロットの導電性セグメントを押し付けることができる。これにより、第1の一連のフィンガのフィンガおよび第2の一連のフィンガのフィンガの個数を少なくすることができ、装置が簡素化される。
【0015】
本発明の一態様によれば、第1の一連のフィンガのフィンガの径方向寸法と、第2の一連のフィンガのフィンガの径方向寸法とは異なる。上述のように、フィンガは反対の径方向に移動する。回転軸とは反対に、装置の外側に向かって移動するフィンガは、内方に移動するフィンガの径方向寸法より大きい径方向寸法を有する。
【0016】
本発明の一態様によれば、前記装置は、第1回転リングと第2回転リングとを備え、前記第1回転リングは、第1の一連のフィンガおよび第2の一連のフィンガの両方を径方向に運動させるように構成され、前記第2回転リングは、第3の一連のフィンガを径方向に運動させるように構成される。第1回転リングは、上述のように、第1および第2の一連のフィンガを介して一対のセグメントの各セグメント間の接触を確保するように構成され、第2回転リングは、他の一連のフィンガを介して複数対のセグメントを互いに対して周方向に間隔を空けさせるという付加的な機能を確保するように構成される。さらに、この第3の一連のフィンガは、第1および第2の一連の両フィンガにより押し付けられていない、複数対のセグメントに対する押し付けの補完的機能を確保し得る。
【0017】
装置は、導電性セグメントの移動に関与する第3の一連のフィンガを備え得る。したがって、このような構成において、装置は、3つの一連のフィンガを径方向に運動させるように配置された2つの回転リングを備える。
【0018】
2つの独立した回転リングの特徴により、離すべきセグメントの間隔を空ける、および互いに溶接されるべきセグメントを近づけるという複数の同時機能を、一連のフィンガの一部による反対の径方向移動と、他の一連のフィンガの同一方向の径方向移動とにより実施することができる。
【0019】
本発明の一態様によれば、前記第3の一連のフィンガは、各対のセグメントを径方向に整列させるように構成される。装置に第3の一連のフィンガが設けられる場合、一対のセグメントのセグメントは、互いに押し付けられるだけでなく、これら2つのセグメント間の接触面が向上するように径方向に整列する。換言すれば、径方向整列により、各対のセグメントの2つのセグメント間の接触が良好になり、各対のセグメントのこのような2つのセグメントの最適な溶接が確保される。このような径方向整列、および径方向整列を可能とする第3の一連のフィンガにより、複数対のセグメントの径方向列と隣り合う径方向列との間隔を空けることが確保され、短絡が回避される。
【0020】
本発明の一態様によれば、前記第3の一連のフィンガの各フィンガは、一対のセグメントの2つの導電性セグメントの互いに対する押し付けに関与するように構成された肩部を有する。第3の一連のフィンガが第2回転リングによって径方向に運動するとき、第3の一連のフィンガの各フィンガのストッパは、第1回転カムに関連付けられた一方の一連のフィンガの機能に代わり、第3の一連のフィンガのフィンガの径方向運動と反対の径方向に移動するように構成された他の一連のフィンガと協働し得る。
【0021】
換言すれば、第2回転カムに関連付けられた第3の一連のフィンガは、第1回転カムに関連付けられた2つの一連のフィンガのうちの一方の一連のフィンガと同一の半径方向に移動するように構成され、第3の一連のフィンガに配置された肩部は、反対の径方向に移動する、第1回転カムに関連付けられた2つの一連のフィンガのうちの他方の一連のフィンガとともに、一対のセグメントを押し付けるように使用される。本段落および明細書の残りの部分では、フィンガの径方向移動は、溶接作業の前のステップとして考慮され、フィンガをそれらの停止位置からそれらの作動位置に移動させるものであることを理解されたい。
【0022】
本発明の一態様によれば、前記第1の一連のフィンガの各フィンガおよび前記第2の一連のフィンガの各フィンガは、複数の横方向凸部を有する。このような横方向凸部により、複数のスロットまたは複数のゾーンが形成され得る。複数のスロットまたは複数のゾーンは、これらのスロットまたはゾーンのそれぞれに、少なくとも一対のセグメントが受容されるように構成されている。横方向凸部により、スロットおよびゾーンは、一対のセグメントを互いに事前に分離するように構成される。さらに、同一対のセグメントを互いに押し付け合うように回転リングおよび対応するフィンガが運動している間、横方向凸部によりフィンガとセグメントとが接触し得る。
【0023】
本発明の一態様によれば、前記第1回転リングは、前記第1の一連のフィンガの各フィンガと協働するように構成された第1カムと、前記第2の一連のフィンガの各フィンガと協働するように構成された第2カムと、を有する。第1回転リングのカムは、第1回転リングの移動時に、第1の一連のフィンガと第2の一連のフィンガとの反対の径方向移動を生じさせるように、互いに対して配置される。
【0024】
本発明の一態様によれば、前記第1カムおよび前記第2カムは、波形状を持つ円形状であって同心円形状を有する。第1カムおよび第2カムの両方は、第1回転リング上で延びて、可変の半径を有する円を形成する。カムは、干渉を起こさないように、かつ各カムをこのようなカムと協働するように構成されたフィンガの一部に対面して配置されるように、径方向オフセットを伴った同心円状のレイアウトにより実現される。
【0025】
本発明の一態様によれば、前記第1カムと前記第2カムとは、角度的に互いにオフセットしており、このようなオフセットは、前記第1の一連のフィンガの移動の時間が、前記第2の一連のフィンガの移動に対してずれるように構成される。換言すれば、第1の一連のフィンガの運動は、第2の一連のフィンガの運動に比較して時間的に遅れ、反対方向の各運動が同時に適用されることはない。例えば、第1回転リングの回転は、第1および第2の一連のフィンガの両方の移動をもたらすが、第1の一連のフィンガのフィンガは、第2の一連のフィンガのフィンガより先に停止位置を離れるように装置が構成されている。本例において、第1の一連のフィンガのフィンガが押し付けられるべき一対のセグメントのセグメントと最初に相互作用し、それらはこの押し付け作用のための基準面を形成する。このような時間のずれにより、第1の一連のフィンガおよび第2の一連のフィンガが運動しているときの機械的な干渉の可能性を回避することができる。
【0026】
本発明の一態様によれば、前記第2回転リングは、規則的に角度を付けて分散配置された複数の湾曲カムを備える。複数の湾曲カムは、第2回転リングの表面全体に配置され、カムの間には、支持体を機械的に保持するのに十分な材料が提供されている。
【0027】
