(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054197
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】ヒンジ及びヒンジを備えた電子機器
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20220330BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20220330BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20220330BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220330BHJP
H04N 1/10 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
G03G15/00 107
F16C11/04 F
G03G21/16 133
H04N1/00 519
H04N1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161253
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】592264101
【氏名又は名称】下西技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】特許業務法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 禎治
【テーマコード(参考)】
2H076
2H171
3J105
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
2H076AA58
2H076BA07
2H076BA08
2H076BA52
2H076BB25
2H171FA01
2H171FA21
2H171GA15
2H171HA04
2H171HA06
2H171HA15
2H171HA30
2H171KA04
2H171KA18
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA25
2H171KA26
2H171RA01
2H171WA16
3J105AA05
3J105BA15
3J105DA03
3J105DA04
3J105DA15
3J105DA23
5C062AA05
5C062AB02
5C062AD02
5C062AD06
5C072AA01
5C072BA02
5C072EA04
5C072LA02
5C072LA08
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】異物挟み防止部を備えるものであってもヒンジの組付け作業を比較的容易に行うことができるものとする。
【解決手段】ヒンジ100において、中間部材20に対して上部固定部材30が開いた状態であるリフト状態において、中間部材20及び上部固定部材30の外側から、中間部材20と上部固定部材30との間に異物が入り込んで挟まることを防止する異物挟み防止部90を備え、異物挟み防止部90は、少なくとも一部が、リフト状態において、上部固定部材30における第二回動軸72が配置される側と反対側の端部から中間部材20における第二回動軸72が配置される側と反対側の端部に亘って配置される、遮蔽部材91を備え、遮蔽部材91は、上部固定部材30に設けられるものとする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一連結対象物に固定される第一ウイング部材と、
前記第一ウイング部材に設けられるカム部材と、
第二連結対象物に固定されるとともに前記第一ウイング部材に第一回動軸を介して回動可能に連結され、前記第一ウイング部材に対して開状態と閉状態との間で遷移する第二ウイング部材と、
前記第二ウイング部材に収容されつつ前記カム部材に接近する方向および前記カム部材から離間する方向に移動可能なスライド部材と、
前記スライド部材を前記カム部材に接近する方向に付勢することにより前記スライド部材を前記カム部材に当接させる付勢部材と、
を具備し、
前記第二ウイング部材は、前記第一ウイング部材に前記第一回動軸を介して回動可能に連結される中間部材と、前記第二連結対象物に固定されるとともに前記中間部材に第二回動軸を介して回動可能に連結される固定部材と、を備え、
前記中間部材に対して前記固定部材が開いた状態であるリフト状態において、前記中間部材及び前記固定部材の外側から、前記中間部材と前記固定部材との間に異物が入り込んで挟まることを防止する異物挟み防止部をさらに備え、
前記異物挟み防止部は、少なくとも一部が、前記リフト状態において、前記固定部材における前記第二回動軸が配置される側と反対側の端部から前記中間部材における前記第二回動軸が配置される側と反対側の端部に亘って配置される、遮蔽部材を備え、
前記遮蔽部材は、前記固定部材に設けられる、
ヒンジ。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記中間部材に対して前記固定部材が閉じた状態であるリフト解消状態において、前記中間部材と前記固定部材との間に配置される、
請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
