(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053735
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】非圧縮性流体用シリンジ
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20220330BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020160533
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 貴文
(72)【発明者】
【氏名】小川 洋一郎
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA01
4F041AB01
4F041BA02
4F041BA10
4F041BA22
4F041BA32
4F041BA34
4F041BA52
4F042AA01
4F042BA07
4F042BA08
4F042BA12
4F042CA01
4F042CB03
4F042CB10
4F042CC08
4F042DF01
(57)【要約】
【課題】非圧縮性流体が収容される内部空間内の空気をより簡易に除去すること。
【解決手段】シリンジ50は、筒状に形成され、内部空間52に非圧縮性流体8を収容可能な本体ケース51と、本体ケース51内に挿入可能に構成され、本体ケース51と共に内部空間52を区画し、本体ケース51内を摺動するプランジャ60と、本体ケース51に設けられ、プランジャ60の摺動により送られる非圧縮性流体8を吐出する吐出部55と、を備え、プランジャ60は、内部空間52と連通する内側開口62と、内部空間52内の空気9を本体ケース51の外部に排出しかつ封止可能に形成された外側開口66と、内側開口62と外側開口66とを連通する連通路68と、を備えている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非圧縮性流体を収容するためのシリンジであって、
筒状に形成され、内部空間に非圧縮性流体を収容可能な本体ケースと、
前記本体ケース内に挿入可能に構成され、前記本体ケースと共に前記内部空間を区画し、前記本体ケース内を摺動するプランジャと、
前記本体ケースに設けられ、前記プランジャの摺動により送られる前記非圧縮性流体を吐出する吐出部と、を備え、
前記プランジャは、前記内部空間と連通する内側開口と、前記内部空間内の空気を前記本体ケースの外部に排出しかつ封止可能に形成された外側開口と、前記内側開口と前記外側開口とを連通する連通路と、を備えている、シリンジ。
【請求項2】
前記プランジャは、前記本体ケース内を摺動する摺動部と、前記摺動部に連結され、前記吐出部に対して反対方向かつ前記本体ケースの軸方向に延びる棒状部と、を備え、
前記内側開口は、前記摺動部に形成され、
前記外側開口は、前記棒状部に形成され、
前記連通路は、少なくとも前記棒状部に形成されている、請求項1に記載のシリンジ。
【請求項3】
前記摺動部は、前記内側開口に向かうほど前記吐出部から離れる傾斜部分を有する、請求項2に記載のシリンジ。
【請求項4】
前記外側開口は、前記本体ケースの軸方向に向けて開口している、請求項2または3に記載のシリンジ。
【請求項5】
前記外側開口は、前記本体ケースの軸方向と交差する方向に向けて開口している、請求項2または3に記載のシリンジ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のシリンジと、
前記シリンジを着脱可能に支持するシリンジホルダと、
前記プランジャに接続され、前記プランジャを前記本体ケースの軸方向に移動させる移動機構と、を備えている、非圧縮性流体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非圧縮性流体用シリンジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シリンジを用いて非圧縮性流体(例えば加飾インク)を被加飾物に供給することで、立体的な印刷(即ち2.5D印刷)が行われている。例えば、特許文献1には、圧送ポンプによってシリンジ内にエアを供給することで、シリンジに収容された加飾インクを吐出部から吐出させる加飾システムが開示されている。また、特許文献2には、シリンジとシリンジ内を摺動するピストン(プランジャ)とによって区画された内部空間に収容された流動性材料を、プランジャを摺動させることによってノズルから吐出させる塗布ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-59019号公報
