(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054011
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】内視鏡、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/06 20060101AFI20220330BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20220330BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
A61B1/06 612
A61B1/06 531
A61B1/00 513
G02B23/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020160962
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】新島 義之
(72)【発明者】
【氏名】林 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】秋野 縁
(72)【発明者】
【氏名】下田代 真哉
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040BA10
2H040BA11
2H040CA03
2H040DA12
2H040GA02
2H040GA06
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF40
4C161LL02
4C161NN01
4C161QQ02
4C161QQ06
4C161QQ07
4C161QQ09
4C161RR02
4C161RR22
(57)【要約】
【課題】異なる波長範囲の照明光それぞれによる測光値に応じた調光を行うことができる内視鏡等を提供することを目的とする。
【解決手段】内視鏡の光量制御部は、撮像部から出力される観察箇所の撮像データに基づき、互いに異なる波長範囲となる第1光出力部及び第2光出力部の角度範囲それぞれに対応した観察箇所の領域における測光値を導出し、導出した測光値に基づき、第1光出力部及び前記第2光出力部それぞれの光量を導出し、導出した前記光量にて、第1光出力部及び第2光出力部に照明光を出力させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入管の先端部に組み込まれ、対物レンズを介して観察箇所を撮像する撮像部と、
前記対物レンズの周囲に配設され、前記観察箇所を照明する第1の照明光を出力する第1光出力部と、
前記対物レンズの周囲に配設され、前記第1の照明光よりも広い波長範囲にて観察箇所を照明する第2の照明光を、前記第1光出力部よりも大きい角度範囲に出力する第2光出力部と、
前記第1光出力部及び前記第2光出力部が出力する光量を制御する光量制御部とを備え、
前記光量制御部は、
前記撮像部から出力される観察箇所の撮像データに基づき、前記第1光出力部及び前記第2光出力部の角度範囲それぞれに対応した観察箇所の領域における測光値を導出し、
導出した前記測光値に基づき、前記第1光出力部及び前記第2光出力部それぞれの前記光量を導出し、
導出した前記光量にて、前記第1光出力部及び前記第2光出力部に照明光を出力させる
内視鏡。
【請求項2】
前記光量制御部よって測光値が導出される前記第1光出力部の角度範囲に対応した観察箇所の領域は、前記第2光出力部の角度範囲に対応した観察箇所の領域よりも、狭い
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記撮像データは、前記第1の照明光にて照明される観察箇所の第1撮像データと、前記第2の照明光にて照明される観察箇所の第2撮像データとを含み、
前記測光値は、前記第1撮像データに基づき導出する第1測光値と、前記第2撮像データに基づき導出する第2測光値とを含み、
前記光量制御部は、
前記第1測光値に基づき、前記第1光出力部の光量を導出し、
前記第2測光値に基づき、前記第2光出力部の光量を導出する
請求項1又は請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記撮像部より撮像される観察箇所は、区分化された複数の領域を含み、
前記第1光出力部及び前記第2光出力部それぞれは、前記複数の領域に対応して複数個設けられており、
前記光量制御部は、前記複数の領域それぞれにおける測光値を導出し、
導出した前記測光値に基づき、前記複数の領域それぞれに対応する前記第1光出力部及び前記第2光出力部それぞれの光量を導出し、
導出した前記光量にて、前記第1光出力部及び前記第2光出力部に照明光を出力させる
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の内視鏡。
【請求項5】
前記光量制御部は、前記観察箇所の領域において除外域が設定されている場合、前記除外域を除いた領域における測光値を導出する
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の内視鏡。
【請求項6】
前記第2光出力部による第2の照明光の角度範囲は、前記撮像部の視野角以上である
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の内視鏡。
【請求項7】
前記撮像部は、180°以上の視野角を有する
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の内視鏡。
【請求項8】
前記第1の照明光は、狭帯域光であり、前記第2の照明光は、白色光である
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の内視鏡。
【請求項9】
対物レンズの周囲に配設され観察箇所を照明する第1の照明光を出力する第1光出力部、及び前記対物レンズの周囲に配設され前記第1の照明光よりも広い波長範囲にて観察箇所を照明する第2の照明光を前記第1光出力部よりも大きい角度範囲に出力する第2光出力部が出力する光量を制御するコンピュータに、
