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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054113
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】遊技媒体供給具用の取付治具
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
A63F5/04 691D
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161120
(22)【出願日】2020-09-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000108247
【氏名又は名称】株式会社ジェッター
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】大宅 高敏
【テーマコード(参考)】
2C182
【Fターム(参考)】
2C182EB06
(57)【要約】
【課題】本開示は、手間なく短時間で着脱作業を行うことが可能な遊技媒体供給具用の取付治具を説明する。
【解決手段】遊技媒体供給具用の取付治具は、遊技媒体供給具を保持可能に構成された本体と、本体に設けられた第1の係止片と、本体に対してスライド可能に取り付けられたスライド部と、スライド部に設けられた第2の係止片と、第2の係止片が第1の係止片から離間する方向にスライド部を付勢するように構成された付勢部材とを備える。スライド部は、付勢部材によって第2の係止片が第1の係止片から離間し且つ第1の係止片及び第2の係止片が開口部に係止する第1の位置と、第2の係止片が第1の位置よりも第1の係止片に近づき且つ第1の係止片及び第2の係止片による開口部への係止が解除される第2の位置との間で移動するように構成されている。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を取り扱う遊技用装置に前記遊技媒体を供給するための遊技媒体供給具を前記遊技用装置の開口部に取り付けるための取付治具であって、
前記遊技媒体供給具を保持可能に構成された本体と、
前記本体に設けられた第1の係止片と、
前記本体に対してスライド可能に取り付けられたスライド部と、
前記スライド部に設けられた第2の係止片と、
前記第2の係止片が前記第1の係止片から離間する方向に前記スライド部を付勢するように構成された付勢部材とを備え、
前記スライド部は、前記付勢部材によって前記第2の係止片が前記第1の係止片から離間し且つ前記第1の係止片及び前記第2の係止片が前記開口部に係止する第1の位置と、前記第2の係止片が前記第1の位置よりも前記第1の係止片に近づき且つ前記第1の係止片及び前記第2の係止片による前記開口部への係止が解除される第2の位置との間で移動するように構成されている、遊技媒体供給具用の取付治具。
【請求項2】
前記付勢部材は、鉛直方向に沿って前記スライド部を付勢するように構成されている、請求項1に記載の取付治具。
【請求項3】
前記第1の係止片は、前記第2の係止片とは反対側に位置する第1の側縁を含み、
前記第2の係止片は、前記第2の係止片とは反対側に位置する第2の側縁を含み、
前記第1の側縁は、前記第1の係止片の先端に向かうにつれて、前記第2の係止片との離間距離が段階的に増加する階段形状を呈しており、
前記第2の側縁は、前記第2の係止片の先端に向かうにつれて、前記第1の係止片との離間距離が段階的に増加する階段形状を呈している、請求項1又は2に記載の取付治具。
【請求項4】
前記第1の側縁の段差部は、外方に拡がるように傾斜しており、
前記第2の側縁の段差部は、外方に拡がるように傾斜している、請求項3に記載の取付治具。
【請求項5】
前記付勢部材の付勢力に抗して前記スライド部を前記第2の位置において制止させるように構成されたロック部をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の取付治具。
【請求項6】
前記本体は、長孔状を呈する第1のスリット開口を含み、
前記スライド部は、長孔状を呈する第2のスリット開口を含み、
前記第1のスリット開口内には、前記スライド部に設けられた第1の案内部材が配置されており、
前記第2のスリット開口内には、前記本体に設けられた第2の案内部材が配置されており、
前記第1の案内部材及び前記第2の案内部材は、前記第1のスリット開口及び前記第2のスリット開口の長手方向において前記スライド部を案内するように構成されており、
前記ロック部は、前記第2のスリット開口の長手方向に対して交差するように前記第2のスリット開口から窪み且つ前記第2の案内部材が係止可能に構成された係止凹部である、請求項5に記載の取付治具。
【請求項7】
前記係止凹部は、前記第1の係止片及び前記第2の係止片の突出方向と同じ側に窪んでいる、請求項6に記載の取付治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技媒体供給具用の取付治具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、メダル遊技機又はメダル貸出機に遊技用メダルを供給するように構成されたメダル補給装置を開示している。特許文献1のメダル補給装置のシュートは、メダル遊技機又はメダル貸出機に対してネジ等で固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-125387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のメダル補給装置の場合、既設のメダル遊技機を新たなメダル遊技機に入れ替える際(いわゆる、新台入れ替えの際)には、作業者がネジを外して、既設のメダル補給装置とメダル補給装置とを分離した後、新たなメダル遊技機に対してメダル補給装置をネジ止めする必要があった。遊技店によっては100台以上のメダル遊技機を入れ替えることもあり、メダル補給装置の着脱作業に手間と時間を要することがあった。
