(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054070
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】ころ軸受用保持器
(51)【国際特許分類】
F16C 33/51 20060101AFI20220330BHJP
F16C 19/34 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
F16C33/51
F16C19/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161056
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智仁
【テーマコード(参考)】
3J701
【Fターム(参考)】
3J701AA13
3J701AA14
3J701AA16
3J701AA25
3J701AA32
3J701AA43
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA23
3J701FA15
3J701GA24
3J701XB03
3J701XB14
3J701XB26
(57)【要約】
【課題】案内爪が設けられたセグメント型保持器において、転動体の収容スペースを削減することなく、必要な強度を確保する。
【解決手段】ころ軸受(B)に用いられる、周方向に分割した複数の保持器セグメント(15)からなる保持器(7)において、各保持器セグメント(15)が、ころの側面を保持するように構成された複数の柱部(17)と、前記複数の柱部(17)の両端部を周方向に渡って連結する連結部(19)と、前記柱部(17)および前記連結部(19)によって形成された、各ころを収容するポケット(21)と、前記柱部(17)に突設され、前記ポケット(21)に収容されたころの転動面に接触するように構成された案内爪(23)とを設け、かつ前記案内爪(23)の軸方向両端部に、当該案内爪(23)の基端から先端に渡って径方向に延びる径方向補強部(25)を、前記案内爪と一体的に設ける。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道輪である内輪および外輪と、これら内外輪の間に介装された複数のころとを備えるころ軸受に用いられる、前記複数のころを保持する保持器であって、
当該保持器を周方向に分割した複数の保持器セグメントからなり、
各保持器セグメントが、
前記ころの側面を保持するように構成された複数の柱部と、
前記複数の柱部の両端部を周方向に渡って連結する連結部と、
前記柱部および前記連結部によって形成された、各ころを収容するポケットと、
前記柱部に突設され、前記ポケットに収容されたころの転動面に接触するように構成された案内爪と、
を備え、
前記案内爪の軸方向両端部に、当該案内爪の基端から先端に渡って径方向に延びる径方向補強部が、前記案内爪と一体的に設けられている、
ころ軸受用保持器。
【請求項2】
請求項1に記載のころ軸受用保持器において、前記径方向補強部の前記基端が、軸方向において、前記連結部の柱部側端から、当該連結部の幅寸法の10%以上外側まで延びている、ころ軸受用保持器。
【請求項3】
請求項1に記載のころ軸受用保持器において、前記径方向補強部が、前記案内爪の軸方向端部から前記連結部の外縁に渡って、均一な高さで設けられている、ころ軸受用保持器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のころ軸受用保持器において、さらに、複数の前記案内爪の径方向補強部の軸方向端面を周方向に連結する周方向連結補強部が設けられている、ころ軸受用保持器。
【請求項5】
請求項4に記載のころ軸受用保持器において、前記周方向連結補強部が、前記案内爪の先端部分に相当する径方向範囲のみに設けられている、ころ軸受用保持器。
【請求項6】
請求項4に記載のころ軸受用保持器において、前記周方向連結補強部が、前記案内爪の基端部分に相当する径方向範囲のみに設けられている、ころ軸受用保持器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のころ軸受用保持器において、前記案内爪の高さが、前記ころの半径の40%~75%の範囲内にある、ころ軸受用保持器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ころ軸受に用いられる保持器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば風力発電機の主軸支持用軸受など、比較的大型のころ軸受に用いられる保持器として、保持器全体を周方向に分割した保持器セグメントからなる保持器を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このようなセグメント型(分割型)の保持器を用いることにより、大型軸受用の大型の保持器であっても、保持器の製造や軸受への組み込み作業が容易となる。
【0003】
