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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053882
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/33 20160101AFI20220330BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
H02K11/33
H05K7/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020160762
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
(72)【発明者】
【氏名】戸川 隆
【テーマコード(参考)】
5E322
5H611
【Fターム(参考)】
5E322AA03
5E322AA11
5E322AB04
5E322AB11
5E322EA10
5E322FA04
5H611AA09
5H611BB01
5H611BB06
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電子部品から効率的に放熱するとともに、大型化を抑制できる構造を有する電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】電動アクチュエータは、モータと、回路基板70と、回路基板の板厚方向一方側を向く実装面70aに実装される複数の電子部品73と、モータ、回路基板、電子部品を収容するハウジング11と、を備える。電子部品は、発熱を伴う第1電子部品75と、第1電子部品よりも発熱量が小さく第1電子部品よりも板厚方向に沿う寸法が大きい第2電子部品77と、を含む。ハウジングは、回路基板および電子部品を実装面側から覆う対向面16aを有するカバー13を有する。対向面には、実装面と隙間を介して配置される基準領域A3と、基準領域よりも実装面に近く板厚方向から見て第1電子部品に重なる第1領域A1が設けられる。第1電子部品と第1領域との間には、放熱材が挟まれる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
回路基板と、
前記回路基板の板厚方向一方側を向く実装面に実装される複数の電子部品と、
前記モータ、前記回路基板、前記電子部品を収容するハウジングと、を備え、
複数の前記電子部品は、
発熱を伴う第1電子部品と、
前記第1電子部品よりも発熱量が小さく前記第1電子部品よりも前記板厚方向に沿う寸法が大きい第2電子部品と、を含み、
前記ハウジングは、前記回路基板および前記電子部品を前記実装面側から覆う対向面を有するカバーを有し、
前記対向面には、
前記実装面と隙間を介して配置される基準領域と、
前記基準領域よりも前記実装面に近く前記板厚方向から見て前記第1電子部品に重なる第1領域と、
前記基準領域よりも前記実装面から遠く前記板厚方向から見て前記第2電子部品に重なる第2領域と、が設けられ、
前記第1電子部品と前記第1領域との間には、放熱材が挟まれる、
電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記第2電子部品と前記第2領域との間には、隙間が設けられる、
請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記放熱材は、放熱シートであり、
前記第1電子部品と前記第1領域との間に挟まれて前記板厚方向に圧縮される、
請求項1又は2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記回路基板を支持するハウジング本体を有し、
前記カバーは、前記対向面を囲むフランジ部を有し、前記フランジ部の前記板厚方向他方側を向く固定面において前記ハウジング本体に固定され、
前記固定面は、前記基準領域、前記第1領域、および前記第2領域と、前記板厚方向の位置が異なる、
請求項1~3の何れか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記基準領域は、前記板厚方向から見てリブ状に延びる、
請求項1~4の何れか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
リブ状の前記基準領域は、前記板厚方向から見て十字状に延びる、
請求項5に記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記回路基板を支持するハウジング本体を有し、
前記カバーは、リブ状の前記基準領域の長さ方向の両端側で前記ハウジング本体に固定される、
請求項5又は6に記載の電動アクチュエータ。
【請求項8】
前記第1電子部品は、トランジスタである、
請求項1~7の何れか一項に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
