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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054016
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】照明制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/175 20200101AFI20220330BHJP
   H05B 47/125 20200101ALI20220330BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20220330BHJP
【FI】
H05B47/175
H05B47/125
H05B47/165
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020160968
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100200159
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 仁志
(72)【発明者】
【氏名】東 洋邦
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA03
3K273PA04
3K273QA30
3K273QA36
3K273QA37
3K273RA04
3K273RA13
3K273RA17
3K273SA19
3K273SA21
3K273SA22
3K273SA23
3K273SA38
3K273SA57
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA28
3K273TA32
3K273TA41
3K273TA47
3K273TA70
3K273UA16
3K273UA17
3K273UA22
3K273UA23
3K273UA24
3K273UA25
(57)【要約】
【課題】作業者の距離を一定以上離すことができる照明制御システムを提供する
【解決手段】実施形態の照明制御システムは、可視光を照射する第1の光源部を備えた照明部と、人が滞在可能な領域を示唆する照明パターンを決定する処理部と、照明パターンに基づいて照明部を制御する制御部と、を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光を照射する第1の光源部を備えた照明部と;
人が滞在可能な領域を示唆する照明パターンを決定する処理部と;
前記照明パターンに基づいて前記照明部を制御する制御部と;
を備える照明制御システム。
【請求項2】
前記処理部は、外部から受信した地域の情報に基づいて前記照明パターンを決定することを特徴とする請求項1記載の照明制御システム。
【請求項3】
検知部を備え、
前記処理部は、前記検知部で取得した検知データに基づいて前記照明パターンを決定することを特徴とする請求項1記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記検知部は人の存在を検知し、
前記処理部は、前記検知部で人の存在を検知した箇所を基準に、それぞれが所定の距離以上離れた点在する領域を照明する前記照明パターンを判断することを特徴とする請求項3記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記検知部は人の属性を検知し、
前記処理部は、前記属性に基づいて前記照明パターンを判断することを特徴とする請求項3または4記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記検知部は什器の属性を検知し、
前記処理部は、前記什器の属性に基づいて前記照明パターンを判断することを特徴とする。請求項3~5のいずれか1つに記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記照明部は、紫外光を照射する第2の光源部を備え、
前記制御部は、前記検知部で人を検知した後に人が不在となった箇所に、前記第2の光源部の光を照射するように制御することを特徴とする請求項4または5に記載の照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な屋内の照明設計(例えば、JISZ9125「屋内作業場の照明基準」など)は作業面および作業面近傍の照度均斉度(最小照度/平均照度)を0.7や0.5よりも高くすることを推奨し、できるだけ均一な照度環境を設計することを推奨している。これに対し、人の位置と人数に応じて個別に照明を制御することで省電力化を実現した電気機器制御システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、昨今は感染病対策のため、屋内作業場は密閉、密集、密接を避け、できるだけ隣り合う作業者とは離れ、人と人との間に適切な距離を設けることが推奨されている。そのため、どの位置においても作業をすることが可能な均一な照度環境では、意識的に人と人との間の距離を保持しようとしても距離が近くなってしまうという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-304104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、作業者の距離を一定以上離すことができる照明制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の照明制御システムは、可視光を照射する第1の光源部を備えた照明部と、人が滞在可能な領域を示唆する照明パターンを決定する処理部と、照明パターンに基づいて照明部を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