【特許文献2】特許第4424480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プランジャによって内部空間内の非圧縮性流体を押し出す構成では、プランジャの移動量を制御することによって吐出される非圧縮性流体の吐出量が調整される。ここで、内部空間内に圧縮性流体である空気が多量に存在すると、プランジャによる押圧力の一部が空気に吸収されてしまうため、意図した吐出量の非圧縮性流体を吐出できなかったり、吐出に遅れが生じたりし得る。かかる問題を解決すべく、特許文献2では、真空ポンプを駆動することによって内部空間内を脱気している。しかしながら、真空ポンプを用いて内部空間内の空気を除去しようとすると、装置が大型化しコストも増大してしまう。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、プランジャによって非圧縮性流体が吐出されるシリンジにおいて、非圧縮性流体が収容される内部空間内の空気をより簡易に除去することができるシリンジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシリンジは、非圧縮性流体を収容するためのシリンジである。前記シリンジは、筒状に形成され、内部空間に非圧縮性流体を収容可能な本体ケースと、前記本体ケース内に挿入可能に構成され、前記本体ケースと共に前記内部空間を区画し、前記本体ケース内を摺動するプランジャと、前記本体ケースに設けられ、前記プランジャの摺動により送られる前記非圧縮性流体を吐出する吐出部と、を備えている。前記プランジャは、前記内部空間と連通する内側開口と、前記内部空間内の空気を前記本体ケースの外部に排出しかつ封止可能に形成された外側開口と、前記内側開口と前記外側開口とを連通する連通路と、を備えている。
【0007】
本発明のシリンジによると、本体ケース内に非圧縮性流体を収容した後に本体ケース内にプランジャを挿入することで、内部空間内に存在する空気を本体ケースの外部に排出することができる。即ち、プランジャを本体ケース内に挿入することによって、プランジャの内側開口、連通路および外側開口を通じて内部空間内の空気を本体ケースの外部に排出することができる。そして、内部空間内の空気を十分に排出した後(例えばプランジャが非圧縮性流体に接触した後)に外側開口を封止することによって内部空間を密閉することができる。これにより、意図した吐出量の非圧縮性流体を遅れが生じることなく適切に吐出することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プランジャによって非圧縮性流体が吐出されるシリンジにおいて、非圧縮性流体が収容される内部空間内の空気をより簡易に除去することができるシリンジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る流体吐出装置の斜視図である。
【
図2】一実施形態に係るシリンジおよびその周辺の構造を示す正面図である。
【
図4】一実施形態に係るプランジャの分解斜視図である。
【
図5】一実施形態に係るシリンジの断面図であり、内部空間から空気を抜く状態を示す模式図である。
【
図6】他の一実施形態に係るプランジャと連結部との連結状態を示す正面図である。
【
図7】他の一実施形態に係るプランジャと連結部の連結前の状態を示す正面図である。
【
図8】他の一実施形態に係るプランジャと連結部の連結直前の状態を示す正面図である。
【
図9】他の一実施形態に係るシリンジの正面図である。
【
図10A】他の一実施形態に係るニードルを示す正面図である。
【
図10B】ニードルの長さが調整された後の状態を示すニードルの正面図である。
【
図11A】他の一実施形態に係るニードルを示す正面図である。
【
図11B】ニードルの長さが調整された後の状態を示すニードルの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る非圧縮性流体吐出装置10(以下、流体吐出装置10とする。)を示す斜視図である。以下の説明では、左、右、上、下とは、流体吐出装置10の正面にいるユーザが流体吐出装置10を見た場合の左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、上記ユーザが流体吐出装置10に近づく方を後方、遠ざかる方を前方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。本実施形態に係る流体吐出装置10は、相互に直交する軸をX軸、Y軸およびZ軸としたときに、X軸とY軸とで構成される平面に置かれるものとする。ここでは、X軸は、左右方向に延びる。Y軸は、前後方向に延びる。X軸とY軸とで構成される平面は、ここでは水平面である。Z軸は、上下方向に延びる。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、流体吐出装置10の設置態様を何ら限定するものではない。
【0012】
流体吐出装置10は、テーブル20あるいはテーブル20に載置された被加飾物5に対し、シリンジ50に収容された非圧縮性流体を吐出する装置である。以下、流体吐出装置10について説明しながら、シリンジ50について説明する。
