IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-照明装置および照明器具の取付方法 図1
  • 特開-照明装置および照明器具の取付方法 図2
  • 特開-照明装置および照明器具の取付方法 図3
  • 特開-照明装置および照明器具の取付方法 図4
  • 特開-照明装置および照明器具の取付方法 図5
  • 特開-照明装置および照明器具の取付方法 図6
  • 特開-照明装置および照明器具の取付方法 図7
  • 特開-照明装置および照明器具の取付方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054174
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】照明装置および照明器具の取付方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20220330BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20220330BHJP
   F21V 15/01 20060101ALI20220330BHJP
   F21V 21/00 20060101ALI20220330BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220330BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20220330BHJP
【FI】
F21S2/00 360
F21S8/04 110
F21V15/01 300
F21V21/00 130
F21Y115:10
F21Y115:15
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161222
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】加茂下 浩
(57)【要約】
【課題】照明器具を強固に取り付けることができるとともに、保持部の締め付け固定が緩んだ場合の取付部材の孔部からの脱落を防止できる照明装置および照明器具の取付方法を提供する。
【解決手段】照明器具10のアーム40は、アーム上面部46と、アーム側面部47と、孔部48と、を備える。孔部48は、アーム側面部47からアーム上面部46に向かい幅狭となるように形成される。取付部材11は、被固定部60と、延出部61と、保持部62と、を有する。保持部62は、延出部61に連なり被固定部60に離れて対向して形成される。保持部62は、孔部48の最大幅よりも小さく、かつ、最小幅よりも大きい幅を延出部61から離れた位置に有する。保持部62は、孔部48に挿入されてアーム40のアーム上面部46および取付部12を被固定部60との間に挟み込んで保持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部の下部に配置される被取付部を上部に有する照明器具と;
該照明器具を前記取付部に対して取り付ける取付部材と;を備え、
前記被取付部は、
前記取付部の下部に沿って位置する第一部分と、
該第一部分から下方に延びる第二部分と、
該第二部分から前記第一部分に向かい幅狭となるように形成された孔部と、を備え、
前記取付部材は、
前記取付部の上部に上方から締め付け固定される被固定部と、
該被固定部から下方に延びる延出部と、
該延出部に連なり前記被固定部に対して離れて対向して形成され、前記孔部の最大幅よりも小さく、かつ、最小幅よりも大きい幅を前記延出部から離れた位置に有し、前記孔部に挿入されて前記被取付部の前記第一部分および前記取付部を前記被固定部との間に挟み込んで保持する保持部と、を有する
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記孔部は、
前記第二部分に形成された幅広部と、
該幅広部から前記第一部分に亘り該幅広部よりも幅狭で前記保持部の最小幅より大きい一定の所定幅以下に形成された幅狭部と、を有する
ことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記取付部材は、前記延出部から前記保持部に亘って形成され幅方向に括れた括れ部を有する
ことを特徴とする請求項1または2記載の照明装置。
【請求項4】
前記被取付部は、前記孔部を両側に備え、
前記取付部材は、前記孔部のそれぞれに取り付けられる
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の照明装置。
【請求項5】
前記照明器具は、光源部を備える器具本体を有し、
前記被取付部は、前記器具本体を支持するアームである
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の照明装置。
【請求項6】