前記対物レンズを介して観察箇所を撮像する撮像部から出力される観察箇所の撮像データに基づき、前記第1光出力部及び前記第2光出力部の角度範囲それぞれに対応した観察箇所の領域における測光値を導出し、
導出した前記測光値に基づき前記第1光出力部及び前記第2光出力部それぞれの前記光量を導出し、
導出した前記光量にて、前記第1光出力部及び前記第2光出力部に照明光を出力させる
処理を実行させるプログラム。
【請求項10】
対物レンズの周囲に配設され観察箇所を照明する第1の照明光を出力する第1光出力部、及び前記対物レンズの周囲に配設され前記第1の照明光よりも広い波長範囲にて観察箇所を照明する第2の照明光を前記第1光出力部よりも大きい角度範囲に出力する第2光出力部が出力する光量を制御するコンピュータに、
前記対物レンズを介して観察箇所を撮像する撮像部から出力される観察箇所の撮像データに基づき、前記第1光出力部及び前記第2光出力部の角度範囲それぞれに対応した観察箇所の領域における測光値を導出し、
導出した前記測光値に基づき前記第1光出力部及び前記第2光出力部それぞれの前記光量を導出し、
導出した前記光量にて、前記第1光出力部及び前記第2光出力部に照明光を出力させる
処理を実行させる情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、内視鏡、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、被検者の体腔内に挿入することで所望の箇所の観察、処置を可能とする医療用機器であり、体腔内に挿入される挿入管の先端部に組み込まれた撮像部と、該撮像部の撮像視野を照明する照明装置とを備えている。特許文献1には、180°以上の広い角度範囲での照明を実現する照明装置を備え、広視野角での観察を可能とした内視鏡が開示されている。
【0003】
また近年においては、白色光下での観察に加えて、狭帯域光(紫色光、緑色光等)による照明下で得られる画像強調観察を可能とした内視鏡も普及しており、特許文献2には、白色光及び狭帯域光を交互に照射して画像を取得する内視鏡装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-16021号公報
【特許文献2】特開2016-128024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、文献2に記載の内視鏡装置においては、白色光及び狭帯域光それぞれにおける測光値に応じた調光に関する点が考慮されていないという問題点がある。
【0006】
一つの側面では、異なる波長範囲の照明光それぞれによる測光値に応じた調光を行うことができる内視鏡等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様における内視鏡は、挿入管の先端部に組み込まれ、対物レンズを介して観察箇所を撮像する撮像部と、前記対物レンズの周囲に配設され、前記観察箇所を照明する第1の照明光を出力する第1光出力部と、前記対物レンズの周囲に配設され、前記第1の照明光よりも広い波長範囲にて観察箇所を照明する第2の照明光を、前記第1光出力部よりも大きい角度範囲に出力する第2光出力部と、前記第1光出力部及び前記第2光出力部が出力する光量を制御する光量制御部とを備え、前記光量制御部は、前記撮像部から出力される観察箇所の撮像データに基づき、前記第1光出力部及び前記第2光出力部の角度範囲それぞれに対応した観察箇所の領域における測光値を導出し、導出した前記測光値に基づき、前記第1光出力部及び前記第2光出力部それぞれの前記光量を導出し、導出した前記光量にて、前記第1光出力部及び前記第2光出力部に照明光を出力させる。
【0008】
本開示の一態様におけるプログラムは、対物レンズの周囲に配設され観察箇所を照明する第1の照明光を出力する第1光出力部、及び前記対物レンズの周囲に配設され前記第1の照明光よりも広い波長範囲にて観察箇所を照明する第2の照明光を前記第1光出力部よりも大きい角度範囲に出力する第2光出力部が出力する光量を制御するコンピュータに、前記対物レンズを介して観察箇所を撮像する撮像部から出力される観察箇所の撮像データに基づき、前記第1光出力部及び前記第2光出力部の角度範囲それぞれに対応した観察箇所の領域における測光値を導出し、導出した前記測光値に基づき前記第1光出力部及び前記第2光出力部それぞれの前記光量を導出し、導出した前記光量にて、前記第1光出力部及び前記第2光出力部に照明光を出力させる処理を実行させる。
【0009】
本開示の一態様における情報処理方法は、対物レンズの周囲に配設され観察箇所を照明する第1の照明光を出力する第1光出力部、及び前記対物レンズの周囲に配設され前記第1の照明光よりも広い波長範囲にて観察箇所を照明する第2の照明光を前記第1光出力部よりも大きい角度範囲に出力する第2光出力部が出力する光量を制御するコンピュータに、前記対物レンズを介して観察箇所を撮像する撮像部から出力される観察箇所の撮像データに基づき、前記第1光出力部及び前記第2光出力部の角度範囲それぞれに対応した観察箇所の領域における測光値を導出し、導出した前記測光値に基づき前記第1光出力部及び前記第2光出力部それぞれの前記光量を導出し、導出した前記光量にて、前記第1光出力部及び前記第2光出力部に照明光を出力させる処理を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、異なる波長範囲の照明光それぞれによる測光値に応じた調光を行う内視鏡等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】第1のLED(狭帯域光LED)及び第2のLED(白色LED)の配置例を示す平面図である。
【
図5】光量を導出するためのロックアップテーブルの一例を示す説明図である。
【
図6】第1光出力部(狭帯域LED)にて照明した際の観察箇所(測光エリア)を示す説明図である。
【
図7】第2光出力部(白色LED)にて照明した際の観察箇所(測光エリア)を示す説明図である。
【
図8】内視鏡の光量制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態2に係る第2光出力部(白色LED)にて照明した際の観察箇所(測光エリア)を示す説明図である。
【
