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特開2022-54299配線基板の製造方法、配線基板、半導体装置の製造方法および半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054299
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】配線基板の製造方法、配線基板、半導体装置の製造方法および半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/14 20060101AFI20220330BHJP
   H01L 23/15 20060101ALI20220330BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220330BHJP
   H05K 3/12 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
H01L23/14 R
H01L23/14 C
H01L23/12 Q
H01L23/12 Z
H05K3/12 610B
H05K3/12 610G
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161409
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】390022471
【氏名又は名称】アオイ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(72)【発明者】
【氏名】大西 憲貴
【テーマコード(参考)】
5E343
【Fターム(参考)】
5E343AA13
5E343AA15
5E343AA17
5E343AA26
5E343BB24
5E343BB72
5E343DD03
5E343DD52
5E343ER35
5E343FF02
5E343GG11
5E343GG20
(57)【要約】
【課題】低コストで配線基板を製造する製造方法を提供する。
【解決手段】配線基板の製造方法は、耐熱性の膜部材を準備すること、耐熱性の膜部材の第1面に金属粒子を含む金属ペーストを形成すること、形成した前記金属ペーストを焼結して、前記膜部材の第1面に金属を含む配線部を形成すること、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性の膜部材を準備すること、
耐熱性の前記膜部材の第1面に金属粒子を含む金属ペーストを形成すること、
形成した前記金属ペーストを焼結して、前記膜部材の第1面に金属を含む配線部を形成すること、
を備える、配線基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板の製造方法において、
前記金属ペーストに含まれる前記金属粒子は、10nmから100nmの粒径の粒子を主成分とする、配線基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の配線基板の製造方法において、
前記金属粒子の主成分は銀または銅である、配線基板の製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の配線基板の製造方法において、
前記膜部材は、ポリイミド、ガラスエポキシ、ガラス、プリプレグのうちのいずれか1つを含む、配線基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の配線基板の製造方法において、
前記膜部材の厚さは30μm以下である、配線基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の配線基板の製造方法により製造された配線基板に対して、
配線基板の前記配線部と電気的に接続させて半導体素子を配置すること、および、
配線基板の前記第1面、前記配線部、および前記半導体素子の少なくとも一部を封止部材により封止すること、
を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記配線基板の前記膜部材の少なくとも一部に前記第1面とは反対側の第2面から開口部を形成し、前記開口部を介して前記配線部の少なくとも一部を露出させることをさらに備える、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
膜部材の第1面に配線部を形成すること、
前記配線部と電気的に接続させて半導体素子を配置すること、
前記第1面、前記配線部、および前記半導体素子の少なくとも一部を封止部材により封止すること、
前記封止部材による封止の後に、前記膜部材の少なくとも一部に前記第1面とは反対側の第2面から開口部を形成し、前記開口部を介して前記配線部の少なくとも一部を露出させること、
を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記配線部は、前記第1面に金属粒子を含む金属ペーストを形成し、形成した前記金属ペーストを焼結することにより形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