第一部分と、該第一部分から下方に延びる第二部分と、該第二部分から前記第一部分に向かい幅狭となるように形成された孔部と、を備える被取付部を上部に有する照明器具と、被固定部と、該被固定部から下方に延びる延出部と、該延出部に連なり前記被固定部に離れて対向して形成され、前記孔部の最大幅よりも小さく、かつ、最小幅よりも大きい幅を前記延出部から離れた位置に有する保持部と、を有する取付部材と、を用い、
前記被取付部の前記第一部分を取付部の下部に沿って配置し、
前記取付部材の前記保持部を前記被取付部の前記孔部に挿入するとともに、前記取付部の上部に前記被固定部を対向させ、
前記取付部材を前記孔部内で持ち上げて前記保持部を前記被取付部の下部に重ね、
前記被固定部を前記取付部の上部に上方から締め付け固定することで前記被取付部の前記第一部分および前記取付部を前記被固定部と前記保持部との間に挟み込んで保持する
ことを特徴とする照明器具の取付方法。
【請求項7】
前記被固定部を前記取付部の上部に上方から締め付け固定する前に、前記延出部が前記取付部の端部に近接するまで前記取付部材を押し込む
ことを特徴とする請求項6記載の照明器具の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、取付部の下部に配置される被取付部を上部に有する照明器具を備える照明装置および照明器具の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設等の天井が高い空間の照明に用いられる高天井用の照明器具がある。この照明器具は、光源部を有する器具本体が設置面に対してアームを介して設置される。アームには、設置孔が形成され、この設置孔と、設置面に形成された孔部とが位置合わせされて、これらに亘りボルト等が挿入されて締め付け固定されることで、照明器具が設置面に固定される。
【0003】
このような照明器具を、天井の梁を構成するH形鋼の下端部に直接設置する場合、施設等の梁を構成するH形鋼に対して後から孔開け等の加工をすることは、高所でもあるため困難であることから、別途の取付部材を用いて照明器具を固定することとなる。例えば、アームの側部に孔部を形成し、H形鋼の下端部にアームの上面部を重ねて、コ字状の取付部材の一部を側方から孔部に差し込みつつH形鋼の下端部とアームとを上下に挟み込んで、取付部材をH形鋼の下端部の上部に対しボルト等により締め付け固定することで、照明器具が取り付ける取付構造がある。この場合、照明器具を安定的に取り付けつつ、ボルト等が緩んだときでも、取付部材が孔部から容易に脱落しないようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-175770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、照明器具を強固に取り付けることができるとともに、保持部の締め付け固定が緩んだ場合の取付部材の孔部からの脱落を防止できる照明装置および照明器具の取付方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の照明装置は、照明器具と、取付部材と、を備える。照明器具は、取付部の下部に配置される被取付部を上部に有する。取付部材は、照明器具を取付部に対して取り付ける。被取付部は、第一部分と、第二部分と、孔部と、を備える。第一部分は、取付部の下部に沿って位置する。第二部分は、第一部分から下方に延びる。孔部は、第二部分から第一部分に向かい幅狭となるように形成される。取付部材は、被固定部と、延出部と、保持部と、を有する。被固定部は、取付部の上部に上方から締め付け固定される。延出部は、被固定部から下方に延びる。保持部は、延出部に連なり被固定部に対して離れて対向して形成される。保持部は、孔部の最大幅よりも小さく、かつ、最小幅よりも大きい幅を延出部から離れた位置に有する。保持部は、孔部に挿入されて被取付部の第一部分および取付部を被固定部との間に挟み込んで保持する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の照明装置によれば、照明器具を強固に取り付け、保持部の締め付け固定が緩んだ場合の取付部材の孔部からの脱落を防止することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は一実施形態を示す照明装置の一部の正面図、(b)は同上照明装置の一部の側面図である。
図2】同上照明装置の照明器具の被取付部の斜視図である。
図3】(a)は同上照明装置の取付部材の平面図、(b)は同上取付部材の側面図、(c)は同上取付部材の断面図である。
図4】同上照明器具の取付部への取付動作の一部を示し、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
図5】同上照明器具の取付部への取付動作の図4に続く動作を示し、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
