(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053883
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】防水ハウジングおよび電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20220330BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20220330BHJP
H05K 5/06 20060101ALI20220330BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
F16J15/10 B
H02K5/22
F16J15/10 C
F16J15/10 T
H05K5/06 D
H05K5/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020160763
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
(72)【発明者】
【氏名】姜 永大
【テーマコード(参考)】
3J040
4E360
5H605
【Fターム(参考)】
3J040AA01
3J040AA12
3J040AA17
3J040BA02
3J040EA16
3J040FA06
3J040HA03
3J040HA04
4E360AB33
4E360AB34
4E360BA02
4E360BB22
4E360BD03
4E360BD05
4E360CA02
4E360ED02
4E360GA23
4E360GA29
4E360GB99
4E360GC02
4E360GC08
4E360GC14
5H605AA02
5H605BB17
5H605CC06
5H605DD32
5H605EC05
5H605EC18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シール部材の捻れおよび位置ずれを抑制することができ、組み立て工程を簡素化できる防水ハウジングおよび電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】本発明の防水ハウジングの一つの態様は、開口部が設けられるハウジング本体と、開口部の内周面と対向する周壁部を有し、開口部を覆うキャップと、周壁部に設けられる凹溝に収容され開口部の内周面と凹溝の底面との間に挟まれる環状のシール部材9と、を備える。シール部材は、ハウジング本体の内部空間側に突出する凸部9eを有する。凹溝の側壁には、凸部が収容される収容部14nが設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が設けられるハウジング本体と、
前記開口部の内周面と対向する周壁部を有し、前記開口部を覆うキャップと、
前記周壁部に設けられる凹溝に収容され前記開口部の内周面と前記凹溝の底面との間に挟まれる環状のシール部材と、を備え、
前記シール部材は、前記ハウジング本体の内部空間側に突出する凸部を有し、
前記凹溝の側壁には、前記凸部が収容される収容部が設けられる、
防水ハウジング。
【請求項2】
前記シール部材は、
第1の曲率半径で円弧状に延びる第1円弧部と、
前記第1の曲率半径より小さい第2の曲率半径で円弧状に延びる第2円弧部と、
前記第1円弧部および前記第2円弧部の端部をそれぞれ繋ぐ一対の直線部と、を有し、
前記凸部は、前記第1円弧部側に配置される、
請求項1に記載の防水ハウジング。
【請求項3】
前記シール部材は、2つの前記凸部を有し、
2つの前記凸部は、前記第1円弧部の円弧中心に対して互いに反対側に配置される、
請求項2に記載の防水ハウジング。
【請求項4】
前記シール部材は、
第3の曲率半径で半円状に延びる一対の第3円弧部と、
一対の前記第3円弧部の端部をそれぞれ繋ぐ一対の直線部と、を有し、
前記凸部は、前記直線部に配置される、
請求項1に記載の防水ハウジング。
【請求項5】
前記シール部材の断面形状は、円形である、
請求項1~4の何れか一項に記載の防水ハウジング。
【請求項6】
請求項1~4の何れか一項に記載の防水ハウジングと、
前記防水ハウジングに収容されるモータと、を備える、
電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水ハウジングおよび電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、モータとギアを連結した電動アクチュエータにおいて、モータを収容するケース部品とギアを収容するケース部品との合わせ面に防水性を確保するためのシール部材が配置される構成が知られる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に示すように2つのケース部品を、シール部材を挟んで固定する場合、シール部材がケース部品から脱落したり、シール部材の位置がずれたりするために、組み立て作業が煩雑となる虞があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、シール部材の捻じれおよび位置ずれを抑制することができ組み立て工程を簡素化できる防水ハウジングおよび電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の防水ハウジングの一つの態様は、開口部が設けられるハウジング本体と、前記開口部の内周面と対向する周壁部を有し、前記開口部を覆うキャップと、前記周壁部に設けられる凹溝に収容され前記開口部の内周面と前記凹溝の底面との間に挟まれる環状のシール部材と、を備える。前記シール部材は、前記ハウジング本体の内部空間側に突出する凸部を有する。前記凹溝の側壁には、前記凸部が収容される収容部が設けられる。