前記異物挟み防止部は、前記リフト解消状態から前記リフト状態に前記遮蔽部材の配置態様が変遷した際に、前記遮蔽部材の少なくとも一部が前記固定部材における前記第二回動軸が配置される側と反対側の端部から前記中間部材における前記第二回動軸が配置される側と反対側の端部に亘って配置されるように、前記遮蔽部材を案内し、また、前記リフト状態から前記リフト解消状態に前記遮蔽部材の配置態様が変遷した際に、前記遮蔽部材が前記中間部材と前記固定部材との間に配置されるように、前記遮蔽部材を案内する、ガイド部材を備える、
請求項2に記載のヒンジ。
【請求項4】
前記第二ウイング部材の内部が露出しないように構成されるカバー部材を備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のヒンジ。
【請求項5】
前記第一ウイング部材内に配置され、前記カム部材及び前記第一回動軸が前記第二ウイング部材と反対側から見て露出しないように構成される仕切部材を備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のヒンジ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のヒンジを備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジ及び当該ヒンジを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、ファクシミリ、スキャナー等、オフィスで使用される事務機器の多くは、その本体の上面に原稿読み取り部(コンタクトガラス)を具備するとともに、当該原稿読み取り部を覆う原稿圧着板を具備する。原稿圧着板は、原稿読み取り部に載置された原稿を原稿読み取り部に密着させるとともに原稿読み取り部に対する原稿の位置を保持するものである。
【0003】
事務機器の本体と原稿圧着板とを連結する器具としては、第一ウイング部材と、第一ウイング部材に固定されるカム部材と、第一ウイング部材に回動軸を介して回動可能に連結される第二ウイング部材と、カム部材に接近する方向およびカム部材から離間する方向に移動可能なスライド部材と、スライド部材をカム部材に接近する方向に付勢することによりスライド部材をカム部材に当接させる付勢部材と、を具備するヒンジが知られている。
【0004】
また、ヒンジには、第二ウイング部材は中間部材と固定部材とを備え、中間部材に対して固定部材が開いた状態(リフト状態)として、複合機の本体に対して原稿圧着板を持ち上げた状態にして、本体(コンタクトガラス)と原稿圧着板との間に比較的分厚い原稿を配置したり、また、メンテナンスや点検等を行い易くするものがある。
さらに、このようなヒンジを備える事務機においては、中間部材と固定部材とが開いた状態(リフト状態)において、ヒンジの後方から中間部材と固定部材との間に、例えば工具や衣服や手指等の異物が入り込んで挟まることを防止する異物挟み防止部を備えるものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような事務機では、異物挟み防止部が原稿圧着板に設けられており、ヒンジを連結対象物に組付ける際に、原稿圧着板から垂れ下がった異物挟み防止部が邪魔になって、ヒンジを連結対象物に組付ける作業が億劫なものとなる場合があった。
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、組付け作業を比較的容易に行うことができるヒンジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、第一連結対象物に固定される第一ウイング部材と、前記第一ウイング部材に設けられるカム部材と、第二連結対象物に固定されるとともに前記第一ウイング部材に第一回動軸を介して回動可能に連結され、前記第一ウイング部材に対して開状態と閉状態との間で遷移する第二ウイング部材と、前記第二ウイング部材に収容されつつ前記カム部材に接近する方向および前記カム部材から離間する方向に移動可能なスライド部材と、前記スライド部材を前記カム部材に接近する方向に付勢することにより前記スライド部材を前記カム部材に当接させる付勢部材と、を具備し、前記第二ウイング部材は、前記第一ウイング部材に前記第一回動軸を介して回動可能に連結される中間部材と、前記第二連結対象物に固定されるとともに前記中間部材に第二回動軸を介して回動可能に連結される固定部材と、を備え、前記中間部材に対して前記固定部材が開いた状態であるリフト状態において、前記中間部材及び前記固定部材の外側から、前記中間部材と前記固定部材との間に異物が入り込んで挟まることを防止する異物挟み防止部をさらに備え、前記異物挟み防止部は、少なくとも一部が、前記リフト状態において、前記固定部材における前記第二回動軸が配置される側と反対側の端部から前記中間部材における前記第二回動軸が配置される側と反対側の端部に亘って配置される、遮蔽部材を備え、前記遮蔽部材は、前記固定部材に設けられるものである。
【0010】
請求項2においては、前記遮蔽部材は、前記中間部材に対して前記固定部材が閉じた状態であるリフト解消状態において、前記中間部材と前記固定部材との間に配置されるものである。
【0011】
請求項3においては、前記異物挟み防止部は、前記リフト解消状態から前記リフト状態に前記遮蔽部材の配置態様が変遷した際に、前記遮蔽部材の少なくとも一部が前記固定部材における前記第二回動軸が配置される側と反対側の端部から前記中間部材における前記第二回動軸が配置される側と反対側の端部に亘って配置されるように、前記遮蔽部材を案内し、また、前記リフト状態から前記リフト解消状態に前記遮蔽部材の配置態様が変遷した際に、前記遮蔽部材が前記中間部材と前記固定部材との間に配置されるように、前記遮蔽部材を案内する、ガイド部材を備えるものである。
