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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054026
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】照明器具、操作器及び照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/18 20200101AFI20220330BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20220330BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20220330BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20220330BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20220330BHJP
【FI】
H05B47/18
H05B47/19
H05B45/10
H05B45/20
H05B47/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020160986
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】伊丹 和章
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA05
3K273QA28
3K273QA29
3K273QA37
3K273RA16
3K273SA17
3K273SA19
3K273SA35
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA22
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273UA15
3K273UA18
3K273UA22
(57)【要約】
【課題】照明部の作動状態が操作器での作動指令に対応しているかを確認できる照明器具、操作器及び照明システムを提供すること
【解決手段】実施形態によれば、照明システムは、照明器具及び操作器を具備する。照明器具の送信部は、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて定期的に照明部の制御信号を送信する。操作器は、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて定期的に受信した制御信号の制御内容と、送信した作動指令の指令内容との両方を一緒に告知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を照射する照明部と;
IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて送信された前記照明部の作動に関する作動指令に基づいて、制御信号を生成する制御部と;
前記制御信号を、前記IP通信及び前記イーサネットの少なくとも一方を用いて、定期的に送信する送信部と;
を備える、照明器具。
【請求項2】
IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて送信された照明器具の照明部の作動に関する制御信号を、前記照明器具から定期的に受信する受信部と;
前記制御信号の制御内容と、前記IP通信及び前記イーサネットの少なくとも一方を用いて送信した前記照明部の作動に関する作動指令の指令内容と、の両方を一緒に告知する告知部と;
を備える、操作器。
【請求項3】
照明光を照射する照明部を備える照明器具と;
IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて、前記照明部の作動に関する作動指令を送信する操作器と;
を具備し、
前記照明器具は、
前記操作器からの前記作動指令、及び、前記操作器以外の操作端末からの前記照明部の作動に関する作動指令のいずれかに基づいて、制御信号を生成する制御部と;
前記制御信号を、前記IP通信及び前記イーサネットの少なくとも一方を用いて、定期的に送信する送信部と;
を備え、
前記操作器は、前記照明器具の前記送信部からの前記制御信号の制御内容と、送信した前記作動指令の指令内容と、の両方を一緒に告知する告知部を備える、
照明システム。
【請求項4】
前記操作器以外の前記操作端末のいずれかは、インターネットを介して、前記照明器具に接続可能である、
請求項3に記載の照明システム。
【請求項5】
前記操作器及び前記操作端末の少なくとも一方の通信規格に対応する信号と、前記照明器具の通信規格に対応する信号とを相互に変換可能である中間機器をさらに具備する、
請求項3に記載の照明システム。
【請求項6】
前記中間機器は、複数の前記作動指令を受信した場合に、設定された処理方法に基づいて前記作動指令を処理する、