また、本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、上述の防水ハウジングと、前記防水ハウジングに収容されるモータと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、シール部材の捻じれおよび位置ずれを抑制することができ組み立て工程を簡素化できる防水ハウジングおよび電動アクチュエータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態の電動アクチュエータの断面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態の電動アクチュエータを斜め下側から見た分解斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のキャップおよびシール部材の斜視図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のシール部材の近傍のハウジングの部分断面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態のシール部材の凸部の近傍のハウジングの部分断面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態のコネクタ部およびコネクタシール部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を基に本発明の実施形態について説明する。なお、各図には、適宜XYZ座標系を示す。以下の説明において、Z軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す仮想軸である中心軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0010】
本実施形態において、平面視とは、軸方向に沿って上側または下側から観察することを意味する。なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
図1は、本実施形態の電動アクチュエータ10の断面図である。
電動アクチュエータ10は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ10は、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。
【0012】
電動アクチュエータ10は、モータ40と、減速機構50と、出力部60と、ハウジング(防水ハウジング)11と、バスバーユニット90と、回路基板70と、複数の電子部品73と、を備える。
【0013】
図1に示すように、モータ40は、モータシャフト41と、第1ベアリング44aと、第2ベアリング44bと、第3ベアリング44cと、第4ベアリング44dと、ロータ本体42と、ステータ43と、モータ用センサマグネット45と、を有する。モータシャフト41は、軸方向に延びる。
【0014】
第1ベアリング44aと第2ベアリング44bと第3ベアリング44cと第4ベアリング44dとは、モータシャフト41を中心軸J1回りに回転可能に支持する。本実施形態において、第1ベアリング44a、第2ベアリング44b、第3ベアリング44c、および第4ベアリング44dは、例えば、ボールベアリングである。
【0015】
モータシャフト41のうち第3ベアリング44cに支持される部分である偏心軸部41aは、中心軸J1と平行で中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心として延びる円柱状である。モータシャフト41のうち偏心軸部41a以外の部分は、中心軸J1を中心として延びる円柱状である。
【0016】
ロータ本体42は、モータシャフト41に固定される。ロータ本体42は、モータシャフト41に固定されるロータコアと、ロータコアの外周部に固定されるロータマグネットとを含む。
【0017】
ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側に隙間を介して配置される。ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側を囲む環状である。ステータ43は、例えば、ステータコアと、複数のインシュレータと、複数のコイルとを含む。各々のコイルは、インシュレータを介してステータコアのティースに装着される。
【0018】
モータシャフト41の上端面には、モータ用センサマグネット45を保持する保持凹部46が設けられる。保持凹部46は、下側に向かって凹み上側に開口する。保持凹部46は、平面視において、中心軸J1を中心とする円形である。保持凹部46が設けられるモータシャフト41の上端面は、回路基板70よりも下側に配置される。
モータ用センサマグネット45は、中心軸J1を中心とする円柱状である。モータ用センサマグネット45は、保持凹部46に嵌め込まれる。これにより、モータ用センサマグネット45は、モータシャフト41の上端部に固定される。モータ用センサマグネット45は、回路基板70の下側の面と隙間を介して対向する。
