IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大煌工業株式会社の特許一覧 ▶ 大林道路株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車載型積載重量計測装置 図1
  • 特開-車載型積載重量計測装置 図2
  • 特開-車載型積載重量計測装置 図3
  • 特開-車載型積載重量計測装置 図4
  • 特開-車載型積載重量計測装置 図5
  • 特開-車載型積載重量計測装置 図6
  • 特開-車載型積載重量計測装置 図7
  • 特開-車載型積載重量計測装置 図8
  • 特開-車載型積載重量計測装置 図9
  • 特開-車載型積載重量計測装置 図10
  • 特開-車載型積載重量計測装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053824
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】車載型積載重量計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/12 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
G01G19/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020160665
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】518199849
【氏名又は名称】大煌工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000208204
【氏名又は名称】大林道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】山下 将弘
(72)【発明者】
【氏名】福本 勝司
(57)【要約】
【課題】搬送車両の積載重量を直接且つ高精度に計測することができる車載型積載重量計測装置を提供すること。
【解決手段】ダンプカー(搬送車両)100の荷台110に設置され、荷台110に積載される積載物Wの重量を計測する車載型積載重量計測装置1を、積載物Wを積載するための矩形平板状の秤量台2を、荷台110上に設置された複数のロードセル(荷重センサ)10によって少なくとも水平方向の移動を許容して支持し構成する。ここで、荷台110の底板113上に、車幅方向に沿う3つの補強プレート9を車両前後方向前端と後端及び中間部にそれぞれ固着するとともに、各補強プレート9上の車幅方向両端部にロードセル10をそれぞれ配置する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送車両の荷台に設置され、前記荷台に積載される積載物の重量を計測する装置であって、
積載物を積載するため前記荷台の内側に略丁度収まる矩形平板状の秤量台を、前記荷台上に設置された複数の荷重センサによって少なくとも水平方向に微小量の移動を許容して支持し構成されることを特徴とする車載型積載重量計測装置。
【請求項2】
前記荷台の底板上に、車幅方向に沿う3つの補強プレートを車両前後方向前端と後端及び中間部にそれぞれ固着するとともに、各補強プレート上の車幅方向両端部に前記荷重センサをそれぞれ配置した請求項1に記載の車載型積載重量計測装置。
【請求項3】
前記荷重センサは、ロードセルであって、前記秤量台の下面に固定された第1のセンサ部材と前記補強プレートの上面に固定された第2のセンサ部材の相対向する箇所にそれぞれ突設された半球状凸部同士を点接触させて構成されるピボット構造を有している請求項1または2に記載の車載型積載重量計測装置。
【請求項4】
前記秤量台の少なくとも水平方向の移動を規制するストッパ手段を設けた請求項1~3の何れかに記載の車載型積載重量計測装置。
【請求項5】
前記秤量台の車両前後方向の前端部と後端部の各左右の計4箇所に矩形の開口窓を形成し、各開口窓の内部に前記荷台上に立設される4つの各位置決めブロックを配置し、前記開口窓と位置決めブロックの間に所定隙間を設け、前記隙間において前記ストッパ手段を、前記各開口窓の周壁から前記各位置決めブロックに向かって水平且つ互いに直交する2方向に突設された少なくとも2つのボルトとこれに螺合するロックナットによって構成した請求項4に記載の車載型積載重量計測装置。
