(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053815
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
B41J2/01 129
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020160647
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野田 真裕
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敦
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA25
2C056EC14
2C056EC28
2C056EC33
2C056FA04
2C056FA10
2C056FA15
2C056FD20
2C056HA40
2C056HA44
(57)【要約】
【課題】ノズルに入る光を抑制しつつエネルギー効率が良い画像記録装置を提供する。
【解決手段】
第1発光部401の光軸である第1光軸401Lと第1発光部401の前面406Fとが交わる交点を第1交点とし、支持面71Aに直交し第1交点に交わる線を第1仮想線401DLとし、第1仮想線401DLと第1光軸401Lとがなす角を第1光軸傾斜角401LRとする。第1発光部は、第1光軸傾斜角401LRが略0度となるよう配置される。第2発光部402の光軸である第2光軸402Lと第2発光部402の前面406Fとが交わる交点を第2交点とし、支持面71Aに直交し第2交点に交わる線を第2仮想線402DLとし、第2仮想線402DLと第2光軸402Lとがなす角を第2光軸傾斜角402LRとする。第2発光部402は、第2仮想線402DLに対し第2光軸402Lが右方向に傾くよう配置される。第2光軸傾斜角402LRは第1光軸傾斜角401LRよりも大きい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性の液体を印刷媒体に向け吐出するノズルを有するヘッドと、
前記ヘッドの第1方向に配され、前記光硬化性の液体を硬化させる光を発光する第1発光部と、前記第1発光部の前記第1方向に配される第2発光部とを有し、前記印刷媒体に向け前記光を照射する光照射部と、
前記印刷媒体を支持する支持面を有する支持部と、
前記支持面に支持された印刷媒体に対して、前記ヘッド及び前記光照射部を相対的に移動させる移動装置と、を備え、
前記第1発光部は前記第1発光部の光軸である第1光軸と交差する第1交差面を有し、
前記第2発光部は前記第2発光部の光軸である第2光軸と交差する第2交差面を有し、
前記第1交差面と前記第1光軸とが交差する交点を第1交点とするとともに、前記第2交差面と前記第2光軸とが交差する交点を第2交点とし、
前記支持面に直交し前記第1交点と交わる仮想線を第1仮想線とし、前記支持面に直交し前記第2交点と交わる仮想線を第2仮想線とし、
前記第1仮想線と前記第1光軸とがなす角度を第1角度とするとともに、前記第2仮想線と前記第2光軸とがなす角度を第2角度とするとき、
前記第2発光部は、前記第2光軸が前記第2仮想線に対し前記第1方向に傾斜するとともに、前記第2角度が前記第1角度よりも大きくなるよう配されている、
ことを特徴する画像形成装置。
【請求項2】
前記第1仮想線と前記第1光軸とがなす前記第1角度が0度である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2角度は前記第2発光部の照射角の半分よりも大きい、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記光照射部は、前記第1発光部を配する第1面及び前記第2発光部を配する第2面を持つベース部をさらに備え、
前記第1面に直交する線を第1面直交線とするとともに、前記第2面に直交する線を第2面直交線とし、
前記第1面と前記第1面直交線とが交差する交点を第3交点とするとともに、前記第2面と前記第2面直交線とが交差する交点を第4交点とし、
前記支持面に直交し前記第3交点と交わる仮想線を第1ベース仮想線とするとともに、前記支持面に直交し前記第4交点と交わる仮想線を第2ベース仮想線とし、
前記第1ベース仮想線と前記第1面直交線とがなす角度を第3角度とするとともに、前記第2ベース仮想線と前記第2面直交線とがなす角度を第4角度とするとき、
前記第2面は、前記第2面直交線が前記第2ベース仮想線に対し前記第1方向に傾斜するとともに、前記第4角度が前記第3角度よりも大きくなるよう配されている、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記光照射部は、前記第1方向に複数の前記第1発光部を配する第1基板と、前記第1方向に複数の前記第2発光部を配置する第2基板とを更に備え、
前記第1発光部の数と前記第2発光部の数とが同じ数である
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記光照射部は前記第1方向に少なくとも2つの前記第1発光部と少なくとも1つの前記第2発光部とを備え、
前記第2発光部の数は、前記第1発光部の数よりも少ない
請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記光照射部は前記第1方向に少なくとも1つの前記第1発光部と少なくとも2つの前記第2発光部とを備え、
前記第2発光部の数は、前記第1発光部の数よりも多い
請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1方向において前記第1発光部と前記第2発光部との間に配される第3発光部を更に有し、
前記第3発光部の第3交差面と前記第3発光部の光軸である第3光軸とが交差する交点を第5交点とし、
前記支持面に直交し前記第5交点と交わる仮想線を第3仮想線とし、
前記第3仮想線と前記第3光軸とがなす角度を第5角度とするとき、
前記第3発光部は、前記第5角度が前記第2角度よりも小さく前記第1角度よりも大きくなるよう配される、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1交差面は、前記第1方向の端である第1発光部第1端と、前記第1方向とは反対に向く第2方向の端である第1発光部第2端とを有し、
前記第2交差面は、前記第1方向の端である第2発光部第1端と、前記第2方向の端である第2発光部第2端とを有し、
前記第2発光部は、前記第2発光部第1端と前記支持面までの距離が、前記第1発光部第1端と前記支持面までの距離よりも大きくなるよう配される、
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2発光部は、第2発光部第1と、第2発光部第1の前記第1方向とは反対に向く第2方向に配置される第2発光部第2との少なくとも2つの前記第2発光部を有し、
前記第2交差面は、前記第1方向の端である第1端と、前記第2方向の端である第2端とを有し、
前記第2発光部第2は、前記第2発光部第2が有する前記第1端と前記支持面との距離が、前記第2発光部第1が有する前記第2端と前記支持面との距離よりも大きくなるよう配される、
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記光照射部は、前記第2発光部の前記第2光軸を曲げるレンズ部を更に備え、
