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  • 特開-抗菌性エラストマー物品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053532
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】抗菌性エラストマー物品
(51)【国際特許分類】
   A01N 65/26 20090101AFI20220329BHJP
   A41D 19/04 20060101ALI20220329BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20220329BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20220329BHJP
   A01N 65/36 20090101ALI20220329BHJP
   A61L 31/04 20060101ALN20220329BHJP
   A61L 31/08 20060101ALN20220329BHJP
   A61L 31/16 20060101ALN20220329BHJP
【FI】
A01N65/26
A41D19/04 B
A01P3/00
A01N25/02
A01N65/36
A61L31/04 110
A61L31/04 120
A61L31/08
A61L31/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021154741
(22)【出願日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】PI2020004969
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(71)【出願人】
【識別番号】517390959
【氏名又は名称】トップ グローブ インターナショナル センディリアン ベルハッド
【氏名又は名称原語表記】TOP GLOVE INTERNATIONAL SDN BHD
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョン・パン・ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ヌリア・モハマド
(72)【発明者】
【氏名】デヴィ・シャンティニ・ピー・チャンドラサカラン
(72)【発明者】
【氏名】アヌジャ・セルバドライ
(72)【発明者】
【氏名】ロヴェスラ・サブラマニアム
【テーマコード(参考)】
3B033
4C081
4H011
【Fターム(参考)】
3B033BA01
4C081AC16
4C081BA14
4C081BC01
4C081BC03
4C081CA091
4C081CB051
4C081CE01
4C081DA01
4C081EA06
4H011AA01
4H011AA03
4H011BB22
4H011BC06
4H011BC18
4H011DA13
(57)【要約】
【課題】本発明は、植物由来の抗菌添加剤を使用することによって、凝固剤溶液に耐えることができ、かつ所望の抗菌効果を満たすことができる抗菌手袋を製造するためのアプローチを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、抗菌凝固剤溶液に関し、本抗菌凝固剤溶液は、抗菌添加剤と凝固剤溶液との混合物である。抗菌凝固剤溶液は、抗菌添加剤と凝固剤溶液の混合物であり、抗菌添加剤は、ニーム抽出物またはレモン抽出物からなる群から選択され、凝固剤溶液は、粘着防止剤、凝固剤、湿潤剤、pH調整剤および溶媒を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌添加剤と凝固剤溶液との混合物である、抗菌凝固剤溶液であって、前記抗菌添加剤は、ニーム抽出物またはレモン抽出物からなる群から選択され、前記凝固剤溶液は、粘着防止剤、凝固剤、湿潤剤、pH調整剤、および溶媒を含む、抗菌凝固剤溶液。
【請求項2】
前記ニーム抽出液が、前記抗菌凝固剤溶液において、0.40質量体積%~1.00質量体積%の範囲の量で使用される、請求項1に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項3】
前記レモン抽出液が、前記抗菌凝固剤溶液において、1.00質量体積%~1.80質量体積%の範囲の量で使用される、請求項1に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項4】
前記ニーム抽出液が、ニーム抽出粉末および溶媒を含む、請求項1に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項5】
前記ニーム抽出粉末が、前記ニーム抽出液において、20.0質量体積%~50.0質量体積%の範囲の量で使用される、請求項4に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項6】
前記溶媒が、前記ニーム抽出液において、50.0体積%~80.0体積%の範囲の量で使用される、請求項4に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項7】
前記レモン抽出液が、レモン抽出粉末および溶媒を含む、請求項1に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項8】
前記レモン抽出粉末が、前記レモン抽出液において、1.0%質量体積~20.0質量体積%の範囲の量で使用される、請求項7に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項9】