実施形態によれば、作業者の距離を一定以上離すことができる照明制御システムを提供することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態の照明制御システムが用いられる環境Aを示す側面図である。
図2】一実施形態の照明制御システムの基本構成のブロック図である。
図3】一実施形態の照明制御システムにおいて、複数の照明部を備える構成を示すブロック図である。
図4】一実施形態の照明制御システムが用いられる環境Aの上面図である。
図5】一実施形態の照明制御システムの制御の流れを示すフロー図である。
図6】一実施形態の照明制御システムの処理部での処理の流れを示すフロー図である。
図7】一実施形態の照明制御システムの検知部で取得される検知情報である。
図8】一実施形態の照明制御システムの処理部で用いられる対応表である。
図9】一実施形態の照明制御システムにおける消灯照明部を決定するステップを示す環境Aの上面図である。
図10(a)】一実施形態の照明制御システムで決定される第2点灯照明部の一例である。
図10(b)】一実施形態の照明制御システムで決定される第2点灯照明部の一例である。
図11】一実施形態の照明制御システムにおける消灯照明部を決定するステップを示す環境Aの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本実施形態の照明制御システム1が用いられる環境Aを例示したものである。環境Aは、例えばオフィス、カフェ、図書館など、複数の人が決まった席、もしくは自由な席に座ったり、立ったまま机に向かったりするような環境である。環境Aは、1つの建物単位であってもよいし、1つのフロア(階)単位であってもよいし、1つの部屋単位や、1つのブロック単位であってもよい。図1は、環境Aの側面図である。図1に示す環境Aの天井には、照明装置である照明部10が配設されており、環境Aの床面には椅子Bや机Cが配設されている。椅子Bや机Cは、図1に示す形状に限られるものではなく、任意の形状、材質のものを適用することが可能である。また椅子Bや机Cは、人が滞在すると推定される什器(場所)としての例示であり、環境Aに配設される什器は、椅子Bや机Cに限られるものではない。
【0010】
照明部10は任意の照明装置が適用でき、例えば、ベースライト、シーリングライト、ダウンライト、スポットライト、または非常用照明器具などであってもよい。また、照明部10は必ずしも天井に配設されている必要はなく、壁面に配設されて側方や斜め下方に光が照射されてもよいし、床面に配設されて側方や斜め上方、上方に光が照射されてもよい。照明部10が天井に配設されるケースは、環境Aは屋根が存在するような屋外環境もしくは屋内環境に限定されるが、照明部10が壁面や床面に配設されるケースでは、環境Aが屋外環境、屋内環境いずれであっても適用可能である。
【0011】
そして、多くの場合において、照明部10から照射される光は、人が滞在すると推定される椅子Bや机Cの近傍に向けて照射される。特に、人が作業を行うオフィスや図書館などの環境においては、照明設計により作業面である机Cやその近傍の照度均斉度(=最小照度/平均照度)が0.7や0.5よりも高くすることが推奨されており(例えば、JISZ9125「屋内作業場の照明基準」などにおいて)、できるだけ均一な照度環境を設計される。机Cがなく、椅子Bしか配設されていない環境においても同様に考えられ、椅子Bに座った人が読書したり、携帯端末を操作したりすることが考えられるため、全ての椅子Bに適切な光が照射されるように設計されている。
【0012】
そのため、多くの場合においては、環境Aに配設されたいずれの椅子Bに着席しても、また机Cのいずれの場所に向かったとしても、作業に十分な照度が確保可能となっている。言い換えれば、人は環境Aに配設されるいずれの椅子Bに座りうるし、環境Aに配設された机Cのいかなる場所に向かいうる状態であると言える。
【0013】
さて、近年は、感染病対策のため、屋内作業場は密閉、密集、密接を避け、できるだけ隣り合う作業者とは離れ、人と人との間に適切な距離を設けることが推奨されている。そのため、上述したような人がどの位置においても作業をすることが可能な照明環境では、人と人との間の距離が近くなってしまうという課題がある。この課題を解決する手法としては、椅子Bの数を減らしたり、椅子Bや机Cに使用不可の掲示をしたりする方法が挙げられるが、このような方法では、椅子Bを収納するスペースを確保する必要があったり、使用不可の掲示を作成したり、また使用不可の掲示が適切に掲示されているかを監視する必要があったりと、効率的ではなかった。そのため、効率的に人と人との距離を離すことが可能な手法が必要とされていた。なお、人と人との間に適切な距離を設けることを課題とするのは、作業をしている人に限られず、作業を行わないで椅子や机に向かっている人も同様の課題を抱えている。そのため、本明細書では作業を行う人を例に説明を行うが、
作業を行わないで椅子や机に向かっている人に対して、本明細書が開示する照明制御システムを用いてもよい。
【0014】
そこで、本実施形態に示す照明制御システム1を用いることで、照明による示唆で人と人との距離を離すことが実現可能となる。つまり、照明によって光が照射されている領域は人が滞在可能あることを示唆しつつ、それぞれの光が照射されている領域は適切な距離を設けるように照明制御される。以下に、本実施形態の照明制御システム1を説明する。
【0015】
図2に、本実施形態の照明制御システム1の基本構成のブロック図を示す。本実施形態の照明制御システム1は、照明部10、検知部20、処理部30、制御部40を備える。なお、図2においては、照明部10と制御部40、検知部20と処理部30、処理部30と制御部40、をそれぞれ実線で接続して示しているが、これは1方向もしくは双方向の情報通信が行える関係があることを示したものであり、有線通信もしくは無線通信のいずれで接続されていてもよい。
【0016】
