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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054098
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】レールの搬送及び積み卸し装置
(51)【国際特許分類】
   E01B 29/16 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
E01B29/16
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161096
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】504116722
【氏名又は名称】株式会社トキオ
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】近藤 修治
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057BA02
(57)【要約】
【課題】レールを左右いずれからでも積込みと卸しができるレールの搬送及び積み卸し装置を提供する。
【解決手段】前ボギー台車10Fと連結杆1と後ボギー台車10Bとを連結し、各台車10F,10Bの左右中心線L,L上に、支持脚12,17、メインブーム13,18を配設する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前ボギー台車(10F)と後ボギー台車(10B)とを、連結杆(1)にて連結し、
上記前ボギー台車(10F)の前端(11)かつ左右中央領域に前方支持脚(12)を立設すると共に、該前方支持脚(12)の上端から後方水平状に第1メインブーム(13)を延設し、
上記後ボギー台車(10B)の後端(16)かつ左右中央領域に後方支持脚(17)を立設すると共に、該後方支持脚(17)の上端から前方水平状に第2メインブーム(18)を延設し、
上記第1メインブーム(13)・第2メインブーム(18)の平面視左右中心線(H13)(H18)が、前ボギー台車(10F)・後ボギー台車(10B)の平面視左右中心線(L)(L)に、一致するように、配設され、
さらに、上記第1メインブーム(13)・第2メインブーム(18)の各々に対し、前後方向(X)に走行するように駆動される前後走行構造体(5)を、付設し、
上記前後走行構造体(5)に対し、左右方向(Y)に走行駆動される左右走行ビーム(7)を、付設し、
上記左右走行ビーム(7)には、レール(R)を吊上げ吊下げ自在な電動チェーンブロック(8)を付設したことを、
特徴とするレールの搬送及び積み卸し装置。
【請求項2】
積込みと卸し可能なレール(R)は、前ボギー台車(10F)の上記前方支持脚(12)の近傍から、上記連結杆(1)の上方を越えて、後ボギー台車(10B)の上記後方支持脚(17)の近傍に至る長い寸法を有しており、前ボギー台車(10F)及び後ボギー台車(10B)に対して、左側と右側のいずれからも、積込みと卸しが可能に構成されている請求項1記載のレールの搬送及び積み卸し装置。
【請求項3】
上記第1メインブーム(13)と上記第2メインブーム(18)は、各々、左右一対の縦桁部材(20)(20)を有し、
前後水平方向の第1枢支軸心(L1 )廻りに揺動自在な第1枢支機構(41)を介して、上記前方支持脚(12)の上面に、上記第1メインブーム(13)を載置し、
さらに、前後水平方向の第2枢支軸心(L2 )廻りに揺動自在な第2枢支機構(42)を介して、上記後方支持脚(17)の上面に、上記第2メインブーム(18)を載置し、
上記第1メインブーム(13)及び上記第2メインブーム(18)は、各々、電動往復動シリンダ(27)によって、上記左右一対の縦桁部材(20)(20)の高さ位置が同等となるように水平調整可能である請求項1又は2記載のレールの搬送及び積み卸し装置。
【請求項4】
上記左右走行ビーム(7)は、I型鋼材から成ると共に、該I型鋼材の上面(7A)には、ローラーチェーン(28)を固着すると共に、モータ駆動のスプロケット(29)を上記ローラーチェーン(28)に噛合させて、上記左右走行ビーム(7)を左右方向(Y)に走行駆動する請求項1,2又は3記載のレールの搬送及び積み卸し装置。
【請求項5】