【0019】
減速機構50は、モータ40に連結される。本実施形態において減速機構50は、モータシャフト41の下側に連結される。減速機構50は、ロータ本体42およびステータ43の下側に配置される。減速機構50は、外歯ギア51と、内歯ギア52と、出力ギア53と、を有する。なお、減速機構50は、モータシャフト41の上側に連結されてもよい。
【0020】
外歯ギア51は、偏心軸部41aの偏心軸J2を中心として、偏心軸J2の径方向に広がる円環板状である。外歯ギア51の径方向外側面には、歯車部が設けられる。外歯ギア51は、モータシャフト41に第3ベアリング44cを介して接続される。これにより、減速機構50は、モータシャフト41に連結される。外歯ギア51は、第3ベアリング44cの外輪に径方向外側から嵌め合わされる。これにより、第3ベアリング44cはモータシャフト41と外歯ギア51とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結する。
【0021】
外歯ギア51は、外歯ギア51を軸方向に貫通する複数の孔51aを有する。図示は省略するが、複数の孔51aは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。孔51aの軸方向に沿って見た形状は、円形状である。
【0022】
内歯ギア52は、外歯ギア51の径方向外側を囲む。内歯ギア52の歯車部は、外歯ギア51の歯車部と噛み合う。内歯ギア52は、中心軸J1を中心とする円環状である。内歯ギア52の外周部は、例えば正十二角形などの多角形状とされ、後述するキャップ14に回転止めされた状態で固定される。
【0023】
出力ギア53は、出力ギア本体53aと、複数のピン53bと、を有する。出力ギア本体53aは、外歯ギア51および内歯ギア52の上側に配置される。出力ギア本体53aは、中心軸J1を中心として径方向に広がる円環板状である。出力ギア本体53aの径方向外側面には、歯車部が設けられる。出力ギア本体53aは、モータシャフト41に第4ベアリング44dを介して接続される。
【0024】
複数のピン53bは、出力ギア本体53aの下面から下側に突出する円筒状である。図示は省略するが、複数のピン53bは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。ピン53bの外径は、孔51aの内径よりも小さい。複数のピン53bは、複数の孔51aのそれぞれに上側から通される。ピン53bの外周面は、孔51aの内周面と内接する。孔51aの内周面は、ピン53bを介して、外歯ギア51を中心軸J1回りに揺動可能に支持する。
【0025】
出力部60は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。出力部60は、モータ40の径方向外側に配置される。出力部60は、従動シャフト61と、従動ギア62と、出力部用センサマグネット63と、を有する。
【0026】
従動シャフト61は、軸方向に延びる筒状である。このように、従動シャフト61がモータシャフト41と同じ方向に延びるため、モータシャフト41の回転を従動シャフト61に伝達する減速機構50の構造を簡単化できる。従動シャフト61は、減速機構50を介してモータシャフト41に連結される。本実施形態において従動シャフト61は、出力中心軸J3を中心とする円筒状である。出力中心軸J3は、中心軸J1と平行であり、中心軸J1から径方向に離れて配置される。すなわち、モータシャフト41と従動シャフト61とは、モータシャフト41の径方向に離れて配置される。そのため、モータシャフト41と従動シャフト61とが軸方向に並んで配置される場合に比べて、電動アクチュエータ10を軸方向に小型化できる。なお、モータシャフト41と従動シャフト61とは、軸方向に並んで配置されてもよい。
【0027】
従動シャフト61は、下側に開口する。従動シャフト61は、内周面に、スプライン溝を有する。従動シャフト61は、モータシャフト41の径方向においてロータ本体42と重なる位置に配置される。従動シャフト61には、下側から被駆動シャフト(図示略)が挿入されて連結される。より詳細には、被駆動シャフトの外周面に設けられたスプライン部が、従動シャフト61の内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされることで、従動シャフト61と被駆動シャフトとが連結される。被駆動シャフトには、従動シャフト61を介して電動アクチュエータ10の駆動力が伝達される。これにより、電動アクチュエータ10は、被駆動シャフトを出力中心軸J3回りに回転させる。
【0028】
従動シャフト61の上端面には、出力部用センサマグネット63を保持する保持凹部64が設けられる。保持凹部64は、下側に向かって凹み上側に開口する。保持凹部64は、平面視において、出力中心軸J3を中心とする円形である。保持凹部64が設けられる従動シャフト61の上端面は、回路基板70よりも下側に配置される。
【0029】
従動ギア62は、従動シャフト61に固定され出力ギア53と噛み合う。本実施形態において従動ギア62は、従動シャフト61の外周面に固定される。従動ギア62は、従動シャフト61から出力ギア53に向かって延びる。図示は省略するが、従動ギア62は、平面視で扇形のギアである。従動ギア62は、出力ギア53側の端部に歯車部を有する。従動ギア62の歯車部は、出力ギア53の歯車部と噛み合う。