ハウジングの内部に電子部品が収容された電動アクチュエータが知られている。電子部品が駆動時に発熱を伴う場合、電子部品からハウジングに熱を移動させて電子部品を冷却することが求められる。特許文献1には、筐体の内側面に電子部品を収容する凹部を設け、凹部の内側面と電子部品との間に熱伝導材を配置する放熱筐体構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-145576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、回路基板の実装面には、様々な高さの電子部品が設けられる。これらの様々な電子部品を一様な深さの凹部に収容する場合、電動アクチュエータの体積が大きくなる虞がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、電子部品から効率的に放熱するとともに、大型化を抑制できる構造を有する電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、モータと、回路基板と、前記回路基板の板厚方向一方側を向く実装面に実装される複数の電子部品と、前記モータ、前記回路基板、前記電子部品を収容するハウジングと、を備える。複数の前記電子部品は、発熱を伴う第1電子部品と、前記第1電子部品よりも発熱量が小さく前記第1電子部品よりも前記板厚方向に沿う寸法が大きい第2電子部品と、を含む。前記ハウジングは、前記回路基板および前記電子部品を前記実装面側から覆う対向面を有するカバーを有する。前記対向面には、前記実装面と隙間を介して配置される基準領域と、前記基準領域よりも前記実装面に近く前記板厚方向から見て前記第1電子部品に重なる第1領域と、前記基準領域よりも前記実装面から遠く前記板厚方向から見て前記第2電子部品に重なる第2領域と、が設けられる。前記第1電子部品と前記第1領域との間には、放熱材が挟まれる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電子部品から効率的に放熱するとともに、大型化を抑制できる構造を有する電動アクチュエータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態の電動アクチュエータの断面図である。
図2図2は、一実施形態の電動アクチュエータの分解斜視図である。
図3図3は、一実施形態のカバーの対向面の平面図である。
図4図4は、一実施形態の電動アクチュエータの一部の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を基に本発明の実施形態について説明する。なお、各図には、適宜XYZ座標系を示す。以下の説明において、Z軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す仮想軸である中心軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0010】
本実施形態において、平面視とは、軸方向に沿って上側または下側から観察することを意味する。なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
図1は、本実施形態の電動アクチュエータ10の断面図である。
電動アクチュエータ10は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ10は、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。
【0012】
電動アクチュエータ10は、モータ40と、減速機構50と、出力部60と、ハウジング11と、バスバーユニット90と、回路基板70と、複数の電子部品73と、を備える。
【0013】
図1に示すように、モータ40は、モータシャフト41と、第1ベアリング44aと、第2ベアリング44bと、第3ベアリング44cと、第4ベアリング44dと、ロータ本体42と、ステータ43と、モータ用センサマグネット45と、を有する。モータシャフト41は、軸方向に延びる。
【0014】
第1ベアリング44aと第2ベアリング44bと第3ベアリング44cと第4ベアリング44dとは、モータシャフト41を中心軸J1回りに回転可能に支持する。本実施形態において、第1ベアリング44a、第2ベアリング44b、第3ベアリング44c、および第4ベアリング44dは、例えば、ボールベアリングである。
【0015】
モータシャフト41のうち第3ベアリング44cに支持される部分である偏心軸部41aは、中心軸J1と平行で中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心として延びる円柱状である。モータシャフト41のうち偏心軸部41a以外の部分は、中心軸J1を中心として延びる円柱状である。
【0016】
ロータ本体42は、モータシャフト41に固定される。ロータ本体42は、モータシャフト41に固定されるロータコアと、ロータコアの外周部に固定されるロータマグネットとを含む。
【0017】
ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側に隙間を介して配置される。ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側を囲む環状である。ステータ43は、例えば、ステータコアと、複数のインシュレータと、複数のコイルとを含む。各々のコイルは、インシュレータを介してステータコアのティースに装着される。
【0018】
モータシャフト41の上端面には、モータ用センサマグネット45を保持する保持凹部46が設けられる。保持凹部46は、下側に向かって凹み上側に開口する。保持凹部46は、平面視において、中心軸J1を中心とする円形である。保持凹部46が設けられるモータシャフト41の上端面は、回路基板70よりも下側に配置される。