【0005】
そこで、本開示は、手間なく短時間で着脱作業を行うことが可能な遊技媒体供給具用の取付治具を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
遊技媒体供給具用の取付治具の一例は、遊技媒体を取り扱う遊技用装置に遊技媒体を供給するための遊技媒体供給具を遊技用装置の開口部に取り付けるために用いられるものであってもよい。取付治具は、遊技媒体供給具を保持可能に構成された本体と、本体に設けられた第1の係止片と、本体に対してスライド可能に取り付けられたスライド部と、スライド部に設けられた第2の係止片と、第2の係止片が第1の係止片から離間する方向にスライド部を付勢するように構成された付勢部材とを備えていてもよい。スライド部は、付勢部材によって第2の係止片が第1の係止片から離間し且つ第1の係止片及び第2の係止片が開口部に係止する第1の位置と、第2の係止片が第1の位置よりも第1の係止片に近づき且つ第1の係止片及び第2の係止片による開口部への係止が解除される第2の位置との間で移動するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る遊技媒体供給具用の取付治具によれば、手間なく短時間で着脱作業を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、遊技システムの一例を示す斜視図である。
図2図2は、供給装置の一例を示す分解斜視図である。
図3図3は、図2の供給装置を示す斜視図である。
図4図4は、取付治具の一例を示す斜視図である。
図5図5は、図4の取付治具を示す側面図である。
図6図6は、図4の取付治具の構成要素の一部を分解して示す右前方斜視図である。
図7図7は、図4の取付治具の構成要素の一部を分解して示す左前方斜視図である。
図8図8は、図4の取付治具において、操作ハンドルが引き下げられた状態を示す斜視図である。
図9図9は、図4の取付治具を用いて遊技媒体供給具を遊技用装置に取り付ける方法を説明するための側面図である。
図10図10は、図9の後続の工程を示す側面図である。
図11図11は、図10の後続の工程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0010】
[遊技システム]
まず、図1図3を参照して、遊技システム1について説明する。遊技システム1は、遊技媒体(例えば、遊技用メダル、遊技球など)を用いた遊技を遊技者に提供するように構成されている。遊技システム1は、図1に例示されるように、例えば、遊技機2と、貸出装置3と、貯留タンク4と、送出装置5と、回収装置6と、供給装置10とを備える。なお、本明細書において、遊技機2及び貸出装置3をまとめて、遊技用装置と称することがある。
【0011】
遊技機2は、遊技媒体の投入により遊技者が遊技を行えるように構成されている。遊技機2は、例えば、遊技者が遊技媒体を投入して所定の操作を行った際に抽選処理を行い、抽選結果が当選であるときに遊技者に遊技媒体を払い出すように構成されていてもよい。遊技機2は、例えば、遊技用メダルを利用したパチスロ機、遊技球を利用したパチンコ機などであってもよい。遊技システム1が複数の遊技機2を備える場合、複数の遊技機2は、ベース台1a上において横方向に並ぶように配置されていてもよい。
【0012】
貸出装置3は、例えば、金銭の支払いに応じて、遊技者に遊技媒体を貸し出すように構成されている。遊技システム1が複数の貸出装置3を備える場合、図1に例示されるように、各貸出装置3は、対応する遊技機2に一つずつ隣接配置されていてもよい。貯留タンク4は、複数の遊技媒体を貯留するように構成されている。
【0013】
送出装置5は、貯留タンク4に貯留されている遊技媒体を、遊技用装置に送り出すように構成されている。送出装置5は、送出管5aと、分岐器5bと、分岐管5cとを含む。送出管5aは、遊技機2及び貸出装置3の上方において、水平に沿って延びている。送出管5aの基端部は、貯留タンク4に接続されている。分岐器5bは、送出管5aの中途で且つ遊技機2及び貸出装置3に対応する位置に配置されている。分岐管5cは、分岐器5bから供給装置10に至るように、上下方向に沿って延びている。そのため、遊技媒体が貯留タンク4から送出管5aに搬出されると、遊技媒体は、遊技媒体の供給先となる遊技用装置に対応する分岐器5bを介して分岐管5cを落下し、供給装置10から供給先の遊技用装置に供給される。
【0014】
回収装置6は、遊技機2から排出された遊技媒体を回収して、貯留タンク4に戻すように構成されている。回収装置6は、回収管6aと、シュート6bとを含む。回収管6aは、遊技機2及び貸出装置3の下方(例えばベース台1aの内部)において、水平に沿って延びている。シュート6bは、遊技機2の排出口(図示せず)から回収管6aに至るように、斜め下方に延びている。そのため、遊技機2の排出口から排出された遊技媒体は、シュート6bを滑り降りて回収管6aに至り、回収管6aによって貯留タンク4へと搬送される。
【0015】
供給装置10は、図2及び図3に例示されるように、遊技媒体供給具20と、取付治具100とを含む。遊技媒体供給具20は、送出装置5によって搬送された遊技媒体を、遊技用装置の内部に案内するように構成されている。遊技媒体供給具20は、図1及び後述する図9図11に示されるように、遊技用装置の後壁Wに取り付けられる。遊技媒体供給具20は、受容管21と、連結具22と、シュート23とを含む。