【0030】
出力部用センサマグネット63は、出力中心軸J3を中心とする円柱状である。出力部用センサマグネット63は、保持凹部64に嵌め込まれる。これにより、出力部用センサマグネット63は、従動シャフト61の上端部に固定される。出力部用センサマグネット63は、回路基板70の下側の面と隙間を介して対向する。
【0031】
モータシャフト41が中心軸J1回りに回転されると、偏心軸部41aは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部41aの公転は第3ベアリング44cを介して外歯ギア51に伝達され、外歯ギア51は、孔51aの内周面とピン53bの外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア51の歯車部と内歯ギア52の歯車部との噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア52に、外歯ギア51を介してモータシャフト41の回転力が伝達される。
【0032】
ここで、本実施形態では、内歯ギア52は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア52に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア51が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア51の回転する向きは、モータシャフト41の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア51の偏心軸J2回りの回転は、孔51aとピン53bとを介して、出力ギア53に伝達される。これにより、出力ギア53が中心軸J1回りに回転する。出力ギア53には、モータシャフト41の回転が減速されて伝達される。
【0033】
出力ギア53が回転すると、出力ギア53に噛み合う従動ギア62が出力中心軸J3回りに回転する。これにより、従動ギア62に固定された従動シャフト61が出力中心軸J3回りに回転する。このようにして、出力部60には、減速機構50を介してモータ40の回転が伝達される。
【0034】
バスバーユニット90は、ロータ本体42の上側に位置する。バスバーユニット90は、ハウジング11における後述する区画壁32aの下面に配置される。バスバーユニット90は、平面視で中心軸J1を中心とする円弧状のバスバーホルダ91と、バスバーホルダ91に保持される複数のバスバー92と、を有する。バスバー92は、例えば、6本設けられる。本実施形態の場合、バスバーホルダ91は、バスバー92をインサート部材とするインサート成形によって作られる。
【0035】
バスバー92の一方側の端部92aは、バスバーホルダ91の上面から上側へ突出する。本実施形態では、バスバー92の一方側の端部92aは軸方向に延びる真っ直ぐな帯状であり、回路基板70を下側から上側に貫通する。端部92aは、回路基板70を貫通する位置で、はんだ付け、溶接、圧入などの接続方法によって回路基板70と電気的に接続される。図示は省略するが、バスバー92の他方側の端部は、ステータ43のコイルから引き出されるコイル引出線を把持し、半田付けまたは溶接によりコイルと接続される。これにより、ステータ43と回路基板70とが、バスバー92を介して電気的に接続される。
【0036】
回路基板70は、モータ40、バスバーユニット90および出力部60の上側に配置される。回路基板70は、モータシャフト41および従動シャフト61の上側に位置する。回路基板70は、板面が軸方向を向く板状である。回路基板70は、バスバーユニット90を介して、ステータ43のコイルと接続される。また、回路基板70は、後述するコネクタ部19(
図2参照)を介して電源に接続される。すなわち、回路基板70は、モータ40および電源と電気的に接続される。
【0037】
回路基板70の板面は、軸方向と直交する。すなわち、回路基板70は、XY平面に沿って延びる。回路基板70の板厚方向は、Z軸方向である。以下の説明において、「板厚方向」とは、回路基板70の板厚方向を意味する。また、板厚方向一方側とは、上側を意味し、板厚方向他方側とは下側を意味する。
【0038】
回路基板70には、電子部品73が実装される。回路基板70と一部の電子部品73とは、モータ40を制御するインバータ装置として機能する。本実施形態のインバータ装置は、コンバータ回路とインバータ回路とを含む。
【0039】
複数の電子部品73は、モータ用センサ71と、出力部センサ72と、を含む。モータ用センサ71および出力部センサ72は、回路基板70の下面に実装される。モータ用センサ71は、中心軸J1上に配置される。モータ用センサ71は、モータ用センサマグネット45の磁界を検出する磁気センサである。モータ用センサ71は、モータ用センサマグネット45の磁界を検出することでモータ用センサマグネット45の回転位置を検出してモータシャフト41の回転を検出する。出力部用センサマグネット63は、出力中心軸J3上に配置される。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出する磁気センサである。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出することで出力部用センサマグネット63の回転位置を検出して従動シャフト61の回転を検出する。
【0040】