モータ用センサマグネット45は、中心軸J1を中心とする円柱状である。モータ用センサマグネット45は、保持凹部46に嵌め込まれる。これにより、モータ用センサマグネット45は、モータシャフト41の上端部に固定される。モータ用センサマグネット45は、回路基板70の下側の面(後述する第2の実装面70b)と隙間を介して対向する。
【0019】
減速機構50は、モータ40に連結される。本実施形態において減速機構50は、モータシャフト41の下側に連結される。減速機構50は、ロータ本体42およびステータ43の下側に配置される。減速機構50は、外歯ギア51と、内歯ギア52と、出力ギア53と、を有する。なお、減速機構50は、モータシャフト41の上側に連結されてもよい。
【0020】
外歯ギア51は、偏心軸部41aの偏心軸J2を中心として、偏心軸J2の径方向に広がる円環板状である。外歯ギア51の径方向外側面には、歯車部が設けられる。外歯ギア51は、モータシャフト41に第3ベアリング44cを介して接続される。これにより、減速機構50は、モータシャフト41に連結される。外歯ギア51は、第3ベアリング44cの外輪に径方向外側から嵌め合わされる。これにより、第3ベアリング44cはモータシャフト41と外歯ギア51とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結する。
【0021】
外歯ギア51は、外歯ギア51を軸方向に貫通する複数の孔51aを有する。図示は省略するが、複数の孔51aは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。孔51aの軸方向に沿って見た形状は、円形状である。
【0022】
内歯ギア52は、外歯ギア51の径方向外側を囲む。内歯ギア52の歯車部は、外歯ギア51の歯車部と噛み合う。内歯ギア52は、中心軸J1を中心とする円環状である。内歯ギア52の外周部は、例えば正十二角形などの多角形状とされ、後述するキャップ14に回転止めされた状態で固定される。
【0023】
出力ギア53は、出力ギア本体53aと、複数のピン53bと、を有する。出力ギア本体53aは、外歯ギア51および内歯ギア52の上側に配置される。出力ギア本体53aは、中心軸J1を中心として径方向に広がる円環板状である。出力ギア本体53aの径方向外側面には、歯車部が設けられる。出力ギア本体53aは、モータシャフト41に第4ベアリング44dを介して接続される。
【0024】
複数のピン53bは、出力ギア本体53aの下面から下側に突出する円筒状である。図示は省略するが、複数のピン53bは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。ピン53bの外径は、孔51aの内径よりも小さい。複数のピン53bは、複数の孔51aのそれぞれに上側から通される。ピン53bの外周面は、孔51aの内周面と内接する。孔51aの内周面は、ピン53bを介して、外歯ギア51を中心軸J1回りに揺動可能に支持する。
【0025】
出力部60は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。出力部60は、モータ40の径方向外側に配置される。出力部60は、従動シャフト61と、従動ギア62と、出力部用センサマグネット63と、を有する。
【0026】
従動シャフト61は、軸方向に延びる筒状である。このように、従動シャフト61がモータシャフト41と同じ方向に延びるため、モータシャフト41の回転を従動シャフト61に伝達する減速機構50の構造を簡単化できる。従動シャフト61は、減速機構50を介してモータシャフト41に連結される。本実施形態において従動シャフト61は、出力中心軸J3を中心とする円筒状である。出力中心軸J3は、中心軸J1と平行であり、中心軸J1から径方向に離れて配置される。すなわち、モータシャフト41と従動シャフト61とは、モータシャフト41の径方向に離れて配置される。そのため、モータシャフト41と従動シャフト61とが軸方向に並んで配置される場合に比べて、電動アクチュエータ10を軸方向に小型化できる。なお、モータシャフト41と従動シャフト61とは、軸方向に並んで配置されてもよい。
【0027】
従動シャフト61は、下側に開口する。従動シャフト61は、内周面に、スプライン溝を有する。従動シャフト61は、モータシャフト41の径方向においてロータ本体42と重なる位置に配置される。従動シャフト61には、下側から被駆動シャフト(図示略)が挿入されて連結される。より詳細には、被駆動シャフトの外周面に設けられたスプライン部が、従動シャフト61の内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされることで、従動シャフト61と被駆動シャフトとが連結される。被駆動シャフトには、従動シャフト61を介して電動アクチュエータ10の駆動力が伝達される。これにより、電動アクチュエータ10は、被駆動シャフトを出力中心軸J3回りに回転させる。
【0028】
従動シャフト61の上端面には、出力部用センサマグネット63を保持する保持凹部64が設けられる。保持凹部64は、下側に向かって凹み上側に開口する。保持凹部64は、平面視において、出力中心軸J3を中心とする円形である。保持凹部64が設けられる従動シャフト61の上端面は、回路基板70よりも下側に配置される。
【0029】
