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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053895
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】通報システム、シートおよび車両
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20220330BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20220330BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20220330BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
G08B25/04 E
B60N2/90
A47C7/62 Z
G08B21/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020160781
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】相馬 まりえ
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
3B084JA03
3B084JA06
3B084JC01
3B084JC04
3B087DE08
3B087DE09
5C086AA26
5C086BA22
5C086CA15
5C086CA23
5C086CB40
5C086GA02
5C087AA02
5C087AA51
5C087BB02
5C087BB18
5C087DD05
5C087DD14
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG35
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】着座者が緊急時に秘密裏に通報を行うことができる通報システム、通報システムを備えるシートおよび車両を提供する。
【解決手段】通報システム1は、シート本体S0と、シート本体S0に設けられ、シート本体S0に座っている着座者の動作を検出するための情報を取得するセンサ(圧力センサPS1~PS6)と、センサから取得した情報に基づいて着座者が所定動作をしたか否かを判定し、着座者が所定動作をしたと判定したことを条件として、警備システム2に信号を出力する信号出力装置100とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体と、
前記シート本体に設けられ、前記シート本体に座っている着座者の動作を検出するための情報を取得するセンサと、
前記センサから取得した情報に基づいて着座者が所定動作をしたか否かを判定し、着座者が前記所定動作をしたと判定したことを条件として、警備システムに信号を出力する信号出力装置と、を備えることを特徴とする通報システム。
【請求項2】
前記センサは、圧力値を取得する圧力センサを含み、
前記信号出力装置は、前記圧力センサから取得した圧力値の変化に基づいて着座者が前記所定動作をしたか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の通報システム。
【請求項3】
前記圧力センサは、前記シート本体の第1の位置に配置された第1圧力センサと、前記シート本体の第2の位置に配置された第2圧力センサと、を含み、
前記信号出力装置は、所定時間継続して、前記第1圧力センサの圧力値が小さくなり、前記第2圧力センサの圧力値が大きくなった場合に、着座者が前記所定動作をしたと判定することを特徴とする請求項2に記載の通報システム。
【請求項4】
前記シート本体は、シートクッションを含み、
前記シート本体の前記第1の位置は、前記シートクッションの、着座者の左の大腿部に対応する位置であり、
前記シート本体の前記第2の位置は、前記シートクッションの、着座者の右の大腿部に対応する位置であることを特徴とする請求項3に記載の通報システム。
【請求項5】
前記信号出力装置は、着座者が所定の姿勢を所定時間継続した場合に、着座者が前記所定動作をしたと判定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の通報システム。
【請求項6】
前記シート本体に設けられた振動発生装置を備え、
前記信号出力装置は、着座者が前記所定動作をしたと判定した場合、前記信号を出力する前に、前記振動発生装置を駆動させて前記シート本体の少なくとも一部を振動させることを特徴とする請求項5に記載の通報システム。
【請求項7】
前記信号出力装置は、
着座者が前記所定動作をしたと判定して前記振動発生装置を駆動させてから第2の所定時間が経過する前に着座者が前記所定の姿勢をやめた場合は、前記信号として、第1の信号を出力し、
前記第2の所定時間が経過するまで着座者が前記所定の姿勢を継続した場合は、前記信号として、前記第1の信号よりも緊急度が高い第2の信号を出力することを特徴とする請求項6に記載の通報システム。
【請求項8】
前記信号出力装置は、前記第2の所定時間が経過するまで着座者が前記所定の姿勢を継続した場合は、前記振動発生装置を停止させて振動を停止させ、再度、前記振動発生装置を駆動させることを特徴とする請求項7に記載の通報システム。
【請求項9】
着座者による操作が可能な操作装置を備え、
前記信号出力装置は、着座者が前記所定動作をしたと判定して前記振動発生装置を駆動させた後、前記信号を出力する前に、前記操作装置が操作された場合、前記信号を出力しないことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の通報システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の通報システムを備えることを特徴とするシート。
