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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054274
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】ランニングマスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/11 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161363
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】511222733
【氏名又は名称】嗣永 龍彦
(71)【出願人】
【識別番号】592197821
【氏名又は名称】公益財団法人日本ユニフォームセンター
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】嗣永 龍彦
(57)【要約】
【課題】マスクとしての機能を維持しつつ、運動時の呼吸を容易にすることができるマスクを提供する。
【解決手段】
上記課題の解決ためのランニングマスク1は、使用者の口と鼻を覆うことができる程度の大きさを有するマスク本体部10と、マスク本体部10を使用者の顔部の正面の所定位置に固定するための固定部80と、を備え、マスク本体部10は、マスク本体部10の下側を形成する第一シート部材20と、上側を形成する第二シート部材30と、第二シート部材30の裏面側にメッシュ材40とを有し、第一シート部材20の上端側と、第二シート部材30の下端側が重ねられて、第二シート部材30の下端に沿ってその一部が縫合されて、通気口50が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の口と鼻を覆うことができる程度の大きさを有するマスク本体部と、
前記マスク本体部を使用者の顔部の正面の所定位置に固定するための固定部と、を備え、
前記マスク本体部は、前記マスク本体部の下側を形成する第一シート部材と、上側を形成する第二シート部材と、前記第二シート部材の裏面にメッシュ材とを有し、
前記第一シート部材の上端側と前記第二シート部材の下端側が重ねられて、前記第二シート部材の下端に沿ってその一部が縫合されて、通気口が形成されており、
前記メッシュ材は、少なくとも前記通気口に重なり、そのメッシュ材の外周辺を第一シート部材と第二シート部材に縫合されて固定されている、
ランニングマスク。
【請求項2】
前記通気口は、使用者の鼻又は口に対応する部位に形成されている請求項1に記載のランニングマスク。
【請求項3】
前記通気口は、前記使用者の鼻に対応する部分に形成されており、
前記第二シート部材は、下側に位置する第一部材と上側に位置する第二部材とを有し、
前記第一部材の上端側と第二部材の下端側が重ねられて前記第二部材の下端に沿って縫合され、使用者の口に対応する部位に給水管の挿入口が形成されている請求項1に記載のランニングマスク。
【請求項4】
前記マスク本体部は、上端から伸びて前記使用者の鼻を覆う上側拡張部、及び/又は、下端から伸びて前記使用者の顎を覆う下側拡張部を有する請求項1~3の何れか一項に記載のランニングマスク。
【請求項5】
前記固定部は、
前記使用者の左右の耳の部位を経て、後頭部に至るように、前記マスク本体部の左右側の一方側端と他方側端とに位置付けられた上側ストラップと、
前記上側ストラップの下側で、前記使用者の左右の耳の部位から後頭部に至るように、前記マスク本体部の左右側の一方側端と他方側端とに位置付けられた下側ストラップと、
を有する請求項1~4の何れか一項に記載のランニングマスク。
【請求項6】
前記固定部は、
前記マスク本体部の左右側の一方側に設けられ、面ファスナの雄部材又は雌部材を備える第一帯部と、
前記マスク本体部の左右側の他方側に設けられ、前記面ファスナの雄部材又は雌部材と対応する面ファスナの雌部材又は雄部材を備える第二帯部と、
を有する請求項1~4の何れか一項に記載のランニングマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランニングマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、天然繊維や化学繊維等を用いて形成された、通気性を有する矩形状の布や紙を用いて、口および鼻を覆うことができるように形成されたマスク本体部と、このマスク本体部を顔面に保持するために耳にかけられる耳かけ部とで構成されたマスクが、花粉症の予防や、細菌やウィルスなどによる感染の予防のために、用いられている。
