(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053775
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】積荷の搬送装置
(51)【国際特許分類】
B60P 1/00 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
B60P1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020160580
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】相羽 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】早川 重幸
(57)【要約】
【課題】スライド床材同士の金属接触を防止しつつ、水が凍結する環境下でのスライド床材の浮き上がりを防止する。
【解決手段】貨物自動車の荷台上に、長手方向を前後に向けてスライド可能に敷き詰められることで床面10を形成する複数本の金属製のスライド床材4と、隣り合うスライド床材4の間に設けられた非金属製のパッド23と、を備える。隣り合うスライド床材4同士は、床面10から所定の深さまで一定の寸法だけ左右に離間した第1の離間部21を形成し、第1の離間部21の下方に第1の離間部21より大きく左右に離間した第2の離間部22を形成する。パッド23は、積荷が第2の離間部22に入らないように、少なくとも第1の離間部21から第2の離間部22に遷移する部分24を閉塞する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物自動車の荷台上に、長手方向を前後に向けてスライド可能に敷き詰められることで床面を形成する複数本の金属製のスライド床材と、
隣り合う前記スライド床材の間に設けられた非金属製のパッドと、
を備える積荷の搬送装置であって、
隣り合う前記スライド床材同士は、前記床面から所定の深さまで一定の寸法だけ左右に離間した第1の離間部を形成し、前記第1の離間部の下方に前記第1の離間部より大きく左右に離間した第2の離間部を形成し、
前記パッドは、積荷が前記第2の離間部に入らないように、少なくとも前記第1の離間部から前記第2の離間部に遷移する部分を閉塞する、
ことを特徴とする積荷の搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の積荷の搬送装置において、
前記パッドは、前記第2の離間部において隣り合う前記スライド床材の一方に保持されている、ことを特徴とする積荷の搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の積荷の搬送装置において、
前記パッドは、隣り合う前記スライド床材の前記一方に対する接触面積が、隣り合う前記スライド床材の他方に対する接触面積よりも大きい、ことを特徴とする積荷の搬送装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の積荷の搬送装置において、
前記パッドは、前記第1の離間部の全部を閉塞する、ことを特徴とする積荷の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物自動車の荷台に搭載される積荷の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の積荷の搬送装置は、例えば特許文献1に開示されている(但、特許文献1では、「スライドデッキ装置」と称している。)。積荷の搬送装置は、長手方向を前後に向けてスライド可能に敷き詰められた多数のスライド床材を備えている。
【0003】
特許文献1に開示された積荷の搬送装置では、
図9に示すように、隣り合うスライド床材34同士の金属接触を回避するため、スライド床材34同士が左右に離間している。すなわち、隣り合うスライド床材34同士は、スライド床材34の上面が形成する床面40から所定の深さまで一定の寸法だけ左右に離間した第1の離間部51を形成し、第1の離間部51の下方に第1の離間部51より大きく左右に離間した第2の離間部52を形成している。第2の離間部52には、シール材53が設けられている。シール材53は、小さな積荷(例えば、木材チップ、肥料、穀類など)がスライド床材34同士の離間部51を通じて荷台の床36の上に堆積することを防止するために設けられ、ひいては、積荷の運搬ロスを防止するために設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、第1の離間部51からは、積荷のほか水も侵入する。侵入した水は、第2の離間部に設けられたシール材53の上に溜まった積荷に吸収される。