従動ギア62は、従動シャフト61に固定され出力ギア53と噛み合う。本実施形態において従動ギア62は、従動シャフト61の外周面に固定される。従動ギア62は、従動シャフト61から出力ギア53に向かって延びる。図示は省略するが、従動ギア62は、平面視で扇形のギアである。従動ギア62は、出力ギア53側の端部に歯車部を有する。従動ギア62の歯車部は、出力ギア53の歯車部と噛み合う。
【0030】
出力部用センサマグネット63は、出力中心軸J3を中心とする円柱状である。出力部用センサマグネット63は、保持凹部64に嵌め込まれる。これにより、出力部用センサマグネット63は、従動シャフト61の上端部に固定される。出力部用センサマグネット63は、回路基板70の下側の面(後述する第2の実装面70b)と隙間を介して対向する。
【0031】
モータシャフト41が中心軸J1回りに回転されると、偏心軸部41aは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部41aの公転は第3ベアリング44cを介して外歯ギア51に伝達され、外歯ギア51は、孔51aの内周面とピン53bの外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア51の歯車部と内歯ギア52の歯車部との噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア52に、外歯ギア51を介してモータシャフト41の回転力が伝達される。
【0032】
ここで、本実施形態では、内歯ギア52は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア52に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア51が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア51の回転する向きは、モータシャフト41の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア51の偏心軸J2回りの回転は、孔51aとピン53bとを介して、出力ギア53に伝達される。これにより、出力ギア53が中心軸J1回りに回転する。出力ギア53には、モータシャフト41の回転が減速されて伝達される。
【0033】
出力ギア53が回転すると、出力ギア53に噛み合う従動ギア62が出力中心軸J3回りに回転する。これにより、従動ギア62に固定された従動シャフト61が出力中心軸J3回りに回転する。このようにして、出力部60には、減速機構50を介してモータ40の回転が伝達される。
【0034】
バスバーユニット90は、ロータ本体42の上側に位置する。バスバーユニット90は、ハウジング11における後述する区画壁32aの下面に配置される。バスバーユニット90は、平面視で中心軸J1を中心とする円弧状のバスバーホルダ91と、バスバーホルダ91に保持される複数のバスバー92と、を有する。バスバー92は、例えば、6本設けられる。本実施形態の場合、バスバーホルダ91は、バスバー92をインサート部材とするインサート成形によって作られる。
【0035】
バスバー92の一方側の端部92aは、バスバーホルダ91の上面から上側へ突出する。本実施形態では、バスバー92の一方側の端部92aは軸方向に延びる真っ直ぐな帯状であり、回路基板70を下側から上側に貫通する。端部92aは、回路基板70を貫通する位置で、はんだ付け、溶接、圧入などの接続方法によって回路基板70と電気的に接続される。図示は省略するが、バスバー92の他方側の端部は、ステータ43のコイルから引き出されるコイル引出線を把持し、半田付けまたは溶接によりコイルと接続される。これにより、ステータ43と回路基板70とが、バスバー92を介して電気的に接続される。
【0036】
回路基板70は、モータ40、バスバーユニット90および出力部60の上側に配置される。回路基板70は、モータシャフト41および従動シャフト61の上側に位置する。回路基板70は、板面が軸方向を向く板状である。回路基板70は、バスバーユニット90を介して、ステータ43のコイルと接続される。また、回路基板70は、後述するコネクタ部19(図2参照)を介して電源に接続される。すなわち、回路基板70は、モータ40および電源と電気的に接続される。
【0037】
回路基板70の板面は、軸方向と直交する。すなわち、回路基板70は、XY平面に沿って延びる。回路基板70の板厚方向は、Z軸方向である。以下の説明において、「板厚方向」とは、回路基板70の板厚方向を意味する。また、板厚方向一方側とは、上側を意味し、板厚方向他方側とは下側を意味する。
【0038】
回路基板70は、板厚方向の互いに反対側を向く第1の実装面(実装面)70aと第2の実装面70bとを有する。第1の実装面70aは、上側を向く面であり、第2の実装面70bは、下側を向く面である。第1の実装面70aおよび第2の実装面70bには、それぞれ複数の電子部品73が実装される。回路基板70と電子部品73とは、モータ40を制御するインバータ装置として機能する。本実施形態のインバータ装置は、コンバータ回路とインバータ回路とを含む。
【0039】
複数の電子部品73は、第1電子部品(第1トランジスタ75および第2トランジスタ76)と、第2電子部品77と、モータ用センサ71と、出力部センサ72と、チョークコイル78と、コンデンサ79と、を含む。第1電子部品は、第1トランジスタ75および第2トランジスタ76を含む。
【0040】