請求項5に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明器具、操作器及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED(Light Emitting Device)が照明器具に使用されることが多い。LEDが使用された照明器具では、調光機能が照明器具側に設けられている。このような照明器具は、常設の調光操作卓、持込調光操作卓、バックアップ機器等の複数の制御系統からIP(Internet Protocol)通信等のネットワークを用いて送信される作動指令に基づいて、制御される。例えば、照明器具に設けられる制御部が、これらの作動指令に基づいて、照明器具の照明部の制御信号を生成する。照明部は、この制御信号に基づいて作動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-117566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような照明器具では、前述のように照明部の制御信号が生成されるため、例えば、調光操作卓からIP通信等のネットワークを用いて送信した作動指令と照明部の制御信号とが異なる場合がある。そのため、照明器具での照明部の作動状態が調光操作卓等の操作器での作動指令に対応しているかを確認できることが求められている。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、照明部の作動状態が操作器での作動指令に対応しているかを確認できる照明器具、操作器及び照明システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、照明器具は、照明光を照射する照明部と、制御部と、送信部と、を備える。制御部は、IP通信及びイーサネット(登録商標)の少なくとも一方を用いて送信された照明部の作動に関する作動指令に基づいて、制御信号を生成する。送信部は、制御信号を、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて、定期的に送信する。
【0007】
実施形態によれば、操作器は、受信部と、告知部と、を備える。受信部は、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて送信された照明器具の照明部の作動に関する制御信号を、照明器具から定期的に受信する。告知部は、制御信号の制御内容と、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて送信した照明部の作動に関する作動指令の指令内容と、の両方を一緒に告知する。
【0008】
実施形態によれば、照明システムは、照明器具と、操作器と、を具備する。照明器具は、照明光を照射する照明部を備える。操作器は、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて、照明部の作動に関する作動指令を送信する。照明器具は、制御部と、送信部と、を備える。制御部は、操作器からの作動指令、及び、操作器以外の操作端末からの照明部の作動に関する作動指令のいずれかに基づいて、制御信号を生成する。送信部は、制御信号を、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて、定期的に送信する。操作器は、告知部を備える。告知部は、照明器具の送信部からの制御信号の制御内容と、送信した作動指令の指令内容と、の両方を一緒に告知する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、照明部の作動状態が操作器での作動指令に対応しているかを確認できる照明器具、操作器及び照明システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る照明システムの一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る照明システムにおいて、操作者に告知される照明器具の状態を表示する画面の一例である。
図3図3は、実施形態に係る照明システムにおける制御信号及び作動指令の送受信の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態の照明器具(101,102)は、照明光を照射する照明部(106)と、制御部(109)と、送信部(108)と、を備える。制御部(109)は、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて送信された照明部(106)の作動に関する作動指令に基づいて、制御信号を生成する。送信部(108)は、制御信号を、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて、定期的に送信する。これにより、照明部(106)の作動状態が、操作器(103)での作動指令に対応しているかどうかを確認できる。
【0012】