上述のように、第2回転リングが運動すると、第3の一連のフィンガのフィンガは、径方向に運動する。この目的は、ステータのセグメントを径方向に整列させること、およびそれらのストッパによって複数対のセグメントによるこのようなセグメントの押し付けに関与することである。
【0028】
第3のフィンガは、他の2つの一連のフィンガより大きい径方向距離を移動することが意図されている。装置は、セグメントの列毎に第3の一連のフィンガのフィンガを設けられている。これら2つの特徴の結果、カムの形状および長さは、第1リングのものと異なっている。
【0029】
本発明の一態様によれば、湾曲カムは2つの対向する端部を有し、第1端部は第2端部に対して角度的にオフセットしている。角度的オフセットは、湾曲カムが第3の一連のフィンガの少なくとも2つのフィンガと相互作用するように構成されるようなものとされる。
【0030】
本発明の一態様によれば、前記装置は、前記一連のフィンガを受容するように構成された複数の案内溝を有する円形支持体を備え、前記第1の一連のフィンガおよび前記第2の一連のフィンガは、前記第1の一連のフィンガと前記第2の一連のフィンガとが互いに交互の態様にしたがって配置されるように、複数の前記案内溝に配置される。
【0031】
円形支持体は、例えば成形により案内溝を形成できるような十分な厚さを有している。各案内溝は、任意の一連のフィンガの任意のフィンガの形状に少なくとも部分的に対応する形状を呈する。
【0032】
第1の一連のフィンガのフィンガを収容する各案内溝は、第2の一連のフィンガのフィンガを収容する案内溝によって各側を囲まれており、逆もまた同様である。このような構成は、円形支持体および全ての案内溝の全体に沿って延びる。第1および第2の一連のフィンガの交互配置により、複数対のセグメント、複数対のセグメントの内側または外側周縁パターンの少なくとも各対が、第1の一連のフィンガのフィンガおよび第2の一連のフィンガのフィンガの両方と、より正確には第1の一連のフィンガのフィンガ、および第2の一連のフィンガの隣り合うフィンガと相互作用することが確保される。
【0033】
隣り合うフィンガは、それらの停止位置において、装置が巻線上に設置される際にセグメントが挿入され得るフレームを形成するように構成されていることに留意されたい。
【0034】
本発明の一態様によれば、前記円形支持体は、2つの前記回転リングの間に挿入される。
【0035】
本発明の一態様によれば、各回転リングは、固定カバーの内部に配置される。各カバーは、回転リングの一方を受容するような寸法を有するハウジングを備える。各回転リングは、そのカバーの内部で回転運動をすることができる。
【0036】
本発明の一態様によれば、各案内溝は、前記第3の一連のフィンガのフィンガ、および前記第1または前記第2の一連のフィンガのうちの一方のフィンガを受容するように構成される。各案内溝は、互いに重ね合わされた少なくとも2つのフィンガを受容するのに十分な深さを有している。
【0037】
本発明の一態様によれば、案内溝は、当該溝に配置された各フィンガの径方向移動を確保するように構成される。案内溝は、回転リングにより開始された径方向移動が、案内溝に配置された各フィンガにより許容された唯一の移動であるようなものとされる。
【0038】
本発明の一態様によれば、前記第3の一連のフィンガは、長フィンガと短フィンガとを備え、前記長フィンガは、各案内溝において前記第1の一連のフィンガのフィンガに重ね合わされ、前記短フィンガは、各案内溝において前記第2の一連のフィンガのフィンガに重ね合わされる。一般的に、第3の一連のフィンガの各フィンガの長さは、第3の一連のフィンガのフィンガが重ね合わされるフィンガの長さに依存する。したがって、装置がステータの巻線上に設置されたときにこれら一連のフィンガの機械的抵抗を最大化するように、第3の一連のフィンガのフィンガは、第1の一連のフィンガのおよび第2の一連のフィンガの両フィンガの表面全体に接する。
【0039】
本発明の一態様によれば、各一連のフィンガの各フィンガは、ピンが固定される少なくとも1つの穴を備えており、各ピンは、カムのうちの1つと協働するように構成されている。各カムは、ピンが挿入される凹部からなる。各ピンは、各フィンガに自由度なく連結される。したがって、ピンが運動すると、フィンガも運動する。
【0040】
第1回転リングまたは第2回転リングの回転に続いて、各カムは、このカムと相互作用するピンを運動させる。このようなピンの運動は、カムとピンとの相互作用と、フィンガを回転リングにより径方向に運動させる、フィンガの径方向案内の両方と、によってもたらされる。
【0041】
したがって、第1回転リングが回転運動をすると、第1の一連のフィンガの各ピンは、第1カムの波形状を有する円形状に追従し、第2の一連のフィンガの各ピンは、第2カムの波形状を有する円形状に追従する。
【0042】
本発明の一態様によれば、第1の一連のフィンガの各フィンガのピンおよび第2の一連のフィンガの各フィンガのピンは、第1回転リングのカムの一方と相互作用し、円形支持体の各案内溝は、長円形開口を備える。長円形開口は、このようなピンがカムと相互作用するように横切ることを許容するように構成される。上述のように、円形支持体は、回転リング間に位置する。したがって、回転リングの一方、例えば第1回転リングは、円形支持体の底部に面するように配置される。このような状態で、第1回転リングと相互作用すべきフィンガの各ピンは、円形支持体を横切るべきである。各ピンは各フィンガに固定され、各案内溝は、その底部に開口を含む必要がある。これにより、各案内溝の各底部に対して配置された各フィンガのピン、つまり、第1の一連のフィンガおよび第2の一連のフィンガのフィンガは、第1回転リングのカムと相互作用することができる。このような開口は、ピンの径方向移動、ひいてはフィンガの径方向移動を許容するように長円形である。
【0043】
本発明の一態様によれば、第1回転リングの第1カムは、第1の一連のフィンガの各フィンガのピンを受容するように構成され、第1回転リングの第2カムは、第2の一連のフィンガの各フィンガのピンを受容するように構成される。第1の一連のフィンガの各フィンガのピンおよび第2の一連のフィンガの各フィンガのピンの両方が第1回転リングと相互作用するとしても、第1の一連のフィンガのピンおよび第2の一連のフィンガのピンは、同一カムと相互作用しない。したがって、第1の一連のフィンガのピンと第2の一連のフィンガのピンとの間には、機械的干渉を避けるように径方向オフセットが存在する。この結果、第1の一連のフィンガのフィンガを受容する円形支持体の溝における長円形開口の位置と、第2の一連のフィンガのフィンガを受容する円形支持体の隣り合う溝における長円型開口の位置との間には、径方向オフセットが存在する。