【0013】
シリンジ50に収容される非圧縮性流体としては、ニュートン流体および非ニュートン流体が含まれる。非ニュートン流体とは、ニュートン流体に当てはまらない流体の総称であり、流れの剪断応力(接線応力)と流れの速度勾配(ずり速度、せん断速度)との関係が線形ではない粘性を有する流体を意味する。非ニュートン流体としては、例えば、擬塑性流体が挙げられる。非圧縮性流体が擬塑性流体であることで、力を加えることにより粘度が低下し、力を加えるまでは高い粘度を示す。このことにより、シリンジ50からの非圧縮性流体の供給に際して、例えば後述するプランジャ60(
図2参照)の押圧力を加えることで、非圧縮性流体の供給性(流動性)が向上するために好ましい。ここで、非圧縮性流体とは、マッハ数が0.3未満(即ち密度変化が5%未満)の流体を指し、圧縮や膨張の影響が無視できるほど体積変化の小さい流体である。圧縮性流体とは、マッハ数が0.3以上(即ち密度変化が5%以上)の流体を指し、圧縮や膨張の影響による体積変化の大きい流体(例えば空気)である。
【0014】
非圧縮性流体は、用途に応じて、食品衛生法、欧州玩具指令、ST(Safety Toy)基準等に準じて重金属類の含有量,溶出量等を制限するなどし、人(乳幼児を含む)が口にしても安全な安全基準が満たされたものであってよい。また、非圧縮性流体は、例えば、食用可能なもの(食品)から構成されていてもよい。非圧縮性流体としての食品は、基材に配置されることで、硬化することなく、あるいは、硬化して、基材を装飾するものであってもよい。この場合の基材は、食品であってもよいし、食品でなくてもよい。食品としては、一例として、マヨネーズ等の調味料、動物,魚,およびこれらの内臓等の食肉ペースト、各種の野菜ペースト、チョコレート,生クリーム,ムース等の製菓用食品、等が挙げられる。
【0015】
また、非圧縮性流体は、基材に供給されたのち硬化する硬化機構を備えていてもよい。例えば、非圧縮性流体の硬化機構は、溶剤または分散媒が揮発することによって硬化する溶剤揮散型(乾燥硬化型であり得る)、雰囲気中の水分と反応して硬化する湿気硬化型、加熱することで非圧縮性流体中の硬化剤が活性化して硬化する加熱硬化型、紫外線等のエネルギー線を照射することにより短時間で硬化するエネルギー線硬化型、加熱溶融状態で供給されて冷却すると硬化する熱溶融型等のいずれであってもよい。また、非圧縮性流体は、硬化することなく基材に配置されることで基材を装飾するものであってもよい。
【0016】
非圧縮性流体の粘度は、特に限定されない。シリンジ50を用いて吐出される非圧縮性流体の粘度は、25℃、せん断速度1000/sのときの粘度として、例えば10m・Pa~5Pa程度と広い範囲にわたり得る。シリンジ50の形状にもよるが、例えば、よりスムーズな吐出を実現するために、非圧縮性流体は、25℃、1000/sにおける粘度が、2Pa・s以下であることが好ましく、例えば1Pa・s以下であってよく、500mPa・s以下がより好ましい。しかしながら、1000/sにおける粘度が低すぎると、吐出される非圧縮性流体の粘度が低すぎてタレを生じてしまうために好ましくない。1000/sにおける粘度の下限はこれに限定されるものではないが、好適な一例として、80mPa・sとすることが例示される。
【0017】
被加飾物5を構成する素材は特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)共重合体などの樹脂材料、金、銀、銅、プラチナ、真鍮、アルミ、鉄、チタン、ステンレス等の金属材料はもちろんのこと、陶器、セラミック、ガラス、ゴム、皮革、木材板、カーボン、紙類、布帛、さらには食品などであってもよい。また、被加飾物5の形状も特に制限されず、シート状や、携帯電話ケースや化粧品ケース、アクセサリやフォトフレーム等の立体構造体等であってよい。
【0018】
図1に示すように、流体吐出装置10は箱状に形成されている。流体吐出装置10は、前方および上方が開口された筐体11と、被加飾物5を載置可能に形成されたテーブル20と、筐体11内に配置されたシリンジ移動機構30と、シリンジ50と、シリンジホルダ70と、制御装置100とを備えている。筐体11の開口部には、開閉式のカバーが設けられているが、ここでは図示を省略する。筐体11は、底壁部12と、左側壁部13と、右側壁部14と、上壁部15と、後壁部16とを備えている。
【0019】
図1に示すように、底壁部12には、テーブル20が設けられている。底壁部12のX軸方向の長さは、底壁部12のY軸方向の長さより短い。底壁部12の前方の領域は、テーブル20が設けられる第1領域12aである。底壁部12の後方の領域は、テーブル20に載置された被加飾物5がテーブル20を越えて載置可能な第2領域12bである。
【0020】