上記のように構成されるマスクは、口と鼻がマスク本体部で覆われるように着用することによって、花粉やウィルス等の人体への侵入を防ぐと共に、マスク使用者自身が保有する唾液やウィルスの飛散・拡散を防止することができる。
【0003】
しかし、上述したマスクを装着しながら運動すると、息苦しくなり、マスクを装着し続けるのが困難になる。
そこで、特許文献1に記載のように、鼻側当接片と口側当接片を有し、鼻側当接片と口側当接片との境目において、左右端近くまでスリットのように開口されて開口部が形成されたマスクが提案されている。
特許文献1のマスクカバーによれば、開口部がないマスクに比べて、開口部からの空気の流出入により運動時の呼吸を容易にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-94315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のものは、開口部が大きく形成されているため、マスクとしての機能を維持できない可能性がある。
そのため、運動時に呼吸を容易にすることができたとしても、マスクとしての機能を維持することが望まれる。
【0006】
従って本発明が解決しようとする課題は、マスクとしての機能を維持しつつ、運動時の呼吸を容易にすることができるマスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明のランニングマスクの構成は、使用者の口と鼻を覆うことができる程度の大きさを有するマスク本体部と、前記マスク本体部を使用者の顔部の正面の所定位置に固定するための固定部と、を備え、前記マスク本体部は、前記マスク本体部の下側を形成する第一シート部材と、上側を形成する第二シート部材と、前記第二シート部材の裏面にメッシュ材とを有し、前記第一シート部材の上端側と、前記第二シート部材の下端側が重ねられて、前記第二シート部材の下端に沿ってその一部が縫合されて、通気口が形成されており、前記メッシュ材は、少なくとも前記通気口に重なり、そのメッシュ材の外周辺を第一シート部材と第二シート部材に縫合されて固定されていることを特徴とする。
【0008】
前記通気口は、使用者の鼻又は口に対応する部位に形成されていることが好ましい。
【0009】
前記通気口は、前記使用者の鼻に対応する部分に形成されており、前記第二シート部材は、下側に位置する第一部材と上側に位置する第二部材とを有し、前記第一部材の上端側と第二部材の下端側が重ねられて前記第二部材の下端に沿って縫合され、使用者の口に対応する部位に給水管の挿入口が形成されていることが好ましい。
【0010】
前記マスク本体部は、上端から伸びて前記使用者の鼻を覆う上側拡張部、及び/又は、下端から伸びて前記使用者の顎を覆う下側拡張部を有することが好ましい。
【0011】
前記固定部は、前記使用者の左右の耳の部位を経て、後頭部に至るように、前記マスク本体部の左右側の一方側端と他方側端とに位置付けられた上側ストラップと、前記上側ストラップの下側で、前記使用者の左右の耳の部位から後頭部に至るように、前記マスク本体部の左右側の一方側端と他方側端とに位置付けられた下側ストラップとを有することが好ましい。
【0012】
前記固定部は、前記マスク本体部の左右側の一方側に設けられ、面ファスナの雄部材又は雌部材を備える第一帯部と、前記マスク本体部の左右側の他方側に設けられ、前記面ファスナの雄又は雌部材と対応する面ファスナの雌又は雄部材を備える第二帯部とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、マスク本体部の下側を形成する第一シート部材の上端側と、マスク本体部の上側を形成する第二シート部材の下端側が重ねられて、第二シート部材の下端に沿ってその一部が縫合されて、通気口が形成されていることにより、マスクとしての機能を維持しつつ、運動時の呼吸を容易にすることができる。
また、メッシュ材が少なくとも通気口に重なっているので、通気口からゴミや虫が入るのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のランニングマスクの第一実施形態の斜視図
図2図1のランニングマスクの正面図
図3図2のランニングマスクの要部の分解図
図4】本発明のランニングマスクの第二実施形態の斜視図
