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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054273
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】処理剤供給装置並びに食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
   F04B 53/06 20060101AFI20220330BHJP
   A47L 15/44 20060101ALI20220330BHJP
   F04B 49/06 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
F04B53/06
A47L15/44
F04B49/06 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161362
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】高木 直人
【テーマコード(参考)】
3B082
3H071
3H145
【Fターム(参考)】
3B082CC02
3B082CC03
3B082CC04
3B082CC05
3H071AA01
3H071BB01
3H071CC14
3H071CC15
3H071CC42
3H071DD11
3H145AA02
3H145AA12
3H145AA23
3H145AA31
3H145AA42
3H145BA02
3H145CA30
3H145DA11
3H145DA47
3H145EA04
3H145EA43
(57)【要約】
【課題】水を供給する主流通路42と貯蔵タンク40に連なる副流通路43との合流部に切替手段44を配設し、主流通路の下流側部分42bに、ポンプ451と上流側及び下流側の逆止弁452,454とを有する吸い出しユニット45を介設し、貯蔵タンク40から主流通路の下流側部分42bに処理剤を吸い出す吸い出し運転と、吸い出された処理剤を水と共に被供給部2に送り出す送り出し運転とを実行するようした処理剤供給装置において、送り出し運転時にポンプ451を非駆動とするにも拘らず、処理剤を効率よく被供給部2に送り出すことができるようにする。
【解決手段】送り出し運転時に、ポンプ451を、ポンプ451での圧力損失が主流通路42の最小断面積部での圧力損失以下になる状態で、駆動せずに待機させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理剤の貯蔵タンクから吸い出した所定量の処理剤を水と共に被供給部に供給可能な処理剤供給装置であって、
被供給部に水を供給する、上流端に給水弁が設けられた主流通路と、貯蔵タンクに貯蔵された処理剤を主流通路に導入する副流通路と、主流通路と副流通路との合流部に配設された切替手段と、処理剤の吸い出しユニットと、制御手段とを備え、
吸い出しユニットは、容積式のポンプと、ポンプに吸い込まれる流れのみを許容する第1逆止弁と、第1逆止弁とポンプとの間の流入路と、ポンプから押し出される流れのみを許容する第2逆止弁と、ポンプと第2逆止弁との間の流出路とで構成されて、切替手段の下流側の主流通路の部分に吸い出しユニットが介設されると共に、切替手段の上流側の主流通路の部分と吸い出しユニットの下流側の主流通路の部分とを接続するバイパス路が設けられ、
切替手段は、切替手段の上流側の主流通路の部分と下流側の主流通路の部分との連通を遮断すると共に副流通路と切替手段の下流側の主流通路の部分とを連通する第1の状態と、切替手段の上流側の主流通路の部分と下流側の主流通路の部分とを連通すると共に副流通路と切替手段の下流側の主流通路の部分との連通を遮断する第2の状態とに切替え可能であり、
制御手段は、給水弁を閉弁させると共に切替手段を第1の状態に切替えた状態でポンプを駆動して、貯蔵タンクから切替手段の下流側の主流通路の部分に向けて所定量の処理剤を吸い出す吸い出し運転と、給水弁を開弁させると共に切替手段を第2の状態に切替えて、吸い出し運転で吸い出された所定量の処理剤を主流通路を介して水と共に被供給部に送り出す送り出し運転とを実行するように構成されるものにおいて、