【0006】
しかしながら、第2の離間部52に溜まった積荷に水が吸収されると、冬場など気温が氷点下になった場合、その水が凍結して膨張し、スライド床材34の一部を浮き上がらせてしまう。そうなると、スライド床材34の一部に設計上予定していない負荷が掛かってしまう。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて創案されたものであり、スライド床材同士の金属接触を防止しつつ、水が凍結する環境下でのスライド床材の浮き上がりを防止できる積荷の搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様に係る積荷の搬送装置は、貨物自動車の荷台上に、長手方向を前後に向けてスライド可能に敷き詰められることで床面を形成する複数本の金属製のスライド床材と、隣り合う前記スライド床材の間に設けられた非金属製のパッドと、を備える。隣り合う前記スライド床材同士は、前記床面から所定の深さまで一定の寸法だけ左右に離間した第1の離間部を形成し、前記第1の離間部の下方に前記第1の離間部より大きく左右に離間した第2の離間部を形成する。前記パッドは、積荷が前記第2の離間部に入らないように、少なくとも前記第1の離間部から前記第2の離間部に遷移する部分を閉塞する。
【0009】
本発明の第2態様に係る積荷の搬送装置は、第1態様に係る積荷の搬送装置において、前記パッドは、前記第2の離間部において隣り合う前記スライド床材の一方に保持されている。
【0010】
本発明の第3態様に係る積荷の搬送装置は、第2態様に係る積荷の搬送装置において、前記パッドは、隣り合う前記スライド床材の前記一方に対する接触面積が、隣り合う前記スライド床材の他方に対する接触面積よりも大きい。
【0011】
本発明の第4態様に係る積荷の搬送装置は、第1態様乃至第3態様の何れか1に係る積荷の搬送装置において、前記パッドは、前記第1の離間部の全部を閉塞する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スライド床材同士の金属接触を防止しつつ、水が凍結する環境下でも、スライド床材が浮き上がることのない積荷の搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】積荷の搬送装置を荷台に搭載した貨物自動車の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態におけるスライド床材、パッド、ガイド部材等を示す断面図である。
【
図3】貨物自動車の荷台上に搭載された積荷の搬送装置の平面図である。
【
図4】本発明の実施形態におけるスライド床材およびパッドを示す断面図である。
【
図5】本発明の実施形態の変形例におけるスライド床材およびパッドを示す断面図である。
【
図6】本発明の実施形態におけるスライド床材、パッドおよびビスを後方から視た図である。
【
図7】本発明の他の実施形態におけるスライド床材およびパッドを示す断面図である。
【
図8】本発明の他の実施形態におけるスライド床材およびパッドを示す断面図である。
【
図9】従来例に係るスライド床材およびパッドを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る積荷の搬送装置について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る積荷の搬送装置1は、貨物自動車2の荷台3上に、長手方向を前後に向けてスライド可能に敷き詰められた多数本の金属製のスライド床材4を備える。
【0015】
スライド床材4は、
図2および
図3に示すように、断面略C字状に形成され、荷台3の床6上に配置された断面略T字状のガイド部材7に前後方向にスライド自在に支持されている。多数本のスライド床材4は、
図2に示すように、床面10を形成する。各スライド床材4は、
図3に示すように、前後方向に間隔をおいて配置された複数のガイド部材7に支持されている。