【0012】
請求項4においては、前記第二ウイング部材の内部が露出しないように構成されるカバー部材を備えるものである。
【0013】
請求項5においては、前記第一ウイング部材内に配置され、前記カム部材及び前記第一回動軸が前記第二ウイング部材と反対側から見て露出しないように構成される仕切部材を備えるものである。
【0014】
請求項6においては、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のヒンジを備えた電子機器としたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、ヒンジの組付け作業を比較的容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係るヒンジを具備する複合機を示す右側面図。
【
図6】同じくヒンジのリフト状態を示す部分拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では
図1を用いて事務機器の実施の一形態である複合機1について説明する。
複合機1は本体2および原稿圧着板3を具備する。本実施形態において、複合機1は、本発明の第一実施形態に係るヒンジ100または本体2に対して原稿圧着板3を開閉可能とする開閉装置(以下「開閉装置」と称する)を具備する構成とするが、複合機1または開閉装置が後述する他の実施形態に係るヒンジまたは開閉装置を具備する構成とすることも可能である。
【0018】
本体2は本発明に係る第一連結対象物の実施の一形態である。
本体2は原稿読み取り装置、制御装置、印刷装置、表示装置および入力装置を具備する。
原稿読み取り装置は本体2の上面に配置される。原稿読み取り装置は本体2の上面に載置された原稿を読み取る(原稿の画像情報を生成する)。
制御装置は複合機1の各部の動作、より詳細には原稿読み取り装置、後述する印刷装置および後述するADFの動作を制御する。
また、制御装置は原稿読み取り装置が生成した画像情報および本体2に接続された回線(インターネット回線等)を通じて取得した画像情報を記憶することが可能である。
印刷装置は原稿読み取り装置の下方に配置される。印刷装置は制御装置が記憶した画像情報に基づいて所定の用紙に画像を印刷する。
表示装置は例えば液晶パネルからなり、複合機1の動作状況等に係る情報を表示する。
入力装置は例えばボタン、スイッチ等からなり、作業者が複合機1に対する指示等を入力する際に操作する。表示装置および入力装置は本体2の上面前部に配置される。
【0019】
原稿圧着板3は本発明に係る第二連結対象物の実施の一形態である。
原稿圧着板3は原稿読み取り装置の上に載置された原稿を原稿読み取り装置に向かって押さえつける(圧着する)ことにより、原稿読み取り装置が原稿を読み取る際に原稿が動く(原稿読み取り装置との相対的な位置が変化する)ことを防止する。
原稿圧着板3は読取前原稿収容トレイ、ADF(Auto Document Feeder)および読取後原稿収容トレイを具備する。
ADFは読取前原稿収容トレイに積層状態で収容された複数枚の原稿を一枚ずつ順に取り出して原稿読み取り装置の上の所定の読取位置に載置する。原稿読み取り装置による原稿の読み取りが終了した後、ADFは読取位置に載置された原稿を読取後原稿収容トレイに搬送する。
【0020】
「事務機器」は、少なくとも原稿を読み取る(原稿の画像情報を取得する)機能を具備する装置を指す。
事務機器の具体例としては、(a)原稿を読み取る機能および読み取った原稿に係る画像情報を他の機器(例えば、パーソナルコンピュータ)に送信する機能を具備するスキャナー、(b)原稿を読み取る機能、読み取った原稿に係る画像情報を通信回線を介して他の機器に送信する機能および他の機器から取得した画像情報をプリントアウトする機能を具備するファクス、(c)原稿を読み取る機能および読み取った原稿に係る画像情報をプリントアウトする機能を具備するコピー機、(d)上記スキャナー、ファクス、およびコピー機としての機能を兼ねる複合機、等が挙げられる。
【0021】
以下で詳述する実施形態に係るヒンジはいずれも複合機1の本体2に原稿圧着板3を開閉可能(回動可能)に連結する用途に用いられるが、本発明に係るヒンジの用途はこれに限定されない。
すなわち、本発明に係るヒンジは、「二つの部材のうちの一方の部材(第一連結対象物)に他方の部材(第二連結対象物)を開閉可能に連結する用途」に広く適用可能であり、例えば、スキャナー、ファクス、およびコピー機、若しくは複合機等のOA機器、自動車、便座、または、炊飯器等の各種電子機器等に用いられる。ヒンジが二つの部材のうちの一方の部材に他方の部材を開閉可能に連結するものとして、例えば、プリンタの本体に回動可能に連結される扉部分、複合機の本体に回動可能に連結される原稿圧着装置、スタンドに回動可能に連結されるディスプレイ、便座に回動可能に連結される便座、自動車の車体に回動可能に連結されるボンネット等がある。
【0022】
以下の説明では、原稿圧着板3が閉じているとき(原稿圧着板3の下面が本体2の上面に当接しているとき)の原稿圧着板3の回動角度θ(より厳密には、本体2に対する原稿圧着板3の回動角度θ)を「0度」とし、原稿圧着板3が開く方向に回動した場合に回動角度θが増加する(回動角度θが正になる)ように原稿圧着板3の回動角度θを定義する(