【請求項6】
前記秤量台の前端縁と左右の側端縁から縦壁をそれぞれ略垂直に起立させた請求項1~5の何れかに記載の車載型積載重量計測装置。
【請求項7】
前記搬送車両の荷台の前部背面に、前記荷重センサによって計測した積載重量の表示部を設けた請求項1~6の何れかに記載の車載型積載重量計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車両の荷台に設置されて積載物の重量を直接計測するための車載型積載重量計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建設工事や土木工事において発生した土砂などは、通常、ダンプカー等の大型の搬送車両によって処理場や処分場などへと運搬される。ダンプカー等の大型の搬送車両は、一度に多くの土砂などを運搬することができるが、規定の積載重量を超える過積載状態で搬送車両が道路を走行すると、道路に与える物理的ダメージや事故発生時の交通遮断や交通渋滞の影響などが大きくなる。
【0003】
そこで、搬送車両の積載荷重を計測し、過積載を未然に防ぐことを目的に従来より搬送車両の積載重量を計測する装置やシステムが種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-113339号公報
【特許文献2】特開平10-148565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2において提案されている積載重量計測装置や計測システムは、台貫計として地上の所定場所に設置されており、積載物を積載した搬送車両を台貫計に載せて当該搬送車両と積載物の合計重量を計測し、その計測値から搬送車両単体の重量を差し引いて積載物の重量(積載重量)を算出することが行われているため、積載重量の誤差が出やすいという問題のほか、台貫計の設置場所まで積載物を積載した搬送車両で出向く必要があるという時間やコストのロスも無視できないという問題がある。
【0006】
上記問題のために、誤差を予め見込んで過少(少な目)の積載物を搬送車両に積載する場合には、搬送車両が1回で運搬することができる積載物の量が少なくなるために運搬効率が悪く、搬送車両の往復回数が増えるという問題がある。過少積載に対しては、過少分(不足分)の積載物を追加すれば良いが、そのために搬送車両が積載場所と台貫計との間を往復することになるため、走行時間や燃費ロスが大きくなるという新たな問題が派生する。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、搬送車両の積載重量を直接且つ高精度に計測することができる車載型積載重量計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、搬送車両の荷台に設置され、前記荷台に積載される積載物の重量を計測する車載型積載重量計測装置を、積載物を積載するための矩形平板状の秤量台を、前記荷台上に設置された複数の荷重センサによって少なくとも水平方向の微小移動を許容して下面から支持し構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記荷台の底板上に、車幅方向に沿う3つの補強プレートを車両前後方向前端と後端及び中間部にそれぞれ固着するとともに、各補強プレート上の車幅方向両端部に前記荷重センサをそれぞれ配置したことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記荷重センサは、ロードセルであって、前記秤量台の下面に固定された第1のセンサ部材と前記補強プレートの上面に固定された第2のセンサ部材の相対向する箇所にそれぞれ突設された半球状凸部同士を点接触させて構成されるピボット構造を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3の何れかに記載の発明において、前記秤量台の少なくとも水平方向の移動を規制するストッパ手段を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記秤量台の車両前後方向前端部と後端部の各左右の計4箇所に矩形の開口窓を形成し、各開口窓を前記荷台上に立設された4つの各位置決めブロックに両者間に所定隙間を設けてそれぞれ嵌め込み、前記ストッパ手段を、前記各開口窓の周壁から前記各位置決めブロックに向かって水平且つ互いに直交する2方向に突設された少なくとも2つのボルトとこれに螺合するロックナットによって構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5の何れかに記載の発明において、前記秤量台の前端縁と左右の側端縁から縦壁をそれぞれ略垂直に起立させたことを特徴とする。