図5図4のランニングマスクの正面図
図6】本発明のランニングマスクの第三実施形態の斜視図
図7図6のランニングマスクの正面図
図8】本発明のランニングマスクの第四実施形態の斜視図
図9図8のランニングマスクの正面図
図10】本発明のランニングマスクの第五実施形態の斜視図
図11】本発明のランニングマスクの第六実施形態の斜視図
図12図11のランニングマスクの正面図
図13】本発明のランニングマスクの第七実施形態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のランニングマスクの第一実施形態について、図1~3を参照しながら説明する。
なお、ランニングマスクを装着したときに、使用者の口と対向する側を裏面側、その反対側を表面側として説明する。
【0016】
〔第一実施形態〕
本実施形態のランニングマスク1は、図1に示すように、使用者の口と鼻を覆うことができる程度の大きさを有するマスク本体部10と、マスク本体部10を使用者の頭部の正面の所定位置に固定するための固定部80と、を備える。
マスク本体部10には、通気口50が形成されている。通気口50により、通気口50からマスク本体部10と使用者の口や鼻の間に空気が流出入するので、使用者は、運動時の呼吸を容易にすることができる。
また、マスク本体部10は、メッシュ材40が、通気口50と重なるように固定されている。これにより、マスク本体部10と使用者の顔面の間にゴミや虫が入るのを防ぐことができる。
以下に、ランニングマスク1の各構成要素について説明する。
【0017】
[マスク本体部10]
マスク本体部10は、図2に示すように、正面視で略長方形状に形成されている。
マスク本体部10は、マスク本体部10の下側を形成する第一シート部材20と、マスク本体部10の上側を形成する第二シート部材30と、第二シート部材30の裏面側と対向して位置するメッシュ材40と、を有する。
第一シート部材20と、第二シート部材30と、メッシュ材40は、ニット(編布)、布帛(織布)、不織布、などにより形成されている。ニットや布帛を構成する繊維としては、例えば、綿、麻、絹などの天然繊維や、ポリエステル繊維などの合成繊維などが挙げられる。
第一シート部材20と、第二シート部材30と、メッシュ材40は、同じ素材で形成されていてもよく、各々が異なる素材で形成されていてもよい。
【0018】
第一シート部材20は、図1に示すように、マスク本体部10の下側を形成するものである。
第一シート部材20は、図2に示すように、表布21と内布24とを有する。
先ず、表布21について説明し、次に内布24について説明し、次に表布21と内布24から第一シート部材20を作製する工程について説明する。
【0019】
表布21は、右側表布22と左側表布23とを有する。
右側表布22と左側表布23は、鏡像の関係にあるので、右側表布22を例に挙げて、右側表布22と左側表布23について説明する。
【0020】
右側表布22は、図2に示すように、略四角形状に形成されている。
右側表布22は、左側表布23と対向する側の端が正面視で扇状に形成されている。
【0021】
左側表布23は、右側表布22と対向する側の端が、扇状に形成されている。
つまり、右側表布22と左側表布23は、互いに対向する側の端が扇状に形成されている。
【0022】
表布21は、上述した右側表布22と左側表布23から形成される。
具体的には、右側表布22と左側表布23を、表面同士が対向し、かつ同じ側に扇状の端が位置するように重ねて、重ね合わせた扇状の端の近傍を縫糸で縫合させる。つまり、互いの扇状に形成された端を縫い合わされている。
縫合した右側表布22と左側表布23を開くと、第一シート部材20の表布21の形に形成され、表布21の表面に縫糸が現れない縫い割21aが形成される。
さらに、表布21の裏面側に形成された縫い代を割り、右側表布22側の縫い代の端が右側表布22に縫糸で縫合されて、ステッチST1が形成される。同様に、左側表布23側の縫い代の端が左側表布23に縫糸で縫合されて、ステッチST1が形成される。
【0023】
表布21は、右側表布22と左側表布23が、扇状の端側で縫合されていることにより、図1に示すように、使用者が装着するときに、裏面側から表面側に盛り上がる形状にできる。
表布21は、上側が表面側から裏面側に折り返され、その折り返された箇所が縫糸で縫合されて、ステッチST2が形成されている。なお、右側表布22と左側表布23の各々にステッチST2を形成させてから、縫い割21aを形成させてもよい。
【0024】