図6】同上照明器具の取付部への取付動作の図5に続く動作を示し、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
図7】同上照明装置の取付部への取り付け状態の正面図である。
図8】同上照明装置の他の取付部への取り付け状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を、図1ないし図8を参照して説明する。
【0010】
図7において、照明器具10は、例えば施設等の天井が高い空間の照明に用いられる高天井用照明器具である。照明器具10は、取付部材11を用いて天井構造物等の取付部12に取り付けられる。照明器具10と取付部材11とにより、照明装置13が構成されている。
【0011】
照明器具10は、器具本体14を備えている。器具本体14は、複数の光源部15、およびこれら光源部15よりも上方に配置される電源ユニット16を備えている。本実施形態の照明器具10は、1つの光源部15を備えた1灯用モデルである。
【0012】
光源部15は、複数の発光モジュール、およびこれら発光モジュールを取り付けた放熱器20、発光モジュールに対向して配光を制御する反射体21、発光モジュールおよび反射体21を覆うカバー22を備えている。
【0013】
発光モジュールは、基板、およびこの基板に実装された発光素子を備えている。発光素子は、LEDや有機EL等の半導体発光素子が用いられている。
【0014】
放熱器20は、金属製で、下面に発光モジュールの基板が熱的に接続された状態に取り付けられる放熱板25、およびこの放熱板25の上面から突設された複数の放熱フィン26を有している。複数の放熱フィン26は、所定のフィン並設方向に所定の間隔をあけて平行状に配設されている。
【0015】
反射体21は、発光モジュールの複数の発光部に対応して反射体部が設けられている。反射体部は、上下方向に開口し、下方へ向けて拡開され、発光部の光を光照射方向である下方へ向けて反射させるとともに所定の配光に制御する。
【0016】
カバー22は、全体または少なくとも下面側に透光性を有し、発光モジュールおよび反射体21を覆って放熱器20の下面側に取り付けられている。
【0017】
また、電源ユニット16は、電源筐体30、この電源筐体30に配置された端子台31、および複数の主電源部を有している。電源ユニット16には、センサユニットおよび無線ユニットが設けられていてもよい。
【0018】
電源筐体30は、四角形箱状に形成されている。端子台31は、電源筐体30の側面に配置され、外部電源からの電力を供給する電源線が接続される。端子台31は、外部電源からの電力を主電源部に供給するように、内部配線により主電源部と接続されている。
【0019】
主電源部は、電源筐体30内に配置されている。主電源部は、外部電源からの電力を所定の点灯電力に変換して発光モジュールに供給し、発光モジュールの発光素子を点灯する。主電源部は、センサユニットおよび無線ユニットから調光信号等の信号を入力し、発光モジュールの点灯、消灯、調光を制御する。
【0020】
センサユニットは、例えばリモコン等からの赤外線等を媒体とした光信号を受光し、受光した光信号に応じた信号を主電源部に送る。光信号には、例えば複数の照明器具10をシーンに応じて制御するためのグループを設定する設定信号や、照明器具10を調光するための調光信号等が含まれる。
【0021】
無線ユニットは、少なくとも他の照明器具10の無線ユニットと通信可能としている。この無線ユニットを備えることにより、複数の照明器具10で構成されるグループ毎にシーンに応じて調光するようなグループ制御またはシーン制御を可能としている。
【0022】
そして、照明器具10は、取付部12に対して取り付けられる被取付部を有する。本実施形態において、被取付部は、器具本体14に取り付けられ器具本体14を支持するアーム40である。アーム40には、器具本体14の光源部15が光照射方向を下方とした状態で取り付けられるとともに、電源ユニット16が光源部15の上方にて取り付けられ、光源部15と電源ユニット16がアーム40を介して一体的に設けられている。
【0023】
アーム40は、アーム本体42、器具本体14側に取り付けられるアーム取付部材43、およびアーム本体42とアーム取付部材43とを角度調整可能に連結する角度調整部44を有している。なお、アーム取付部材43は、アーム40の一部を構成するものであってもよいし、器具本体14側が備えるものであってもよいし、アーム40および器具本体14側とは別構成であってもよい。
【0024】
図1(a)、図1(b)、および、図2に示すように、アーム40のアーム本体42は、金属板によって形成されている。アーム本体42は、平面状に形成された第一部分であるアーム上面部46、および、このアーム上面部46から下方に延びる第二部分であるアーム側面部47を一体的に有しているとともに、取付部材11により照明器具10を取付部12に取り付けるための孔部48が形成されている。
【0025】