また請求項7に記載の発明は、前記荷重センサで計測した積載重量が荷台の前部背面の表示部に表示されるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、搬送車両の荷台に設置された秤量台に積載される積載物の重量を、秤量台の下に配置した複数の荷重センサによって直接計測するため、搬送車両の重量に関係なく、積載重量のみを直接且つ高精度に計測することができる。特に、秤量台は、荷台上で垂直方向に移動可能で水平方向は微小量移動を許容しているため、この秤量台上の積載物の正味の重量(垂直荷重)のみを高精度に計測することができる。このため、計測誤差を予め見込んで過少(少な目)の積載物を搬送車両に積載する必要がなく、搬送車両による積載物の運搬効率が高められる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、荷台の底板の撓み変形が3つの補強プレートによって抑制され、しかも、計6個の荷重センサが剛性の高い補強ブレーと上に設置されるため、秤量台上に積載された積載物の重量(積載重量)が6個の荷重センサによって高精度に計測される。また、積載物の積載状態に場所的な偏りがあっても、計6個の荷重センサによって積載物の重量(積載重量)が高精度に計測される。なお、荷重センサの個数は6個が最適であり、それ以外の個数では、その計測精度が積載物の場所的な偏りの影響を受けることが実験的に確認された。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、荷重センサであるロードセルは、相対向する2つの半球状凸部同士を点接触して構成されるピボット構造を有しているため、積載物を積載する秤量台が多少傾いても或いは水平方向に多少移動しても、積載物の重量(積載重量)がロードセルによって常に高精度に計測される。
【0017】
請求項4及び5に記載の発明によれば、積載物が積載された秤量台は、その水平方向の位置決めが高精度になされるとともに、少なくとも水平方向の移動(振れ)がストッパ手段によって規制されるため、該秤量台に積載された積載物の重量(積載重量)がロードセルなどの荷重センサによって常に高精度に計測される。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、秤量台上に積載された積載物が搬送車両の荷台の前端板と左右の側板に接触することがないため、荷台の前端板と左右の側板が積載物から横方向の力を受けることがない。このため、積載物が荷台の前端板と左右の側板に接触する場合に両者間に発生する上向き(反重力方向)の摩擦力分だけ積載物の重量(垂直荷重)が減じられることがなく、秤量台上の積載物の重量(積載重量)のみが直接且つ高精度に計測される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る車載型積載重量計測装置を備えた搬送車両(ダンプカー)の側面図である。
図2図1の矢視A方向の部分図である。
図3】本発明に係る車載型積載重量計測装置の破断平面図である。
図4】本発明に係る車載型積載重量計測装置の正面図(図3の矢視B方向の図)である。
図5】本発明に係る車載型積載重量計測装置の側面図(図3の矢視C方向の図)である。
図6図4のD部拡大詳細図である。
図7図6のE-E拡大線断面図である。
図8図3のF部拡大詳細図である。
図9図8のG-G線断面図である。
図10図8のH-H線断面図である。
図11】(a)は図5のI部拡大詳細図、(b)は秤量台に縦壁を設けない場合の荷重の関係を説明する(a)と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明に係る車載型積載重量計測装置を備えた搬送車両(ダンプカー)の側面図、図2図1の矢視A方向の部分図であり、図1に示す搬送車両100はダンプカーであって、その前端部のキャビン101から後方には荷台110が水平に延びている。ここで、荷台110は、その後端部を中心として図1に鎖線にて示すように上方(図示矢印方向)に回動可能であって、このように荷台110が回動して傾斜することによって、該荷台110に積載された土砂などの積載物Wが落下して荷台110から降ろされる。