表布21は、後述するように下側の縁が内布24と縫い合わされることにより、第一シート部材20を形成する。
【0025】
次に、内布24について説明する。
内布24は、表布21と略同じ構造であるが、縫い割が使用者の口と対向する裏面側に形成され、縫い代が表面側に形成されている点が異なる。
内布24は、表布21と同様に、鏡像の関係にある右側内布と左側内布とを有する。
以下に、右側内布25を例に挙げて、右側内布25と左側内布について説明する。
右側内布25は、略四角形状に形成されており、左側内布と対向する側の端が正面視で扇状に形成されている。
【0026】
右側内布25は、表布21と同じ布材により形成されていてもよく、異なる布材で形成されていてもよい。
【0027】
内布24は、上述した右側内布25と左側内布から形成される。
具体的には、右側内布と左側内布は、裏面同士が対向し、かつ同じ側に扇状の端が位置するように重ねて、重ね合わせた扇状の端の近傍を縫糸で縫合される。つまり、表布21の縫い割21aと同様に、互いの扇状に形成された端を縫い合わされている。
縫合された右側内布と左側内布を開くと、第一シート部材20の内布24の形に形成され、内布24の裏面に縫糸が現れない縫い割が形成される。
縫い代が表面側に形成されているので、使用者が着用したときに、縫い代が使用者の顔面に当たるのを防ぐことができる。
【0028】
内布24の表面側に形成された縫い代を割り、右側内布側の縫い代の端が右側内布に縫糸で縫合されて、表布21のステッチST1と同様に、ステッチが形成される。同様に、左側内布側の縫い代の端を左側内布に縫糸で縫合されて、表布21のステッチST1と同様に、ステッチが形成されている。
内布24は、上側が裏面側から表面側に折り返され、その折り返された箇所が縫糸で縫合されて、ステッチST4が形成されている。なお、右側内布25と左側内布の各々にステッチST4を形成させてから、縫い割を形成させてもよい。
【0029】
内布24は、右側内布と左側内布が、扇状の端側で縫合されていることにより、図1に示すように、使用者が装着するときに、裏面側から表面側に盛り上がる形状にできる。
【0030】
内布24は、表布21と同じ大きさに形成されてもよいが、表布21より若干小さく形成されるのが好ましい。それにより、後述するように内布24を表布21と縫合したときに、内布24にシワが寄るのを防ぐことができる。
【0031】
第一シート部材20は、上述した表布21と内布24から形成される。
具体的には、第一シート部材20は、表布21が、下側の縁が表面側から裏面側に折り返され、内布24が、下側の縁が裏面側から表面側に折り返され、各々の折り返された箇所が縫い合わされて、ステッチST3が形成されている。これにより、表布21と内布24から第一シート部材20が形成される。
【0032】
第一シート部材20は、図3に示すように、裏面側で表布21と内布24の縫い合わせ箇所に伸び止めテープ90が取り付けられている。
【0033】
第一シート部材20は、図1に示すように、使用者が装着するときには、裏面側から表面側に盛り上がるように形成されている。これにより、第一シート部材20の内面と使用者の鼻や口の間に空間が形成されて、第一シート部材20が、使用者が吸気するたびに顔面に張り付いて、不快な思いをするのを防ぐことができる。
【0034】
第一シート部材20は、図3に示すように、他の部材と縫合されるときに、内布24より手前側にメッシュ材40が位置し、メッシュ材40より手前側に表布21が位置し、表布21より手前側に第二シート部材30が位置するように配置された状態で、縫糸で縫合される。これにより、メッシュ材40を表布21と内布24で挟んだ状態で縫合することで、メッシュ材40の下側を確りと固定できる。
また、表布21と内布24の上側の端にステッチが設けられているので、表布21と内布24の間にメッシュ材40を容易に挟むことができる。
【0035】
[第二シート部材30]
次に、第二シート部材30について説明する。
第二シート部材30は、図1に示すように、マスク本体部10の上側を形成するものである。
第二シート部材30は、下側の端が、表面側から裏面側に折り返されて、その折り返した部分が縫糸で縫合されて、ステッチST5が形成されている。
【0036】
第二シート部材30は、図1に示すように、後述する縫合領域が左右に形成されたときに、それらの縫合領域の間で、第一シート部材20と接触しないように縫合できるように形成されている。