照明部10は、環境Aに光を照射する照明装置であり、任意の照明装置が適用可能であるが、好ましい形態としては、照明部10は、スポットライトやダウンライトである。一般的に、スポットライトやダウンライトは、配光制御された設計となっている。照明部10は、1つないし複数配設される。照明部10は、照明部10の光源である光源部11を備えている。光源部11はLEDを用いた光源であることが好ましいが、LEDを用いた光源に限定されるものではなく、光源部11は有機ELやレーザーダイオードを用いた光源であったり、白熱電球、蛍光灯などであったりしてもよい。照明部10の光源部11がLEDである場合、光源部11の点灯周波数を制御することで点滅動作をさせることが可能となる。この点滅動作は、人間が認識可能な点滅間隔や、人間が認識不可能な点滅間隔で動作させることが可能である。また光源部11が、発光ピーク波長が異なる2種類以上のLEDを備えることで、照明部10から照射される光の発光色を変更することが可能となる。ここでの発光色とは、色温度や演色性のことであり、例えば、照明部10から照射される光の色温度を2700Kから5000Kに変化させたり、発光色を白色から赤色に変化させたり、演色性を80から90に変化させたり、という動作が可能となる。
【0017】
なお、照明部10は、光源部11として、可視光を照射する光源部11(可視光光源部)と、可視光ではない紫外光もしくは赤外光を照射する光源部11(非可視光光源部)、の両方を備えていてもよい。このとき、可視光を照射する光源部11(可視光光源部)を備えた照明部10と、可視光ではない紫外光もしくは赤外光を照射する光源部11(非可視光光源部)を備える照明部10と、の2つの照明部10を備える構成であってもよいし、1つの照明部10に、可視光を照射する光源部11(可視光光源部)と、可視光ではない紫外光もしくは赤外光を照射する光源部11(非可視光光源部)と、を備える構成であってもよい。さらに、光源がLEDかつ1つの照明部10に2つの光源部11を備える構成の場合は、1枚のLED実装基板に可視光を照射するLEDと、可視光ではない光を照射するLEDと、を実装してもよいし、可視光を照射するLEDと、可視光ではない光を照射するLEDと、は異なる基板に実装されてもよい。そしてこれらの場合において、可視光ではない紫外光もしくは赤外光を照射する光源部11(非可視光光源部)も、可視光を照射する光源部11(可視光光源部)と同様に点灯制御される。
【0018】
可視光ではない光源としての紫外光光源は、例えば、波長が380nmより短い領域に発光ピーク波長を有する紫外線を照射する光源である。好ましくは、この紫外光光源は、発光ピーク波長が280nm以下に存在するUV-C光源を備えており、例えば、発光ピーク波長が約254nm、約222nm、約185nmに存在する。なお、ここでの約とは±5nmの範囲を言う。そして、ここでの発光ピーク波長は、光源の分光分布において最も高いピークを示す波長に限定されるものではなく、2番目に高いピークである第2ピーク波長ないし、3番目に高いピークである第3ピーク波長であってもよい。
【0019】
紫外光光源から紫外線が照射された場合、その紫外線が照射された領域は殺菌ないし滅菌ないし除菌ないし減菌される。(以下では、代表して殺菌を用いて説明するが、殺菌の用語は、滅菌、除菌、減菌に置き換え可能である。)特に、発光ピーク波長が約254nmの紫外線は殺菌力が強く、発光ピーク波長が約222nmの紫外線は人体に対する安全性が高く、発光ピーク波長が約185nmの紫外線は脱臭効果をもつオゾンの発生を伴うという特徴を有する。
【0020】
可視光ではない光源としての赤外光光源は、例えば、波長が780nmより長い領域に発光ピーク波長を有する赤外線を照射する光源である。
【0021】
上述したような照明部10の点灯状態の制御は、主に制御部40により実行される。そのため、照明部10と制御部40とは、少なくとも制御部40から照明部10への制御信号が送信可能なように有線もしくは無線通信により構成される。
【0022】
検知部20は、環境Aの状態を示す検知情報を取得するセンサやカメラである。検知部20は、少なくとも照明部10の光が照射される領域の検知情報を取得可能に配設されることが好ましい。そして、検知部20は、照明部10の数と同数以上の数が配設されることが好ましい。検知部20は照明部10と一体に構成されていてもよい。検知部20がセンサの場合は、画像センサ、人感センサ、温度センサ、対流センサ、気圧センサ、距離センサなど、様々な環境センサを適用可能である。人感センサは、例えば、赤外線センサである。また、検知部20がカメラの場合は、環境A内の状態を静止画や動画といった形で取得する。つまり、検知情報は、検知部20のセンサで取得された値であったり、検知部20の静止画や動画データであったりする。なお、検知部20は、1つないし複数のセンサで構成されてもよいし、1つないし複数のセンサとカメラとの組合せで構成されてもよい。さらに、検知部20は処理部30と情報通信関係にあり、検知部20で取得された検知情報は処理部30へ送信される。そのため、検知部20と処理部30とは、少なくとも検知部20から処理部30へ情報の送信が可能なように構成される。
【0023】
処理部30は、判断部31と、記憶部32と、を備えている。判断部31は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサにより実装できる。あるいは、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路により実装されてもよい。記憶部32は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実装される。
【0024】
判断部31は、検知部20から送信された検知情報を元に、照明部10の点灯パターンを決定(判断)する。この点灯パターンは、判断部31が生成してもよいし、記憶部32に記憶された点灯パターンから選択されてもよい。検知部20から送信された検知情報を元に、照明部10の点灯パターンを決定する方法については後述するが、この判断部31が決定した点灯パターンは、制御部40へ送信される。そのため、処理部30と制御部40とは、少なくとも処理部30から制御部40へ情報の送信が可能なように構成される。また、この点灯パターンは、記憶部32に記憶されてもよい。