【請求項11】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の通報システムを備えることを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備システムに信号を出力する通報システム、通報システムを備えるシートおよび車両に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、シート本体と、シート本体に設けられ、シート本体に座っている着座者の動作を検出するための情報を取得するセンサとを備えるシートを利用したシステムを種々提案している(例えば、特許文献1-4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-151251号公報
【特許文献2】特開2019-151252号公報
【特許文献3】特開2019-153135号公報
【特許文献4】特開2020-083214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、前記したシートを利用した新たなシステムを提案するものである。具体的には、前記したシートを利用して、着座者が緊急時に秘密裏に通報を行うことができるシステムを提案するものである。補足すると、従来、着座者、例えば、運転席に座るタクシーの運転手や、椅子に座って銀行の窓口業務を担当する職員などは、迷惑な客や犯罪者などに遭遇した場合、無線や携帯電話を使って通報をしたり、カウンターの下に設けられた押しボタンなどを操作して通報をしたりする必要がある。そのため、通報を行うことを相手に簡単に気付かれてしまい、状況を悪化させるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、着座者が緊急時に秘密裏に通報を行うことができる通報システム、シートおよび車両を提供することを目的とする。
また、着座者にこれから通報を行うことを知らせることを目的とする。
また、緊急度に応じた通報を行うことを目的とする。
また、着座者に緊急度が高い通報をすることを知らせることを目的とする。
また、誤通報を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するための通報システムは、シート本体と、前記シート本体に設けられ、前記シート本体に座っている着座者の動作を検出するための情報を取得するセンサと、前記センサから取得した情報に基づいて着座者が所定動作をしたか否かを判定し、着座者が前記所定動作をしたと判定したことを条件として、警備システムに信号を出力する信号出力装置と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、シート本体に座っている着座者がシート本体上で所定動作をすることで警備システムに信号を出力することができる。これにより、着座者が緊急時に秘密裏に通報を行うことができる。
【0008】
前記した通報システムにおいて、前記センサは、圧力値を取得する圧力センサを含み、前記信号出力装置は、前記圧力センサから取得した圧力値の変化に基づいて着座者が前記所定動作をしたか否かを判定する構成とすることができる。
【0009】
前記した通報システムにおいて、前記圧力センサは、前記シート本体の第1の位置に配置された第1圧力センサと、前記シート本体の第2の位置に配置された第2圧力センサと、を含み、前記信号出力装置は、所定時間継続して、前記第1圧力センサの圧力値が小さくなり、前記第2圧力センサの圧力値が大きくなった場合に、着座者が前記所定動作をしたと判定する構成とすることができる。
【0010】
前記した通報システムにおいて、前記シート本体は、シートクッションを含み、前記シート本体の前記第1の位置は、前記シートクッションの、着座者の左の大腿部に対応する位置であり、前記シート本体の前記第2の位置は、前記シートクッションの、着座者の右の大腿部に対応する位置である構成とすることができる。
【0011】
これによれば、着座者が身体を右に傾け、左の大腿部をシートクッションの座面部から浮かせるような姿勢を継続してとることで、通報を行うことができる。
【0012】
前記した通報システムにおいて、前記信号出力装置は、着座者が所定の姿勢を所定時間継続した場合に、着座者が前記所定動作をしたと判定する構成とすることができる。
【0013】
前記した通報システムは、前記シート本体に設けられた振動発生装置を備え、前記信号出力装置は、着座者が前記所定動作をしたと判定した場合、前記信号を出力する前に、前記振動発生装置を駆動させて前記シート本体の少なくとも一部を振動させる構成とすることができる。
【0014】
これによれば、振動により着座者にこれから信号を出力することを知らせることができる。これにより、着座者にこれから通報を行うことを知らせることができる。
【0015】
前記した通報システムにおいて、前記信号出力装置は、着座者が前記所定動作をしたと判定して前記振動発生装置を駆動させてから第2の所定時間が経過する前に着座者が前記所定の姿勢をやめた場合は、前記信号として、第1の信号を出力し、前記第2の所定時間が経過するまで着座者が前記所定の姿勢を継続した場合は、前記信号として、前記第1の信号よりも緊急度が高い第2の信号を出力する構成とすることができる。
【0016】
これによれば、着座者の動作に応じて緊急度の異なる信号を出力することができる。これにより、緊急度に応じた通報を行うことができる。
【0017】