図2において、符号8は、荷台3の側壁部であり、符号9は、側壁部18と最も左側に配設されたスライド床材4との間を覆う見切縁材である。見切縁材9には、スライド床材4との隙間を閉塞するパッドPが設けられている。なお、上記したスライド床材4およびガイド部材7の断面形状は一例である。
【0016】
スライド床材4は、荷台3上で横方向に延びた複数の横軸材14~16の何れかに連結されている。横軸材14~16は、第1~第3のアクチュエータ11~13によってそれぞれ前後方向に移動される。
【0017】
多数本のスライド床材4は、第1のアクチュエータ11によって前後方向にスライドする第1組のスライド床材4Aと、第2のアクチュエータ12によって前後方向にスライドする第2組のスライド床材4Bと、第3のアクチュエータ13によって前後方向にスライドする第3組のスライド床材4Cとに組み分けされる。第1組のスライド床材4A、第2組のスライド床材4Bおよび第3組のスライド床材4Cは、荷台3の横方向に順次繰り返し配列されている。また、第1組のスライド床材4A、第2組のスライド床材4Bおよび第3組のスライド床材4Cは、所定の前位置と所定の後位置との間で前後にスライドする。第1のアクチュエータ11、第2のアクチュエータ12および第3のアクチュエータ13は互いに独立して動作可能である。なお、スライド床材4の組数および互いに独立して動作可能なアクチュエータの数は、3に限定されず、4以上であってもよい。
【0018】
貨物自動車の荷台3に荷を積み込む際は、荷が木材チップ、肥料、穀類などのように、荷台3の上方から投入可能なものであれば、積荷の搬送装置1を作動させることなく、荷台3の上方から荷が投入される。一方、荷が荷台3の上方から投入することが好ましくないもの、例えば大きな岩などである場合は、積荷の搬送装置1を使用して荷台3に荷が積み込まれる。この場合、全てのスライド床材4A~4Cが前位置にある状態から、第1組のスライド床材4Aを後位置までスライドさせるA動作を行う。A動作の後、第2組のスライド床材4Bを後位置までスライドさせるB動作を行う。B動作の後、第3組のスライド床材4Cを後位置までスライドさせるC動作を行う。C動作の後、第1組、第2組および第3組のスライド床材4A~4Cを同時に前位置までスライドさせるD動作を行う。その後、上記A動作、B動作、C動作およびD動作を順次繰り返し行い、最後にD動作を行って積み込み作業を完了する。
【0019】
貨物自動車の荷台3から積荷を排出する際は、全てのスライド床材4A~4Cが前位置にある状態から、第1組、第2組および第3組のスライド床材4A~4Cを同時に後位置までスライドさせるE動作を行う。E動作の後、第3組のスライド床材4Cを前位置までスライドさせるF動作行う。F動作の後、第2組のスライド床材4Bを前位置までスライドさせるG動作を行う。G動作の後、第1組のスライド床材4Aを前位置までスライドさせるH動作を行う。その後は、排出が完了するまで、上記E動作、F動作、G動作およびH動作を繰り返し行い、最後にH動作を行って排出作業を完了する。
【0020】
以下、本実施形態に係る積荷の搬送装置の特徴的部分について詳しく説明する。
【0021】
図4に示すように、隣り合うスライド床材4同士は、床面10から所定の深さまで一定の寸法だけ左右に離間した第1の離間部21を形成しており、さらに、第1の離間部21の下方に第1の離間部21より大きく左右に離間した第2の離間部22を形成している。
図4に示す例では、第1の離間部21を形成する左右のスライド床材4の側面4bは、スライド床材4のスライド方向および鉛直方向に対して略平行な平坦面を成している。また、第2の離間部22を形成する左右のスライド床材4のうちの一方のスライド床材4(本実施形態ではパッド23の左側のスライド床材4)の側面は、下方に行くにつれて他方のスライド床材4(本実施形態ではパッド23の右側のスライド床材4)から離れるように傾斜した傾斜面4cを形成し、更にその下方に後述する保持部4aを形成している。また、第2の離間部22を形成する左右のスライド床材4のうちの他方のスライド床材4の側面は、下方に行くにつれて一方のスライド床材4から離れるように形成された凹円弧面4dを形成し、更にその下方に、緩やかに凸状に湾曲した湾曲面4eを形成している。なお、
図4に例示する凹円弧面4dは、断面が1/4円弧状であって、一端が第1の離間部21を形成するスライド床材4の側面4bと略直角に繋がり、他端が上記湾曲面4eに繋がっている。
【0022】
隣り合うスライド床材4の間には、非金属製のパッド23が設けられている。パッド23には、金属製のスライド床材4より柔らかい材料、例えば樹脂等が用いられる。