具体的には、第二シート部材30は、略等脚台形状に形成されており、下辺に隣接する辺を第一シート部材20の左右の辺と略同一直線状になるように配置させた状態で、左右側の両端からステッチST6を形成させることにより、縫合領域の間で、第一シート部材20と接触しないようにすることができる。
これにより、縫合領域の間に形成された、後述する通気口50への空気の流出入を容易にすることができる。
【0037】
第二シート部材30は、第一シート部材20の表布21又は内布24と同じ布材により形成されていてもよく、それらと異なる布材で形成されていてもよい。
【0038】
次に、第二シート部材30がどのように他の部材と縫合されるかについて説明する。
第二シート部材30は、図3に示すように、ステッチST5が形成されている部分が、第一シート部材20の上端側と、メッシュ材40の下端側に重ねられる。
具体的には、図3に示すように、裏面側から表面側に、第一シート部材20の内布24、メッシュ材40、第一シート部材20の表布21の順に重ねられる。それらが、その状態で、ステッチST5よりも上側を縫糸で縫合されて、ステッチST6が形成される。
ステッチST6は、使用者の鼻に対応する部分を除き形成されている。具体的には、ステッチST6は、図2に示すように、マスク本体部10の左右の両側から中央に向けて、使用者の鼻に対応する部分まで設けられ、そこから下側にステッチST5まで設けられている。これにより、ステッチST6からなる縫合領域が形成されている。縫合領域が形成されていることにより、通気口50以外の第一シート部材20と第二シート部材30重なった部分からの空気の流出入を防ぐことができ、マスクとしての機能を維持することができる。
【0039】
[メッシュ材40]
メッシュ材40は、ランニングマスク1を使用者の顔面の間の空間に、ゴミや虫などが通気口50から入るのを防ぐためのものである。
メッシュ材40は、使用者が、通気口50からの吸気の流出入を容易に行うことができ、かつ、ゴミや虫が入るのを防ぐことができる程度の網目で形成されている。
なお、ランニングマスク1の装着時に、通気口50からの吸気の流出入を確保できるであれば、メッシュ材に代えて、例えば、布地に複数の孔が設けられていてもよい。
【0040】
メッシュ材40は、第二シート部材30の裏面側と対向するように位置し、通気口50に重なるように配置されて、固定される。
具体的には、図3に示すように、メッシュ材40が、上側が裏面側から表面側に折り返され、第二シート部材30の上側が表面側から裏面側に折り返されて、各々の折り返された箇所が縫い合わされて、ステッチST7が形成されている。これにより、メッシュ材40の上側が第二シート部材30に固定される。
【0041】
[固定部80]
次に、固定部80について説明する。
固定部80は、マスク本体部10を使用者の頭部正面の所定の位置に固定するためのものである。
固定部80は、マスク本体部10の左右側の両端に設けられている耳掛け部81と、耳掛け部81の長さを調整するストッパ82と、を有する。
耳掛け部81の材料としては、使用者の耳にかけられれば特に制限はないが、例えば横断面が円形の丸ゴムや矩形の平ゴムのような弾性部材を用いた伸縮性の紐状体が好ましい。
【0042】
耳掛け部81は、図2に示すように、マスク本体部10の左右側の両端で、一端がマスク本体部10の上端側と繋がり、他端が下端側と繋がっている。
具体的には、本実施例では、マスク本体部10の左右の端が表面側から裏面側に折り返して、紐状体の一部を夫々挟み、各々の折り返された箇所が縫い合わされて、ステッチST8が形成されている。これにより、マスク本体部10の左右の端部に紐状体を挿通できる筒状の挿通部が形成され、紐状体が挿通部で保持されてマスク本体部10の左右側に耳掛け部81が形成される。
【0043】
ストッパ82は、筒状に形成されており、マスク本体部10に取り付けられて環状になっている耳掛け部81の一部が折り曲げられて、2箇所が同時に筒内に挿通されている。
耳掛け部81をストッパ82にどの程度挿通させるかにより、耳掛け部81の耳にかけるのに用いる長さを調節することができる。
【0044】
[ランニングマスク1の製造方法]
次に、ランニングマスク1の製造方法について説明する。具体的には、ランニングマスク1の製造方法について、第一シート部材20と、第二シート部材30と、メッシュ材40と、を所定の位置に配置させて、縫合する工程を重点的に説明する。
なお、以下に説明するランニングマスク1の製造方法は、1例であり、これに限定されない。