前記した通報システムにおいて、前記信号出力装置は、前記第2の所定時間が経過するまで着座者が前記所定の姿勢を継続した場合は、前記振動発生装置を停止させて振動を停止させ、再度、前記振動発生装置を駆動させる構成とすることができる。
【0018】
これによれば、第2の信号を出力する場合に、振動を一旦停止させ、その後に再度振動させることができるので、着座者に第2の信号の出力を知らせることができる。これにより、着座者に緊急度が高い通報をすることを知らせることができる。
【0019】
前記した通報システムは、着座者による操作が可能な操作装置を備え、前記信号出力装置は、着座者が前記所定動作をしたと判定して前記振動発生装置を駆動させた後、前記信号を出力する前に、前記操作装置が操作された場合、前記信号を出力しない構成とすることができる。
【0020】
これによれば、信号が誤って出力されるのを防止することができるので、誤通報を防止することができる。
【0021】
また、前記した目的を達成するためのシートは、前記した通報システムを備えることを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、着座者が緊急時に秘密裏に通報を行うことができる。
【0023】
また、前記した目的を達成するための車両は、前記した通報システムを備えることを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、着座者が緊急時に秘密裏に通報を行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、着座者が緊急時に秘密裏に通報を行うことができる。
【0026】
また、信号を出力する前にシート本体の少なくとも一部を振動させることで、着座者にこれから通報を行うことを知らせることができる。
【0027】
また、着座者が所定動作をしたと判定した後、着座者が所定の姿勢をやめた場合に第1の信号を出力し、着座者が所定の姿勢を継続した場合に緊急度が高い第2の信号を出力することで、緊急度に応じた通報を行うことができる。
【0028】
また、着座者が所定の姿勢を継続した場合に一旦振動を停止させ、再度振動させることで、着座者に緊急度が高い通報をすることを知らせることができる。
【0029】
また、着座者が前記所定動作をしたと判定して振動を発生させた後、信号を出力する前に、操作装置が操作された場合に信号を出力しないことで、誤通報を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施形態に係る通報システムの全体構成を示す図である。
図2】通報システムを備える車両を示す図である。
図3】通報システムのブロック図である。
図4】信号出力装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図5】変形例に係る通報システムを備えるシートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、シート本体に座る着座者から見た、前後、左右、上下を基準とする。
【0032】
図1に示すように、本実施形態の通報システム1は、シート本体S0と、複数の圧力センサPS1~PS6と、振動発生装置30と、操作装置の一例としてのキャンセルボタン40と、信号出力装置100とを備える。
【0033】
シート本体S0は、着座者が座る部分であり、シートSを構成する。シートSは、少なくとも、シート本体S0と、圧力センサPS1~PS6と、振動発生装置30とを備える。図2に示すように、本実施形態のシートSは、車両CRに搭載される車両用シートとして構成されている。言い換えると、車両CRは、シート本体S0、圧力センサPS1~PS6(図1参照)および信号出力装置100を含む通報システム1を備える。車両CRは、例えば、タクシーであり、シートSは、タクシーの運転席として構成されている。また、シートSは、通報システム1を備える。
【0034】
図1に戻り、シート本体S0は、シートクッションS1を含む。詳しくは、シート本体S0は、シートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを有する。シートクッションS1、シートバックS2およびヘッドレストS3は、それぞれ、図示しないフレームにパッドと表皮を被せることで構成されている。
【0035】
圧力センサPS1~PS6は、シート本体S0に座っている着座者の動作を検出するための情報、具体的には、圧力の測定値(以下、「圧力値」ともいう。)を取得するセンサである。圧力センサPS1~PS6は、シートクッションS1の表皮の下に設けられ、圧力センサPS4~PS6は、シートバックS2の表皮の下に設けられている。すなわち、シート本体S0には、センサが設けられており、このセンサは、圧力センサPS1~PS6を含む。各圧力センサPS1~PS6は、シート本体S0の左右の中心に対して左右対称に一対ずつ設けられている。
【0036】
圧力センサPS1,PS2は、シートクッションS1の後部、具体的には、着座者の臀部に対応する位置に配置されている。詳しくは、圧力センサPS1は、着座者からの荷重が最も大きくかかる着座者の坐骨の最下部の下の位置に配置され、圧力センサPS2は、圧力センサPS1の少し前の位置に配置されている。圧力センサPS1,PS2は、着座者の臀部からの圧力の測定値を取得する。
【0037】
圧力センサPS3は、圧力センサPS1,PS2から前方に離れた位置、具体的には、着座者の大腿部に対応する位置に配置されている。詳しくは、圧力センサPS3は、着座者の大腿部の下の位置に配置されている。圧力センサPS3は、着座者の大腿部からの圧力の測定値を取得する。
【0038】
圧力センサPS4,PS5は、シートバックS2の下部、具体的には、着座者の腰部に対応する位置に配置されている。詳しくは、圧力センサPS4は、着座者の腰部の後ろの位置に配置され、圧力センサPS5は、圧力センサPS4の少し上の位置に配置されている。圧力センサPS4,PS5は、着座者の腰部からの圧力の測定値を取得する。