【0016】
受容管21は、分岐管5cよりも大きな開口面積を有しており、分岐管5cの下端部を収容可能に構成されている。受容管21は、図2及び図3に例示されるように、上方に向かうにつれて開口面積が大きくなる漏斗形状を呈していてもよい。連結具22は、受容管21とシュート23との間に位置しており、これらを連結するように上下方向に延びている。
【0017】
シュート23は、連結具22の下端部に接続されており、斜め下方に向けて延びている。シュート23の先端部は、下方に向けて開放されている。遊技媒体供給具20が遊技用装置の後壁Wに取り付けられた状態において、シュート23の先端部の開口は、遊技用装置の内部に設けられているホッパH(後述する図9図11参照)と対向する。そのため、分岐管5cを落下した遊技媒体は、遊技媒体供給具20によって案内されて、シュート23の先端部の開口から遊技用装置のホッパHに供給される。
【0018】
取付治具100は、遊技媒体供給具20を遊技用装置の後壁Wに対して着脱するように構成されている。取付治具100は、図2及び図3に例示されるように、連結具22に設けられた固定板24に対して、締結部材B1(例えば、ボルト、ネジなど)によって締結されている。そのため、遊技媒体供給具20は、取付治具100に保持された状態で、後壁Wに対して着脱される。
【0019】
[取付治具の詳細な構成]
続いて、図4図8を参照して、取付治具100の詳細な構成について説明する。以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」はそれぞれ、図4図8における「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」に対応する。取付治具100は、本体110と、操作ハンドル120(スライド部)と、付勢部材130とを含む。
【0020】
本体110は、図4図7に示されるように、背板111と、一対の側板112と、保持板113,114と、連結板115とを含んでいる。背板111、側板112、保持板113,114及び連結板115はそれぞれ、金属板が所定の形状に切り曲げ加工されて構成されている。
【0021】
背板111は、図4に示されるように、一対の側板112の間に位置しており、一対の側板112を接続している。背板111の左端部は、L字状に屈曲されており、左側の側板112の後端部と締結具(例えば、ボルト、リベット等)によって固定されている。背板111の右端部も同様に、L字状に屈曲されており、右側の側板112の後端部と締結具によって固定されている。
【0022】
一対の側板112は、互いに対向するように配置されている。左側の側板112と右側の側板112とは、ほぼ左右対称であるので、以下では、左側の側板112の構成について説明し、右側の側板112の説明は省略する。
【0023】
側板112の上側前端部112aは、外側(他方の側板112とは離れる側)に拡がりつつ前方に突出するように階段状に折り曲げられている。上側前端部112aは、締結部材B1を介して遊技媒体供給具20の固定板24と接続可能に構成されている。側板112の下側前端部112bは、内側(他方の側板112に近づく側)に向けてL字状に折り曲げられている。下側前端部112bの下端部には、図4図7に示されるように、前方(背板111とは離れる側)に向けて突出する係止片116(第1の係止片)が設けられている。
【0024】
側板112のうち保持板113と保持板114との間の領域には、図5図7に示されるように、スリット開口112c(第1のスリット開口)と、貫通孔112dとが形成されている。スリット開口112cは、上下方向に延びる長孔で且つ側板112の厚さ方向に貫通する貫通孔である。スリット開口112cの長手方向は、後述するスライド部材121(スライド部)の移動方向(スライド方向)でもある。すなわち、スリット開口112cは、スライド部材121の移動方向に沿って延びているともいえる。貫通孔112dは、図6及び図7に示されるように、スリット開口112cの下方に位置している。
【0025】
保持板113は、図4及び図6に示されるように、側板112の前方上部の内側に配置されており、略L字状を呈している。保持板113は、図6に示されるように、第1部分113aと、第1部分113aに対して略直交して延びる第2部分113bとを含む。第1部分113aは、締結具によって側板112に固定されている。第2部分113bは、側板112に対して略直交するように、内側(他方の側板112に近づく側)に向けて突出している。第2部分113bには、その厚さ方向に貫通する2つの貫通孔113cが設けられている。2つの貫通孔113cは、前後方向に並んでいる。
【0026】
保持板114は、図4及び図6に示されるように、側板112の下部の内側に配置されており、L字状を呈している。保持板114は、図6に示されるように、第1部分114aと、第1部分114aに対して略直交して延びる第2部分114bとを含む。第1部分114aは、締結具によって側板112に固定されている。第2部分114bは、側板112に対して略直交するように、内側(他方の側板112に近づく側)に向けて突出している。第2部分114bには、その厚さ方向に貫通する2つの貫通孔114cが設けられている。2つの貫通孔114cは、前後方向に並んでいる。
【0027】
連結板115は、図4に示されるように、左側の保持板114と右側の保持板114とを連結している。すなわち、連結板115の左端部は左側の保持板114と締結具によって固定されており、連結板115の右端部は右側の保持板114と締結具によって固定されている。
【0028】