大型で分割型の保持器は、製造のコストや手間を考慮して、樹脂製とされることが一般的である。他方、分割型の保持器では、保持器セグメント同士の衝突が避けられず、また、特に特許文献1に開示されているような案内爪が設けられている保持器の場合は、ころと案内爪との接触により案内爪や柱部の根元部分への応力集中が発生する。このため、保持器の強度を確保することが必要となる。セグメント型保持器の強度を確保するための手段として、一般的には、各保持器セグメント全体の肉厚を厚くすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、所定の軸受空間内に設置される保持器セグメントの全体の肉厚を厚くすると、転動体を収容するためのスペース(具体的には保持器セグメントのポケットのサイズ)を削減することにつながり、軸受の定格荷重を低下させてしまう。また、保持器セグメント全体を一様に厚肉にしても、上記の要因により所定の部分に応力が集中する構造が大きく変わるわけではない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記の課題を解決するために、案内爪が設けられたセグメント型保持器において、転動体の収容スペースを削減することなく、必要な強度を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明に係るころ軸受用保持器は、
軌道輪である内輪および外輪と、これら内外輪の間に介装された複数のころとを備えるころ軸受に用いられる、前記複数のころを保持する保持器であって、
当該保持器を周方向に分割した複数の保持器セグメントからなり、
各保持器セグメントが、
前記ころの側面を保持するように構成された複数の柱部と、
前記複数の柱部の両端部を周方向に渡って連結する連結部と、
前記柱部および前記連結部によって形成された、各ころを収容するポケットと、
前記柱部に突設され、前記ポケットに収容されたころの転動面に接触するように構成された案内爪と、
を備え、
前記案内爪の軸方向両端部に、当該案内爪の基端から先端に渡って径方向に延びる径方向補強部が、前記案内爪と一体的に設けられている。
【0008】
この構成によれば、案内爪が設けられたセグメント型保持器において、柱部上の案内爪の軸方向両端部に径方向補強部を設けて当該部分の肉厚を増大させたことにより、ころを収容するポケットの寸法を縮小することなく、保持器セグメントにおいて高強度が必要とされる案内爪や柱部の根元部分の強度を確保することができる。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記径方向補強部の前記基端が、軸方向において、前記連結部の柱部側端から、当該連結部の幅寸法の10%以上外側まで延びていてもよい。この構成によれば、径方向補強部の基端によって柱部の根元部分(柱部の連結部に連なる部分)から連結部に渡る部分が補強されるので、特に応力が集中しやすい柱部の根元部分の強度を効果的に高めることができる。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記径方向補強部が、前記案内爪の軸方向端部から前記連結部の外縁に渡って、均一な高さで設けられていてもよい。この構成によれば、径方向補強部が、柱部および連結部上のスペース全体を使って設けられているので、案内爪や柱部の根元部分の強度を大幅に高めることできる。
【0011】
本発明の一実施形態において、さらに、複数の前記案内爪の径方向補強部の軸方向端面を周方向に連結する周方向連結補強部が設けられていてもよい。この構成によれば、柱部から径方向に突設された案内爪が、周方向に対して補強されるので、保持器の強度が一層高められる。
【0012】
前記周方向連結補強部を設ける場合、前記周方向連結補強部は、例えば、前記案内爪の先端部分に相当する径方向範囲のみに設けられていてもよく、前記案内爪の基端部分に相当する径方向範囲のみに設けられていてもよい。周方向連結補強部を前記案内爪の先端部分に相当する径方向範囲のみに設けた場合には、補強部作製のための樹脂の追加量を最小限に抑えつつ、効果的に保持器の強度を高めることができる。他方、周方向連結補強部を前記案内爪の基端部分に相当する径方向範囲のみに設けた場合には、周方向連結補強部が軸受の軌道輪つば部と干渉することを回避できる。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記案内爪の高さが、前記ころの半径の40%~75%の範囲内にあってもよい。この構成によれば、案内爪の高さを、ころの径方向への脱落を防止するために必要な寸法を確保しながらできるだけ低くすることにより、案内爪の根元部分への応力集中を緩和することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係るころ軸受用保持器によれば、案内爪が設けられたセグメント型保持器において、転動体の収容スペースを削減することなく、必要な強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る保持器が使用されるころ軸受の概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図1の保持器を構成する保持器セグメントを示す斜視図である。