【0039】
圧力センサPS6は、圧力センサPS4,PS5から上方に離れた位置、具体的には、着座者の背中の上部に対応する位置に配置されている。詳しくは、圧力センサPS6は、着座者の背中の上部の後ろの位置に配置されている。圧力センサPS6は、着座者の背中の上部からの圧力の測定値を取得する。
【0040】
本実施形態において、左の圧力センサPS3は、「シート本体の第1の位置に配置された第1圧力センサ」に相当し、右の圧力センサPS3は、「シート本体の第2の位置に配置された第2圧力センサ」に相当する。すなわち、圧力センサPS1~PS6は、第1圧力センサとしての左の圧力センサPS3と、第2圧力センサとしての右の圧力センサPS3とを含む。
【0041】
また、本実施形態において、「シート本体の第1の位置」は、シートクッションS1の、着座者の左の大腿部に対応する位置であり、「シート本体の第2の位置」は、シートクッションS1の、着座者の右の大腿部に対応する位置である。詳しくは、「シート本体の第1の位置」は、シートクッションS1における、着座者の左の大腿部の下の位置であり、「シート本体の第2の位置」は、シートクッションS1における、着座者の右の大腿部の下の位置である。
【0042】
振動発生装置30は、シート本体S0に設けられており、駆動したときにシート本体S0の一部を振動させる。本実施形態において、振動発生装置30は、シートクッションS1の内部であって、シートクッションS1の左右の中心に対して右に寄った位置に設けられている。これにより、振動発生装置30は、駆動したときにシートクッションS1の座面部の右寄りの部分を振動させる。具体的には、振動発生装置30は、シートクッションS1の座面部のうち、着座者の右の大腿部に対応する部分付近を振動させる。
【0043】
キャンセルボタン40は、例えば、押しボタンであり、着座者による操作が可能である。キャンセルボタン40は、着座者(車両CRの運転手)が操作可能な任意の位置に設けられている。例えば、キャンセルボタン40は、シート本体S0に設けることができる。具体的には、シートクッションS1の右または左の側面部などに設けることができる。
【0044】
また、キャンセルボタン40は、シート本体S0以外に設けてもよい。具体的には、車両CRのインストルメントパネルやセンターコンソール、ステアリング、ドアなどに設けてもよい。また、信号出力装置100が、シート本体S0の外に設けられている場合には、キャンセルボタン40を信号出力装置100に設けてもよい。
【0045】
信号出力装置100は、圧力センサPS1~PS6から取得した情報に基づいて着座者が所定動作をしたか否かを判定し、着座者が所定動作をしたと判定したことを条件として、警備システム2に信号を出力する。
【0046】
信号出力装置100は、圧力センサPS1~PS6と、無線または有線の通信により、圧力値を取得可能に接続されている。また、信号出力装置100は、振動発生装置30およびキャンセルボタン40と、無線または有線の通信により通信可能に接続されている。信号出力装置100は、通報システム1の外に設けられた警備システム2と、インターネットなどのネットワークNを介して通信可能に接続されている。
【0047】
図3に示すように、信号出力装置100は、圧力値取得部110と、動作判定部120と、信号出力部130と、記憶部190とを有している。
【0048】
圧力値取得部110は、圧力センサPS1~PS6から、一定の制御サイクルごとに圧力値を取得する機能を有する。圧力値取得部110が取得した圧力値は、適宜記憶部190に記憶され、動作判定部120で利用される。記憶部190は、圧力値のほか、計算や処理などに必要なデータを記憶している。
【0049】
動作判定部120は、圧力値取得部110が圧力センサPS1~PS6から取得した圧力値の変化に基づいて着座者が所定動作をしたか否かを判定する機能を有する。本実施形態において、動作判定部120は、着座者が所定の姿勢を所定時間継続した場合に、着座者が所定動作をしたと判定する。
【0050】
詳しくは、動作判定部120は、所定時間T1の間、継続して、左の圧力センサPS3の圧力値P3が小さくなり、右の圧力センサPS3の圧力値P3が大きくなった場合に、着座者が所定動作をしたと判定する。具体的には、動作判定部120は、圧力値P3が第1閾値P3th以下となり、かつ、圧力値P3が第2閾値P3th以上となってから、所定時間T1が経過した場合に、着座者が所定動作をしたと判定する。
【0051】
この場合における「所定の姿勢」とは、着座者の身体が少し右に傾き、左の大腿部がシートクッションS1の座面部から浮くような姿勢である。このような姿勢は、着座者(車両CRの運転手)が後部座席や左の助手席の相手から離れようとする際(逃げようとする際)に自然にとることができる。この姿勢をとることにより、着座者の左の大腿部からの圧力値を取得する左の圧力センサPS3の圧力値P3が小さくなり、右に体重がかかるので、着座者の右の大腿部からの圧力値を取得する右の圧力センサPS3の圧力値P3が大きくなる。
【0052】
信号出力部130は、動作判定部120が着座者が所定動作をしたと判定したことを条件として、警備システム2に信号を出力する機能を有する。また、信号出力部130は、信号出力装置100における処理(信号の出力)の状況を着座者に伝えるため、振動発生装置30の駆動と停止を制御する機能を有する。
【0053】
詳しくは、信号出力部130は、動作判定部120が着座者が所定動作をしたと判定した場合、警備システム2に信号を出力する前に、まず、振動発生装置30を駆動させる。これにより、シート本体S0の一部、具体的には、シートクッションS1の座面部のうち、着座者の右の大腿部に対応する部分付近を振動させる。