図10】内視鏡の光量制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、実施形態1に係る内視鏡1の外観図である。内視鏡1は、挿入管2、操作部3、ユニバーサルチューブ4及びコネクタ部5を備えている。挿入管2は、体腔内に挿入される部分であり、長尺の軟性部20と、該軟性部20の一端に湾曲部21を介して連結された先端部22とを備える。軟性部20の他端は、円筒形の連結部23を介して操作部3に連結されている。ユニバーサルチューブ4は、操作部3に一端を連結され挿入管2と異なる向きに延びており、コネクタ部5は、ユニバーサルチューブ4の他端に連設されている。
【0013】
操作部3は、医師等の内視鏡1の使用者(操作者)により把持されて各種の操作を行うために設けてあり、湾曲操作ノブ30、複数の操作ボタン31等を備えている。湾曲操作ノブ30は、連結部23及び軟性部20の内部に通したワイヤ(図示せず)により湾曲部21に連結されている。湾曲部21は、湾曲操作ノブ30の操作により軸断面内で互いに直交する2方向に湾曲し、体腔内に挿入された先端部22の向きが変化する。
【0014】
図2は、挿入管2の先端部22の拡大図である。
図3は、第1のLED71(狭帯域光LED)及び第2のLED72(白色LED)の配置例を示す平面図である。先端部22は、湾曲部21に一側を固定された筒形のハウジング24を備えている。ハウジング24の他側は、中央の対物レンズ25と、該対物レンズ25の周囲を囲う環状の配光レンズ26とによって覆われている。ハウジング24の内部には、対物レンズ25の内側に面して撮像部6が組み込まれている。すなわち、撮像部6は、対物レンズ25を介して体腔等の体内部位である観察物(被写体)を撮像する。対物レンズ25は、挿入管2の先端部22に設けられた孔部の内枠に嵌め込まれており、観察窓として機能する。配光レンズ26の内側に面して照明部7が組み込まれている。
【0015】
撮像部6は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )等の撮像素子と、該撮像素子の撮像面上に結像させるための光学系とを備え、対物レンズ25を通して体腔内を撮像する。対物レンズ25は、例えば広角レンズであり、撮像部6は、対物レンズ25を含む光学系の設定により、180°以上の視野角での撮像が可能となるように構成されている。
図2中の2点鎖線は、撮像部6の撮像視野を示している。撮像部6は、撮像した観察物(被写体)の撮像データ(画像信号)を、受信回路61に出力する。撮像部6が出力した撮像データ(画像信号)は、受信回路61及びゲイン回路62にてAD変換又はホワイトバランス補正等の前処理が行われ、プロセッサ装置10の信号処理回路12に出力される。
【0016】
照明部7は、撮像部6の周囲を囲う環状の基板70と、配光レンズ26に対向する基板70の一面上に実装された第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)とを備える。第1のLED71及び第2のLED72は、夫々複数(図においては8個)設けてあり、第1のLED71は、環状をなす基板70の内周側(撮像部6に近い側)に略等間隔で配置され、第2のLED72は、第1のLED71の並設域の外側に略等間隔で配置されている。
図3中には、撮像部6及び対物レンズ25の位置が2点鎖線により示してある。
【0017】
図2の下半部は、第1のLED71の配設位置における断面を示し、
図2の上半部は、第2のLED72の配設位置における断面を示している。配光レンズ26は、対物レンズ25の周縁部から外向きに広がり、湾曲部分を経てハウジング24の周壁に連続する形状を有する筒状レンズであり、第1のLED71又は第2のLED72の発光は、配光レンズ26を通して出射され、撮像部6の撮像視野を照明する。
【0018】
図2中の破線は、第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)の配光範囲を示している。内側に位置する第1のLED71の発光は、配光レンズ26の広がり部分に入射し、撮像部6の撮像視野の中央部分に集中して配光される。一方、外側に位置する第2のLED72の発光は、配光レンズ26の広がり部分から湾曲部分までの広範囲に入射して大きく広がり、撮像部6の撮像視野の全域に配光される。なお、配光レンズ26の内面には、湾曲部分の近傍に凹部が設けられている。この凹部の作用により、第2のLED72の配光は、第1のLED71の配光に比べて広範囲に照射されるようになる。換言すれば、第2のLED72による光の照射範囲は、第1のLED71による光の照射範囲に比べて広くなっている。すなわち、第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)の配光特性は、第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)の波長範囲(スペクトル帯域幅)に応じて、異なるものとなっている。波長範囲が狭い第1のLED71(狭帯域LED)の照射範囲は、波長範囲が広い第2のLED72(白色LED)の照射範囲よりも、狭くなるように、第1のLED71及び第2のLED72は配置されている。
【0019】
第1のLED71(狭帯域LED)は、紫色、緑色の波長域を含む狭帯域光を発光する。例えば、8個の第1のLED71のうち一つ置きに位置する4個は、緑色光を発光する緑色LEDチップであり、残りの4個は、紫外光を発光する紫色LEDチップであって、これら8個の第1のLED71と配光レンズ26とにより狭帯域光を出力する第1光出力部が構成されている。
【0020】
第2のLED72は、白色の光を発光する白色LEDであり、例えば、青色光を発光する青色LEDチップの発光面を黄色蛍光体により覆って構成される。このような第2のLED72と配光レンズ26とにより白色光を出力する第2光出力部が構成されている。なお第1、第2のLED71、72は、LD等の他の発光素子であってもよい。
【0021】
