(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053842
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】まくらぎ切断・把持アタッチメント、および、まくらぎ撤去方法
(51)【国際特許分類】
E01B 29/11 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
E01B29/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020160694
(22)【出願日】2020-09-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行日:令和1年11月14日、18日、20日 刊行物:交通新聞 〔刊行物等〕 開催日:令和1年11月27日~29日 集会名:第6回鉄道技術展2019 Mass-Trans Innovation Japan 2019 開催場所:幕張メッセ 5・6・7・8ホール(〒261-8550 千葉市美浜区中瀬2-1)
(71)【出願人】
【識別番号】390007607
【氏名又は名称】大鉄工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 士
(72)【発明者】
【氏名】金山 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】林 孝至
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057BA20
2D057BA23
2D057BA33
2D057CB02
(57)【要約】
【課題】木製のまくらぎを切断および把持できるまくらぎ切断・把持アタッチメントを提供する。
【解決手段】バックホウのアームに取り付けおよび取り外し可能なアタッチメント1は、まくらぎMを把持する一対のグリッパー11、39と、まくらぎMの一方の側面Ms1を支える側面サポート36と、側面サポート36に支えられたまくらぎMをまくらぎMに垂直な方向に切断する切断刃12と、一対のグリッパー11、39を開閉させると共に、側面サポート36に対して切断刃12を回転軸7まわりに回転させる油圧シリンダ5とを備える。切断刃12の刃先13は、まくらぎMの他方の側面Ms2とまくらぎMの上面Muとによって形成されたまくらぎMの角Mcが嵌り、角Mcに食い込む切断用凹部16を含む。
【選択図】
図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックホウのアームに取り付けおよび取り外し可能なアタッチメントであって、
木製のまくらぎの一方の側面と前記まくらぎの他方の側面とに接触することにより、前記まくらぎを把持する一対のグリッパーと、
前記まくらぎの前記一方の側面を支える側面サポートと、
前記側面サポートよりも上方に位置する回転軸まわりに前記側面サポートに対して回転可能であり、前記側面サポートの方に回転することにより、前記側面サポートに支えられた前記まくらぎを前記まくらぎに垂直な方向に切断する切断刃と、
前記一対のグリッパーを開閉させると共に、前記側面サポートに対して前記切断刃を前記回転軸まわりに回転させる少なくとも一つのアクチュエータとを備え、
前記切断刃の刃先は、前記まくらぎの前記他方の側面と前記まくらぎの上面とによって形成された前記まくらぎの角が嵌り、前記角に食い込む切断用凹部を含む、まくらぎ切断・把持アタッチメント。
【請求項2】
前記切断刃によって切断される前記まくらぎを上から押さえる上面押さえをさらに含む、請求項1に記載のまくらぎ切断・把持アタッチメント。
【請求項3】
前記切断刃は、刃先角度が前記刃先に近づくにしたがって増加した部分を含む、請求項1または2に記載のまくらぎ切断・把持アタッチメント。
【請求項4】
前記一対のグリッパーは、前記切断刃が前記まくらぎの上方に位置する状態で前記まくらぎを把持するものであり、
前記切断刃の前記刃先は、前記まくらぎが前記一対のグリッパーに把持された状態で前記まくらぎの前記角のまわりに配置される把持用凹部をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のまくらぎ切断・把持アタッチメント。
【請求項5】
木製のまくらぎの一方の側面と前記まくらぎの他方の側面とに接触することにより、前記まくらぎを把持する一対のグリッパーと、前記まくらぎの前記一方の側面を支える側面サポートと、前記側面サポートよりも上方に位置する回転軸まわりに前記側面サポートに対して回転可能であり、前記側面サポートの方に回転することにより、前記側面サポートに支えられた前記まくらぎを前記まくらぎに垂直な方向に切断する切断刃と、前記一対のグリッパーを開閉させると共に、前記側面サポートに対して前記切断刃を前記回転軸まわりに回転させる少なくとも一つのアクチュエータとを備え、バックホウのアームに取り付けおよび取り外し可能なまくらぎ切断・把持アタッチメントを用いて、道床と一対のレールとの間から前記まくらぎを撤去する方法であって、
前記道床のバラストを移動させることにより、前記まくらぎの端部のまわりに穴を掘る掘削工程と、
前記一対のグリッパーによって前記一対のレールの外側で前記まくらぎを把持しながら、前記まくらぎ切断・把持アタッチメントを外側に移動させることにより、前記一対のレールの少なくとも一方が前記まくらぎの上方に位置する場所まで前記まくらぎを前記道床に沿って外側に移動させる第1引き出し工程と、
前記まくらぎを前記切断刃によって前記一対のレールの外側で切断することにより、前記まくらぎを2つの切断片に分離する切断工程と、
外側の前記切断片を前記一対のグリッパーによって把持しながら、前記まくらぎ切断・把持アタッチメントを移動させることにより、外側の前記切断片を撤去する第1撤去工程と、を含む、まくらぎ撤去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木製のまくらぎを切断および把持するまくらぎ切断・把持アタッチメントと、木製のまくらぎを道床から撤去するまくらぎ撤去方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、まくらぎ交換作業に用いられる枕木交換機が開示されている。枕木交換機は、まくらぎを把持する可動把持片および固定把持片を備えている。枕木交換機は、レール上を走行する作業車のアームに装着される。道床に敷設されたまくらぎの周辺に穴を掘るときは、固定把持片の先端部に設けられたパッドでバラストをかき出す。その後、可動把持片および固定把持片をまくらぎの前後に移動させ、可動把持片を固定把持片に近づける。これにより、まくらぎが把持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の枕木交換機を用いて道床からまくらぎを撤去する場合、可動把持片および固定把持片でまくらぎの端部を把持して、まくらぎを外側に引っ張り、まくらぎ全体をレールの外側まで移動させる。壁などの障害物がレールの外側にある場合は、まくらぎ全体をレールの外側まで移動させることができないので、まくらぎが木製であれば、まくらぎを切断して複数の切断片に分割し、可動把持片および固定把持片で切断片を把持して道床から移動させる。
【0005】
特許文献1に記載の枕木交換機は、道床を掘削でき、まくらぎを把持できるものの、まくらぎを切断することはできない。したがって、後者の工法を実施する場合は、作業員が電動のこぎりやチェーンソーを用いてまくらぎを切断する必要がある。作業者の負担軽減および施工効率の向上の観点からこのような作業をなくすことが好ましい。