【0044】
波形状により、ピンが運動することが可能とされる。このような運動は、長円形開口の寸法および波形状の寸法により定められる。
【0045】
本発明の一態様によれば、第3の一連のフィンガの各フィンガのピンは、第2回転リングの湾曲カムのうちの1つと相互作用するように構成される。第1の一連のフィンガのピンおよび第2の一連のフィンガのピンと同様に、第3の一連のピンと対応するカムとの間には機械的相互作用が存在する。第3の一連のフィンガは、円形支持体に対して第1回転リングの反対側にある第2回転リングと相互作用する。したがって、第3の一連のフィンガのピンはフィンガから突出し、第1の一連のフィンガおよび第2の一連のフィンガの両ピンのように円形支持体に開口を設ける必要はない。
【0046】
本発明の一態様によれば、湾曲カムは、それらの2つの端部間に角度的オフセットが存在するように構成され、第3の一連のフィンガのフィンガは、第3の一連のフィンガのフィンガのピンと第3の一連のフィンガの隣り合うフィンガのピンとの間に径方向オフセットが存在するように構成される。このような特徴の組み合わせの結果、第3の一連のフィンガの隣り合う2つのフィンガが同一の湾曲カムと相互作用することができる。
【0047】
本発明の一態様によれば、装置は、第1回転リングおよび第2回転リングを作動させるように構成された回転手段を備えている。このような回転手段により、リングの回転運動、さらには一連のフィンガの径方向運動が可能とされる。この目的は、これらのフィンガのそれぞれの機能を確保することである。
【0048】
装置の回転手段は、レバーやクランク等の手動要素を有し得る。また、回転手段は、サーボモータにより作動させることもできる。この場合、回転の精度が高くなる。
【0049】
本発明の一態様によれば、装置は、第1回転リングおよび第2回転リングの角度位置を維持するように構成されたクランプ手段を備える。クランプ手段により、溶接作業中のフィンガの位置を維持することができ、これにより、一対のセグメントに対する圧力、および互いに溶接されるべきでないセグメント間の間隔が、溶接作業中にずっと維持される。装置が手動で調整可能な場合、クランプ手段は複数のネジであり得る。回転手段がサーボモータにより作動される場合、後者が回転リングをブロックし、クランプ手段として使用され得る。
【0050】
また、本発明は、上述の装置により実施される、回転電気機械のステータの巻線の導電性セグメントを位置決めする方法であって、
-前記装置を、前記機械の回転軸に沿った並進移動により前記巻線上に設置する第1ステップであって、少なくとも第1の一連のフィンガおよび第2の一連のフィンガの前記軸方向移動により、前記巻線のセグメントは、複数対のセグメントに分離される第1ステップと、
-一対のセグメントの少なくとも2つの導電性セグメントを互いに対して押し付けるように、前記第1回転リングを前記回転軸を中心として回転させて、第1の一連のフィンガおよび第2の一連のフィンガを、反対の径方向にいずれも運動させる第2ステップであって、一対のセグメントの前記押し付けられた導電性セグメントの溶接作業の前に実施される第2ステップと、
を備える位置決め方法を対象とする。
【0051】
少なくともこれら2つのステップを有する本発明の方法により、互いに離されるべき隣り合う対のセグメントを互いに分離することにより、かつ互いに溶接されるべき一対のセグメントの2つのセグメントを互いに対して押し付けることにより、溶接作業の前に作業者は各導電性セグメントの正しい位置を確保することができる。
【0052】
本発明の一態様によれば、第1および第2の一連のフィンガの前記反対方向の移動は、一方が他方に比較して時間的に遅れる。
【0053】
本発明の一態様によれば、前記第1および第2の一連のフィンガの前記反対方向の移動により、回転軸に対して回転電気機械の同一半径上に配置された各対のセグメントの押し付けが確保される。互いに溶接されるべき複数対の導電性セグメントは、内側パターンと外側パターンとを有する2つの環状パターン上に分散配置され得る。本発明によれば、第1および第2の一連のフィンガの反対の径方向移動により、環状パターンのうちの一方の各対に対して一対のセグメントが互いに同時に接触することが少なくとも確保される。
【0054】
本発明の一態様によれば、本方法は、各対のセグメントのセグメントを少なくとも径方向に整列させるように、前記第2回転リングを回転させて、前記第3の一連のフィンガを径方向に運動させる、前記第2ステップに続く第3ステップを備える。
【0055】
さらに、第3の一連のフィンガの径方向移動は、一対のセグメントの2つの導電性セグメントの互いに対する押し付けに関与し得る。第1および第2の一連のフィンガの両方の移動により、一方の環状パターンの各対について、一対のセグメントのセグメントが互いに同時に接触することが少なくとも保証され得る。第1および第2の一連のフィンガのうちの一方の移動と組み合わせた第3の一連のフィンガの移動により、他方の環状パターンの各対について、一対のセグメントのセグメントが互いに同時に接触することが少なくとも保証され得る。
【0056】
このような方法は、各対のセグメントのセグメントを互いに溶接する一方で、一対のセグメントを他の対と溶接しないことからなる正しい溶接を実施するのに最適なものである。
【0057】
本発明のその他の特徴、詳細および利点は、以下に示す本発明の明細書から推測され得る。種々の実施形態が、図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、本発明によるステータの巻線の導電性セグメントを位置決めするための装置の全体図である。
図2図2は、図1の装置の要素の分解図であり、特に第1回転リング、第2回転リング、および両回転リング間の円形支持体を示す。
図3図3は、図1の装置の部品である第1の一連のフィンガのフィンガおよび第2の一連のフィンガのフィンガの詳細図である。
図4図4は、図1の装置の部品である第3の一連のフィンガのフィンガの詳細図である。
図5図5は、円形支持体と第2回転リングとの間に配置された第1の一連のフィンガのフィンガおよび第3の一連のフィンガのフィンガの配置を示す分解図である。
図6図6は、円形支持体と第2回転リングとの間に配置された第2の一連のフィンガのフィンガおよび第3の一連のフィンガのフィンガの配置を示す分解図である。
図7】本発明の方法のセットを示す図であって、装置が回転電気機械の巻線上に設置される図である。
図8図8は、第1および第2の一連のフィンガのフィンガと導電性セグメントとの相互作用の詳細図であって、フィンガが停止位置にある図である。
図9図9は、第1および第2の一連のフィンガのフィンガと導電性セグメントとの相互作用の詳細図であって、フィンガが作動位置にある図である。