アーム上面部46には、取付部12とは異なる天井構造物に照明器具10を設置するための設置孔50や電源線を通す配線孔51等が設けられている。
【0026】
アーム側面部47は、アーム上面部46の長手方向の両端から下方に向けて折曲されている。すなわち、アーム側面部47は、アーム上面部46の両側に位置している。両側のアーム側面部47は、器具本体14の両側に取り付けられるアーム取付部材43の外側に配置され、角度調整部44によって角度調整可能に連結されている。
【0027】
孔部48は、少なくともアーム側面部47に形成されている。本実施形態において、孔部48は、アーム側面部47からアーム上面部46に亘り形成されている。すなわち、孔部48は、アーム側面部47とアーム上面部46とが連なるアーム40のアーム本体42の角部分に形成されている。また、本実施形態において、孔部48は、両側のアーム側面部47からアーム上面部46に亘りそれぞれ形成されている。つまり、孔部48は、アーム40のアーム本体42の両側に形成されている。
【0028】
孔部48は、アーム側面部47からアーム上面部46に向かい幅狭となるように形成されている。孔部48は、最下部が最も幅広の部分であり、最上部が最も幅狭の部分である。本実施形態において、孔部48は、最下部に位置する幅広部48aと、最上部に位置する幅狭部48bと、を一体的に有する。幅広部48aは、アーム側面部47に位置し、アーム上面部46に位置しない。幅広部48aは、アーム側面部47の幅方向に長手の四角形状である。幅広部48aは、角度調整部44よりも上方に位置する。また、幅狭部48bは、幅広部48aよりも幅狭の所定幅以下に形成されている。本実施形態において、幅狭部48bは、幅広部48aよりも幅迫の一定または略一定の所定幅に形成されている。幅狭部48bは、幅広部48aの上部に連なり、アーム上面部46に向かって、すなわち上方向に延びる四角形状である。図示される例では、幅狭部48bは、アーム側面部47からアーム上面部46に亘り形成されている。幅広部48aと幅狭部48bとにより、側方から見て孔部48が凸字状に形成されている。
【0029】
図7に示すアーム取付部材43は、金属板によって形成されている。アーム取付部材43は、上下方向に沿って長く、下部側が放熱器20の外側に配置されて固定され、上部側がアーム側面部47の内側に配置されて角度調整部44によって連結されている。アーム取付部材43の下部側は、ボルトおよびナット等の締結具を用いて放熱器20に固定されている。アーム取付部材43の下部側の先端には、カバー22の落下防止用の支持片54が内側に向けて折曲されている。両側のアーム取付部材43の間には、放熱器20から上方に離反した位置に、電源ユニット16が取り付けられている。
【0030】
図1(b)および図7に示す角度調整部44は、取付部12に対する照明器具10の取り付け角度、および、光源部15による照射角度を調整する。角度調整部44は、回動軸を中心としてアーム本体42に対してアーム取付部材43を回動可能に連結し、固定軸を介してアーム本体42に対してアーム取付部材43を所定の各角度調整位置にて固定する。
【0031】
回動軸に対応してアーム本体42のアーム側面部47およびアーム取付部材43にそれぞれ挿通孔47a,43aが設けられ、これら挿通孔47a,43aに連結具56が挿通される。連結具56は、例えば挿通孔47a,43aに挿通されるボルト、挿通されたボルトに螺着されるナット、およびボルトとナットとの間に介在される回動可能なカラー等が用いられ、アーム本体42に対してアーム取付部材43を回動可能に連結する。
【0032】
固定軸に対応してアーム本体42のアーム側面部47に回動軸を中心とする円弧状の角度調整孔47bが設けられているとともにアーム取付部材43に固定孔43bが設けられ、これら角度調整孔47bおよび固定孔43bに締結具57が挿通される。締結具57は、例えば、角度調整孔47bおよび固定孔43bを挿通するボルト、および挿通したボルトに螺着されるナット等が用いられ、アーム本体42に対してアーム取付部材43を所定の各角度調整位置にて締め付け固定する。
【0033】
次に、図1(a)、図1(b)、図3(a)ないし図3(c)に示す取付部材11は、例えば金属により形成された取付金具である。本実施形態において、取付部材11は、アーム40の孔部48のそれぞれに取り付けられる。つまり、本実施形態において、取付部材11は、両側一対備えられる。
【0034】
取付部材11は、被固定部60と、被固定部60に連なる延出部61と、延出部61に連なる保持部62と、を一体的に有するコ字状に形成されているとともに、延出部61から保持部62に亘って括れ部63が形成されている。
【0035】
被固定部60は、平面状に形成された板部である。被固定部60は、四角形状に形成されている。被固定部60は、締結孔60aを有する。締結孔60aは、被固定部60の中央部付近に形成されている。締結孔60aには、取付部材11を取付部12の上部に締め付け固定する締結部材66が上方から挿入される。締結部材66は、例えばボルト等が用いられる。