第1トランジスタ(第1電子部品)75、第2トランジスタ(第1電子部品)76および第2電子部品77は、第1の実装面70aに実装される。一方で、モータ用センサ71、出力部センサ72、チョークコイル78およびコンデンサ79は、第2の実装面70bに実装される。
【0041】
モータ用センサ71は、回路基板70の第2の実装面70bのうちモータ用センサマグネット45と隙間を介して回路基板70の板厚方向に対向する部分に固定される。本実施形態において、モータ用センサ71は、中心軸J1上に配置される。モータ用センサ71は、モータ用センサマグネット45の磁界を検出する磁気センサである。モータ用センサ71は、モータ用センサマグネット45の磁界を検出することでモータ用センサマグネット45の回転位置を検出してモータシャフト41の回転を検出する。
【0042】
出力部センサ72は、回路基板70の第2の実装面70bのうち出力部用センサマグネット63と隙間を介して回路基板70の板厚方向に対向する部分に固定される。本実施形態において、出力部用センサマグネット63は、出力中心軸J3上に配置される。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出する磁気センサである。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出することで出力部用センサマグネット63の回転位置を検出して従動シャフト61の回転を検出する。
【0043】
チョークコイル78およびコンデンサ79は、第2の実装面70bにおいて+X側に偏って配置される。チョークコイル78およびコンデンサ79は、電源から入力される交流電流を直流電流とするコンバータ回路の一部として機能する。
【0044】
図2は、電動アクチュエータ10の分解斜視図である。
第1の実装面70aは、X軸方向を長手方向とする長方形である。第1の実装面70aには、4つの第1トランジスタ75と、6つの第2トランジスタ76と、複数の第2電子部品77と、が実装される。
【0045】
第1トランジスタ75および第2トランジスタ76を含む第1電子部品は、駆動時に発熱を伴う。これらの第1電子部品は、他の電子部品より発熱量が大きい。すなわち、第1電子部品(第1トランジスタ75および第2トランジスタ76)は、発熱素子である。
【0046】
複数の第1トランジスタ75は、第1の実装面70aにおいて+X側に偏って配置される。また、第1の実装面70aにおいて+X側には、コネクタ部19の端子19aが接続される。第1トランジスタ75は、コネクタ部19を介して電源から入力される交流電流を直流電流とするコンバータ回路の一部として機能する。
【0047】
複数の第2トランジスタ76は、第1の実装面70aにおいて-X側に偏って配置される。複数の第2トランジスタ76は、板厚方向から見てモータ40に重なる領域に配置される。第2トランジスタ76は、直流電流を交流電流に変換してモータ40に供給するインバータ回路の一部として機能する。
【0048】
複数の第2電子部品77は、第1の実装面70aにおいて+X側に偏って配置される。複数の第2電子部品77は、複数種類の素子を含む。第2電子部品77としては、チップ抵抗、マイコンなどが例示される。それぞれの第2電子部品77は、第1トランジスタ75、チョークコイル78およびコンデンサ79とともに、コンバータ回路の一部を構成するなど、様々な機能を発揮する。第2電子部品77は、第1電子部品としての第1トランジスタ75および第2トランジスタ76より発熱量が小さい。第2電子部品77は、第1電子部品としての第1トランジスタ75および第2トランジスタ76より高さ寸法が大きい。複数種類の第2電子部品77の高さ寸法は、互いに異なっていてもよい。
なお、ここで、それぞれの電子部品73の高さ寸法とは、回路基板70の板厚方向に沿う寸法を意味する。
【0049】
図1に示すように、ハウジング11は、モータ40、減速機構50、出力部60、回路基板70、電子部品73、およびバスバーユニット90を収容する。ハウジング11は、ハウジング本体12と、カバー13と、キャップ14と、コネクタ部19と、を有する。ハウジング本体12は、上側および下側に開口する。カバー13は、ハウジング本体12の上側の開口部12aに固定される。キャップ14は、ハウジング本体12の下側の開口部12bに固定される。コネクタ部19は、ハウジング本体12の側面に固定される。
【0050】
ハウジング本体12は、電動アクチュエータ10の筐体を構成する角筒状の外壁部30と、外壁部30の下側の端部から径方向内側に広がる底壁部31と、底壁部31に設けられるモータケース部32および従動シャフト保持部33と、を有する。すなわち、ハウジング11は、外壁部30と、底壁部31と、モータケース部32と、従動シャフト保持部33と、を有する。
【0051】
外壁部30は、本実施形態では、軸方向に見て五角形の角筒状である。外壁部30は、モータケース部32を径方向外側から囲む。外壁部30の上側の開口部が、ハウジング本体12の上側の開口部12aである。開口部12aの内側には、回路基板70が収容される。
【0052】
底壁部31は、下側に開口する開口部を有する。底壁部31の開口部の周縁に、底壁部31から下側に突出する筒状の筒状壁31aが設けられる。筒状壁31aに囲まれる開口部が、ハウジング本体12の下側の開口部12bである。モータケース部32および従動シャフト保持部33は、底壁部31の上面に設けられる。
【0053】