図10図10は、第3の一連のフィンガのフィンガと導電性セグメントとの相互作用の詳細図であって、第3の一連のフィンガのフィンガが停止位置にある図である。
図11図11は、フィンガに固定されたピンに関連付けられたカムを示す第2回転リングの部分図であって図10と同様の図である。
図12図12は、第3の一連のフィンガのフィンガと導電性セグメントとの相互作用の詳細図であって、第3の一連のフィンガのフィンガが作動位置にあり、第2回転リングを部分的に示す図である。
図13図13図12と同様の図であって、第2回転リングの部分図を省いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、回転電気機械の巻線5の導電性セグメントを位置決めするための装置1の全体図である。回転電気機械は図1に示されていない。装置1の機能は、巻線5の各セグメントを、このようなセグメントの溶接作業前に正しく位置決めし、回転電気機械のステータの周囲に連続した巻線を実現することである。具体的には、装置1は、溶接されるべきセグメントを互いに対して押し付けるとともに、溶接されるべきでないセグメント間にスペースを提供するように構成されている。
【0060】
装置1は、第1回転リングおよび第1カバー21と、第2回転リングおよび第2カバー31と、円形支持体4と、を含んでいる。第1回転リングは、第1カバー21に挿入されているとともに、第2回転リングは第2カバー31に挿入されており、これらの回転リングは図1では見えない。円形支持体4は、2つのカバーの間に配置されている。したがって、円形支持体は、2つの回転リングの間に配置されていることに留意されたい。第1回転リングを含む第1カバー21、第2回転リングを含む第2カバー31、および円形支持体4は、それぞれ環状本体を有し、環状本体の回転軸100に対して互いに重ね合わされている。溶接作業中に装置1が回転電気機械上に設置されているとき、前記回転軸100は、このような機械の回転軸と同一である。第1カバー21と、第2カバー31と、円形支持体4と、は、例えばネジとしての複数の締結手段12によって互いに固定され得る。
【0061】
装置1は、各回転リングがそのそれぞれのカバーの内部で回転軸100を中心として回転可能である一方、円形支持体4は固定位置に留まるように構成されている。第1回転リングおよび第2回転リングは、それぞれ少なくとも1つのカムを含んでいる。各カムは各回転リングの表面に配置され、この表面は円形支持体4に対面している。各回転リング、同様に各カムは、回転手段9により回転運動をすることができる。このような回転手段9は、一方の端部に歯車を有するレバーであり得る。前記歯車は、回転リングの歯付き部分と相互作用して回転運動を開始するように配置されている。各回転リングは、固有の回転手段9を有している。各回転手段9は、図1に示さないサーボモータにより制御可能である。
【0062】
回転手段9は、クランプ手段11としても機能し得る。クランプ手段11により、溶接作業中に装置の位置を維持することができる。回転手段9と同様に、クランプ手段11もサーボモータにより使用可能である。
【0063】
第1回転リングおよび第2回転リングを回転させることにより、回転手段9は、第1の一連のフィンガ6、第2の一連のフィンガ7、および第3の一連のフィンガ8を間接的に運動させることができる。これらのフィンガは、回転リングの上述のカムと相互作用して、リングの回転移動を3つの一連のフィンガの径方向運動に変更する。各フィンガの径方向移動は、当該フィンガを停止位置から作動位置に移動させるように構成されている。停止位置は、巻線に装置を位置決めする際のフィンガの位置である、作動位置は、溶接作業中の当該フィンガの位置であって、その目的は、溶接されるべき導電性セグメント、および互いに離されるべき導電性セグメントを所定位置に維持することである。換言すれば、一連のフィンガの径方向運動により、全ての導電性セグメントが、後述のように溶接のために正しく位置決めされ得る。
【0064】
図2は装置の分解図であり、第1回転リング2、第2回転リング3、および円形支持体4が示されているが、一連のフィンガは示されていない。
【0065】
上述のように、第1回転リング2は、第1カバー21内に配置されている。第1カバー21は、第1回転リング2を受容し、その回転、より具体的には第1カバー21により画定されたハウジング内での回転を許容する形状および寸法を有している。第1カバー21は、第1回転リング2の回転を案内するための手段と、第1回転リング2を第1カバー21の内部で維持するための手段と、を含み得る。同じ特徴が、第2回転リング3および第2カバー31にも適用されることに留意しなければならない。
【0066】
各回転リングは、少なくとも1つのカムを含んでいる。このようなカムは、以下の図に示すように、円形支持体4に配置されたフィンガと相互作用するように、円形支持体4に向けられている。換言すれば、各回転リングは、円形支持体と接触することが意図された内面と、円形支持体4の反対側の外面と、を含んでいる。カムは、対応する回転リングの内面に構成された溝により実現されている。
【0067】
リング2、3および円形支持体4の積層体は、円形支持体が2つの回転リングの間に位置するとともに、装置の使用前に第1回転リング2が巻線に対面するようになっている。換言すれば、装置が軸方向移動によって、より正確には回転軸に沿った並進移動によって巻線上に設置されるとき、巻線は、最初に第1回転リング2と協働し、次いで円形支持体4と協働し、最後に第2回転リング3と協働する。
【0068】
第1回転リング2は、第1カム201と、第2カム202と、を含んでいる。このようなカムは、全体として円形であり、第1回転リング2に沿って延びている。第1カム201および第2カム202は同心円状であり、第1カムの平均半径は第2カム202の平均半径より大きい。後述するように、これら2つのカムは波形状を有している。これは、第1カム201および第2カム202の半径が可変であるということを意味する。
【0069】
第1回転リング2は、リングの周縁部に配置された第1歯付き部200を含んでいる。このような第1歯付き部200は、図1に示す一方の回転手段の歯車に連結するように構成されている。この歯車伝達システムにより、第1回転リングの回転移動、ひいては第1カム201および第2カム202の回転運動が可能となる。回転リングに回転運動を与えるものであれば、いかなる他のタイプの伝達システムを使用してもよい。第1カバー21は、第1歯付き部200と上述の回転手段との接続を許容するように、除去可能な材料を含む。
【0070】