図1参照)。本実施形態において、本体2に対する原稿圧着板3の回動角度θは、後述する第二ウイング部材の第一ウイング部材に対する閉状態からの回動角度とも一致する。このため、本実施形態では双方とも「回動角度θ」と記載する。
【0023】
以下では、
図1から
図13を用いて本発明に係るヒンジの一実施形態であるヒンジ100について説明する。なお、開閉装置は、本体2に対して原稿圧着板3を開閉可能とする装置としてヒンジ100を用いて構成したものを示す。
図1に示す如く、ヒンジ100は複合機1の本体2に原稿圧着板3を回動可能に連結する。
図2から
図9に示す如く、ヒンジ100は下部固定部材10、中間部材20、第一回動軸71、上部固定部材30、第二回動軸72、受圧部73、第一スライダ40、第二スライダ50、バネ60、ダンパー62、カム部材75、及びフェンス部材80を具備する。
以下では便宜上、原稿圧着板3が本体2に対して閉じているとき(回動角度θ=0度のとき)の複合機1の上下方向、前後方向および左右方向を基準として(原稿圧着板3が本体2に対して閉じているときの複合機1の上下方向、前後方向および左右方向をそれぞれヒンジ100の上下方向、前後方向および左右方向に対応させて)ヒンジ100を構成する各部材の形状を説明する。
【0024】
下部固定部材10は本発明に係る第一ウイング部材の実施の一形態である。下部固定部材10は複合機1の本体2に固定される。
下部固定部材10は、一枚の金属板を適宜折り曲げることにより成形される。下部固定部材10は底板11、左右の側板12・12、および背板13を具備する。
【0025】
下部固定部材10の底板11は下部固定部材10の下部を成す板状の部材である。底板11の形状は平面視で前後方向にやや長い概ね長方形である。
下部固定部材10の側板12は下部固定部材10における左右それぞれの側部を成す板状の部材である。側板12は側面視で概ね前下がりの階段の如き形状を有する。側板12の下端部は底板11の端部に繋がっている(一枚の金属板を直角に折り曲げることにより、底板11および側板12・12が形成される)。側板12の後上端部には、第一回動軸71を挿通するための貫通孔が開口される。
下部固定部材10の背板13は下部固定部材10の後部を成す板状の部材である。背板13は前後一対の板面を有する。背板13の形状は正面視で左右方向にやや長い概ね長方形である。
背板13の下端部は底板11の後端部に繋がっている(一枚の金属板を直角に折り曲げることにより、底板11および背板13が形成される)。
【0026】
中間部材20は、一枚の金属板を適宜折り曲げることにより、天板21及び左右の側板22・22で形成される部材である。中間部材20は、天板21が側板22・22の上部に配置され、天板21の左右両側から側板22・22が下方に折り曲げられるようにして、正面視略コ字状に構成される。中間部材20は、側板22・22の下端部が左右中央側に延出するようにそれぞれ折り曲げられるようにして、下方側の左右中央部が開口する箱状に構成される。中間部材20は後述する如く第一スライダ40、第二スライダ50、バネ60、ダンパー62等を収容した状態で、第一回動軸71を介して下部固定部材10に回動可能に支持される。側板22・22の後部には、第一回動軸71を挿通するための貫通孔が左右方向に開口されている。
【0027】
第一回動軸71は、概ね円柱形状(ピン状)の部材である。
第一回動軸71は、中間部材20の側板22・22の貫通孔及び下部固定部材10の側板12の貫通孔に挿通される。中間部材20は第一回動軸71を介して下部固定部材10に回動可能に連結される。
【0028】
上部固定部材30は本発明に係る固定部材の実施の一形態であり、一枚の金属板を適宜折り曲げることにより、天板31及び左右の側板32・32で形成される略筒状の部材である。上部固定部材30は、天板31が側板32・32の上部に配置され、天板31の左右両側から側板32・32が下方に折り曲げられるようにして、正面視略コ字状に構成される。上部固定部材30は後述する如く第二回動軸72を介して中間部材20に回動可能に支持される。上部固定部材30は原稿圧着板3に固定される。
また、側板32・32には受圧部73を取付けるための貫通孔が形成される。
【0029】
第二回動軸72は、上部固定部材30を中間部材20に回動可能に連結する回動軸を成す部材である。第二回動軸72は概ね円柱形状の部材であり、上部固定部材30及び中間部材20の前部に挿通される。その結果、上部固定部材30は第二回動軸72を介して中間部材20に回動可能に連結される。
【0030】
受圧部73は、ピン状に構成される。受圧部73は、側板32・32の貫通孔に挿通されて上部固定部材30に固定される。受圧部73のスライダ側の面は、カム面として構成され、第二スライダ50のカム当接部52と当接する。
なお、受圧部73は、ピン状のものに限定されるものではなく、板状の部材を折り曲げて構成すること等、他の構成とすることもできる。
【0031】
第一スライダ40は本発明に係るスライド部材の実施の一形態である。第一スライダ40は樹脂材料からなる。
第一スライダ40は、有底に構成される本体41と、本体41の底部後面から後方(本体41の外側)に突出するカム当接部42とを備える。また、第一スライダ40は、カム当接部42の後面において、カム部材75に当接するように構成される。第一スライダ40(本体41)にはバネ60の後端部を収容するバネ受け穴が形成されている。第一スライダ40は中間部材20の内部における後部で前後方向に摺動可能に収容される。
【0032】