【0025】
制御部40は、外部から送信された制御指令を元に、照明部10へ制御信号を送信し、照明部10の点灯状態を制御する。ここでの外部から送信された制御指令とは、照明部10の外部から送信された制御指令であり、例えば、人がリモコンや操作盤を用いて送信された制御指令であったり、情報通信関係がある処理部30が送信した制御指令であったりする。制御部40は、図2に示すように1つの照明部10に対して1つ配設されてもよいし、図3に示すように複数の照明部10(10a、10b、10c、~、10t)に対して制御を行うような中央制御部のように配設されてもよい。図3は複数の照明部を備える場合の、本実施形態の照明制御システム1の構成を示すブロック図である。この場合、個々の照明部10として、照明部10aを例にあげると、照明部10aは、照明部10a自身の照明制御を行うための個別制御部を、制御部40とは別に備えていてもよい。そしてこのとき、照明部10aは、少なくとも人がリモコンや操作盤を用いて送信された制御指令を受信可能なように構成される。なお、照明部10aを例に挙げて説明したが、照明部10b ~ 照明部10tにも上記の内容は適用可能である。
【0026】
本実施形態の照明制御システム1の照明制御の動きについて説明する。
【0027】
まず、照明制御システム1を用いる環境Aの説明をする。以下の説明においては、図4のような環境Aを例として用いる。図4は環境Aを天井より上方から見た状態を示す上面図である。図4においては、環境Aの天井に20個の照明部10(図4にて丸形状で図示した10a、10b、~、10s、10t)が配設されている。そして、1つの照明部10に対して1つの検知部20が配設され、環境Aの天井に20個の検知部20(図4にて四角形状で図示した20a、20b、~、20s、20t)も配設されている。図示は省略しているが、処理部30、制御部40も環境Aの内部もしくは外部に配設され、照明部10や検知部20と通信が可能なように構成されている。また、図4においては、椅子Bや机Cといった、人が滞在する可能性のある什器の記載は省略しているが、環境Aは、照明部10(照明部10a~10t)それぞれの直下に人が滞在可能な環境であり、全20カ所人が滞在可能な箇所が存在する環境である。なお上述した構成は一例であり、照明部10の数量や検知部20の数量などは照明制御システム1を用いる環境に応じて異なってもよい。
【0028】
各検知部20は、各照明部10の近傍に配設され、環境A内の照明部10から光が照射される範囲の少なくとも一部の検知情報を取得する。例えば、照明部10aを例に挙げると、照明部10aの近傍に検知部20aが配設される。このとき検知部20aは照明部10aと一体であってもよいし、別体であってもよいが、検知部20aの検知範囲と、照明部10aの光照射範囲と、が少なくとも一部の領域において重なるように配設される。このとき、検知部20aの検知範囲は、照明部10aの光照射範囲の全域に包含されることが好ましい。つまり、検知部20aの検知範囲の全域が、照明部10aの光照射範囲と重なる構成が好ましい。この場合、検知部20aの検知範囲の広さ≦照明部10aの光照射範囲の広さ、の条件であれば満たすことが可能となる。なお、照明部10aと検知部20aの組合せを例に挙げて説明したが、照明部10bと検知部20bの組合せ、照明部10cと検知部20cの組合せ、~、照明部10tと検知部20tの組合せ、にも上記の内容は適用可能である。
【0029】
照明制御システム1の照明制御の流れについて説明する。図5に本実施形態の照明システムの照明制御のフロー図を示す。なお以下においては、検知部20(検知部20a~20t)は人感センサとして説明を行うが、検知部20(検知部20a~20t)は人感センサに限定されるものではない。
【0030】
まず、図5に示すステップS1に入る前のスタートの状態について説明する。スタートの状態においては、環境Aには人が存在しないため特殊な照明制御を行う必要はない。そのため、照明部10(照明部10a~10t)はいずれも、検知部20(検知部20a~20t)での検知動作が可能な程度の明るさで点灯していればよい。例えば、環境Aに人が存在しない状態において、照明部10が光源部11として、紫外線を照射する紫外光光源を備えている場合は、紫外線を照射して環境Aを殺菌するように照明制御されてもよい。このとき、入口付近の照明部10(照明部10f、照明部10k)は、入口から入って来た人に紫外線を照射しないように紫外光光源は消灯していることが好ましい。なお、紫外光光源の発光ピーク波長が約222nmの場合は、人体に対する安全性が高いため入口付近の照明部10(照明部10f、照明部10k)の紫外光光源も点灯していてもよい。さらに、例えばセンサを用いて、環境Aの外側で環境Aへの人の出入りを検知し、その検知結果により照明部10を制御可能な場合も、環境Aへの人の入室を検知した段階で消灯することが可能なため、入口付近の照明部10(照明部10f、照明部10k)の紫外光光源も点灯していてもよい。
【0031】
環境Aに人が入ってきた段階で、ステップS1の検知情報の取得が行われる。この環境Aに入ってくる人は、1名でも複数人でもよい。この検知情報の取得は、検知部20(検知部20a~20t)のいずれでも行われる可能性がある。そして、検知動作が行われた検知部20には、新規に検知情報が取得されており、検知動作を行っていない検知部20には、何も検知情報が取得されていない状態となる。
【0032】
ここでの検知情報とは、例えば、検知部20にて人の検知が継続して行われた時間である。検知部20の検知範囲を人が通過しただけの場合は、その通過時間に応じた時間を検知部20で取得する。検知部20の検知範囲に人が滞在した場合は、その滞在時間に応じた時間を検知部20で取得する。人が滞在を続けている場合は、継続検知中である旨が検知情報として取得されてもよい。