ハウジング11は、モータ40、減速機構50、出力部60、回路基板70、電子部品73、およびバスバーユニット90を収容する。ハウジング11は、ハウジング本体12と、カバー13と、キャップ14と、コネクタ部19と、を有する。ハウジング本体12は、上側および下側に開口する。カバー13は、ハウジング本体12の上側の開口部12aに固定される。キャップ14は、ハウジング本体12の下側の開口部12bに固定される。コネクタ部19は、ハウジング本体12の側面に固定される。
【0041】
ハウジング本体12は、上側の開口部12aと下側の開口部12aとが設けられる。ハウジング本体12は、電動アクチュエータ10の筐体を構成する角筒状の外壁部30と、外壁部30の下側の端部から径方向内側に広がる底壁部31と、底壁部31に設けられるモータケース部32および従動シャフト保持部33と、を有する。すなわち、ハウジング11は、外壁部30と、底壁部31と、モータケース部32と、従動シャフト保持部33と、を有する。
【0042】
外壁部30は、本実施形態では、軸方向に見て五角形の角筒状である。外壁部30は、モータケース部32を径方向外側から囲む。外壁部30の上側の開口部が、ハウジング本体12の上側の開口部12aである。開口部12aの内側には、回路基板70が収容される。
【0043】
底壁部31は、下側に開口する開口部を有する。底壁部31の開口部の周縁に、底壁部31から下側に突出する筒状の筒状壁31aが設けられる。筒状壁31aに囲まれる開口部が、ハウジング本体12の下側の開口部12bである。モータケース部32および従動シャフト保持部33は、底壁部31の上面に設けられる。
【0044】
モータケース部32は、モータ40を径方向外側から囲む筒状である。本実施形態においてモータケース部32は、中心軸J1を中心とし、下側に開口する円筒状である。モータケース部32は、モータ40を内側に保持する。より詳細には、モータケース部32の内周面に、モータ40のステータ43が固定される。モータケース部32は、底壁部31から上側に延びる筒状部32bと、筒状部32bの上側の端部から径方向内側に広がる円環板状の区画壁32aと、を有する。
【0045】
区画壁32aは、ステータ43とバスバーユニット90との軸方向の間に位置する。区画壁32aは、軸方向に見た中央に、ベアリング保持部32cを有する。ベアリング保持部32cは、軸方向に沿って延びる円筒状である。ベアリング保持部32cの内周面には、第2ベアリング44bが保持される。区画壁32aがベアリングホルダを兼ねることにより、電動アクチュエータ10が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0046】
区画壁32aには、複数のボルト96により回路基板70が固定される。ボルト96は、回路基板70の上側から、回路基板70を板厚方向に貫通し、区画壁32aのネジ穴に締結される。これにより、ハウジング本体12は、回路基板70を支持する。
【0047】
従動シャフト保持部33は、底壁部31から上側に延びる円筒状である。従動シャフト保持部33の側面の一部は、モータケース部32の側面に繋がっている。従動シャフト保持部33は、従動シャフト保持部33を軸方向に貫通する孔部33aを有する。孔部33aの内側には、円筒状のブッシュ65が嵌め合わされる。ブッシュ65の内側には、従動シャフト61が嵌め合わされる。ブッシュ65は、従動シャフト61を出力中心軸J3回りに回転可能に支持する。
【0048】
カバー13は、下側に開口する板状の金属部材である。カバー13は、回路基板70の上側で回路基板70の板面に沿って延びるカバー本体16と、カバー本体16の外周縁部に位置するフランジ部17と、を有する。フランジ部17は、カバー本体16の外周縁部の全周に亘って延びる。フランジ部17は、下側(板厚方向他方側)を向く固定面17bを有する。
図1に示すように、固定面17bは、ハウジング本体12の外壁部30の上端面30aと対向する。上端面30aには、ボルト97が挿入されるネジ孔30bが設けられる。フランジ部17には、ボルト97が挿入される複数の貫通孔17aが設けられる。カバー13は、フランジ部17の固定面17bにおいてハウジング本体12に固定される。カバー13の固定面17bと、ハウジング本体12の上端面30aとの間には、止水部材が介在する。止水部材としては、液状ガスケットなどが例示できる。
【0049】
図2は、電動アクチュエータ10を斜め下側から見た分解斜視図である。
キャップ14は、ハウジング本体12の下側の開口部12bを覆う。キャップ14は、4つのボルト95によってハウジング本体12に固定される。
【0050】
キャップ14は、内側筒部14aと、外側筒部14bと、外側底板部14jと、内側底壁部14dと、板状部14hと、周壁部14cと、を有する。
【0051】
内側筒部14aは、中心軸J1を中心とする円筒状である。内側筒部14aの径方向内側には、第1ベアリング44aが保持される。外側筒部14bは、中心軸J1を中心とする円筒状である。外側筒部14bは、内側筒部14aより直径が大きい。また、外側筒部14bは、内側筒部14aより上側に位置する。外側筒部14bの径方向内側には、内歯ギア52が保持される。
【0052】
外側底板部14jは、内側筒部14aの上端から径方向外側に延びる。外側底板部14jは、内側筒部14aと外側筒部14bとを繋ぐ。内側底壁部14dは、内側筒部14aの下側の端部に位置する。内側底壁部14dは、内側筒部14aの下側の開口を覆う。板状部14hは、外側筒部14bの外周から径方向外側に延びる。板状部14hは、軸方向と直交する平面に沿って延びる。板状部14hには、出力部60と軸方向に重なる開口部14eが設けられる。従動シャフト61の下側の端部は、キャップ14の開口部14eを通じて下側に露出する。キャップ14は、従動シャフト61の外周面から径方向外側に広がるシャフトフランジ部61bを下側から支持する。