係止片116は、図5及び図6に示されるように、階段状を呈する下縁116a(第1の側縁)を含む。下縁116aは、後述する係止片124とは反対側に位置しており、係止片116の先端(前方)に向かうにつれて係止片124との距離が段階的に増加している。すなわち、下縁116aは、係止片116の先端(前方)に向かうにつれて下方に段が増加している。
【0029】
下縁116aは、前後方向(水平方向)に沿って延びるステップ部と、上下方向(鉛直方向)に沿って延び且つ隣り合うステップ部を接続する段差部とを含む。段差部は、ステップ部に対して略90°の角度で交差していてもよい。あるいは、段差部は、ステップ部との間で鈍角を形成するようにステップ部と交差していてもよい。すなわち、段差部は、外方に向けて拡がるように傾斜していてもよい。
【0030】
操作ハンドル120は、図4図7に示されるように、一対のスライド部材121と、一対の補助部材122(スライド部)と、把持部材123とを含む。一対のスライド部材121はそれぞれ、一対の側板112の外側に配置されており、上下方向にスライド可能に構成されている。一対の補助部材122はそれぞれ、一対の側板112の内側に配置されており、スライド部材121のスライド動作を補助するように構成されている。左側のスライド部材121及び補助部材122と、右側のスライド部材121及び補助部材122とは、ほぼ左右対称であるので、以下では、左側のスライド部材121及び補助部材122の構成について説明し、右側のスライド部材121及び補助部材122の説明は省略する。
【0031】
スライド部材121は、上下方向に延びており、長尺状を呈している。スライド部材121の両側縁は外側に屈曲されている。そのため、スライド部材121は、上下方向から見てC字状を呈している。スライド部材121には、スリット開口121a(第2のスリット開口)と、係止凹部121b(ロック部)と、貫通孔121cと、2つの貫通孔121dとが形成されている。
【0032】
スリット開口121aは、上下方向(スライド部材121の延在方向)に延びる長孔で且つスライド部材121の厚さ方向に貫通する貫通孔である。スリット開口121aの長手方向は、スライド部材121の移動方向(スライド方向)でもある。すなわち、スリット開口121aは、スライド部材121の移動方向に沿って延びているともいえる。
【0033】
係止凹部121bは、スリット開口121aの上端部に設けられている。係止凹部121bは、スリット開口121aの延在方向に交差するように、スリット開口121aから窪んでいる。換言すれば、係止凹部121bは、スリット開口121aと連通しており、係止片116及び後述する係止片124の突出方向(前方)と同じ側に窪んでいる。係止凹部121bは、例えば、スリット開口121aの前方に向けて窪んでいてもよいし、スリット開口121aの前方で且つやや下方に向けて窪んでいてもよい(図4図6参照)。したがって、スリット開口121a及び係止凹部121bは、全体として、L字形状を呈していてもよいし、J字形状を呈していてもよい。
【0034】
貫通孔121cは、図6及び図7に示されるように、スライド部材121の上端部に設けられている。2つの貫通孔121dは、上下方向に並ぶように、スライド部材121の下端部に設けられている。
【0035】
補助部材122は、図4に示されるように、保持板113と保持板114との間に配置されている。補助部材122は、図6及び図7に示されるように、第1部分122aと、第2部分122bと、第3部分122cとを含む。第1部分122a、第2部分122b及び第3部分122cは、前後方向から見たときに、略C字形状を呈している。すなわち、第1部分122a及び第2部分122bは、水平方向に延びると共に、上下方向において対向している。第3部分122cは、上下方向において延びると共に、第1部分122aの左端縁と第2部分122bの左端縁とを接続している。
【0036】
第1部分122aには、その厚さ方向に貫通する2つの貫通孔122dが形成されている。2つの貫通孔122dは、前後方向に並んでいる。第2部分122bには、その厚さ方向に貫通する2つの貫通孔122eが形成されている。2つの貫通孔122eは、前後方向に並んでいる。上下方向から見たときに、前方の貫通孔113cと、前方の貫通孔122dと、前方の貫通孔122eと、前方の貫通孔114cとは、略重なり合っている。上下方向から見たときに、後方の貫通孔113cと、後方の貫通孔122dと、後方の貫通孔122eと、後方の貫通孔114cとは、略重なり合っている。
【0037】
第3部分122cには、図7に示されるように、その厚さ方向に貫通する貫通孔122fが形成されている。第3部分122cには、図6及び図7に示されるように、前方(背板111とは離れる側)に向けて突出する係止片124(第2の係止片)が設けられている。
【0038】
係止片124は、階段状を呈する上縁124a(第2の側縁)を含む。上縁124aは、係止片116とは反対側に位置しており、係止片124の先端(前方)に向かうにつれて係止片116との距離が段階的に増加している。すなわち、上縁124aは、係止片124の先端(前方)に向かうにつれて上方に段が増加している。
【0039】
上縁124aは、前後方向(水平方向)に沿って延びるステップ部と、上下方向(鉛直方向)に沿って延び且つ隣り合うステップ部を接続する段差部とを含む。段差部は、ステップ部に対して略90°の角度で交差していてもよい。あるいは、段差部は、ステップ部との間で鈍角を形成するようにステップ部と交差していてもよい。すなわち、段差部は、外方に向けて拡がるように傾斜していてもよい。
【0040】
把持部材123は、取付治具100の操作のために、作業者による把持が可能に構成されている。把持部材123は、図4図6及び図7に示されるように、左右方向に延びており、長尺状を呈している。把持部材123の各端部123aは、上方に向けて折り曲げられている。そのため、把持部材123は、前後方向から見て、略C字形状を呈している。端部123aには、2つの貫通孔123bが形成されている。2つの貫通孔123bは、上下方向に並んでいる。