上記電動チェーンブロック(8)から垂設されたペンダントスイッチ(35)を備え、該ペンダントスイッチ(35)には、8点押しボタンを配設し、下記の8動作(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g)(h)を、上記ペンダントスイッチ(35)にて行うようにした請求項1,2,3又は4記載のレールの搬送及び積み卸し装置。
(a)上記チェーンブロック(8)の巻上動作(上昇)
(b)上記チェーンブロック(8)の降下動作(下降)
(c)上記チェーンブロック(8)の走行ビーム(7)に沿った左方向走行
(d)上記チェーンブロック(8)の走行ビーム(7)に沿った右方向走行
(e)上記走行ビーム(7)の左方向への走行動作
(f)上記走行ビーム(7)の右方向への走行動作
(g)上記前後走行構造体(5)の前方向への走行動作
(h)上記前後走行構造体(5)の後方向への走行動作
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールの搬送及び積み卸し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道のレールを交換するために、長尺の新レールを積み込んで基地から工事現場まで搬送し、レール交換し、発生レール(旧レール)を載せて基地まで運搬するために、例えば、図13図14に示すようなレールの搬送及び積み卸し装置が使用されている。
さらに古くは、平トロ3台に、各々、レール積み卸し用のクレーンを搭載して、この平トロ3台をもって長尺のレールを運送していた。しかし、このような平トロ3台を連結した構成では、カーブ等で脱線の虞れもあり、近年は、図13図14に示すような1台のボギー式トロ(台車)60が使用されるようになってきた。
【0003】
図13に示すように、通常、1台の台車60には、3基~4基の旋回クレーン61を搭載していた。なお、(図示省略するが)この前後には、モータカーと電源車として前方監視用キャビン車と連結して、使用する。
図14から明らかなように、従来のレール搬送及び積み卸し装置では、クレーン61の支持脚(主柱)63は、台車60の左右一側に配設されていた。
また、本発明者がかつて提案したレールの搬送及び積み卸し装置にあっても、クレーンは台車の一側方に配設されていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-50070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の図13図14及び特許文献1に記載のクレーン61は、その主柱(支持脚)63が、台車60の左又は右の一側端に片寄って配設されていたので、図14に示すように、レールRの積み卸しは、クレーン61の主柱(支持脚)63と反対側―――図14では右側―――においてのみ可能であった。
基地から作業現場に到着しても、反対側―――主柱63の存在する側―――には、レールを卸すこともできない場合が生じていた。
また、右卸か左卸かによって、基地に於て、台車60の向きを入れ替える必要が生じて、余分な作業を要していた。
さらに、クレーン61が台車60の左右一側端に片寄って配設されていたので、特に、(レールを載せていない)空荷の状態で、台車60の左右の輪重比が良好でなくなるという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、前ボギー台車と後ボギー台車とを、連結杆にて連結し;上記前ボギー台車の前端かつ左右中央領域に前方支持脚を立設すると共に、該前方支持脚の上端から後方水平状に第1メインブームを延設し;上記後ボギー台車の後端かつ左右中央領域に後方支持脚を立設すると共に、該後方支持脚の上端から前方水平状に第2メインブームを延設し;上記第1メインブーム・第2メインブームの平面視左右中心線が、前ボギー台車・後ボギー台車の平面視左右中心線に、一致するように、配設され;さらに、上記第1メインブーム・第2メインブームの各々に対し、前後方向に走行するように駆動される前後走行構造体を、付設し;上記前後走行構造体に対し、左右方向に走行駆動される左右走行ビームを、付設し;上記左右走行ビームには、レールを吊上げ吊下げ自在な電動チェーンブロックを付設したものである。
【0007】
また、積込みと卸し可能なレールは、前ボギー台車の上記前方支持脚の近傍から、上記連結杆の上方を越えて、後ボギー台車の上記後方支持脚の近傍に至る長い寸法を有しており、前ボギー台車及び後ボギー台車に対して、左側と右側のいずれからも、積込みと卸しが可能に構成されている。
【0008】