制御手段は、送り出し運転時に、ポンプを、ポンプでの圧力損失が主流通路の最小断面積部での圧力損失以下になる状態で、駆動せずに待機させる制御を行うように構成されることを特徴とする処理剤供給装置。
【請求項2】
処理剤の貯蔵タンクから吸い出した所定量の処理剤を水と共に被供給部に供給可能な処理剤供給装置であって、
被供給部に水を供給する、上流端に給水弁が設けられた主流通路と、貯蔵タンクに貯蔵された処理剤を主流通路に導入する副流通路と、主流通路と副流通路との合流部に配設された切替手段と、処理剤の吸い出しユニットと、制御手段とを備え、
吸い出しユニットは、容積式のポンプと、ポンプに吸い込まれる流れのみを許容する第1逆止弁と、第1逆止弁とポンプとの間の流入路と、ポンプから押し出される流れのみを許容する第2逆止弁と、ポンプと第2逆止弁との間の流出路とで構成されて、切替手段の上流側の主流通路の部分と切替手段の下流側の主流通路の部分とを接続するように設けられたバイパス路に吸い出しユニットが介設され、
切替手段は、切替手段の上流側の主流通路の部分と下流側の主流通路の部分との連通を遮断すると共に副流通路と切替手段の上流側の主流通路の部分とを連通する第1の状態と、切替手段の上流側の主流通路の部分と下流側の主流通路の部分とを連通すると共に副流通路と切替手段の上流側の主流通路の部分との連通を遮断する第2の状態とに切替え可能であり、
制御手段は、給水弁を閉弁させると共に切替手段を第1の状態に切替えた状態でポンプを駆動して、貯蔵タンクから切替手段の上流側の主流通路の部分に向けて所定量の処理剤を吸い出す吸い出し運転と、給水弁を開弁させると共に切替手段を第2の状態に切替えて、吸い出し運転で吸い出された所定量の処理剤を主流通路を介して水と共に被供給部に送り出す送り出し運転とを実行するように構成されるものにおいて、
制御手段は、送り出し運転時に、ポンプを、ポンプでの圧力損失が主流通路の最小断面積部での圧力損失以上になる状態で、駆動せずに待機させる制御を行うように構成されることを特徴とする処理剤供給装置。
【請求項3】
食器類を収納する洗浄槽を備える食器洗浄機であって、処理剤たる洗剤の貯蔵タンクから吸い出した所定量の洗剤を水と共に被供給部たる洗浄槽に供給可能な処理剤供給装置を備えるものにおいて、処理剤供給装置が請求項1又は2記載の処理剤供給装置で構成されることを特徴とする食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤等の処理剤の貯蔵タンクから吸い出した所定量の処理剤を水と共に被供給部に供給可能な処理剤供給装置並びにこの処理剤供給装置を具備する食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の処理剤供給装置として、被供給部に水を供給する、上流端に給水弁が設けられた主流通路と、貯蔵タンクに貯蔵された処理剤を主流通路に導入する副流通路とを備え、副流通路に、容積式のポンプと、ポンプに吸い込まれる流れのみを許容する上流側の第1逆止弁と、第1逆止弁とポンプとの間の流入路と、ポンプから押し出される流れのみを許容する下流側の第2逆止弁と、ポンプと第2逆止弁との間の流出路とで構成される吸い出しユニットを介設し、給水弁を開弁させると共にポンプを駆動することで、貯蔵タンクから所定量の処理剤を吸い出して主流通路に送り出し、この処理剤を主流通路を介して水と共に被供給部に供給するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。然し、このものでは、ポンプ内や逆止弁内の処理剤を水で洗い流すことができないため、ポンプ内や逆止弁内に付着残留した処理剤が固まって、吸い出しユニットの動作不良を生ずることがある。
【0003】
そこで、従来、主流通路と副流通路との合流部に切替手段を配設し、切替手段の下流側の主流通路の部分に吸い出しユニットを介設すると共に、切替手段の上流側の主流通路の部分と吸い出しユニットの下流側の主流通路の部分とを接続するバイパス路を設けた第1のタイプの処理剤供給装置や、主流通路と副流通路との合流部に配設した切替手段の上流側の主流通路の部分と切替手段の下流側の主流通路の部分とを接続するように設けられたバイパス路に吸い出しユニットを介設した第2のタイプの処理剤供給装置が考えられている。
【0004】