実施形態の操作器(103)は、受信部(111)と、告知部(113)と、を備える。受信部(111)は、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて送信された照明器具(101,102)の照明部(106)の作動に関する制御信号を、照明器具(101,102)から定期的に受信する。告知部(113)は、制御信号の制御内容と、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて送信した照明部(106)の作動に関する作動指令の指令内容と、の両方を一緒に告知する。これにより、照明部(106)の作動状態が、操作器(103)での作動指令に対応しているかどうかを確認できる。
【0013】
実施形態の照明システム(100)は、照明器具(101,102)と、操作器(103)と、を具備する。照明器具(101,102)は、照明光を照射する照明部(106)を備える。操作器(103)は、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて、照明部(106)の作動に関する作動指令を送信する。照明器具(101,102)は、制御部(109)と、送信部(108)と、を備える。制御部(109)は、操作器(103)からの作動指令、及び、操作器(103)以外の操作端末(104,105)からの照明部(106)の作動に関する作動指令のいずれかに基づいて、制御信号を生成する。送信部(108)は、制御信号を、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて、定期的に送信する。操作器(103)は、告知部(113)を備える。告知部(113)は、照明器具(101,102)の送信部(108)からの制御信号の制御内容と、送信した作動指令の指令内容と、の両方を一緒に告知する。これにより、照明部(106)の作動状態が、操作器(103)での作動指令に対応しているかどうかを確認できる。
【0014】
実施形態の照明システム(100)では、操作器(103)以外の操作端末(104,105)のいずれかは、インターネットを介して、照明器具(101,102)に接続可能である。これにより、操作端末(104)の操作者等は、インターネットを介して、照明器具(101,102)の作動状態を確認できる。
【0015】
実施形態の照明システム(100)では、中間機器(115)をさらに具備する。中間機器(115)は、操作器(103)及び操作端末(104,105)の少なくとも一方の通信規格に対応する信号と、照明器具(101,102)の通信規格に対応する信号とを相互に変換可能である。これにより、通信規格が異なる照明器具(101,102)、操作器(103),操作端末(104,105)が照明システム(100)で使用可能となる。
【0016】
実施形態の照明システム(100)では、中間機器(115)が、複数の作動指令を受信した場合に、設定された処理方法に基づいて作動指令を処理可能である。これにより、例えば、照明器具(101,102)が作動指令の合成(マージ)機能を有していない場合であっても、照明器具(101,102)を照明システム(100)に組み込むことができる。
【0017】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態では、IP通信を用いて機器が通信する場合を記載するが、これに限定されるものではない。機器間の通信は、例えば、イーサネットを用いて通信してもよい。すなわち、機器間の通信は、DMX(Digital MutipleX)やRDM(Remote Device Management)等の照明関連の機器固有の通信規格と比べて、高速かつ大容量に通信できる通信規格を用いて、互いに作動指令及び制御信号を送受信できるものであればよい。通信規格には、通信に用いられる通信手順、通信に用いられる物理的な規格(インターフェース、ケーブル等)が含まれる。
【0018】
図1は、実施形態に係る照明システム100の一例を示す。図1に示すように、照明システム100は、1つ以上の照明器具101,102、操作器103、1つ以上の操作端末104,105を備える。図1の一例では、複数の照明器具101,102が設けられる。照明器具101,102は、例えば、スタジオや劇場等に設置されるムービングライト、スポットライト、フラッドライト、ダウンライト等である。図1では、照明器具101等が、IP通信により通信する場合を、実線の矢印を用いて示す。また、照明器具101等が、IP通信以外の通信規格で通信する場合を、破線の矢印を用いて示す。また、本実施形態の照明器具101,102では、照明器具101,102のそれぞれにおいて、DMXアドレスが設定される。DMXアドレスは、DMXのデータの中でどの番号のデータを使用するかを設定する番号である。また、照明器具101,102のそれぞれは、器具IDを有する。器具IDは、照明器具101,102のそれぞれにおいて固有のIDである。
【0019】