モータケース部32は、モータ40を径方向外側から囲む筒状である。本実施形態においてモータケース部32は、中心軸J1を中心とし、下側に開口する円筒状である。モータケース部32は、モータ40を内側に保持する。より詳細には、モータケース部32の内周面に、モータ40のステータ43が固定される。モータケース部32は、底壁部31から上側に延びる筒状部32bと、筒状部32bの上側の端部から径方向内側に広がる円環板状の区画壁32aと、を有する。
【0054】
区画壁32aは、ステータ43とバスバーユニット90との軸方向の間に位置する。区画壁32aは、軸方向に見た中央に、ベアリング保持部32cを有する。ベアリング保持部32cは、軸方向に沿って延びる円筒状である。ベアリング保持部32cの内周面には、第2ベアリング44bが保持される。区画壁32aがベアリングホルダを兼ねることにより、電動アクチュエータ10が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0055】
区画壁32aには、複数のボルト96により回路基板70が固定される。ボルト96は、回路基板70の上側から、回路基板70を板厚方向に貫通し、区画壁32aのネジ穴に締結される。これにより、ハウジング本体12は、回路基板70を支持する。
【0056】
従動シャフト保持部33は、底壁部31から上側に延びる円筒状である。従動シャフト保持部33の側面の一部は、モータケース部32の側面に繋がっている。従動シャフト保持部33は、従動シャフト保持部33を軸方向に貫通する孔部33aを有する。孔部33aの内側には、円筒状のブッシュ65が嵌め合わされる。ブッシュ65の内側には、従動シャフト61が嵌め合わされる。ブッシュ65は、従動シャフト61を出力中心軸J3回りに回転可能に支持する。
【0057】
図2に示すように、コネクタ部19は、ハウジング本体12の外壁部30に取り付けられる。コネクタ部19は、外壁部30に設けられた貫通孔(図示略)に挿入され固定される。コネクタ部19は、樹脂製のコネクタハウジング19bと、コネクタハウジングの内部に配置される端子19aと、を有する。端子19aは、回路基板70に接続される。コネクタ部19には、外部電源(図示略)が接続される。端子19aは、外部電源から供給される電力を回路基板70に供給する。
【0058】
図1に示すように、キャップ14は、ハウジング本体12の下側の開口部12bを覆う。キャップ14は、内側筒部14aと、外側筒部14bと、外側底板部14jと、内側底壁部14dと、板状部14hと、周壁部14cと、を有する。
【0059】
内側筒部14aは、中心軸J1を中心とする円筒状である。内側筒部14aの径方向内側には、第1ベアリング44aが保持される。外側筒部14bは、中心軸J1を中心とする円筒状である。外側筒部14bは、内側筒部14aより直径が大きい。また、外側筒部14bは、内側筒部14aより上側に位置する。外側筒部14bの径方向内側には、内歯ギア52が保持される。
【0060】
外側底板部14jは、内側筒部14aの上端から径方向外側に延びる。外側底板部14jは、内側筒部14aと外側筒部14bとを繋ぐ。内側底壁部14dは、内側筒部14aの下側の端部に位置する。内側底壁部14dは、内側筒部14aの下側の開口を覆う。板状部14hは、外側筒部14bの外周から径方向外側に延びる。板状部14hは、軸方向と直交する平面に沿って延びる。板状部14hには、出力部60と軸方向に重なる開口部14eが設けられる。従動シャフト61の下側の端部は、キャップ14の開口部14eを通じて下側に露出する。キャップ14は、従動シャフト61の外周面から径方向外側に広がるシャフトフランジ部61bを下側から支持する。
【0061】
周壁部14cは、板状部14hから上側に突出する。周壁部14cは、板状部14hの外縁に沿って延びる。周壁部14cは、ハウジング本体12の筒状壁31aの内側に挿入される。周壁部14cと筒状壁31aとの間には、シール部材9が介在する。シール部材9は、ハウジング11の内部に、水分が浸入することを抑制する。
【0062】
図2に示すように、カバー13は、板状の金属部材である。後述するように、カバー13には、電子部品73から熱が伝わる。このため、カバー13は、伝熱性の高い金属材料から構成されることが好ましい。例えば、カバー13は、アルミニウム合金から構成されることが好ましい。
【0063】
本実施形態のカバー13は、プレス加工によって成形される。このため、カバー13の板厚は、全体に亘って略一様である。カバー13は、回路基板70および電子部品73を上側から覆う。カバー13は、複数のボルト97によってハウジング本体12に固定される。
【0064】
カバー13は、回路基板70の上側で回路基板70の板面に沿って延びるカバー本体16と、カバー本体16の外周縁部に位置するフランジ部17と、を有する。
【0065】
カバー本体16は、回路基板70の第1の実装面70aおよび第1の実装面70aに実装される電子部品73を上側から覆う。カバー本体16は、板面が軸方向を向く板状である。
【0066】
カバー本体16には、十字状に交差する第1リブ部16cと第2リブ部16dとを有する。第1リブ部16cと第2リブ部16dは、下側に向かって突出する。第1リブ部16cは、Y軸方向の略中央に位置し、X軸方向に沿って直線状に延びる。一方で、第2リブ部16dは、X軸方向の略中央に位置し、Y軸方向に沿って直線状に延びる。
【0067】