【0053】
周壁部14cは、板状部14hから上側に突出する。周壁部14cは、板状部14hの外縁に沿って延びる。周壁部14cは、ハウジング本体12の筒状壁31aの内側に挿入される。すなわち、周壁部14cは、ハウジング本体12の下側の開口部12aの内周面と対向する。周壁部14cと筒状壁31aとの間には、シール部材9が介在する。すなわち、ハウジング11は、シール部材9を有する。シール部材9は、ハウジング11の内部に、水分が浸入することを抑制する。
【0054】
図3は、キャップ14およびシール部材9の斜視図である。
周壁部14cは、中心軸J1および出力中心軸J3を囲む環状である。なお、本明細書において、「環状」とは、必ずしも平面視円形の「円環状」のみを意味するものではない。
【0055】
周壁部14cは、第1円弧状壁部14pと、第2円弧状壁部14qと、一対の直線壁部14sと、を有する。第1円弧状壁部14pは、軸方向から見て、外側筒部14bの外周に沿って円弧状に延びる。第1円弧状壁部14pの円弧中心は、中心軸J1である。第2円弧状壁部14qは、開口部14eの外周に沿って円弧状に延びる。第2円弧状壁部14qの円弧中心は、出力中心軸J3である。直線壁部14sは、第1円弧状壁部14pと第2円弧状壁部14qとの共通接線に沿って直線状に延びる。一対の直線壁部14sは、第1円弧状壁部14pおよび第2円弧状壁部14qの端部をそれぞれ繋ぐ。
【0056】
周壁部14cは、中心軸J1に対して径方向外側を向く対向面14fを有する。対向面14fは、ハウジング本体12の下側の開口部12aの内側面と対向する。対向面14fには、周方向に沿って延びる凹溝14gが設けられる。
【0057】
凹溝14gは、中心軸J1に対して径方向外側に開口する。凹溝14gには、シール部材9が収容される。凹溝14gは、シール部材9を囲む上側壁(側壁)14v、下側壁(側壁)14w、および底壁14xを有する。上側壁14vは、シール部材9の上側に位置する。下側壁14wは、シール部材9の下側に位置する。上側壁14vと下側壁14wは、上下方向において互いに対向する。シール部材9は、上側壁14vと下側壁14wとの間に配置される。底壁14xは、上側壁14vおよび下側壁14wを繋ぐ。底壁14xは、凹溝14gの開口側を向く底面14yを有する。
【0058】
上側壁14vには、2つの切欠部(収容部)14nが設けられる。2つの切欠部14nは、周壁部14cの第1円弧状壁部14pに位置する。2つの切欠部14n同士は、中心軸J1を互いに反対側に位置する。
【0059】
シール部材9は、環状である。シール部材9の断面形状は円形である。シール部材9は、合成ゴム、又はエラストマー樹脂などの弾性材料から構成される。シール部材9は、第1円弧部9aと、第2円弧部9bと、一対の直線部9cと、を有する。
【0060】
第1円弧部9aは、第1の曲率半径R1で円弧状に延びる。第1円弧部9aの円弧中心は、中心軸J1である。第1円弧部9aは、周壁部14cの第1円弧状壁部14pに設けられる凹溝14gに収容される。
【0061】
第2円弧部9bは、第2の曲率半径R2で円弧状に延びる。第2の曲率半径R2は、第1の曲率半径R1より小さい。第2円弧部9bの円弧中心は、出力中心軸J3である。第2円弧部9bは、周壁部14cの第2円弧状壁部14qに設けられる凹溝14gに収容される。
【0062】
直線部9cは、第1円弧部9aと第2円弧部9bとの共通接線に沿って直線状に延びる。一対の直線部9cは、第1円弧部9aおよび第2円弧部9bの端部をそれぞれ繋ぐ。直線部9cは、直線壁部14sに設けられる凹溝14gに収容される。
【0063】
シール部材9は、2つの凸部9eを有する。2つの凸部9eは、それぞれ凹溝14gの切欠部14nに収容される。したがって、凸部9eは、上側に突出する。本実施形態のハウジング11において、キャップ14は、周壁部14cをハウジング本体12の下側の開口部12bに下側から挿入することで覆う。したがって、凸部9eは、ハウジング本体12の内部空間A側(すなわち、周壁部14cの挿入方向)に突出する。
【0064】
図4は、シール部材9の近傍のハウジング11の部分断面図である。また、
図5は、シール部材9の凸部9eの近傍のハウジング11の部分断面図である。
【0065】
図4に示すように、本実施形態のシール部材9は、ハウジング本体12の下側の開口部12bの内周面12yとキャップ14の凹溝14gの底面14yとの間に挟まれる。これにより、シール部材9は、キャップ14とハウジング本体12との間の隙間を塞ぎ、キャップ14とハウジング本体12との間から水分が浸入することを抑制できる。
【0066】
本実施形態のシール部材9の断面形状は円形であるため、安定した防水性能を発揮できる。しかしながら一方で、シール部材9の断面形状は円形であるため、周壁部14cの挿入時に、ハウジング本体12の開口部12bの内周面12yに擦れて捻じれが生じやすい。
図5に示すように、本実施形態のシール部材9は、周壁部14cの挿入方向に突出する凸部9eを有する。凸部9eは、シール部材9に捻じれが生じようとする場合に、開口部12bの内周面12yに干渉し、シール部材9の捻じれを抑制する。これにより、シール部材9のシール性能の安定性が、高められる。