照明器具101のそれぞれは、照明部106、受信部(照明器具側受信部)107、送信部(照明器具側送信部)108、制御部109を備える。照明部106は、LED等の発光素子を備える。照明部106では、発光素子で発光した光が、照明光として照射される。照明器具側受信部107及び照明器具側送信部108は、IP通信を用いて、他の照明関連の機器と通信する。すなわち、照明器具101は、IP通信を用いて、他の照明関連の機器と通信できる。ある一例では、照明器具101は、操作器103及び操作端末104と、IP通信により通信する。照明器具101は、例えば、Art-NetやsACN(streaming Architecture for Control Network)等のプロトコルを使用する。ただし、DMX信号がIP通信を介して送受信できるプロトコルであれば、これに限られるものではない。また、照明器具101には、ユーザインタフェースが設けられてもよい。ユーザインタフェースでは、操作者によって各種の操作等が入力されるとともに、操作者に告知する情報等が表示等によって告知される。ある一例では、ユーザインタフェースは、ディスプレイ、タッチパネル等を含む。なお、ユーザインタフェースは、照明器具101とは別体に設けられていてもよい。
【0020】
制御部109は、照明器具101を制御する。制御部109は、1つ以上のコンピュータから構成され、プロセッサ及び記憶媒体を備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及び、DSP(Digital Signal processor)等のいずれかを含む。記憶媒体には、メモリ等の主記憶装置に加え、補助記憶装置が含まれ得る。記憶媒体としては、例えば、半導体メモリ等が挙げられる。制御部109では、プロセッサ及び記憶媒体のそれぞれは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。制御部109では、プロセッサは、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を行う。
【0021】
照明器具102は、照明器具101と同様の構成を備える。ただし、照明器具102は、IP通信の通信規格による信号を送信または受信できない。照明器具102は、DMXやRDM等の照明関連の機器固有の通信規格を用いて、他の照明関連の機器と通信できる。
【0022】
操作器103は、制御部110、受信部(操作器側受信部)111、送信部(操作器側送信部)112、告知部113を備える。操作器103は、例えば、スタジオや劇場等に設置される常設の調光操作卓である。制御部110は、前述の制御部109と同様に、1つ以上のコンピュータから構成され、プロセッサ及び記憶媒体を備える。ただし、プロセッサによって実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークを介して接続されたコンピュータ(サーバ)、又は、クラウド環境のサーバ等に格納されてもよい。この場合、プロセッサは、ネットワーク経由でプログラムをダウンロードする。ネットワークとしては、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、移動体通信網、Bluetooth(登録商標)などが挙げられる。操作器側受信部111及び操作器側送信部112は、IP通信を用いて、他の照明関連の機器と通信する。告知部113では、操作者に告知する情報等が表示等によって告知される。ある一例では、告知部113は、ディスプレイ、タッチパネル等を含む。告知部113は、操作器103とは別体に設けられていてもよい。また、操作器103には、ユーザインタフェースが設けられてもよい。ユーザインタフェースでは、操作者によって各種の操作等が入力される。ある一例では、ユーザインタフェースは、ディスプレイ、タッチパネル等を含む。なお、ユーザインタフェースは、操作器103とは別体に設けられていてもよい。
【0023】
操作端末104も、操作器103と同様に構成される。操作端末104は、プロセッサ及び記憶媒体を備え、プロセッサ及び記憶媒体のそれぞれは、操作器103と同様にして構成される。操作端末104は、例えば、スタジオや劇場等に持ち込まれる持込操作端末、スタジオや劇場等に設置されるバックアップ端末である。また、操作端末104は、インターネット等のネットワークを介して接続してもよい。この場合、操作端末104は、例えば、スマートデバイス、コンピュータ等であってもよい。また、操作端末104は、スタジオや劇場等の照明器具が設置された空間(部屋)内から接続してもよく、スタジオや劇場等の照明器具が設置された空間(部屋)外から接続してもよい。スタジオや劇場等の照明器具が設置された空間(部屋)外とは、例えば、操作端末104が配設された操作室であったり、スタジオや劇場の建物の外(例えば、スタジオ外のカフェ、操作端末104の操作者の自宅など)であったりする。
【0024】
操作器103及び操作端末104のそれぞれは、操作者等がユーザインタフェースを介して、照明器具101,102の作動に関する操作を入力可能である。操作器103等では、操作器側送信部112が、操作者等の操作入力に基づいて、照明器具101,102の作動に関する指令(作動指令)を出力する。操作器103等では、操作器側送信部112が、IP通信を用いて、照明器具101,102の作動指令を、照明器具101,102に送信する。操作器103等は、照明器具101と同様に、例えば、Art-NetやsACN等のプロトコルを使用する。ただし、DMX信号がIP通信を介して送受信できるプロトコルであれば、これに限るものではない。
【0025】