ここで、第1のタイプの処理剤供給装置では、切替手段を、切替手段の上流側の主流通路の部分と下流側の主流通路の部分との連通を遮断すると共に副流通路と切替手段の下流側の主流通路の部分とを連通する第1の状態と、切替手段の上流側の主流通路の部分と下流側の主流通路の部分とを連通すると共に副流通路と切替手段の下流側の主流通路の部分との連通を遮断する第2の状態とに切替え可能とする。そして、処理剤供給装置の制御手段は、給水弁を閉弁させると共に切替手段を第1の状態に切替えた状態でポンプを駆動して、貯蔵タンクから切替手段の下流側の主流通路の部分に向けて所定量の処理剤を吸い出す吸い出し運転と、給水弁を開弁させると共に切替手段を第2の状態に切替えて、吸い出し運転で吸い出された所定量の処理剤を主流通路を介して水と共に被供給部に送り出す送り出し運転とを実行するように構成される。このものでは、送り出し運転時に、ポンプ内や逆止弁内の処理剤が主流通路を通る水で洗い流されるため、ポンプ内や逆止弁内に付着残留する処理剤による吸い出しユニットの動作不良を防止できる。
【0005】
また、第2のタイプの処理剤供給装置では、切替手段を、切替手段の上流側の主流通路の部分と下流側の主流通路の部分との連通を遮断すると共に副流通路と切替手段の上流側の主流通路の部分とを連通する第1の状態と、切替手段の上流側の主流通路の部分と下流側の主流通路の部分とを連通すると共に副流通路と切替手段の上流側の主流通路の部分との連通を遮断する第2の状態とに切替え可能とする。そして、処理剤供給装置の制御手段は、給水弁を閉弁させると共に切替手段を第1の状態に切替えた状態でポンプを駆動して、貯蔵タンクから切替手段の上流側の主流通路の部分に向けて所定量の処理剤を吸い出す吸い出し運転と、給水弁を開弁させると共に切替手段を第2の状態に切替えて、吸い出し運転で吸い出された所定量の処理剤を主流通路を介して水と共に被供給部に送り出す送り出し運転とを実行するように構成される。このものでは、切替手段の上流側の主流通路の部分の容積を上記所定量以上にすることで、吸い出し運転時に吸い出しユニットまで処理剤が到達しなくなる。そのため、ポンプ内や逆止弁内に処理剤が入らず、ポンプ内や逆止弁内に付着残留する処理剤による吸い出しユニットの動作不良を未然に防止できる。尚、吸い出し運転時に吸い出しユニットまで処理剤が到達しても、送り出し運転時にポンプ内や逆止弁内の処理剤がバイパス路を通る水で洗い流されるため、吸い出しユニットの動作不良を防止できる。
【0006】
ところで、上記第1のタイプの処理剤供給装置では、送り出し運転時にポンプを駆動することも可能であるが、省エネとポンプ寿命アップとを図るには、送り出し運転時にポンプを非駆動とすることが望ましい。但し、送り出し運転時に、ポンプを、ポンプでの圧力損失が大きくなる状態(ポンプの押し出し工程のストロークエンドに近い状態)で、駆動せずに待機させたのでは、バイパス路に水が流れやすくなって、主流通路に流れる水量が減少し、吸い出し運転時に主流通路に吸い出された所定量の処理剤を被供給部に効率よく送り出せなくなってしまう。
【0007】
また、上記第2のタイプの処理剤供給装置では、送り出し運転時にポンプを非駆動とする必要がある。但し、送り出し運転時に、ポンプを、ポンプでの圧力損失が小さくなる状態(ポンプの吸い込み工程のストロークエンドに近い状態)で、駆動せずに待機させたのでは、バイパス路に水が流れやすくなり、上記と同様に主流通路に流れる水量が減少し、吸い出し運転時に主流通路に吸い出された所定量の処理剤を被供給部に効率よく送り出せなくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-74823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上の点に鑑み、上記第1や第2のタイプの処理剤供給装置であって、送り出し運転時にポンプを非駆動とするにも拘らず、処理剤を効率よく被供給部に送り出すことができるようにしたものを提供することを第1の課題とし、また、この処理剤供給装置を具備する食器洗浄機を提供することを第2の課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記第1の課題を解決するために、本願の第1発明は、上記第1のタイプの処理剤供給装置において、制御手段は、送り出し運転時に、ポンプを、ポンプでの圧力損失が主流通路の最小断面積部での圧力損失以下になる状態で、駆動せずに待機させる制御を行うように構成されることを特徴とし、また、本願の第2発明は、上記第2のタイプの処理剤供給装置において、制御手段は、送り出し運転時に、ポンプを、ポンプでの圧力損失が主流通路の最小断面積部での圧力損失以上になる状態で、駆動せずに待機させる制御を行うように構成されることを特徴とする。