前記溶媒が、前記レモン抽出液において、80.0体積%~99.0体積%の範囲の量で使用される、請求項7に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項10】
前記粘着防止剤が、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つである、請求項1に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項11】
前記凝固剤が、前記凝固剤溶液の0.50重量%~2.00重量%の範囲の量で使用される、請求項1に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項12】
前記凝固剤が、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つである、請求項1に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項13】
前記凝固剤が、前記凝固剤溶液の7.50重量%~8.50重量%の範囲の量で使用される、請求項1に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項14】
前記湿潤剤が、イソトリデカノールエトキシレート、ジヘキシルスルホスクシネート、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つである、請求項1に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項15】
前記湿潤剤が、前記凝固剤溶液の0.01重量%~0.10重量%の範囲の量で使用される、請求項1に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項16】
前記pH調整剤が、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、重炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つである、請求項1に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項17】
前記pH調整剤が、前記凝固剤溶液の0.001重量%~0.010重量%の範囲の量で使用される、請求項1に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項18】
前記溶媒が、水道水、蒸留水、脱イオン水、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つである、請求項1に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項19】
前記溶媒が、前記凝固剤溶液の100重量%を実現する量で使用される、請求項1に記載の抗菌凝固剤溶液。
【請求項20】
少なくとも1つのコーティング層を含む抗菌性エラストマー物品であって、前記コーティングは抗菌コーティングであり、前記抗菌コーティングは、請求項1~19に記載の抗菌凝固剤溶液から調製される、抗菌性エラストマー物品。
【請求項21】
抗菌手袋である、請求項20に記載の抗菌性エラストマー物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性エラストマー物品に関し、本抗菌性エラストマー物品は、抗菌コーティングが施されている。抗菌コーティングは、植物由来の抗菌添加剤を含む抗菌凝固剤溶液から調製される。
【背景技術】
【0002】
医療環境における主な関心事は、内因性感染、外因性感染、または院内感染から患者を保護することである。エラストマー物品、特に手袋は、個人用保護具の要素になり、医療従事者の臨床診療に不可欠なものとなっている。それは実際に手袋着用者と患者の両方を感染から保護する。
【0003】
抗菌手袋は、細菌、真菌、ウイルスによる院内感染を減らすのに役立つ。抗菌手袋の開発における未解決の問題は、製造プロセス中および製造プロセス後に抗菌効果を維持することが難しいことである。手袋の表面にコーティングされた抗菌添加剤は化学的に結合されておらず、手袋の表面から簡単に分離してしまう。抗菌添加剤はまた、高温のために製造プロセス中に分解し、凝固剤溶液に耐えることができない。その結果、手袋表面上の抗菌添加剤が大幅に減少し、最終的には手袋の抗菌効果も低下する。
【0004】
これらの欠点を克服するために、植物由来の抗菌添加剤を使用することによって、凝固剤溶液に耐えることができ、かつ所望の抗菌効果を満たすことができる抗菌手袋を製造するためのアプローチが開発された。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、抗菌凝固剤溶液に関する。抗菌凝固剤溶液は、抗菌添加剤と凝固剤溶液の混合物である。抗菌添加剤は、ニーム抽出物またはレモン抽出物からなる群から選択され、凝固剤溶液は、粘着防止剤、凝固剤、湿潤剤、pH調整剤および溶媒を含む。さらに、本発明は、抗菌凝固剤溶液から調製される抗菌コーティングを有する抗菌性エラストマー物品を開示する。抗菌性エラストマー物品は抗菌手袋である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明は、例示としてのみ与えられ、したがって本発明を限定するものではない、以下の発明を実施するための形態および添付の図面から完全に理解されるであろう。
添付図面では、