照明器具101,102の作動指令は、照明器具101,102の照明光の明るさに関する指令である調光信号を含む。照明器具101,102の照明光の明るさに関する指令(調光信号)の指令内容としては、例えば、照明器具101,102の特定の1つにおいて調光率を50%にすること等が、挙げられる。ある一例では、1つ以上の照明器具101,102は、照明光の光色が変化できる。そして、照明器具101,102の作動指令は、照明光の光色が変化可能な照明器具における照明光の光色に関する指令である調光信号を含む。別のある一例では、1つ以上の照明器具101,102は、姿勢を制御する等して、照明光の照射方向を変化できる。照明器具101,102の作動指令は、照明光の照射方向が変化可能な照明器具における照明光の照射方向に関する指令を含む。操作器103及び操作端末104は、操作入力に少なくとも対応した指令内容で、指令を出力する。
【0026】
操作端末105は、操作器103及び操作端末104と同様の構成を備える。ただし、操作端末105は、IP通信以外の通信規格を用いて、照明器具101,102の作動指令を照明器具101,102に送信する。すなわち、操作端末105は、IP通信を用いて、照明器具101,102の作動指令を送信できない。操作端末105は、IP通信以外の通信規格として、例えば、DMX、RDM等の通信規格を用いる。
【0027】
照明システム100は、接続装置114を備えていてもよい。接続装置114は、照明器具101、操作器103及び操作端末104と、IP通信を用いて通信する。接続装置114は、例えば、スイッチングハブ、ルーター等である。本実施形態では、操作器103及び複数の操作端末104が、接続装置114に接続することで、作動指令を1つ以上の照明器具101,102に送信する。
【0028】
照明システム100は、中間機器115を備えていてもよい。中間機器115は、IP通信を用いて送信された作動指令の指令信号を、照明機器固有の通信規格に対応する指令信号に変換する。本実施形態では、中間機器115は、操作器103及び操作端末104がIP通信を用いて送信した作動指令のネットワーク信号を、DMX信号に変換して、DMX信号を受信可能な照明器具102に送信する。また、中間機器115は、IP通信を用いて送信された複数の作動指令をDMX信号に変換するとともに、中間機器115に設定された処理方法に基づいて作動指令を処理して照明器具102に送信可能である。ある一例では、中間機器115は、DMXノードである。この場合、中間機器115に設定された処理方法としては、例えば、HTP(Highest Takes Precedence)、LTP(Latest Takes Precedence)等が挙げられる。
【0029】
前述したように、照明システム100では、照明器具101,102は、操作器103及び操作端末104のそれぞれから送信された複数の作動指令に基づいて、照明光の明るさや照明光の照射方向を調整する。すなわち、照明器具101,102では、照明器具側受信部107が前述の作動指令を受信し、制御部109が、作動指令に基づいて、照明部106の照明光の明るさや照明光の照射方向を制御する。制御部109は、複数の作動指令に基づいて制御信号を生成し、照明部106を制御する。また、制御信号は、照明器具が有する手元調光機能及び自動点灯機能等によって、変化する場合もある。そのため、操作器103から送信された作動指令の指令内容及び操作端末104から送信された作動指令の指令内容と、制御部109が照明部106を制御する制御信号の制御内容とは、一対一に対応しないことがある。この場合、操作器103及び操作端末104のそれぞれでは、照明器具101,102が、操作器103の作動指令に基づいて動作しているのか、操作端末104の作動指令に基づいて動作しているのか、確認することができない。
【0030】
このような場合、照明器具101,102の作動状態が正常ではない、すなわち異常である場合、異常の原因の特定が難しい。そのため、操作器103及び操作端末104のそれぞれにおいて照明器具101,102の作動状態を確認できることが重要である。本実施形態の照明システム100では、後述するように、照明器具101,102の照明器具側送信部108が、照明部106の制御信号を、定期的に操作器103及び操作端末104の少なくとも一方に送信する。操作器103及び操作端末104の少なくとも一方が、送信された照明部106の制御信号を定期的に受信する。制御信号を受信した操作器103等の告知部113では、制御信号の制御内容と作動指令の指令内容とを一緒に告知する。これにより、操作器103及び操作端末104の少なくとも一方では、照明器具101,102の作動状態を確認できる。
【0031】
なお、照明器具101、102から送信される制御信号(送信制御信号と呼ぶ)は、照明器具101、102の照明部106を制御する制御信号(照明制御信号と呼ぶ)そのものでなくてもよい。すなわち、送信制御信号は、照明器具101、102又は照明部106の作動状態を含むものであればよい。ある一例では、送信制御信号は、照明制御信号の一部のみを含む信号である。別のある一例では、送信制御信号は、照明制御信号に付加信号を加えた信号である。
【0032】
照明器具101は、前述のように、IP通信を用いて作動指令を受信できる。この場合、操作器103では、操作器側送信部112が、IP通信を用いて照明器具101の作動指令を送信する。送信された作動指令は、接続装置114を経由して、照明器具101の照明器具側受信部107により受信される。制御部109は、照明器具側受信部107から作動指令を受け取る。