膜部材と、
前記膜部材の第1面に配置された、多孔性の金属を含む配線部と、
を備える、配線基板。
【請求項11】
請求項10に記載の配線基板において、
前記多孔性の金属は、10nmから100nmの粒径の粒子を主成分とする金属粒子が部分的に結合したものである、配線基板。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の配線基板において、
前記多孔性の金属の主成分は銀または銅である、配線基板。
【請求項13】
請求項10から請求項12までのいずれか一項に記載の配線基板において、
前記膜部材は、ポリイミド、ガラスエポキシ、ガラス、プリプレグのうちのいずれか1つを含む、配線基板。
【請求項14】
請求項10から請求項13までのいずれか一項に記載の配線基板において、
前記膜部材の厚さは30μm以下である、配線基板。
【請求項15】
請求項10から請求項14までのいずれか一項に記載の配線基板と、
前記配線基板の前記配線部と電気的に接続されている半導体素子と、
前記配線基板の前記第1面、前記配線部、および前記半導体素子の少なくとも一部を封止する封止部材と、
を備える、半導体装置。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体装置において、
前記膜部材は、前記第1面の面内方向において前記配線部の少なくとも一部と重なる部分に開口部を有する、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造方法、配線基板、半導体装置の製造方法および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性のフィルム上に配線を形成した配線基板、およびその配線基板に半導体素子を搭載した、いわゆるチップオンフィルム(COF)の半導体装置が提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-053194号公報
【特許文献2】特開2008-016633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される配線基板(配線テープ)の製造方法では、基材としてのポリイミド層の表面に銅箔を貼り付け、貼り付けた銅箔にエッチング加工することにより、配線を形成している。
特許文献2に開示される配線基板の製造方法では、基材としての絶縁フィルムの表面に電解銅箔として銅を形成し、形成された銅をエッチング加工することにより配線を形成している。
これらの製造方法は、いずれもエッチング加工を伴うため、低コストで配線基板を製造することが難しいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によると、配線基板の製造方法は、耐熱性の膜部材を準備すること、耐熱性の前記膜部材の第1面に金属粒子を含む金属ペーストを形成すること、形成した前記金属ペーストを焼結して、前記膜部材の第1面に金属を含む配線部を形成すること、を備える。
第2の態様によると、半導体装置の製造方法は、第1の態様の製造方法により製造された配線基板に対して、配線基板の前記配線部と電気的に接続させて半導体素子を配置すること、および、配線基板の前記第1面、前記配線部、および前記半導体素子の少なくとも一部を封止部材により封止すること、を備える。
第3の態様によると、半導体装置の製造方法は、膜部材の第1面に配線部を形成すること、前記配線部と電気的に接続させて半導体素子を配置すること、前記第1面、前記配線部、および前記半導体素子の少なくとも一部を封止部材により封止すること、前記封止部材による封止の後に、前記膜部材の少なくとも一部に前記第1面とは反対側の第2面から開口部を形成し、前記開口部を介して前記配線部の少なくとも一部を露出させること、を備える。
第4の態様によると、配線基板は、膜部材と、前記膜部材の第1面に配置された、多孔性の金属を含む配線部と、を備える。
第5の態様によると、半導体装置は、第4の態様の配線基板と、前記配線基板の前記配線部と電気的に接続されている半導体素子と、前記配線基板の前記第1面、前記配線部、および前記半導体素子の少なくとも一部を封止する封止部材と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、配線基板を低コストで提供することができる。これにより、半導体装置を低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の配線基板の製造方法を説明する図。
図2】第3実施形態の配線基板の製造方法を説明する図。
図3】第3実施形態の配線基板の製造方法を説明する図であり、図2に続く工程を示す図。
図4】第5実施形態および変形例の半導体装置を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態の配線基板の製造方法)