円形支持体4は、第1回転リング2の内面に対面するように構成された第1側404と、第2回転リング3の内面に対面するように構成された第2側405と、を含んでいる。円形支持体4は、円形支持体4に沿って全体に広がる複数の案内溝401を含んでいる。案内溝401は径方向に延びている。これらは、第2側405をくり抜くことにより円形支持体4の材料に形成されている。各案内溝は、少なくとも部分的に長円形であり、この長円形は、3つの一連のフィンガのうちの2つの一連のフィンガの少なくとも2つのフィンガを受容するように構成されている。各案内溝は、内部に配置されたフィンガの径方向運動を許容するように、円形支持体の中央に向かって開放している。
【0071】
上述のように、各案内溝401は、互いに重ね合わされた2つのフィンガを受容し、各案内溝401の深さは、互いに重ね合わされた2つのフィンガの高さの合計に実質的に等しい。前記深さおよび高さは、回転軸の方向に対して考慮されている。案内溝401の底部に配置されたフィンガは、第1回転リング2と相互作用するように構成される。一方、案内溝401の頂部に配置されたフィンガは、第2回転リング3と相互作用するように構成される。
【0072】
各案内溝401の底部に配置された各フィンガと第1回転リング2のカムの一方との相互作用を確保するように、各案内溝401の底部は、外側長円形開口402、または内側長円形開口403を含んでいる。案内溝401は、外側長円形開口402を含む案内溝401が、内側長円形開口403を含む2つの案内溝401の間に位置するように配置され、その逆もまた同様である。第1カバー21と円形支持体4とが互いに連結されるとき、外側長円形開口402が第1カム201に対面し、内側長円形開口403が第2カム202に対面している。したがって、外側長円形開口402を含む案内溝401の底部に配置されたフィンガは、第1カム201と相互作用する。一方、内側長円形開口403を含む案内溝401の底部に配置されたフィンガは、第2カム202と相互作用する。
【0073】
第2回転リング3は、複数の湾曲カム301を含んでいる。湾曲カム301は、第2回転リング3に沿って規則的に角度を付けて分散配置されている。各湾曲カム301は、第2回転リング3の外側周縁端部に近い第1端部から、第2回転リング3の内側周縁部に近い第2端部に延びる凹部である。各湾曲カム301の湾曲は、第2回転リング3の径方向と比較してオフセットしている。したがって、湾曲カムの長さ、ひいては湾曲カム301と相互作用するフィンガの径方向運動を長くするように、湾曲カム301の第1端部は、同一の湾曲カム301の第2端部と比較して角度的にオフセットしている。湾曲カム301は並んで配置されていることにより、第2回転リング3の半径は複数の湾曲カム301と交差している。
【0074】
第1回転リング2と同様に、第2回転リング3も、歯付き部分、より具体的には、図1に示す回転手段の一方と相互作用するように配置された第2歯付き部分300を含んでいる。第2カバー31は、第2歯付き部300と上述の回転手段との接続を許容するように、除去可能な材料で構成されている。
【0075】
図3および図4は、3つの一連のフィンガのうちの異なるフィンガの図である。これらフィンガは全て、溶接作業の前およびその最中に、ステータの巻線の位置を調整するように、径方向の運動をするように構成されている。
【0076】
図3は、第1の一連のフィンガ6の2つのフィンガの間にある第2の一連のフィンガ7のフィンガを示す。図3において、フィンガは、円形支持体の3つの隣り合う案内溝に配置されているかのような向きに配置されている。各フィンガは、交互の態様にしたがって配置されており、第2の一連のフィンガ7のフィンガが第1の一連のフィンガ6の2つのフィンガに隣り合っている。この逆も同様である。
【0077】
各フィンガは、各フィンガが配置された案内溝の径方向と共通の長手方向にしたがって延びている。
【0078】
図3に示す全てのフィンガは、長円形部品を含んでいる。より具体的には、第1の一連のフィンガ6のフィンガは第1長円形部品605を含み、第2の一連のフィンガ7のフィンガは第2長円形部品705を含んでいる。これらの長円形部品は、円形支持体の案内溝の内部に配置されるように寸法決めされている。案内溝の形状は、フィンガの長円形部品の形状と一致しているため、フィンガの径方向運動のみが許容される。
【0079】
第1の一連のフィンガ6のフィンガの各長円形部品および第2の一連のフィンガ7のフィンガの各長円形部品は、穴を有している。穴は、各一連のフィンガの機能に応じて異なった態様で配置されている。したがって、第1の一連のフィンガ6のフィンガは第1穴602を有しており、第2の一連のフィンガ7のフィンガは第2穴702を有している。一連のフィンガの各フィンガの各穴が、当該フィンガが配置された各案内溝の各長円形開口に対面するように、第1穴602および第2穴702は、径方向に互いにオフセットしている。各フィンガの穴の機能については後述する。
【0080】
各長円形の反対側に、各フィンガは、複数の横方向凸部を含んでいる。横方向とは、凸部が各フィンガの長手方向に対して実質的に垂直に延びていることを意味する。
【0081】
第1の一連のフィンガ6のフィンガは、2つの横方向凸部、より具体的には、内側凸部604および第1外側凸部603を含んでいる。内側凸部604は、各フィンガの両側に横方向に延びるとともに、第1の一連のフィンガ6のフィンガの長手方向端部に配置されている。第1外側凸部603も、各フィンガの両側に横方向に延びるとともに、長手方向端部と第1長円形部品605との間に配置されている。
【0082】
第2の一連のフィンガ7のフィンガは、1つの横方向凸部、より具体的には、第2外側凸部703を含んでいる。第2外側凸部703は、各フィンガの両側に横方向に延びるとともに、第2の一連のフィンガ7のフィンガの長手方向端部に配置されている。
【0083】
第1の一連のフィンガ6のフィンガの長手方向寸法は、第2の一連のフィンガ7のフィンガの長手方向寸法より大きい。したがって、第1外側凸部603および第2外側凸部703は、互いに相互作用するように両方とも横方向に延びている。より正確には、第1回転リングが移動する前、すなわち、フィンガが停止位置にあるときに、第1外側凸部603および第2外側凸部703は、図3に示すように、同一の径方向位置にある。このことは、第1外側凸部603および第2外側凸部703が、回転軸から同一距離にあることを意味する。
【0084】
図3または図10に示すように、第1および第2の一連のフィンガの両方がそれらの作動位置から停止位置に戻る際の径方向運動のストッパとなるように、第1外側凸部603および第2外側凸部703の端部は、傾斜を付けられている。隣り合うフィンガの外側凸部は、同一の径方向位置になくてはならない。
【0085】