そこで、本発明の一つの目的は、木製のまくらぎを切断および把持できるまくらぎ切断・把持アタッチメントを提供することである。本発明の他の目的は、まくらぎを撤去する際の施工効率を高めることができるまくらぎ撤去方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、バックホウのアームに取り付けおよび取り外し可能なアタッチメントであって、木製のまくらぎの一方の側面と前記まくらぎの他方の側面とに接触することにより、前記まくらぎを把持する一対のグリッパーと、前記まくらぎの前記一方の側面を支える側面サポートと、前記側面サポートよりも上方に位置する回転軸まわりに前記側面サポートに対して回転可能であり、前記側面サポートの方に回転することにより、前記側面サポートに支えられた前記まくらぎを前記まくらぎに垂直な方向に切断する切断刃と、前記一対のグリッパーを開閉させると共に、前記側面サポートに対して前記切断刃を前記回転軸まわりに回転させる少なくとも一つのアクチュエータとを備え、前記切断刃の刃先は、前記まくらぎの前記他方の側面と前記まくらぎの上面とによって形成された前記まくらぎの角が嵌り、前記角に食い込む切断用凹部を含む、まくらぎ切断・把持アタッチメントである。
【0007】
この構成によれば、少なくとも一つのアクチュエータが一対のグリッパーを開閉させる。これにより、まくらぎの一方の側面とまくらぎの他方の側面とに一対のグリッパーを接触させて、まくらぎを把持できる。少なくとも一つのアクチュエータは、さらに、側面サポートに対して切断刃を回転軸まわりに回転させる。これにより、側面サポートに支えられたまくらぎに切断刃を食い込ませて、まくらぎに垂直な方向にまくらぎを切断できる。このように、まくらぎの把持だけでなく、まくらぎの切断も機械化できるので、保線を行う作業者の負担を軽減でき、施工効率を高めることができる。
【0008】
切断刃がまくらぎを切断するとき、まくらぎの上側の角は、刃先に設けられた切断用凹部に嵌る。切断用凹部が刃先にないと、側面サポートとまくらぎとが接触する領域の下端(
図4B中の点P1参照)まわりのモーメントがまくらぎに加わる。まくらぎがバラストの上に置かれている場合、まくらぎとバラストとの間に隙間があったり、このモーメントが大きかったりすると、まくらぎが下方に回転し、刃先から逃げる。切断用凹部が刃先にあると、まくらぎに加わるモーメントが弱まり、切断刃がまくらぎを側面サポートの方に押す力が強くなる。これは、切断用凹部がまくらぎの上面だけでなく、まくらぎの他方の側面にも押し付けられるからである。これにより、まくらぎを確実に切断できる。
【0009】
少なくとも一つのアクチュエータは、2つのアクチュエータ、つまり、一対のグリッパーを開閉させる把持用アクチュエータと、側面サポートに対して切断刃を回転軸まわりに回転させる切断用アクチュエータであってもよいし、一対のグリッパーを開閉させると共に、側面サポートに対して切断刃を回転軸まわりに回転させる1つのアクチュエータであってもよい。少なくとも一つのアクチュエータは、まくらぎに対して両方のグリッパーを移動させることにより一対のグリッパーを開閉させてもよいし、まくらぎに対して一方のグリッパーだけを移動させることにより一対のグリッパーを開閉させてもよい。
【0010】
アクチュエータは、電動モータ、油圧モータ、および油圧シリンダのいずれかであってもよいし、これら以外であってもよい。まくらぎ切断・把持アタッチメントは、アクチュエータの出力を増幅する減速機と、アクチュエータの運動を変換する運動変換機構と、のうちの少なくとも一方をさらに備えていてもよい。例えばアクチュエータが電動モータである場合、電動モータの回転を直線運動に変換するボールねじが、まくらぎ切断・把持アタッチメントに備えられてもよい。ボールねじは、運動変換機構の一例である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記切断刃によって切断される前記まくらぎを上から押さえる上面押さえをさらに含む、請求項1に記載のまくらぎ切断・把持アタッチメントである。
この構成によれば、上面押さえをまくらぎの上面に接触させて、まくらぎを上から押さえることができる。したがって、切断刃は、側面サポートによって支えられており、上面押さえによって押さえられたまくらぎを切断する。これにより、切断刃によって切断されるまくらぎの姿勢を安定させることができ、まくらぎを切断刃から逃げ難くすることができる。
【0012】
前記上面押さえは、前記まくらぎの前記上面に接触する平面であってもよいし、前記まくらぎの前記上面に接触する1つ以上の突起であってもよい。後者の場合、前記上面押さえは、前記まくらぎの前記上面に食い込むことにより、前記まくらぎを上から押さえる押さえ突起を含んでいてもよい。この場合、押さえ突起によってまくらぎを上から押さえることができると共に、押さえ突起に対してまくらぎが水平に移動することを抑制または防止できる。これにより、切断刃によって切断されるまくらぎの姿勢をさらに安定させることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記切断刃は、刃先角度が前記刃先に近づくにしたがって増加した部分を含む、請求項1または2に記載のまくらぎ切断・把持アタッチメントである。
この構成によれば、切断刃の刃先角度、つまり、切断刃の一対の側面がなす角が、切断刃の刃先に近づくにしたがって増加している。したがって、刃先を含む切断刃の先端部は、相対的に刃先角度が大きい。切断刃でまくらぎを切断するときは、切断刃の先端部をまくらぎに差し込み、切断刃の先端部でまくらぎを押し広げながら、切断刃をまくらぎに挿入できる。これにより、切断刃をより確実にまくらぎに食い込ませることができる。
【0014】
前記刃先角度が前記刃先に近づくにしたがって増加した部分は、前記刃先角度が連続的または段階的に増加した部分であってもよいし、前記刃先角度が連続的に増加した部分と前記刃先角度が段階的に増加した部分とを含んでいてもよい。前記切断刃は、前記刃先角度が前記刃先に近づくにしたがって増加した部分に加えて、前記刃先角度が一定の部分を含んでいてもよい。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記一対のグリッパーは、前記切断刃が前記まくらぎの上方に位置する状態で前記まくらぎを把持するものであり、前記切断刃の前記刃先は、前記まくらぎが前記一対のグリッパーに把持された状態で前記まくらぎの前記角のまわりに配置される把持用凹部をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のまくらぎ切断・把持アタッチメントである。
【0016】
この構成によれば、一対のグリッパーがまくらぎを把持すると、刃先に設けられた把持用凹部がまくらぎの上側の角のまわりに配置される。したがって、一対のグリッパーによって木製の新しいまくらぎを把持したときに、このまくらぎが切断刃によって切断されることを防止できる。一対のグリッパーを切断刃から遠ざければ、把持用凹部を設ける必要がないかもしれないが、この場合、まくらぎ切断・把持アタッチメントが大型化する。したがって、大型化を抑制または防止しながら、一対のグリッパーによって把持されたまくらぎが切断刃によって切断されることを防止できる。
【0017】
前記目的を達成するための請求項5に記載の発明は、木製のまくらぎの一方の側面と前記まくらぎの他方の側面とに接触することにより、前記まくらぎを把持する一対のグリッパーと、前記まくらぎの前記一方の側面を支える側面サポートと、前記側面サポートよりも上方に位置する回転軸まわりに前記側面サポートに対して回転可能であり、前記側面サポートの方に回転することにより、前記側面サポートに支えられた前記まくらぎを前記まくらぎに垂直な方向に切断する切断刃と、前記一対のグリッパーを開閉させると共に、前記側面サポートに対して前記切断刃を前記回転軸まわりに回転させる少なくとも一つのアクチュエータとを備え、バックホウのアームに取り付けおよび取り外し可能なまくらぎ切断・把持アタッチメントを用いて、道床と一対のレールとの間から前記まくらぎを撤去するまくらぎ撤去方法である。