【0041】
図4及び図6に示されるように、保持板113と保持板114とは2つの締結部材B2によって連結されており、補助部材122は2つの締結部材B2に対して取り付けられている。具体的には、一方の締結部材B2は、前方の貫通孔114cと、前方の貫通孔122dと、前方の貫通孔122eと、前方の貫通孔114cとに挿通されており、一方の締結部材B2の下端部が前方の貫通孔114cに締結されている。他方の締結部材B2は、後方の貫通孔114cと、後方の貫通孔122dと、後方の貫通孔122eと、後方の貫通孔114cとに挿通されており、他方の締結部材B2の下端部が後方の貫通孔114cに締結されている。そのため、2つの締結部材B2は、補助部材122を自身に沿って上下方向に案内するように構成されている。締結部材B2は、例えば、下端部にネジ山が形成され、他の部分にはネジ山が形成されていない、半ネジボルトであってもよい。この場合、貫通孔122d,122eの内周面が締結部材B2の外周面に引っ掛かり難くなるので、補助部材122が締結部材B2に沿ってより円滑に案内される。
【0042】
図7に示されるように、スライド部材121及び補助部材122は、締結部材B3(第1の案内部材)によって側板112に取り付けられている。具体的には、締結部材B3は、スライド部材121の貫通孔121cと、側板112のスリット開口112cと、補助部材122の第3部分122cの貫通孔122fとに挿通されており、締結部材B3の先端部が貫通孔122fに締結されている。すなわち、締結部材B3はスライド部材121及び補助部材122に設けられており、スリット開口112c内には締結部材B3が配置されている。そのため、スリット開口112c及び締結部材B3は、スライド部材121及び補助部材122をスリット開口112cの長手方向(上下方向)に案内するように構成されている。また、締結部材B3は、自身を中心軸としてスライド部材121を回転可能に保持するように構成されている。締結部材B3は、例えば、下端部にネジ山が形成され、他の部分にはネジ山が形成されていない、半ネジボルトであってもよい。この場合、スリット開口112cの内周面が締結部材B3の外周面に引っ掛かり難くなるので、スライド部材121及び補助部材122がスリット開口112cに沿ってより円滑に案内される。また、貫通孔121cの内周面が締結部材B3の外周面に引っ掛かり難くなるので、スライド部材121がより円滑に回転する。
【0043】
図7に示されるように、スライド部材121は、締結部材B4(第2の案内部材、ロック部)によって側板112に取り付けられている。具体的には、締結部材B4は、スライド部材121のスリット開口121aと、側板112の貫通孔112dとに挿通されており、締結部材B4の先端部が貫通孔112dに締結されている。すなわち、締結部材B4は側板112に設けられており、スリット開口121a内には締結部材B4が配置されている。そのため、スリット開口121a及び締結部材B4は、スリット開口112cと同様に、スライド部材121及び補助部材122をスリット開口121aの長手方向(上下方向)に案内するように構成されている。締結部材B4は、例えば、下端部にネジ山が形成され、他の部分にはネジ山が形成されていない、半ネジボルトであってもよい。この場合、スリット開口121aの内周面が締結部材B4の外周面に引っ掛かり難くなるので、スライド部材121及び補助部材122がスリット開口112cに沿ってより円滑に案内される。
【0044】
図6及び図7に示されるように、スライド部材121と把持部材123とは、2つの締結部材B5によって接続されている。具体的には、一方の締結部材B5は、スライド部材121の上側の貫通孔121dと、把持部材123の上側の貫通孔123bとに挿通されており、両者に締結されている。他方の締結部材B5は、スライド部材121の下側の貫通孔121dと、把持部材123の下側の貫通孔123bとに挿通されており、両者に締結されている。
【0045】
付勢部材130は、例えば円筒コイルバネであり、補助部材122と保持板114との間に位置している。付勢部材130内には締結部材B2が挿通されている。付勢部材130は、保持板114から離れる側に補助部材122を付勢するように構成されている。換言すれば、付勢部材130は、係止片116と係止片124とが離間する方向に補助部材122を付勢するように構成されている。付勢部材130は、図4図6及び図7等に示されるように、鉛直方向に沿って補助部材122を付勢してもよい。
【0046】
[取付装置の動作]
続いて、上記の取付治具100の動作について、図4図5及び図8を参照して説明する。具体的には、図4及び図5の初期状態から図8の取付準備状態に至る取付治具100の動作について説明する。
【0047】
まず、図4及び図5に示される初期状態において、締結部材B3は、側板112のスリット開口112cの上端部に位置しており、締結部材B4は、スライド部材121のスリット開口121aの下端部に位置している。すなわち、操作ハンドル120は付勢部材130によって全体として上方に位置しており、係止片124は係止片116から離間している(初期位置)。
【0048】
初期状態において、作業者が把持部材123を把持して付勢部材130の付勢力に抗して操作ハンドル120を引き下げることにより、図8に示されるように、係止片124がスライド部材121及び補助部材122と共に下方に移動する。すなわち、操作ハンドル120は全体として下方に位置し、係止片124は係止片116に近づく位置(第2の位置)まで移動する。この状態において、締結部材B3は、側板112のスリット開口112cの下端部に位置しており、締結部材B4は、スライド部材121のスリット開口121aの上端部に位置している。