【0054】
その後、信号出力部130は、動作判定部120が着座者が所定動作をしたと判定して振動発生装置30を駆動させてから第2の所定時間T2が経過する前に着座者が前述した所定の姿勢をやめた場合は、警備システム2に、信号として、第1の信号を出力する。なお、所定の姿勢をやめるとは、例えば、左脚を下ろして通常の着座姿勢(自然な着座姿勢)に戻った場合などである。
【0055】
信号出力部130は、警備システム2に第1の信号を出力した後、振動発生装置30を停止させる。これにより、シート本体S0の振動を停止させることができる。
【0056】
また、信号出力部130は、動作判定部120が着座者が所定動作をしたと判定して振動発生装置30を駆動させてから第2の所定時間T2が経過するまで着座者が所定の姿勢を継続した場合は、警備システム2に、信号として、第1の信号よりも緊急度が高い第2の信号を出力する。
【0057】
信号出力部130は、第2の所定時間T2が経過するまで着座者が所定の姿勢を継続した場合は、警備システム2に第2の信号を出力する前に、振動発生装置30を停止させる。そして、信号出力部130は、警備システム2に第2の信号を出力した後、再度、振動発生装置30を駆動させる。なお、信号出力部130は、再度、振動発生装置30を駆動させてから第3の所定時間T3が経過した場合、振動発生装置30を停止させる。
【0058】
本実施形態において、信号出力部130は、動作判定部120が着座者が所定動作をしたと判定して振動発生装置30を駆動させた後、警備システム2に信号(第1の信号および第2の信号)を出力する前に、キャンセルボタン40が操作された場合、警備システム2に信号を出力しない。具体的には、信号出力部130は、動作判定部120が着座者が所定動作をしたと判定して振動発生装置30を駆動させた後、第2の所定時間T2内にキャンセルボタン40が押された場合、警備システム2に信号を出力しない。
【0059】
なお、図1などでは、信号出力装置100が、シート本体S0の外に設けられている状態を図示したが、信号出力装置100は、シート本体S0の内部に設けられていてもよい。また、信号出力装置100は、一部がシート本体S0の内部に設けられ、残りの一部がシート本体S0の外に設けられていてもよい。
【0060】
警備システム2は、警戒・防備のためのシステムであり、例えば、車両CR(タクシー)に搭載されている警備システム、タクシー会社の警備システム、警備会社の警備システム、警察機関の警備システムなどを含む。また、信号出力装置100が出力する信号の出力先としての警備システム2は、1つではなく、複数であってもよい。すなわち、信号出力装置100は、第1の信号を第1の警備システムに出力し、第2の信号を第1の警備システムとは異なる第2の警備システムに出力する構成であってもよい。
【0061】
次に、信号出力装置100が信号を出力する場合の状況、信号の出力先、警備システム2が信号を受信した場合の対応の例について説明する。なお、信号出力装置100が第2の信号を出力する場面は、後述するように、着座者(タクシーの運転手)が客から暴行を受けたり、強盗などに遭遇したりする場面のような、着座者の生命、身体に差し迫った危険がある場面と言える。そのため、第2の信号は、第1の信号よりも緊急度が高い信号ということができる。
【0062】
(例1)
着座者は、酔客などを乗せてからまれた場合、信号出力装置100から第1の信号を出力させることができる。そして、この例では、第1の信号は、警備会社の警備システム2に出力され、警備会社の警備システム2は、第1の信号を受信すると、警備員の出動を要請する。
【0063】
また、着座者は、客が暴れて暴行を働いたり、強盗に遭遇したりした場合、信号出力装置100から第2の信号を出力させることができる。そして、この例では、第2の信号は、警察機関の警備システム2に出力され、警察機関の警備システム2は、警察官の出動を要請する。この例では、第1の信号および第2の信号は、救助を要請する信号といえる。
【0064】
(例2)
着座者が酔客などを乗せてからまれて、信号出力装置100から第1の信号を出力させた場合、この例では、第1の信号は、タクシー会社の警備システム2に出力される。そして、タクシー会社の警備システム2は、待機しているオペレータが車両CR内のカメラの映像や音声を第三者としてモニターできるようにする。この例では、第1の信号は、警戒のレベルを上げる信号といえる。
【0065】
また、客が暴れて暴行を働いたり、強盗に遭遇したりして、着座者が、信号出力装置100から第2の信号を出力させた場合、この例では、第2の信号は、警備会社や警察機関の警備システム2に出力される。そして、警備会社や警察機関の警備システム2は、警備員や警察官の出動を要請する。
【0066】
(例3)
着座者が酔客などを乗せてからまれて、信号出力装置100から第1の信号を出力させた場合、この例では、第1の信号は、車両CRの警備システム2に出力される。そして、車両CRの警備システム2は、車両CR内のカメラの映像や音声の保存を開始する。
【0067】
また、客が暴れて暴行を働いたり、強盗に遭遇したりして、着座者が、信号出力装置100から第2の信号を出力させた場合、この例では、第2の信号は、車両CRの警備システム2に出力させる。そして、車両CRの警備システム2は、車両CR内のカメラの映像や音声の保存を開始するとともに、車両CRに設けられた外部から視認可能な電光表示パネルなどに「警察に通報してください」というようなメッセージを表示する。
【0068】
次に、信号出力装置100の処理の一例について、図4のフローチャートを参照して説明する。
図4に示すように、信号出力装置100は、左の圧力センサPS3の圧力値P3が第1閾値P3th以下となったか否かを判定する(S11)。圧力値P3が第1閾値P3th以下となった場合(S11,Yes)、信号出力装置100は、右の圧力センサPS3の圧力値P3が第2閾値P3th以上となったか否かを判定する(S12)。