【0018】
前記まくらぎ撤去方法は、前記道床のバラストを移動させることにより、前記まくらぎの端部のまわりに穴を掘る掘削工程と、前記一対のグリッパーによって前記一対のレールの外側で前記まくらぎを把持しながら、前記まくらぎ切断・把持アタッチメントを外側に移動させることにより、前記一対のレールの少なくとも一方が前記まくらぎの上方に位置する場所まで前記まくらぎを前記道床に沿って外側に移動させる第1引き出し工程と、前記まくらぎを前記切断刃によって前記一対のレールの外側で切断することにより、前記まくらぎを2つの切断片に分離する切断工程と、外側の前記切断片を前記一対のグリッパーによって把持しながら、前記まくらぎ切断・把持アタッチメントを移動させることにより、外側の前記切断片を撤去する第1撤去工程と、を含む。
【0019】
この方法によれば、道床のバラストを移動させることにより、まくらぎの一方の端部のまわりに穴を掘る。その後、一対のグリッパーによって一対のレールの外側でまくらぎを把持して、まくらぎを外側に移動させる。このとき、まくらぎの一方の端部は、道床に掘られた穴に入る。まくらぎを外側に引っ張った後は、切断刃によって一対のレールの外側でまくらぎを切断して、まくらぎを2つの切断片に分割する。その後、外側の切断片を一対のグリッパーで把持して、その場から撤去する。
【0020】
このように、まくらぎ切断・把持アタッチメントは、一対のレールの右側または左側だけでまくらぎを切断する。そのため、まくらぎの一方の端部のまわりだけに穴を掘ればよく、まくらぎの両方の端部のまわりに穴を掘る必要がない。場合によっては、一対のレールの間に穴を掘る必要もない。したがって、まくらぎを撤去する際の施工効率を高めることができる。
【0021】
掘削工程は、作業員がシャベルなどの道具を用いて行ってもよいし、まくらぎ切断・把持アタッチメント以外の機械によって行われてもよい。まくらぎ切断・把持アタッチメントに掘削部が備えられている場合、まくらぎ切断・把持アタッチメントの掘削部を用いて掘削工程を行ってもよい。
前記第1撤去工程の後は、残りの前記切断片を前記一対のグリッパーによって前記一対のレールの外側で把持しながら、前記まくらぎ切断・把持アタッチメントを外側に移動させることにより、残りの前記切断片を前記道床に沿って外側に移動させる第2引き出し工程を行ってもよい。
【0022】
残りの前記切断片が軌間よりも短いのであれば、残りの前記切断片を前記一対のグリッパーによって前記一対のレールの内側で把持しながら、前記まくらぎ切断・把持アタッチメントを内側に移動させることにより、残りの前記切断片を一対のレールの間に移動させる引き戻し工程を、前記切断工程の後に行ってもよい。前記引き戻し工程は、前記第1撤去工程の後に行ってもよいし、前記第1撤去工程の前に行ってもよい。
【0023】
前記第2引き出し工程または引き戻し工程を行った後は、残りの前記切断片を前記一対のグリッパーによって把持しながら、前記まくらぎ切断・把持アタッチメントを移動させることにより、残りの前記切断片をその場から撤去する第2撤去工程を行えばよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】まくらぎ切断・把持アタッチメントを示す図である。
【
図2】まくらぎ切断・把持アタッチメントを示す図である。
【
図3】道床を掘削する手順の一例について説明するための図である。
【
図4A】まくらぎを切断する手順の一例について説明するための図である。
【
図5A】まくらぎを把持する手順の一例について説明するための図である。
【
図6A-6C】まくらぎを交換する工法の一例について説明するための図である。
【
図6D-6F】前記工法の一例における
図6Cの次の状態を示す図である。
【
図6G-6I】前記工法の一例における
図6Fの次の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
最初に、まくらぎ切断・把持アタッチメント1の構成を説明し、その後、まくらぎ切断・把持アタッチメント1の使用方法を説明する。
以下では、特に断りがない限り、基準姿勢のまくらぎ切断・把持アタッチメント1(以下では、単に「アタッチメント1」ともいう。)について説明する。基準姿勢は、可動フレーム8の回転中心C2が水平であり、可動フレーム8が閉位置に配置された姿勢(
図2に示す姿勢)である。左右方向は、可動フレーム8の回転中心C2に沿う方向を、上下方向は、ターンフレーム4の回転中心C1に沿う方向を、前後方向は、可動フレーム8の回転中心C2およびターンフレーム4の回転中心C1の両方に直交する方向を、それぞれ意味する。
【0026】
図1および
図2は、アタッチメント1を示す図である。
図1(a)および
図2(a)は、アタッチメント1の左側面を示している。
図1(a)および
図2(a)の右側が、アタッチメント1の前側に相当する。
図1(b)は、刃先13に垂直な平面に沿う切断刃12の断面を示している。
図2(b)は、アタッチメント1の正面を示している。
図2(c)は、アタッチメント1の背面を示している。
図2(a)~
図2(c)では、ベースフレーム2などのアタッチメント1の一部を省略しており、
図2(b)では、油圧シリンダ5を省略している。
【0027】
図1(a)に示すように、アタッチメント1は、バックホウ100のアーム101に取り付けられるバックホウ100の付属品であり、バックホウ100の操作に応じて動作する。バックホウ100は、軌道上および陸上の両方で走行可能な軌陸バックホウであってもよいし、軌道上および陸上の一方だけで走行可能な軌道用または陸上用バックホウであってもよい。
【0028】
アタッチメント1は、木製のまくらぎM(
図4A参照)を切断する切断刃12と、まくらぎMを把持する一対のグリッパー11、39と、道床に敷き詰められたバラストB(
図3参照)を動かす掘削部41とを備えている。切断刃12は、固定フレーム6に対して移動可能な可動フレーム8に保持されている。一方のグリッパーは、固定フレーム6に設けられた固定側グリッパー39であり、他方のグリッパーは、可動フレーム8に設けられた可動側グリッパー11である。掘削部41は、固定フレーム6に設けられている。
【0029】
アタッチメント1は、バックホウ100のアーム101に固定されるベースフレーム2と、ベースフレーム2に対して180度以上回転可能なターンフレーム4と、ベースフレーム2に対してターンフレーム4を回転させる電動モータ3とを備えている。アタッチメント1は、さらに、ターンフレーム4に固定された固定フレーム6と、固定フレーム6を介してターンフレーム4に支持された可動フレーム8と、固定フレーム6および可動フレーム8を開閉させる油圧シリンダ5とを備えている。
【0030】
ベースフレーム2は、ターンフレーム4の上方に配置されている。電動モータ3は、ベースフレーム2に取り付けられている。電動モータ3は、ターンフレーム4を回転させる旋回モータの一例である。旋回モータは、油圧モータであってもよい。電動モータ3の回転軸は、例えば複数の歯車を介してターンフレーム4に連結されている。電動モータ3がベースフレーム2に対してターンフレーム4を回転させると、固定フレーム6および可動フレーム8もベースフレーム2に対してターンフレーム4の回転中心C1まわりに回転する。これにより、把持したまくらぎMの姿勢を、レールR(
図6A参照)に対して垂直な横向きとレールRと平行な縦向きとの間で変更することができる。
【0031】
固定フレーム6および可動フレーム8は、ターンフレーム4の下方に配置されている。可動フレーム8は、左右方向に水平に延びる回転軸7を介して固定フレーム6に連結されている。回転軸7の中心線は、可動フレーム8の回転中心C2に相当する。可動フレーム8は、回転軸7の中心線まわりにターンフレーム4および固定フレーム6に対して回転可能である。切断刃12および可動側グリッパー11は、可動フレーム8に固定されている。したがって、油圧シリンダ5が可動フレーム8を回転させると、切断刃12および可動側グリッパー11も、固定フレーム6に対して可動フレーム8の回転中心C2まわりに回転する。