【0033】
そして、新しく検知情報を取得した(検知情報が更新された)検知部20は、その検知情報を処理部30へ送信する(ステップS2)。この検知情報を送信する際に、それぞれの検知部20に関係する情報も合わせて送信されることが望ましい。検知部20に関係する情報とは、例えば、検知部20に付与されたナンバーやID(例えば、20a~20t)、検知部20の位置情報、検知部20の最も近傍に存在する照明部10の情報(ナンバーや位置情報)などである。なお、検知情報や検知部20に関係する情報の送信は、検知情報が継続検知中の検知部20だけが行う形態であってもよい。そして、これらの送信は有線通信で行われてもよいし、無線通信で行われてもよい。
【0034】
次に、検知部20から送信された検知情報や検知部20に関係する情報を受け取った処理部30で、照明パターンを決定するステップ(ステップS3)が実行される。図6を参照して、照明パターンを決定するステップ(ステップS3)について説明する。図6は、ステップS3の処理の流れを示したフロー図である。
【0035】
まず、検知部20から送信された検知情報や情報を受け取った処理部30の判断部31で、第1点灯照明部を決定するステップ(ステップS31)が実行される。第1点灯照明部は、点灯させる必要がある照明部10を指す。点灯させる必要がある照明部10とは、例えば、直下に人が滞在している照明部10である。
【0036】
第1点灯照明部を決定するステップ(ステップS31)においては、まず判断部31が、検知部20から送信された検知情報を参照し、検知情報が検知中である検知部20を抽出する。その後、判断部31が抽出した検知部20から送信された、検知部20に関係する情報を参照し、場合によっては記憶部32に記憶された情報と照らし合わせて第1点灯照明部を決定する。例えば、検知部20に関係する情報が、検知部20のナンバーやIDであるならば、判断部31は、記憶部32に記憶された対応表と照らし合わせて第1点灯照明部を決定する。この対応表は、検知部20のナンバーやIDと、その検知部の最も近傍に配設された照明部10のナンバーやIDもしくは位置と、が対応付けられた表である。また、例えば、検知部20に関係する情報が、検知部20の位置情報であるならば、判断部31は、記憶部32に記憶された照明部10の位置情報と照らし合わせて、抽出された検知部に最も近い照明部10を第1点灯照明部として決定する。また、例えば、検知部20に関係する情報が、検知部20の最も近傍に存在する照明部10の情報(ナンバー・IDや位置情報)である場合は、その検知部20に関係する情報から直接第1点灯照明部を決定することも可能である。
【0037】
次に、判断部31で点灯間隔を決定するステップ(ステップS32)が実行される。これのステップにおいては、ステップS31で決定した第1点灯照明部から、どの程度間隔を離して、後述する第2点灯照明部を点灯するかを決定する。ここで決定される間隔は、いわゆる感染病対策のために必要とされる、密集、密接を避け、できるだけ隣り合う作業者とは離れた適切な間隔を元にして決定される。そして、この間隔は、外部から有線通信もしくは無線通信を介して判断部31へ入力されることで決定されてもよいし、予め記憶部32に点灯間隔のデータが記憶されており、判断部31は記憶部32を参照することで点灯間隔情報を入手して決定してもよい。ここの間隔は、例えば、2メートルや3メートルといった間隔であり、所謂、人と人との密集を避ける距離として推奨されている距離であったり、人と人との間の社会的距離として推奨されている距離であったりする。
【0038】
次に、判断部31で消灯照明部を決定するステップ(ステップS33)が実行される。消灯照明部は、消灯させる(現在点灯状態から消灯状態にすること、現在消灯状態から消灯状態のままにすること、の両方を含む。以下同じ)照明部10のことであり、例えば、第1点灯照明部に決定された照明部10との位置関係において、点灯間隔以上の距離を保つことができない照明部10が選定され、決定される。
【0039】
次に、判断部31で、第2点灯照明部を決定するステップ(ステップS34)が実行される。第2点灯照明部は任意的に点灯させる照明部10である。第2点灯照明部は、照明部10のうち、第1点灯照明部に決定された照明部10と、消灯照明部10に決定された照明部10と、を除くその他の照明部10から選定され、決定される。つまり第2点灯照明部は、第1点灯照明部に決定された照明部10との位置関係において、点灯間隔以上の距離を保つことが可能な照明部10である。上述したように、第2点灯照明部は任意的に選定可能であり、その他の照明部10全てを選定し決定してもよいし、その他の照明部10の一部を選定し決定してもよい。
【0040】
以上のステップS31~S34によって、環境A内で、点灯させる照明部10(第1点灯照明部、第2点灯照明部)と消灯させる照明部10(消灯照明部、その他の照明部のうち第2点灯照明部に設定されなかった照明部)が決定され、照明パターンが定まり、図6に示す照明パターンを決定するステップ(ステップS3)が完了する。そして説明は図5に戻り、ステップS3で決定された照明パターンに基づく制御指令が処理部30から制御部40へ送信され(ステップS4)、この制御指令を受け取った制御部40が、その制御指令に則って照明部10それぞれを制御する(ステップS5)。このような流れで、照明制御システム1の一連の照明制御が実行される。
【0041】
なお、環境Aに複数人が入って来た状況において、処理部30が、複数の第1点灯照明部どうしの間隔が、点灯間隔の条件を満たしていないと判断した場合は、制御部40へ、条件を満たしていない第1点灯照明部を点滅動作させる指令を出し、制御部40が第1点灯照明部を点滅制御してもよい。この点滅制御は、例えば、適切な距離を保てていないことを直下の人に知らせる注意喚起であり、注意喚起になりうるのであればいかなる制御内容であってもよい。(例えば、点灯色変更など)