【0049】
続いて、作業者が把持部材123を把持して操作ハンドル120を後方(作業者側)に引き寄せると、操作ハンドル120は、締結部材B3を中心軸として回転する。これにより、締結部材B4が係止凹部121b内に位置する。この状態で作業者が把持部材123を離すと、操作ハンドル120は付勢部材130によって全体として上方に移動しようとするものの、締結部材B4が係止凹部121bに係止されているので、操作ハンドル120の上方への移動ができなくなる。制止される。すなわち、係止凹部121bは、締結部材B4と共に、付勢部材130の付勢力に抗して操作ハンドル120(スライド部材121)を第2の位置で制止させるロック部として機能する。こうして、取付治具100は、遊技媒体供給具20を遊技用装置に取り付けるための準備が整った状態(取付準備状態)となる。
【0050】
[取付治具を用いた遊技媒体供給具の取り付け方法]
続いて、図9図11を参照して、取付治具100を用いて遊技用装置の後壁Wに設けられている開口部Waに遊技媒体供給具20を取り付ける方法について説明する。なお、取付治具100は予め、締結部材B1によって遊技媒体供給具20に固定されている(図2図3及び図9図11参照)。
【0051】
まず、図9に示されるように、取付準備状態とした取付治具100を、遊技用装置の後壁Wに向かい合うように配置する。次に、取付治具100を後壁Wに近づけていき、図10に示されるように、シュート23及び係止片116,124を開口部Wa内に挿入する。このとき、係止片116の下縁116aの段差部を開口部Waの下縁に係止しておく。
【0052】
次に、操作ハンドル120を前方(後壁W側)に押し出して、締結部材B4の係止凹部121bに対する係止を解除する。これにより、操作ハンドル120は、付勢部材130の付勢力によって上下方向(スリット開口112c,121aの延在方向)に沿って上方に移動する。これに伴い、係止片124が開口部Waの上縁と当接する位置(第1の位置)まで移動し、図11に示されるように、係止片124の上縁124aの段差部が開口部Waの上縁に係止する。このとき、付勢部材130の付勢力によって係止片124が開口部Waの上縁に押しつけられる状態が維持されるので、取付治具100が後壁Wの開口部Waに装着される。以上により、遊技媒体供給具20が取付治具100を介して遊技用装置の後壁Wに取り付けられる。
【0053】
一方、遊技用装置に取り付けられている遊技媒体供給具20を取り外す際には、上記とは逆の手順を経ることとなる。すなわち、まず、図11に示される状態から、作業者が把持部材123を把持して付勢部材130の付勢力に抗して操作ハンドル120を引き下げる。これにより、図10に示されるように、係止片116,124の開口部Waに対する係止が解除される。次に、操作ハンドル120を後方(作業者の手前側)に引き寄せて、締結部材B4を係止凹部121bに対して係止させる。次に、図9に示されるように、シュート23及び係止片116,124を開口部Wa内から抜き出す。以上により、遊技媒体供給具20が遊技用装置から取り外される。
【0054】
[作用]
以上の例によれば、単に操作ハンドル120を引く操作によって、遊技媒体供給具20が遊技用装置に対して着脱される。したがって、遊技用装置に対する遊技媒体供給具20の着脱作業を手間なく短時間で行うことが可能となる。
【0055】
以上の例によれば、付勢部材130は、鉛直方向に沿って操作ハンドル120を付勢するように構成されている。そのため、開口部Waに係止される係止片116,124が上下方向に突っ張ることとなる。したがって、上下方向における取付治具100のがたつきが低減される。その結果、遊技媒体供給具20を遊技用装置により確実に取り付けることが可能となる。
【0056】
以上の例によれば、係止片116の下縁116aと、係止片124の上縁124aとがそれぞれ階段形状を呈している。そのため、後壁Wの厚さが比較的薄い場合には、係止片116,124の基端側の段差部が開口部Waと係止される。一方、後壁Wの厚さが比較的厚い場合には、係止片116,124の先端側の段差部が開口部と係止される。したがって、一つの取付治具100で、厚さの異なる複数種類の後壁Wに対応することが可能となる。
【0057】
以上の例によれば、下縁116aの段差部又は上縁124aの段差部は、外方に拡がるように傾斜しうる。この場合、係止片116又は係止片124が開口部Waに係止される際に、下縁116aの段差部又は上縁124aの段差部の傾斜に沿って、係止片116又は係止片124が開口部Waに案内されつつ、取付治具100が遊技用装置に近接する。そのため、遊技媒体供給具20を遊技用装置により確実且つ円滑に取り付けることが可能となる。
【0058】
以上の例によれば、係止凹部121bは、締結部材B4と共に、付勢部材130の付勢力に抗して操作ハンドル120(スライド部材121)を第2の位置で制止させるロック部として機能している。そのため、操作ハンドル120が第2の位置に位置する状態が係止凹部121b及び締結部材B4によって保持されるので、係止片116,124を開口部Wa内に配置すること及び開口部Waから取り出すことが容易となる。したがって、遊技用装置に対する遊技媒体供給具20の着脱作業を、いっそう手間なく短時間で行うことが可能となる。
【0059】
以上の例によれば、係止凹部121bは、スリット開口121aの延在方向に交差するように、スリット開口121aから窪んでおり、操作ハンドル120は、締結部材B3を中心軸として回転可能とされている。そのため、締結部材B4が係止凹部121b内に位置するように、作業者が操作ハンドル120をスイングするだけで、操作ハンドル120が第2の位置において制止される。そのため、操作ハンドル120を極めて容易に制止状態とすることが可能となる。