図1に示すように、左側壁部13は、底壁部12の左端において上方に延びている。左側壁部13は、底壁部12に対して垂直に設けられている。右側壁部14は、底壁部12の右端において上方に延びている。右側壁部14は、底壁部12に対して垂直に設けられている。後壁部16は、底壁部12の後端において上方に延びている。後壁部16は、左側壁部13の後端および右側壁部14の後端に接続されている。後壁部16には、制御装置100が収容されている。上壁部15は、左側壁部13の後部の上端、右側壁部14の後部の上端および後壁部16の上端に接続されている。底壁部12と左側壁部13と右側壁部14と上壁部15と後壁部16とに囲まれた領域が、筐体11の内部空間である。
【0021】
図1に示すように、筐体11の内部空間は、シリンジ50に収容された非圧縮性流体を吐出する空間である。内部空間には、シリンジ移動機構30が設けられている。即ち、シリンジ移動機構30は、筐体11に収容されている。シリンジ移動機構30は、移動機構の一例である。シリンジ移動機構30は、シリンジ50を保持するシリンジホルダ70と、シリンジホルダ70が設けられた第1キャリッジ31(
図2参照)と、第1キャリッジ31を保持する第2キャリッジ32と、第2キャリッジ32を保持する第3キャリッジ33と、第1キャリッジ31をZ軸方向に移動させるZ軸方向移動機構36(
図2参照)と、第1キャリッジ31および第2キャリッジ32をX軸方向に移動させるX軸方向移動機構40と、第1キャリッジ31および第2キャリッジ32および第3キャリッジ33をY軸方向に移動させるY軸方向移動機構44と、を備えている。シリンジ移動機構30は、シリンジ50を三次元方向に移動させる。シリンジ50は、Z軸方向移動機構36、X軸方向移動機構40およびY軸方向移動機構44により、テーブル20に対して相対的に移動可能に構成されている。Z軸方向移動機構36、X軸方向移動機構40およびY軸方向移動機構44は、いずれも底壁部12よりも上方に配置されている。
【0022】
図2に示すように、第1キャリッジ31は、Y軸方向およびX軸方向に延びる第1部分31aと、第1部分31aの上方に位置しかつY軸方向およびX軸方向に延びる第2部分1bと、第1部分31aの後端と第2部分31bの後端とを接続しかつZ軸方向に延びる第3部分31cとを有する。第1部分31aは、後述する第1Z軸シャフト37aおよび第2Z軸シャフト37bに沿って摺動可能に構成されている。
【0023】
図2に示すように、シリンジホルダ70は、第1キャリッジ31の第1部分31aに設けられている。シリンジホルダ70は、第1部分31aから前方に突出するように設けられている。シリンジホルダ70には、前方から後方に向けて凹みかつZ軸方向に貫通する凹部71が形成されている。凹部71には、後述するシリンジ50のフランジ部51Cを保持する保持溝72が形成されている。保持溝72は、凹部71の内周の全体に沿って形成されている。
【0024】
図2に示すように、シリンジ移動機構30は、流体押圧機構25を備えている。流体押圧機構25は、第1キャリッジ31に設けられている。即ち、第1キャリッジ31のZ軸方向に移動に伴って、流体押圧機構25もZ軸方向に移動する。流体押圧機構25は、一対のスライドシャフト46Aと、一対のボールねじ46Bと、駆動モータ46Cと、スライダー47と、連結軸48とを有する。スライドシャフト46Aおよびボールねじ46Bは、Z軸方向に延びる。スライドシャフト46Aおよびボールねじ46Bは、第1キャリッジ31の第1部分31aおよび第2部分32bに支持されている。ボールねじ46Bは、スライドシャフト46Aの内方に配置されている。駆動モータ46Cは、第1キャリッジ31の第2部分31b上に設けられている。駆動モータ46Cは図示しないギアを介してボールねじ46Bに連結されている。駆動モータ46Cは、ボールねじ46Bを回転させる。駆動モータ46Cは、電動モータである。駆動モータ46Cは、制御装置100に制御される。スライダー47は、ボールねじ46Bに取り付けられている。スライダー47は、スライドシャフト46Aに摺動可能に設けられている。連結軸48は、スライダー47の下部に設けられている。連結軸48は、スライダー47から下方に向けて延びる。連結軸48の下端には、後述するプランジャ60に連結される連結部48Aが設けられている。連結部48Aには、上方に向けて凹みかつプランジャ60の上端(ここでは後述する棒状部65の上端)を保持する溝48Bが形成されている。プランジャ60は、例えば、ネジによって連結部48Aに固定されている。駆動モータ46Cが駆動されると、スライダー47は、ボールねじ46Bの回転により、スライドシャフト46Aに沿ってZ軸方向に移動する。即ち、スライダー47は、第1キャリッジ31のZ軸方向の移動から独立して、単独でZ軸方向に移動することができる。スライダー47がZ軸方向に移動することによって、プランジャ60がシリンジ50の後述する本体ケース51内を摺動する。即ち、スライダー47のZ軸方向の移動量(即ち駆動モータ46Cの駆動量)によって非圧縮性流体の吐出量が調整される。
【0025】