【0011】
また、上記第2の課題を解決するために、本願の第3発明は、食器類を収納する洗浄槽を備える食器洗浄機であって、処理剤たる洗剤の貯蔵タンクから吸い出した所定量の洗剤を水と共に被供給部たる洗浄槽に供給可能な処理剤供給装置を備えるものにおいて、処理剤供給装置が上記第1発明や第2発明の処理剤供給装置で構成されることを特徴とする。
【0012】
第1発明によれば、送り出し運転時に駆動せずに待機するポンプでの圧力損失は、主流通路の最小断面積部での圧力損失以下となるため、バイパス路に水が流れやすくなることはなく、主流通路に流れる水の流量は最小断面積部で律速される流量以下にはならない。また、第2発明によれば、送り出し運転時に駆動せずに待機するポンプでの圧力損失は、主流通路の最小断面積部での圧力損失以上となるため、吸い出しユニットを介設したバイパス路に水が流れやすくなることはなく、主流通路に流れる水の流量は最小断面積部で律速される流量以下にはならない。従って、第1発明と第2発明の何れにおいても、送り出し運転時にポンプを非駆動とするにも拘らず、吸い出し運転で主流通路に吸い出された所定量の処理剤を効率よく被供給部に送り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態の処理剤供給装置を具備する食器洗浄機の模式的切断側面図。
図2】本発明の第1実施形態の処理剤供給装置の回路図。
図3】本発明の第2実施形態の処理剤供給装置の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示す食器洗浄機は、外装ケース1と、外装ケース1内に前方に出し入れ自在に設けられた、食器類Wを収納する洗浄槽2とを備えており、この洗浄槽2内に給水路3と後記詳述する処理剤供給装置4とを介して水が供給される。洗浄槽2内には、食器類Wを載置する食器カゴ21と、食器カゴ21に向けて洗浄水を噴射する洗浄ノズル22と、ヒータ23とが設けられている。給水路3には、止水栓31が介設されると共に、止水栓31の下流側の給水路3の部分に水抜き栓32が接続されている。
【0015】
洗浄槽2の底部には、水溜り部24が凹設されている。そして、水溜り部24に連通する洗浄・排水ポンプ5が設けられ、更に、水溜り部24に連通して洗浄槽2内の水位を検知する水位検知装置6が設けられている。洗浄・排水ポンプ5を正転させると、洗浄水が洗浄ノズル22を介して洗浄槽2内に循環され、洗浄・排水ポンプ5を逆転させると、洗浄槽2内の洗浄水が排水路7を介して排水される。排水路7には、逆流防止のための逆U字状の立上り部71と、エア抜き部72と、排水トラップ部73と、逆止弁74とが設けられている。
【0016】
外装ケース1内には、洗浄槽2内に乾燥用の空気を送風する乾燥ファン8が設けられている。また、洗浄槽2の前面の中空の前扉部25内には、処理剤供給装置4と、洗浄・排水ポンプ5、ヒータ23及び乾燥ファン8を制御すると共に処理剤供給装置4の制御手段に兼用されるコントローラ9とが設けられ、更に、前扉部25の上端には、電源スイッチや運転スイッチ等の各種スイッチが配置された操作部26が設けられている。
【0017】
操作部26の運転スイッチをオンすると、先ず、処理剤供給装置4により処理剤たる洗剤が水と共に被供給部たる洗浄槽2に供給され、洗浄槽2内の水位が所定水位になってこれが水位検知装置6で検知されたときに洗剤及び水の供給が停止される。次に、ヒータ23に通電すると共に洗浄・排水ポンプ5を正転させて、洗浄水(洗剤が混合した水)を加熱しつつ洗浄ノズル22から噴射させ、所定時間の洗浄運転を行う。洗浄運転完了後は、洗浄・排水ポンプ5を逆転させて洗浄槽2内の洗浄水を排水し、次に、洗浄槽2に所定水位になるまで処理剤供給装置4を介して水を供給した後、洗浄・排水ポンプ5を正転させて洗浄ノズル22から水を噴射させ、所定時間のすすぎ運転を行う。すすぎ運転完了後は、洗浄・排水ポンプ5を逆転させて洗浄槽2内の水を排水し、次に、ヒータ23に通電すると共に乾燥ファン8を駆動させて、所定時間の乾燥運転を行う。
【0018】