図1は、第1実施形態の配線基板の製造方法を説明する図である。図1(d)は、本実施形態により製造された配線基板100aを示す図であり。図1(a)~図1(c)の各図は、配線基板100aの製造工程を示す図である。
【0009】
図1(a)~図1(d)の各図、および後述する各図に矢印で示したX方向、Y方向、およびZ方向は、それぞれ各図において同一の方向を示し、その矢印の指し示す方向を+方向とする。また、X方向、Y方向、およびZ方向は、相互に直交する方向である。
以下では、膜部材10の一例として+Z側の面を第1面11と呼び、-Z側の面を第2面12と呼ぶ。
【0010】
(膜部材の準備)
図1(a)は、配線基板100aを製造するための膜部材10の断面図を示す図である。膜部材10は、XY平面に平行に延在するフィルム状の部材であり、そのZ方向の厚さtは、一例として10~50μm程度である。
なお、配線基板100aの厚さをより薄くするためには、または配線基板100aの可撓性をより高めるために、膜部材10の厚さtを30μm以下としても良い。
【0011】
膜部材10は、後述するペースト材料の焼結時の加熱処理に耐えるように、200℃程度までの温度に対する耐熱性を有する材質により形成されている。膜部材10の材質は、一例として、ポリイミド、ガラスエポキシ、ガラス、プリプレグのうちのいずれか1つを含んでいる。
【0012】
(金属ペーストの形成)
図1(b)に示すように、膜部材10の一例として+Z側の面である第1面11の上に、部分的に金属ペースト13を形成する。金属ペースト13の形成は、スクリーン印刷等の印刷により行っても良く、金属ペーストをインクジェットプリンターやディスペンサーにより膜部材10に噴射することにより行っても良い。
【0013】
図1(c)は、形成された金属ペースト13を部分的に拡大した模式図を示す。金属ペースト13は、金属粒子14Pとバインダー14Sとの混合物である。多数の金属粒子14Pが部分的に相互に接合することにより、金属ペースト13全体として導電性が生じる。
なお、図1(c)においては、金属粒子14Pの粒径Dを、金属ペースト13のZ方向の厚さに対して、拡大して示している。
【0014】
(金属ペーストの焼結)
続いて、第1面11の上に形成した金属ペースト13を、一例として200℃程度まで加熱し、金属ペースト13を焼結させる。焼結された金属ペースト13は、図1(d)に示したように第1配線部15となり、これにより配線基板100aが完成する。
【0015】
焼結に際して、金属ペースト13に含まれていたバインダー14Sの一部は蒸発する。従って、図1(c)に示した金属ペースト13の部分的に拡大した模式図においてバインダー14Sが占めている部分の一部はナノメートルオーダーから数10ナノメートルオーダーの大きさを有する空洞(孔)となる。この結果、第1配線部15は金属を含む多孔性の配線部となる。
【0016】
金属ペースト13に含まれる金属粒子14Pは、10nmから100nmの粒径の粒子を主成分とするものとしても良い。10nmから100nmの粒径の粒子を主成分とする金属粒子14Pを用いることにより、微細な金属粒子がペースト中に均一に分散することで空隙が適度に減少し、形成される第1配線部15の電気抵抗を小さく抑えることができる。
【0017】
配線基板100aの第1配線部15の電気抵抗をさらに小さく抑えるために、金属ペースト13に含まれる金属粒子14Pの主成分は、金、銀または銅であっても良い。銀または銅は、金に比べて安価であり、電気抵抗も比較的低いので、金属粒子14Pの主成分を銀または銅とすることで、比較的低コストで低抵抗の配線基板100aを製造することができる。
【0018】
(第2実施形態の配線基板)
第2実施形態の配線基板は、上述した第1実施形態の配線基板の製造方法により製造された、図1(d)に示した配線基板100aである。すなわち、配線基板100aは、膜部材10と、膜部材10の第1面11に配置された、多孔性の金属を含む第1配線部15と、を備えている。
【0019】
第2実施形態の配線基板100aにおいても、膜部材10の材質および厚さ、第1配線部15に含まれる金属粒子14Pの材質および粒径等は、いずれも上述した第1実施形態の配線基板の製造方法におけるそれらの条件と同様である。
以上で説明した第1実施形態の配線基板の製造方法、および第2実施形態の配線基板においては、第1配線部15を、単に配線部ということもできる。
【0020】
(第3実施形態の配線基板の製造方法)
以下、図2から図4を参照して、第3実施形態の配線基板の製造方法について説明する。第3実施形態の配線基板の製造方法においては、上述した第1実施形態の配線基板の製造方法により製造された、図1(d)に示した配線基板100aを用いて多層配線を有する配線基板を製造する。
【0021】
(第1封止部材の形成)
図2(a)に示したように、図1(d)に示した配線基板100aに対し、配線基板100aの第1面11、および第1面11上に形成されている第1配線部15を覆って、第1封止部材16を形成する。第1封止部材16は、後述する第2配線部18を形成する際に使用する金属ペーストの焼結温度までの耐熱性を有する材質で形成する。第1封止部材16として、例えば、ABF、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を用いても良い。