以上のように、照明制御システムで照明制御が行われた環境Aにおいては、第1点灯照明部と、第2点灯照明部と、が点灯している状態となる。第1点灯照明部の直下は既に人が滞在しているが、第2点灯照明部の直下は、後から環境Aに入って来た人に滞在してもよい領域であることを示唆するものである。上述したステップで、第2点灯照明部の直下は、第1点灯照明部の直下から適切な間隔が設けられているので、後から環境Aに入って来た人が滞在しても問題はない。
【0042】
後から環境Aに入って来た人(1名でも複数人でもよい)が、いずれかの第2点灯照明部の直下に滞在した場合、照明部の近傍の検知部での検知情報が「検知中」に更新されるため、再び照明制御システム1の照明制御が実行される。この時は、先に第1点灯照明部に決定された照明部と、後から環境Aに入って来た人が滞在した領域を照射している照明部と、が第1点灯照明部として決定され処理が行われる。先に環境Aに入って来た人が、既に環境Aに滞在していない場合は、後から環境Aに入って来た人が滞在した領域を照射している照明部だけを第1点灯照明部として決定してもよい。このように、環境Aへの人の出入りにより検知部での検知情報が更新されるたびに上述した処理が実行され、照明制御の内容が更新される。
【0043】
なお、照明部10から紫外光が照射されている場合は、いずれかの検知部20で検知動作が行われ、その検知情報を処理部30へ送信した段階で、処理部30から制御部40へ紫外光を消灯する指令が出される。そして、制御部40が全ての照明部10の紫外光光源を消灯するように制御する。
【0044】
次に具体例をあげて上記に記したステップを説明する。条件としては、図4の入口から人が入ってきて、照明部10fの直下と、照明部10gの直下と、照明部10hの直下と、を通り、照明部10iの直下に滞在したとする。
【0045】
まずステップS1にて、照明部10fの近傍に配設された検知部20f、照明部10gの近傍に配設された検知部20g、照明部10hの近傍に配設された検知部20h、照明部10iの近傍に配設された検知部20iの4つの検知部20で検知動作が行われ、検知情報が取得される。例えば、検知部20(検知部20a~20t)での検知情報は図7に示すものとなる。検知部20f、検知部20g、検知部20h、検知部20iでは、人を検知し検知動作が行われたため、その検知が継続して行われた時間が検知情報として取得される。検知部20iにおいては、検知範囲に人が滞在しており、検知が継続中であるため、継続検知中である旨が検知情報として取得される。
【0046】
次にステップS2にて、新しく検知情報を取得した(検知情報が更新された)検知部20f、検知部20g、検知部20h、検知部20iから、それぞれ処理部30へ検知情報の送信が行われる。そして、今回の例では、検知部データの送信と共に、それぞれの検知部の個別IDが送信されているとする。つまり、検知部20fは、「2秒」という検知情報と、「20f」という個別IDを処理部30へ送信する。
【0047】
次にステップS3の処理が行われる。まずステップS31にて、それぞれの検知部20から処理部30へ送信されたデータ等から、処理部30の判断部31が第1点灯照明部を決定する。今回は、検知部20iが「検知中」であるため、検知部20iに関連付けられた照明部10を第1点灯照明部として判断する流れとなる。ここでは、例えば、図8に示すような対応表を参照する。図8の対応表を参照すると、検知部20iに関連付けられた照明部は照明部10iであるため、判断部31は、照明部10iを第1点灯照明部として決定する。なお、図8に示す対応表は、記憶部32に記憶されていたり、外部から入力されたりする。
【0048】
なお、照明部10から紫外線が照射されている場合は、処理部30が最も早く検知情報を送信する検知部20fから検知情報を受信した段階で、処理部30から制御部40へ紫外光光源を消灯する指令が出され、紫外光光源が消灯される。
【0049】
次にステップS32にて、点灯間隔が決定される。今回は、記憶部32に点灯間隔の情報として「3メートル」が記憶されており、判断部31は、記憶部32を参照することで、点灯間隔の情報を入手し、点灯間隔を「3メートル」と決定する。
【0050】
次にステップS33にて、消灯照明部が決定される。消灯照明部は、第1点灯照明部から点灯間隔以上の距離が離れていない照明部10から選定されるため、今回の例では、第1点灯照明部(照明部10i)からの距離が点灯間隔(3メートル)未満のものが消灯照明部として選定される。図9に今回の具体例での状況を示す。図9においては、分かりやすくするため第1点灯照明部(照明部10i)を中心とした半径3メートルの仮想円を図示しており、この円よりも内側に位置する照明部10(照明部10d、10h、10j、10n)はが、第1点灯照明部(照明部10i)からの距離が点灯間隔(3メートル)未満であるため消灯照明部として選定され決定される。この消灯照明部を決定する際は、例えば、記憶部32には照明部10それぞれの配設位置を示す位置情報が記憶されており、判断部31がこの位置情報を参照して、消灯照明部となる照明部10を判断する。
【0051】
上述した位置情報は、例えば、環境A内の絶対座標で定義される絶対位置情報であったり、環境A内の任意の1点を基準とする相対位置情報であったりする。この相対位置情報は、第1点灯照明部が決定された(ステップS31が完了した)段階で、絶対位置情報から変換されてもよく。この場合、第1点灯照明部となった照明部を基準とする相対位置情報に変換される。今回の例では、全ての照明部10の絶対位置情報が、第1点灯照明部(照明部10i)からの相対位置情報に変換される。この相対位置情報とは、例えば、第1点灯照明部からそれぞれの照明部までの距離である。この変換は、予め記憶部32に全パターン記憶がされていてもよいし、判断部31の判断の過程において都度変換されてもよい。
【0052】