【0036】
延出部61は、被固定部60から下方に延びる板状に形成されている。本実施形態において、延出部61は、被固定部60の一端部から下方に折曲されている。延出部61の最大幅は、被固定部60と等しく、または、略等しく設定されている。延出部61は、取付部12の厚みとアーム40のアーム上面部46の厚みとの和よりも大きい長さに形成されている。本実施形態では、延出部61は、アーム40の孔部48の幅狭部48aよりも大きい最大幅を有している。
【0037】
保持部62は、平面状に形成された板部である。保持部62は、孔部48に挿入されてアーム40のアーム上面部46および取付部12を被固定部60との間に挟み込んで保持する部分である。保持部62は、延出部61の下端部から、被固定部60と同側に折曲されている。被固定部60と保持部62とは平行または略平行に位置し、上下に離れて対向する。本実施形態において、保持部62の長さは、被固定部60の長さと等しい、または、略等しい。保持部62は、孔部48の最大幅よりも小さく、かつ、最小幅よりも大きい幅を少なくとも一部に有する。保持部62の最大幅は、孔部48の幅広部48aより僅かに小さく、幅狭部48bより大きく設定されている。本実施形態において、保持部62の最大幅は、被固定部60と等しく、または、略等しく設定されている。さらに、保持部62は、厚みが幅広部48aの上下幅より小さく設定されている。
【0038】
括れ部63は、延出部61から保持部62に亘って幅方向に括れて形成されている。本実施形態において、括れ部63は、延出部61および保持部62の両側にそれぞれ形成されている。図示される例では、括れ部63は、延出部61の下端側の両側から、保持部62の長さの半分程度まで延びて形成されている。括れ部63は、延出部61の下端側において、下側に向かい徐々に括れが深くなるように形成されている。すなわち、延出部61は、括れ部63によって下側ほど幅寸法が小さくなるように形成され、最小幅がアーム40の孔部48の幅狭部48bよりも小さくなっている。また、保持部62は、括れ部63によって、基端側である延出部61側の側部が窪み、最小幅がアーム40の孔部48の幅狭部48bよりも小さくなっているとともに、先端側が基端側よりも幅広となった保持部幅広部62aとなっている。したがって、保持部62は、延出部61から先端側に離れた位置に、最大幅部分である保持部拡幅部としての保持部幅広部62aを有する。
【0039】
また、図1(a)および図1(b)に示す取付部12は、本実施形態において、支持体67の下部をなしている。支持体67は、梁等を構成する建築構造材である所定幅のH形鋼(H鋼)であり、取付部12は、下部のフランジである。つまり、取付部12の上部の中央部に、ウェブである連結部(ウェブ)68を介して上部のフランジである支持部69が連結されて、取付部12、連結部68、および、支持部69を含む全体として支持体67がH形状を呈している。
【0040】
取付部12は、平板状に形成されており、照明器具10側となる取付面である下面12aが平面状となっている。また、取付部12の保持面である上面12bは、下面12aと平行または略平行に形成されている。
【0041】
次に、照明装置13の取付方法について説明する。
【0042】
図4(a)および図4(b)に示すように、照明器具10は、アーム40のアーム本体42のアーム上面部46を天井等の設置面に設置する。本実施形態では、支持体67の下部の取付部12に対し、照明器具10を取り付ける。
【0043】
まず、照明器具10のアーム40のアーム本体42のアーム上面部46を、取付部12の下面12aに沿わせて重ねる。
【0044】
次いで、図5(a)および図5(b)に示すように、アーム40の側方から、取付部材11を孔部48に挿入する。つまり、取付部材11は、保持部62を孔部48の幅広部48aに位置合わせし、側方からスライドさせて孔部48内に挿入する。本実施形態では、括れ部63が幅広部48a内に位置するまで、取付部材11の保持部62を孔部48に挿入する。これにより、取付部材11の被固定部60が取付部12の上面12bに対し上方に対向する位置となる。
【0045】
この状態で、図6(a)および図6(b)に示すように、各取付部材11を上方に持ち上げる。このとき、括れ部63により、各取付部材11は孔部48内で幅狭部48bに沿って上方へ移動し、保持部62がアーム上面部46の下部に重ねられる。
【0046】
さらに、各取付部材11は、必要に応じて、延出部61が取付部12の端部に当接または近接する位置まで押し込む。
【0047】
この後、図1(a)および図1(b)に示すように、被固定部60の締結孔60a(図3(c))に上方から挿入された締結部材66を締め付けることにより、締結部材66の先端部が取付部12の上面12bに圧接されてその反力で照明器具10を自重から引き上げ、取付部材11がそれぞれ取付部12に対し固定されることで、アーム40のアーム上面部46および取付部12を取付部材11の被固定部60と保持部62との間に挟み込んで保持した状態で照明器具10が取付部12に取り付けられる。