【0022】
続いて、図2(b)に示したように、第1封止部材16の所定の部分に開口部17を形成する。開口部17の形成は、一例としてリソグラフィーにより行っても良く、レーザーアブレーションにより行っても良い。
【0023】
(第2配線部の形成)
図2(c)に示したように、第1封止部材16の上(+Z側)に、第2配線部18を形成する。第2配線部18についても、第1配線部15と同様に、第2配線部18を形成すべき位置に金属ペーストを形成し、形成した金属ペーストを焼結することにより形成する。第2配線部18の形成に際し、第2配線部18の一部を、開口部17を介して第1配線部15の一部と接続させる。従って、第2配線部18の一部は第1配線部15の一部と電気的に接続されている。
【0024】
(第2封止部材の形成)
図3(a)に示したように、第1封止部材16、および第1封止部材16上に形成されている第2配線部18を覆って、第2封止部材19を形成する。第2封止部材19についても、上述した第1封止部材16と同様の材料を用いて形成する。
続いて、図3(b)に示したように、第2封止部材19の所定の部分に開口部20を形成する。開口部20についても、上述した開口部17と同様に形成する。
【0025】
(第3配線部の形成)
図3(c)に示したように、第2封止部材19の上(+Z側)に、第3配線部21を形成する。第3配線部21についても、第1配線部15と同様に、第3配線部21を形成すべき位置に金属ペーストを形成し、形成した金属ペーストを焼結することにより形成する。第3配線部21の形成に際し、第3配線部21の一部を、開口部20を介して第2配線部18の一部と接続させる。従って、第3配線部21の一部は第2配線部18の一部と電気的に接続されている。
第2配線部18および第3配線部21の形成に用いる金属ペーストは、第1配線部15の形成に用いる金属ペースト13と同様のものを用いるが、各配線部で異なる金属粒子を含有する金属ペーストを用いても良い。
【0026】
以上により、図3(c)に示した配線基板100bが完成する。第3実施形態の配線基板の製造方法においては、膜部材10の第1面11の側に、第1配線部15、第2配線部18、および第3配線部21からなる多層配線を形成する。以下では、第1配線部15、第2配線部18、および第3配線部21を総称して、多層配線部22とも呼ぶ。
【0027】
(第4実施形態の配線基板)
第4実施形態の配線基板は、上述した第3実施形態の配線基板の製造方法により製造された、図3(c)に示した配線基板100bである。すなわち、配線基板100bは、膜部材10と、膜部材10の第1面11に配置された、多孔性の金属を含む多層配線部22と、を備えている。第3実施形態の配線基板の製造方法、および第3実施形態の配線基板においては、多層配線部22を、単に配線部ということもできる。
【0028】
第4実施形態の配線基板100bにおいても、多層配線部22を構成する第1配線部15、第2配線部18および第3配線部21に含まれる金属粒子14Pの材質および粒径等は、上述した第1実施形態の配線基板の製造方法における条件と同様である。また、膜部材10の材質および厚さについても、第1実施形態の配線基板の製造方法における条件と同様である。
【0029】
第4実施形態の配線基板100bにおいては、配線部が多層配線部22により構成されているので、より複雑な配線構造を持った配線基板を実現することができる。
なお、以上の説明においては、多層配線部22は、第1配線部15、第2配線部18および第3配線部21の3層の配線層を有するものしたが、多層配線部22を構成する配線層の数はこれに限られるものではなく、例えば2層、または4層以上であっても良い。
【0030】
(第1実施形態および第3実施形態の配線基板の製造方法の効果)
(1)上述した第1実施形態および第3実施形態の配線基板の製造方法は、耐熱性の膜部材10を準備すること、耐熱性の膜部材10の第1面11に金属粒子14Pを含む金属ペースト13を形成すること、形成した金属ペースト13を焼結して、膜部材10の第1面11に金属を含む配線部(第1配線部15、多層配線部22)を形成すること、を備えている。この構成では、エッチングプロセスを用いることなく、電気抵抗が小さな配線基板100a、100bを低コストで製造することができる。さらに金属ペースト13は配線部(第1配線部15、多層配線部22)を形成する部分にのみ形成すれば良いので、従来に比べて金属の使用量を削減できる。これにより、一層のコスト削減が図れる。
【0031】
(2)金属ペースト13に含まれる金属粒子14Pを、10nmから100nmの粒径の粒子を主成分とする粒子としても良い。これにより、配線部(第1配線部15、多層配線部22)の電気抵抗をさらに小さくすることができる。
(3)金属ペースト13に含まれる金属粒子14Pの主成分を銀または銅としても良い。これにより、配線部(第1配線部15、多層配線部22)の電気抵抗を一層小さくすることができる。
【0032】
(第5実施形態の半導体装置の製造方法)