図1】本発明の例示的な実施形態による抗菌手袋を製造するための方法の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の好ましい実施形態の詳細な説明が本明細書に開示される。しかしながら、これらの実施形態は本発明の単なる例示であり、様々な形態で具現化され得ることを理解されたい。したがって、本明細書に開示される詳細は、限定的なものとして解釈されるべきではなく、単に特許請求の範囲、および本発明の当業者に教示するための基礎として解釈されるべきである。本明細書で使用される数値データまたは範囲は、限定的なものとして解釈されるべきではない。次に、好ましい実施形態の以下の詳細な説明を、添付の図面に従って説明する。
【0008】
本発明は、抗菌性エラストマー物品に関し、本抗菌性エラストマー物品は、抗菌コーティングを有する。抗菌コーティングは、植物由来の抗菌添加剤を含む抗菌凝固剤溶液から調製される。抗菌性エラストマー物品は抗菌手袋である。
【0009】
本発明の目的のために、「コーティング」という用語は、完成した手袋製品を製造するための製造プロセス中の複数の段階での手袋形成器上のフィルムの層の形成に関する。完成した手袋製品は、例えば凝固剤コーティング、ラテックスコーティングなどの複数のコーティング層から形成される。
【0010】
本発明の第1の実施形態は、抗菌添加剤と凝固剤溶液との混合物である抗菌凝固剤溶液に関する。
【0011】
抗菌添加剤は植物に由来し、抗菌添加剤はニーム抽出物またはレモン抽出物のいずれかである植物抽出物である。以下、本発明は、以下の2つの抗菌凝固剤溶液に基づく:
(i)ニーム抽出物系凝固剤溶液、
(ii)レモン抽出物系凝固剤溶液。
【0012】
本発明の目的のために、「抗菌添加剤」という用語は、いずれかの微生物を死滅させるかまたは増殖を抑制することができる植物抽出物によって示される抗菌特性を意味する。
【0013】
植物抽出物は、植物抽出粉末を溶媒に溶解して、未溶解の物質を含む溶液を生成することによって調製される。その後、未溶解の物質を含む溶液を濾過して、ニーム抽出液またはレモン抽出液のいずれかである抽出液を得る。ニーム抽出液を得るために使用される溶媒は、蒸留水、水道水、脱イオン水およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つであり、好ましくは蒸留水である。レモン抽出液を得るために使用される溶媒は、エタノール、メタノール、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つであり、好ましくはエタノールである。未溶解の物質は、溶解していない残りの植物抽出粉末である。
【0014】
表1にニーム抽出液の配合を示す。
【表1】
【0015】
その後、ニーム抽出液を凝固剤溶液と混合して、ニーム抽出物系凝固剤溶液を生成する。ニーム抽出液は、ニーム抽出物系凝固剤溶液において、0.40質量体積%~1.00質量体積%、好ましくは0.60質量体積%~0.80質量体積%の範囲の量、さらに好ましくは0.70質量体積%で使用される。
【0016】
表2にレモン抽出液の配合を示す。
【表2】
【0017】
その後、レモン抽出液を凝固剤溶液と混合して、レモン抽出物系凝固剤溶液を生成する。レモン抽出液は、レモン抽出物系凝固剤溶液において、1.00質量体積%~1.80質量体積%、好ましくは1.30質量体積%~1.60質量体積%の範囲の量、さらに好ましくは、1.50質量体積%で使用される。
【0018】
凝固剤溶液は、粘着防止剤、凝固剤、湿潤剤、pH調整剤および溶媒を含む。
【0019】
粘着防止剤は、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つであり、好ましくはステアリン酸カリウムである。粘着防止剤は、凝固剤溶液の0.50重量%~2.00重量%、好ましくは、凝固剤溶液の0.80重量%~1.30重量%範囲の量、さらに好ましくは、凝固剤溶液の1.00重量%で使用される。
【0020】
凝固剤は、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つであり、好ましくは硝酸カルシウムである。凝固剤は、凝固剤溶液の7.50重量%~8.50重量%、好ましくは、凝固剤溶液の7.80重量%~8.20重量%の範囲の量、さらに好ましくは、凝固剤溶液の8.00重量%で使用される。
【0021】
湿潤剤は、イソトリデカノールエトキシレート、ジヘキシルスルホコハク酸塩およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つであり、好ましくはイソトリデカノールエトキシレートである。湿潤剤は、凝固剤溶液の0.01重量%~0.10重量%、好ましくは、凝固剤溶液の0.03%~0.08重量%の範囲の量、さらに好ましくは、凝固剤溶液の0.05重量%で使用される。
【0022】
pH調整剤は、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、重炭酸アンモニウム、塩化アンモニウムおよびそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択されるいずれか1つであり、好ましくはアンモニアである。pH調整剤は、凝固剤溶液の0.001重量%~0.010重量%、好ましくは、凝固剤溶液の0.003%~0.007重量%の範囲の量、さらに好ましくは、凝固剤溶液の0.005重量%で使用される。
【0023】
溶媒は、水道水、蒸留水、脱イオン水、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つであり、好ましくは水道水である。溶媒は、凝固剤溶液の100重量%を実現する量で使用される。
【0024】
表3は、凝固剤溶液の配合を示す。
【表3】
【0025】