本実施形態において、カバー13をハウジング本体12に固定するボルト97は、8つ設けられる。8つのボルト97のうち2つは、第1リブ部16cの長さ方向の両端側であって、第1リブ部16cの延長線上に位置する。また、8つのボルト97のうち他の2つは、第2リブ部16dの長さ方向の両端側であって、第2リブ部16dの延長線上に位置する。
【0068】
カバー本体16は、下側(板厚方向他方側)を向く対向面16aを有する。対向面16aは、回路基板70および電子部品73を第1の実装面70a側から覆う。対向面16aには、それぞれ軸方向の位置が異なる第1領域A1、第2領域A2および基準領域A3が設けられる。
【0069】
第1領域A1、第2領域A2および基準領域A3は、それぞれ回路基板70の第1の実装面70aと平行である。対向面16aにおいて、第1領域A1が第1の実装面70aに最も近く、第2領域A2が第1の実装面70aから最も離れている。基準領域A3は、回路基板70の板厚方向において、第1領域A1と第2領域A2との間に位置する。すなわち、第1領域A1は、基準領域A3よりも第1の実装面70aに近い。また、第2領域A2は、基準領域A3よりも第1の実装面70aから遠い。
【0070】
なお、本実施形態のカバー13は、略一様な板厚を有するため、カバー本体16は、対向面16aの反対側を向く上面側において、第1領域A1、第2領域A2および基準領域A3に重なる高さ違いの領域を有する。
【0071】
図3は、電動アクチュエータ10の平面図である。図3において、回路基板70および電子部品73などを破線で示す。
【0072】
図3に示すように、本実施形態において、基準領域A3は、対向面16aに3つ設けられる。3つの基準領域A3のうち2つは、対向面16aの-X側に偏って配置される。これら2つの基準領域A3は、平面視略正方形であり、それぞれ1つのボルト96の直上に位置する。
【0073】
3つの基準領域A3のうち1つは、対向面16aの平面視中央に設けられる。対向面16aの平面視中央に位置する基準領域A3は、第1リブ部16cおよび第2リブ部16dに設けられる。このため、この基準領域A3は、板厚方向から見てリブ状に延びる。また、リブ状の基準領域A3は、板厚方向から見て十字状に延びる。
【0074】
基準領域A3は、十字状に延びるため周囲を4つに区画する。基準領域A3によって区画された各領域は、第2領域A2である。すなわち、基準領域A3は、第2領域A2を4つに区画する。
【0075】
本実施形態によれば、基準領域A3は、板厚方向から見てリブ状に延びる。このため、基準領域A3が延びる方向と直交する方向のカバー本体16の剛性が高められる。特に、本実施形態のリブ状の基準領域A3は、板厚方向から見て十字状に延びる。このため、リブ状の基準領域A3は、カバー本体16のX軸方向およびY軸方向の何れの方向の剛性をも高める。本実施形態によれば、カバー13の剛性が効果的に高められる。
【0076】
カバー13をハウジング本体12に固定するボルト97は、第1リブ部16cおよび第2リブ部16dの両端側であって、それらの延長線上にそれぞれ位置する。したがって、カバー13は、リブ状の基準領域A3の長さ方向の両端側でハウジング本体12に固定される。このため、基準領域A3に重なる第1リブ部16cおよび第2リブ部16dの剛性が高められ、結果的に、カバー13の剛性が効果的に高められる。
【0077】
本実施形態において、第1領域A1は、対向面16aに2つ設けられる。2つの第1領域A1のうち、一方は対向面16aにおいて+X側に偏って配置され、他方は対向面16aにおいて-X側に偏って配置される。2つの第1領域A1のうち+X側に配置される一方は、回路基板70の板厚方向から見て第1トランジスタ75に重なる。同様に、2つの第1領域A1のうち-X側に配置される他方は、回路基板70の板厚方向から見て第2トランジスタ76に重なる。
【0078】
図1に示すように、第1トランジスタ75と第1領域A1との間には、放熱材5が挟まれる。同様に、第2トランジスタ76と第1領域A1との間には、放熱材5が挟まれる。
【0079】
本実施形態によれば、放熱材5は、発熱素子である第1トランジスタ75および第2トランジスタ76が発生した熱を、カバー13に伝える。カバー13は、第1トランジスタ75および第2トランジスタ76と比較して十分に熱容量が大きい。また、カバー13は、外部に露出するため、外気によって冷却される。このため本実施形態によれば、第1トランジスタ75および第2トランジスタ76のカバー13を効果的に冷却することができる。
【0080】
本実施形態において、放熱材5は、シート状の放熱シートである。放熱シートの材質としては、シリコン系材料などが用いられる。放熱シートである放熱材5は、第1トランジスタ75と第1領域A1との間、並びに第2トランジスタ76と第1領域A1との間に挟まれて板厚方向に圧縮され弾性変形する。このため、第1トランジスタ75および第2トランジスタ76と放熱材5との間、並びに第1領域A1と放熱材5との間に、隙間が設けられることを抑制できる。これにより、放熱材5による伝熱効率を十分に確保して、第1トランジスタ75および第2トランジスタ76の冷却効率を高めることができる。
なお、放熱材5は、放熱シートの他に、放熱ジェルであってもよい。
【0081】
本実施形態の対向面16aには、放熱材5として2枚の放熱シートが貼り付けられる。2枚の放熱シートのうち、一方は4つの第1トランジスタ75に接触し、他方は6つの第2トランジスタ76に接触する。カバー13は、対向面16aに2枚の放熱シートが予め貼り付けられた状態で、回路基板70を覆うようにハウジング本体12に組み付けられる。
【0082】