また、2つの隣り合うフィンガの少なくとも一方の外側凸部は、回転軸に垂直な面を含み得る。隣り合うフィンガを部分的に覆うように、当該面において、材料が除去されている。換言すれば、2つの隣り合うフィンガの外側凸部は、このような凸部の自由端部において互いに重ね合わされるように構成されている。このような重ね合わせにより、セグメントに接触し得る凸部の表面を、隣り合う各フィンガ間に機械的な干渉を生じさせることなく増大させることができる。
【0086】
第1の一連のフィンガ6および第2の一連のフィンガ7の両フィンガの長円形部品と、第1の一連のフィンガ6および第2の一連のフィンガ7の両方の各外側凸部と、は、スロット10を形成する。スロット10は、第1の一連のフィンガ6のフィンガと第2の一連のフィンガ7のフィンガとの間に形成される。各スロット10は、装置がステータの巻線上に設置されたときに、ステータの巻線の一対のセグメントを受容するように構成されている。一対のセグメントは、第1の一連のフィンガ6の各フィンガの第1外側凸部603と内側凸部604との間に生じたゾーン18にも受容され得る。
【0087】
図4は、第3の一連のフィンガ8の異なる種類のフィンガを示す図である。後述するように、第3の一連のフィンガ8のフィンガは、第1の一連のフィンガのフィンガおよび第2の一連のフィンガのフィンガに重ね合わされるように構成されている。
【0088】
第3の一連のフィンガは、複数の長フィンガ804と複数の短フィンガ805とを含んでいる。長フィンガ804と短フィンガ805は、他のフィンガと同様にその主方向に対応するそれぞれの長手方向の寸法によって区別される。長フィンガ804は、第1の一連のフィンガのフィンガに重ね合わされるように構成され、短フィンガ805は、第2の一連のフィンガのフィンガに重ね合わされるように構成されている。
【0089】
長フィンガ804および短フィンガ805は、第3長円形部品808である同様の部品を有している。第1の一連のフィンガおよび第2の一連のフィンガの両フィンガの長円形部品と同様に、第3長円形部品808は、円形支持体の案内溝の内部に配置されるように構成されている。各第3長円形部品808は、外側穴802と内側穴803とを含んでいる。
【0090】
第3長円形部品808の反対側に、第3の一連のフィンガ8の各種類のフィンガは、ストリップを含んでいる。このようなストリップは、肩部809が実現されるように横方向にオフセットしている。このような肩部809は、径方向ストッパとして構成されている。ストリップがオフセットしていることにより、第3の一連のフィンガ8が径方向に運動する際に、複数対のセグメント間にストリップを挿入することが可能とされる。
【0091】
長フィンガ804および短フィンガ805は、それらのストリップの長手方向寸法によって区別される。長フィンガ804は長ストリップ806を含み、短フィンガ805は短ストリップ807を含んでいる。各ストリップは、各フィンガの肩部809から長手方向端部に向かってその横方向寸法が次第に細くなるテーパ形状を有している。
【0092】
図5は、第1の一連のフィンガ6のフィンガの配置を示す分解図である。上述のように、第1の一連のフィンガ6の各フィンガは、第3の一連のフィンガ8の長フィンガ804により覆われる。
【0093】
装置の動作を確実にするように、第1の一連のフィンガ6のフィンガは、外側長円形開口402を含む案内溝401に配置されなければならない。
【0094】
第1の一連のフィンガ6のフィンガの第1穴602は、第1ピン601の挿入および固定に使用される。第1ピン601は、第1回転リング2のカムのうちの一方、ここでは第1カム201と相互作用する。第1ピン601は、対応するフィンガの一側からのみ延びるように、第1穴602の内部に例えば接着によって固定される。このようなフィンガは、第1ピンが案内溝401の底部を向くように、案内溝に配置される。
【0095】
第1ピン601は、円形支持体4を介して第1カム201まで延び得るように、対応するフィンガの主平面に垂直な主サイズを有している。これを確実にするように、第1穴602は外側長円形開口402に対面しており、これによって第1ピン601は、外側長円形開口402を介して案内溝401を横切ることができるとともに、第1カム201の内部に挿入され得る。
【0096】
第1ピン601の直径は、外側長円形開口402の短寸法に実質的に等しい。したがって、円形支持体4により許容される第1ピン601の唯一の自由度は、装置の径方向に対応する外側長円形開口402の長寸法である。
【0097】
第3の一連のフィンガ8の長フィンガ804は、第1の一連のフィンガ6のフィンガに重ね合わされる。同じことが、円形支持体4に配置される第1の一連のフィンガ6の全てのフィンガに適用される。長フィンガ804は、第1の一連のフィンガ6のフィンガを、その長手方向主サイズ全体に沿って覆うように構成される。したがって、方法の説明として後述するように、装置がステータの巻線上に設置されたとき、長フィンガ804により第1の一連のフィンガ6のフィンガが支持され得る。
【0098】
長フィンガ804は、例えば接着により内側穴803の内部に固定された第3ピン801を含んでいる。これにより、第3ピン801は、長フィンガの一側からのみ、第2回転リング3に向かって延びる。第3ピン801は、第2回転リング3の湾曲カム301のうちの1つまで延びるような主サイズを有している。
【0099】
図6に示すように、このようなレイアウトは、第2の一連のフィンガ7のフィンガおよび第3の一連のフィンガ8の短フィンガ805を案内溝に配置する場合にも同様である。第2の一連のフィンガ7のフィンガは、内側長円形開口403を有する案内溝401の内部に配置されなくてはならない。したがって、第2穴702の内部に固定されている第2ピン701は、内側長円形開口403を介して案内溝401を横切ることができる。より具体的には、第2の一連のフィンガ7の全てのフィンガの全ての第2ピン701は、第1回転リング2の第2カム202と相互作用するように円形支持体4を横切る。
【0100】
第3の一連のフィンガ8の各短フィンガ805は、第2の一連のフィンガ7の各フィンガに重ね合わされる。長フィンガや第1の一連のフィンガのフィンガと同様に、短フィンガ805の長手方向寸法は、第2の一連のフィンガ7のフィンガを、その長手方向主寸法全体に沿って覆うように構成されている。上述のように、装置がステータの巻線上に設置されたとき、短フィンガ805により第2の一連のフィンガ7のフィンガが支持され得る。
【0101】
短フィンガ805の第3ピン801は、外側穴802の内部に配置され固定される。この第3ピンは、第2回転リング3の湾曲カム301のうちの1つと相互作用する。長フィンガの第3ピン801と短フィンガ805の第3ピン801との径方向オフセットは、その後正当化(位置決め)される。