撮像部6による撮像は、第1光出力部から出力される狭帯域光、又は第2光出力部から出力される白色光による照明下にて実施される。白色光の配光角度は、狭帯域光の配光角度よりも大きく、望ましくは撮像部6の視野角とほぼ等しく、より望ましくは撮像部6の視野角以上としてあり、視野全体で十分な光量下での撮像が可能である。狭帯域光のスペクトルは限定されるが、狭帯域光の配光角度は白色光の配光角度よりも小さいから、狭帯域光の配光範囲は白色光の配光範囲よりも小さく(狭く)なる。従って、当該配光範囲における単位面積あたりの光量(測光量)においては、狭帯域光の配光範囲と、白色光の配光範囲とにおいて、同等の光量下での撮像を可能とすることができる。
【0022】
上述のとおり、第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)は、対物レンズ25を中心とする円周上に設けられている。第2のLED72(白色LED)は、対物レンズ25に対し、第1のLED71(狭帯域LED)よりも外側(外周側)に設けられているため、第2のLED72(白色LED)の配置により形成される円は、第1のLED71(狭帯域LED)の配置により形成される円よりも、大きい。これら第1のLED71及び第2のLED72は、撮像部6により撮像された画像において区分化された複数の領域それぞれに対応して、配置されている。撮像部6により撮像された画像を、例えば、上下左右に4分割した場合、第1のLED71及び第2のLED72は、当該4分割した各領域に対応して配置されている。
【0023】
本実施形態において図示にて例示するとおり、第1のLED71及び第2のLED72が、それぞれ8個設けられている場合、当該画像における右上(エリア1)の領域を主たる配光範囲とするLED(2個の第1のLED71及び、2個の第2のLED72)は、中心角において0°以上かつ45°未満の範囲にて配置されている。また、画像における右下(エリア4)の領域を主たる配光範囲とするLED(2個の第1のLED71及び、2個の第2のLED72)は、中心角において45°以上かつ90未満の範囲にて配置されている。また、画像における左下(エリア3)の領域を主たる配光範囲とするLED(2個の第1のLED71及び、2個の第2のLED72)は、中心角において90°以上かつ270未満の範囲にて配置されている。また、画像における左上(エリア2)の領域を主たる配光範囲とするLED(2個の第1のLED71及び、2個の第2のLED72)は、中心角において270°以上かつ360未満の範囲にて配置されている。このように撮像部6により撮像が複数に分割された各領域に対応して、個々の第1のLED71及び第2のLED72を設けることにより、各領域における測光値に基づき、これら領域それぞれに対応する個々の第1のLED71及び第2のLED72の光量を導出できる。そして、個々の領域において異なる光量にて、個々の第1のLED71及び第2のLED72を制御することができる。本実施形態において、撮像部6により撮像された画像を複数の領域に区分化(分割)するにあたり、当該区分数(分割数)を4個としているが、これに限定されない。区分化された複数の領域の個数(分割数)は、第1のLED71及び第2のLED72のそれぞれの個数(本実施形態では8個)と、同数であってもよい。第1のLED71及び第2のLED72のそれぞれの個数に応じた区分数(分割数)とすることにより、個々の領域において異なる光量にてよりきめ細かに、個々の第1のLED71及び第2のLED72を制御することができる。本実施形態において、撮像部6により撮像された画像を複数の領域に区分化(分割)するにあたり、当該区分数(分割数)は、第1のLED71(狭帯域LED)における区分数と、第2のLED72(白色LED)における区分数とを同数(本実施形態では4個)としているが、これに限定されない。第1のLED71(狭帯域LED)における区分数と、第2のLED72(白色LED)における区分数とは、異なる個数であってもよい。例えば、第2のLED72(白色LED)における区分数を8個とし、第1のLED71(狭帯域LED)における区分数を4個とし、照射範囲の広い第2のLED72(白色LED)における区分数を、照射範囲の狭い第1のLED71(狭帯域LED)における区分数よりも、多い個数とするものであってもよい。
【0024】
図4は、内視鏡1装置のブロック図である。
図5は、光量を導出するためのロックアップテーブルの一例を示す説明図である。内視鏡1は、コネクタ部5を介してプロセッサ装置10に接続し内視鏡1装置として用いられる。プロセッサ装置10は、制御部11、信号処理回路12、静止画処理を行うフリーズ処理部15、及び付加処理回路13等を備えている。これら制御部11、信号処理回路12、フリーズ処理部15、及び付加処理回路13は、内部バスにより通信可能に接続されている。制御部11は、CPU、ROM、RAMを備え、ROMに記憶された制御プログラムに従うCPUの動作により内視鏡1装置を統合制御する。
【0025】
内視鏡1は、撮像部6を駆動する撮像駆動部60及び照明部7を駆動する照明駆動部73を備えている。撮像駆動部60は、制御部11から与えられる制御指令に従ってローリングシャッタ方式で撮像部6を駆動する。撮像駆動部60の出力信号は、受信回路61を経て1フレーム単位でゲイン回路62に与えられ、ホワイトバランス処理等の所定の前処理を行ってプロセッサ装置10の信号処理回路12に撮像データ(画像信号)が出力される。ゲイン回路62の前処理には、撮像駆動部60から与えられるゲイン値が用いられる。
【0026】
照明駆動部73は、制御部11から与えられる制御指令に従って照明部7を駆動し、第1のLED71及び第2のLED72を選択的に、又は交互に発光させる。撮像部6の撮像動作は、照明部7の駆動に同期して実行され、信号処理回路12には、第1のLED71による狭帯域光の照明下、又は第2のLED72による白色光の照射下で得られる画像出力が連続的に、又は交互に入力される。照明部7の動作態様は、操作部3に設けられた操作ボタン31の操作により選択することができる。すなわち、照明部7の動作態様は、第2のLED72(白色LED)を用いた観察モード(白色モード)と、第1のLED71(狭帯域LED)を用いた観察モード(狭帯域モード)とを含む。
【0027】
信号処理回路12は、入力された撮像データ(画像信号)に対し、ガンマ補正、補間処理等の画像処理を行って付加処理回路13に出力する。信号処理回路12は、これら画像処理を行った入力画像を、静止画処理を行うフリーズ処理部15を介して、付加処理回路13に出力するものであってもよい。フリーズ処理部15は、たとえば、DDR RAM(Double Date Rate Random Access Memory)をバッファ領域として用いて、静止画処理を行うものであってもよい。