【0033】
照明器具101の制御部109は、作動指令を受け取ると、作動指令に基づいて、照明部106の制御に用いられる制御信号を生成する。制御信号は、作動指令の指令内容に基づいて生成される。制御部109は、制御信号に基づいて照明部106を制御する。制御部109は、照明器具側送信部108に、照明部106を制御する制御信号を出力する。照明器具側送信部108は、制御信号を操作器103に送信する。この場合、制御信号は、IP通信を用いて送信される。送信された制御信号は、接続装置114を経由して、操作器103の操作器側受信部111により受信される。操作器103の制御部110は、操作器側受信部111から制御信号を受け取る。
【0034】
操作器103の制御部110は、照明器具101に送信した作動指令の指令内容と、制御信号の制御内容とを比較する。操作器103の送信した作動指令の指令内容と、制御信号の制御内容が一致している場合、操作器103は告知部113を用いて操作者等に制御信号の制御内容が作動指令の指令内容と一致していることを告知する。操作器103の送信した作動指令の指令内容と制御信号の制御内容とが一致していない場合、操作器103は告知部113を用いて、操作者等に、制御信号の制御内容が作動指令の指令内容と一致していないことを告知する。
【0035】
照明器具101の照明器具側送信部108は、前述した制御部109の制御信号の送信を定期的に実行する。ある一例では、照明器具側送信部108は、制御信号を1秒間に数回程度送信する。ただし、照明器具側送信部108が操作器103に制御信号を送信する頻度はこれに限られるものではなく、照明器具101の制御信号の制御内容の変化を、操作器103において監視できる程度であればよい。
【0036】
照明器具102は、照明器具101と同様に、制御信号の送信を定期的に実行する。照明器具102の制御信号の送信頻度は、照明器具101と同程度であってよい。ただし、照明器具102は、前述のように、IP通信を用いて作動指令を受信できない。この場合、操作器103から前述のようにして送信された作動指令を、中間機器115が受信する。中間機器115は、作動指令の指令信号を、IP通信以外の通信規格、すなわち照明関連の機器固有の通信規格に変換する。中間機器115は、変換した作動指令を、照明器具102に送信する。照明器具102は、変換された作動指令を受信する。照明器具102は、照明器具101と同様に、制御部109が作動指令に基づいて制御信号を生成し、制御信号に基づいて照明部106を制御する。照明器具102の照明器具側送信部108は、制御信号を中間機器115に送信する。中間機器115は、IP通信以外の通信規格による制御信号を、IP通信の通信規格による制御信号に変換する。中間機器115は、IP通信の通信規格による制御信号を操作器103に送信する。操作器103の操作器側受信部111は、制御信号を受信する。操作器103は、前述と同様にして、操作器103の送信した作動指令の指令内容と制御信号の制御内容を比較する。操作器103は、操作者等に告知部113を用いて、指令内容と制御内容との一致等を告知する。
【0037】
照明器具101,102のそれぞれの制御信号の制御内容は、操作器103以外の操作機器、すなわち操作端末104,105においても確認できる。前述のように、操作端末104は、IP通信を用いて作動指令を送信する。そのため、操作端末104は、操作器103の場合と同様にして、照明器具101,102に作動指令を送信し、照明器具101,102から制御信号を受信する。すなわち、照明器具101では、照明器具側送信部108が、IP通信を用いて制御信号を操作端末104に送信する。照明器具102では、照明器具側送信部108がIP通信以外の通信規格を用いて制御信号を中間機器115に送信し、中間機器115がIP通信の通信規格に制御信号を変換して、操作端末104に変換された制御信号を送信する。
【0038】
操作端末105は、IP通信以外の通信規格により、照明器具101,102の作動指令を送信する。操作端末105から照明器具101の作動指令を送信する場合、操作端末105は、IP通信以外の通信規格により、中間機器115に作動指令を送信する。中間機器115は、作動指令をIP通信の通信規格に変換して、変換した作動指令を照明器具101に送信する。本実施形態では、中間機器115は接続装置114に接続されているため、中間機器115は、接続装置114を経由して、IP通信の通信規格に変換した作動指令を照明器具101に送信する。照明器具101から操作端末105に制御信号を送信する場合、照明器具101は、IP通信により制御信号を中間機器115に送信する。本実施形態では、照明器具101は、接続装置114を経由して、制御信号を中間機器115に送信する。中間機器115は、制御信号を操作端末105に対応する通信規格に変換して、変換した制御信号を操作端末105に送信する。ただし、中間機器115と照明器具101との間における作動指令(指令信号)及び制御信号の送受信は、中間機器115と照明器具101との接続経路に対応して実行されればよい。
【0039】