本発明の第2の実施形態は、本発明の抗菌手袋について論じている。本発明の抗菌手袋は、少なくとも1つのコーティング層を含み、コーティングは、抗菌コーティングである。抗菌コーティングは、上記の抗菌凝固剤溶液から調製される。
【0026】
本発明の抗菌手袋は、手袋製造業界で一般的に知られている方法を採用して調製される。
【0027】
図1は、本発明の例示的な実施形態による抗菌手袋を製造するための方法の流れ図を示す。
【0028】
抗菌手袋を調製する方法(100)は、以下の工程を含む:
i.(第1の実施形態に記載される)少なくとも1つの抗菌凝固剤溶液の層を、55℃~65℃の範囲の温度で10秒~15秒の範囲の期間、形成器上に塗布して、形成器上に抗菌コーティングを生成する工程であって、コーティングは、形成器を、抗菌凝固剤溶液を含む浸漬タンクに浸漬することによって、または抗菌凝固剤溶液を形成器に噴霧することによって塗布することができ、コーティングはオフラインおよび/またはオンラインで実施することができる、工程(101)。
ii.工程(i)で得られた形成器上の抗菌コーティングを、130℃~140℃の範囲の温度で、2分~3分の範囲の時間乾燥させる工程(102)。
iii.工程(ii)で得られた形成器を、ラテックス製剤を含む少なくとも1つのラテックス浸漬タンクに50℃~65℃の範囲の温度で1分~2分の範囲の時間浸漬して、形成器上にコーティングされたラテックス層を生成する工程であって、ラテックス製剤は、少なくともベースポリマー、分散剤、活性剤、pH調整剤、架橋剤、促進剤、湿潤剤および消泡剤を含む、工程(103)。
iv.工程(iii)で得られた形成器にコーティングされたラテックス層を、50℃~70℃の範囲の温度で1分~2分の範囲の時間乾燥させる工程(104)。
v.工程(iv)で得られた形成器にコーティングされたラテックス層を、60℃~70℃の範囲の温度の温水で1分~2分の範囲の時間で事前浸出させ、過剰な化学残留物を浸出させて事前浸出ラテックスフィルムを形成する工程(105)。
vi.工程(v)で得られた形成器にコーティングされた事前浸出ラテックスフィルムを、120℃~130℃の範囲の温度で12分~14分の範囲の時間硬化させ、硬化ラテックスフィルムを生成する工程(106)。
vii.工程(vi)で得られた形成器にコーティングされた硬化ラテックスフィルムを、50℃~60℃の範囲の温度の温水で1分~2分の範囲の時間で後浸出させ、過剰な化学残留物を浸出させて後浸出ラテックスフィルムを得る工程(107)。
viii.工程(vii)で得られた形成器にコーティングされた後浸出ラテックスフィルムを、85℃~90℃の範囲の温度で1分~2分の範囲の時間乾燥させて抗菌手袋を製造する工程(108)。
ix.工程(viii)で得られた抗菌手袋を形成器から剥がす工程(109)。
【0029】
上記の方法は、抗菌凝固剤溶液がオンライン浸漬プロセス中に適用されるオンラインプロセスによる抗菌手袋の調製について論じているが、これに限定されない。抗菌凝固剤溶液は、オンラインプロセスの後に抗菌凝固剤溶液が手袋に塗布される、オフラインプロセスを通じて塗布することができる。
【0030】
本発明の抗菌手袋は、ヘルスケア、化粧品および/または生物医学など様々な用途で使用することができるが、これらに限定されない。さらに、当業者は、デンタルダム、指サックなどの同様のエラストマー特性を示す他のエラストマー物品に本発明の教示を採用することができるため、本発明の教示は手袋に限定されない。
【0031】
本発明の抗菌手袋の抗菌効果(ニーム抽出物系凝固剤コーティングを施した抗菌手袋は本発明1で表され、レモン抽出物系凝固剤コーティングを施した抗菌手袋は本発明2で表される)を、米国材料試験協会による(ASTM)D7907標準試験方法に従って、非抗菌性対照手袋および従来の抗菌手袋と比較する。手袋の抗菌効果を、グラム陽性大腸菌およびグラム陰性黄色ブドウ球菌に対して検討する。抗菌効果を、ASTMD7907標準試験方法に基づいて測定する。得られた結果を以下の表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】
表4に基づいて、本発明の抗菌手袋が、グラム陽性黄色ブドウ球菌およびグラム陰性大腸菌の両方を死滅させることができることは明らかである。本発明の抗菌手袋は、非抗菌対照手袋および従来の抗菌手袋と比較して、1分、3分および5分の接触時間でより高い殺菌率を示す。
【0034】
全体として、本発明の抗菌手袋は、抗菌効果を改善し、ASTMD7907標準試験方法に準拠することができる。後者は、本発明の抗菌添加剤が凝固剤溶液に耐え、好適に本発明の抗菌手袋を製造できることを証明している。
【0035】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態例を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形も含むことを意図し得る。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は包括的であり、したがって、記載された機能、整数、工程、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、それらの1つ以上の他の機能、整数、工程、動作、要素、構成要素、および/もしくは群の存在または追加を排除するものではない。
【0036】
本明細書に記載されている方法工程、プロセス、および操作は、実行順序として具体的に識別されていない限り、議論または図示した特定の順序で実行する必要があるとは必ずしも解釈されない。追加のまたは代替の工程が用いられ得ることも理解されたい。「少なくとも」または「少なくとも1つ」という表現の使用は、1つ以上の所望の目的または結果を実現するために、1つ以上の実施形態で使用され得るため、1つ以上の要素の使用を示唆している。
図1
【外国語明細書】