【0102】
図7は、回転電気機械のステータ19の軸方向端部から延びる巻線5上に、どのように装置1を設置するかを示す。このような巻線5は、複数のラインセグメントを含んでおり、各ラインセグメントは、ステータ19の2つの連続する歯の間に配置されたセグメントの径方向整列により実現されている。連続する巻線を形成するには、隣り合うラインセグメントを互いに離すべきであるとともに、同一ラインセグメントを一対ずつ互いに溶接されるべきである。図示のように、各径方向ラインセグメントは、外側対のセグメント51および内側対のセグメント52を形成する4つのセグメントを含んでいる。本装置の機能は、溶接作業によって、複数対のセグメントを互いに連結することなく、一対のセグメントのセグメントを互いに連結することを確保することである。
【0103】
最初に、一連のフィンガと複数対のセグメントとの相互作用を開始するように、軸方向運動20にしたがって、装置1を巻線5上に設置する。このような軸方向運動20は、装置1の回転軸100に対して、および各セグメントの端部の主方向に対して平行である。
【0104】
装置1が巻線5上に設置されると、この巻線の互いに溶接されるべき導電性セグメントは、複数対のセグメントにより既にグループ化され、各対の間には理論上のスペースがあるため、複数対のセグメントの間にフィンガが挿入され得る。しかしながら、セグメントはその理論上の位置にはない場合があり、装置の自由な軸方向移動の障害となる場合がある。したがって、第1回転リングは、このようなセグメントと接触する装置の最初の複合体であり、第1の一連のフィンガおよび第2の一連のフィンガのフィンガは、接触荷重を受けて曲がり得る。第3の一連のフィンガのフィンガの停止位置では、前記フィンガは第1回転リングのフィンガを覆う。前記フィンガは、装置を巻線に位置決めする際に、第1回転リングのこれらのフィンガが破損することを防止するように、第1の一連のフィンガおよび第2の一連のフィンガのフィンガの曲げを制限することを確保する。
【0105】
図8は、第1の一連のフィンガ6の2つのフィンガと、第2の一連のフィンガ7の1つのフィンガと、4対のセグメント、すなわち、第1外側対のセグメント501、第2外側対のセグメント502、第1内側対のセグメント503および第2内側対のセグメント504と、の間の相互作用を示す。図8において、各ピンと、第1回転リング2の各カムと、の間の相互作用を明示するために、各フィンガの各長円形部品は透明に表示されている。同じく明示のために、円形支持体は図示されていない。
【0106】
装置が巻線上に設置されると、各外側対のセグメントは、交互の態様にしたがって配置された第1の一連のフィンガ6のフィンガと第2の一連のフィンガ7の隣り合うフィンガとの協働によって形成された各スロット10の内部で摺動する。上述のように、各スロット10は、第1の一連のフィンガ6および第2の一連のフィンガ7の隣り合う両フィンガによって長手方向および横方向に規定される。内側対のセグメントに関して、それらは、第1の一連のフィンガ6のフィンガの各外側凸部603と第1の一連のフィンガ6のフィンガの各内側凸部604との間のゾーン18に配置される。
【0107】
図8において、第1の一連のフィンガ6のフィンガおよび第2の一連のフィンガ7のフィンガは、上述の停止位置にあるが、図7に示す装置の巻線に対する位置決めにより、複数対のセグメントをそれらの間で離すことが既に保証されている。一例として、第2の一連のフィンガ7のフィンガにより、第1外側対のセグメント501と第2外側対のセグメント502とが離れている。別の例として、第1の一連のフィンガ6のフィンガと第2の一連のフィンガ7のフィンガとの協働により、より具体的には第1外側凸部603と第2外側凸部703との協働により、第1外側対のセグメント501と第1内側対のセグメント503とが離れ、第2外側対のセグメント502と第2内側対のセグメント504とが離れている。
【0108】
図8において、各フィンガの長円形部品が透明であることにより、第1の一連のフィンガ6のフィンガの第1ピン601が第1カム201の内部に挿入され、第2の一連のフィンガ7のフィンガの第2ピン602が第2カム202の内部に挿入されていることがわかる。
【0109】
第1カム201および第2カム202は、複数の波形状を有している。換言すれば、各カムの半径は可変である。これらの波形状はわずかなものであるが、各ピン、同様に各フィンガの径方向運動を生じさせるには十分である。
【0110】
第1回転リング2が運動すると、図9に示すように、第1カム201および第2カム202は、結果として第1回転運動13をする。第1カム201および第2カム202の回転中に、各ピンはそのカムの内部で摺動する。フィンガの径方向運動のみを許容する形状に一致する形状を有する対応する案内溝内にフィンガが維持されていることを考慮すると、各カムの波形状に沿ったピンの摺動により、案内溝の内部における各ピンおよび各フィンガの径方向運動における移動が生じる。より具体的には、第1の一連のフィンガ6のフィンガは、第1径方向運動14にしたがって移動し、第2の一連のフィンガ7のフィンガは、第2径方向運動15にしたがって移動する。両方の一連のフィンガは同一の回転リングによって運動する場合であっても、第1径方向運動14と第2径方向運動15とは反対方向である。第1の一連のフィンガ6および第2の一連のフィンガ7の両方のフィンガがそれらの停止位置にある場合、各第1ピン601は、第1カム201の波形状の凸部より回転軸に近い第1カム201の波形状の凹部にあり、ここで第1ピン601は第1径方向運動13により移動する。各第2ピン701は、その停止位置において、第2カム202の波形状の凹部より回転軸から離れた第2カム202の波形状の凸部にあり、ここで第2ピン701は第1径方向運動13により移動する。
【0111】
さらに、この停止位置において、各第1ピン601と第1カム201の波形状の次の凸部との間の距離は、各第2ピン701と第2カム202の波形状の次の凹部との間の距離より小さい。第1カム201および第2カム202におけるピンの停止位置間のこのような角度オフセットにより、第2の一連のフィンガ7が反対の径方向運動をする前に、第1の一連のフィンガ6は径方向に運動する。このような時間のずれにより、2つの径方向運動が同時であった場合に生じ得る機械的干渉が回避され得る。
【0112】
第1径方向運動14により、第1の一連のフィンガ6のフィンガは、全ての対のセグメントと相互作用する。より具体的には、第1外側凸部603および内側凸部604が複数対のセグメントの各環状列と接触することにより、各対のセグメントは、第1径方向運動と同一の向きの径方向に運動する。