次にステップS34にて、第2点灯照明部が決定される。今回のケースでは、第1点灯照明部(照明部10i)と、消灯照明部(照明部10d、10h、10j、10n)と、を除く照明部10が第2点灯照明部候補のその他の照明部10(今回は全15個の照明部10)となる。この、その他の照明部10は、全てを第2点灯照明部として決定してもよいし、その一部を第2点灯照明部として決定してもよい。
【0053】
図10(a)、(b)に第2点灯照明部を決定する一例を示す。なお、図10(a)、(b)においては、点灯している照明部を黒丸で、消灯している照明部を白丸で表現しており、第1点灯照明部(10i)以外の点灯している照明部10が、第2点灯照明部である。図10(a)は、その他の照明部10の全てを第2点灯照明部として選定し決定した例である。しかし、図10(a)の状態では、既に人が滞在している照明部10iの直下が必要以上に強調されて見えるケースもある。この場合、図10(b)に示す状態のように制御してもよい。図10(b)は、その他の照明部10の一部を第2点灯照明部として選定し、決定し例であり、第1点灯照明部と、第2点灯照明部と、が一定の法則に則って点灯パターンを形成するように点灯している。なお、図10(b)に示す点灯パターンは一例であり、任意の点灯パターンが採用可能である。
【0054】
上述した実施形態では、消灯照明部を決定するステップS33において、第1点灯照明部からの点灯間隔を判断する際にそれぞれの照明部10の配設位置で判断していたが、それぞれの照明部10の光照射範囲で判断してもよい。この場合判断部31は、照明部10それぞれの配設位置を示す絶対位置情報もしくは相対位置情報と、照明部10それぞれの配光角度データ、照明部10から床面までの高さデータ、などを用いて照明部10の光照射範囲を推定する。そして、第1点灯照明部の光照射範囲から、点灯間隔以上の距離が離れていない光照射範囲を有する照明部を消灯照射部に選定する。
【0055】
光照射範囲の間隔で判断する例を図11に示す。図11においては、それぞれの照明部10の光照射範囲は破線で示すように推定されているとする。なお、図11は一例を示すものであり、各照明部10の光照射範囲は重なるように構成されていてもよい。このとき、第1点灯照明部である照明部10iの光照射範囲の端部(外周)から、点灯間隔(3メートル)未満の距離が離れた照明部10を消灯照射部に選定する。図11においては、わかりやすくするために第1点灯照射部の光照射範囲の端部(外周)から3メートル以内の領域を点線の円で示している。この点線の領域内に光照射領域を有する照明部10である、照明部10c、10d、10e、10h、10j、10m、10n、10oが消灯照射部には選定される。人は光照射範囲内であればいずれの箇所にも滞在しうるため、光照射範囲で処理を行うことで、より厳密な管理が可能である。
【0056】
以上のように、第1点灯照明部と、消灯照明部と、第2点灯照明部と、が決定されることで、照明パターンが決定されステップS3が完了する。その後、処理部30はその照明パターンに基づく制御指令を制御部40に送信(ステップS4)し、制御部40がその制御指令に基づいて照明部10を制御(ステップS5)する。つまりこの照明パターンは可視光光源による照明パターンであるため、制御部40は、第1点灯照明部の可視光光源と、第2点灯照明部の可視光光源と、を所定の照明態様で点灯するように制御する。なお、図10(a)に示した点灯パターンの場合は、新たに環境Aに人が入室して検知動作が行われるたびに上述した処理が行われる。
【0057】
そして、照明部10が紫外光光源を備えている場合は、照明部10のうち可視光を消灯するように制御された照明部については、紫外光光源を点灯するように制御されてもよい。この場合も、上述したように次の検知動作が行われた段階や、外部から人の入室を検知した段階で、紫外光光源は消灯される。
【0058】
また、検知部10での検知情報が検知中であった場所において、検知情報が検知中でなくなった場合(人がいなくなった場合)は、当該検知部10に関連付けられた照明部10において、紫外光光源を点灯するように照明制御されてもよい。このような照明制御をすることで、人が使った場所を適切に殺菌することが可能となる。なお、この制御をする際は、新しく環境Aに入って来た人が滞在しないように、可視光光源を消灯することが望ましい。
【0059】
上述した例では、検知部20が人感センサのような人の存在を検知するセンサである例を紹介したが、例えば、人感センサと合わせて温度センサ、対流センサ、気圧センサ、画像センサ、距離センサ、などを備えていてもよい。
【0060】
検知部20が人感センサと合わせて温度センサを搭載している場合は、人の存在を検知するとともに、その人の体温も検知する。その人の体温が高い場合は、感染病に罹患している虞があるため、人と人との間に適切な距離としては長めのものを設定することが好ましい。そのため、温度センサで検知した値が高い場合、ステップS32で決定される点灯間隔は長いものが決定される。(例えば、4メートル、5メートルなど)
検知部20が人感センサと合わせて対流センサもしくは気圧センサを搭載している場は、人の存在を検知するとともに、環境Aの空気の流れを検知する。例えば、外からの空気の取り入れ(空気の循環)が悪い場合は、空気中に菌が滞留する可能性があるので、人と人との間に適切な距離としては長めのものを設定することが好ましい。この場合、ステップS32で決定される点灯間隔は長いものが決定される。反対に、外からの空気の取り入れ(空気の循環)が良い場合は、空気中に菌が滞留する可能性が低いので、人と人との間に適切な距離としては短めのものを設定することも可能である。この場合、ステップS32で決定される点灯間隔は短いものが決定される。(例えば、1メートル、2メートルなど)
検知部20が人感センサを合わせて距離センサを備えている場合は、検知部20から人までの距離を測定することで、人が滞在している箇所を特定することが可能である。このとき、検知部20もしくは処理部30は、環境Aの天井高さの値が記憶されていることが好ましい。検知部20は天井に配設されているため、検知部20で検知された距離と、天井までの距離と、を用いて三角関数を用いると、人が検知部20からどの程度離れているか導出可能である。人が滞在している箇所を特定することで、消灯照明部を決定する際に、人の座標を中心に範囲を定めることができるため、より厳密な管理を行うことが可能となる。なお、複数の検知部20から距離センサでの検知結果を処理部30へ送信し、処理部30で、各検知部20で検知された距離センサの検知結果から、人と人との間隔を推定して、その結果に基づき照明部10を制御してもよい。