第二スライダ50は本発明に係るスライド部材の実施の一形態である。第二スライダ50は樹脂材料からなる。
第二スライダ50は後方が開口し前面に底部を備える。第二スライダ50は、底部前面にカム当接部52を備える。第二スライダ50にはバネ60の前端部を収容するバネ受け穴が形成されている。
【0033】
本実施形態では、「中間部材20、上部固定部材30、第一スライダ40、第二スライダ50、第二回動軸72および受圧部73を合わせたもの」が本発明に係る第二ウイング部材の実施の一形態に相当する。言い換えれば、本発明に係る第二ウイング部材の実施の一形態は、中間部材20、上部固定部材30、第一スライダ40、第二スライダ50、第二回動軸72および受圧部73を具備する。そして、上部固定部材30が原稿圧着板3に固定されることにより、第二ウイング部材は第二連結対象物に固定される。
【0034】
本実施形態においては、第二ウイング部材が第一ウイング部材に最も近接した状態を第二ウイング部材の「閉状態」(原稿圧着板3が本体2に対して閉じている状態)とする(
図9参照)。閉状態とは、第二ウイング部材の第一ウイング部材に対する閉状態からの回動角度θが0度となる状態を指す。また、第二ウイング部材が第一ウイング部材から最も離間した状態を第二ウイング部材の「開状態」とする(
図8参照)。開状態とは、原稿圧着板3が本体2に対して開いている状態であり、回動角度θが90度となる状態を指す。
【0035】
バネ60は、付勢部材の実施の一形態であり、金属製の巻きバネ(圧縮バネ)で構成される。バネ60は中間部材20の内部(第一スライダ40と第二スライダ50とのバネ受け孔)に収容される。
【0036】
バネ60の後端部は第一スライダ40に形成されたバネ受け穴に挿入されてバネ受け穴の底面に当接する。また、バネ60の前端部は第二スライダ50に形成されたバネ受け穴に挿入されてバネ受け穴の底面に当接する。
【0037】
バネ60が発生する付勢力、すなわち、圧縮される方向に弾性変形したバネ60が元の形状(外力が作用していないときの形状)に戻ろうとする力(弾性力)により、第一スライダ40は中間部材20の長手方向のうち第一回動軸71に接近する方向に付勢され、第二スライダ50は中間部材20の長手方向のうち受圧部73に接近する方向に付勢される。
【0038】
ダンパー62は、第一スライダ40及び第二スライダ50のバネ受け穴に収容されている。ダンパー62の本体部は、第二スライダ50の底部に固定され、その先端部が第一回動軸71側に突出する。ダンパー62は、第一スライダ40の底部によって先端部が押圧力を受けたときに反力を発生させる。このため、当該反力により第一スライダ40が移動する速度が小さくなり、ダンパー62による緩衝効果が発生する。ダンパー62は一般的な流体ダンパーで構成される。
【0039】
カム部材75は、概ね円柱形状(ピン状)の部材である。カム部材75は、第一回動軸71の前下方に配置され、下部固定部材10に取付けられる。カム部材75は、第一スライダ40のカム当接部42(カム当接部42の後面)に当接する。第二ウイング部材を閉状態とした際には、第一スライダ40のカム当接部42がカム部材75に当接するとともに、第二スライダ50のカム当接部52が受圧部73に当接する。また、第二ウイング部材の回動角度θ>60度の場合には、第一スライダ40のカム当接部42がカム部材75から離間した状態となる。
【0040】
第一スライダ40のカム当接部42がカム部材75に当接するとともに、第二スライダ50のカム当接部52が受圧部73に当接する結果として、バネ60に生じる弾性力により、中間部材20(第二ウイング部材)は下部固定部材10に対して開く方向に回動するように付勢され、上部固定部材30は中間部材20に対して閉じる方向に回動するように付勢される。この際、ダンパー62の先端部は第二スライダ50の底部によって押圧され、ダンパー62の本体部側に押し込まれる。
【0041】
本実施形態では、第二ウイング部材の第一ウイング部材に対する閉状態からの回動角度θが0度から第一の所定角度φ1までの第一領域にあるとき(0度≦θ≦φ1のとき)、バネ60に生じる弾性力により、第二ウイング部材を第一ウイング部材に対して開状態となる方向に回動させる構成としている。例えば、第一の所定角度φ1は60度(回動角度θ=第一の所定角度φ1=60度)に設定されている。なお、第一の所定角度φ1は60度以外の他の角度に設定することも可能である。
【0042】
本実施形態においては、上部固定部材30に固定された原稿圧着板3の自重に起因してヒンジ100を閉じようとする回転力と、バネ60の付勢力に起因してヒンジ100を開こうとする回転力と、が概ね平衡するように、第一スライダ40のカム当接部42またはカム部材75の形状等が予め定められる。
このように構成することにより、複合機1の本体2に対する原稿圧着板3の回動角度θが0度からφ1までの範囲において作業者が原稿圧着板3から手を離した場合には、回動角度θが保持される。
【0043】
フェンス部材80は、カム部材75の近傍において、カム部材75及び第一スライダ40のカム当接部42の下方(第二ウイング部材の開状態ではカム部材75と第一スライダ40の当接部分の前方)に配置される。フェンス部材80は、中間部材20の閉状態から開状態まで(中間部材20の回動範囲の全域に亘って)、第一スライダ40及びカム部材75の外側から、第一スライダ40のカム当接部42とカム部材75との当接部分側に異物(例えば原稿等)が入り込むことを防止する。フェンス部材80は、カム部材75(第一スライダ40のカム当接部42とカム部材75との当接部分)を下方外側または前方外側等から見えないようにして、外側との空間を遮蔽するように構成される。