【0067】
本実施形態によれば、シール部材9の凸部9eは、ハウジング本体12の内部空間A側に突出する。内部空間Aには、防水対象の機材が収容される。本実施形態において、内部空間Aには、モータ40、回路基板70および電子部品73などが配置される。モータ40、回路基板70および電子部品73などの防水対象の機材は、駆動時に発熱する。このため、内部空間A内の温度が高まり、内部空間Aの圧力は、外気圧に対して高まりやすい。結果的に、シール部材9は、開口部12bの内周面12yと凹溝14gの底面14yとの間であって、下側壁14w側に偏って配置され下側壁14wに接触する。本実施形態の下側壁14wには切欠部などが設けられていない。下側壁14wは、周方向に沿って途切れることなく延びる。このため、シール部材9が下側壁14wに接触することで、シール部材9のシール性能が安定する。
【0068】
これに対し、比較例として、シール部材の凸部が、内部空間Aの反対側に突出する場合を想定する。この場合、凹溝の下側壁に切欠部(収容部)が設けられ、凸部がこの切欠部に収容される。シール部材は、下側壁に接触するが、切欠部において下側に撓む。これにより、切欠部においてシール部材が不安定となり、リークの原因となる虞がある。本実施形態のシール部材9は、このような比較例と比較して、安定したシール性能を発揮することができる。
【0069】
シール部材9は、1つの中心に対して対称な円形のOリングではない。すなわち、シール部材9は、凹溝14gに収容されることで円弧状や直線状になるのではなく、成型時に既に、円弧状および直線状となるように成形されている。このため、シール部材9は、第1円弧部9aを第1円弧状壁部14pの凹溝14gに配置し、第2円弧部9bを第2円弧状壁部14qの凹溝14gに配置し、直線部9cを直線壁部14sに配置することで、全長に亘って線径を略一定に保つ。換言すると、シール部材9は、所定の位置から周方向にずれて配置される場合に、線径が不安定となる虞がある。
【0070】
本実施形態によれば、シール部材9の凸部9eは、凹溝14gの側壁(本実施形態において上側壁14v)に設けられる切欠部14nに収容される。これにより、シール部材9は、所定の位置から周方向にずれて配置されることが抑制され、一定の線径を保つことで信頼性の高いシール性能を発揮できる。
【0071】
本実施形態によれば、シール部材9の2つの凸部9eは、第1円弧部9aに配置される。第1円弧部9aは、第2円弧部9bと比較して、円弧中心からの距離が遠いため捻じれが生じやすい。また、第1円弧部9aは、長い領域で緩やかに湾曲するため、第2円弧部9bおよび直線部9cと比較して、位置ずれが生じやすい。このため、凸部9eを第1円弧部9aに凸部を設けることで、シール部材9全体として捻じれ、および位置ずれを解消し易い。
【0072】
なお、凸部9eは第1円弧部9aに配置されることが最も好ましいが、第1円弧部9a側に配置されていれば、上述の一定の効果を得ることができる。ここで、「第1円弧部9a側」についてより具体的に説明する。
図3に、第1円弧部9aと第2円弧部9bとの中心を通過し、第1円弧部9aから第2円弧部9bまで延びる線分VLを図示する。この線分VLの中点Cに対して、第1円弧部9a側に位置する場合に、上述の一定の効果を得ることができる。
【0073】
また、本実施形態のシール部材9の2つの凸部9eは、第1円弧部9aの円弧中心に対して互いに反対側に配置される。これにより、凸部9eが第1円弧部9aの両端部の近傍に配置される。これにより、第1円弧部9aおよび直線部9cの周方向の位置ずれが、より確実に抑制される。
【0074】
図2に示すように、コネクタ部19は、2つのボルト94によってハウジング本体12の外壁部30に取り付けられる。コネクタ部19は、外壁部30に設けられた側面開口部(開口部)30hに挿入され固定される。コネクタ部19は、樹脂製のコネクタハウジング(キャップ)19bと、コネクタハウジング19bの内部に配置される端子19aと、を有する。端子19aは、回路基板70に接続される。コネクタ部19には、外部電源(図示略)が接続される。端子19aは、外部電源から供給される電力を回路基板70に供給する。
【0075】
コネクタハウジング19bは、ハウジング本体12の側面開口部30hを覆う。コネクタハウジング19bは、側面開口部30hの内側面と対向するコネクタ周壁部(周壁部)19cと、コネクタ周壁部19cから外側に延びるフランジ部19fと、を有する。コネクタ周壁部19cと側面開口部30hの内周面との間には、コネクタシール部材(シール部材)8が介在する。すなわち、ハウジング11は、コネクタシール部材8を有する。コネクタシール部材8は、ハウジング11の内部に、水分が浸入することを抑制する。また、フランジ部19fは、コネクタハウジング19bの外壁部30の外側面に接触しボルト固定される。
【0076】
図6は、コネクタ部19およびコネクタシール部材8の斜視図である。
コネクタ周壁部19cは、2つの第3円弧状壁部19pと、2つの直線壁部19sと、を有する。第3円弧状壁部19pは、側面開口部30hの方向開口から見て、半円状に延びる。直線壁部19sは、2つの第3円弧状壁部19pの共通接線に沿って直線状に延びる。一対の直線壁部19sは、2つ第3円弧状壁部19pの端部をそれぞれ繋ぐ。
【0077】