また、上記第1メインブームと上記第2メインブームは、各々、左右一対の縦桁部材を有し;前後水平方向の第1枢支軸心廻りに揺動自在な第1枢支機構を介して、上記前方支持脚の上面に、上記第1メインブームを載置し;さらに、前後水平方向の第2枢支軸心廻りに揺動自在な第2枢支機構を介して、上記後方支持脚の上面に、上記第2メインブームを載置し;上記第1メインブーム及び上記第2メインブームは、各々、電動往復動シリンダによって、上記左右一対の縦桁部材の高さ位置が同等となるように水平調整可能である。
【0009】
また、上記左右走行ビームは、I型鋼材から成ると共に、該I型鋼材の上面には、ローラーチェーンを固着すると共に、モータ駆動のスプロケットを上記ローラーチェーンに噛合させて、上記左右走行ビームを左右方向に走行駆動する。
【0010】
また、上記電動チェーンブロックから垂設されたペンダントスイッチを備え、該ペンダントスイッチには、8点押しボタンを配設し、下記の8動作(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g)(h)を、上記ペンダントスイッチにて行うようにしたものである。
(a)上記チェーンブロックの巻上動作(上昇)
(b)上記チェーンブロックの降下動作(下降)
(c)上記チェーンブロックの走行ビームに沿った左方向走行
(d)上記チェーンブロックの走行ビームに沿った右方向走行
(e)上記走行ビームの左方向への走行動作
(f)上記走行ビームの右方向への走行動作
(g)上記前後走行構造体の前方向への走行動作
(h)上記前後走行構造体の後方向への走行動作
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、前ボギー台車の略全長寸法と、連結杆の長さと、後ボギー台車の略全長寸法を合わせた長尺のレールであっても、搭載できる。かつ、安全に走行可能である。しかも、レールの卸し、及び、レールの積み込みを、左側と右側のいずれであっても、安定して迅速・確実に、行うことが可能となる。
また、右側にあったレールを左側に移動させることも、逆に、左側から右側に移動させることも、容易に行うことができる。
また、基地に於て、現場が右卸か左卸かを全く気にせずに、現場へ向けて出発でき、従来の基地に於ける余分な作業を省略できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の一形態を示す全体側面図である。
図2】全体平面図である。
図3】前ボギー台車を示し、(A)はその側面図、(B)は(A)のC-C矢視簡略図である。
図4】要部の構成を説明するための平面図である。
図5】要部の構成を説明するための平面図である。
図6】要部の構成を説明するための正面図である。
図7】要部平面図である。
図8】要部正面図である。
図9】要部側面図である。
図10】要部側面図である。
図11】一部断面で示した正面図である。
図12】一部断面で示した作動説明のための背面図である。
図13】従来例を示す側面図である。
図14】従来例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1図4に於て、本発明に係るレールの搬送及び積み卸し装置は、前ボギー台車10Fと後ボギー台車10Bと、両者を連結する(水平状の)連結杆1とを、備えている。
【0014】
そして、前ボギー台車10Fの前端11であって、かつ、左右中央領域には、前方支持脚12が立設されている。
この支持脚12の上端から、後方水平状に第1メインブーム13を延設する。
また、図1図2に於て、後ボギー台車10Bの後端16かつ左右中央領域に、後方支持脚17を立設すると共に、この支持脚17の上端から、前方水平状に第2メインブーム18を延設する。
【0015】
そして、上記第1メインブーム13・第2メインブーム18の平面視左右中心線H13,H18が、前ボギー台車10F・後ボギー台車10Bの平面視左右中心線L,Lに、各々一致するように、第1・第2メインブーム13,18の各々が、配設される。
さらに、第1メインブーム13・第2メインブーム18の各々には、前後方向X―――ブーム13,18に沿った方向―――に、駆動走行する前後走行構造体5を、各ブーム13,18に、付設する。
【0016】
上記前後走行構造体5に対し、左右方向Yに走行駆動される左右走行ビーム7を、上記前後走行構造体5に付設する(図5図6参照)。
さらに、この左右走行ビーム7には、レールRを吊上げ吊下げ自在な電動チェーンブロック8が付設される。
【0017】