また、第一シート部材20の表布21は、右側表布22と左側表布23が所定の大きさに裁断されて、縫い割21aが形成され、上側にステッチST2が形成されているのものとする。内布24も同様に縫い割が形成され、上側にステッチST4が形成されているのものとする。また、第二シート部材30は予め所定の大きさに裁断されて下側にステッチST5が形成されているものとする。さらに、メッシュ材40は、予め所定の大きさに裁断されているものとする。
【0045】
まず、表布21と内布24から第一シート部材20を形成させる。
具体的には、図3に示すように、表布21を、下側の縁が表面側から裏面側に折り返し、内布24を、下側の縁が裏面側から表面側に折り返して、各々の折り返された箇所が縫い合わして、ステッチST3を形成させる。これにより、表布21と内布24から第一シート部材20を形成させる。
【0046】
次に、第一シート部材20、第二シート部材30、メッシュ材40を縫合する。
具体的には、図3に示すように、裏面側から表面側に、第一シート部材20の内布24、メッシュ材40、第一シート部材20の表布21の順に重ねる。その状態で、ステッチST5よりも上側で、さらにと縫糸で縫合して、ステッチST6を形成させる。これにより、ステッチST6からなる縫合領域が形成され、第一シート部材20、第二シート部材30、メッシュ材40が縫合される。ステッチST6は、使用者の鼻に対応する部分を除き形成されている。
【0047】
次に、メッシュ材40の上側を第二シート部材30に固定する。
具体的には、図3に示すように、メッシュ材40を、上側が裏面側から表面側に折り返し、第二シート部材30の上側が表面側から裏面側に折り返して、各々の折り返された箇所を縫い合わして、ステッチST7を形成させる。これにより、メッシュ材40の上側が第二シート部材30に固定される。これにより、メッシュ材40は、その外周辺が第一シート部材20と第二シート部材30に縫合されて固定され、マスク本体部10が形成される。
【0048】
次に、マスク本体部10の左右の端に、耳掛け部81を固定する。
そして、固定した耳掛け部81の一部を折り曲げて、筒状のストッパ82に挿通させる。
以上のより、ランニングマスク1が形成される。
【0049】
[ラニングマスク1により奏する効果]
次に、本実施形態のラニングマスク1により奏する効果について説明する。
本実施形態のランニングマスク1は、使用者の口と鼻を覆うことができる程度の大きさを有するマスク本体部10と、マスク本体部10を使用者の顔部の正面の所定位置に固定するための固定部80と、を備え、マスク本体部10は、マスク本体部10の下側を形成する第一シート部材20と、上側を形成する第二シート部材30と、第二シート部材30の裏面側にメッシュ材40とを有し、第一シート部材20の上端側と、第二シート部材30の下端側が重ねられて、第二シート部材30の下端に沿ってその一部が縫合されて、通気口50が形成されている。
これにより、マスクとしての機能を維持しつつ、運動時の呼吸を容易にすることができる。
【0050】
また、メッシュ材40が通気口50に重なっていることにより、通気口50から、ランニングマスク1と使用者の顔面の間の空間に、ゴミや虫が入るのを防ぐことができ、ランニングなどの長時間着用する場合でも、継続して着用することができる。
【0051】
〔第二実施形態〕
次に、第二実施形態について図4及び図5を参照して説明する。
第一実施形態と同じ構成要素には、第一実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施形態のランニングマスク1Aは、第一実施形態のランニングマスク1と異なり、マスク本体部10Aが、下側拡張部27と上側拡張部37を有する。
【0052】
具体的には、マスク本体部10Aは、マスク本体部10Aの下側を形成する第一シート部材20Aと、マスク本体部10Aの縦方向の上側を形成する第二シート部材30Aと、を有する。
第一シート部材20Aは、下端から伸びる下側拡張部27を有し、第二シート部材30Aは、上端から伸びる上側拡張部37を有する。
下側拡張部27は、使用者の顎を覆うことができる程度の大きさであることが好ましい。
上側拡張部37は、使用者の鼻を覆うことでできる程度の大きさであることが好ましい。
【0053】
本実施形態のランニングマスク1Aによれば、上述した下側拡張部27と上側拡張部37が設けられていることにより、マスクとしての機能を高めることができる。
なお、下側拡張部27と上側拡張部37のどちらか一方のみが設けられている場合でも、マスクとしての機能を高めることができる。