【0023】
パッド23は、木材チップ、肥料、穀類などのように粒状の積荷が第2の離間部22に入らないように、少なくとも第1の離間部21から第2の離間部22に遷移する部分24を閉塞する。パッド23は、第2の離間部22において、隣り合うスライド床材4の一方(本実施形態ではパッド23の左側のスライド床材4)に保持されている。パッド23は、保持されている方のスライド床材4に対する接触面積が、保持されていない方のスライド床材4に対する接触面積よりも大きい。本実施形態では、パッド23は、保持されている方のスライド床材4に倣う形状とされている。
【0024】
パッド23は、薄肉部23aと、薄肉部23aより厚肉に形成された厚肉部23bとを備えている。
【0025】
薄肉部23aは、第1の離間部21の離間寸法と略同じ寸法の厚さを有し、第1の離間部21を閉塞する。
図4に示す例では、薄肉部23aは、第1の離間部21の全部を閉塞している。すなわち、薄肉部23aは、床面10から上記遷移する部分24に至るまで形成された第1の離間部21の全てを閉塞している。但し、薄肉部23aは、必ずしも第1の離間部21の全部を閉塞する必要はなく、第1の離間部21の一部を閉塞する薄肉部23a1であってもよい。例えば
図5に示すように、第1の離間部21のうち、上記遷移する部分24から床面10より低い位置までの間を閉塞する薄肉部23a1であってもよい。
【0026】
厚肉部23bは、薄肉部23aの下方に連続して形成されている。厚肉部23bの厚さ寸法は、第2の離間部22の離間寸法より小さい。厚肉部23bは、隣り合うスライド床材4の一方(本実施形態ではパッド23の左側のスライド床材4)に倣う形状とされ、他方のスライド床材4に対しては接触せずに離れて隙間18を形成している。
【0027】
また、厚肉部23bは、第2の離間部22において、隣り合うスライド床材4の一方(本実施形態ではパッド23の左側のスライド床材4)に形成された保持部4aに保持されている。本実施形態では、保持部4aは、上方ないし斜め上方に開口した断面C字状に形成されており、この保持部4aに厚肉部23bの下端部が嵌め込まれている。保持部4aから厚肉部23bの下端部が容易に抜け落ちないように、厚肉部23bの断面の一部にくびれ23cが形成され、このくびれ23cに保持部4aの一部が食い込むように、保持部4aの断面が形成されている。
【0028】
パッド23がスライド床材4に対して前後方向にずれないように、保持部4aの前端部と後端部には、例えば
図6に示すように、ビス26等の部材がねじ込まれる。この場合、パッド23の前端は、ビス26等の部材がねじ込まれた分だけ、スライド床材4の前端より、後方に位置する。パッド23の後端は、ビス26等の部材がねじ込まれた分だけ、スライド床材4の後端より、前方に位置する。
【0029】
以上の構成を備える積荷の搬送装置1によれば、以下の作用効果が奏される。
【0030】
(1)パッド23が少なくとも第1の離間部21から第2の離間部22に遷移する部分24を閉塞していることから、第2の離間部22に積荷が溜まることがない。そのため、第1の離間部21を通じて第2の離間部22に水が侵入しても、その水は、第2の離間部22に留まることなく、下方に排出される。これにより、スライド床材4同士の金属接触を防止しつつ、水が凍結する環境下でのスライド床材4の浮き上がりを防止できる。少なくともパッド23が上記遷移する部分24を閉塞することで、閉塞した部分よりも上側に、仮に水が溜まって凍結しても、閉塞した部分より上側には、スライド床材4が下から上に力を受ける部分が存在しないため、スライド床材4の浮き上がりを回避できる。
【0031】
(2)パッド23は、隣り合うスライド床材4の一方(本実施形態では左側)に対する接触面積が、隣り合うスライド床材4の他方(本実施形態では右側)に対する接触面積よりも大きい。接触面積の大小によって摺動抵抗に差が生じ、パッド23は、接触面積の大きい方のスライド床材4(パッド23を保持する方のスライド床材4)に対して摺動せず保持された状態で、接触面積の小さい方のスライド床材4に対して摺動する。よって、パッド23が接触面積の大きい方のスライド床材に対して摺動する場合と比較して摺動抵抗を抑えることができる。特に、パッド23がスライド床材4に対して摺動する部分が、パッド23の一部である薄肉部23aに限定されるため、パッド23がスライド床材4に対して摺動する部分が、パッド23の薄肉部23aのみならず、厚肉部23bでもある場合と比較して摺動抵抗を大幅に抑えることができる。