前記レンズ部は、前記レンズ部に曲げられた前記第2光軸と前記第2仮想線とがなす角度が第2角度となるよう光を屈曲する、請求項1から10のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光硬化性のインクを吐出するノズルを備えたヘッドと、光硬化性のインクを硬化させる光を照射する光照射部とを備えた画像形成装置が記載されている。該画像形成装置では、ヘッドと光照射部とは並んで配置されており、光照射部は発する光がノズル内のインクを硬化させないよう、光照射部の全体をヘッドとは反対の方向を向くように傾けた配置がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、光照射部の全体をヘッドとは反対方向に向けているので、光の強度が不足しやすいという課題がある。そこで、例えば光の強度を上げるために、ヘッドの走査方向に複数の発光部を備える光照射部を設けることが考えられる。しかしながら、特許文献1のように光照射部の全体を傾けると、ヘッドに近い位置の発光部とヘッドに遠位置の発光部とで、印刷媒体までの距離に差ができてしまう。ヘッドから遠い光発光部から印刷媒体までの距離は、ヘッドに近い発光部から印刷媒体までの距離よりも長くなる。このため、ヘッドから遠い位置の発光部から印刷媒体に照射される光の照度は、ヘッドに近い位置の発光部から印刷媒体に照射される光の照度よりも弱くなり、エネルギー効率が悪い。
【0005】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、ヘッドのノズルに入る光を抑制しつつ、従来に比べエネルギー効率が良い光照射部を有する画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本実施形態に係る画像形成装置は、光硬化性の液体を印刷媒体に向け吐出するノズルを有するヘッドと、前記ヘッドの第1方向に配され、前記光硬化性の液体を硬化させる光を発光する第1発光部と、前記第1発光部の前記第1方向に配される第2発光部とを有し、前記印刷媒体に向け前記光を照射する光照射部と、前記印刷媒体を支持する支持面を有する支持部と、前記支持面に支持された印刷媒体に対して、前記ヘッド及び前記光照射部を相対的に移動させる移動装置と、を備える。前記第1発光部は前記第1発光部の光軸である第1光軸と交差する第1交差面を有し、前記第2発光部は前記第2発光部の光軸である第2光軸と交差する第2交差面を有し、前記第1交差面と前記第1光軸とが交差する交点を第1交点とするとともに、前記第2交差面と前記第2光軸とが交差する交点を第2交点とし、前記支持面に直交し前記第1交点と交わる仮想線を第1仮想線とし、前記支持面に直交し前記第2交点と交わる仮想線を第2仮想線とし、前記第1仮想線と前記第1光軸とがなす角度を第1角度とするとともに、前記第2仮想線と前記第2光軸とがなす角度を第2角度とするとき、前記第2発光部は、前記第2光軸が前記第2仮想線に対し前記第1方向に傾斜するとともに、前記第2角度が前記第1角度よりも大きくなるよう配されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ヘッドのノズルに入る光を抑制しつつエネルギー効率が良い光照射部を有する画像記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る印刷装置10のうち、筐体11の蓋を開けた状態の斜視図である。
【
図5】第1光照射部40及び第2光照射部50の正面図である。
【
図7】第1ヘッド20と第1光照射部40との正面図である。
【
図8】第1光照射部40と第1ヘッド20の正面図である。
【
図9】第1光照射部40と第1ヘッド20の正面図である。
【
図10】本実施形態における制御部80のブロック図である。
【
図11】本実施形態における印刷処理のフローチャートである。
【
図12】本実施形態に係る変形例1における、第1光照射部40及び第2光照射部50の正面図である。
【
図13】本実施形態に係る変形例2における、第1光照射部40及び第2光照射部50の正面図である。
【
図14】本実施形態に係る変形例2における第1発光部401及び第2発光部402の正面図である。
【
図15】本実施形態に係る変形例3における、第1光照射部40及び第2光照射部50の正面図である。
【
図16】本実施形態に係る変形例3における第2発光部402の正面図である。
【
図17】複数の2発光部402と複数の第2発光部402に共通する1つのレンズの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施形態は本発明の一例である。本発明の要旨を変更しない範囲において、本発明の実施形態を変更できるものである。
【0010】
[印刷装置10の構成]
図1において、印刷装置10は、布帛及び紙等のシート状、並びに、ボールなどの立体状の印刷媒体Mに、光硬化性インクを第1ヘッド20及び第2ヘッド30から吐出して印刷を行うインクジェットプリンタである。印刷装置10は、筐体11、筐体11内に収容され主走査方向に移動するキャリッジ12、キャリッジ12に搭載され光硬化性のインクを吐出する第1ヘッド20及び第2ヘッド30、キャリッジ12に搭載され吐出され光硬化性インクを硬化させるための第1光照射部40及び第2光照射部50、キャリッジ12を左右方向に走査させる走査機構60、印刷媒体Mを副走査方向に搬送する搬送機構70、及び印刷装置10の動作を制御する制御部80を備えている。印刷装置10の中に収容される機器のそれぞれの配置はこれに限定されない。走査機構60及び搬送機構70は移動装置に相当する。
【0011】
また、第1ヘッド20及び第2ヘッド30が並ぶ方向を前後方向(副走査方向)と称し、走査機構60により第1ヘッド20及び第2ヘッド30を移動させる方向を左右方向(主走査方向)と称し、左右方向及び前後方向に直交する方向を上下方向と称する。前後方向及び左右方向は、上下方向に直交し、且つ、互いに交差(例えば、直交)する方向である。
【0012】
筐体11は、上端が開口する本体、及び、本体の上端開口を開閉可能に覆う蓋(図示せず)を有している。本体は、箱形状であって、互いに対向する前面及び後面を有し、前面に供給口13が開口しており、後面に排出口14が開口している。筐体11は、供給口13及び排出口14に連通する内部空間を有し、第1ヘッド20及び第2ヘッド30と第1光照射部40及び第2光照射部50とを搭載するキャリッジ12、走査機構60、搬送機構70及び制御部80を収容している。
【0013】
走査機構60は、キャリッジ12を左右方向に走査させるものである。走査機構60は、一対の走査レール61、キャリッジ12、駆動ベルト63、走査モータ64を有する。走査レール61は、左右方向に延びる長尺部材であって、互いの間にキャリッジ12を挟むように平行に配置されている。キャリッジ12は、第1ヘッド20及び第2ヘッド30、第1光照射部40及び第2光照射部50のそれぞれを搭載し、走査レール61に沿って左右方向に搬送可能に支持されている。駆動ベルト63は左右方向に沿って架け渡され、キャリッジ12と走査モータ64とに連結されている。走査モータ64が駆動ベルト63を駆動することにより、走査レール61に沿ってキャリッジ12が左右方向に往復移動する。
【0014】
搬送機構70は、印刷媒体Mを副走査方向に搬送するものである。支持部に相当するステージ71、一対の搬送レール72、及び搬送モータ74を有し、印刷媒体Mを前後方向に移動させる。ステージ71は、支持面71Aを有する矩形の平板形状であり、支持面71Aに印刷媒体Mが載置される。ステージ71は、上下方向において印刷媒体Mとキャリッジ12との距離を規定する。一対の搬送レール72は、前後方向に延び、筐体11を貫通して、供給口13から前方に突出し、排出口14から後方に突出しており、ステージ71を前後方向に移動可能に支持する。ステージ71は、図示しない駆動ベルトによって搬送モータ74に連結されている。搬送モータ74が駆動することにより、ステージ71は前後方向に移動する。