【0054】
〔第三実施形態〕
次に、第三実施形態について図6及び図7を参照して説明する。
第一実施形態と同じ構成要素には、第一実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施形態は、第一実施形態と異なり、マスク本体部10Bに、使用者がランニングマスク1Bを着用しながら、ランニングなどの運動を継続しながら水分を給水するための給水ボトルに繋がっているものである給水管を咥えることができるように、給水管の挿入口60が形成されている。
【0055】
具体的には、マスク本体部10Bは、マスク本体部10Bの下側を形成する第一シート部材20Bと、マスク本体部10Bの縦方向の上側を形成する第二シート部材30Bと、を有する。
【0056】
第一シート部材20Bは、下側に位置する第一部材28と上側に位置する第二部材29とを有している。第一部材28と第二部材29は、第一シート部材20Bと同様に、表布と内布により構成されている。
【0057】
第一部材28は、第一実施形態の第一シート部材20と同様に下側にステッチST3が形成されており、さらに表布の上側が表面側から裏面側に折り返され、内布の上側が裏面側から表面側に折り返され、その折り返された箇所が縫糸で縫合されて、ステッチST9が形成されている。
【0058】
第二部材29は、第一実施形態の第一シート部材20と同様に上側にステッチST2が形成されており、さらに表布の下側が表面側から裏面側に折り返され、内布の下側が裏面側から表面側に折り返され、その折り返された箇所が縫糸で縫合されて、ステッチST10が形成されている。
【0059】
第二部材29の下側が第一部材28と重ねられて、その状態で、ステッチST10よりも上側を縫糸で縫合されて、ステッチST11が形成される。
ステッチST11は、使用者の口に対応する部分を除き形成されている。具体的には、ステッチST11は、図7に示すように、マスク本体部10Bの左右の両側から中央に向けて、使用者の口に対応する部分まで設けられている。
【0060】
本実施形態のランニングマスク1Bによれば、マラソンなどのように、競技中に水分の補給が必要な場合に、マスクを取り外すことなく水分を補給できる。
【0061】
〔第四実施形態〕
次に、第四実施形態について図8及び図9を参照して説明する。
第一実施形態と同じ構成要素には、第一実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施形態のランニングマスク1Cは、第一実施形態のランニングマスク1の第一シート部材20が、第二シート部材30よりも縦方向の幅が大きく形成されていたのに対し、第一シート部材20Cが、第二シート部材30Cよりも縦方向の幅が大きく形成されている。これにより、通気口50が、使用者の口に対応する位置に形成されている。
【0062】
本実施形態のランニングマスク1Cによれば、マスク本体部10Cの上記構成により、使用者が口で容易に呼吸することができる。
【0063】
〔第五実施形態〕
次に、第五実施形態について図10を参照して説明する。
第一実施形態と同じ構成要素には、第一実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施形態のランニングマスク1Dは、第一実施形態のランニングマスク1とは固定部の構造が異なる。
具体的には、第一実施形態の固定部80ではマスク本体部10の左右の端部に紐状体が保持されて、一対の耳掛け部81が形成されているのに対し、本実施形態の固定部80Dは、図10に示すように、1つの環状の紐状体が、その紐状体の中間部においてマスク本体部10の左右の端部に形成された挿通部に挿通され、使用者の左右の耳の部位を経て後頭部に至る形で、紐状体の環状の上位側がマスク本体部10の左右側の一方端側と他方端側とに位置付けられた上側ストラップ83と、上側ストラップ83よりも下側において、前記紐状体の環状の下位側がマスク本体部10の左右側の一方端側と他方端側とに位置付けられた下側ストラップ84と、に形成されている。
上側ストラップ83は、第一実施形態のランニングマスク1の固定部80と同様に、ストッパ82に挿入されている。
【0064】
なお、本実施形態では1つの環状の丸ゴムや平ゴムを用いた紐状体により、上側ストラップ83と下側ストラップ84が形成されているが、別々の部材により、上側ストラップ83と下側ストラップ84が形成されていてもよい。
【0065】
〔第六実施形態〕
次に、第六実施形態について図11及び図12を参照して説明する。