【0022】
ところで、荷台110には本発明に係る後述の車載型積載重量計測装置1(図3図5参照)が設置されており、この車載型積載重量計測装置1によって計測された積載物Wの重量(積載重量)は、荷台110の前端に立設された前端板111に配置された図2に示す表示部120にデジタル表示される。
【0023】
ここで、本発明に係る車載型積載重量計測装置1を図3図11に基づいて以下に説明する。
【0024】
図3は本発明に係る車載型積載重量計測装置の破断平面図、図4は同車載型積載重量計測装置の正面図(図3の矢視B方向の図)、図5は同車載型積載重量計測装置の側面図(図3ノ矢視C方向の図)、図6図4のD部拡大詳細図、図7図6のE-E線拡大断面図、図8図3のF部拡大詳細図、図9図8のG-G線断面図、図10図8のH-H線断面図、図11(a)は図5のI部拡大詳細図、図11(b)は秤量台に縦壁を設けない場合の荷重の関係を説明する図11(a)と同様の図である。なお、以下の説明においては、図3図5に示す矢印方向をそれぞれ「前後」、「左右」及び「上下」方向とする。
【0025】
本発明に係る車載型積載重量計測装置1は、前述のようにダンプカー100の荷台110に設置されるものであって、図3図5に示すように、矩形平板状の秤量台2を有している。この秤量台2は、図3図5に鎖線にて示す荷台110の内側に沿って水平に設置される長方形の中空部材であって、図3に示すように、周囲に沿って配置されて矩形枠を構成する前後の支持フレーム3と左右の支持フレーム4及び複数の補強フレーム5,6の上下面に長方形の鋼板7,8(図4参照)を溶着することによって構成されている。ここで、1つの補強フレーム5は、車幅方向中央に車両前後方向に沿って配置されており、8つの補強フレーム6は、補強フレーム5に直交するよう車幅方向に沿って車両前後方向に所定の間隔で配置されている。なお、本実施の形態では、支持フレーム3,4と補強フレーム5,6は、H型鋼によって構成されている。
【0026】
また、図5及び図6に示すように、秤量台2の前端縁と左右の側端縁からは縦壁2a,2bがそれぞれ垂直に起立しており、これらの縦壁2a,2bの高さは、荷台110の左右の側板112の高さと同等に設定されている。
【0027】
他方、図3及び図4に示すように、ダンプカー100の荷台110の底板113上には、車幅方向に沿うチャンネル状の3つの補強プレート9が前端部と後端部及び前後方向中間部にそれぞれ固着されている。そして、各補強プレート9上の左右両端部には、荷重センサであるロードセル10がそれぞれ配置されている。
【0028】
したがって、本実施の形態では、荷台110に計6つのロードセル10が配置されており、図3に示すように、秤量台2は、その四隅部と前後方向中央の左右の計6箇所がロードセル10によって荷台110に対して水平方向及び上下方向に移動可能に支持されている。
【0029】
ここで、各ロードセル10は、荷重を電気信号に変換するセンサであって、一例として図7に示すように構成されている。
【0030】
すなわち、図7に示すように、各ロードセル10は、高さ調整用の2枚のシム11,12を介して秤量台2の下面の鋼板8に固定された第1のセンサ部材10Aと各補強プレート9の上面に固定された第2のセンサ部材10Bの相対向する箇所にそれぞれ突設された半球状凸部10a,10b同士を点接触させて構成されるピボット構造を有している。なお、上側のシム11は、秤量台2の下面の鋼板8に固着されており、下側のシム12は、複数本のボルト13によって上側のシム11に着脱可能に取り付けられており、下側のシム12を厚さの異なるものに交換することによって、図7に示す高さhを調整することができる。
【0031】
ところで、図3に示すように、秤量台2の前後方向前端部と後端部の各左右の計4箇所には矩形の開口窓2Aがそれぞれ形成されている。また、秤量台2の略中央部にも矩形の開口窓2Bが形成されている。
【0032】
他方、荷台110の底板113上の4箇所(秤量台2に形成された4つの開口窓2Aに対応する4箇所)には、図8図10に示すように、位置決めブロック14が垂直に立設されている。
【0033】
而して、秤量台2は、これの4箇所に形成された各開口窓2Aを荷台110上に立設された4つの各位置決めブロック14に両者間に所定隙間を設けてそれぞれ嵌め込むことによって、荷台100に対して位置決めされた状態で、その6箇所がロードセル10によってそれぞれ水平方向及び上下方向に移動可能に支持されている。