図2に示すように、Z軸方向移動機構36は、第2キャリッジ32に設けられている。Z軸方向移動機構36は、シリンジ50をZ軸方向に移動させる機構である。第2キャリッジ32は、Y軸方向およびX軸方向に延びる第1部分32aと、第1部分32aの上方に位置しかつY軸方向およびX軸方向に延びる第2部分32bと、第1部分32aの後端と第2部分32bの後端とを接続しかつZ軸方向に延びる第3部分32cとを有する。第3部分32cの一部は、第2部分32bより上方に位置する。Z軸方向移動機構36は、第1Z軸シャフト37aと、第2Z軸シャフト37bと、台形ネジ(図示せず)と、第1モータ38とを備えている。第1Z軸シャフト37a、第2Z軸シャフト37bおよび台形ネジは、Z軸方向に延びる。第1Z軸シャフト37aおよび第2Z軸シャフト37bは、第2キャリッジ32の第1部分32aと第2部分32bとに支持されている。台形ネジは、第2キャリッジ32の第2部分32bを貫通している。台形ネジの上端は、第1モータ38に連結されている。台形ネジの下端は、第1キャリッジ31に接続されている。第1モータ38は、台形ネジを回転させる。第1モータ38は、第2キャリッジ32の第2部分32b上に配置されている。第1モータ38は、電動モータである。第1モータ38は、制御装置100に制御される。第1Z軸シャフト37aおよび第2Z軸シャフト37bには、第1キャリッジ31がZ軸方向に摺動可能に設けられている。第1モータ38が駆動されると、第1キャリッジ31は、台形ネジの回転により、第1Z軸シャフト37aおよび第2Z軸シャフト37bに沿ってZ軸方向に移動する。
【0026】
図1に示すように、X軸方向移動機構40は、第3キャリッジ33に設けられている。X軸方向移動機構40は、シリンジ50をX軸方向に移動させる機構である。第3キャリッジ33は、箱型状に形成されている。第3キャリッジ33は、上壁部15より下方かつ底壁部12より上方に配置されている。第3キャリッジ33は、左側壁部13から右側壁部14に延びる。X軸方向移動機構40は、第1X軸シャフト41aと、第2X軸シャフト41bと、左側のプーリ43aと、右側のプーリ43bと、左側のプーリ43aおよび右側のプーリ43bに巻かれたワイヤー43cと、左側のプーリ43aに接続された第2モータ42とを備えている。第1X軸シャフト41aおよび第2X軸シャフト41bは、X軸方向に延びる。第1X軸シャフト41aおよび第2X軸シャフト41bは、第3キャリッジ33に支持されている。左側のプーリ43a、右側のプーリ43bおよびワイヤー43cは、第3キャリッジ33に設けられている。ワイヤー43cは、第1X軸シャフト41aの下方かつ第2X軸シャフト41bの上方に配置されている。ワイヤー43cは、第1X軸シャフト41aおよび第2X軸シャフト41bより後方に配置されている。ワイヤー43cの一部は、第2キャリッジ32に接続されている。第2モータ42は、左側のプーリ43aを回転させる。第2モータ42は、第3キャリッジ33に配置されている。第2モータ42は、電動モータである。第2モータ42は、制御装置100に制御される。第1X軸シャフト41aおよび第2X軸シャフト41bには、第2キャリッジ32がX軸方向に摺動可能に設けられている。ここでは、第1X軸シャフト41aおよび第2X軸シャフト41bは、第2キャリッジ32の第3部分32c(
図2参照)をX軸方向に貫通するように設けられている。第2モータ42が駆動されると、第2キャリッジ32は、ワイヤー43cの走行により、第1X軸シャフト41aおよび第2X軸シャフト41bに沿ってX軸方向に移動する。
【0027】
図1に示すように、Y軸方向移動機構44は、筐体11に設けられている。Y軸方向移動機構44は、シリンジ50をY軸方向に移動させる機構である。Y軸方向移動機構44は、左側壁部13および右側壁部14のそれぞれに、Y軸シャフト45と、前側のプーリ47aと、後側のプーリ47bと、前側のプーリ47aおよび後側のプーリ47bに巻かれたワイヤー47cとを備えている。Y軸方向移動機構44は、右側壁部14に配置された後側のプーリ47bに接続された第3モータ46を備えている。第3モータ46は、右側壁部14に設けられている。Y軸シャフト45は、Y軸方向に延びる。Y軸シャフト45は、左側壁部13および右側壁部14にそれぞれ支持されている。前側のプーリ47a、後側のプーリ47bおよびワイヤー47cは、左側壁部13および右側壁部14にそれぞれ設けられている。ワイヤー47cは、Y軸シャフト45の上方に配置されている。第3モータ46は、右側壁部14に設けられた後側のプーリ47bを回転させる。第3モータ46は、電動モータである。第3モータ46は、制御装置100に制御される。Y軸シャフト45には、第3キャリッジ33に接続された摺動部材33aがY軸方向に摺動可能に設けられている。摺動部材33aは、第3キャリッジ33と一体となって移動する。ワイヤー47cの一部は、摺動部材33aに接続されている。第3モータ46が駆動されると、第3キャリッジ33は、ワイヤー47cの走行により、Y軸シャフト45に沿ってY軸方向に移動する。