【0028】
付加処理回路13は、周縁部のマスク処理を行い、また狭帯域光下での画像に対してはズーム処理を行い、更に、各種文字及び画像の重畳処理等により所定の規格に準拠した画像に変換して外部のモニタ14に出力する。なお、狭帯域光下での画像は、ズーム処理を行わすにマスク処理する領域を広げてもよい。モニタ14は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示機器であり、プロセッサ装置10から出力される画像信号に基づいて撮像部6による撮像画像を表示する。内視鏡1の使用者は、モニタ14の表示により体腔内の所望箇所を狭帯域光又は白色光の照明下で観察することができる。
【0029】
内視鏡1は、更に、測光回路81、自動調光制御部82、及び光量制御回路83を含む光量制御部8を備える。光量制御部8は、第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)と同様に基板70に実装されるものであってもよい。
【0030】
光量制御部8は、ゲイン回路62と、プロセッサ装置10の信号処理回路12とを接続する内部バスから分岐された分岐バスにより、ゲイン回路62等と通信可能に接続されている。光量制御部8は、更にプロセッサ装置10の制御部11と内部バスにより通信可能に接続されているものであってもよい。光量制御部8は、ゲイン回路62から出力された撮像データ(画像信号)を取得し、取得した撮像データに基づき、観察箇所における測光値を導出する。光量制御部8は、測光値に基づき、第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)の光量を導出し、導出した光量により第1のLED71及び第2のLED72の光量を制御する。
【0031】
測光値の導出は、測光回路81によって行われる。測光回路81は、例えばFPGA又はASIC等により構成され、ゲイン回路62から出力された撮像データ(画像信号)において、第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)のそれぞれに対応した測光エリアにおける測光値を導出する。上述のとおり、第1のLED71(狭帯域LED)の照射範囲(配光範囲)と、第2のLED72(白色LED)の照射範囲(配光範囲)とは、異なるものとなっている。これら照射範囲(配光範囲)それぞれが、第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)の測光エリアに相当(対応)する。第1のLED71(狭帯域LED)の照射範囲は、第2のLED72(白色LED)の照射範囲よりも小さい(狭い)ため、第1のLED71の測光エリア(第1測光エリア)は、第2のLED72の測光エリア(第2測光エリア)よりも小さい(狭い)ものとなっている。
【0032】
第1のLED71の測光エリア(第1測光エリア)、及び第2のLED72の測光エリア(第2測光エリア)を特定するための領域情報は、例えば、測光回路81を構成するFPGA等に含まれるRAM等のメモリに記憶されている。これら測光エリアの領域情報は、撮像部6により撮像された画像における画像座標系の範囲、又はピクセル番号の範囲等により定義されるものであってもよい。ゲイン回路62から出力された撮像データ(画像信号)が配列形式のデータである場合、測光エリアの領域情報は、配列番号の範囲によって定義されるものであってもよい。
【0033】
測光回路81は、観察モードに基づき、第1のLED71の測光エリア(第1測光エリア)、又は第2のLED72の測光エリア(第2測光エリア)を特定する。測光回路81は、観察モードに基づき第1のLED71及び第2のLED72を駆動する照明駆動部73と連動しており、当該連動によって観察モードを取得ことができる。すなわち、測光回路81は、照明駆動部73と同様に、プロセッサ装置10の制御部11から与えられる制御指令に基づき、観察モードが、第2のLED72(白色LED)を用いた白色モードであるか、第1のLED71(狭帯域LED)を用いた狭帯域モードであるかを、特定する。測光回路81は、観察モードが白色モードの場合、第2のLED72(白色LED)の測光エリア(第2測光エリア)の領域情報を取得する。測光回路81は、観察モードが狭帯域モードの場合、第1のLED71(狭帯域LED)の測光エリア(第1測光エリア)の領域情報を取得する。
【0034】
いずれの観察モードにおいても、照射範囲の外側は、露出が低くなり、画面上は暗褐色となり、観察箇所が明瞭に映し出される領域ではない。これに対し、配光特性が異なる第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)のそれぞれに対応した照射範囲(測光エリア)にて、測光値を導出するため、いずれの場合においても、当該照射範囲(測光エリア)の外側の領域(低露出による暗褐色な領域)を、測光値を導出するための領域から除くことができる。従って、配光特性が異なる第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)の照射範囲(配光特性)に応じて、適切な測光値を導出することができる。
【0035】
測光回路81は、これら測光エリアにおける測光値を導出するにあたり、当該測光エリアの全体における測光値の平均値(平均測光値)を導出するものであってもよい。平均測光値を導出することにより、画像(内視鏡画像)全体の明るさが一定になるように制御することができる。又は、測光回路81は、当該測光エリアの全体における測光値の最大値(ピーク測光値)を導出するものであってもよい。ピーク測光値を導出することにより、画像(内視鏡画像)の明るい部分の明るさが一定になるように制御することができる。
【0036】