フェンス部材80は、第一スライダ40(カム当接部42)にぶら下がるように(回動可能に)支持される。フェンス部材80は、中間部材20の回動動作または第一スライダ40の移動動作とともに移動可能に構成される。
【0044】
フェンス部材80は、本体部81と、一対のアーム82・82と、を具備する。
本体部81は、カム部材75の左右幅と略同一の板状に構成される。
アーム82は、本体部81の左右上端部からそれぞれ外側に突出してさらに上方に突出する。アーム82は、その上方の突出側の端部において左右方向内側に突出する凸部を有する。
第一スライダ40のカム当接部42の左右の側面略中央部に凹部をそれぞれ備え、当該凹部にフェンス部材80の左右の凸部がそれぞれ挿入されることによって、フェンス部材80が第一スライダ40(カム当接部42)に支持される。
【0045】
このように、フェンス部材80は、第一スライダ40にぶら下がるように支持されて、カム部材75近傍においてカム部材75及び第一スライダ40のカム当接部42との下方(第二ウイング部材の開状態ではカム部材75と第一スライダ40の当接部分の前方)に配置され、第一スライダ40及びカム部材75の外側から、第一スライダ40のカム当接部42とカム部材75との当接部分側に異物(例えば原稿等)が入り込むことを防止することから、第二ウイング部材の閉状態から開状態まで、例えば、本体2の上面に配置された原稿が第一スライダ40のカム当接部42とカム部材75との当接部分側に入り込んで、当該原稿にオイルが付着すること等を確実に防止することができる。
また、フェンス部材80は、第一スライダ40のカム当接部42とカム部材75との当接部分外側から見えないようにして外側との空間を遮蔽するように構成されることから、樹脂素材等で構成される部材(第一スライダ40等)の露出する部分を低減させて、ヒンジ100を比較的難燃性の高い構成とすることができる。
【0046】
下部固定部材10に対して中間部材20が開いた状態(例えば、下部固定部材10に対して中間部材20が20度開いた状態)で、且つ、中間部材20に対して上部固定部材30が開いた状態(例えば、上部固定部材30が下部固定部材10に対して0度の状態)とすることができる。このような状態とすることによって、複合機1の本体2に対して原稿圧着板3を持ち上げた状態にして、本体2(本体2の上端のコンタクトガラス)と原稿圧着板3との間に比較的分厚い原稿を配置することができ、また、メンテナンスや点検等を行い易くする。
以下において、中間部材20に対して上部固定部材30が開いた状態を便宜上「リフト状態」とし、また、中間部材20に対して上部固定部材30が閉じた状態(中間部材20と上部固定部材30とが最も近接した状態)を便宜上「リフト解消状態」として説明する。
【0047】
リフト解消状態において、上部固定部材30は、中間部材20の外側を覆うように配置される。即ち、上部固定部材30の天板31は、中間部材20の天板21の上方に配置され、上部固定部材30の側板32・32は、中間部材20の側板22・22の左右外側に配置される。
また、リフト解消状態において、中間部材20の天板21と上部固定部材30の天板31との間には所定の空間が形成される。当該空間は、後述する異物挟み防止部90の遮蔽部材91を収納する収納部95として構成される。
【0048】
異物挟み防止部90は、リフト状態において、中間部材20及び上部固定部材30の外側(ヒンジ100の後方外側)から、中間部材20と上部固定部材30との間に異物(例えば工具や衣服や手指等)が入り込んで挟まることを防止する。
異物挟み防止部90は、遮蔽部材91と、取付け部材93と、ガイド部材94と、を備える。
【0049】
異物挟み防止部90の遮蔽部材91は、難燃性の比較的高い弾性変形可能な樹脂素材からなり、帯状に構成される。遮蔽部材91の左右幅は、中間部材20または上部固定部材30の左右幅と略同一に構成される。遮蔽部材91(遮蔽部材91の一端部)は、上部固定部材30(上部固定部材30の後端部)に設けられる。
【0050】
異物挟み防止部90の遮蔽部材91は、リフト状態とリフト解消状態とにおいてそれぞれ所定の配置態様となるように構成される。
リフト状態において、遮蔽部材91の後部(少なくとも一部)は、上部固定部材30における第二回動軸72が配置される側と反対側の端部(上部固定部材30の後端部)から下方に垂れ下がるようにして、上部固定部材30の後端部から中間部材20における第二回動軸72が配置される側と反対側の端部(中間部材20の後端部)に亘って配置される。このようにして、リフト状態において、中間部材20及び上部固定部材30の後方外側から見えないようにして、外側との空間を遮蔽するように構成される。また、リフト状態において、遮蔽部材91の前部は、中間部材20の天板21の上方において、中間部材20の後端部から前後中途部に亘って配置される。
リフト解消状態において、遮蔽部材91は、収納部95内(中間部材20と上部固定部材30との間)に収納するように配置される。
【0051】
以上のように、異物挟み防止部90の遮蔽部材91は上部固定部材30に設けられることから、連結対象物(複合機1の本体2または原稿圧着板3)へヒンジ100を組付ける際に、原稿圧着板3から垂れ下がった異物挟み防止部90が邪魔になってヒンジ100の組付け作業が億劫になることを防止することができる。
したがって、ヒンジ100によれば、異物挟み防止部90を要する構成において、原稿圧着板3に異物挟み防止部90が設けられるものに比べてヒンジ100の組付け作業を比較的容易に行うことができる。