【0015】
キャリッジ12は、第1ヘッド20及び第2ヘッド30、第1光照射部40及び第2光照射部50を搭載する。
【0016】
[キャリッジ12の構成]
キャリッジ12は、
図2に示すように、第1ヘッド20及び第2ヘッド30の2つのヘッドと、第1光照射部40及び第2光照射部50の2つの光照射部とを有している。第1ヘッド20及び第2ヘッド30は互いに前後方向に並び、第1光照射部40及び第2光照射部50は互いに前後方向に並んでいる。第1ヘッド20及び第2ヘッド30と第1光照射部40及び第2光照射部50とは左右方向に並んでいる。第1ヘッド20と第1光照射部40は対応関係にあり、前後方向において重複している。また、第2ヘッド30と第2光照射部50は対応関係にあり、前後方向において重複している。なお、ヘッドの数及び照射部の数はそれぞれ2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0017】
第1ヘッド20は、第2ヘッド30の前方向に配置される。第1ヘッド20及び第2ヘッド30は、前後方向から視て重なるように、前後方向において互いに間隔を空けて並んで配置される。第1光照射部40は、第2光照射部50の前方向に配置される。第1光照射部40及び第2光照射部50は、前後方向から視て重なるように、前後方向において互いに間隔を空けて並んで配置される。第1ヘッド20と第1光照射部40は左右方向に並んで配置される。第1ヘッド20と第1光照射部40は左右方向から視て重なるように、左右方向において互いに間隔を空けて並んで配置される。第2ヘッド30と第2光照射部50は左右方向に並んで配置される。第2ヘッド30と第2光照射部50は左右方向から視て重なるように、左右方向において互いに間隔を空けて並んで配置される。本実施形態において、右方向が第1方向に相当し、左方向が第2方向に相当する。つまりヘッドと光照射部の位置関係において、ヘッドを中心に光照射部が配置される方向が第1方向であり、第1方向の反対方向が第2方向である。本実施形態では、第1光照射部40および第2光照射部50は、第1ヘッド20及び第2ヘッド30に対し右方向に配置されているが、ヘッドの左方向に光照射部が配置されていてもよい。この時、左方向が第1方向に相当し、右方向が第2方向に相当する。また、光照射部はヘッドに対し、右方向と左方向との両方向に配置されていてもよい。この時、右方向に配置された光照射部と、左方向に配置された光照射部は、それぞれが第1方向及び第2方向を有する。
【0018】
第1ヘッド20は、キャリッジ12に固定され、ステージ71の支持面71Aに対向するノズル面22を有する。第2ヘッド30は、キャリッジ12に固定され、ステージ71の支持面71Aに対向するノズル面32を有する。ノズル面22及びノズル面32はそれぞれに光硬化性のインクを吐出するノズル100を有する。ノズル100は第1ヘッド20及び第2ヘッド30のそれぞれにおいて、主走査方向である左右方向に複数並んで配置され、副走査方向である前後方向に複数並んで配置されている。
【0019】
光硬化性のインク(以降単にインクともいう)は図示しないカートリッジまたはタンクからインク供給チューブを通り第1ヘッド20及び第2ヘッド30に供給される。尚、インクの供給方法に関しては、例えばWO2006/121109のような方法を利用することができる。第1ヘッド20及び第2ヘッド30は、それぞれが備える駆動素子310を駆動させることにより供給されたインクを吐出させる。
【0020】
[第1ヘッド20、第2ヘッド30]
ここで、第1ヘッド20及び第2ヘッド30に関して詳しく説明する。
図3は
図2に示す第1ヘッド20のノズル100の近傍を前から見た断面図である。尚、第1ヘッド20と第2ヘッド30は同じ構造である。
図3に示すように、第1ヘッド20は、流路ユニット200と圧電アクチュエータ300とを有している。
【0021】
流路ユニット200は、
図3に示すように、4枚のプレート201~204が上からこの順に積層されることによって形成されている。プレート201~204は、ステンレスなどの金属材料からなり。プレート204の表面であるノズル面22及びノズル面32は、ポリイミドなどの撥水性のよい合成樹脂材料で被膜されている。
【0022】
プレート204のノズル面22には、複数のノズル100が形成されている。複数のノズル100は、
図2に示すように前後方向(副走査方向)に並ぶノズル列を形成している。プレート201には
図3に示すようにノズル一つ一つに対応した複数の圧力室110が形成されている。プレート202には、各圧力室110の右側の端部と上下方向に重なる部分に円形の貫通孔112が形成されている。また、プレート202には、各圧力室110の走査方向の左側の端部及びノズル100と上下方向に重なる部分に、円形の貫通孔113が形成されている。
【0023】
プレート203には、
図2及び
図3に示すように、マニホールド流路111が形成されている。マニホールド流路111は、前後方向に延び、ノズル一つ一つに対応する貫通孔112と上下方向に重なっている。マニホールドは前後方向に並ぶノズル列に対応した数だけ配置される。各圧力室110が、貫通孔112を介してマニホールド流路111と連通する。また、各マニホールド流路111の前後方向の後方の端部は、フィルタを有する供給口(図示しない)と連結している。第1ヘッド20及び第2ヘッド30は、供給口に繋がる流路を有し、カートリッジまたはタンクに繋がるインク供給チューブと接続されている。これにより、マニホールド流路111には、供給口からインクが供給される。また、プレート203には、各貫通孔113及びノズル100と上下方向に重なる部分に、円形の貫通孔114が形成されている。これにより、各ノズル100が貫通孔113,114を介して圧力室110と連通する。
【0024】
流路ユニット200は、ノズル100と、貫通孔114と、貫通孔113と、圧力室110と、貫通孔112とによって、個別流路116が形成される。個別流路116はノズル100の一つ一つに対応している。また、前後方向に並ぶノズル列の個別流路116が、1つのマニホールド流路111に接続されている。
【0025】
圧電アクチュエータ300は、
図3に示すように、振動板311と、圧電層312と、共通電極313と、複数の個別電極314とを有している。振動板311は、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料からなり、流路ユニット200の上面に配置され、複数の圧力室110を覆っている。なお、振動板311は、次に説明する圧電層312とは異なり、圧電材料以外の絶縁性材料からなるものであってもよい。
【0026】
圧電層312は、上記圧電材料からなり、
図3に示すように、振動板311の上面に配置され、複数の圧力室110にわたって連続的に延びている。共通電極313は、振動板311と圧電層312との間に配置され、複数の圧力室110にわたって連続的に延びている。共通電極313は、図示しない配線部材などを介して図示しない電源回路に接続され、グランド電位に保持されている。
【0027】
複数の個別電極314は、複数の圧力室110に対して個別に配置される。個別電極314は、圧力室110よりも一回り小さい楕円の平面形状を有し、圧電層312の上面に配置され、圧力室110の中央部と上下方向に重なっている。また、個別電極314の左右方向の右の端部は、圧力室110と上下方向に重ならない位置まで走査方向の右側まで延び、その先端部が接続端子314aとなっている。接続端子314aには図示しない配線部材が接続され、個別電極314は、この配線部材を介して第1ヘッド駆動回路26又は第2ヘッド駆動回路36に接続されている。そして、第1ヘッド駆動回路26又は第2ヘッド駆動回路36により、複数の個別電極314に個別に、グランド電位及び所定の駆動電位(例えば20V程度)のいずれかが選択的に印加される。