【0069】
圧力値P3が第2閾値P3th以上となった場合(S12,Yes)、信号出力装置100は、圧力値P3が第1閾値P3th以下、かつ、圧力値P3が第2閾値P3th以上となってから所定時間T1が経過したか否かを判定する(S13)。所定時間T1が経過していない場合(S13,No)、信号出力装置100は、ステップS11の処理に戻る。所定時間T1が経過した場合(S13,Yes)、信号出力装置100は、着座者が所定動作をしたと判定し、振動発生装置30を駆動させてシート本体S0を振動させる(振動ON)(S21)。
【0070】
なお、ステップS11において、圧力値P3が第1閾値P3thより大きい場合(S11,No)、または、ステップS12において、圧力値P3が第2閾値P3thより小さい場合(S12,No)、信号出力装置100は、処理を終了する。
【0071】
ステップS21において、振動ON後、信号出力装置100は、キャンセルボタン40が押されたか否かを判定する(S22)。キャンセルボタン40が押された場合(S22,Yes)、信号出力装置100は、振動発生装置30を停止させて振動を停止させ(振動OFF)(S52)、処理を終了する。
【0072】
キャンセルボタン40が押されていない場合(S22,No)、信号出力装置100は、振動ONとなってから第2の所定時間T2が経過したか否かを判定する(S23)。第2の所定時間T2が経過していない場合(S23,No)、信号出力装置100は、圧力値P3が第1閾値P3th以下であるか否かを判定する(S24)。圧力値P3が第1閾値P3th以下である場合(S24,Yes)、信号出力装置100は、圧力値P3が第2閾値P3th以上であるか否かを判定する(S25)。圧力値P3が第2閾値P3th以上である場合(S25,Yes)、信号出力装置100は、ステップS22の処理に戻る。
【0073】
ステップS24において、圧力値P3が第1閾値P3th以下でない場合(S24,No)、または、ステップS25において、圧力値P3が第2閾値P3th以上でない場合(S25,No)、信号出力装置100は、警備システム2に第1の信号を出力する(S31)。その後、信号出力装置100は、振動発生装置30を停止させ(S52)、処理を終了する。
【0074】
一方、ステップS23において、振動ONとなってから第2の所定時間T2が経過した場合(S23,Yes)、信号出力装置100は、振動発生装置30を停止させる(S41)。その後、信号出力装置100は、警備システム2に第2の信号を出力する(S42)。第2の信号を出力した後、信号出力装置100は、再び振動発生装置30を駆動させる(S43)。
【0075】
その後、信号出力装置100は、再び振動ONとなってから第3の所定時間T3が経過したか否かを判定する(S51)。そして、第3の所定時間T3が経過した場合(S51,Yes)、信号出力装置100は、振動発生装置30を停止させ(S52)、処理を終了する。
【0076】
以上説明した本実施形態によれば、シート本体S0に座っている着座者がシート本体S0上で所定動作をすることで警備システム2に信号を出力することができる。これにより、着座者が緊急時に、例えば、無線や携帯電話を使って通報をしたり、押しボタンなどを操作して通報をしたりすることなく、秘密裏に通報を行うことができる。
【0077】
また、信号出力装置100は、所定時間T1の間、継続して、左の圧力センサPS3の圧力値P3が小さくなり、右の圧力センサPS3の圧力値P3が大きくなった場合に、着座者が所定動作をしたと判定するので、着座者が、身体を少し右に傾け、左の大腿部をシートクッションS1の座面部から浮かせるような姿勢を継続してとることで、通報を行うことができる。すなわち、着座者が後部座席などの相手から離れようとする際(逃げようとする際)に自然にとることができる姿勢を継続することで、無理なく、通報を行うことができる。
【0078】
また、信号出力装置100は、着座者が所定動作をしたと判定した場合、信号を出力する前に、シート本体S0の一部を振動させるので、振動により着座者にこれから信号を出力することを知らせることができる。これにより、着座者にこれから通報を行うことを知らせることができる。
【0079】
また、信号出力装置100は、着座者が所定動作をしたと判定した後、着座者が所定の姿勢をやめた場合に第1の信号を出力し、所定の姿勢を継続した場合に第2の信号を出力するので、着座者の動作に応じて緊急度の異なる信号を出力することができる。これにより、着座者の動作によって緊急度に応じた通報を行うことができる。
【0080】
また、信号出力装置100は、着座者が所定の姿勢を継続した場合に一旦振動発生装置30を停止させ、再度振動発生装置30を駆動させるので、第2の信号を出力する場合に、振動を一旦停止させ、その後に再度振動させることができる。詳しくは、信号出力装置100は、第2の信号を出力する場合に、振動を一旦停止させ、第2の信号を出力した後に再度振動させることができる。これにより、着座者に第2の信号の出力、具体的には、第2の信号を出力したことを知らせることができる。これにより、着座者に緊急度が高い通報をすることを知らせることができる。
【0081】
また、信号出力装置100は、着座者が所定動作をしたと判定して振動を発生させた後、信号を出力する前にキャンセルボタン40が押された場合、信号を出力しないので、例えば、圧力センサPS3の故障などによって、信号出力装置100が、着座者が所定動作をしたと誤って判定して振動発生装置30を駆動させてしまった場合に、振動により、着座者が異常に気が付くことができる。これにより、着座者にキャンセルボタン40を操作する動機を与えることができる。そして、その後、着座者が、キャンセルボタン40を操作することで、信号が誤って出力されるのを防止することができる。これにより、誤通報を防止することができる。