【0032】
油圧シリンダ5は、回転軸7よりも上方に配置されている。油圧シリンダ5は、固定フレーム6および可動フレーム8を開閉させる開閉アクチュエータの一例である。開閉アクチュエータは、電動モータであってもよい。この場合、ボールねじなどの運動変換機構で電動モータの回転を直線運動に変換してもよい。油圧シリンダ5は、開位置(
図1(a)に示す位置)から閉位置(
図2(a)に示す位置)までの範囲内の任意の位置で可動フレーム8を静止させる。開位置は、後述する側面サポート36と切断刃12との間にまくらぎMを配置できる距離まで可動フレーム8が固定フレーム6から離れた位置である。閉位置は、側面サポート36に支えられたまくらぎMが切断刃12によって切断される距離まで可動フレーム8が固定フレーム6に近づいた位置である。
【0033】
油圧シリンダ5のシリンダチューブ5tは、固定フレーム6に取り付けられている。油圧シリンダ5のロッド5rは、油圧シリンダ5のジョイント5jを介して可動フレーム8に取り付けられている。ロッド5rおよびジョイント5jは、固定フレーム6の一対のサイドプレート31の間に配置されている。シリンダチューブ5tは、左右方向に延びる水平な軸線まわりに固定フレーム6に対して回転可能である。ロッド5rは、左右方向に延びる水平な軸線まわりに可動フレーム8に対して回転可能である。
【0034】
油圧シリンダ5がロッド5rを伸縮させると、可動フレーム8は固定フレーム6に対して回転軸7まわりに回転する。
図1(a)に示すように、可動フレーム8が開位置にあるとき、ジョイント5jの中心は、可動フレーム8の回転中心C2よりも後方に配置される。
図2(a)に示すように、可動フレーム8が閉位置にあるとき、ジョイント5jの中心は、可動フレーム8の回転中心C2よりも前方に配置される。可動フレーム8が開位置から閉位置までの範囲内のいずれの位置に配置されているときでも、ジョイント5jは、回転軸7よりも上方に配置される。
【0035】
図2(a)に示すように、可動フレーム8は、切断刃12が配置された凹み10を形成するガードフレーム9を含む。凹み10は、
図2(a)に示す側面視で後方に開いている。ガードフレーム9は、切断刃12の上方、下方、および前方に配置されている。切断刃12は、ガードフレーム9に固定されている。可動側グリッパー11も、ガードフレーム9に固定されている。切断刃12は、回転軸7よりも下方に配置されている。可動側グリッパー11は、切断刃12の刃先13よりも下方に配置されている。切断刃12の刃先13は、回転軸7と可動側グリッパー11との間の高さに配置されている。
【0036】
切断刃12の刃先13は、その全部または一部が凹み10内に配置されていてもよいし、その全部が凹み10の外に配置されていてもよい。
図2(a)は、刃先13の一部が凹み10の外に配置されており、刃先13の残りの部分(把持用凹部14の一部)が凹み10の中に配置された例を示している。可動側グリッパー11は、刃先13よりも固定フレーム6側に突出している。
図2(b)に示すように、可動側グリッパー11は、切断刃12より幅(左右方向の長さ)が広い。ガードフレーム9も、切断刃12より幅が広い。可動側グリッパー11は、ガードフレーム9の下端より幅が広い。
【0037】
切断刃12は、可動フレーム8の回転中心C2に直交する平坦なプレートである。切断刃12は、鉄などのまくらぎMよりも硬い材料で形成されている。
図1(a)に示すように、切断刃12は、厚みが一定の平坦部21と、刃先13に近づくにしたがって厚みが減少する傾斜部20とを含む。傾斜部20は、傾斜部20と平坦部21との境界線BLから刃先13までの部分である。刃先13は、傾斜部20の縁に相当する。
図1(b)に示すように、平坦部21の一対の側面は互いに平行である。傾斜部20の一対の側面の少なくとも一方は、平坦部21に対して斜めに傾いている。
図1(b)は、傾斜部20の両方の側面が平坦部21に対して斜めに傾いた例を示している。
【0038】
切断刃12の刃先角度、つまり、傾斜部20の一対の側面がなす角は、傾斜部20と平坦部21との境界線BLから刃先13まで一定であってもよいし、刃先13に近づくにしたがって段階的または連続的に変化していてもよい。つまり、切断刃12の厚みの減少率は、境界線BLから刃先13まで一定であってもよいし、境界線BLと刃先13との間で変化してもよい。
図1(b)は、切断刃12でまくらぎMを容易に切断するために、切断刃12の刃先角度を境界線BLと刃先13との間で一回だけ増加させた例を示している。
【0039】
図1(b)の例では、先端側傾斜部18と基端側傾斜部19とが傾斜部20に設けられている。刃先13は、先端側傾斜部18の縁に相当する。基端側傾斜部19は、境界線BLと先端側傾斜部18との間の部分である。この例では、先端側傾斜部18は、基端側傾斜部19よりも短い。先端側傾斜部18の刃先角度(先端側傾斜部18の一対の側面18sがなす角)は一定であり、基端側傾斜部19の刃先角度(基端側傾斜部19の一対の側面19sがなす角)は一定である。切断刃12の刃先角度は、先端側傾斜部18と基端側傾斜部19と境界で変化している。先端側傾斜部18の刃先角度は、基端側傾斜部19の刃先角度よりも大きい。
【0040】
図1(a)に示すように、切断刃12の刃先13は2つの凹みを形成している。一方の凹みは、切断すべきまくらぎMの角Mc(
図4A参照)が入る切断用凹部16であり、他方の凹みは、把持すべきまくらぎMの角Mcのまわりに配置される把持用凹部14である。切断用凹部16は、把持用凹部14と回転軸7との間に配置されている。把持用凹部14は、切断用凹部16よりも大きい。つまり、把持用凹部14は、切断用凹部16よりも幅(刃先13に沿う方向への長さ)が広く、切断用凹部16よりも深い。
【0041】
切断刃12の刃先13は、切断用凹部16よりも回転軸7側に配置された基端側刃先17と、切断用凹部16に対して回転軸7とは反対側に配置された中間刃先15とを含む。切断用凹部16は、基端側刃先17と中間刃先15との間に配置されている。切断用凹部16は、基端側刃先17および中間刃先15から凹んでいる。把持用凹部14は、中間刃先15から凹んでいる。中間刃先15は、切断用凹部16および把持用凹部14の間に配置されている。把持用凹部14は、中間刃先15と可動側グリッパー11との間に配置されている。基端側刃先17は、直線状であってもよいし、側面サポート36の方に凸の円弧状であってよい。中間刃先15についても同様である。
【0042】
切断用凹部16は、基端側刃先17および切断用凹部16の交点と中間刃先15および切断用凹部16の交点とを結ぶ直線よりも凹んでいる。つまり、切断用凹部16は、切断用凹部16の両端を結ぶ直線よりも凹んでいる。同様に、把持用凹部14は、把持用凹部14の両端を結ぶ直線よりも凹んでいる。
図1(a)は、切断用凹部16および把持用凹部14が側面視で三角形状である例を示している。切断用凹部16および把持用凹部14の形状はこれに限られない。
【0043】
固定フレーム6は、切断すべきまくらぎMを側方から支える側面サポート36と、切断すべきまくらぎMを上から押さえる上面押さえ40と、可動側グリッパー11と共にまくらぎMを把持する固定側グリッパー39とを含む。固定フレーム6は、さらに、間隔を空けて左右方向に向かい合う一対のサイドプレート31と、上下方向および左右方向に延びる鉛直な姿勢で一対のサイドプレート31に固定されたベースプレート35とを含む。上面押さえ40は、サイドプレート31の一部であり、固定側グリッパー39は、ベースプレート35の一部である。側面サポート36は、ベースプレート35に固定されている。ベースプレート35の前面は、上下方向および左右方向に延びる鉛直な平面である。
【0044】