【0028】
また、共通電極313及び複数の個別電極314がこのように配置されているのに対応して、圧電層312の共通電極313と各個別電極314とに挟まれた部分が、それぞれ、上下方向に分極されている。そして、以上のような構造の圧電アクチュエータ300では、振動板311、圧電層312及び共通電極313の、各圧力室110と上下方向に重なる部分と、個別電極314とによって形成される部分が、それぞれ、圧力室110内のインクに圧力を付与する駆動素子310となっている。
【0029】
ここで、圧電アクチュエータ300を駆動して、ノズル100からインクを吐出させる方法について説明する。圧電アクチュエータ300では、予め、全ての個別電極314が、共通電極313と同じグランド電位に保持されている。あるノズル100からインクを吐出させるときには、そのノズル100に対応する駆動素子310における個別電極314の電位を、グランド電位から駆動電位に切り換える。すると、個別電極314と共通電極313との間の電位差により、振動板311及び圧電層312の圧力室110と上下方向に重なる部分が全体として圧力室110側に凸となるように変形する。これにより、圧力室110の容積が小さくなって圧力室110内のインクの圧力が上昇し、圧力室110に連通するノズル100からインクが吐出される。
【0030】
次に吐出不良について説明する。吐出不良とは、上記説明の通り駆動素子310を動作させてもインクが正常に吐出されない現象である。吐出不良には、ノズル100が完全に閉塞する場合や、ノズルの一部が閉塞することで吐出されたインクの量が少なるなる場合、吐出されたインクが曲がって吐出される場合を含む。また、ノズル近傍の粘度が高くなることによりインクが必要量吐出されない場合も含まれる。特に光硬化性インクを吐出するノズルは、ノズルの表面に光を受けた場合に吐出不良が起きやすい。この理由としては、光硬化性インクはUV光を受けた場合に硬化するという特性を持つからである。
【0031】
[光硬化性インク]
ここで、光硬化性インクについて詳細を説明する。光硬化性インクとは、例えばUV光(紫外線)により硬化するUV硬化性インク(以降UVインクとも記載する)である。UVインクは、顔料と、モノマーと、光重合開始剤と、重合禁止剤と、その他の助剤とを含んでいる。UVインクがUV光を受けると、光重合開始剤がモノマーの重合反応を開始させる。モノマーは光重合を連鎖させ重合体を形成することにより、インクは硬化する。UVインクが多くのUV光を受ければ、多くの光重合開始剤がモノマーの重合反応を開始させるためインクは速く硬化し、少なければインクの硬化は遅い。UVインクは重合禁止剤を含んでいる。重合禁止剤はモノマーの重合反応の連鎖を止める。この作用により、UVインクは硬化を抑制される。顔料はインクの色を出すための着色剤である。
【0032】
光硬化性のインクの種類とノズル100との対応関係について説明する。
図2に示すように、本実施例ではインクの種類としてブラックに着色されたブラックインク100K、イエローに着色されたイエローインク100Y、シアンに着色されたシアンインク100C、マゼンタに着色されたマゼンタインク100M、ホワイトに着色されたホワイトインク100W,顔料を含まない透明なクリアインク100Crを有する。各色は
図2に示すノズル100のそれぞれから個別に吐出される。それぞれの色のインクはカートリッジまたはタンクからインク供給チューブを通り、第1ヘッド20及び第2ヘッド30にそれぞれ供給される。
【0033】
[第1光照射部40、第2光照射部50]
図2に示す第1光照射部40及び第2光照射部50は、複数の発光部400を有する。発光部400は、LEDなどの発光素子405を備える。
図4は、発光部400を側面から見た図である。発光部400は、発光素子405とそれを覆う周囲部材406から成る。周囲部材406の背面406Bには発光素子405と繋がる電極が設けられている。電極に電圧がかかると発光素子405は発光し、周囲部材406の前面406Fより光が下方向に向けて放たれる。この時、放たれる光の光軸407は、周囲部材406の前面406Fに略垂直である。また、光軸407は周囲部材406の背面406Bに略垂直であるとも言える。また、発光素子405から放たれる主な光は周囲部材406の構造により、照射角408に集まるように放たれる。前面406Fは光軸407に対して交差している。より詳細に説明すれば、前面406Fと一致する仮想平面は光軸407を上下方向に伸ばした光軸線に対し交差している。つまり前面406Fは同一面上に形成される仮想平面を含む。前面406Fは第1交差面、第2交差面及び第3交差面に相当する。
【0034】
発光部400は、第1光照射部40及び第2光照射部50のそれぞれが有する第1基板411に備えられる第1発光部401と、第2基板412に備えられる第2発光部402とで構成される。
【0035】
図5は、第1光照射部40及び第2光照射部50を側面から見た図である。
図4及び
図5に示すように。第1発光部401及び第2発光部402は周囲部材406の背面406Bに設けられた電極をそれぞれ有する。電極は、第1基板411及び第2基板412に接続されている。より詳細に説明すれば、第1発光部401は、第1基板411の前面411Fに固定され、第1基板411に電気的に接続される。また、第2発光部402は、第2基板412の前面412Fに固定され、第2基板412に電気的に接続される。第1基板411は、後述する制御部が有する第1照射部駆動回路43に接続され、第2基板412は、第2照射部駆動回路53に接続される。第1基板411の背面411Bは、ベース410の第1ベース面410Aに固定される。第2基板412の背面412Bはベース410の第2ベース面410Bに固定される。第1ベース面410Aは第1面に相当し、第2ベース面410Bは第2面に相当する。
【0036】
ここで、
図6にて、ベース410をより詳細に説明する。
図6はベース410を側面から見た図である。ベース410は、第1発光部401を有する第1基板411を配置する第1ベース面410Aと、第2発光部402を有する第2基板412を配置する第2ベース面410Bと、を有する。ここで、第1ベース面410Aに直交する線を第1面直交線410AD1とし、第1ベース面410Aと第1面直交線410AD1とが交わる交点を第1ベース交点(第3交点に相当)とし、支持面71Aに直交しベース第1交点に交わる線を第1ベース仮想線410AD2とし、第1ベース仮想線410AD2と第1面直交線410AD1とがなす角を第1ベース面傾斜角410ARとする。
図6に示す第1ベース面410Aは支持面71Aに略平行である。第1ベース面は、第1面直交線410AD1が第1ベース仮想線410AD2に対し傾斜しないよう形成される。第1ベース面傾斜角410ARは略0度である。
【0037】
ベース410の第2ベース面410Bは、左右方向において、ヘッドとは反対方向である右方向に傾斜する。以下、より詳細に説明する。まず、第2ベース面410Bに直交する線を第2面直交線410BD1とし、第2ベース面410Bと第2面直交線410BD1とが交わる交点を第2ベース交点(第4交点に相当)とし、支持面71Aに直交し第2ベース交点に交わる線を第2ベース仮想線410BD2とし、第2ベース仮想線410BD2と第2面直交線410BD1とがなす角を第2ベース面傾斜角410BRとする。この時、第2ベース面410Bは、は第2ベース面傾斜角410BRが0度よりも大きくなるよう形成される。第2面直交線410BD1は第2ベース仮想線410BD2に対し、左右方向の右方向、つまりヘッドとは反対方向に傾斜している。言い方を変えれば、支持面71Aと第2面直交線410BD1との交点は、第2ベース交点よりも左右方向の右方向にある。つまり、ヘッドから離れる方向にある。第2ベース面傾斜角410BRは、第1ベース面傾斜角410ARよりも大きい。