【0060】
以上の例によれば、係止凹部121bは、係止片116,124の突出方向(前方)と同じ側に窪んでいる。そのため、作業者が操作ハンドル120を手前にスイングするだけで、締結部材B3が係止凹部121bに係止され、これにより、操作ハンドル120が第2の位置において制止される。そのため、作業者にとって自然な操作により、操作ハンドル120を極めて容易に制止状態とすることが可能となる。
【0061】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0062】
(1)係止凹部121bは、スリット開口121aの上端部以外の部分(例えば、スリット開口121aの中途)に設けられていてもよい。
【0063】
(2)付勢部材130の付勢力に抗して操作ハンドル120(スライド部材121)を第2の位置で一時的に制止させることができれば、係止凹部121b及び締結部材B4の組み合わせ以外によってロック部が構成されていてもよい。
【0064】
(3)以上の例では、操作ハンドル120の本体110(側板112)に対するスライドは、スリット開口112c,121a及び締結部材B3,B4によって構成されていたが、他の部材(例えば、リニアガイドなど)によって操作ハンドル120が本体110(側板112)に対してスライド可能に取り付けられていてもよい。
【0065】
(4)操作ハンドル120は、本体110(側板112)に対して左右方向(水平方向)にスライド可能に構成されていてもよい。この場合、係止片116,124は、下縁116a及び上縁124aが左右方向(水平方向)において互いに反対向きとなるように配置される。すなわち、下縁116aは、開口部Waの左縁及び右縁の一方に係止可能となるように構成され、上縁124aは、開口部Waの左縁及び右縁の他方に係止可能となるように構成される。あるいは、操作ハンドル120は、本体110(側板112)に対して任意の方向にスライド可能に構成されていてもよい。
【0066】
(5)下縁116a又は上縁124aは、多段の階段形状を呈していなくてもよい。すなわち、下縁116a又は上縁124aは、L字状を呈していてもよい。
【0067】
(6)下縁116a又は上縁124aが段差形状を呈していなくてもよい。この場合、下縁116a又は上縁124aは、例えば、弾性変形可能なゴム状、ゲル状等を呈していてもよい。あるいは、下縁116a又は上縁124aが、開口部Waに対する粘着性を有していてもよい。これらの場合、開口部Waに対して係止片116,124が当接したときに、振動等による係止片116,124のずれを抑制しつつ、係止片116,124を開口部Waに取り付けることが可能となる。
【0068】
[他の例]
例1.遊技媒体供給具用の取付治具の一例は、遊技媒体を取り扱う遊技用装置に遊技媒体を供給するための遊技媒体供給具を遊技用装置の開口部に取り付けるために用いられるものであってもよい。取付治具は、遊技媒体供給具を保持可能に構成された本体と、本体に設けられた第1の係止片と、本体に対してスライド可能に取り付けられたスライド部と、スライド部に設けられた第2の係止片と、第2の係止片が第1の係止片から離間する方向にスライド部を付勢するように構成された付勢部材とを備えていてもよい。スライド部は、付勢部材によって第2の係止片が第1の係止片から離間し且つ第1の係止片及び第2の係止片が開口部に係止する第1の位置と、第2の係止片が第1の位置よりも第1の係止片に近づき且つ第1の係止片及び第2の係止片による開口部への係止が解除される第2の位置との間で移動するように構成されていてもよい。
【0069】
例1の取付治具を用いて遊技媒体供給具を遊技用装置に取り付ける際には、付勢部材の付勢力に抗する力で作業者がスライド部を引いて、スライド部を第2の位置に移動させるステップと、第1の係止片及び第2の係止片を遊技用装置の開口部に作業者が配置した状態で、作業者がスライド部を離すステップとを経ることとなる。これにより、付勢部材の付勢力によって、スライド部が第1の位置に戻り、さらに、第1の係止片及び第2の係止片が開口部に押しつけられる。したがって、第1の係止片及び第2の係止片が開口部に係止され、遊技媒体供給具が取付治具を介して遊技用装置に取り付けられる。一方、例1の取付治具を用いて遊技媒体供給具を遊技用装置から取り付す際には、付勢部材の付勢力に抗する力で作業者がスライド部を引いて、スライド部を第2の位置に移動させることにより、第1の係止片及び第2の係止片の開口部に対する係止を解放するステップと、第1の係止片及び第2の係止片を開口部から抜き出すステップとを経ることとなる。このように、例1の取付治具によれば、単にスライド部を引く操作によって、遊技媒体供給具が遊技用装置に着脱される。したがって、遊技用装置に対する遊技媒体供給具の着脱作業を手間なく短時間で行うことが可能となる。
【0070】
例2.例1の取付治具において、付勢部材は、鉛直方向に沿ってスライド部を付勢するように構成されていてもよい。この場合、開口部に係止される第1の係止片及び第2の係止片が上下方向に突っ張ることとなる。そのため、上下方向における取付治具のがたつきが低減される。したがって、遊技媒体供給具を遊技用装置により確実に取り付けることが可能となる。
【0071】
例3.例1又は例2の取付治具において、第1の係止片は、第2の係止片とは反対側に位置する第1の側縁を含んでいてもよい。第2の係止片は、第2の係止片とは反対側に位置する第2の側縁とを含んでいてもよい。第1の側縁は、第1の係止片の先端に向かうにつれて、第2の係止片との離間距離が段階的に増加する階段形状を呈していてもよい。第2の側縁は、第2の係止片の先端に向かうにつれて、第1の係止片との離間距離が段階的に増加する階段形状を呈していてもよい。この場合、開口部が設けられている遊技用装置の板材の厚さが比較的薄い場合には、第1の係止片及び第2の係止片の基端側の段差部が開口部と係止される。一方、開口部が設けられている遊技用装置の板材の厚さが比較的厚い場合には、第1の係止片及び第2の係止片の先端側の段差部が開口部と係止される。そのため、一つの取付治具で、厚さの異なる複数種類の板材に対応することが可能となる。