【0061】
もちろん、これらのセンサの実施形態においても、温度センサ、対流センサ、気圧センサでの検知結果が好ましいものでない(例えば、温度センサの場合は体温が高い、対流センサや気圧センサの場合は空気の循環が悪い)場合は、上述したような第1点灯照明部での注意喚起を行う照明制御を行ってもよい。
【0062】
さらに、検知部20はカメラや画像センサであってもよい。この場合、ステップS1で検知部20にて取得される検知情報は、静止画や動画である。そして、ステップS2で、この検知情報が検知部20から処理部30へ送信され、検知情報を受け取った処理部30の判断部31で、この検知情報に基づいて照明パターンを決定するステップ(ステップS3)が行われる。検知情報が静止画や動画である場合に、判断部31で行われる処理の一例を以下に示す。
【0063】
例えば、判断部31は、静止画と動画といった検知情報内に人が存在し続けているかを判断する。この場合、人を検知した検知部20は、検知してから一定時間は検知情報を取得し続け(静止画の場合は一定間隔で撮影、動画であれば連続撮影する)、その検知情報を処理部30の判断部31へ送信する。検知情報を受け取った判断部31は、検知情報内の人の位置を検出して、その人が移動しているか、滞在しているかを判断する。例えば、時間と共に人の位置が変わっている場合は移動していると判断し、時間と共に人の位置が変わらない場合は滞在していると判断する。人が滞在していると判断できる場合は、第1点灯照明部を決定することができるため、上述したステップ(S31~S34)をそのまま実行することができる。なお、ここでの一定時間とは、例えば、10秒であるが、人の歩行速度の平均値と、検知部20での検知範囲から、人が一般的な速度で検知範囲を通り過ぎた場合にかかる時間を算出して当てはめてもよい。
【0064】
また別の例では、検知情報を受け取った判断部31は、上述した人が滞在しているかの判断に加えて、検知情報内の人の属性を判断する。例えば、判断部31は、検知情報内の人がマスクを着けているかどうかを判断する。検知情報内の人がマスクを着けていると判断した場合は、感染症の飛沫感染によるリスクを低減することが可能なため、ステップS32の点灯間隔を決定するステップにおいて、狭い点灯間隔に決定する。反対に、検知情報内の人がマスクを着けていないと判断した場合は、感染症の飛沫感染によるリスクが高いため、ステップS32の点灯間隔を決定するステップにおいて、広い点灯間隔に決定する。
【0065】
また別の例では、検知情報を受け取った判断部31は、上述した人が滞在しているかの判断に加えて、検知情報内の人の顔の向きを判断する。判断部31が判断した人の顔の向きは、ステップS32の点灯間隔を決定するステップにおいて参照され、人の顔が向かっている方向は飛沫が飛ぶ可能性が高いため広い点灯間隔に決定し、人の顔が向かっていない方向は飛沫が飛ぶ可能性が低いため狭い点灯間隔に決定する。この場合、第1点灯照明部の周囲において、点灯間隔は一律ではなく、人の顔の向きに応じて異なる間隔が決定される。
【0066】
さらに別の例では、検知情報を受け取った判断部31は、上述した人が滞在しているかの判断に加えて、検知情報内の什器の属性を判断する。ここでの什器とは、机、椅子、本棚、パーテーション、キャビネットなど一般的なオフィスやカフェなどの環境に配設されるもの。そして、什器の属性とは、什器の種類、向き、大きさなどである。例えば、判断31は検知情報から什器の属性として、椅子の種類を判断する。そして、椅子が、座る方向を変えられないソファのような椅子であれば、ステップS32の点灯間隔を決定するステップにおいて、座った人の顔が向く方向の点灯間隔が広くなるように決定する。また、椅子が、座る方向を自由に変えられるような椅子であれば、ステップS32の点灯間隔を決定するステップにおいて、点灯間隔が狭くなる方向が無いように決定する。また例えば、什器が棚などの場合は、棚の裏側に滞在する人はおおよそいないため、棚の裏側方向の点灯間隔を狭くするように決定する。このように、判断部31で什器の種類、向き、サイズなどを判断することで、ステップS32における点灯間隔を柔軟に変化させることが可能となる。
【0067】
上述した実施形態では、環境Aに人が入った後の照明制御を示すものであるが、別の実施形態では、環境Aに人が入る前から照明が制御されていてもよい。処理部30は外部からの情報を受信したり、外部に情報を送信したりする通信部を備えており、処理部30は外部から受信した情報に基づき照明部10を制御する。処理部30は、例えば、地域の情報を受信し、その情報に基づき照明部10を制御する。ここでの地域の情報とは、例えば、環境Aが属する都道府県ないし区市町村での感染症の感染者の有無情報である。感染者が発生した情報を受信した処理部30は、例えば、図10(b)のように人が滞在してもよいことを示す点灯する照明部10が点在するように照明部10を制御する。この点在する照明部10は、それぞれが社会的間隔として推奨される間隔以上の間隔を開けて点灯するように処理部30は制御部40へ制御指令を出す。なお、このような制御は1日中行ってもよいし、午前のみ行ってもよいし、午後のみ行ってもよい。または、環境Aに多くの人が来る時間帯のみ行ってもよい。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1 照明制御システム
10 照明部
20 検知部
30 処理部
31 判断部
32 記憶部
40 制御部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10(a)】
図10(b)】
図11