以下、図4(a)を参照して、第5実施形態の配線基板の製造方法について説明する。第5実施形態の半導体装置の製造方法においては、上述した第3実施形態の配線基板の製造方法により製造された、図3(c)に示した配線基板100bを用いて半導体装置200aを製造する。
【0033】
(半導体素子の配置)
図4(a)に示したように、半導体素子23を、その不図示の端子部が多層配線部22を構成する第3配線部21の一部に電気的に接続するように配置して、接合する。半導体素子23は、CPU等のロジック回路IC、DRAM等のメモリーIC、LED等の発光素子、RF集積回路等の、半導体素子である。半導体素子23の端子部には、第3配線部21への接合に先立って、はんだ、またはピラー(不図示)を形成しておく。半導体素子23の接合は、各種のフリップチップボンダーを用いて行うことができる。
【0034】
(封止部材による封止)
半導体素子23、第2封止部材19の上面(+Z側の面)、および第3配線部21の少なくとも一部を第3封止部材24により封止する。図4(a)は、半導体素子23、第2封止部材19の上面、および第3配線部21の全てが、第3封止部材24により封止された状態を示している。
【0035】
第3封止部材24として、例えばエポキシベースの樹脂にシリカなどのフィラーを充填した樹脂を使用しても良い。封止は、コンプレッションモールド法によって、液状の樹脂を金型で加圧して形成しても良い。あるいは、トランスファモールド法によって形成しても良い。
【0036】
以上の工程により、半導体装置200aが完成する。
なお、第5実施形態の半導体装置の製造方法、および後述する第6実施形態の半導体装置においては、第1封止部材16、第2封止部材19、および第3封止部材24を、総称して、単に封止部材25ということもできる。
【0037】
(第6実施形態の半導体装置)
第6実施形態の半導体装置は、上述した第5実施形態の半導体装置の製造方法により製造された、図4(a)に示した半導体装置200aである。すなわち、半導体装置200aは、上述した第4実施形態の配線基板100bと、半導体素子23と、配線基板100bの第1面11、配線部(多層配線部22)、および半導体素子23の少なくとも一部を封止する封止部材25と、を備えている。そして、半導体素子23の不図示の端子部は、配線基板100bの配線部(多層配線部22)と電気的に接続されている。
【0038】
第6実施形態の半導体装置200aにおいても、封止部材25を構成する第3封止部材24および半導体素子23の構成は、いずれも上述した第5実施形態の半導体装置の製造方法におけるそれらの構成と同様である。
【0039】
(変形例1の半導体装置の製造方法、および半導体装置)
図4(b)は、変形例1の半導体装置200bを示す図である。変形例1の半導体装置200bは、上述した第2実施形態の配線基板100aと、半導体素子23と、配線基板100aの第1面11、配線部(第1配線部15)、および半導体素子23の少なくとも一部を封止する封止部材25と、を備えている。そして、半導体素子23の不図示の端子部は、配線基板100aの配線部(第1配線部15)と電気的に接続されている。
【0040】
変形例1の半導体装置200bの製造方法は、配線基板として、第4実施形態の配線基板100bに代えて、第2実施形態の配線基板100aを用いること以外は、上述した第5実施形態の半導体装置の製造方法と同様である。すなわち、第2実施形態の配線基板100aに対し、半導体素子23を、その不図示の端子部が第1配線部15の一部に電気的に接続するように配置して接合する。その後、半導体素子23、膜部材10の第1面11、および第1配線部15の少なくとも一部を封止部材25により封止する。封止部材25による封止は、上述した第3封止部材24と同様の材料および工法により封止すれば良い。
【0041】
図4(a)に示した第6実施形態の半導体装置200a、および図4(b)に示した変形例1の半導体装置200bでは、半導体素子23は、その全面が封止部材25により覆われているものした。しかし、例えば半導体素子23の上面(+Z側の面)は、封止部材25から露出していても良い。例えば半導体素子23がLED等の発光素子である場合には、光の放射光率を向上するために、半導体素子23の上面を封止部材25から露出させると良い。また、半導体素子23の放熱効率を向上するために、半導体素子23の上面または側面を封止部材25から露出させても良い。
【0042】
図4(a)に示した第6実施形態の半導体装置200a、および図4(b)に示した変形例1の半導体装置200bにおいて、封止部材25の一部に不図示の開口が設けれ、配線部(第1配線部15、多層配線部22)の一部がその開口を介して露出していても良い。そして、不図示の開口を介して配線部(第1配線部15、多層配線部22)の一部を半導体装置200a、200bの端子部としても良い。
【0043】
(第5実施形態および変形例1の半導体装置の製造方法の効果)
(4)以上で説明した第5実施形態の半導体装置の製造方法、および変形例1の半導体装置の製造方法は、上述した第1実施形態または第3実施形態の配線基板の製造方法により製造された配線基板100a、100bに対して、配線基板100a、100bの配線部(第1配線15、多層配線部22)と電気的に接続させて半導体素子23を配置すること、および、配線基板100a、100bの第1面11、配線部、および半導体素子23の少なくとも一部を封止部材により封止すること、を備えている。