サイドプレート31は、ターンフレーム4から下方に延びている。サイドプレート31は、ターンフレーム4に固定されている。サイドプレート31は、側面視でサイドプレート31の下端31Lから上方に延びる鉛直部32と、側面視で鉛直部32から前方に延びる水平部33と、側面視でサイドプレート31の下端31Lから斜め上に後方に延びる傾斜部34とを含む。ベースプレート35は、一対のサイドプレート31の鉛直部32に固定されている。上面押さえ40は、各サイドプレート31の水平部33に設けられている。
【0045】
サイドプレート31の鉛直部32、水平部33、および傾斜部34は、回転軸7よりも下方に配置されている。鉛直部32および傾斜部34は、回転軸7よりも後方に配置されている。水平部33の前端は、回転軸7の中心線よりも前方に配置されており、水平部33の後端は、回転軸7の中心線よりも後方に配置されている。傾斜部34は、鉛直部32の後方に配置されている。鉛直部32および傾斜部34は、サイドプレート31の下端部を形成している。サイドプレート31の下端部は、側面視でサイドプレート31の下端31Lに近づくにしたがって細くなっている。
【0046】
図2(c)に示すように、一対のサイドプレート31は互いに平行である。ベースプレート35は、一対のサイドプレート31の間の空間を塞いでいる。ベースプレート35の幅(左右方向への長さ)は、左右方向への一対のサイドプレート31の外側面の間隔よりも広い。ベースプレート35の右端部および左端部は、一対のサイドプレート31から外側に突出している。
図2(c)は、ベースプレート35が左右方向に長い長方形状のプレートである例を示している。この例では、ベースプレート35を左右に二等分する位置からサイドプレート31の内側面までの左右方向の距離は、サイドプレート31の外側面からベースプレート35の右端または左端までの左右方向の距離よりも長い。
【0047】
固定フレーム6は、道床のバラストB(
図3参照)を移動させる掘削部41を形成している。掘削部41は、一対のサイドプレート31と、ベースプレート35とを含む。つまり、道床に穴を掘ったり、道床の穴を埋めたりするときは、固定フレーム6の背面における一対のサイドプレート31の間の部分と、ベースプレート35の右端部および左端部の背面(
図3では左側の面)とを、道床のバラストBに接触させ、バラストBを掻き寄せるもしくは押し退ける。ベースプレート35の正面(
図3では右側の面)および側面サポート36でバラストBを動かしてもよい。
【0048】
掘削部41で道床を掘削するとき、可動側グリッパー11を固定側グリッパー39から大きく離してもよい。例えば、可動側グリッパー11が上面押さえ40と等しい高さに配置されるまで、可動フレーム8を固定フレーム6に対して回転させてもよい。このようにすれば、掘削部41で道床を掘削するときに、可動側グリッパー11や可動フレーム8などがまくらぎMに接触することを防止でき、掘削作業の施工性を高めることができる。
【0049】
図2(a)に示すように、側面サポート36は、ベースプレート35の前方に配置されている。側面サポート36は、サポートフレームの水平部33の下方に配置されている。側面サポート36は、回転軸7よりも後方に配置されている。側面サポート36は、ベースプレート35よりも上下方向に短い。ベースプレート35の上端は、側面サポート36の上端よりも上方に配置されている。ベースプレート35の下端は、側面サポート36の下面に相当する側面サポート36の下端よりも下方に配置されている。ベースプレート35のうち側面サポート36の下端からベースプレート35の下端までの部分が、固定側グリッパー39に相当する。
【0050】
図1(a)に示すように、側面サポート36は、切断すべきまくらぎMの側面Ms1(
図4A参照)に接するサポート部36sを含む。サポート部36sは、鉛直な平面であってもよいし、先端が鉛直な平面上に配置された複数の突起であってもよい。前者の場合、規則的な複数の溝または凹みが平面に形成されてもよい。サポート部36sは、鉄などのまくらぎMよりも硬い材料で形成されていてもよいし、ゴムや樹脂などのまくらぎMよりも軟らかい材料で形成されていてもよい。後者の場合、側面サポート36に張り付けられたゴムまたは樹脂製のシートの表面が、サポート部36sであってもよい。
【0051】
図2(b)は、四角形状の2枚のサポートプレート37によって側面サポート36が構成された例を示している。この例では、2枚のサポートプレート37の前面がサポート部36sに相当する。サポートプレート37の前面は、上下方向および左右方向に延びる鉛直な平面である。2枚のサポートプレート37は、間隔を空けて左右方向に向かい合っている。ガードフレーム9および切断刃12は、
図2(b)に示す正面視において2枚のサポートプレート37の間に配置されている。可動側グリッパー11は、2枚のサポートプレート37の下方に配置されている。可動フレーム8が閉位置に配置されているとき、切断刃12および可動側グリッパー11は、前後方向にベースプレート35と向かい合っている。
【0052】
図2(b)に示す正面視において、2枚のサポートプレート37は、それぞれ、切断刃12の右方および左方に配置されている。2枚のサポートプレート37は、上下方向に延びる進入溝38を両者の間に形成している。進入溝38の幅、つまり、2枚のサポートプレート37の内側面の間隔は、サポートプレート37の幅(左右方向への長さ)よりも狭い。
図2(a)に示すように、可動フレーム8が閉位置に配置されると、切断刃12の刃先13は、回転軸7の中心線よりも固定フレーム6側に配置される。このとき、刃先13の少なくとも一部が進入溝38に入り込む。これにより、側面サポート36に支持されたまくらぎMを確実に切断でき、まくらぎMの切断残り(まくらぎMの一部が切断されずに残ること)を防止できる。
【0053】
可動フレーム8の閉位置は、可動側グリッパー11が固定側グリッパー39に接触する位置である。つまり、固定側グリッパー39および可動側グリッパー11は、固定フレーム6に対する可動フレーム8の回転を停止させるストッパーとしても機能する。可動側グリッパー11が固定側グリッパー39に接触すると、切断刃12の刃先13の少なくとも一部が進入溝38に入り込む。このとき、刃先13は、ベースプレート35から前方に離れており、ベースプレート35に接触していない。これにより、刃先13の損傷を防止できる
前述のように、上面押さえ40は、各サイドプレート31の水平部33に設けられている。上面押さえ40は、水平な平面であってもよしい、先端が水平な平面上に配置された1つ以上の突起であってもよい。上面押さえ40は、鉄製であってもよいし、ゴムまたは樹脂製であってもよい。
図2(a)は、上面押さえ40が鉄製の4つの突起である例を示している。4つの突起のうちの2つは、一方のサイドプレート31の水平部33に設けられており、残りの2つは、他方のサイドプレート31の水平部33に設けられている。
【0054】
上面押さえ40は、サイドプレート31の水平部33から下方に突出している。まくらぎMを切断するときは、上面押さえ40をまくらぎMの上面Mu(
図4A参照)に食い込ませる。これにより、まくらぎMを、上方向だけでなく、前後方向および左右方向にも位置決めできる。加えて、切断すべきまくらぎMの姿勢を安定させることができる。
図2(a)は、上面押さえ40が下方に凸の三角形状の平板である例を示している。まくらぎMの上面Muに食い込みやすい形状であれば、上面押さえ40は、下方に凸の円錐状または角錐状であってもよいし、円柱状または角柱状であってもよいし、これら以外の形状であってもよい。
【0055】
前述のように、固定側グリッパー39は、ベースプレート35のうち側面サポート36の下端からベースプレート35の下端までの部分である。
図1(a)に示すように、固定側グリッパー39は、側面サポート36よりも下方に配置されている。固定側グリッパー39は、側面サポート36のサポート部36sよりも後方に配置されている。側面サポート36の下面は、固定側グリッパー39から前方に突出している。固定側グリッパー39および側面サポーは、側面視で90度または概ね90度の角を形成している。