【0038】
次に、
図5にて、第1発光部401について詳細に説明する。第1発光部401の光軸である第1光軸401Lと第1発光部401の前面406Fとが交わる交点を第1交点とし、支持面71Aに直交し第1交点に交わる線を第1仮想線401DLとし、第1仮想線401DLと第1光軸401Lとがなす角を第1光軸傾斜角401LRとする。前述の通り、第1ベース面410Aは支持面71Aに略平行である。よって、第1発光部401の前面406Fは支持面71Aに略平行である。第1発光部は、第1仮想線401DLと第1光軸401Lとが一致し、第1光軸傾斜角401LRが略0度となるよう配置される。
【0039】
次に、第2発光部402について詳細に説明する。第2発光部402の光軸である第2光軸402Lと第2発光部402の前面406Fとが交わる交点を第2交点とし、支持面71Aに直交し第2交点に交わる線を第2仮想線402DLとし、第2仮想線402DLと第2光軸402Lとがなす角を第2光軸傾斜角402LRとする。前述の通り、第2ベース面410Bは第2ベース面傾斜角410BRだけ右方向に傾いている。よって、第2発光部402は、第2仮想線402DLに対し第2光軸402Lが右方向に傾くよう配置される。別の見方をすれば、第2発光部402は、支持面71Aと第2光軸402Lとの交点の方が、第2交点よりも、左右方向の右方向つまりヘッドから離れる方向に位置するよう配置される。
【0040】
以上、第2発光部402は第2光軸傾斜角402LRが第1光軸傾斜角401LRよりも大きくなるよう配置されている。より詳細に説明すれば、第1光軸傾斜角401LRは略0度であり、第2光軸傾斜角402LRは第2ベース面傾斜角410BRの角度だけ傾いているため、第2光軸傾斜角402LRは第1光軸傾斜角401LRよりも大きい。
【0041】
ここで、第1光照射部40と第1ヘッド20との関係を
図7~
図9に示す図にてより詳細に説明する。尚、第2光照射部50と第2ヘッド30との関係は、第1光照射部40と第1ヘッド20との関係と同じであるため詳細な説明を割愛する。
【0042】
図7に示す第1光照射部40及び第1ヘッド20は、前述の通りキャリッジ12に搭載されている。第1光照射部40の第1発光部401及び第2発光部402は、ステージ71の支持面71Aに対向し、キャリッジ12の下面に露出するよう配置される。第1ヘッド20のノズル100を有するノズル面22はステージ71の支持面71Aに対向し、キャリッジ12の下面に露出するよう配置される。キャリッジ12の左右方向の左方向には第1ヘッド20が配置され、右方向には第1光照射部40が配置されている。キャリッジ12の下にはステージ71があり、ステージ71の支持面71Aに印刷媒体Mが載置される。
【0043】
キャリッジ12は、主走査方向(左右方向)の左方向に移動しながら第1ヘッド20のノズル面22に備えられたノズル100から各種インクを印刷媒体Mに向け吐出する。吐出されたインクRaはノズル面から印刷媒体Mの表面までの距離100Hを移動する。印刷媒体Mに着弾したインクRbは印刷媒体Mの表面にならうように広がる。第1光照射部40はキャリッジ12の移動に伴い移動する。第1光照射部40は、第1ヘッド20から吐出され、印刷媒体Mに着弾したインクRbに光を照射する。これが後に説明する第1走査処理である。
【0044】
ここで、第1光照射部40から照射される照射光についてより詳細に説明する。第1光照射部40は、第1光照射部40の左右方向の左方向、つまり第1ヘッド20に近い方向に第2発光部402を2個有し、第1光照射部40の左右方向の右方向、つまり第1ヘッド20に遠い方向に第1発光部401を4個有する。換言すれば、第2発光部402は、左右方向(主走査方向)において第1ヘッド20と第1発光部401の間にある。第2発光部402の第2光軸402Lは前述の通り第2光軸傾斜角402LRだけ傾いている。つまり、第1ヘッド20から離れる方向である左右方向の右側に向けて傾いている。また第2発光部402は第1光照射部40に向く方向に傾いているとも言える。
【0045】
第2発光部402は右方向であるより第1ヘッド20に遠い側に第2発光部右402Aを備え、左方向であるより第1ヘッド20に近い側に第2発光部左402Bを備える。尚、第2発光部右402Aが第2発光部第1に相当し、第2発光部左402Bが第2発光部第2に相当する。ヘッドに近い方向にある第2発光部左402Bから放たれた主な光は、第2光軸402Lを中心にして、照射角408だけ広がり印刷媒体Mに向け照射される。照射角408の左側である左端光408Lは印刷媒体Mに照射された後、一部が反射光408LMとなりはね返る。反射光408LMは、左端光408Lが印刷媒体Mに対し入射した角度に対応して反射した光である。乱反射を除けば入射角と反射角とは一致する。この時、第2光軸402Lが第2光軸傾斜角402LRだけ傾いているため、はね返った反射光408LMは、第1ヘッド20のノズル100に到達しない。ノズル100は第2発光部左402Bから放たれた主な光の反射光408LMを受けない。
【0046】
また、第2発光部左402Bの第2交点からステージ71の支持面71Aまでの距離である第2発光部距離402Hと、第1交点からステージ71の支持面71Aまでの距離である第1発光部距離401Hとの差である第1差分距離400-H1は小さく抑えられている。光は対象物までの距離が遠いほどより拡散し、減衰する。また、光は対象物までの距離が遠いほど照射角が広がり、印刷媒体の所定位置での照度が下がる。印刷媒体の所定位置で、距離が近い発光部と同じ照度を、距離が遠い発光部が出そうとすると、より多くのエネルギーが必要となる。第1差分距離400-H1は小さければ小さいほどエネルギー効率が良い。
【0047】
図8に示すように、ベース410の第2ベース面410Bは第1ベース面410Aと同じくステージ71に平行である。つまり、第2ベース面傾斜角410BRと第1ベース面傾斜角410ARとが同じである。第2発光部402は左右方向の左方向である、より第1ヘッド20に近い第2発光部左402Bを備え、左右方向の右方向であるより第1ヘッド20に遠い第2発光部右402Aを備える。第2発光部左402Bと第2発光部右402Aの反射光408LMはそれぞれノズル100に到達している。この反射光408LMにより、ノズル内にある光硬化性インクの光重合開始剤がモノマーの重合反応を開始させるためインクの硬化が促進される。第1ヘッド20がインクを吐出しながら走査する時には、ノズル100のインクは常に吐出され入れ替わっているが、吐出されたインクの重合過程に影響を及ぼす。また、第1ヘッド20がインクを吐出せず走査する時には、ノズル100のインクは入れ替わらない。よってノズル表面のインクの硬化が促進され、ノズルが詰まる吐出不良の要因となる。
【0048】
図9に示すように、ベース410の第1ベース面410Aは第2ベース面410Bと同じく第2ベース面傾斜角410BRだけ傾いている。第2発光部402は左方向である、より第1ヘッド20に近い方向に第2発光部左402Bを備える。第1発光部401は右方向であるより第1ヘッド20に遠い方向に第1発光部右401Aを備える。第2発光部左402Bの反射光408LMはノズル100に到達しない。しかしながら、第2発光部左402Bの第2交点からステージ71の支持面71Aまでの第2発光部距離402Hと、第1発光部右401Aの第1交点からステージ71の支持面71Aまでの第1発光部距離401Hとの差である第2差分距離400-H2は、第1差分距離400-H1より大きい。そのためエネルギーロスが大きい。換言すれば、第2差分距離400-H2に比べて第1差分距離400-H1の方が小さい。よって第2光軸傾斜角402LRが第1光軸傾斜角401LRよりも大きい方がエネルギー効率が良いと言える。
