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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053797
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
G01N21/84 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020160617
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】392026888
【氏名又は名称】京都電機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】山本 誠
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AA61
2G051AA90
2G051AB02
2G051AB11
2G051AB20
2G051BA01
2G051BB03
2G051CB01
(57)【要約】
【課題】ハーフミラーの撓みの発生を抑制可能な照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置は、筐体と、筐体に保持された光源3と、筐体に収容保持されたハーフミラー4と、を備える。ハーフミラー4は、光源3から照射された光を透過又は反射して対象物に照射させる。筐体は、相互に対向配置された一対の側壁5を備え、各側壁5は、側板51と、抑え面を有する抑え部材53と、を備える。側板51の内面には直線状に斜めに延びる第1段部が設けられている。ハーフミラー4は、その厚み方向において、側板51の第1段部と抑え部材53の抑え面によって挟持されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に保持された光源と、
前記筐体に収容保持されたハーフミラーと、を備え、
前記ハーフミラーは、前記光源から照射された光を第1方向へ透過又は反射して対象物に照射させ、
前記筐体は、前記第1方向と垂直な第2方向において相互に対向配置された一対の側壁を備え、
各側壁は、側板と、抑え面を有する抑え部材と、を備え、
前記側板の内面には、前記ハーフミラーの反射面と平行な第3方向に直線状に延びる第1段部が設けられ、
前記ハーフミラーは、その厚み方向において、前記側板の前記第1段部と前記抑え部材の前記抑え面によって挟持されている照明装置。
【請求項2】
前記側板の内面には前記ハーフミラーの反射面に対して傾斜する斜面が設けられ、前記ハーフミラーの下端は前記斜面により下方から支持される請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記側板は、前記抑え部材の外面全体を覆う請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記側板の内面には更に第2段部が設けられ、前記第2段部は前記抑え部材の下端面を下方から支持する請求項1~3の何れかに記載の照明装置。
【請求項5】
前記側板の前記第1段部と前記ハーフミラーの間には第1の緩衝部材が介在し、前記抑え部材の前記抑え面と前記ハーフミラーの間には第2の緩衝部材が介在する請求項1~4の何れかに記載の照明装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像処理検査等において対象物を照明するために用いられる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体等の工業製品の品質や商品パッケージに施される印字等を製造ライン上で検査する際に、CCDカメラ等による撮像を利用した画像処理検査が行われている。このような画像処理検査で用いる照明装置として、同軸落射型照明装置が提案されている。同軸落射型照明装置は、筐体に保持されたハーフミラーを備え、光源からの照射光をハーフミラーで反射して対象物に照射し、対象物からの反射光がハーフミラーを介してカメラに到達するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図9図11を参照して、従来の同軸落射型照明装置におけるハーフミラーの固定方法について説明する。図9及び図10に示す様に、筐体201は相互に対向する一対の側板205を備え、各側板205の内面には斜めに延びる溝205aが形成されている。ハーフミラー204は矩形平板状であり、幅方向両端が側板205の溝205aに嵌め込まれて位置決め固定される。また、各側板205には溝205aに連通する凹部が設けられ、この凹部に嵌め込まれたクッション材206により、ハーフミラー204のガタツキや位置ずれを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-340806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の様にハーフミラー204を幅方向両側から側板205で挟み込む従来の固定方法では、図11に示す様にハーフミラー204に対して幅方向から圧力がかかり、ハーフミラー204が撓んで破損する恐れがあった。特に薄肉のハーフミラーを用いる場合には破損の恐れが高いという問題があった。また、ハーフミラー204を溝205aに差し込んで組み立てることから、組立性が悪いという問題もあった。
【0006】