【0056】
図2(b)に示すように、固定側グリッパー39の右端および左端は、それぞれ、ベースプレート35の右端および左端に一致している。固定側グリッパー39は、側面サポート36よりも幅が広く、可動側グリッパー11よりも幅が広い。固定側グリッパー39は左右対称である。可動側グリッパー11も左右対称である。固定側グリッパー39は、可動側グリッパー11よりも上下方向に長い。固定側グリッパー39は、側面サポート36よりも上下方向に長くてもよいし、上下方向の長さが側面サポート36と等しくてもよい。
【0057】
まくらぎMを把持するときは、固定側グリッパー39のグリップ部39g(
図1(a)参照)と可動側グリッパー11のグリップ部11g(
図1(a)参照)とでまくらぎMを水平に挟む。グリップ部39g、11gは、まくらぎMの側面Ms1、Ms2と平行な平面であってもよいし、まくらぎMに押し付けられる1つ以上の突起であってもよい。前者の場合、規則的な複数の溝または凹みが平面に形成されてもよい。後者の場合、突起は、半球状、円柱状、円錐状、角錐状、および三角形状のいずれかであってもよいし、これら以外であってもよい。グリップ部39g、11gの一方が平面であり、他方が1つ以上の突起であってもよい。
【0058】
固定側グリッパー39のグリップ部39gと可動側グリッパー11のグリップ部11gの少なくとも一方がこのような形状であれば、グリップ部39g、11gをまくらぎMの一対の側面Ms1、Ms2に接触させたときに、まくらぎMが傷つき難い。グリップ部39g、11gは、鉄製であってもよいし、ゴムまたは樹脂製であってもよい。グリップ部39g、11gの少なくとも一方がゴムまたは樹脂製であれば、まくらぎMが傷つき難く、固定側グリッパー39および可動側グリッパー11に対して滑り難い。
【0059】
次に、道床の掘削について説明する。
図3は、道床を掘削する手順の一例について説明するための図である。
バラストBが敷き詰められた道床に穴を掘ったり、道床の穴をバラストBで埋めたりするときは、バックホウ100(
図1(a)参照)を操作することによりアタッチメント1を前後に移動させて、固定フレーム6の後面に設けられた掘削部41、より具体的には、固定フレーム6の背面における一対のサイドプレート31の間の部分と、ベースプレート35の右端部および左端部の背面とで、道床のバラストBを押し退けたり、かき寄せたりする。
【0060】
一対のサイドプレート31の間にあるバラストBは、一対のサイドプレート31によって左右方向への移動が規制される。したがって、バラストBを効率的に移動させることができる。さらに、側面視でサイドプレート31の下端部がサイドプレート31の下端31Lに近づくにしたがって細くなっているので、サイドプレート31の下端部をバラストB間の空間に差し込み易い。これにより、バラストBを効率的に移動させることができる。
【0061】
次に、まくらぎMの切断について説明する。
図4A~
図4Cは、まくらぎMを切断する手順の一例について説明するための図である。
バラストBなどの上に水平に置かれたまくらぎMを切断するときは、バックホウ100(
図1(a)参照)を操作することにより、アタッチメント1をまくらぎMの上方に移動させる。このとき、
図4Aに示すように、側面サポート36のサポート部36sを、まくらぎMの一方の側面Ms1と同一平面上に配置する。その後、可動フレーム8が開位置にある状態でアタッチメント1を下降させる。これにより、側面サポート36のサポート部36sとまくらぎMの一方の側面Ms1とが水平に対向する。このとき、側面サポート36は、まくらぎMに接触してもよいし、サポート部36sがまくらぎMの一方の側面Ms1に近接するのであれば、側面サポート36から離れていてもよい。
【0062】
図4Bに示すように、アタッチメント1をさらに下降させると、側面サポート36とまくらぎMとが水平に向かい合った状態で、上面押さえ40がまくらぎMの上面Muに押し付けられ、上面押さえ40がまくらぎMの上面Muに食い込む。これにより、まくらぎMが上面押さえ40とバラストBとによって上下に挟まれる。さらに、上面押さえ40がまくらぎMの上面Muに食い込むので、まくらぎMは、上下方向だけでなく、前後方向および左右方向への移動が規制される。
【0063】
図4Bに示すように、まくらぎMの上面MuとまくらぎMの他方の側面Ms2とによって形成されたまくらぎMの角Mcは、アタッチメント1の下降によって、刃先13の切断用凹部16に入る。まくらぎMの角Mcは、上面押さえ40がまくらぎMに押し付けられる前または後に切断用凹部16に入ってもよいし、上面押さえ40がまくらぎMに押し付けられるのと同時に切断用凹部16に入ってもよい。まくらぎMの角Mcが切断用凹部16に入ったとき、まくらぎMの角Mcは、切断用凹部16から離れていてもよいし、切断用凹部16に接触していてもよい。後者の場合、切断用凹部16がまくらぎMの角Mcに食い込んでもよい。
【0064】
上面押さえ40がまくらぎMに押し付けられ、まくらぎMの角Mcが切断用凹部16に嵌った後は、
図4Cに示すように、油圧シリンダ5が可動フレーム8を閉位置の方に移動させる。これにより、まくらぎMが切断刃12によって側面サポート36の方に押され、側面サポート36に押し付けられる。さらに、まくらぎMの表層が切断刃12によって切断され、幅が切断刃12と概ね等しい切断溝がまくらぎMに形成される。まくらぎMに垂直な切断溝は、可動フレーム8が閉位置に近づくにしたがって深くなり、可動フレーム8が閉位置付近に達すると、まくらぎMを貫通する。つまり、切断刃12の刃先13がまくらぎMの一方の側面Ms1から飛び出し、切断溝を境にまくらぎMが2つに分離される。
【0065】
前述のように、まくらぎMの角Mcが刃先13の切断用凹部16に嵌るので、まくらぎMが切断されるときは、刃先13のうちで切断用凹部16が最初にまくらぎMに押し付けられ、その後、刃先13における切断用凹部16以外の部分がまくらぎMに押し付けられる。切断用凹部16が刃先13にないと、切断刃12がまくらぎMの角Mcに押し付けられたときに、側面サポート36とまくらぎMとが接触する領域の下端、つまり、
図4B中の点P1まわりのモーメントがまくらぎMに加わる。
【0066】
まくらぎMの下にバラストBがあるものの、まくらぎMとバラストBとの間に隙間があったり、このモーメントが大きかったりすると、まくらぎMが
図4B中の点P1まわりに下方に回転し、刃先13から逃げてしまう。切断用凹部16が刃先13にあると、まくらぎMに加わるモーメントが弱まり、切断刃12がまくらぎMを側面サポート36の方に押す力が強くなる。これは、切断用凹部16がまくらぎMの上面Muだけでなく、まくらぎMの他方の側面Ms2にも押し付けられるからである。これにより、まくらぎMの姿勢を安定させながら、まくらぎMを切断できる。
【0067】
図4Bに示すように、まくらぎMが切断されるとき、側面サポート36のサポート部36sの上端は、まくらぎMの上面Muおよび下面MLの間の高さに配置される。サポート部36sの下端は、まくらぎMの下面MLよりも上方に配置されてもよいし、まくらぎMの下面ML以下の高さに配置されてもよい。
図4Bは、サポート部36sの下端がまくらぎMの下面MLよりも下方に配置された例を示している。この場合、サポート部36sとまくらぎMとの接触面積を増やすことができ、サポート部36sに押し付けられたまくらぎMの姿勢をさらに安定させることができる。
【0068】
このように、まくらぎMを切断するときは、上面押さえ40とバラストBとでまくらぎMを上下に挟むと共に、まくらぎMの一方の側面Ms1を側面サポート36で支えながら、切断開始位置に相当する切断用凹部16をまくらぎMの角Mcに食い込ませる。可動フレーム8が閉位置に達する前または達した後に、可動フレーム8を開位置側に戻して、可動フレーム8を回転軸7まわりに複数回往復させてもよい。このようにすれば、まくらぎMの切断残りを確実に防止できる。