撮像部6により撮像された画像を例えば上下左右に4分割(エリア1から4)して、複数の領域に区分化した場合、すなわち観察箇所が区分化された複数の領域を含む場合、測光回路81は、当該区分化された複数の領域毎の測光値を導出するものであってもよい。この場合、測光回路81は、右上の測光エリアにおける測光値、右下の測光エリアにおける測光値、左下の測光エリアにおける測光値、及び左上の測光エリアにおける測光値の4つの測光値を、それぞれの観察モード(白色モード、狭帯域モード)に応じて導出する。第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)の個々のLEDは、区分化された複数の領域それぞれに対応して配置されているため、当該区分化された複数の領域毎の測光値それぞれを、これら個々のLEDの光量を導出するために用いることができる。従って、いずれの観察モード(白色モード、狭帯域モード)においても、複数の領域に区分化されたいずれかの領域にて例えばハレーション等が発生した場合であっても、当該ハレーションが発生した区分に対応するLED(第1のLED71、第2のLED72)の光量を適切に導出することができ、区分化された個々の領域毎に適切な光量にて照射することができる。
【0037】
自動調光制御部82は、例えばマイコン等により構成されており、測光回路81から出力された測光値に基づき、第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)の光量を導出する。測光回路81から、区分化された複数の領域それぞれの測光値が出力された場合、当該複数の領域それぞれの測光値に基づき、複数の領域それぞれに対応して設けられている第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)の個々のLEDの光量を導出する。
【0038】
自動調光制御部82を構成するマイコン等に含まれるRAM等のメモリには、測光値に基づき光量を導出するためのルックアップテーブルが予め記憶されている。ルックアップテーブルには、例えば、観察モードに応じて、測光値の範囲に対応する第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)の光量が定義されている。ルックアップテーブルにて定義されている光量のパラメータは、例えば、撮像部6の感度特性又は、第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)の発光特性等に基づく製品仕様として決定されるものである。
【0039】
自動調光制御部82は、例えば、自部を構成するマイコンに含まれるメモリに記憶されているルックアップテーブルを参照することにより、区分化された複数の領域それぞれの測光値に基づき、当該領域に対応して設けられている第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)の個々のLEDの光量を導出する。自動調光制御部82は、発光モードに応じて、第1のLED71(狭帯域LED)又は、第2のLED72(白色LED)のいずれかの光量を導出する。すなわち、発光モードが白色モードの場合、自動調光制御部82は、第2のLED72(白色LED)の光量を導出する。発光モードが狭帯域モードの場合、自動調光制御部82は、第1のLED71(狭帯域LED)の光量を導出する。
【0040】
自動調光制御部82は、これら導出した光量に関する情報又は信号を、光量制御回路83に出力する。当該光量に関する情報は、例えば、第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)に流れるLED電流値を含むものであってもよい。
【0041】
光量制御回路83は、例えばFPGA又はASICにより構成されており、第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)と電線又は基板70上のランド等により電気的に接続されている。光量制御回路83は、自動調光制御部82から出力されたLED電流値等、光量に関する情報又は信号に基づき、第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)に電流を流す。これにより、区分化された複数の領域に対応して配置されている、第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)の個々のLEDに対し、適切な光量の照明光を出力させることができる。
【0042】
本実施形態において、光量制御部8は、FPGA又はASCI等のHW処理部にて構成される測光回路81及び光量制御回路83と、マイコン等のSW処理部にて構成される自動調光制御部82とを含むとしたが、これに限定されない。光量制御部8に含まれる測光回路81、自動調光制御部82、及び光量制御回路83は、例えばSoC(System-on-a-chip)等により一体構成されたものであってもよい。本実施形態において、光量制御部8と照明駆動部73とは、別個の機能モジュールとして記載したが、これに限定されない。照明部7に関する制御を行う光量制御部8及び照明駆動部73は、SoC等により一体化した機能モジュールであってもよい。
【0043】
図6は、第1光出力部(狭帯域LED)にて照明した際の観察箇所(測光エリア)を示す説明図である。
図7は、第2光出力部(白色LED)にて照明した際の観察箇所(測光エリア)を示す説明図である。
【0044】
本実施形態における図示のとおり、第1光出力部(狭帯域LED)にて照明した際の観察箇所(測光エリア)は、第2光出力部(白色LED)にて照明した際の観察箇所(測光エリア)よりも小さい(狭い)ものとなっている。このような現象は、第1のLED71(狭帯域LED)の配光範囲が、第2のLED72(白色LED)の配光範囲よりも小さい(狭い)範囲であることにより、発生する。
【0045】
このように配光特性が異なる第1光出力部(狭帯域LED)及び第2光出力部(白色LED)において、同じ測光エリアを設定した場合、いずれかのLEDにおいて、測光エリアと配光範囲とが大幅に異なり、適切な測光値を導出できないことが懸念される。これに対し、第1光出力部(狭帯域LED)及び第2光出力部(白色LED)の配光特性に応じて、異なる測光エリアを用いることにより、いずれの観察モードにおいても、それぞれの測光値を適切に導出し、第1光出力部(狭帯域LED)及び第2光出力部(白色LED)の光量を適正化する自動調光制御を、行うことができる。
【0046】