以下、図2を参照して、処理剤供給装置4について説明する。処理剤供給装置4は、洗剤の貯蔵タンク40から吸い出した所定量の洗剤を水と共に洗浄槽2に供給可能である。処理剤供給装置4は、洗浄槽2に水を供給する、上流端に給水弁41が設けられた主流通路42を備えており、給水弁41に給水路3の下流端が接続されている。処理剤供給装置4は、更に、貯蔵タンク40に貯蔵された洗剤を主流通路42に導入する副流通路43と、主流通路42と副流通路43との合流部に配設された切替手段たる切替弁44と、洗剤の吸い出しユニット45とを備えている。
【0019】
吸い出しユニット45は、モータ451aによりクランク機構451bを介して往復動作するピストンやプランジャやダイヤフラムなどから成る動作部材451cを有する容積式のポンプ451と、ポンプ451に吸い込まれる流れのみを許容する第1逆止弁452と、第1逆止弁452とポンプ451との間の流入路453と、ポンプ451から押し出される流れのみを許容する第2逆止弁454と、ポンプ451と第2逆止弁454との間の流出路455とで構成されている。そして、切替弁44の下流側の主流通路42の部分42bに吸い出しユニット45を介設している。また、切替弁44の上流側の主流通路42の部分42aと吸い出しユニット45の下流側の主流通路42の部分とを接続するバイパス路46と、何らかの原因で給水路3側が負圧になったときに洗浄槽2内の空気を主流通路42の上流部に吸い込む負圧時吸気路47とが設けられている。尚、負圧時吸気路47は、非常に細い管で構成されていて、管路抵抗がかなり高く、水は殆ど流れない。また、負圧時吸気路47を非常に細い管で構成せずに、例えば、主流通路42からの分岐部に、バキュームブレーカや減圧式逆流防止器等の逆流防止装置を配設するなどの逆流防止対策を施してもよい。
【0020】
切替弁44は、切替弁44の上流側の主流通路42の部分42aと下流側の主流通路42の部分42bとの連通を遮断すると共に副流通路43と切替弁44の下流側の主流通路42の部分42bとを連通する第1の状態と、切替弁44の上流側の主流通路42の部分42aと下流側の主流通路42の部分42bとを連通すると共に副流通路43と切替弁44の下流側の主流通路42の部分42bとの連通を遮断する第2の状態とに切替え可能である。そして、切替弁44は、常時は第2の状態に存し、通電時に第1の状態に切替えられる。
【0021】
処理剤供給装置4の制御手段たるコントローラ9は、上述した洗浄運転の前に、給水弁41を閉弁させると共に切替弁44を第1の状態に切替えた状態でポンプ451を駆動して、貯蔵タンク40から切替弁44の下流側の主流通路42の部分42bに向けて所定量の洗剤を吸い出す吸い出し運転と、給水弁41を開弁させると共に切替弁44を第2の状態に切替えて、吸い出し運転で吸い出された所定量の洗剤を主流通路42を介して水と共に洗浄槽2に送り出す送り出し運転とを実行する。この送り出し運転は、洗浄槽2に供給された水量が予め定められた規定の水量の到達し、洗浄槽2内の水位が上記所定水位になってこれを水位検知装置6が検知したときに終了する。
【0022】
ここで、送り出し運転時にポンプ45を駆動することも可能であるが、省エネとポンプ451の寿命アップとを図るには、送り出し運転時にポンプ451を非駆動とすることが望ましい。但し、送り出し運転時に、ポンプ451を、ポンプ451での圧力損失が大きくなる状態(ポンプ451の押し出し工程のストロークエンドに近い状態)で、駆動せずに待機させたのでは、バイパス路46に水が流れやすくなって、主流通路42に流れる水量が減少し、吸い出し運転時に主流通路42に吸い出された所定量の処理剤を洗浄槽2に効率よく送り出せなくなってしまう。
【0023】
そこで、本実施形態では、送り出し運転時に、ポンプ451を、ポンプ451での圧力損失が切替弁44或いは第1や第2の逆止弁452,454といった主流通路42の最小断面積部での圧力損失以下になる状態、例えば、ポンプ451の吸込み工程のストロークエンドに近い状態(図2に示す状態)で、駆動せずに待機させるようにした。
【0024】
これによれば、送り出し運転時に駆動せずに待機するポンプ451での圧力損失は、主流通路42の最小断面積部での圧力損失以下となるため、バイパス路46に水が流れやすくなることはなく、主流通路42に流れる水の流量は最小断面積部で律速される流量以下にはならない。従って、送り出し運転時にポンプ451を非駆動とするにも拘らず、吸い出し運転で主流通路42に吸い出された所定量の処理剤を効率よく洗浄槽2に送り出すことができる。