【0072】
例4.例3の取付治具において、第1の側縁の段差部は、外方に拡がるように傾斜していてもよい。第2の側縁は、外方に拡がるように傾斜していてもよい。この場合、第1の係止片及び第2の係止片が開口部に係止される際に、第1の側縁の段差部及び第2の側縁の段差部の傾斜に沿って第1の係止片及び第2の係止片が開口部に案内されつつ、取付治具が遊技用装置に近接する。そのため、遊技媒体供給具を遊技用装置により確実且つ円滑に取り付けることが可能となる。
【0073】
例5.例1~例4のいずれかの取付治具は、付勢部材の付勢力に抗してスライド部を第2の位置において制止させるように構成されたロック部をさらに備えていてもよい。この場合、スライド部が第2の位置に位置する状態がロック部によって保持されるので、第1の係止片及び第2の係止片を開口部内に配置すること及び開口部から取り出すことが容易となる。したがって、遊技用装置に対する遊技媒体供給具の着脱作業を、いっそう手間なく短時間で行うことが可能となる。
【0074】
例6.例5の取付治具において、本体は、長孔状を呈する第1のスリット開口を含んでいてもよい。スライド部は、長孔状を呈する第2のスリット開口を含んでいてもよい。第1のスリット開口内には、スライド部に設けられた第1の案内部材が配置されていてもよい。第2のスリット開口内には、本体に設けられた第2の案内部材が配置されていてもよい。第1の案内部材及び第2の案内部材は、第1のスリット開口及び第2のスリット開口の長手方向においてスライド部を案内するように構成されていてもよい。ロック部は、第2のスリット開口の長手方向に対して交差するように第2のスリット開口から窪み且つ第2の案内部材が係止可能に構成された係止凹部であってもよい。この場合、第2の案内部材が係止凹部内に位置するように、作業者がスライド部をスイングするだけで、スライド部が第2の位置において制止される。そのため、スライド部を極めて容易に制止状態とすることが可能となる。
【0075】
例7.例6の取付治具において、係止凹部は、第1の係止片及び第2の係止片の突出方向と同じ側に窪んでいてもよい。この場合、作業者がスライド部を手前にスイングするだけで、第2の案内部材が係止凹部に係止され、これにより、スライド部が第2の位置において制止される。そのため、作業者にとって自然な操作により、スライド部を極めて容易に制止状態とすることが可能となる。
【符号の説明】
【0076】
1…遊技システム、2…遊技機(遊技用装置)、3…貸出装置(遊技用装置)、10…供給装置、20…遊技媒体供給具、100…取付治具、110…本体、112…側板、112c…スリット開口(第1のスリット開口)、116…係止片(第1の係止片)、116a…下縁(第1の側縁)、120…操作ハンドル(スライド部)、121…スライド部材(スライド部)、121a…スリット開口(第2のスリット開口)、121b…係止凹部(ロック部)、122…補助部材(スライド部)、124…係止片(第2の係止片)、124a…上縁(第2の側縁)、130…付勢部材、B3…締結部材(第1の案内部材)、B4…締結部材(第2の案内部材、ロック部)、W…後壁、Wa…開口部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2021-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
前記第1の係止片は、前記第2の係止片とは反対側に位置する第1の側縁を含み、
前記第2の係止片は、前記第の係止片とは反対側に位置する第2の側縁を含み、
前記第1の側縁は、前記第1の係止片の先端に向かうにつれて、前記第2の係止片との離間距離が段階的に増加する階段形状を呈しており、
前記第2の側縁は、前記第2の係止片の先端に向かうにつれて、前記第1の係止片との離間距離が段階的に増加する階段形状を呈している、請求項1又は2に記載の取付治具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
特許文献1のメダル補給装置の場合、既設のメダル遊技機を新たなメダル遊技機に入れ替える際(いわゆる、新台入れ替えの際)には、作業者がネジを外して、既設のメダル遊技機とメダル補給装置とを分離した後、新たなメダル遊技機に対してメダル補給装置をネジ止めする必要があった。遊技店によっては100台以上のメダル遊技機を入れ替えることもあり、メダル補給装置の着脱作業に手間と時間を要することがあった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
例3.例1又は例2の取付治具において、第1の係止片は、第2の係止片とは反対側に位置する第1の側縁を含んでいてもよい。第2の係止片は、第の係止片とは反対側に位置する第2の側縁とを含んでいてもよい。第1の側縁は、第1の係止片の先端に向かうにつれて、第2の係止片との離間距離が段階的に増加する階段形状を呈していてもよい。第2の側縁は、第2の係止片の先端に向かうにつれて、第1の係止片との離間距離が段階的に増加する階段形状を呈していてもよい。この場合、開口部が設けられている遊技用装置の板材の厚さが比較的薄い場合には、第1の係止片及び第2の係止片の基端側の段差部が開口部と係止される。一方、開口部が設けられている遊技用装置の板材の厚さが比較的厚い場合には、第1の係止片及び第2の係止片の先端側の段差部が開口部と係止される。そのため、一つの取付治具で、厚さの異なる複数種類の板材に対応することが可能となる。