【0082】
以上、発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように適宜変形して実施することができる。なお、以下では、前記実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付した上で適宜必要な説明をするものとする。
【0083】
前記実施形態では、通報システム1を備える車両CRとしてタクシーを例示したが、これに限定されない。通報システム1を備える車両CRは、例えば、バスや鉄道などであってもよい。また、通報システム1を備える車両CRは、タクシーやバスなどの乗客を乗せる車両CRに限定されず、自家用車のような乗客を乗せない車両CRであってもよい。また、通報システム1を、車両CR以外の、航空機や船舶などの乗物が備えていてもよい。
【0084】
また、前記実施形態では、通報システム1を備えるシートSとして、車両CRなどの乗物に搭載されるシート(乗物用シート)を例示したが、これに限定されない。例えば、図5に示すように、シートSは、銀行などの金融機関において窓口業務を担当する職員が座る椅子として構成されていてもよい。
【0085】
この形態において、警備システム2は、金融機関の警備システム、警備会社の警備システム、警察機関の警備システムなどを含む。
次に、この形態における、信号出力装置100が信号を出力する場合の、状況、信号の出力先、警備システム2が信号を受信した場合の対応の例について説明する。
【0086】
(例4)
着座者(窓口業務を担当する職員)が、例えば、理不尽なクレームをつける客に対応している場合、着座者は、信号出力装置100から第1の信号を出力させることができる。そして、この例では、第1の信号は、金融機関の警備システム2に出力され、金融機関の警備システム2は、第1の信号を受信すると、そのような客が来ていることを、上長や店舗の責任者などに通報する。これにより、責任者などが、そのような客が来ていることを知ることができ、そのような客にすばやく対応することが可能となる。
【0087】
また、客が暴行を働いたり、強盗に遭遇したりした場合、着座者は、信号出力装置100から第2の信号を出力させることができる。そして、この例では、第2の信号は、警備会社や警察機関の警備システム2に出力され、警備会社や警察機関の警備システム2は、警備員や警察官の出動を要請する。
【0088】
(例5)
強盗に遭遇した場合において、まず、着座者が信号出力装置100から第1の信号を出力するようにしてもよい。この例では、第1の信号は、金融機関の警備システム2に出力され、金融機関の警備システム2は、例えば、非常ベルなどを鳴らす。これにより、強盗が驚いて逃走する効果が期待できる。なお、強盗が逃走しなくて着座者が信号出力装置100から第2の信号を出力させた場合や、最初から着座者が信号出力装置100から第2の信号を出力させた場合は、例4の場合と同様に、警備員や警察官の出動を要請する。
【0089】
シートSが金融機関において窓口業務を担当する職員が座る椅子である場合、キャンセルボタン40は、シート本体S0に設けてもよいし、シート本体S0以外に設けてもよい。キャンセルボタン40をシート本体S0に設ける場合、例えば、シートクッションS1の右または左の側面部や、シートクッションS1の下面部などに設けることができる。また、キャンセルボタン40をシート本体S0以外に設ける場合、例えば、カウンターなどの下に直接設けたり、カウンターなどの上に置いて設けたりすることができる。また、窓口業務において操作する端末の入力機器などに設けてもよいし、当該端末にキャンセルボタンと同様の機能を持たせてもよい。
【0090】
また、前記実施形態では、信号出力装置100は、着座者が所定の姿勢を所定時間継続した場合、すなわち、着座者が動いてある姿勢をとり、その姿勢をしばらくとり続けた場合に、着座者が所定動作をしたと判定する構成であったが、これに限定されない。信号出力装置100は、例えば、着座者が特定の動作をした場合、すなわち、ある動きをした場合に、動作後の姿勢をとり続けなくても、着座者が所定動作をしたと判定する構成であってもよい。
【0091】
一例として、着座者、例えば、銀行などで窓口業務を担当する職員が、前にいる相手の攻撃から逃れるために、後ろへ急に仰け反るような動きをした場合に、信号出力装置100が、着座者が所定動作をしたと判定するようにしてもよい。このような動きは、例えば、図5に示すシートバックS2に設けられた圧力センサPS6の圧力値が急激に大きくなったことを検知することで検出可能である。
【0092】
また、前記実施形態では、シート本体S0がシートクッションS1、シートバックS2およびヘッドレストS3を有していたが、これに限定されない。例えば、図5に示すように、シート本体S0は、ヘッドレストを備えない構成であってもよい。また、シート本体S0は、ヘッドレストとシートバックを備えない構成であってもよい。
【0093】
また、前記実施形態では、信号出力装置100は、第2の信号を出力する場合に、シート本体S0の振動を一旦停止させ、第2の信号を出力した後に再度シート本体S0を振動させる構成であったが、これに限定されない。例えば、信号出力装置は、第2の信号の出力を開始したときに再度シート本体を振動させる構成であってもよい。これによれば、着座者に第2の信号の出力を開始したことを知らせることができる。また、信号出力装置は、第2の信号を出力している途中で再度シート本体を振動させる構成であってもよい。これによれば、着座者に第2の信号が出力中であることを知らせることができる。そして、これらによれば、着座者に緊急度が高い通報をすることを知らせることができる。
【0094】