【0034】
ここで、図8図10に示すように、秤量台2の4箇所に形成された各開口窓2A(図8図10には1つのみ図示)の周壁からは、周壁に進退可能に螺合する2つのボルト15,16が各位置決めブロック14に向かって水平且つ互いに直交する2方向に沿って突設されている。具体的には、一方のボルト15は、図8及び図9に示すように、前後方向に沿って配置されており、他方のボルト16は、図8及び図10に示すように、一方のボルト15と直交する左右方向に沿って配置されている。そして、これらのボルト15,16には、2つのロックナット17,18がそれぞれ螺合している。
【0035】
また、各位置決めブロック14の上面には、矩形のストッパプレート19が4本のボルト20によって水平に固定されており、図10に示すように、このストッパプレート19のオーバーハング部とボルト16の頭部16aとの間には図示の微小隙間δ3が形成されている。
【0036】
また、一方のボルト15の頭部15aと位置決めブロック14との間には、図9に示すように、前後方向の隙間δ1が形成され、他方のボルト16の頭部16aと位置決めブロック14との間には、図10に示すように、左右方向の微小隙間δ2が形成されている。
【0037】
したがって、秤量台2は、荷台100に対して水平方向、具体的には前後方向に微小隙間δ1、左右方向に微小隙間δ2の範囲で移動が許容されていると共に、上下方向には微小隙間δ3の範囲で移動が許容されている。ここで、微小隙間δ1,δ2は、各ボルト15,16を回してそれぞれの開口窓2Aの周壁からの突出量を変化させることによって調整され、調整後はこれらのボルト15,16にそれぞれ螺合するロックナット17,18を締め付けて各ボルト15,16を固定すれば、微小隙間δ1,δ2は、調整後の値に保持される。このように、2つのボルト15,16とこれらに螺合するロックナット17,18及びストッパプレート19は、秤量台2の水平方向と上下方向の移動の許容範囲を規定するためのストッパ手段を構成している。なお、秤量台2に形成された4つの開口窓2Aは、図3に示すように、通常は矩形プレート状のカバー21によって上面が覆われている。
【0038】
他方、秤量台2の略中央部に形成された開口窓2Bの内部には、各ロードセル10から出力される検出信号を処理して積載重量を算出するためのコントローラ22(図3参照)が収容されており、このコントローラ22によって算出される積載重量は、図2に示す表示部120にデジタル表示される。なお、開口窓2Bも通常は矩形プレート状のカバー23によって上面が覆われている(図3参照)。
【0039】
而して、以上のように構成された車載型積載重量計測装置1は、図4及び図5に示すように、秤量台2上に積載された土砂などの積載物Wの重量(積載重量)を計6つのロードセル10に得られる検出値を収集して演算処理することによって計測し、その計測値を前述のように図2に示す表示部120にデジタル表示するが、この車載型積載重量計測装置1によれば以下のような効果が得られる。
【0040】
すなわち、本実施の形態に係る車載型積載重量計測装置1においては、ダンプカー100(図1参照)の荷台110に設置された秤量台2に積載される積載物Wの重量(積載重量)を計6つのロードセル10に得られる検出値を演算処理することよって直接計測するため、ダンプカー100の重量に関係なく、積載重量のみを直接且つ高精度に計測することができる。特に、秤量台2は、水平方向に移動可能であるため、この秤量台2上の積載物Wの正味の重量(垂直荷重)のみを直接且つ高精度に計測することができる。このため、計測誤差を予め見込んで過少(少な目)の積載物Wをダンプカー100に積載する必要がなく、ダンプカー100による積載物Wの運搬効率が高められる。
【0041】
また、本実施の形態に係る車載型積載重量計測装置1においては、荷台110の底板113の撓み変形が3つの補強プレート9によって抑制され、しかも、計6つのロードセル10が剛性の高い補強ブレート9上に設置されるため、秤量台2上に積載された積載物Wの重量(積載重量)が6つのロードセル10によって高精度に計測される。この場合、積載物Wの積載状態に場所的な偏りがあっても、計6つのロードセル10に得られる検出値を所定の演算式に基づき処理して積載物Wの重量(積載重量)を算出するから、積載重量を高精度に計測できる。なお、ロードセル10の個数は6つが最適であり、それ以外の個数では、その計測精度が積載物Wの場所的な偏りの影響を受けることが実験的に確認された。
【0042】