図8は、内視鏡1の光量制御部8による処理手順の一例を示すフローチャートである。内視鏡1の光量制御部8は、例えば操作ボタン31による操作者の操作に応じて、当該フローチャートの処理を開始する。
【0047】
光量制御部8は、観察モードを取得する(S101)。光量制御部8は、例えば、プロセッサ装置10の制御部11から与えられる制御指令を取得する。当該制御指令は、照明駆動部73を制御するための指令であり、観察モードに関する情報が含まれている。
【0048】
光量制御部8は、観察モードは狭帯域光モードであるか否かを判定する(S102)。光量制御部8は、プロセッサ装置10の制御部11から取得した制御指令に基づき、観察モードが、第2のLED72(白色LED)を用いた白色モードであるか、第1のLED71(狭帯域LED)を用いた狭帯域モードであるかを、特定する。
【0049】
観察モードが狭帯域光モードである場合(S102:YES)、光量制御部8は、第1のLED71(狭帯域LED)の角度範囲に応じた測光エリア(第1測光エリア)を特定する。光量制御部8は、例えば、自部を構成するマイコン等のメモリを参照することにより、第1のLED71(狭帯域LED)の角度範囲に応じた測光エリア(第1測光エリア)を特定する(S103)。
【0050】
観察モードが狭帯域光モードでない場合(S102:NO)、すなわち観察モードが白色光モードである場合、光量制御部8は、第2のLED72(白色LED)の角度範囲に応じた測光エリア(第2測光エリア)を特定する。光量制御部8は、例えば、自部を構成するマイコン等のメモリを参照することにより、第2のLED72(白色LED)の角度範囲に応じた測光エリア(第2測光エリア)を特定する(S1021)。当該第1測光エリア及び第2測光エリアを特定するにあたり、これら測光エリア(第1測光エリア及び第2測光エリア)の領域情報は、例えば、撮像部6により撮像された画像における画像座標系の範囲、又はピクセル番号の範囲等により定義されている。
【0051】
光量制御部8は、撮像部6から出力される撮像データを取得する(S104)。光量制御部8は、例えば、AD変換又はホワイトバランス補正等の前処理を行う受信回路61及びゲイン回路62を介して、撮像部6から出力される撮像データ(画像信号)を取得する。
【0052】
光量制御部8は、取得した撮像データにおいて、特定した測光エリアにおける測光値を導出する(S105)。光量制御部8は、撮像部6から取得した撮像データ(画像信号)において、観察モードに応じて特定した第1のLED71(狭帯域LED)の角度範囲に応じた測光エリア(第1測光エリア)、又は第2のLED72(白色LED)の角度範囲に応じた測光エリア(第2測光エリア)のいずれかの測光エリアにて、測光値を導出する。観察モードが白色モードの場合、光量制御部8は、第2のLED72(白色LED)の測光エリア(第2測光エリア)における測光値を導出する。観察モードが狭帯域モードの場合、光量制御部8は、第1のLED71(狭帯域LED)の測光エリア(第1測光エリア)における測光値を導出する。光量制御部8は、自部を構成する測光回路81を用いることにより、測光値を導出する。当該測光値は、これら測光エリア(第1測光エリア、第2測光エリア)の全体における測光値の平均値(平均測光値)を導出するものであってもよく、又は、測光値の最大値(ピーク測光値)を導出するものであってもよい。上述のとおり、第1のLED71(狭帯域LED)の角度範囲に応じた測光エリア(第1測光エリア)、及び第2のLED72(白色LED)の角度範囲に応じた測光エリア(第2測光エリア)は、例えば上下左右に4分割(エリア1から4)して、複数の領域に区分されている。このように区分化されている場合、光量制御部8は、区分毎の測光値、すなわち右上(エリア1)の測光エリアにおける測光値、右下の測光エリア(エリア4)における測光値、左下(エリア3)の測光エリアにおける測光値、及び左上(エリア2)の測光エリアにおける測光値の4つの測光値を、それぞれの観察モード(白色モード、狭帯域モード)に応じて導出する。従って、光量制御部8は、それぞれの観察モード(白色モード、狭帯域モード)において、区分毎(区分化された複数の領域毎)の測光値を導出するものであってもよい。
【0053】
光量制御部8は、導出した測光値に基づき光量を導出する(S106)。光量制御部8は、例えば、自部を構成するマイコン等のメモリに記憶されているルックアップテーブルを参照することにより、測光値に基づき光量を導出する。光量制御部8は、区分毎(区分化された複数の領域毎)に導出した測光値に基づき、区分毎の光量を導出するものであってもよい。
【0054】
光量制御部8は、導出した光量に基づき、LEDの光量を制御する(S107)。光量制御部8は、導出した光量に関する情報として、例えば、LED電流値を光量制御回路83に出力することにより、照明部7のLED(第1のLED71(狭帯域LED)、及び第2のLED72(白色LED))の光量を制御する。光量制御部8は、区分毎(区分化された複数の領域毎)に導出した光量に基づき、区分毎のLED(第1のLED71、第2のLED72)の光量を制御するものであってもよい。第1のLED71(狭帯域LED)及び第2のLED72(白色LED)の個々のLEDは、区分化された複数の領域それぞれに対応して配置されているため、当該区分化された複数の領域毎の測光値に基づき、これら個々のLED(第1のLED71、第2のLED72)の光量を制御することができる。
【0055】
本実施形態によれば、内視鏡1の光量制御部8は、撮像部6からの撮像データ(画像信号)に基づき、体腔等、体内部位における観察箇所における測光値を導出し、導出した測光値に基づき第1光出力部及び第2光出力部それぞれの光量を導出する。測光値を導出するにあたり対象となる観察箇所の領域は、第1光出力部及び第2光出力部の角度範囲(配光範囲)それぞれに対応した領域(測光エリア)であるため、第1光出力部及び第2光出力部の角度範囲(配光範囲)に応じた領域の光量を導出することができる。光量制御部8は、導出したそれぞれの光量にて第1光出力部及び第2光出力部を制御することにより、第1光出力部及び第2光出力部に対し、これら光量それぞれによる照明光を出力させる。従って、異なる波長範囲の照明光による測光値それぞれに応じた調光を、効率的に行うことができる。