【0028】
図3に示すように、シリンジ50は、非圧縮性流体を収容するための容器である。シリンジ50の容量や構成材料等は特に限定されない。シリンジ50としては、例えば、容量が1mL~500mL程度の樹脂製のシリンジ(注射筒)が例示される。シリンジ50は、筒状に形成された本体ケース51と、本体ケース51内を摺動するプランジャ60と、本体ケース51に設けられた吐出部55と、を備えている。本体ケース51は、非圧縮性流体を収容可能な内部空間52を有する。ここでは、本体ケース51の軸方向は、Z軸方向と一致する。本体ケース51は、筒状に形成された本体部51Aと、本体部51Aの軸方向の一端(ここでは上端)に設けられた開口51Bと、本体部51Aの上端から径方向(軸方向と直交する方向)の外側に突出するフランジ部51Cと、を有する。開口51Bを介して本体部51A内に非圧縮性流体が収容される。フランジ部51Cは、本体部51Aの全周に亘って形成されている。なお、フランジ部51Cは、本体部51Aの周縁の一部にのみ設けられていてもよい。吐出部55は、プランジャ60の摺動により送られる非圧縮性流体を吐出する。ここでは、非圧縮性流体は、後述する吐出パイプ56およびノズル57を介して吐出される。吐出部55は、内部空間52と連通する。吐出部55は、筒状に形成された吐出パイプ56と、ノズル57とを有する。吐出パイプ56は、本体ケース51の本体部51Aの軸方向の他端(ここでは下端)に設けられている。吐出パイプ56は、本体部51Aと一体に形成されている。吐出パイプ56は、本体部51Aの下端から下方に向けて突出する。吐出パイプ56は、内部空間52と連通する。吐出パイプ56の横断面積は、本体部51Aの横断面積より小さい。ノズル57は、吐出パイプ56に着脱可能に設けられている。ノズル57は、吐出パイプ56に挿入されて取り付けられる。ノズル57は、吐出口の径が先細りするように円錐形状に形成されている。
【0029】
図3に示すように、プランジャ60は、本体ケース51内に挿入可能に構成されている。プランジャ60は、本体ケース51の本体部51Aの内壁に沿って摺動する。プランジャ60は、本体ケース51と共に内部空間52を区画する。プランジャ60は、本体ケース51内を摺動する摺動部61と、摺動部61に連結された棒状部65とを備えている。プランジャ60は、内部空間52と連通する内側開口62と、内部空間52内の圧縮性流体である空気を本体ケース51の外部に排出しかつ封止可能に形成された外側開口66と、内側開口62と外側開口66とを連通する連通路68と、を備えている。摺動部61は、本体部51Aの内壁と接触する第1部分61Aと、第1部分61Aに接続されかつ第1部分61Aから上方に延びる第2部分61Bとを有する。第2部分61Bの横断面積は、第1部分61Aの横断面積より小さい。摺動部61の第1部分61Aは、内側開口62に向かうほど吐出部55から離れる傾斜部分61Cを有する。ここでは、傾斜部分61Cは、本体ケース51の軸に向かうほど上方に傾斜している。第2部分61Bには、棒状部65が挿入される挿入孔61D(
図4も参照)が形成されている。棒状部65は、本体ケース51の軸方向(ここではZ軸方向)に延びる。棒状部65は、摺動部61から吐出部55に対して反対方向(ここでは上方)に延びる。棒状部65は、摺動部61の第2部分61Bに形成された挿入孔61Dに挿入されている。内側開口62は、摺動部61に形成されている。外側開口66は、棒状部65に形成されている。外側開口66は、本体ケース51の軸方向(ここでは上方)に向けて開口している。なお、外側開口66は、本体ケース51の軸方向と交差する方向(例えば水平方向)に向けて開口していてもよい。外側開口66は、例えば、ネジ69によって封止される。連通路68は、棒状部65に形成されている。連通路68は、棒状部65をZ軸方向に貫通するように形成されている。なお、外側開口66は、内部空間52に非圧縮性流体が供給されて、内部空間52内の空気が排出されるまでは開放されている。即ち、ここではネジ69によって封止されない。一方、内部空間52から空気が排出されて、吐出部55から非圧縮性流体を吐出するときには外側開口66は封止される。
【0030】
次に、シリンジ50の内部空間52から空気を抜く手順について説明する。
図5に示すように、先ず本体ケース51の本体部51A内に開口51Bから非圧縮性流体8を供給する。そして、本体部51A内にプランジャ60を挿入する。このとき、本体ケース51とプランジャ60とによって区画された内部空間52内には、非圧縮性流体8と共に多量の空気9が存在する。ここで、外側開口66を開放させることによって、内部空間52は、内側開口62、連通路68および外側開口66を介して、本体ケース51の外部と連通する。この状態で、プランジャ60を下方に移動させる(即ち内部空間52の容積を小さくする方向に移動させる)ことによって、内部空間52から非圧縮性流体8を吐出させることなく、