図2に示すように、第2領域A2は、対向面16aに4つ設けられる。上述したように、4つの第2領域A2は、十字状の基準領域A3によって区画される。したがって、4つの第2領域A2は、それぞれ、+Y側かつ+X側、+Y側かつ-X側、-Y側かつ+X側、-Y側かつ-X側に、偏って配置される。
【0083】
4つの第2領域A2のうち少なくとも一部の第2領域A2は、回路基板70の板厚方向から見て第2電子部品77に重なる。上述したように、第2領域A2は、基準領域A3および第1領域A1よりも、回路基板70の第1の実装面70aから離間して配置される。このため、平面視で第2電子部品77を第2領域A2に重ねて配置することで、第2電子部品77とカバー13との干渉を抑制できる。
【0084】
本実施形態によれば、カバー13に、板厚方向の位置が異なる複数の領域(第1領域A1、第2領域A2および基準領域A3)が設けられる。このため、本実施形態に示すように、カバー13がプレス加工で成形される場合に、カバー13全体の剛性が高められる。
【0085】
本実施形態によれば、4つの第2領域A2が、互いに直交する2方向(X軸方向とY軸方向)に2つずつ並んで配置される。このため、4つの第2領域A2同士の間に、十字状の高さの異なる領域(本実施形態において基準領域A3)が設けられ、当該領域がリブとして機能することで、カバー13の剛性が高められる。
【0086】
図4は、カバー13および回路基板70の近傍における電動アクチュエータ10の断面模式図である。図4は、対向面16aの各領域(第1領域A1、第2領域A2および基準領域A3)と、各領域に重なる電子部品73との高さ関係を示す。
【0087】
図4に示すように、第2電子部品77と第2領域A2との間には、隙間Gが設けられる。隙間Gには、空気が介在する。このため、第2電子部品77とカバー13とが、直接的又は間接的に接触することを抑制できる。これにより、発熱素子である第1トランジスタ75および第2トランジスタ76からカバー13に伝わった熱が、第2電子部品77に伝わることを抑制できる。これによって、第2電子部品77の動作の信頼性を確保できる。
なお、ここで、「間接的な接触」とは、他の部材(例えば放熱材など)を介在して部材同士が接触することを意味する。
【0088】
本実施形態によれば、第1領域A1および基準領域A3は、第2電子部品77の上端より下側に位置する。カバー13は、プレス加工により成形され板厚が一様である。本実施形態によれば、カバー本体16の上面において、第1領域A1および基準領域A3に重なる領域を、第2領域A2に重なる領域より低い位置に配置することができる。これにより、カバー本体16の上面を部分的に回路基板70に近づけて配置して、ハウジング11の小型化を図ることできる。本実施形態によれば、高さ寸法の大きな第2電子部品77をハウジング11の内部に収容しつつ、電動アクチュエータ10が全体として大型化することを抑制できる。
【0089】
図4に示すように、基準領域A3は、回路基板70の板厚方向から見て一部のボルト96およびバスバー92の端部92aに重なる。基準領域A3は、ボルト96およびバスバー92の端部92aの上端より上側に位置する。これにより、基準領域A3は、カバー13とボルト96およびバスバー92の端部92aとの干渉を抑制する。
【0090】
フランジ部17は、カバー本体16の外周縁部の全周に亘って延びる。したがって、フランジ部17は、カバー本体16の対向面16aを囲む。フランジ部17は、カバー本体16より下側に位置する。フランジ部17は、回路基板70の板厚方向と直交する平面に沿う板状である。
【0091】
フランジ部17は、下側(板厚方向他方側)を向く固定面17bを有する。図1に示すように、固定面17bは、ハウジング本体12の外壁部30の上端面30aと対向する。上端面30aには、ボルト97が挿入されるネジ孔30bが設けられる。フランジ部17には、ボルト97が挿入される複数の貫通孔17aが設けられる。カバー13は、フランジ部17の固定面17bにおいてハウジング本体12に固定される。カバー13の固定面17bと、ハウジング本体12の上端面30aとの間には、止水部材が介在する。止水部材としては、液状ガスケットなどが例示できる。
【0092】
固定面17bは、基準領域A3、第1領域A1、および第2領域A2と、板厚方向の位置が異なる。したがって、固定面17bは、カバー本体の対向面16aを、対向面16aと異なる一定の高さで囲む。これにより、カバー13の剛性が高まる。また、固定面17bは、一定の高さであるため、ハウジング本体12との間の防塵性および防水性を確保し易い。
【0093】
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0094】
本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されず、車両以外に搭載されてもよい。また、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0095】
5…放熱材、10…電動アクチュエータ、11…ハウジング、12…ハウジング本体、13…カバー、16a…対向面、17…フランジ部、17b…固定面、40…モータ、70…回路基板、70a…第1の実装面(実装面)、73…電子部品、75…第1トランジスタ(第1電子部品)、76…第2トランジスタ(第1電子部品)、77…第2電子部品、A1…第1領域、A2…第2領域、A3…基準領域、G…隙間
図1
図2
図3
図4