【0032】
(3)パッド23と、隣り合うスライド床材4の他方(本実施形態では右側)との間に隙間18が存在するため、第2の離間部22に侵入する水を効率的に排水することができる。
【0033】
(4)パッド23は、隣り合うスライド床材4のうち、接触面積が大きい方(本実施形態では左側)のスライド床材4に保持されているので、万一、スライド床材4の前端部又は後端部の保持部4aにねじ込まれたビス26等の部材が緩んだり、外れたりしても、パッド23は、接触面積が大きい方のスライド床材4に密着したまま保持される。パッド23は、下部が左側のスライド床材4に保持され、上部が上記遷移する部分24に保持される(下部と上部とが二点支持される)。よって、左側のスライド床材4に接触した状態を確実に維持できる。また、右側のスライド床材4との間に隙間を空けた状態を維持でき、第2の離間部22に入り込んだ水をその隙間から確実に排水できる。
【0034】
<他の実施形態1>
既述した実施形態では、パッド23の薄肉部23aが第1の離間部21に挿入されていたが(
図4および
図5を参照)、例えば
図7に示すように、薄肉部23aの上下寸法を極小とし、或いは、薄肉部23aを省略したパッド23Aを採用し、第1の離間部21から第2の離間部22に遷移する部分24のみを閉塞するようにしてもよい。この場合も、第2の離間部22に積荷が侵入しないため、水が凍結する環境下でのスライド床材4の浮き上がりを防止できる。
【0035】
<他の実施形態2>
既述した実施形態では、パッド23の厚肉部23bの全体が、隣り合うスライド床材4の一方(本実施形態ではパッド23の左側のスライド床材4)に倣う形状とされていたが、例えば
図8に示すように、厚肉部23bの一部がスライド床材4の一方から離れた形状を有するパッド23Bとすることも可能である。この場合も、以下の作用効果が得られる。
【0036】
(1)パッド23Bが少なくとも第1の離間部21から第2の離間部22に遷移する部分24を閉塞していることから、第2の離間部22に積荷が溜まることがない。そのため、第1の離間部21を通じて第2の離間部22に水が侵入しても、その水は、第2の離間部22に留まることなく、下方に排出される。これにより、スライド床材4同士の金属接触を防止しつつ、水が凍結する環境下でのスライド床材4の浮き上がりを防止できる。
【0037】
(2)パッド23Bは、厚肉部23bの一部がスライド床材4の一方から離れた形状であるものの、隣り合うスライド床材4の一方(
図8では左側)に対する接触面積が、隣り合うスライド床材4の他方(
図8では右側)に対する接触面積よりも大きい。接触面積の大小によって摺動抵抗に差が生じ、パッド23Bは、接触面積の大きい方のスライド床材4(パッド23Bを保持する方のスライド床材4)に対して摺動せず保持された状態で、接触面積の小さい方のスライド床材4に対して摺動する。よって、パッド23Bが接触面積の大きい方のスライド床材に対して摺動する場合と比較して摺動抵抗を抑えることができる。特に、パッド23Bがスライド床材4に対して摺動する部分が、パッド23Bの一部である薄肉部23aに限定されるため、パッド23Bがスライド床材4に対して摺動する部分が、パッド23Bの薄肉部23aのみならず、厚肉部23bでもある場合と比較して摺動抵抗を大幅に抑えることができる。
【0038】
(3)パッド23Bと、隣り合うスライド床材4の他方(
図8では右側)との間に隙間18が存在するため、第2の離間部22に侵入する水を効率的に排水することができる。
【0039】
(4)パッド23Bは、隣り合うスライド床材4のうち、接触面積が大きい方(
図8では左側)のスライド床材4に保持されているので、万一、スライド床材4の前端部又は後端部の保持部4aにねじ込まれたビス26等の部材が緩んだり、外れたりしても、パッド23Bは、接触面積が大きい方のスライド床材4に密着したまま保持される。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、例えば、貨物自動車の荷台に積載される積荷の搬送装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 積荷の搬送装置
2 貨物自動車
3 荷台
4 スライド床材
4a 保持部
10 床面
21 第1の離間部
22 第2の離間部
23 パッド
24 第1の離間部から第2の離間部へ遷移する部分