この構成により、低抵抗な配線部を有する半導体装置200a、200bを、低コストで製造することができる。
【0044】
(変形例2の半導体装置の製造方法、および半導体装置)
図4(c)は、変形例2の半導体装置200cを示す図である。変形例2の半導体装置200cは、上述した第6実施形態の半導体装置200aに対して、その膜部材10に、その第2面12の側から開口部26を形成したものである。
【0045】
すなわち、開口部26として膜部材10を部分的に除去することにより、膜部材10の第1面11上に形成されている第1配線部15の一部を、開口部26を介して露出させたものである。従って、開口部26は、第1面11の面内方向において第1配線部15の少なくとも一部と重なる部分に形成されている。
開口部26は、リソグラフィーにより形成しても良く、レーザーアブレーションにより形成しても良い。
【0046】
変形例2の半導体装置200cにおいては、第1配線部15の露出部15aを、半導体装置200cの端子部として使用することができる。露出部15aの周囲は膜部材10に覆われているため、端子部としての露出部15aは電気的な絶縁性が高い。また、第1配線部15は、露出部15aのみが開口部26から露出し、露出部15a以外の部分は膜部材10に覆われているため、化学的な腐食に対する耐性も高い。
【0047】
(変形例3の半導体装置の製造方法、および半導体装置)
変形例3の半導体装置は、上述した変形例1の半導体装置200b(図4(b)参照)に対して、変形例2の半導体装置200c(図4(c)参照)と同様に、その膜部材10に、その第2面12の側から開口部を形成したものである。変形例3の半導体装置は、その膜部材10に、変形例2の半導体装置200cと同様の開口部26を有すること以外は変形例1の半導体装置200bと同様であるため、図示を省略する。変形例3の半導体装置においても、膜部材10に対する開口部の形成は、上述した変形例2の半導体装置の製造方法と同様に行えば良い。
【0048】
(5)以上で説明した変形例2および変形例3の半導体装置の製造方法は、上述した第5実施形態または変形例1の半導体装置の製造方法の構成に加えて、配線基板100a、100bの膜部材10の少なくとも一部に第1面11とは反対側の第2面12から開口部26を形成し、開口部26を介して配線部(第1配線部15)の少なくとも一部を露出させることをさらに備えている。
この構成により、第1配線部15の化学的な腐食に対する耐性が高く、かつ、第1配線部15の露出部15aの絶縁性も高い半導体装置200cを低コストで製造することができる。
【0049】
(6)以上で説明した変形例2および変形例3の半導体装置の製造方法は、別の観点からは、膜部材10の第1面11に配線部(第1配線部15、多層配線部22)を形成すること、配線部と電気的に接続させて半導体素子23を配置すること、第1面11、配線部、および半導体素子23の少なくとも一部を封止部材25により封止すること、封止部材25による封止の後に、膜部材10の少なくとも一部に第1面11とは反対側の第2面12から開口部26を形成し、開口部26を介して配線部の少なくとも一部を露出させること、を備えている。
この構成により、第1配線部15の化学的な腐食に対する耐性が高く、かつ、第1配線部15の露出部15aの絶縁性も高い半導体装置200cを低コストで製造することができる。さらに、膜部材10への開口部26の形成を、配線部(第1配線部15、多層配線部22)を封止部材25で封止した後、すなわち配線部が+Z側から封止部材25により支持された状態で行うため、開口部26から露出した配線部の機械的な強度が十分に保たれる。このため、開口部26の形成に伴う配線部の断線または破損等を防ぐことができ、半導体装置200cの製造の歩留まりを向上することができ、半導体装置200cの製造コストを低減することができる。
【0050】
なお、上述した(6)に示した観点においては、配線部(第1配線部15、多層配線部22)の形成は、金属ペースト11を焼結して形成する方法に限らず、どのような方法を用いて形成しても良い。
【0051】
以上の説明においては、いずれも1個の配線基板100a、100b、および1個の半導体装置200a~200cの製造工程を示している。しかし、膜部材10上のX方向またはY方向に、配線基板100a、100b、または半導体装置200a~200cを複数並べて製造しても良い。
【0052】
本発明は以上の内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
100a,100b:配線基板、200a,200b,200c:半導体装置、10:膜部材、11:第1面、13:金属ペースト、14P:金属粒子、15:第1配線部、16:第1封止部材、18:第2配線部、19:第2封止部材、21:第3配線部、22:多層配線部、24:第3封止部材、25:封止部材、26:開口部
図1
図2
図3
図4