そして、積込みと卸し可能なレールRは、図1図3に示す如く、前ボギー台車10Fの前方支持脚12の近傍から、連結杆1の上方を越えて、後ボギー台車10Bの後方支持脚17の近傍に至る25mもの長い寸法を有している。即ち、「25m定尺レール」をも、一挙に(前後の)2台の電動チェーンブロック8,8によって、積込むこと、及び、卸すことができる。
しかも、前ボギー台車10F及び後ボギー台車10Bに対して、左側と右側のいずれからも、積込みと卸しが(自由自在に)可能である。
【0018】
図1に於て、2点鎖線をもってレールRを示し、レールRの前端31と、前方支持脚12との間には、余裕代(間隔)S1 が存在し、また、レールRの後端32と、後方支持脚17との間には、余裕代(間隔)S2 が存在するように、各構成の長さ寸法等を設定している。
図3(B)に示すように、レールRは、例えば3段に積上げられ、かつ、左右側外方へ
位置ずれ(脱落)することを防止する鉛直状保持棒19,19が立設されている。
【0019】
ところで、第1メインブーム13と第2メインブーム18の各々は、図1に示した側面図にあっては、一本の梁の如く見えるが、この第1メインブーム13・第2メインブーム18は、図2図4の平面図に示したように、左右一対の縦桁部材20,20を有し、かつ、多数本の横桁部材21と斜め連結材22等を、備える。
しかも、第1メインブーム13・第2メインブーム18は、支持脚12,17の上方位置に於て、縦桁部材20は下方から補強するサポート桁体23が一体に設けられている。
【0020】
ところで、図10図11、及び、図1図4に示すように、前方支持脚12の上部には、前後に細長矩形状の天板15が固設され、この天板15上に、前後水平方向の第1枢支軸心L1 廻りに揺動自在な第1枢支機構41を介して、第1メインブーム13を、載置状に取付けている。
また、後方支持脚17の上部には、(同様に)天板15が固設され、この天板15上に、前後水平方向の第2枢支軸心L2 廻りに揺動自在な第2枢支機構42を介して、第2メインブーム18を、載置状に取付けている。この第2枢支機構42は、図1図2図3(A),図4に示した第1枢支機構41とは、左右対称状として、配設されるので、具体図を省略する。
【0021】
なお、図5図6に於て、36,36は走行構造体5の枠体に設けられた電動モータである。メインブーム13,18は、各々、平行な一対のI型鋼材37,37を有している。走行構造体5はテーパ状車輪38を複数有し、その内の2個のテーパ状車輪38が、このI型鋼材37の下辺の突出片上に、載って、転動する。また、走行構造体5に設けられた上記電動モータ36,36は、左右に各々配設されて、左右の各1個のテーパ状車輪38に(ギア等を介して)連動連結されている。即ち、走行構造体5は、上記電動モータ36と車輪38等から成る駆動装置39によって、前後方向Xに走行する。
【0022】
ところで、図1図2図4図10及び図11に示した実施形態では、前記第1枢支機構41と第2枢支機構42は、同様の構造であって、前後水平方向に配設される軸部材24と、その両端を回転可能に枢支する軸受25,25等と、から成る。
そして、第1・第2メインブーム13,18の各サポート桁体23に、軸部材24が固着され、図10図11に示すように、サポート桁体23から下方へ垂設したブラケット26の下端と、支持脚12,17の下端とを、電動往復動シリンダ27にて、連結させる。
レールのカントによって、台車10F,10Bが左傾状(図12(A)参照)又は右傾状(図12(C)参照)に傾いた場合、左右一対の縦桁部材20,20の高さ位置が同等となるように、シリンダ27の伸長・短縮によって、水平調整可能である。
【0023】
次に、図7図9、及び、図5図6に於て、左右走行ブーム7は、I型鋼材から成る。このI型鋼材の上面7Aには、ローラーチェーン28を(溶接等によって)固着する。
29は、ローラーチェーン28に噛合するスプロケットであり、図5図6に示す電動モータ30によって該スプロケット29が正逆回転駆動されると、ビーム7は、図5図6の矢印Y方向───左右方向───に走行する。
【0024】
そして、図8図9に示す如く、電動チェーンブロック8は左右走行ビーム7に対して、走行自在に取着される。さらに、電動チェーンブロック8から、ペンダントスイッチ35が垂れ下がっている。
このペンダントスイッチ35には、8点押しボタンを配設したものを使用する。そして、以下の(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g)(h)から成る8動作を、作業者の手にて、行うようにする。