【0049】
[制御部の構成]
図10は、実施形態における制御部80のブロック図である。制御部80は、
図10に示すように、CPU81、ROM82、RAM83、ASIC84を備えている。ASIC84は、第1ヘッド駆動回路26を介して第1ヘッド20の各駆動素子310に接続され、第2ヘッド駆動回路36を介して第2ヘッド30の各駆動素子310に接続されている。ASIC84は、第1照射部駆動回路43を介して第1光照射部40の第1発光部401と第2発光部402とに接続され、第2照射部駆動回路53を介して第2光照射部50の第1発光部401と第2発光部402とに接続されている。ASIC84は、走査駆動回路65を介して走査モータ64に接続され、搬送駆動回路75を介して搬送モータ74に接続されている。ASIC84は、操作部25に接続され、操作部25からの入力に応じた制御処理を実行する。
【0050】
ROM82には、印刷装置10の動作を制御するための制御プログラム及び初期値等が記憶されている。RAM83には、制御プログラムで用いられる各種データが一時的に記憶されている。CPU81またはASIC84またはその両方は、ROM82又はRAM83に記憶された制御プログラムを実行することにより、第1ヘッドの駆動素子310、第2ヘッド30の駆動素子310、第1光照射部40の第1発光部401、第1光照射部40の第2発光部402、第2光照射部50の第1発光部401、第2光照射部50の第2発光部402、走査モータ64及び搬送モータ74を印刷データに基づいて制御し、印刷処理を行う。
【0051】
[印刷処理]
図11は、実施形態における印刷処理のフローチャートである。ユーザは操作部25を介し、印刷装置10に印刷処理を実行するための入力を行う。制御部80は、操作部25からの印刷開始の入力に応じ、印刷媒体Mに対し印刷処理を実行するための制御プログラムを実行する。これにより印刷が開始される(S01)。制御部80は、走査モータ64を駆動させ、キャリッジ12を左右方向左端の待機位置から、印刷前位置に向かう右方向に移動させる(S02)。次に、制御部80は、搬送モータ74を駆動させステージ71をパス開始位置である前後方向の後方向に移動させる。より詳細に言えば、パスを開始するパス開始位置にキャリッジ12と印刷媒体Mとが相対的に位置するようステージ71を後方向に移動させる(S03)。
【0052】
次に制御部80は、第1走査処理を実行する(S04)。制御部80は、第1走査処理にて、キャリッジ12を左右方向の左方向に移動させながら、第1印刷処理と第1照射処理とを同時に実行する。制御部80は、第1印刷処理にて、キャリッジ12の第1ヘッド20及び第2ヘッド30から印刷媒体Mの画像形成位置に向け光硬化性インクを吐出させる。また、制御部80は、第1照射処理にて、第1光照射部40及び第2光照射部50から印刷媒体Mに向けUV光を照射させ、光硬化性インクを硬化させる。第1走査では第1ヘッド20及び第2ヘッド30は第1光照射部40及び第2光照射部50よりも左方向である走査方向上流にある。このため、第1光照射部40及び第2光照射部50は印刷媒体Mに第1ヘッド20及び第2ヘッド30から第1走査にて吐出された光硬化性インクを硬化させることができる。
【0053】
第1走査処理において、第1ヘッド20及び第2ヘッド30は画像を形成するために必要なノズル100のみからインクを吐出させる。換言すれば、すべてのノズル100が常にインクを吐出しているわけではない。インクを吐出していないノズル100内のインクは、第1光照射部40及び第2光照射部50からのUV光を浴びノズル100の表面インクの硬化が促進される。ノズルがインクを吐出する吐出圧を受けてもノズル100から剥れないほど硬化が進んだ場合、ノズルが詰まり吐出不良を起こす恐れがある。
【0054】
次に制御部80は、第2走査を実行する(S05)。制御部80は第2走査処理にて、キャリッジ12を左右方向の右方向に移動させながら、第2照射処理を実行する。第2走査では、第1ヘッド20及び第2ヘッド30は第1光照射部40及び第2光照射部50よりも右方向である走査方向下流にある。このため、第1光照射部40及び第2光照射部50は印刷媒体Mに第2走査にて第1ヘッド20及び第2ヘッド30から吐出された光硬化性インクを硬化させることができない。よって、第2走査では印刷処理は実行しない。
【0055】
第2走査処理において、第1ヘッド20及び第2ヘッド30はすべてのノズル100からインクを吐出しない。このためすべてのノズルが、第1光照射部40及び第2光照射部50からのUV光を浴びノズル100の表面インクの硬化が促進される。この硬化によりノズルが詰まり、吐出不良を起こす恐れがある。
【0056】
次に、制御部80は、第1走査処理及び第2操作処理で画像形成が完成したか否かを判定する(S06)。制御部80は、実行した第1走査処理及び第2操作処理にて画像形成が完成していないと判断すれば(S06:No)となり(S04)に戻る。制御部80は、初めのパスである第1パスで画像が完成しなければ、第2パス、第3パスとパスを追加する。制御部80は、実行した第1走査処理及び第2操作処理で画像形成が完成したと判断すれば(S06:YES)。(S07)に進む。
【0057】
次に、制御部80は、走査モータ64を駆動させ、キャリッジ12を左右方向の左方向の待機位置に移動させる(S07)。これにて制御部80は、印刷処理を終了する(S08)。
【0058】
上記にて説明したように、第2発光部402は、第2光軸402Lが第2光軸傾斜角402LRだけ傾くよう配置される。このため、ノズル100は第2発光部左402Bから放たれた主な光の反射光LMを受けにくい。よってノズル100内のインクの硬化が抑制され、吐出不良が起きにくい。また、第1差分距離400-H1は第2差分距離400-H2に比べて小さい。よって、第2光軸傾斜角402LRが第1光軸傾斜角401LRよりも大きい光照射部をもつ本実施形態は、第2光軸傾斜角402LRと第1光軸傾斜角401LRが同じ光照射部をもつ画像形成装置よりもエネルギー効率が良い。
【0059】
また、本実施形態では、第1発光部401が左右方向に4個配置され第2発光部402が左右方向に2個配置されていていた。つまり、第2発光部402は第1発光部401よりも少ない。これにより第1差分距離400-H1と第2差分距離400-H2との差が小さく抑えられている。第2発光部が第1発光部よりも少ないものの方が、第2発光部が第1発光部よりも多いものと比べ、エネルギー効率が良い。
【0060】
また、第1ベース面410Aはステージ71と平行としたがこの限りではない。第1ベース面410Aは傾斜していてもよい。つまり第1光軸傾斜角401LRは支持面71Aに対し90度でなくてもよい。例えば、第1光軸傾斜角401LRは90度よりも大きく、第2光軸傾斜角402LRよりも小さくてもよい。これによっても同様の効果が得られる。
【0061】
また、第1光軸傾斜角401LRは90度よりも小さくてもよい。第1発光部401は第2発光部402に比べ、左右方向において第1ヘッド20及び第2ヘッド30よりも遠くに配置されている。これにより反射光LMはノズル100にとどきにくい。よって第1光軸401Lの第1光軸傾斜角401LRは90度よりも小さくてもよく、左右方向の左方向であるヘッド側に傾いていてもよい。