【0052】
ここで、ヒンジ100は閉じた状態(リフト解消状態)で搬送されることが一般的である。
ヒンジ100では、リフト解消状態において異物挟み防止部90の遮蔽部材91が収納部95内に配置されることから、例えば、搬送時において、異物挟み防止部90の遮蔽部材91の他端部(上部固定部材30に固定される側と反対側の端部)が突出した状態とならない。
したがって、ヒンジ100によれば、異物挟み防止部90(遮蔽部材91)を備えるものであっても閉じた状態の構成が嵩張らないもの(コンパクトな構成)とすることができる。
【0053】
異物挟み防止部90の取付け部材93は、遮蔽部材91を上部固定部材30に取付けて固定する。取付け部材93は、左右方向を長手方向とする平板状の部材である。
上部固定部材30の天板31の後端部は、後上方に突出するように折り曲げられて構成される。当該上部固定部材30の天板31の後端部の後面と、取付け部材93とで、遮蔽部材91の後端部(一端部)を挟み込むようにした状態で、ビス等によって取付け部材93を上部固定部材30の天板31の後端部に固定することによって、遮蔽部材91(遮蔽部材91の一端部)を上部固定部材30に取付ける。
取付け部材93の左右幅は、上部固定部材30または遮蔽部材91の左右幅と略同一に構成される。取付け部材93は、遮蔽部材91の左右(遮蔽部材91の短手方向側)に亘るように構成される。
【0054】
このように、異物挟み防止部90の取付け部材93が遮蔽部材91の左右に亘るように構成されることから、リフト解消状態からリフト状態にまたリフト状態からリフト解消状態に遮蔽部材91の配置態様が変遷するとき、遮蔽部材91が撓んだりまた反ること等を抑制することができる。
【0055】
異物挟み防止部90のガイド部材94は、リフト解消状態からリフト状態に遮蔽部材91の配置態様が変遷するとき、また、リフト状態からリフト解消状態に遮蔽部材91の配置態様が変遷するときに、遮蔽部材91が円滑に移動するように、遮蔽部材91を案内する。また、ガイド部材94は、リフト解消状態からリフト状態に遮蔽部材91の配置態様が変遷した際に、また、リフト状態からリフト解消状態に遮蔽部材91の配置態様が変遷した際に、遮蔽部材91が上述した所定の配置態様となっているように、遮蔽部材91を案内する。
【0056】
このように、異物挟み防止部90のガイド部材94が、リフト解消状態からリフト状態に遮蔽部材91の配置態様が変遷した際に、また、リフト状態からリフト解消状態に遮蔽部材91の配置態様が変遷した際に、遮蔽部材91が上述した所定の配置態様となるように、遮蔽部材91を案内することから、リフト解消状態からリフト状態またはリフト状態からリフト解消状態への遮蔽部材91の配置態様の変遷を安定して行うことができる。
【0057】
異物挟み防止部90のガイド部材94は、棒状の部材であり、中間部材20の側板22・22間に設けられ、中間部材20の天板21との間に若干の隙間(少なくとも遮蔽部材91の厚みよりも大きい隙間)が形成されるように、中間部材20の天板21の上方に配置される。ガイド部材94は、リフト解消状態において収納部95内に配置される。
中間部材20の側板22・22の後端部はそれぞれ上方(上部固定部材30側)に突出するように形成され、当該側板22・22の突出する部分にはそれぞれ貫通孔が形成される。ガイド部材94は、中間部材20の側板22・22の貫通孔に挿通された状態で固定されて、中間部材20の側板22・22間を渡るように配置される。
遮蔽部材91は、遮蔽部材91の前端部(他端部)が、ガイド部材94の後方から中間部材20の天板21とガイド部材94との間に挿通されて、中間部材20の天板21の上方において前方(第二回動軸72側)に延出するように構成される。
【0058】
このように、異物挟み防止部90のガイド部材94は、中間部材20の側板22・22間を渡るように配置され、中間部材20の天板21の上方に配置され、遮蔽部材91は、遮蔽部材91の他端部が、ガイド部材94の後方から中間部材20の天板21とガイド部材94との間に挿通されて、中間部材20の天板21の上方において第二回動軸72側に延出するように構成されることから、前記遮蔽部材91の配置態様が変遷した際に遮蔽部材91が上述した所定の配置態様となるように遮蔽部材91を案内する構成を、簡易な構成で実現することができる。
【0059】
異物挟み防止部90の遮蔽部材91は、切欠き部92を備える。
遮蔽部材91の切欠き部92は、遮蔽部材91の中央部を遮蔽部材91の長手方向に沿って切り欠かれるように形成される。遮蔽部材91の切欠き部92は、遮蔽部材91の左右中央において、遮蔽部材91の後端部近傍から前端近傍に亘って形成される。
中間部材20は、突出部23を備える。
中間部材20の突出部23は、中間部材20の天板21の左右中央において、中間部材20の天板21の上面から上方に突出するように形成される。中間部材20の突出部23は、遮蔽部材91の切欠き部92に挿通される。
リフト解消状態からリフト状態またはリフト状態からリフト解消状態に遮蔽部材91の配置態様が変遷する際には、中間部材20の突出部23の遮蔽部材91の切欠き部92に挿通される前後位置が変遷する。
【0060】
このように、異物挟み防止部90の遮蔽部材91は切欠き部92を備え、中間部材20は遮蔽部材91の切欠き部92に挿通される突出部23を備え、リフト解消状態からリフト状態またはリフト状態からリフト解消状態に遮蔽部材91の配置態様が変遷する際には、中間部材20の突出部23の遮蔽部材91の切欠き部92に挿通される前後位置が変遷することから、リフト解消状態からリフト状態またはリフト状態からリフト解消状態に遮蔽部材91の配置態様が変遷する際に、遮蔽部材91が左右にずれることを防止することができる。したがって、リフト解消状態からリフト状態またはリフト状態からリフト解消状態への遮蔽部材91の配置態様の変遷を安定して行うことができる。