【0069】
アタッチメント1の幅は軌間(一対のレールRの頭部の内側間の最短距離)よりも狭い。したがって、アタッチメント1は、一対のレールRの外側だけでなく、一対のレールRの間でも、まくらぎMを切断できる。アタッチメント1がまくらぎMを切断しているとき、固定フレーム6や可動フレーム8などのアタッチメント1の一部は、切断されるまくらぎMの前後2つのまくらぎMに接触しない。したがって、アタッチメント1は、前後2つのまくらぎMを傷つけずに、道床に敷設されたまくらぎMを切断できる。
【0070】
次に、まくらぎMの把持について説明する。
図5A~
図5Bは、まくらぎMを把持する手順の一例について説明するための図である。
バラストBなどの上に水平に置かれたまくらぎMを把持するときは、
図5Aに示すように、バックホウ100(
図1(a)参照)を操作することによりアタッチメント1を下降させて、可動側グリッパー11が固定側グリッパー39から十分に離れた状態で、固定側グリッパー39のグリップ部39gを、まくらぎMの一方の側面Ms1の近傍に配置する。このとき、グリップ部39gは、まくらぎMに接触してもよいし、まくらぎMから離れていてもよい。固定側グリッパー39をまくらぎMの一方の側面Ms1の近傍に配置するとき、側面サポート36の下面をまくらぎMの上面Muに載せてもよい。
【0071】
固定側グリッパー39とまくらぎMの一方の側面Ms1とが向かい合った後は、可動フレーム8を回転軸7まわりに回転させて、可動側グリッパー11をまくらぎMの他方の側面Ms2の方に移動させる。
図5Bに示すように、可動側グリッパー11は、開位置と閉位置との間の把持位置でまくらぎMに接触する。これにより、可動側グリッパー11のグリップ部11gがまくらぎMの他方の側面Ms2に押し付けられ、まくらぎMの一方の側面Ms1が固定側グリッパー39のグリップ部39gに押し付けられる。その結果、まくらぎMが固定側グリッパー39および可動側グリッパー11によってまくらぎMに垂直な方向に挟まれる。
【0072】
図5Bに示すように、固定側グリッパー39および可動側グリッパー11がまくらぎMを把持しているとき、切断刃12の刃先13に設けられた把持用凹部14は、まくらぎMの角Mcのまわりに配置される。
図5Bは、まくらぎMの角Mcが把持用凹部14の中に配置された例を示している。刃先13の把持用凹部14以外の部分は、まくらぎMの上方に配置されており、まくらぎMから離れている。
【0073】
固定側グリッパー39および可動側グリッパー11がまくらぎMを把持しているとき、刃先13の把持用凹部14は、まくらぎMから離れていてもよいし、まくらぎMに接していてもよい。後者の場合、まくらぎMの把持が解除された後に、まくらぎMの表面に刃先13の跡(線状の浅い凹みまたは線状の模様)が残ってもよい。この程度の跡であれば、新しいまくらぎMを把持したとしても、まくらぎMの機能や強度には問題ない。
【0074】
固定側グリッパー39および可動側グリッパー11で道床上のまくらぎMを把持した後に、アタッチメント1を上昇させれば、道床からまくらぎMを浮かすことができる。この状態でターンフレーム4を90度回転させれば、まくらぎMの姿勢を横向きと縦向きとの間で変更することができる。固定側グリッパー39および可動側グリッパー11で道床上のまくらぎMを把持しながら、アタッチメント1を水平に移動させれば、道床に沿ってまくらぎMを移動させることができる。
【0075】
このように、固定側グリッパー39でまくらぎMを支えた状態で、可動フレーム8を固定フレーム6の方に回転させると、可動側グリッパー11がまくらぎMに接触して、まくらぎMが把持される。その一方で、側面サポート36でまくらぎMを支えた状態で、可動フレーム8を固定フレーム6の方に回転させると、切断刃12によってまくらぎMが切断される。したがって、アタッチメント1に対するまくらぎMの位置を上下に変更することで、把持および切断の一方を選択できる。
【0076】
次に、まくらぎMの交換について説明する。
図6A~
図6Iは、まくらぎMを交換する工法の一例について説明するための図である。なお、
図6B~
図6Fおよび
図6Hでは、バラストBの図示を省略しており、
図6Cでは、切断刃12をはさみのイラストで示している。
道床に敷設された木製の古いまくらぎMを撤去するときは、レールRをまくらぎMに締結する締結装置42(
図6A参照)を緩める。その後、掘削部41(
図3参照)を用いて、古いまくらぎMの一方の端部(
図6Aでは、右端部)の周辺(
図6Aに示す太い二点鎖線で囲まれた領域)からバラストBをかき出し、レールRの外側に穴を掘る(掘削工程)。これにより、道床に埋設された古いまくらぎMの端面および側面が露出する。
【0077】
古いまくらぎMの端面および側面が露出した後は、
図6Bに示すように、古いまくらぎMの一方の端部を固定側グリッパー39および可動側グリッパー11によってレールRの外側で把持する。この状態でアタッチメント1を外側に移動させる。このとき、アタッチメント1を前後に揺らしながら、アタッチメント1を外側に移動させてもよい。
レールRと古いまくらぎMとの締結が解除されているので、アタッチメント1を外側に移動させると、古いまくらぎMは、アタッチメント1に引っ張られて、レールRとバラストBとの間を外側に移動する(第1引き出し工程)。
図6Cは、古いまくらぎMの他方の端部(
図6Cでは、左端部)が一対のレールRの間に位置するまで古いまくらぎMを外側に移動させた例を示している。これにより、古いまくらぎMの一方の端部が、道床に掘られた穴の中に入る。
【0078】
古いまくらぎMを外側に移動させた後は、
図6Cに示すように、切断刃12を用いてレールRの外側で古いまくらぎMを切断し、古いまくらぎMを2つの切断片CP1、CP2(
図6D参照)に分割する(切断工程)。古いまくらぎMの切断位置、つまり、切断刃12が通過する切断線CLは、古いまくらぎMを左右に2等分する位置であってもよいし、そうでなくてもよい。
図6Dは、外側の切断片CP1が内側の切断片CP2よりも短い例を示している。
【0079】
古いまくらぎMを2つの切断片CP1、CP2に分割した後は、
図6Dに示すように、外側の切断片CP1を固定側グリッパー39および可動側グリッパー11によって把持し、残りの切断片CP2の側方からどかす(第1撤去工程)。その後、残りの切断片CP2を固定側グリッパー39および可動側グリッパー11によってレールRの外側で把持し、アタッチメント1を外側に移動させる。残りの切断片CP2は、アタッチメント1に引っ張られて、レールRとバラストBとの間を外側に移動する(第2引き出し工程)。
【0080】
残りの切断片CP2は、切断片CP2の全体がレールRの外側に移動するまで、アタッチメント1に引っ張られる。このとき、アタッチメント1を前後に揺らしながら、アタッチメント1を外側に移動させてもよい。切断片CP2を把持し直しながら、切断片CP2を外側に引っ張ってもよい。つまり、固定側グリッパー39および可動側グリッパー11を切断片CP2から離した後、固定側グリッパー39および可動側グリッパー11を別の把持位置で切断片CP2に接触させながら、アタッチメント1を外側に移動させてもよい。
【0081】
図6Fに示すように、切断片CP2の全体がレールRの外側に移動した後は、切断片CP2を把持したままアタッチメント1をさらに移動させて、邪魔にならない位置まで切断片CP2をどかす(第2撤去工程)。これにより、道床に敷設された古いまくらぎMが一対のレールRの下から撤去される。その後は、古いまくらぎMがあった位置に木製の新しいまくらぎMを敷設する。
【0082】
図6Gに示すように、木製の新しいまくらぎMを敷設するときは、古いまくらぎMが埋設されていた道床の穴を深くするために、掘削部41(
図3参照)を用いてバラストBをかき出す。具体的には、
図6Gにおいて太い二点鎖線で囲まれた領域、つまり、一対のレールRの間の領域と一対のレールRの右側および左側の領域からバラストBをかき出し、道床の穴を深くする。