【0062】
また、第2ベース面410Bは、第2ベース面傾斜角410BRだけ傾斜していたが、かならずしもベース面が傾斜している必要はない。例えば第1ベース面410A及び第2ベース面410Bはステージ71の支持面71Aと平行であり、第1発光部401が固定された第1基板411が第1ベース面410Aに対し傾斜して固定されてもよい。
【0063】
また、第1発光部401及び第2発光部402はそれぞれ第1基板411及び第2基板412に固定されていたがこの限りではない。例えば第1発光部401及び第2発光部402は、第1ベース面410A及び第2ベース面410Bに直接固定されてもよい。これによっても同様の効果が得られる。
【0064】
また、本実施形態では、第1発光部401が右方向に4個配置され第2発光部402が左方向に2個配置されていていた。つまり第2発光部402は第1発光部401よりも少なかったがこれに限らない。例えば第1発光部401が左右方向に2個配置され第2発光部402が左右方向に4個配置されていてもよい。つまり第2発光部402は第1発光部401より多くてもよい。これによりヘッドとは反対方向に傾斜する第2発光部402の数が増えるため、より第1ヘッド20及び第2ヘッド30のノズル100に入る光は少なくなる。
【0065】
また、第1発光部401が左右方向に3個配置され第2発光部402が左右方向に3個配置されていてもよい。つまり、第2発光部402は第1発光部401と同じ数でもよい。これにより第1基板411と第2基板412との両方が同じ基板を使えるためにコストダウンになる。
【0066】
また、第1発光部401及び第2発光部402の発光素子は同じものとしたが、違ってもよい。例えば同じ電圧をかけた時に、第1発光部401は光が弱く、第2発光部402は光が強くてもよい。これにより第1ヘッド20及び第2ヘッド30のノズル100に入る光は少なくなる。また、例えば同じ電圧をかけた時に、第1発光部401は光が強く、第2発光部402は光が弱くてもよい。これにより第1ヘッド20及び第2ヘッド30のエネルギー効率が良い。
【0067】
また、本実施形態は第1ヘッド20及び第2ヘッド30と第1発光部401と第2発光部402とが左右方向に並んでいたが、この限りではない。例えば、第1ヘッド20及び第2ヘッド30と第1発光部401と第2発光部402とが前後方向に並んでいてもよい。また、副走査方向及び主走査方向に限らず、いずれかの方向に交差する方向に並んでいてもよい。この場合においても効果を発揮することができる。
【0068】
また、第1仮想線401DLは、第1発光部401の前面406Fと第1光軸401Lとの交点である第1交点があり、支持面71Aに直交し第1交点に交わる線、としたがこの限りではない。第1発光部401の背面406Bと第1光軸401Lとの交点を第1交点としてもよい。背面406Bも前面406Fと同様に、光軸407を上下方向に伸ばした光軸線に対し交差している。つまり背面406Bは第1交差面に相当する。また、第1発光部401の発光素子405の表面と第1光軸401Lとの交点を第1交点としてもよい。発光素子405の表面も前面406Fと同様に、光軸407を上下方向に伸ばした光軸線に対し交差している。つまり発光素子405の表面は第1交差面に相当する。また、第1発光部401がレンズを有する構成である場合は、第1発光部401のレンズの表面と第1光軸401Lとの交点を第1交点としてもよい。レンズの表面も前面406Fと同様に、光軸407を上下方向に伸ばした光軸線に対し交差している。つまりレンズの表面は第1交差面に相当する。なお、第2発光部402、第3発光部403に関しては、第1発光部401と同様であるため説明を省略する。
【0069】
また、本実施形態はキャリッジ12が主走査方向に移動し、ステージが副走査方向に移動することにより、印刷媒体Mとキャリッジ12との相対位置を移動させるシリアル方式の印刷装置について説明をしたが、この限りではない。例えば、ステージが走査方向に移動し、走査方向と交差する交差方向にて印刷媒体Mの交差方向左右端よりも長いラインヘッド及びライン照射部を備えた、ライン方式の印刷装置であってもよい。この場合には本実施形態に記載の主走査方向が上記走査方向となり、ラインヘッドとライン照射部が並ぶ方向であり、ラインヘッドからライン照射部に向かう方向が第1方向に相当する。
【0070】
<変形例1>
ここで、本実施形態に係る変形例1について説明する。変形例1の印刷装置10は、
図12に示す第1光照射部40及び第2光照射部50に違いがある。よってその違いがある部分のみについて説明する。尚、第1光照射部40と第2光照射部50は構造が同じであるため第2光照射部50の説明は割愛する。また変形例1では、第1基板411及び第2基板412を備えていない構成を示しているが、備えていてもよい。
【0071】
第1発光部401は、べース410のヘッドに遠い右方向に4個配置される。第2発光部402は、べース410のヘッドに近い左方向に1個配置される。変形例1に係る第1光照射部40は、更に第3発光部403を有する。第3発光部403は、べース410において、第1発光部401の左方向に位置し、かつ第2発光部402の右方向に位置する。換言すれば、第3発光部403は第1発光部401と第2発光部402との間に位置する。左右方向にヘッドに近い順に並べれば、第2発光部402、第3発光部403、第1発光部401の順である。第3発光部403は、第1発光部401及び第2発光部402と同様に、第3仮想線403DLと、第3光軸403Lとを有し、第3仮想線403DLと第3光軸403Lとがなす第3光軸傾斜角403LRを有する。
【0072】
第1光照射部40において、第1発光部401の第1光軸401Lの傾きは、第1光軸傾斜角401LRである。第2発光部402の第2光軸402Lの傾きは、第2光軸傾斜角402LRである。第3発光部403の第3光軸403Lの傾きは、第3光軸傾斜角403LRである。
【0073】
第2光軸傾斜角402LRは、第1光軸傾斜角401LRと第3光軸傾斜角403LRとの両方と比べ最も大きい。これは最もヘッドに近い場所に位置するからである。これにより、ヘッドに入る反射光408LMを最小限に抑えられる。より詳細に説明すれば、第2光軸傾斜角402LRの傾きが大きければ大きいほど、照射角408の最も端に位置する光の反射光408LMはヘッドから離れていく。また、照射角408の半分とベース410の傾きが同じであった場合、照射角408の最も端に位置する光の反射光408LMは支持面71Aに直交する。また、照射角408の半分よりもベース410の傾きが大きかった場合は、反射光408LMは左右方向にてヘッドとは反対の方向である右方向に反射する。つまりは、第2光軸傾斜角402LRが、照射角408の半分よりも大きい場合は、反射光408LMがヘッド側とは反対側に反射するため、よりノズル100内のインクの硬化をより抑制することができる。
【0074】
第3光軸傾斜角403LRは、第2光軸傾斜角402LRよりも小さい。これは第2発光部402よりも第3発光部403の方が左右方向にヘッドよりも遠い右方向に位置しているからである。第3発光部403の反射光408LMは、第3光軸傾斜角403LRと第2光軸傾斜角402LRとが同じで合った場合に、第2発光部402の反射光408LMよりもヘッドから遠い右方向の位置に反射する。つまり、第3光軸傾斜角403LRは2光軸傾斜角402LRより小さくても第3発光部403の反射光408LMは、ノズル100に届かない。よってインクの硬化は抑制されている。
【0075】
また、ここで、第3発光部403がある場合と無い場合を比較する。第3発光部403がない場合とは、第1発光部401が4個あり、第2発光部が2個ある場合である。