第一実施形態と同じ構成要素には、第一実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施形態のランニングマスク1Eは、第一実施形態のランニングマスク1とは固定部の構造が異なる。
具体的には、第一実施形態の固定部80では、一対の紐状体がマスク本体部10の左右の端部に夫々保持されて耳掛け部81が形成されているのに対し、本実施形態の固定部80Eは、図11に示すように、1つの環状の紐状体が、第一シート部材20Eの下端部と第二シート部材30Eの上端部に挿通されて、右側耳掛け部85と左側耳掛け部86が形成されている。
【0066】
第一シート部材20Eは、第一実施形態の第一シート部材20と同様に、表布と内布から形成される。
第一シート部材20Eは、図12に示すように、下端から、耳掛け部81Eを表布と内布で挟持できる程度の間隔を空けて、表布と内布が縫い合わされて、ステッチST12が形成され紐状体の挿通部を形成している。
第一シート部材20は、ステッチST12よりも下側で、表布が下側の縁が表面側から裏面側に折り返され、内布が下側の縁が裏面側から表面側に折り返され、表布と内布で耳掛け部81Eを挟んだ状態で、各々の折り返された箇所が縫い合わされて、ステッチST3が形成され紐状体の挿通部を形成している。
これにより、表布と内布から第一シート部材20Eが形成され、右側耳掛け部85と左側耳掛け部86の下側がマスク本体部10Eに位置付けられる。
【0067】
第二シート部材30Eとメッシュ材40Eは、図12に示すように、上端から、耳掛け部81Eを挟持できる程度の間隔を空けて縫い合わされて、ステッチST13が形成されている。
第二シート部材30の上側が表面側から裏面側に折り返され、メッシュ材40の上側が裏面側から表面側に折り返されて、第二シート部材30Eとメッシュ材40Eで耳掛け部81Eを挟んだ状態で、各々の折り返された箇所が縫い合わされて、ステッチST13が形成されている。これにより、メッシュ材40の上側が第二シート部材30に固定されるとともに、右側耳掛け部85と左側耳掛け部86の上側がマスク本体部10Eに位置付けられる。
【0068】
本実施形態のランニングマスク1Dによれば、上記固定部80Dの構成により、使用者の耳で固定する場合に比べて、長時間装着することができる場合がある。
【0069】
〔第七実施形態〕
次に、第七実施形態について図13を参照して説明する。
第一実施形態と同じ構成要素には、第一実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施形態のランニングマスク1Fも、第一実施形態のランニングマスク1とは固定部の構造が異なる。
具体的には、本実施形態の固定部80Fは、
マスク本体部10Fの左右方向の一方側に設けられ、面ファスナの雄部材88を備える第一帯部87と、マスク本体部10Fの左右方向の他方側に設けられ、面ファスナの雄部材88と対向する面ファスナの雌部材を備える第二帯部と、を有する。
【0070】
上記構成により使用者は、ランニングマスク1Fの着脱を容易にすることができる。
なお、第一帯部87が面ファスナの雌部材を備え、第二帯部が面ファスナの雄部材88を備えていてもよい。
【0071】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることができる。
例えば、第一実施形態のランニングマスク1は、鼻に対応する部分に通気口50が形成され、第四実施形態のランニングマスク1Cは、口に対応する部分に通気口50が形成されているが、本発明はこれに限定されない。
通気口は、口や鼻に対応する部分以外のところに形成させることができる。
【0072】
また、第一シート部材20が表布21と内布24により形成されているが、本発明のランニングマスクはこれに限定されない。表布のみで形成されていてもよい。
【0073】
さらに、第一実施形態から第七実施形態のランニングマスクは、適宜ステッチが形成されているが、本発明はこれに限定されない。本発明のランニングマスクを形成することができるのであれば、各ステッチの一部や全部を省略することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 ランニングマスク
10 マスク本体部
20 第一シート部材
30 第二シート部材
40 メッシュ材
50 通気口
80 固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13