操作端末105が照明器具102に作動指令を送信する場合は、操作端末105が照明器具101に作動指令を送信する場合と同様である。また、操作端末105が照明器具102の制御信号を受信する場合は、操作端末105が照明器具101の制御信号を受信する場合と同様である。ただし、照明器具102は、IP通信以外の通信規格により作動指令を受信し、IP通信以外の通信規格により制御信号を送信する。そのため、中間機器115は、操作端末105から送信された作動指令を、照明器具102が用いる通信規格に変換する。また、中間機器115は、照明器具102から送信された制御信号を、操作端末105が用いる通信規格に変換する。操作端末105の通信規格と、照明器具102の通信規格とが一致している場合、中間機器115は、操作端末105の作動指令を変換することなく照明器具102に送信し、照明器具102の制御信号を変換することなく操作端末105に送信する。
【0040】
図2は、操作器103において告知される照明器具101,102の状態を告知する画面の一例である。表示画面には、照明器具101,102を識別する情報が表示される。照明器具101,102を識別する情報としては、例えば、器具名、型式、器具IDが挙げられる。また、照明システム100では、照明関連の機器固有の通信規格を用いて照明器具101,102の制御を実行しているため、照明関連の機器固有の通信規格に関連する情報を、照明器具101,102を識別する情報と対応させて表示する。照明関連の機器固有の通信規格に関連する情報としては、例えば、DMXアドレス、ユニークID等が挙げられる。さらに、表示画面には、操作器103の作動指令に対応する指令内容及び照明器具101,102の制御指令に対応する制御内容が、照明器具101,102ごとに表示される。図2の一例では、指令内容として調光信号レベルが表示されるとともに、制御内容として制御信号レベルが表示される。調光信号レベルは、操作器103の作動指令において指定した、照明器具101,102の照明部106の明るさに対応する。制御信号レベルは、照明器具101,102の制御部109の制御信号における、照明部106の明るさに対応する。また、表示画面には、検出結果として、指令内容及び制御内容が一致しているか否かが、照明器具101,102ごとに表示される。
【0041】
図2の一例において、照明器具1では、調光信号レベルが30%であり、制御信号レベルが30%である。よって、調光信号レベルと制御信号レベルとが一致していることが検出結果として表示される。これにより、操作器103の操作者等は、照明器具1の作動状態が正常であることを把握できる。照明器具2も、照明器具1と同様に、調光信号レベルと制御信号レベルとは80%で一致している。これにより、操作器103の操作者等は、照明器具2の作動状態が正常であることを把握できる。照明器具3では、照明器具1,2とは異なり、調光信号レベルは50%であり、制御信号レベルは100%である。よって、調光信号レベルと制御信号レベルとが一致していないことが検出結果として表示される。これにより、操作器103の操作者等は、照明器具3の作動状態が正常でないことを把握できる。照明器具4では、照明器具1~3とは異なり、制御信号レベルが表示されていない。この場合、検出結果として、照明器具4が応答していないことが表示される。これにより、操作器103の操作者等は、照明器具4の作動状態が正常でないことを把握できるとともに、照明器具4が通信不可能であることを把握できる。
【0042】
なお、前述の告知画面に告知される指令内容及び制御内容の項目は、前述した照明器具101,102の明るさに限られるものではなく、指令内容及び制御内容に対応した項目が表示される。表示される項目としては、例えば、照明器具101,102の照射する光色、照明器具101,102の姿勢、照明器具101,102のフォーカスの位置、照明器具101,102のフォーカスの方向等が挙げられる。また、操作端末104,105において照明器具101,102の制御内容が確認できる場合、前述した操作器103で告知される告知画面と同様の内容が、操作端末104,105で告知される。操作端末104(105)で告知画面が告知される場合、操作端末104(105)は、操作端末104(105)の作動指令の指令内容と、照明器具101,102の制御信号の制御内容とを比較する。
【0043】
前述のような照明システム100では、図3に示す処理を実行する。図3に示す処理は、例えば、照明システム100が使用されるたびに実行される。操作器103は、IP通信を用いて作動指令を送信する(S301)。本実施形態では、接続装置114に操作器103が接続されているため、作動指令は接続装置114を経由して、照明器具101の照明器具側受信部107に受信される(S302)。照明器具101の制御部109は、受信した作業指令に基づいて制御信号を生成する(S303)。制御部109は、制御信号に基づいて照明部106を制御する。制御部109は、生成した制御信号を、照明器具側送信部108により操作器103に送信する(S304)。前述と同様に、制御信号は、接続装置114を経由して、操作器103の操作器側受信部111に受信される(S305)。操作器103では、制御部110が、受信した制御信号の制御内容と、操作器103の作動指令の指令内容とを比較する(S306)。制御部110は、告知部113を用いて、制御内容と指令内容との比較結果を一緒に告知する(S307)。