【0056】
本実施形態によれば、第2光出力部の角度範囲(配光範囲)は、第1光出力部の角度範囲よりも、大きい。従って、光量制御部8よって光量を導出する際の対象となる領域(測光エリア)に関し、第1光出力部の角度範囲に対応した観察箇所の領域を、第2光出力部の角度範囲に対応した観察箇所の領域よりも狭くすることにより、第1光出力部及び第2光出力部の配光特性に応じた測光値を導出でき、それぞれにおける測光値の精度を向上させることができる。
【0057】
本実施形態によれば、撮像部6より撮像される観察箇所は、複数の領域に区分化され、複数個からなる第1光出力部及び第2光出力部それぞれは、これら複数の領域それぞれに対応して、配置されている。光量制御部8は、これら複数の領域それぞれにおける測光値に基づき、第1光出力部及び第2光出力部の光量を導出するため、複数の領域それぞれにおける第1光出力部及び第2光出力部に応じた好適な画像(内視鏡画像)を取得することができる。
【0058】
(実施形態2)
図9は、実施形態2に係る第2光出力部(白色LED)にて照明した際の観察箇所(測光エリア)を示す説明図である。本実施形態における図示のとおり、内視鏡1の型式によっては、第2光出力部(白色LED)にて照明した際、例えば観察箇所(測光エリア)の左下等の所定の位置に、ノズル等の先端部22の部位又は当該先端部22から更に突設された部位が、含まれる場合がある。
【0059】
この場合、特にノズル等の反射率が高い金属製の部位が測光エリアに含まれると、局所的なハレーションが発生し、当該測光エリアにおける測光値を適切に導出することが困難となることが想定される。このように、例えば内視鏡1の型式等に応じて、画面上にて一定の位置に含まれて撮像されるノズル等の部位に対し、当該位置を予め除外領域として定め、当該除外領域を除いた測光エリア(残領域)を対象とすることにより、測光値の導出を適切に行うことができる。
【0060】
図10は、内視鏡1の光量制御部8による処理手順の一例を示すフローチャートである。内視鏡1の光量制御部8は、例えば操作ボタン31による操作者の操作に応じて、当該フローチャートの処理を開始する。
【0061】
光量制御部8は、観察モードを取得する(S201)。光量制御部8は、観察モードは狭帯域光モードであるか否かを判定する(S202)。観察モードが狭帯域光モードである場合(S202:YES)、第1のLED71(狭帯域LED)の角度範囲に応じた測光エリア(第1測光エリア)を特定する(S203)。観察モードが狭帯域光モードでない場合(S202:NO)、すなわち観察モードが白色光モードである場合、第2のLED72(白色LED)の角度範囲に応じた測光エリア(第2測光エリア)を特定する(S2021)。光量制御部8は、実施形態1のS101からS1021及びS103と同様に、201からS2021及びS203の処理を行う。
【0062】
光量制御部8は、除外領域を特定する(S204)。光量制御部8は、自部を構成するマイコン等のメモリを参照することにより、除外領域を特定する。当該除外領域は、いずれの観察モードにおいて共通の領域であってもよく、又は、これら観察モードに応じて、異なる領域であってもよい。当該除外領域の領域情報は、例えば、撮像部6により撮像された画像における画像座標系の範囲、又はピクセル番号の範囲等により定義されているものであってもよい。
【0063】
光量制御部8は、撮像部6から出力される撮像データを取得する(S205)。光量制御部8は、実施形態1のS104と同様にS205の処理を行う。
【0064】
光量制御部8は、取得した撮像データにおいて、除外領域が除かれた測光エリアにおける測光値を導出する(S206)。光量制御部8は、実施形態1のS105と同様に、観察モードに応じて特定した測光エリア(第1測光エリア、第2測光エリア)における測光値を導出するにあたり、これら測光エリアから除外領域が除かれた測光エリア(残領域)における測光値を導出する。
【0065】
光量制御部8は、導出した測光値に基づき光量を導出する(S207)。光量制御部8は、導出した光量に基づき、LEDの光量を制御する(S208)。光量制御部8は、実施形態1のS106及びS107と同様にS207及びS208の処理を行う。
【0066】
本実施形態によれば、光量制御部8は、いずれかの領域(測光エリア)において除外域が設定されている場合、当該除外域を除いた領域(残領域)における測光値を導出する。除外域に関する領域情報は、例えば、光量制御部8に内蔵されたRAM等、光量制御部8からアクセス可能な記憶領域に記憶されており、光量制御部8は、当該RAM等を参照することにより、除外域に関する領域情報を取得することができる。当該除外域は、例えば、先端部22に設けられたノズル等が定常的に含まれる撮像画像の所定領域に対応して、設定される。すなわち、除外域に対応する撮像画像の所定領域には、常にノズル等が含まれるものとなる。当該ノズルは、反射率が比較的に高いため、照明光が過度に反射してハレーションが発生する傾向が高い。これに対し複数の領域のうちのいずれかの領域において、除外域が設定されている場合、光量制御部8は、当該いずれかの領域において、除外域を除いた領域(残領域)における測光値に基づき、第1光出力部及び第2光出力部それぞれの光量を導出する。従って、ノズル等が反射して局所的なハレーションが発生した場合であっても、第1光出力部及び第2光出力部それぞれの光量を適切に導出し、第1光出力部及び第2光出力部を制御することができる。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
1 内視鏡
2 挿入管
20 軟性部
21 湾曲部
22 先端部
23 連結部
24 ハウジング
25 対物レンズ
26 配光レンズ
3 操作部
30 湾曲操作ノブ
31 操作ボタン
4 ユニバーサルチューブ
5 コネクタ部
6 撮像部
60 撮像駆動部
61 受信回路
62 ゲイン回路
7 照明部
70 基板
71 第1のLED(第1の発光素子、狭帯域LED)
72 第2のLED(第2の発光素子、白色LED)
73 照明駆動部
8 光量制御部
81 測光回路
82 自動調光制御部
83 光量制御回路
10 プロセッサ装置
11 制御部
12 信号処理回路
13 付加処理回路
14 モニタ
15 フリーズ処理部