図5の矢印FLに示すように、内部空間52から空気9を外側開口66を通じて本体ケース51の外部に排出させることができる。そして、
図3に示すように、内部空間52から空気を十分に排出した後(例えばプランジャ60の摺動部61が非圧縮性流体8に接触する程度)に外側開口66をネジ69によって封止する。これにより、内部空間52内は密閉される。
【0031】
図2に示すように、駆動モータ46Cが駆動されてスライダー47が下方に移動することによって、連結軸48に連結されたプランジャ60が本体ケース51内を下方に移動して、本体ケース51内の内部空間52内の非圧縮性流体8(
図3参照)が吐出部55から外部に吐出される。ここで、非圧縮性流体8を収容する内部空間52には空気がほとんど存在しないため、非圧縮性流体8の吐出量を適切に制御することができる。一方、吐出部55から非圧縮性流体8の吐出を停止するときには、駆動モータ46Cを停止する前に、駆動モータ46Cを駆動させてスライダー47を上方にわずかに移動させる。これにより、連結軸48に連結されたプランジャ60が本体ケース51内を上方にわずかに移動するため、非圧縮性流体8が吐出部55から外部に吐出されることを強制的に停止することができる。
【0032】
以上のように、本実施形態のシリンジ50によると、本体ケース51内に非圧縮性流体8を収容した後に本体ケース51内にプランジャ60を挿入することで、内部空間52内に存在する空気9を本体ケース51の外部に排出することができる。即ち、プランジャ60を本体ケース51内に挿入することによって、プランジャ60の内側開口62、連通路68および外側開口66を通じて内部空間52内の空気9を本体ケース51の外部に排出することができる。そして、内部空間52内の空気9を十分に排出した後(例えばプランジャ60が非圧縮性流体8に接触した後)に外側開口66を封止することによって内部空間52を密閉することができる。これにより、意図した吐出量の非圧縮性流体8を遅れが生じることなく適切に吐出することができる。
【0033】
本実施形態のシリンジ50は、本体ケース51内を摺動する摺動部61と、摺動部61に連結され、吐出部55に対して反対方向かつ本体ケース51の軸方向に延びる棒状部65と、を備えている。内側開口62は、摺動部61に形成されている。外側開口66は、棒状部65に形成されている。連通路68は、棒状部65に形成されている。これにより、内側開口62から外側開口66まである程度の距離を確保することができるため、内部空間52から空気9を抜く際に内部空間52から非圧縮性流体8が本体ケース51の外部に流出することを抑制することができる。
【0034】
本実施形態のシリンジ50によると、摺動部61は、内側開口62に向かうほど吐出部55から離れる傾斜部分61Cを有する。これにより、内部空間52内の空気をより確実に本体ケース51の外部に排出することができる。
【0035】
本実施形態のシリンジ50によると、外側開口66は、本体ケース51の軸方向に向けて開口している。これにより、連通路68を比較的長くすることができるため、内部空間52から空気9を抜く際に内部空間52から非圧縮性流体8が本体ケース51の外部に流出することを抑制することができる。
【0036】
本実施形態の流体吐出装置10は、シリンジ50と、シリンジ50を着脱可能に支持するシリンジホルダ70と、プランジャ60に接続され、プランジャ60を本体ケース51の軸方向に移動させるシリンジ移動機構30と、を備えている。かかる構成によると、シリンジ移動機構30によってプランジャ60を吐出部55に近づく方向(ここでは下方)に移動させることで、吐出部55から非圧縮性流体8を吐出させることができる。また、シリンジ移動機構30によってプランジャ60を吐出部55から離れる方向(ここでは上方)に移動させることで、吐出部55からの非圧縮性流体8の吐出をより確実に停止することができる。
【0037】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0038】
上述した実施形態では、連通路68は、棒状部65に形成されていたが、これに限定されない。連通路68は、例えば、摺動部61および棒状部65のそれぞれに形成されていてもよい。また、外側開口66は、棒状部65に形成されていたが、摺動部61に形成されていてもよい。この場合、連通路68は、摺動部61に形成される。
【0039】
上述した実施形態では、外側開口66にネジ69を挿入する(即ちネジ69で栓をする)ことによって、外側開口66は封止されていたがこれに限定されない。例えば、外側開口66に連通する連通路68に開閉可能な弁を設けることによって、外側開口66の開放と閉鎖を実現してもよい。
【0040】
上述した実施形態では、プランジャ60は、ネジによって連結部48Aに固定されていたが、これに限定されない。例えば、
図6に示すように、プランジャ160と流体押圧機構25の連結部48Aとは磁力によって相互に固定されてもよい。