即ち、8動作(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g)(h)とは、
(a)チェーンブロック8の(フック8Aの)巻上動作(上昇)
(b)チェーンブロック8の(フック8Aの)降下動作(下降)
(c)チェーンブロック8の左右走行ビーム7に沿った左方向走行
(d)チェーンブロック8の左右走行ビーム7に沿った右方向走行
(e)走行ビーム7の左方向への走行動作(Yの一方向)
(f)走行ビーム7の右方向への走行動作(Yの他方向)
(g)前後走行構造体5の前方向への走行動作(Xの一方向)
(h)前後走行構造体5の後方向への走行動作(Xの他方向)
以上のように、一人の作業者によって、多くの(8つもの)制御を容易かつ確実・安全に行い得る。
【0025】
さらに、(電気回路は図示省略するが)前ボギー台車10Fと後ボギー台車10Bを、(シーケンサー等にて)電気的に接続するも、好ましい。即ち、前記(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g)(h)の動作を、前ボギー台車10Fと後ボギー台車10Bにおいて、同期させることができて、レールRの積込み及び卸しの各動作を、シンクロナイズさせ、安全,確実かつ迅速に作業を行い得る。なお、電気的な上述の前後の接続に関しては常時接続状態とする場合の他に、所望によって、前後を切り離して、個別に操作できるようにする設計変更も自由である。
【0026】
そして、図1に示すように、前ボギー台車10Fにあっては、台車上面板2Aと前方支持板12と第1メインブーム13によって、側面視、後方開口状の広い空間Sが形成される。かつ、後ボギー台車10Bにあっては、台車上面板2Aと後方支持板17と第2メインブーム18によって、側面視、前方開口状の広い空間Sが形成される。
従って、例えば、25mもの定尺レールRを、2基のチェーンブロック8,8にて、左右どちらからでも吊上げて、ビーム7に沿ってY方向に送って、レール積込みを行うことが可能であり、逆に、左右どちらへもレールRを卸すことが可能であり、しかも、干渉物(邪魔な物体)が存在しないので、スムーズに迅速なレール積込み・卸し作業を行うことができる。
【0027】
なお、レールR以外の枕木等の積込み,運搬,卸しの際は、2台の台車10F,10Bのクレーンを単独動作に切り換えることにより、一方の台車の台枠(上面板2A)上の任意の場所に、載せ卸しが可能となり、多目的に使用することができる。なお、連結杆1を取去って、台車10F,10Bの一方のみでの使用も可能である。
【0028】
本発明は、以上詳述したように、前ボギー台車10Fと後ボギー台車10Bとを、連結杆1にて連結し;上記前ボギー台車10Fの前端11かつ左右中央領域に前方支持脚12を立設すると共に、該前方支持脚12の上端から後方水平状に第1メインブーム13を延設し;上記後ボギー台車10Bの後端16かつ左右中央領域に後方支持脚17を立設すると共に、該後方支持脚17の上端から前方水平状に第2メインブーム18を延設し;上記第1メインブーム13・第2メインブーム18の平面視左右中心線H13,H18が、前ボギー台車10F・後ボギー台車10Bの平面視左右中心線L,Lに、一致するように、配設され;さらに、上記第1メインブーム13・第2メインブーム18の各々に対し、前後方向Xに走行するように駆動される前後走行構造体5を、付設し;上記前後走行構造体5に対し、左右方向Yに走行駆動される左右走行ビーム7を、付設し;上記左右走行ビーム7には、レールRを吊上げ吊下げ自在な電動チェーンブロック8を付設したので、前ボギー台車10Fの略全長寸法と、連結杆1の長さと、後ボギー台車10Bの略全長寸法を合わせた十分長い長尺のレールRを、搭載でき、かつ、安全に運搬できる。例えば、25mもの定尺レールも容易かつ迅速に安定して、積込み作業と卸し作業を、行い得る。特に、台車10F,10Bの左からでも、右からでも、レールRの積込み作業が可能であり、かつ、積卸し作業も可能である。
さらに、第1・第2メインブーム13,18が、台車10F,10Bの左右中央領域に在って、左右バランスが良く、台車10F・10Bの左右の輪重比が良好であり、安定して走行できる。
さらに、台車10F・10Bの右側にあったレールRを、左側に移す等の左右の移動も容易に行うことができ、レール交換作業能率向上が図られる。