図12に示す一点鎖線420は、第1発光部401が4個あり、第2発光部が1個あり、第3発光部が1個ある場合の、第1発光部をベース410に設置する設置面を示した線である。一点鎖線420と支持面71Aとの距離は距離400-H3である。一点鎖線421は、第1発光部401が4個あり、第2発光部が2個ある場合の、第1発光部をベース410に設置する設置面を示した線である。一点鎖線421と支持面71Aとの距離は距離400-H4である。距離400-H3は距離400-H4よりも小さい。つまりは、第3発光部403がある場合は、距離が近くなるめエネルギーロスが少ない。よって第3発光部403がある場合は、ない場合に比べエネルギー効率が良い。
【0076】
<変形例2>
次に、本実施形態に係る変形例2について説明する。
図13は、本実施形態に係る変形例2における、第1光照射部40及び第2光照射部50を側面から見た図である。変形例2の印刷装置10は、
図13に示す第1光照射部40及び第2光照射部50に違いがある。よってその違いがある部分のみについて説明する。尚、第1光照射部40と第2光照射部50は構造が同じであるため第2光照射部50の説明は割愛する。また変形例2では、第1基板411及び第2基板412を備えていない構成を示しているが、備えていてもよい。
【0077】
第1発光部401は、べース410の第1ヘッド20に遠い右方向に4個配置される。第2発光部402は、べース410の第1ヘッド20に近い左方向に2個配置される。第2発光部402の第2光軸402Lの傾きである第2光軸傾斜角402LRは、第1発光部401の第1光軸401Lの傾きである第1光軸傾斜角401LRよりも大きい。
【0078】
図14に示す第2発光部402は、周囲部材406の前面406Fを有する。前面406Fは第1光軸401Lと交差する前面中心406FCを有する。前面406Fは、右方向の端に前面右端406FRと左方向の左端に前面左端406FLとを有する。
【0079】
図13に示す、第2発光部の第2光軸402Lは、第2光軸傾斜角402LRだけ傾いている。この時、前面右端406FRは前面中心406FCよりも上方向に位置し、前面左端406FLは前面中心406FCよりも下方向に位置する。つまり、前面右端406FRと支持面71Aとの距離は、前面中心406FCと支持面71Aとの距離よりも大きく、前面左端406FLと支持面71Aとの距離は、前面中心406FCと支持面71Aとの距離よりも小さい。
【0080】
ここで、
図13に示す第2発光部402の左方向、つまりヘッドに近い方向に位置する第2発光部402を第2発光部左402Bとし、第2発光部402の左右方向の右側、つまりヘッドに遠い方向に位置する第2発光部402を第2発光部右402Aとする。この時、第2発光部左402Bの前面右端406FRと支持面71Aとの距離は、第2発光部右402Aの前面左端406FLと支持面71Aとの距離よりも大きい。換言すれば、第2発光部左402Bの前面右端406FRは、第2発光部右402Aの前面左端406FLよりも上方向に位置する。これにより、第2発光部左402Bの前面中心406FCと第2発光部右402Aの前面中心406FCとは上下方向の距離が小さくなる。つまり、第2発光部右402Aの前面中心406FCと支持面71Aとの距離が距離400-H5となり小さくなるため、エネルギー効率が良い。
【0081】
また、
図13に示す第1発光部401は、4個配置されている。第1発光部401は、第1発光部401の前面左端406FLが、第2発光部右402Aの前面左端406FLよりも上下方向の上側に位置する。換言すれば、第1発光部401の前面左端406FLと支持面71Aとの距離は、第2発光部402の前面左端406FLと支持面71Aとの距離よりも大きい。また、第1発光部401は、第1発光部401の前面右端406FRが、第2発光部右402Aの前面右端406FRよりも上下方向の下側に位置する。換言すれば、第1発光部401の前面右端406FRと支持面71Aとの距離は、第2発光部402の前面右端406FRと支持面71Aとの距離よりも小さい。これにより、第1発光部401の前面中心406FCと第2発光部右402Aの前面中心406FCとの上下方向の距離が距離400-H5となり小さくなるため、エネルギー効率が良い。
【0082】
<変形例3>
次に、本実施形態に係る変形例3について説明する。変形例3の印刷装置10は、
図15に示す第1光照射部40及び第2光照射部50に違いがある。よってその違いがある部分のみについて説明する。尚、第1光照射部40と第2光照射部50は構造が同じであるため第2光照射部50の説明は割愛する。また変形例3では、第1基板411及び第2基板412を備えていない構成を示しているが、備えていてもよい。
【0083】
第1発光部401は、べース410のヘッドに遠い右方向に4個配置される。第2発光部402は、べース410のヘッドに近い左方向に2個配置される。第1発光部401の第1光軸401Lの傾きである第1光軸傾斜角401LRは、第2発光部402の第2光軸402Lの傾きである第2光軸傾斜角402LRよりも大きい。
【0084】
図16は、変形例3における第2発光部402を側面から見た図である。
図16に示す第2発光部402の周囲には、第2発光部402の光軸を右方向に傾斜させるためのレンズ430が備えられている。レンズ430は第2発光部402に個別に備えられる。レンズ430により傾斜させられた光軸が第2光軸402Lであり、第2光軸傾斜角402LRの傾斜角を有する。これにより第2ベース面410Bを傾斜することなく、第2光軸402Lを傾斜させることができる。第1発光部401はレンズを備えていない。しかしながら、第1発光部401のそれぞれにレンズを備えていても良い。
【0085】
図16に示す第1発光部401と第2発光部402とはベース410の同一面に配置される。このため基板を共通にすることができる。また第1発光部401と第2発光部402を共通にすることでコストダウンができる。
【0086】
図17は、複数の2発光部402と複数の第2発光部402に共通する1つのレンズとを側面から見た図である。
図17に示す2つの第2発光部402は、共通レンズ431を有する。2つの第2発光部402のうち、左右方向右側を第2発光部右402A、左右方向右側を第2発光部左402Bとする。共通レンズ431は第2発光部右402Aの第2光軸402Lと第2発光部左402Bの第2光軸402Lを傾斜させるレンズである。つまりレンズは個別に設けられていなくてもよい。第1発光部401はレンズを備えていない。しかしながら、第1発光部401の光軸を傾斜させる共通レンズを備えていても良い。
【0087】
また、本実施形態と本実施形態に係る変形例1と本実施形態に係る変形例2と本実施形態に係る変形例3とは、それぞれ組合せが可能である。
【符号の説明】
【0088】
10 印刷装置
12 キャリッジ
20 第1ヘッド
30 第2ヘッド
40 第1光照射部
50 第2光照射部
60 走査機構
70 搬送機構
71 ステージ
71A 支持面
M 印刷媒体
410 ベース
401 第1発光部
402 第2発光部
403 第3発光部
401L 第1光軸
402L 第2光軸
403L 第3光軸
401LR 第1光軸傾斜角
402LR 第2光軸傾斜角
403LR 第3光軸傾斜角
410AR 第1ベース面傾斜角
410BR 第2ベース面傾斜角
401DL 第1仮想線
402DL 第2仮想線
403DL 第3仮想線
411 第1基板
412 第2基板
410A 第1ベース面
410B 第2ベース面
402A 第2発光部右
402B 第2発光部左
406F 前面
406FR 前面右端
406FL 前面左端
430 レンズ
431 共通レンズ