【
図3】
図2の保持器セグメントのIII- III線に沿った断面図である。
【
図4A】
図2の保持器セグメントのIVA- IVA線に沿った断面図である。
【
図4B】
図4Aの保持器セグメントの周方向視形状を示す図である。
【
図4C】
図4Aの保持器セグメントの一変形例を示す断面図である。
【
図4D】
図4Aの保持器セグメントの一変形例を示す断面図である。
【
図4E】
図4Aの保持器セグメントの一変形例を示す断面図である。
【
図5A】本発明の他の実施形態に係る保持器を構成する保持器セグメントを示す断面図である。
【
図5B】
図5Aの保持器セグメントの一変形例を示す断面図である。
【
図5C】
図5Aの保持器セグメントの一変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0017】
図1に、本発明の一実施形態に係る保持器が適用されるころ軸受B(以下、単に「軸受B」という。)の一例を示す。この軸受Bは、例えば、風力発電用の風車の主軸を回転自在に支持するために用いられる。同図に示すように、軸受Bは、円すいころ軸受として構成されており、軸方向に並ぶ2列の内輪1,1と、外輪3と、複数の円すいころ5と、保持器7とを備える。2列の内輪1,1の間には、内輪間座9が介装されている。
【0018】
各内輪1の外周面に内輪軌道面1aが形成されている。この内輪軌道面1aの一方側端部に小つば11が設けられており、他方側端部に大つば13が設けられている。これら内輪1,1は、内輪間座9を挟んで互いの小つば11,11が向かい合わせとなるように配置されている。外輪3の内周面には、内輪1の2列の内輪軌道面1a,1aに対応する複列の外輪軌道面3a,3aが形成されている。
【0019】
転動体である円すいころ5は、小径側端面5aと、大径側端面と、転動面となる側面5cとを有している。各列の円すいころ5は、小径側端面5aが内輪1の小つば11,11側、つまり軸心方向の中央側を向くように、内輪1と外輪3との間に配置されている。
【0020】
保持器7は、全体としてリング形状の部材であって、円すいころ5を収容する複数のポケットを有しており、複数の円すいころ5を保持する。
図2に示すように、本実施形態に係る保持器7は、当該保持器7を周方向に分割した複数の保持器セグメント15からなるセグメント式保持器として構成されている。
【0021】
なお、以下の保持器についての説明において、「周方向」,「径方向」,「軸方向」とは、
図1に示した保持器が組み込まれる軸受を基準とした方向を意味する。
【0022】
図2に示すように、各保持器セグメント15は、円すいころ5の側面5cを保持する複数の柱部17と、軸方向の両端に設けられて、複数の柱部17の両端部17a,17aを周方向に連結する2つの連結部19,19とを有している。隣接する2つの柱部17,17と、これら柱部17を連結する連結部19の部分によって、円すいころ5(
図1)を収容するポケット21が形成されている。
【0023】
本実施形態では、柱部17に、案内爪23が設けられている。案内爪23は、各ポケット21を形成する両側の各柱部17から、同一の径方向(径方向外側または径方向内側)に、当該ポケット21に収容された円すいころ5に接触するように突設されている。案内爪23の軸方向両端部23a,23aは、柱部17の両端部17a,17aよりも軸方向の内側に位置している。より具体的には、本実施形態に係る保持器7はころ案内式保持器として構成されており、
図3に示すように、1つの保持器セグメント15に形成された周方向に並ぶ3つのポケット21のうち、周方向両端に位置する2つのポケット21を形成する柱部17に、内径側(
図3の下側)に突出する案内爪23が設けられており、周方向中央に位置するポケット21を形成する柱部17に、外径側(
図3の上側)に突出する案内爪23が設けられている。各案内爪23の先端部分は、ポケット21の中央側に突出した形状を有しており、かつ、円すいころに接触する案内面は、断面がほぼ円弧状で円すい
ころの転動面に沿った形状を有している。なお、1つの保持器セグメント15に形成されるポケット21の数はこの例に限定されない。
【0024】
このように形成された各保持器セグメントの内径側の案内爪23によって当該保持器セグメントの径方向外側への移動が規制されると共に、外径側の案内爪23によって当該保持器セグメントの径方向内側への移動が規制され、保持器7がころ案内式として構成される。
【0025】
本実施形態では、案内爪23に一体的に形成された補強部が設けられている。本実施形態では、
図4Aに示すように、案内爪23の軸方向両端部23a,23aに、当該案内爪23の基端23bから先端23cに渡って径方向に延びる径方向補強部25が、この端部23aと一体的に設けられている。なお、本実施形態では、内径側の案内爪23および外径側の案内爪23の両方の案内爪23に径方向補強部25が設けられているが、径方向補強部25の構成は、内径側の案内爪23に設けらる場合と外径側の案内爪23に設けられる場合とで異ならないので、以下の説明では代表して外径側の案内爪23に設けられた径方向補強部25について説明する。もっとも、径方向補強部25は、内径側の案内爪23および外径側の案内爪23のいずれか一方のみに設けられていてもよい。