図6に示すように、流体押圧機構25は、磁石によって構成される第1連結部材150と、ヒットスイッチ152とを備えている。第1連結部材150は、連結部48A内に設けられている。なお、第1連結部材150は、連結部48Aの下面(即ち溝48Bを形成する面)に設けられていてもよい。ヒットスイッチ152は、連結部48Aの溝48Bから下方に向けて突出するように設けられている。ヒットスイッチ152は、プランジャ160の棒状部65に押圧されることにより上方(連結部48A内)に移動する。なお、ヒットスイッチ152は、図示しない付勢部材によって下方に向けて付勢されている。ヒットスイッチ152は、制御装置100(
図1参照)に接続されている。プランジャ160は、磁石によって構成される第2連結部材162を備えている。第2連結部材162は、棒状部65内に設けられている。第2連結部材162は、棒状部65が溝48Bに挿入されたときに、第1連結部材150と対向する位置に設けられている。なお、第2連結部材162は、棒状部65の上端に設けられていてもよい。
【0041】
図7に示すように、流体押圧機構25とシリンジ50とを連結するときには、まず、シリンジ50をシリンジホルダ70に保持させる。このとき、スライダー47は、シリンジ50(特に棒状部65)から十分に離れた位置に移動させる。また、ヒットスイッチ152は、押圧されていないため溝48Bから下方に突出したOFF状態にある。そして、駆動モータ46C(
図2参照)を駆動させてスライダー47を下方に移動させる。
図8に示すように、スライダー47を所定の距離だけ下方に移動させると、連結部48Aに設けられた第1連結部材150が棒状部65に設けられた第2連結部材162を引き付ける。即ち、
図6に示すように、第2連結部材162が第1連結部材150に引き付けられることによって、棒状部65(即ちプランジャ160)が上方に移動してヒットスイッチ152を押圧してON状態にすると共に、棒状部65が連結部48Aの溝48Bに保持される。なお、棒状部65の移動量は、棒状部65が上方に移動したときに吐出部55から空気が導入されない程度に設定するとよい。ヒットスイッチ152がON状態になることによって、制御装置100(
図1参照)は、流体押圧機構25の連結部48Aにプランジャ160の棒状部65が連結されたことを認識することができる。
【0042】
なお、上述した例では、ヒットスイッチ152は、連結部48Aの溝48Bに設けられていたが、連結部48Aの外部に設けられていてもよい。また、流体押圧機構25とシリンジ50とを連結するときのスライダー47の下方への移動量は、シリンジ50をシリンジホルダ70に保持させたときの棒状部65の上端のZ軸方向の位置を例えばレーザー変位計等を用いて検出した後に、その位置に応じて決定してもよい。
【0043】
本実施形態のシリンジ50によると、外側開口66は、本体ケース51の軸方向と交差する方向に向けて開口していてもよい。例えば
図6に示すように、棒状部65の上端がヒットスイッチ152と接触する場合には、外側開口66が本体ケース51の軸方向と交差する方向に向けて開口していることによって、ヒットスイッチ152の誤動作やヒットスイッチ152に汚れが付着することを抑制することができる。
【0044】
上述した実施形態では、吐出部55は、吐出口の径が先細りするように円錐形状に形成されたノズル57を有していたが、これに限定されない。
図9に示すように、シリンジ50Aの吐出部155は、ノズル57に代えて吐出口の径が一定であるニードル157を有していてもよい。ニードル157としては、例えば、第1ニードル157A(
図10A参照)および第2ニードル157B(
図11A参照)が挙げられる。第1ニードル157Aおよび第2ニードル157Bは、いずれも径(直径)を変更することなくニードルの軸方向(ここではZ軸方向)の長さを変更可能に形成されている。
図10Aに示すように、第1ニードル157Aには、複数の切れ目158が設けられている。ユーザは、任意の位置の切れ目158において第1ニードル157Aを切断することにより、
図10Bに示すように、第1ニードル157Aの長さを調整することができる。また、
図11Aに示すように、第2ニードル157Bは、ニードルの軸方向に変形可能な蛇腹状に形成されている。ユーザは、
図11Bに示すように、第2ニードル157Bの長さを調整することができる。上述のように、ニードル157の長さを調整することによって、ニードル157の径が比較的小さい場合であってもより多様な非圧縮性流体をニードル157から吐出することができたり、ニードル157の径を変更することなくニードル157から吐出される非圧縮性流体の量を変更したりすることができる。
【符号の説明】
【0045】
8 非圧縮性流体
9 空気
10 流体吐出装置(非圧縮性流体吐出装置)
25 流体押圧機構
30 シリンジ移動機構
50 シリンジ
51 本体ケース
52 内部空間
55 吐出部
60 プランジャ
61 摺動部
62 内側開口
65 棒状部
66 外側開口
68 連通路