また、通報システムは、第2の信号を出力する場合に、シート本体を再振動させない構成であってもよい。この構成において、通報システムは、着座者が所定動作をしたと判定して信号を出力する前に開始した振動の停止については、任意のタイミング、例えば、第2の信号を出力する前、第2の信号を出力しているとき、第2の信号を出力した後などで行えばよい。
【0095】
また、前記実施形態では、右ハンドルの車両CRに搭載されるシートSを例に、シート本体の第1の位置を、シートクッションS1の、着座者の左の大腿部に対応する位置とし、シート本体の第2の位置を、シートクッションS1の、着座者の右の大腿部に対応する位置としたが、これに限定されない。例えば、左ハンドルの車両に搭載されるシートの場合、第1の位置と第2の位置は、前記実施形態と左右が逆であってもよい。
【0096】
また、前記実施形態では、着座者が所定動作をしたか否かを、一対の圧力センサPS3(2つのセンサ)を使用して判定したが、これに限定されない。すなわち、センサを1つだけ使用して判定してもよいし、3つ以上のセンサを使用して判定してもよい。
【0097】
例えば、センサを1つだけ使用して判定する場合、圧力センサは、シート本体の所定位置に配置された第3圧力センサを含み、信号出力装置は、所定時間継続して、第3圧力センサの圧力値が圧力閾値以下(または圧力閾値以上)になった場合に、着座者が所定動作をしたと判定するようにしてもよい。一例として、所定位置を着座者の左の大腿部に対応する位置とした場合には、着座者が左の大腿部を上げるような姿勢をとり続けることで、所定時間継続して圧力値が圧力閾値以下となった場合に、着座者が所定動作をしたと判定することができる。所定位置は、着座者の右の大腿部に対応する位置としてもよい。
【0098】
なお、着座者が足を組んだ場合にも、一方の大腿部が上がる姿勢となるが、例えば、車両CRの運転時や、銀行などでの接客時に着座者が足を組むことは考えにくいため、誤通報の可能性は低い。また、前記実施形態のように、キャンセルボタン40によって信号の出力をキャンセルできる機能を持たせることで、誤通報の可能性をさらに低くすることができる。
【0099】
また、前記実施形態では、操作装置として、キャンセルボタン40(押しボタン)を例示したが、これに限定されない。操作装置は、例えば、スナップスイッチやスライドスイッチなどであってもよい。また、操作装置は、タッチパネルなどであってもよい。
【0100】
また、操作装置は、信号の出力をキャンセルできる機能に加え、さらに、信号出力装置のONとOFFを切り替える機能を有していてもよい。詳しくは、操作装置は、その操作によって、信号出力装置の状態を、着座者が所定動作をしたと判定した場合に信号を出力可能なON状態と、信号出力装置の動作を停止させるOFF状態とに切替可能であってもよい。
【0101】
また、通報システムは、操作装置を備えない構成であってもよい。通報システムが操作装置を備えない場合において、信号出力装置は、着座者が所定動作をしたと判定して振動発生装置を駆動させてから第2の所定時間が経過する前に着座者が所定の姿勢をやめた場合は、信号を出力せず、一方で、第2の所定時間が経過するまで着座者が所定の姿勢を継続した場合は、信号を出力する構成とすることもできる。
【0102】
また、通報システムは、信号の出力をキャンセルできる機能を備えない構成であってもよい。
【0103】
また、前記実施形態では、信号出力装置100は、2種類の信号、具体的には、第1の信号と、第1の信号よりも緊急度が高い第2の信号を出力する構成であったが、これに限定されない。信号出力装置は、例えば、着座者が所定動作をしたと判定した場合、警備システムに信号(1種類の信号)を出力する構成であってもよい。この構成においては、例えば、信号出力装置が、警備会社や警察機関の警備システムに信号を出力し、警備システムは、警備員や警察官の出動を要請するようにすることができる。また、この構成においては、信号を出力する前にシート本体を振動させなくてもよい。
【0104】
また、前記実施形態では、振動発生装置30がシートクッションS1に設けられていたが、これに限定されず、振動発生装置は、例えば、シートバックに設けられていてもよいし、シートクッションとシートバックの両方に設けられていてもよい。また、前記実施形態では、振動発生装置30がシート本体S0の一部を振動させるように設けられていたが、これに限定されず、振動発生装置は、例えば、シート本体の全体を振動させるように設けられていてもよい。
【0105】
また、通報システムは、振動発生装置の代わりとなる、信号を出力する前に、信号の出力を着座者に知らせる報知装置を備えていてもよい。このような報知装置としては、映像により信号の出力を知らせるディスプレイ、光により信号の出力を知らせるランプ、音声により信号の出力を知らせるスピーカなどを例示することができる。また、通報システムは、振動発生装置を含む報知装置を備えない構成であってもよい。
【0106】
また、前記実施形態では、センサとして圧力センサPS1~PS6を例示したが、これに限定されず、センサは、例えば、静電容量センサなどであってもよい。また、前記実施形態では、着座者が所定動作をしたか否かを、圧力センサのみ(1種類のセンサ)を使用して判定したが、これに限定されず、2種類以上のセンサ(例えば、圧力センサと静電容量センサ)を使用して判定してもよい。なお、シート本体には、シート本体に座っている着座者の動作を検出するための情報を取得するセンサ以外のセンサが設けられていてもよい。
【0107】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 通報システム
2 警備システム
30 振動発生装置
40 キャンセルボタン
100 信号出力装置
CR 車両
PS1~PS6 圧力センサ
S シート
S0 シート本体
S1 シートクッション
図1
図2
図3
図4
図5