さらに、本実施の形態においては、各ロードセル10は、第1のセンサ部材10Aと第2のセンサ部材10Bの相対向する2つの半球状凸部10a,10b同士を点接触させて構成されるピボット構造を有しているため、積載物Wを積載する秤量台2が多少傾いても或いは水平方向に許容範囲内で多少移動しても、積載物Wの重量(積載重量)が6個のロードセル10によって常に高精度に計測される。
【0043】
また、本実施の形態に係る車載型積載重量計測装置1においては、秤量台2の前後方向前端部と後端部の各左右の計4箇所に矩形の開口窓2Aをそれぞれ形成し、各開口窓2Aにおいて、荷台110上に立設された4つの各位置決めブロック14を、開口窓2Aとブロック14の間に所定隙間を設け、その隙間に秤量台の水平方向の移動を規制するストッパ手段を配置したため、積載物Wが積載された秤量台2は、その水平方向の移動を微小量に規制することができる。即ち、この秤量台2の水平方向の移動(振れ、変位)がストッパ手段を構成する水平向きのボルト15,16とロックナット17,18によって微小隙間δ1,δ2の範囲内に規制されるとともに、同秤量台2の上下方向の移動も上下ストッパ手段を構成するストッパプレート19とボルト16によって微小隙間δ3の範囲に規制されるため、該秤量台2に積載された積載物Wの重量(積載重量)が6個のロードセル10によって常に高精度に計測できることになる。
【0044】
さらに、本実施の形態に係る車載型積載重量計測装置1においては、図4及び図5に示すように、秤量台2の前端縁と左右の側端縁から縦壁2a,2bをそれぞれ略垂直に起立させたため、該秤量台2上に積載された積載物Wがダンプカー100(図1参照)の荷台110の前端板111と左右の側板112に接触することがなく、積載物Wの重量(荷重)は全て秤量台2が支えることになる。このため、荷台110の前端板111と左右の側板112が積載物Wから横方向の力を受けることがない。したがって、積載物Wが荷台110の前端板111と左右の側板112に接触する場合に両者間に発生する上向き(反重力側)の摩擦力分だけ積載物Wの重量(垂直荷重)が減じられることがなく、秤量台2上の積載物の重量(積載重量)のみが直接且つ高精度に計測される。
【0045】
例えば、図11(a)に示すように、秤量台2の側端縁に縦壁2bが立設されている本実施の形態の場合には、秤量台2上の積載物Wが荷台110の側板112に接触することがないために両者間に摩擦力が発生せず、積載物Wの正味の重量(積載重量)が垂直荷重として高精度に計測される。これに対して、秤量台2の側端縁に縦壁2bが立設されていない場合には、図11(b)に示すように、秤量台2上の積載物Wが荷台110の側板112に接触する。このため、荷台110の側板112は、積載物Wから横方向の力Nを受け、この側板112と積載物Wとの間には、次式にて表される上向き(反重力方向)の摩擦力Fが発生する。
【0046】
F=μ・N
ここに、μは積載物Wと側板112との間の摩擦係数である。
【0047】
したがって、積載物Wの重量(積載重量)が摩擦力Fだけ小さく計測され、積載重量に摩擦力F分の誤差が発生する。なお、この誤差は、積載物Wの粘性が高くて摩擦係数μが大きいほど大きくなる。
【0048】
なお、以上の実施の形態においては、荷重センサとしてロードセル10を使用したが、荷重センサとしては、荷重を電気信号に変換するものであれば、他の任意のものを使用することができる。また、搬送車両をダンプカーとして説明したが、本発明はダンプカー以外の一般の貨物トラックを含む搬送車両に適用できること勿論である。
【0049】
その他、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0050】
1 車載型積載重量計測装置
2 秤量台
2A,2B 秤量台の開口窓
2a,2b 秤量台の縦壁
9 補強プレート
10 ロードセル(荷重センサ)
10A ロードセルの第1のセンサ部材
10B ロードセルの第2のセンサ部材
10a,10b センサ部材の半球状凸部
14 位置決めブロック
15,16 ボルト(ストッパ手段)
17,18 ロックナット(ストッパ手段)
19 ストッパプレート(上下ストッパ手段)
100 ダンプカー(搬送車両)
110 荷台
111 荷台の前端板
112 荷台の側板
113 荷台の底板
120 表示部
W 積載物
δ1~δ3 微小隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11