左右方向Yに走行ビーム7を横移動させることにより、積卸しの作業範囲が広がる。さらに、カント区間での吊上げたレールRの台車10F,10Bヘの干渉も防止できる。例えば、図12(C)に示すように、同図の左側において、電動チェーンブロック8のフック8Aにて吊上げられたレールRが、台車10F,10Bに干渉することが防止できる。即ち、走行ビーム7が、図12(C)の左方向に十分に移動できるため、電動チェーンブロック8も、それに伴って、十分に左方向に移動可能となる。そして、従来のチェーンの横押し装置も省略できる。さらに、走行構造体5の前後X方向への走行によって、吊上げたレールRの前後方向の移動も、容易に行い得る。
【0029】
また、本発明は、積込みと卸し可能なレールRは、前ボギー台車10Fの上記前方支持脚12の近傍から、上記連結杆1の上方を越えて、後ボギー台車10Bの上記後方支持脚17の近傍に至る長い寸法を有しており、前ボギー台車10F及び後ボギー台車10Bに対して、左側と右側のいずれからも、積込みと卸しが可能に構成されているので、要望の強い25m定尺レールを、現地で、段取り替え等を行うことなく、台車10F,10Bの左右どちらへでも卸すことが可能となり、かつ、発生品(旧レール)の積込みも、同様に左右を問わず行うことが可能となり、作業時間の大幅な短縮を図り得る。
【0030】
また、本発明は、上記第1メインブーム13と上記第2メインブーム18は、各々、左右一対の縦桁部材20,20を有し;前後水平方向の第1枢支軸心L1 廻りに揺動自在な第1枢支機構41を介して、上記前方支持脚12の上面に、上記第1メインブーム13を載置し;さらに、前後水平方向の第2枢支軸心L2 廻りに揺動自在な第2枢支機構42を介して、上記後方支持脚17の上面に、上記第2メインブーム18を載置し;上記第1メインブーム13及び上記第2メインブーム18は、各々、電動往復動シリンダ27によって、上記左右一対の縦桁部材20,20の高さ位置が同等となるように水平調整可能であるので、図11図12に示したように、前後方向X方向から見て、第1・第2メインフレーム13,18及び走行構造体5は、水平状を保つように、簡単に電気制御可能となり、例えば、1クリックで自動的に水平出しを行うようにできる。
【0031】
また、上記左右走行ビーム7は、I型鋼材から成ると共に、該I型鋼材の上面7Aには、ローラーチェーン28を固着すると共に、モータ駆動のスプロケット29を上記ローラーチェーン28に噛合させて、上記左右走行ビーム7を左右方向Yに走行駆動する構成であるので、構造が簡素で、かつ、耐久性があり、左右走行ビーム7を安定して確実に左右方向Yに往復移動させることができる。
【0032】
また、上記電動チェーンブロック8から垂設されたペンダントスイッチ35を備え、該ペンダントスイッチ35には、8点押しボタンを配設し、下記の8動作(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g)(h)を、上記ペンダントスイッチ35にて行うようにした。
(a)上記チェーンブロック8の巻上動作(上昇)
(b)上記チェーンブロック8の降下動作(下降)
(c)上記チェーンブロック8の走行ビーム7に沿った左方向走行
(d)上記チェーンブロック8の走行ビーム7に沿った右方向走行
(e)上記走行ビーム7の左方向への走行動作
(f)上記走行ビーム7の右方向への走行動作
(g)上記前後走行構造体5の前方向への走行動作
(h)上記前後走行構造体5の後方向への走行動作
このように構成したことによって、吊下げられたレールRに最も近く、かつ、吊上げたり、吊降す場所に最も近くに、立った作業者が、その目で現場状況を観察しつつ、安全に、かつ、正確・迅速なレール積込み・レール卸し・レール移動等の操作を行うことができる。
【符号の説明】
【0033】
1 連結杆
5 前後走行構造体
7 左右走行ビーム
7A 上面
8 電動チェーンブロック
10B 後ボギー台車
10F 前ボギー台車
11 前端
12 前方支持脚
13 第1メインブーム
16 後端
17 後方支持脚
18 第2メインブーム
20 縦桁部材
27 電動往復動シリンダ
28 ローラーチェーン
29 スプロケット
35 ペンダントスイッチ
41 第1枢支機構
42 第2枢支機構
13 平面視左右中心線
18 平面視左右中心線
1 第1枢支軸心
2 第2枢支軸心
平面視左右中心線
平面視左右中心線
R レール
X 前後方向
Y 左右方向
図1
図2
図3
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図5
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