【0044】
なお、操作端末104(105)で告知画面が告知される場合、操作器103に関する前述の処理が操作端末104(105)において実行される。すなわち、操作端末104(105)は、S301,S305~S307の処理を実行する。S306の処理では、受信した制御信号の制御内容と、操作端末104(105)の作動指令の指令内容とを比較する。
【0045】
前述のように、本実施形態では、照明器具101,102は、制御部109及び照明器具側送信部108を備える。制御部109は、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて送信された照明部106の作動に関する作動指令に基づいて、制御信号を生成する。送信部108は、制御信号を、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて、定期的に送信する。これにより、制御信号を受信した操作器103等では、操作器103等の作動指令の指令内容と、制御信号の制御内容とを前述のように比較できる。よって、照明器具101,102は、照明器具101,102の作動状態を、例えば操作器103等に提示できる。したがって、照明部106の作動状態が、操作器103での作動指令に対応しているかどうかを確認できる。また、操作器103等の操作者は、照明器具101,102の作動状態をリアルタイムで把握可能となる。
【0046】
本実施形態では、操作器103は、受信部111及び告知部113を備える。受信部111は、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて送信された照明器具101,102の照明部106の作動に関する制御信号を、照明器具101,102から定期的に受信する。告知部113は、制御信号の制御内容と、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて送信した照明部106の作動に関する作動指令の指令内容と、の両方を一緒に告知する。これにより、照明部106の作動状態が、操作器103での作動指令に対応しているかどうかを確認できる。したがって、操作器103等の操作者は、照明器具101,102の作動状態をリアルタイムで把握可能となる。
【0047】
本実施形態では、照明システム100は、前述の照明器具101,102及び前述の操作器103を備える。これにより、照明部106の作動状態が、操作器103での作動指令に対応しているかどうかを確認できる。したがって、操作器103等の操作者は、照明器具101,102の作動状態をリアルタイムで把握可能となる。例えば、照明器具が制御不可又は制御不良である場合、これに対応した演出が実行可能となる。また、制御不可又は制御不良な照明器具への対応が迅速に実行されやすくなる。
【0048】
本実施形態では、照明システム100の操作器103以外の操作端末104,105のいずれかは、インターネットを介して、照明器具101,102に接続可能である。これにより、操作端末104の操作者等は、インターネットを介して、照明器具101,102の作動状態を確認できる。
【0049】
本実施形態では、照明システム100は、中間機器115をさらに具備する。中間機器115は、操作器103及び操作端末104,105の少なくとも一方の通信規格に対応する信号と、照明器具101,102の通信規格に対応する信号とを相互に変換可能である。これにより、通信規格が異なる照明器具101,102、操作器103,操作端末104,105が照明システム100で使用可能となる。よって、照明システム100では、システムをより自由に構築できる。
【0050】
本実施形態では、照明システム100の中間機器115は、複数の作動指令を受信した場合に、設定された処理方法に基づいて作動指令を処理可能である。これにより、例えば、照明器具101,102が作動指令の合成(マージ)機能を有していない場合であっても、照明器具101,102を照明システム100に組み込むことができる。よって、照明システム100では、システムをさらに自由に構築できる。
【0051】
これら少なくとも一つの実施形態によれば、照明システムは、照明器具及び操作器を具備する。照明器具の送信部は、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて定期的に照明部の制御信号を送信する。操作器は、IP通信及びイーサネットの少なくとも一方を用いて定期的に受信した制御信号の制御内容と、送信した作動指令の指令内容との両方を一緒に告知する。これにより、照明部の作動状態が操作器での作動指令に対応しているかを確認できる照明器具、操作器及び照明システムを提供することができる。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
100…照明システム、101,102…照明器具、103…操作器、104,105…操作端末、106…照明部、107…受信部(照明器具側受信部)、108…送信部(照明器具側送信部)、109,110…制御部、111…受信部(操作器側受信部)、112…送信部(操作器側送信部)、113…告知部、114…接続装置、115…中間機器。
図1
図2
図3