【0113】
第1回転運動13の間、第2の一連のフィンガ7のフィンガは、第2径方向運動15にしたがった運動をする。したがって、第2外側凸部703が、内側対のセグメントを、第1の一連のフィンガ6の各隣り合うフィンガの内側凸部604に対して押す。このような内側対のセグメントは、第1の一連のフィンガのフィンガの内側凸部604によって既に運動しており、全ての内側対のセグメントの各セグメントは、本発明によれば互いに押し付けられる。さらに、第2の一連のフィンガ7のフィンガの肩部が第1外側対のセグメントのセグメントに到達する。
【0114】
これら複数対のセグメントのセグメントが互いに押し付けられることにより、第1の一連のフィンガ6および第2の一連のフィンガ7は、外側対のセグメントと内側対のセグメントとの間のスペースも増大させる。
【0115】
図10図13は、第3の一連のフィンガ8のフィンガの機能、およびそれらと巻線の各対のセグメントとの相互作用を示す。このような相互作用を理解しやすくするために、図11および図12は、第2回転リング3および湾曲カム301を少なくとも部分的に示す。一方で、図10および図13において、第2回転リング3および湾曲カム301は図示されていない。
【0116】
上述のように、第3の一連のフィンガ8のフィンガは、第1の一連のフィンガのフィンガおよび第2の一連のフィンガのフィンガに重ね合わされている。第1の一連のフィンガのフィンガの凸部および第2の一連のフィンガのフィンガの凸部は、4つの図面全てにおいて示されている。図9に示すように、第1の一連のフィンガのフィンガおよび第2の一連のフィンガのフィンガは作動位置にあるため、それらは、各対のセグメントのセグメントを互いに押し付け、各対のセグメントを他の対のセグメントから分離させるのに関与している。
【0117】
図10に関して、第3の一連のフィンガ8のフィンガは、円形支持体4の各案内溝401内にある。長フィンガ804は第1の一連のフィンガのフィンガに重ね合わされ、短フィンガ805は第2の一連のフィンガのフィンガに重ね合わされている。上述のように、各第3ピン801は、径方向に互いにオフセットしている。
【0118】
第3ピンのこのような径方向オフセットは、図11に関して説明できる。2つの第3ピン801が1つの湾曲カム301に挿入されている。したがって、第3ピン801の互いに対するオフセットにより、装置では、第3ピン801、ひいては第3フィンガの個数の半分に相当する個数の湾曲カム301が必要となる。したがって、2つの連続する湾曲カム間の十分なスペースが提供され得ることにより、円形支持体4は両回転リングを支持するのに十分な弾性を有し得る。このような状態で、各外側穴802に固定された各第3ピン801は、各湾曲カム301の、第2回転リング3の外側周縁端部に近い第1端部に配置されている。一方、各内側穴803に固定された各第3ピン801は、各湾曲カム301の第1端部から距離を置いて配置されている。
【0119】
第1の一連のフィンガおよび第2の一連のフィンガが作動位置に到達すると、図12に示すように、第2回転リング3、ひいては湾曲カム301が、その回転手段によって第2回転運動16にしたがって運動をする。このような第2回転運動16は、第1カムおよび第2カムの第1回転運動より長い。これは、第2回転運動が、上述の第2の一連のフィンガの第2径方向運動より長い第3径方向運動17にしたがって第3の一連のフィンガ8のすべてのフィンガを運動させる必要があるためである。このような第3径方向運動17は、第3の一連のフィンガの全てのフィンガ、より具体的にはそれらのストリップが複数対のセグメントのうち最も内側のものを超える自由端部を有するのに十分な長さを有する必要がある。
【0120】
第2回転運動16の間、各内側穴803に固定された各第3ピン801が、第2回転リング3の内側周縁端部に近い各湾曲カム301の第2端部に到達するまで、各第3ピン801は各湾曲カム301の湾曲に追従する。
【0121】
フィンガの径方向運動のみを許容する形状に一致する形状を有する対応する案内溝にフィンガが維持されていることを考慮すると、各カムの波形状に沿ったピンの摺動により、案内溝の内部で各ピンおよび各フィンガの径方向運動における移動が生じる。この結果、第3の一連のフィンガ8の全てのフィンガが第3径方向運動17をする。
【0122】
第3の一連のフィンガ8のフィンガが径方向に運動すると、各ストリップは、2つの隣り合う外側対のセグメントの間で、かつ2つの隣り合う内側対のセグメントの間で摺動する。一例として、図12または図13に示す短ストリップ807は、第1外側対のセグメント501と第2外側対のセグメント502との間で、かつ第1内側対のセグメント503と第2内側対のセグメント504との間で摺動した。各ストリップのテーパ形状により容易とされるこのような摺動により、各対のセグメントの各セグメントが径方向にそれらの間で整列し、各対のセグメント間のスペースが増大する。
【0123】
さらに、第3の一連のフィンガ8のフィンガが径方向に運動すると、第3の一連のフィンガ8の各フィンガの各肩部809が、このような正確な押し付けに関与するように各外側対のセグメントを押すようになる。
【0124】
その後、各回転リングの位置がクランプ手段により固定され、こうして巻線の全てのセグメントは溶接のために正しく位置決めされる。このような正しい位置決めを図12または13に示す。実際に、各対のセグメントは他の対から正しく分離し、各対のセグメントのセグメントは、互いに押し付けられるとともに径方向に整列する。したがって、各対のセグメントのセグメントのみを互いに溶接することで、溶接を最適化することができる。
【0125】
溶接が終了したら、上述の全てのステップを逆の順番で実施して、装置を巻線から取り外すことができる。
【0126】
以上から、本発明は、最適な溶接を確保するために、ステータの巻線のセグメントを位置決めするための装置を提供するものであることが理解されるであろう。さらに、このような装置は、異なる寸法を有する導電性セグメントに、全てのツールを変更せずにフィンガの径方向移動を調節することで適合され得る。
【0127】
しかしながら、本発明は、本明細書に記載および図示された手段や構成に限定されるものではなく、同等の手段や構成、またそのような手段の技術的に有効な組み合わせにも及ぶものである。
【0128】
例えば、上述の装置は、2つの環状パターンを有する導電性セグメント対に使用されているが、例えば凸部を追加することで、2つよりも多い環状パターン、例えば3つまたは4つの環状パターンを有する導電性セグメント対に使用されるように適合され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】