本発明は、ハーフミラーの撓みの発生を抑制可能な照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る照明装置は、筐体と、前記筐体に保持された光源と、前記筐体に収容保持されたハーフミラーと、を備え、前記ハーフミラーは、前記光源から照射された光を第1方向へ透過又は反射して対象物に照射させ、前記筐体は、前記第1方向と垂直な第2方向において相互に対向配置された一対の側壁を備え、各側壁は、側板と、抑え面を有する抑え部材と、を備え、前記側板の内面には、前記ハーフミラーの反射面と平行な第3方向に直線状に延びる第1段部が設けられ、前記ハーフミラーは、その厚み方向において、前記側板の前記第1段部と前記抑え部材の前記抑え面によって挟持されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る照明装置によれば、ハーフミラーは厚み方向において各側壁の側板における第1段部と抑え部材の抑え面によって挟持されて保持されるので、ハーフミラーに対して圧力が幅方向から加わらず、ハーフミラーの撓みの発生を抑制できる。また、照明装置の組立ても容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る照明装置を備える撮像システムの全体構成を示す概略図。
図2】本発明の実施形態に係る照明装置の外観斜視図。
図3図2に示す照明装置の分解斜視図。
図4図2に示す照明装置が備える抑え部材と緩衝材を示す図であり、(a)は抑え部材に緩衝材を貼付する前の状態を示す分解斜視図、(b)は抑え部材に緩衝材を貼付した状態を示す斜視図。
図5図2に示す照明装置が備える側板と緩衝材を示す分解斜視図。
図6】ハーフミラーの保持構造を説明する図2のVI-VI線断面図。
図7】(a)は、本発明の実施形態の変形例に係る照明装置を示す外観斜視図、(b)はその分解斜視図。
図8】本発明の他の実施形態に係る照明装置を備える撮像システムの全体構造を示す概略図。
図9】従来の照明装置の分解斜視図
図10図9の照明装置におけるハーフミラーの保持構造を示す図。
図11図9の照明装置おけるハーフミラーに対する圧力方向を示す説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る照明装置を備える撮像システムについて説明する。図1に示す撮像システムSは、対象物Bを照明する照明装置1と、対象物Bを撮像する撮像装置Cと、を備える。照明装置1は同軸落射照明装置であって、筐体2と、筐体2に収容保持された光源3,ハーフミラー4,及び拡散板12を備える。
【0011】
図1図3に示す様に、筐体2は下側に照射孔2aが開口された直方体形状を有し、左右一対の側壁5、前壁7と、後壁8と、上壁9と、下壁10と、を備える。なお、図3において前壁7と拡散板12は省略している。上壁9には矩形状の透過窓9aが形成され、この透過窓9aには透過部材11が嵌め込まれている。光源3は筐体2の後壁8の内面に配置され、面状に配置された複数個の発光素子31(本実施形態ではLED素子)を備える。各発光素子31の光軸は前方(前後方向D4)に延びている。
【0012】
ハーフミラー4は、入射する光の一部を反射し、一部を透過するミラーであって、本実施形態におけるハーフミラー4は、光源3よりも前方位置において後上方向(第3方向D3)に向けて斜めに配置され、光源3からの光L1を対象部Bに向かって下方向(上下方向D1/第1方向)に反射させると共に、対象物Bからの反射光L2を撮像装置Cに向けて透過させる。撮像装置Cは、ハーフミラー4を介して対象物Bに対向配置され、対象物Bからの反射光L2を取り込む。
【0013】
かかる構成において、光源3から前方に向かって発せられて拡散板12により拡散された光L1は、ハーフミラー4により下方に反射され、照射孔2aを介して対象物Bを照射する。そして、対象物Bにより正反射された光L2は、照射孔2aを介して筐体2内に入り、ハーフミラー4及び透過窓9aを透過して撮像装置Cに到達し、撮像装置Cによって撮像される。
【0014】
次に、筐体2に対するハーフミラー4の固定方法について説明する。図3図5を参照して、筐体2の各側壁5は、側板51と、抑え部材53と、を備え、側板51の内面51Aには段部52が形成されている。この段部52は、後上方向D3に向かって斜めに直線状に延びる第1段部52aと、第1段部52aよりも前方位置にておいて前後方向D4に延びる第2段部52bと、を有し、また第1段部52aと第2段部52bの間には斜め下方に(ハーフミラー2に対して傾斜して)延びる斜面52cが設けられている。第1段部52aの長さは、ハーフミラー4の長手方向長さと略同一とされている。
【0015】
また、側板51の内面51Aに段部52を設けたことにより、側板51の内面51Aは、段部52よりも下方に位置する第1部分51Aaと、段部52よりも上方に位置する第2部分51Abとに分割されている。
【0016】
抑え部材53は、片側の2角が直角な下向き台形形状を有する板状部材であって、台形の底辺を構成し前後方向D4に延びる上端面53aと、上下方向D1に延びる前端面53bと、台形の上辺を構成し前後方向D4に延びる下端面53cと、後上方向D3に向かって斜めに延びる抑え面53dと、下向き台形形状を有する外面53e及び内面53fと、を備える。
【0017】
かかる構成において、ハーフミラー4は、その幅方向D2(第2方向)における両端部が側板51の第1段部52aと抑え部材53の抑え面53dにより挟持されて保持される。即ち、側板51の第1段部52aは、ハーフミラー4を下方から支持する支持面として機能し、抑え部材53の抑え面53dはハーフミラー4を上方から抑える抑え面として機能し、これによりハーフミラー4は支持面(第1段部)52aと抑え面53dによって厚み方向に挟持されて保持される。また、ハーフミラー4の下端44は、その幅方向D2における両端部分が側板51の斜面52cにより下方から支持され、ハーフミラー4の筐体2への取り付けの際にハーフミラー4が支持面52aから落下するのを防止している。
【0018】