【0048】
このように照明器具10を取付部材11により取付部12に取り付けることで、照明器具10を取付部12に対し強固に、かつ、安定的に取り付けできる。
【0049】
また、設置面側から引き出される電源線を、電源ユニット16の電源筐体30の側部から端子台31に接続する。
【0050】
仮に設置面が傾斜している場合には、アーム40のアーム本体42のアーム上面部46を取付部12に設置した後、角度調整部44において、固定軸の締結具57を緩めた状態で、回動軸を中心としてアーム本体42に対して器具本体14の角度つまり光照射方向の向きを下方である例えば直下方向に調整する。調整後に、固定軸の締結具57を締め付け、アーム本体42にアーム取付部材43を介して器具本体14を固定する。
【0051】
この器具本体14の角度調整により、器具本体14側に取り付けられているセンサユニットが一体に角度調整され、センサユニットの受光部の受光軸と器具本体14の光照射方向とが一致する状態が保たれている。
【0052】
また、外部電源からの電力が電源ユニット16に供給されることにより、電源ユニット16の主電源部が外部電源からの電力を所定の点灯電力に変換して発光モジュールに供給し、発光モジュールの発光素子が点灯し、発光素子からの光がカバー22を透過して光照射方向に照射される。
【0053】
発光モジュールの発光素子が点灯時に発生する熱は、放熱器20に伝達され、この放熱器20から空気中に放熱される。
【0054】
照明器具10のアーム40の孔部48を、アーム側面部47からアーム上面部46に向かい幅狭となるように形成し、取付部材11の保持部62に、孔部48の最大幅よりも小さく、かつ、最小幅よりも大きい幅を有する部分を延出部61から離れた位置に形成することで、取付部材11の保持部62を孔部48の最大幅部分から孔部48に挿入し、取付部材11を持ち上げることにより、保持部62の一部が孔部48の最小幅部分に掛かって側方への抜け止めとなる。そのため、締結部材66による保持部62の締め付け固定が仮に多少緩んでいる場合でも、保持部62が孔部48に引っ掛かることで、取付部材11の孔部48からの脱落を防止できる。したがって、保持部62を締結部材66により締め付け固定する前の、施工の途中であっても、取付部材11を孔部48から脱落させることなく一時的に保持できる構造であり、施工時の安全性を確保できる。また、地震等により締結部材66による保持部62の締め付け固定が緩んだ場合でも、取付部材11が孔部48から脱落せず、照明装置13の耐震性を向上できる。
【0055】
孔部48に、アーム側面部47に形成された幅広部48aと、幅広部48aからアーム上面部46に亘り幅広部48aよりも幅狭で保持部62の最小幅よりも大きい所定幅以下に形成された幅狭部48bと、を有するため、幅広部48aと幅狭部48bとの段差部分を目視して、保持部62を幅広部48aへ容易に位置合わせできるとともに、保持部62を孔部48に挿入した取付部材11を孔部48の最上部まで持ち上げ可能になる。
【0056】
取付部材11に、延出部61から保持部62に亘って幅方向に括れた括れ部63を形成することで、保持部62を孔部48に挿入した状態で括れ部63の位置を孔部48内に位置させておくことにより取付部材11を容易に持ち上げ可能になるとともに、括れ部63の長さを設定することにより、保持部62の孔部48への挿入量を括れ部63の長さに応じて調整可能となり、異なる幅の取付部12に対しても照明器具10を取り付け可能となる。例えば、図8に示すように、取付部12の幅が狭い支持体67を用いる場合でも、対応して照明器具10を取り付けできる。
【0057】
アーム40の両側に孔部48を設け、両側の孔部48のそれぞれに取付部材11を取り付けることで、照明器具10を取付部材11によって両側から支持し、照明器具10をより安定的に取付部12に取り付けできる。
【0058】
本実施形態では、照明器具10の器具本体14を支持するアーム40を、取付部12に取り付ける被取付部とすることで、被取付部として別途の部材を用いることなく、また、孔部48を容易に形成できる。
【0059】
なお、上記一実施形態において、照明器具10は、高天井用照明器具に限らず、ベースライト、あるいは投光器等でも適用できる。
【0060】
また、取付部12に対しアーム40を固定する構成としたが、これに限らず、照明器具10の上部にある被取付部を取付部12に固定する構成としてもよい。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
10 照明器具
11 取付部材
12 取付部
13 照明装置
14 器具本体
40 被取付部であるアーム
46 第一部分であるアーム上面部
47 第二部分であるアーム側面部
48 孔部
60 被固定部
61 延出部
62 保持部
63 括れ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8