【0061】
なお、異物挟み防止部90の遮蔽部材91は、複数個の細長い部材が軸心方向に対して直交する方向に並べられた状態で連結されたすだれ状に構成して、リフト解消状態からリフト状態またはリフト状態からリフト解消状態へ配置態様が変遷するように構成することもできる。
【0062】
ヒンジ100は、カバー部材85を備える。
カバー部材85は、一枚の金属板を適宜折り曲げることにより、前板、下板、及び一対の側板を備えるように形成される部材であり、第二スライダ50に固定して設けられる。
カバー部材85は、第二ウイング部材の内部が露出しないように(外側から見えないように)構成される。カバー部材85は、第一スライダ40、第二スライダ50、バネ60、ダンパー62等が露出しないように、中間部材20の前方の開口および下方の開口(第二ウイング部材の底面側)を覆うように構成される。カバー部材85の前板は第一スライダ40の前方に配置され、カバー部材85の一対の側板は中間部材20の側板21・21の左右外側に配置される。カバー部材85の下板は、中間部材20の下方の開口の下方、第一スライダ40のカム当接部42とカム部材75との当接部分の下方、また、フェンス部材80の下方に配置される。
【0063】
このように、カバー部材85を備え、第二ウイング部材の内部が露出しないように中間部材20の下方の開口等を覆うことから、ヒンジ100の内部の樹脂素材等で構成される部材(第一スライダ40等)の露出する部分を低減させて、ヒンジ100を比較的難燃性の高い構成とすることができる。
【0064】
また、異物挟み防止部90の遮蔽部材91を比較的難燃性の高い素材で構成することもできる。このように構成することによって、ヒンジ100を比較的難燃性の高い構成とすることができる。
【0065】
また、ヒンジ100は、仕切部材76を備える。
仕切部材76は、下部固定部材10(第一ウイング部材)内に配置され、下部固定部材10内の空間を上下に仕切るように構成される。仕切部材76は、カム部材75及び第一回動軸71が下方(第一ウイング部材と反対側)から見て露出しないように(下方から見えないように)構成される。
仕切部材76は、左右一対の側板部77・77と、仕切部78と、を備える。
【0066】
仕切部材76の一対の側板部77・77は、下部固定部材10の一対の側板11・11の内側において一対の側板11・11に近接するようにそれぞれ配置される。仕切部材76の側板部77の前部には、カム部材75を挿通するための貫通孔が開口され、仕切部材76の側板部77の後部には、第一回動軸71を挿通するための貫通孔が開口される。仕切部材76は、側板部77の前部の貫通孔にカム部材75が挿通され、側板部77の後部の貫通孔に第一回動軸71が挿通されて、下部固定部材10(下部固定部材10内)に固定される。
【0067】
仕切部材76の仕切部78は、概ね板状に構成される。仕切部材76の仕切部78は、カム部材75(カム部材75の下部)から下部固定部材10の背板13(第一回動軸71の下方)に亘るように配置される。また、仕切部材76の仕切部78は、下部固定部材10の左右の側板11・11に亘って配置されて、一対の側板部77・77(側板部77・77の下部)を連結するように構成される。仕切部材76の仕切部78は、下部固定部材10に取付けられた状態で、カム部材75及び第一回動軸71の下方に配置される。仕切部材76の仕切部78は、下部固定部材10内において、カム部材75及び第一回動軸71が配置される側(上方側)とカム部材75及び第一回動軸71が配置される側と反対側(下方側)とを仕切る。カム部材75及び第一回動軸71が下方(第一ウイング部材と反対側)から見て露出しないように、カム部材75及び第一回動軸71等の下方に配置される。
【0068】
このように、仕切部材76の仕切部78は、下部固定部材10内に配置され、カム部材75及び第一回動軸71が下方(下部固定部材10の底板11側)から見て露出しないように構成される。
このため、ヒンジ100の内部の露出する部分を低減させて、ヒンジ100を比較的難燃性の高い構成とすることができる。
【0069】
図10から
図13に示すように、仕切部材76は、一枚の金属板に適宜折り曲げ加工を施すことにより、左右一対の側板部77・77と、側板部77・77を連結する仕切部78と、を備えて構成することもできる。このとき、仕切部材76の側板部77と仕切り部78とはそれぞれ平板状に構成される。
また
図11から
図13に示すように、第一スライダ40のカム当接部42は、第二ウイング部材の回動角度によらず、第二ウイング部材が閉状態から全開状態まで、カム部材75に当接するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0070】
1 複合機
2 本体
3 原稿圧着板
10 下部固定部材
20 中間部材
30 上部固定部材
40 第一スライダ
41 本体
42 カム当接部
50 第二スライダ
71 第一回動軸
72 第二回動軸
73 受圧部
75 カム部材
76 仕切部材
77 側板部
78 仕切部
80 フェンス部材
81 本体部
82 アーム
85 カバー部材
90 異物挟み防止部
91 遮蔽部材
92 切欠き部
93 取付け部材
94 ガイド部材
95 収納部
100 ヒンジ