また、筐体2は更に各側壁5に貼付された緩衝材6を備える。緩衝材6は、側板51に貼付された緩衝部材61、62、63と、抑え部材53に貼付された緩衝部材64と、を備える。緩衝部材61(第1の緩衝部材)はハーフミラー4の下面41(図1:反射面)に当接するように支持面52aに貼付され、緩衝部材62はハーフミラー4の側端縁43(図3)に幅方向D2外方から対向するように側板51の内面51A(より具体的には内面51Aの第2部分51Ab)に支持面52aに沿って貼付され、緩衝部材63はハーフミラー4の下端44と当接するように側板51の斜面52cに貼付されている。また、緩衝部材64(第2の緩衝部材)は、ハーフミラー4の上面42と当接するように抑え部材53の抑え面53dに貼付されている。これにより、ハーフミラー4は側板51や抑え部材53に直接当接せず、間には緩衝材6が介在することになるので、ハーフミラー4にかかるストレスを緩和し、ハーフミラー4の破損や歪みを防止している。
【0019】
このようなハーフミラー4の筐体2への取り付けは次の様に行う。まず、緩衝部材61~64をそれぞれ、側板51の支持面52a,内面51A,斜面52c、及び抑え部材53の抑え面53dに貼付する。次に、ハーフミラー4を側板51の支持面52aに載置する。このとき、ハーフミラー4の下端44は斜面52cによって支持されるので、ハーフミラー4が支持面52aから滑り落ちることはない。次に、抑え部材53の下端面53cが側板51の第2段部52bに当接し、抑え部材53の抑え面53dが側板51の支持面52aに対向するように、抑え部材53を側板51の段部52に載置する。これにより抑え部材53の下端面53c及び抑え面53dは、第2段部52b及び第1段部52aにより下方から支持される。
【0020】
その後、図3に示す様に、側板51に挿通されたネジN1を抑え部材53のネジ穴53hに螺合させることで抑え部材53が側板51に固定され、ハーフミラー4は側板51と抑え部材53により挟持されて保持される。この状態において、側板51の上端面51Bと抑え部材53の上端面53aは面一となり、抑え部材53の外面53e全体が側板51によって覆われる。
【0021】
その結果、図6に示す様に、ハーフミラー4は、その厚み方向において側板51と抑え部材53により挟持されて保持される。よって、ハーフミラーが幅方向D2から圧力を受ける従来の構成と異なり、ハーフミラー4における撓みの発生を抑えると共に、ハーフミラー4を破損しにくくすることができる。また、ハーフミラー4と側壁5の間には緩衝材6が設けられているので、ハーフミラー4の破損や歪みを更に効果的に防止できると共に、組み付け誤差を吸収できる。更に、従来のようにハーフミラーを溝に挿入して組み立てる方式と比較して、組み立てが容易であり、組立性を改善している。
【0022】
抑え部材53は側板51の内側に完全に収まる構成であることから、側壁5の外面51Cが平坦になり、抑え部材53と側板51との間の段部が側壁5の外面51Cに現れることによって美観が損なわれることがない。
【0023】
また、照明装置1を外部の支持部材に固定して用いることが多く、筐体2の側壁5を当該支持部材に固定する場合は、側壁5の外面51Cが平坦であることから、支持部材に対する筐体2の取り付けを良好に行うことができる。即ち、側壁5の外面51Cに段差があると、筐体2を支持部材に取り付けた際にガタツキが生じる恐れがあるが、本実施形態の構成ではこのような問題は生じない。
【0024】
更に、本実施形態では抑え部材53の変更のみで異なる厚さのハーフミラー4を装着できる。
【0025】
次に、本実施形態の変形例にかかる照明装置について図7を参照して説明する。なお、上述の照明装置1と実質同一の構成部材には同一の参照番号を付し、説明を省略する。図7に示す様に、本変形例に係る照明装置101は、側壁5に代えて側壁105を備え、側壁105は、側板151と抑え部材153を有する。側壁151は側壁51と略同一であるが、前上部分が切り欠かれ、逆向き略への字状の前上端面151fを有する。また、抑え部材153は、抑え部材53と略同一であるが、外面153eには下向きの段部153fが設けられ、段部153fの形状は側壁151の前上端面151fの形状に対応している。
【0026】
かかる構成において、上記実施形態と同様にハーフミラー4と緩衝材6を間に介在させて抑え部材153を側壁151の段部52に載置して組み立てると、抑え部材153の段部153fが側壁151の前上端面151fに上方から当接する。
【0027】
以上、本発明の実施形態に係る照明装置について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0028】
例えば、上記実施形態では、ハーフミラー4によって光源3からの光L1を対象物Bに向けて反射し、対象物Bにより正反射された光L2がハーフミラー4を透過して撮像装置Cに到達するように構成したが、図8に示す様に、光源3からの光L1はハーフミラー4を透過し、対象物Bにより正反射された光L2をハーフミラー4により撮像装置Cに向けて反射するように構成してもよい。
【0029】
また、上記実施形態においては光源3は面状に配置された複数個の発光素子31を備えるが、幅方向にライン状に配列された複数個の発光素子31を備えても良く、単一の発光素子31のみを備えても良い。また、照明装置1(101)の外観は図2図7)に示すものに限定されず、筐体2の縦横の比率も任意に設定変更可能である。
【符号の説明】
【0030】
1、101 照明装置
2 筐体
3 光源
4 ハーフミラー
5、105 側壁
6 緩衝材
51、151 側板
52 段部
52a 第1段部(支持面)
52b 第2段部
52c 斜面
53、153 抑え部材
53d 抑え面
61、62、63、64 緩衝部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11