【0026】
この例では、径方向補強部25は、その基端25aが、軸方向において、連結部19の外縁19aまで延びている。すなわち、径方向補強部25の基端部によって、案内爪23に隣接する柱部17の根元部分(柱部17の連結部19に連なっている端部17a)から連結部19の外縁19aまでに渡って覆われている。径方向補強部25は、このような範囲に設けられた基端25aから先端25bにかけて先細りとなる形状に形成されている。同図に示すように、径方向補強部25の軸方向を向く端面(以下、単に「軸方向端面」という。)25cは、周方向視において、連結部19の外縁19aから案内爪23の端部の先端に向かって直線状に傾斜している。
図4Bに示すように、径方向補強部25の両側面(周方向を向く面)は、柱部17から径方向にほぼ平行に延びており、径方向補強部25は軸方向視においてほぼ矩形状に形成されている。
【0027】
もっとも、径方向補強部25の形状はこの例に限定されない。例えば、
図4Cに示すように、径方向補強部25と軸受の軌道輪のつば(例えば
図1の小つば11,大つば13)との干渉を回避するため、径方向補強部25の軸方向端面25cを、ポケット21側に凹む湾曲面として形成してもよい。また、
図4Dに示すように、径方向補強部25の基端25aは、連結部19の外縁19aまでに渡って設けらていなくともよい。その場合でも、径方向補強部25の基端25aは、軸方向において、連結部19の内縁(柱部17側端)19bから、当該連結部19の幅寸法Wの10%以上外側まで延びていることが好ましい。このように構成することにより、径方向補強部25の基端によって柱部17の根元部分から連結部19に渡る部分が補強されるので、特に応力が集中しやすい柱部17の根元部分の強度を効果的に高めることができる。
【0028】
また、
図4Eに示すように、径方向補強部25を、案内爪23の軸方向端部23aから連結部19の外縁19aに渡って、均一な高さ(径方向寸法)で設けてもよい。この場合、柱部17および連結部19上のスペース全体を利用して径方向補強部25が設けられるので、さらに保持器7の強度を高めることができる。
【0029】
図5Aに、本発明の他の実施形態に係るころ軸受用保持器を示す。なお、以下の説明では、
図1~
図4Eと共に説明した実施形態と共通する点については説明を省略する。
【0030】
本実施形態では、径方向補強部25に追加して、複数の案内爪23の径方向補強部25の軸方向端面を周方向に連結する周方向連結補強部27が設けられている。周方向連結補
強部27は、ころの端面との干渉を回避するため、軸方向において、連結部19の内縁(柱部17およびポケット21との境界)よりも外側に設けられることが必要である。
【0031】
また、周方向連結補強部27は、案内爪23が存在する範囲内において、いかなる径方向範囲に設けられていてもよい。同図の例では、周方向連結補強部27は、案内爪23の先端部分に相当する径方向範囲のみに設けられている。この場合は、補強部作製のための樹脂の追加量を最小限に抑えつつ、効果的に保持器7の強度を高めることができる。もっとも、
図5Bに示すように、周方向連結補強部27は、案内爪23の基端部分に相当する径方向範囲のみに設けられていてもよい。この場合は、周方向連結補強部27が軸受の軌道輪のつば(例えば
図1の小つば11,大つば13)と干渉することを回避できる。あるいは、
図5Cに示すように、周方向連結補強部27は、案内爪23が存在する径方向範囲の全体に渡って設けられていてもよい。この場合は、保持器7の強度を大幅に高めることができる。
【0032】
なお、上記いずれの実施形態においても、
図4Aに代表して示す案内爪23の高さH(柱部17からの径方向の長さ)が、ころの半径の40%~75%の範囲内にあることが好ましい。この構成によれば、案内爪23の高さを、ころの径方向への脱落を防止するために必要な寸法を確保しながらできるだけ低くすることにより、案内爪23の根元部分への応力集中を緩和することができる。
【0033】
なお、上記の実施形態の説明では、保持器7を、ころ案内方式のセグメント式保持器を例として示したが、本実施形態に係る構成は、保持器セグメントの外径側および内径側の一方のみに案内爪が設けられている軌道輪案内式の保持器にも適用することができる。
【0034】
また、本実施形態に係る保持器7が適用されるころ軸受は、
図1に例示した円すいころ軸受Bに限定されず、例えば円筒ころ軸受や針状ころ軸受にも適用することができる。
【0035】
以上説明した各実施形態に係る案内爪23が設けられたセグメント型の保持器7では、柱部17上の案内爪23の軸方向両端部に径方向補強部25を設けたことにより、ころを収容するポケット21の寸法を縮小することなく、保持器セグメント15において高強度が必要とされる案内爪23や柱部17の根元部分の強度を確保することができる。
【0036】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 内輪
3 外輪
5 ころ
7 保持器
15 保持器セグメント
17 柱部
19 連結部
21 ポケット
23 案内爪
25 径方向補強部
27 周方向連結補強部
B ころ軸受