コネクタ周壁部19cの外側を向く面には、コネクタ凹溝(凹溝)19gが設けられる。コネクタ凹溝19gは、周方向に沿って延びる。コネクタ凹溝19gは、コネクタ周壁部19cの外側に開口する。コネクタ凹溝19gには、コネクタシール部材8が収容される。コネクタ凹溝19gは、コネクタシール部材8を囲む第1側壁(側壁)19v、第2側壁(側壁)19w、および底壁19xを有する。第1側壁19vは、コネクタシール部材8に対し、ハウジング本体12の内部空間A側に位置する。第2側壁19wは、コネクタシール部材8に対し、内部空間Aの反対側に位置する。第1側壁19vと第2側壁19wは、互いに対向する。底壁19xは、第1側壁19vおよび第2側壁19wを繋ぐ。底壁19xは、コネクタ凹溝19gの開口側を向く底面19yを有する。
【0078】
第1側壁19vには、1つのコネクタ切欠部(収容部)19nが設けられる。コネクタ切欠部19nは、2つの直線壁部19sのうち一方の直線壁部19sに位置する。
【0079】
コネクタシール部材8は、環状である。コネクタシール部材8の断面形状は円形である。コネクタシール部材8は、合成ゴム、又はエラストマー樹脂などの弾性材料から構成される。コネクタシール部材8は、一対の第3円弧部8aと、一対の直線部8cと、を有する。
【0080】
第3円弧部8aは、第3の曲率半径R3で半円状に延びる。第3円弧部8aは、コネクタ周壁部19cの第3円弧状壁部19pに設けられるコネクタ凹溝19gに収容される。
【0081】
直線部8cは、一対の第3円弧部8aの共通接線に沿って直線状に延びる。一対の直線部8cは、一対の第3円弧部8aの端部をそれぞれ繋ぐ。直線部8cは、直線壁部19sに設けられるコネクタ凹溝19gに収容される。
【0082】
コネクタシール部材8は、1つの凸部8eを有する。凸部8eは、コネクタ凹溝19gのコネクタ切欠部19nに収容される。したがって、凸部8eは、ハウジング本体12の内部空間A側に突出する。
【0083】
本実施形態によれば、コネクタシール部材8は、コネクタ周壁部19cに設けられるコネクタ凹溝19gに収容され、側面開口部30hの内周面とコネクタ凹溝19gの底面19yとの間に挟まれる。コネクタシール部材8は、コネクタシール部材8とハウジング本体12との間の隙間を塞ぎ、コネクタシール部材8とハウジング本体12との間から水分が浸入することを抑制できる。
【0084】
本実施形態のコネクタシール部材8は、コネクタ周壁部19cの挿入方向に突出する凸部8eを有する。凸部8eは、コネクタシール部材8に捻じれが生じようとする場合に、側面開口部30hの内周面に干渉し、コネクタシール部材8の捻じれを抑制する。これにより、コネクタシール部材8のシール性能の安定性が、高められる。
【0085】
本実施形態によれば、コネクタシール部材8の凸部8eは、ハウジング本体12の内部空間A側に突出する。このため、コネクタシール部材8は、側面開口部30hの内周面とコネクタ凹溝19gの底面19yとの間であって、第2側壁19w側に偏って配置され第2側壁19wに接触しコネクタシール部材8が安定する。これにより、コネクタシール部材8のシール性能の安定性が、高められる。
【0086】
本実施形態によれば、コネクタシール部材8の凸部8eは、コネクタ凹溝19gの側壁(本実施形態において第1側壁19v)に設けられるコネクタ切欠部19nに収容される。これにより、コネクタシール部材8は、所定の位置から周方向にずれて配置されることが抑制され、一定の線径を保つことで信頼性の高いシール性能を発揮できる。
【0087】
本実施形態によれば、コネクタシール部材8の凸部8eは、直線部8cに配置される。より具体的には、凸部8eは、直線部8cの長さ方向中央に位置する。本実施形態によれば、2つの対称形状の第3円弧部8aのコネクタ凹溝19g内での周方向位置を1つの凸部8eによって安定させることができる。本実施形態のコネクタシール部材8によれば、1つの凸部8eによってコネクタシール部材8の位置を安定させることができるため、凸部8eの数を抑制することができる。本実施形態のコネクタシール部材8は、容易に成形することができる。
【0088】
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0089】
例えば、上述の実施形態において、コネクタシール部材8およびシール部材9の凸部8e、9eを収容する収容部は、切欠部である。しかしながら、収容部は、凸部8e、9eを収容して、コネクタシール部材8およびシール部材9が凹溝内で周方向に移動することを抑制できるものであれば、上述の実施形態に限定されない。
【0090】
本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されず、車両以外に搭載されてもよい。また、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0091】
8…コネクタシール部材(シール部材)、8a…第3円弧部、8c,9c…直線部、8e,9e…凸部、9…シール部材、9a…第1円弧部、9b…第2円弧部、10…電動アクチュエータ、11…ハウジング(防水ハウジング)、12…ハウジング本体、12a,12b、12y…内周面、14…キャップ、14c…周壁部、14g…凹溝、14n…切欠部(収容部)、14v…上側壁(側壁)、14w…下側壁(側壁)、14y,19y…底面、19b…コネクタハウジング(キャップ)、19c…コネクタ周壁部(周壁部)、19g…コネクタ凹溝(凹溝)、19n…コネクタ切欠部(収容部)、19v…第1側壁(側壁)、19w…第2側壁(側壁)、30h…側面開口部(開口部)、40…モータ、A…内部空間、R1…第1の曲率半径、R2…第2の曲率半径、R3…第3の曲率半径