【0083】
道床の穴を深くした後は、
図6Hに示すように、固定側グリッパー39および可動側グリッパー11で新しいまくらぎMを把持しながらアタッチメント1を移動させて、新しいまくらぎMを道床の穴に挿入する。
図6Hは、一対のレールRの外側で新しいまくらぎMの端部を把持しており、新しいまくらぎMを道床の穴に斜めに挿入している例を示している。道床の穴の形状によっては、新しいまくらぎMを道床の穴に水平に挿入してもよい。必要に応じて、新しいまくらぎMを把持し直したり、一対のレールRの間で新しいまくらぎMを把持したりしてもよい。
【0084】
新しいまくらぎMを道床の穴に挿入するときは、
図6Iに示すように、新しいまくらぎMが一対のレールRの下に配置されるまでアタッチメント1を移動させる。その後、固定側グリッパー39および可動側グリッパー11を新しいまくらぎMから離す。続いて、新しいまくらぎMが一対のレールRの底面に接するまで新しいまくらぎMを持ち上げ、締結装置42(
図6A参照)によって一対のレールRを新しいまくらぎMに締結する。新しいまくらぎMの持ち上げは、アタッチメント1を用いて行ってもよい。
【0085】
一対のレールRを新しいまくらぎMに締結した後は、掘削部41(
図3参照)を用いて、新しいまくらぎMと道床の穴との間をバラストBで埋める。その後、新しいまくらぎMの下や周辺のバラストBをタンピングマシーンで突き固める。これにより、古いまくらぎMがあった位置に新しいまくらぎMが敷設され、古いまくらぎMが新しいまくらぎMに交換される。
【0086】
以上のように本実施形態では、油圧シリンダ5が固定側グリッパー39および可動側グリッパー11を開閉させる。これにより、まくらぎMの一方の側面Ms1とまくらぎMの他方の側面Ms2とに一対のグリッパー11、39を接触させて、まくらぎMを把持できる。油圧シリンダ5は、さらに、側面サポート36に対して切断刃12を回転軸7まわりに回転させる。これにより、側面サポート36に支えられたまくらぎMに切断刃12を食い込ませて、まくらぎMに垂直な方向にまくらぎMを切断できる。このように、まくらぎMの把持だけでなく、まくらぎMの切断も機械化できるので、保線を行う作業者の負担を軽減でき、施工効率を高めることができる。
【0087】
切断刃12がまくらぎMを切断するとき、まくらぎMの上側の角Mcは、刃先13に設けられた切断用凹部16に嵌る。切断用凹部16が刃先13にないと、側面サポート36とまくらぎMとが接触する領域の下端(
図4B中の点P1参照)まわりのモーメントがまくらぎMに加わる。まくらぎMがバラストBの上に置かれている場合、まくらぎMとバラストBとの間に隙間があったり、このモーメントが大きかったりすると、まくらぎMが下方に回転し、刃先13から逃げる。切断用凹部16が刃先13にあると、まくらぎMに加わるモーメントが弱まり、切断刃12がまくらぎMを側面サポート36の方に押す力が強くなる。これは、切断用凹部16がまくらぎMの上面Muだけでなく、まくらぎMの他方の側面Ms2にも押し付けられるからである。これにより、まくらぎMを確実に切断できる。
【0088】
本実施形態では、上面押さえ40をまくらぎMの上面Muに接触させて、まくらぎMを上から押さえることができる。したがって、切断刃12は、側面サポート36によって支えられており、上面押さえ40によって押さえられたまくらぎMを切断する。これにより、切断刃12によって切断されるまくらぎMの姿勢を安定させることができ、まくらぎMを切断刃12から逃げ難くすることができる。
【0089】
本実施形態では、切断刃12の刃先角度、つまり、切断刃12の一対の側面がなす角が、切断刃12の刃先13に近づくにしたがって増加している。したがって、刃先13を含む切断刃12の先端部は、相対的に刃先角度が大きい。切断刃12でまくらぎMを切断するときは、切断刃12の先端部をまくらぎMに差し込み、切断刃12の先端部でまくらぎMを押し広げながら、切断刃12をまくらぎMに挿入できる。これにより、切断刃12をより確実にまくらぎMに食い込ませることができる。
【0090】
本実施形態では、固定側グリッパー39および可動側グリッパー11がまくらぎMを把持すると、刃先13に設けられた把持用凹部14がまくらぎMの上側の角Mcのまわりに配置される。したがって、固定側グリッパー39および可動側グリッパー11によって木製の新しいまくらぎMを把持したときに、このまくらぎMが切断刃12によって切断されることを防止できる。固定側グリッパー39および可動側グリッパー11を切断刃12から遠ざければ、把持用凹部14を設ける必要がないかもしれないが、この場合、アタッチメント1が大型化する。したがって、大型化を抑制または防止しながら、固定側グリッパー39および可動側グリッパー11によって把持されたまくらぎMが切断刃12によって切断されることを防止できる。
【0091】
前述の工法の一例では、道床のバラストBを移動させることにより、まくらぎMの一方の端部のまわりに穴を掘る。その後、固定側グリッパー39および可動側グリッパー11によって一対のレールRの外側でまくらぎMを把持して、まくらぎMを外側に移動させる。このとき、まくらぎMの一方の端部は、道床に掘られた穴に入る。まくらぎMを外側に引っ張った後は、切断刃12によって一対のレールRの外側でまくらぎMを切断して、まくらぎMを2つの切断片CP1、CP2に分割する。その後、外側の切断片CP1を固定側グリッパー39および可動側グリッパー11で把持して、その場から撤去する。その後、残りの切断片CP2を固定側グリッパー39および可動側グリッパー11によって一対のレールRの外側で把持して外側に移動させる。
【0092】
このように、アタッチメント1は、一対のレールRの右側または左側だけでまくらぎMを把持および切断する。そのため、まくらぎMの一方の端部のまわりだけに穴を掘ればよく、まくらぎMの両方の端部のまわりに穴を掘る必要がない。一対のレールRの間に穴を掘る必要もない。したがって、まくらぎMを撤去する際の施工効率を高めることができる。
【0093】
他の実施形態
本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、固定側グリッパー39および可動側グリッパー11でまくらぎMを把持するだけなら、まくらぎMは、コンクリートなどの木以外の材料で形成されていてもよい。
固定側グリッパー39および可動側グリッパー11の配置を変更してもよい。例えば、固定側グリッパー39をガードフレーム9の外側に配置してもよい。可動側グリッパー11のグリップ部11gを側面サポート36のサポート部36sと同一の平面上に配置してもよい。
【0094】
まくらぎMの角Mcは、アタッチメント1が下降しているときではなく、可動フレーム8が閉位置の方に移動しているときに、刃先13の切断用凹部16に嵌ってもよい。
図6A~
図6Iに示す工法では、まくらぎMを一回だけ切断する例について説明したが、この工法においてまくらぎMを2回切断してもよい。アタッチメント1を用いて、
図6A~
図6Iに示す工法以外の工法を実施してもよい。
【0095】
刃先13から把持用凹部14を省略してもよい。固定フレーム6から上面押さえ40を省略してもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0096】
1:まくらぎ切断・把持アタッチメント、5:油圧シリンダ、7:回転軸、11:可動側グリッパー、11g:グリップ部、12:切断刃、13:刃先、14:把持用凹部、15:中間刃先、16:切断用凹部、17:基端側刃先、18:先端側傾斜部、19:基端側傾斜部、36:側面サポート、36s:サポート部、39:固定側グリッパー、39g:グリップ部、40:上面押さえ、41:掘削部、100:バックホウ、101:アーム、B:バラスト、M:まくらぎ、Mc:まくらぎの角、Ms1:まくらぎの側面、Ms2:まくらぎの側面、Mu:まくらぎの上面