【0025】
次に、図3に示す本発明の第2実施形態の処理剤供給装置4について説明する。図2に示す上記第1実施形態の処理剤供給装置4と同様の部材、部位に上記と同一の符号を付している。第2実施形態の処理剤供給装置4の第1実施形態のものとの相違点は、吸い出しユニット45が、切替弁44の上流側の主流通路42の部分42aと切替弁44の下流側の主流通路42の部分42bとを接続するように設けられたバイパス路46に介設されることと、切替弁44が、切替弁44の上流側の主流通路42の部分42aと下流側の主流通路42の部分42bとの連通を遮断すると共に副流通路43と切替弁44の上流側の主流通路42の部分42aとを連通する第1の状態と、切替弁44の上流側の主流通路42の部分42aと下流側の主流通路42の部分42bとを連通すると共に副流通路43と切替弁44の上流側の主流通路42の部分42aとの連通を遮断する第2の状態とに切替え可能であることである。
【0026】
第2実施形態のものでは、給水弁41を閉弁させると共に切替弁44を第1の状態に切替えた状態でポンプ451を駆動して、貯蔵タンク40から切替弁44の上流側の主流通路42の部分42aに向けて所定量の洗剤を吸い出す吸い出し運転と、給水弁41を開弁させると共に切替弁44を第2の状態に切替え、ポンプ451を非駆動として、吸い出し運転で吸い出された所定量の洗剤を主流通路42を介して水と共に洗浄槽2に送り出す送り出し運転とを実行するようにしている。
【0027】
尚、切替弁44の上流側の主流通路42の部分42aには、吸い出し運転で吸い出された洗剤を貯留する貯留部421が設けられている。そして、吸い出し運転時に、吸い出しユニット45にまで洗剤が到達しないようにしている。但し、貯留部421を設ける代わりに切替弁44の上流側の主流通路42の部分42aの長さを長くし、吸い出しユニット45にまで洗剤が到達しないようにすることも可能である。
【0028】
ここで、送り出し運転時に、ポンプ451を、ポンプ451での圧力損失が小さくなる状態(ポンプ451の吸い込み工程のストロークエンドに近い状態)で、駆動せずに待機させたのでは、バイパス路46に水が流れやすくなり、主流通路42に流れる水量が減少し、吸い出し運転時に主流通路42に吸い出された所定量の処理剤を洗浄槽2に効率よく送り出せなくなってしまう。
【0029】
そこで、第2実施形態では、送り出し運転時に、ポンプ451を、ポンプ451での圧力損失が切替弁44といった主流通路42の最小断面積部での圧力損失以上になる状態、例えば、ポンプ451の押し出し工程のストロークエンドに近い状態(図3に示す状態)で、駆動せずに待機させるようにした。
【0030】
これによれば、送り出し運転時に駆動せずに待機するポンプ451での圧力損失は、主流通路42の最小断面積部での圧力損失以上となるため、吸い出しユニット45を介設したバイパス路46に水が流れやすくなることはなく、主流通路42に流れる水の流量は最小断面積部で律速される流量以下にはならない。従って、送り出し運転時にポンプ451を非駆動とするにも拘らず、吸い出し運転で主流通路42に吸い出された所定量の処理剤を効率よく洗浄槽2に送り出すことができる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態の食器洗浄機は、乾燥ファン8を備える乾燥機能付きの食器洗浄機であるが、乾燥機能の無い食器洗浄機であってもよい。また、上記実施形態の処理剤供給装置4は、食器洗浄機の被供給部たる洗浄槽2に処理剤たる洗剤を供給するものであるが、処理剤たるリンスを供給するものであってもよい。また、他の用途、例えば、洗濯機の被供給部たる洗濯槽に処理剤たる洗剤や柔軟剤を供給する処理剤供給装置にも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0032】
2…洗浄槽(被供給部)、4…処理剤供給装置、40…貯蔵タンク、41…給水弁、42…主流通路、42a…切替手段の上流側の主流通路の部分、42b…切替手段の下流側の主流通路の部分、43…副流通路、44…切替弁(切替手段)、45…吸い出しユニット、451…ポンプ、452…第1逆止弁、453…流入路、454…第2逆止弁、455…流出路、46…バイパス路、9…コントローラ(制御手段)。
図1
図2
図3