(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054311
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】扉体閉止装置
(51)【国際特許分類】
E06B 5/18 20060101AFI20220330BHJP
E05F 15/632 20150101ALI20220330BHJP
E05F 15/72 20150101ALI20220330BHJP
E06B 7/16 20060101ALI20220330BHJP
G21C 9/004 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
E06B5/18
E05F15/632
E05F15/72
E06B7/16 Z
G21C9/004
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161429
(22)【出願日】2020-09-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】509328928
【氏名又は名称】株式会社日立プラントコンストラクション
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂脇 卓磨
(72)【発明者】
【氏名】飯島 唯司
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 靖浩
(72)【発明者】
【氏名】武士 哲
(72)【発明者】
【氏名】成澤 正孝
【テーマコード(参考)】
2E036
2E052
2G002
【Fターム(参考)】
2E036AA02
2E036BA01
2E036DA02
2E036EB06
2E036GA02
2E036HA02
2E036HB05
2E052CA06
2E052DA08
2E052DB08
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC02
2E052KA04
2G002CA01
2G002DA01
2G002EA03
(57)【要約】
【課題】近傍位置に存在する2つの開口部を扉体により適切に閉止することができる扉体閉止装置を提供する。
【解決手段】建屋の同一外壁面の近傍位置に存在する第1の開口部2aと第2の開口部2bをそれぞれ閉止しているブローアウトパネルが開放されたとき、扉体閉止装置100は、第1の開口部2aを全閉する第1の扉体10aと、第2の開口部2bを全閉する第2の扉体10bと、制御装置30と、を備え、制御装置30は、それぞれのブローアウトパネルが開放状態において、第1の扉体10aと第2の扉体10bの閉止動作を同期して開始し、それぞれのブローアウトパネルが密閉状態において第1の扉体10aと第2の扉体10bの保持位置である開位置から、第1の開口部2aおよび第2の開口部2bを全閉する所定の閉位置まで、第1の扉体10aと第2の扉体10bが互いに離間する方向に移動して、第1の開口部2aと第2の開口部2bを同期して全閉する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力関連施設の建屋において、前記建屋の同一外壁面の近傍位置に存在する2つの開口部である第1の開口部と第2の開口部をそれぞれ閉止しているブローアウトパネルが開放されたときに生じる前記2つの開口部を閉止する扉体閉止装置であって、
前記第1の開口部を全閉する第1の扉体と、
前記第2の開口部を全閉する第2の扉体と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、それぞれの前記ブローアウトパネルが開放状態において、前記第1の扉体と前記第2の扉体の閉止動作を同期して開始し、
それぞれの前記ブローアウトパネルが密閉状態において前記第1の扉体と前記第2の扉体の保持位置である開位置から、前記第1の開口部および前記第2の開口部を全閉する所定の閉位置まで、前記第1の扉体と前記第2の扉体が互いに離間する方向に移動して、前記第1の開口部と前記第2の開口部を同期して全閉する
ことを特徴とする扉体閉止装置。
【請求項2】
前記扉体閉止装置は、
回転軸を有し前記回転軸に回動力を付与する駆動装置と、
前記回動力を水平方向への推力に変換する駆動力伝達材と、
前記開口部の上部周縁部に設置され、前記開位置から、前記開口部の開位置側に対向する一端まで延伸し、前記第1の扉体または前記第2の扉体を吊り下げるハンガーレールと、
前記第1の扉体または前記第2の扉体の上部に少なくとも一つ以上設置されるとともに、前記ハンガーレールを移動可能となるように挟持する扉体接続材と、を備え、
前記扉体接続材が前記駆動力伝達材に接続されて、前記第1の扉体と前記第2の扉体とが水平方向に移動する
ことを特徴とする請求項1に記載の扉体閉止装置。
【請求項3】
前記扉体閉止装置は、
前記駆動装置の前記回転軸に接続される第1の駆動力伝達材および第2の駆動力伝達材と、
前記第1の扉体を吊り下げる第1のハンガーレールおよび前記第1のハンガーレールよりも前記建屋の外側方向に設置され前記第2の扉体を吊り下げる第2のハンガーレールと、
前記第1の扉体に設置される第1の扉体接続材および第2の扉体に設置される第2の扉体接続材と、を備え、
それぞれの前記ブローアウトパネルが開放状態において、前記第1の扉体接続材が第1の駆動力伝達材に、および、前記第2の扉体接続材が前記第2の駆動力伝達材に、それぞれ接続されて前記第1の扉体と前記第2の扉体とが移動する
ことを特徴とする請求項2に記載の扉体閉止装置。
【請求項4】
前記扉体閉止装置は、
前記駆動装置は、前記回転軸に対して直交する出力軸を有し前記回動力を前記出力軸に伝達して前記出力軸に第2の回動力を付与し、
前記出力軸に接続される第3の駆動力伝達材および第4の駆動力伝達材と、
前記第1の扉体を吊り下げる第1のハンガーレールおよび前記第1のハンガーレールよりも前記建屋の外側方向に設置され前記第2の扉体を吊り下げる第2のハンガーレールと、
前記第1の扉体に設置される第1の扉体接続材および第2の扉体に設置される第2の扉体接続材と、を備え、
それぞれの前記ブローアウトパネルが開放状態において、前記第1の扉体接続材が第3の駆動力伝達材に、および、前記第2の扉体接続材が前記第4の駆動力伝達材に、それぞれ接続されて前記第1の扉体と前記第2の扉体が移動する
ことを特徴とする請求項2に記載の扉体閉止装置。
【請求項5】
前記扉体閉止装置は、
前記第1の扉体が前記開位置から前記第1の開口部を閉止する位置である第1の閉位置まで移動する移動距離と、
前記第2の扉体が前記開位置から前記第2の開口部を閉止する位置である第2の閉位置まで移動する移動距離と、に基づいて、前記第3の駆動力伝達材および前記第4の駆動力伝達材で用いるギア比をそれぞれ決定する
ことを特徴とする請求項4に記載の扉体閉止装置。
【請求項6】
前記扉体閉止装置は、
それぞれの前記ブローアウトパネルが密閉状態において、前記第1の開口部と前記第2の開口部の中間位置で、前記第1の開口部と前記第2の開口部を足した面積よりも小さい領域に前記第1の扉体と前記第2の扉体を前記建屋外壁面に対して平行な向きに重ねて保持する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の扉体閉止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所の建屋などに設けたブローアウトパネルが開放されたときに開口部を塞ぐための扉体閉止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉建屋壁面に既設のブローアウトパネル(BOP)が、建屋内部の高圧水蒸気で万一開放した場合に、ブローアウトパネルが開放後に生じる原子建屋の開口部に対して、閉止用として、水平スライド型の扉体閉止装置が開発されている。
【0003】
特許文献1には、遮断扉とそのスライド機構を、ブローアウトパネル近傍で建造物の外側に備え、ブローアウトパネルが外れたときに遮断扉をスライドして閉止することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の扉体閉止装置では、ブローアウトパネル開放前の保持状態において、開口部に隣接する位置に扉体を保持するために、開口部とほぼ同等の大きさの保持領域が必要となる。また、1つの開口部に対して、1つの閉止用の扉体が対応しており、開口部と扉体の対応関係は1:1となっている。なお、「保持領域」とは、建屋などに設けたブローアウトパネルが開放されたときの開口部を塞ぐための扉体を保持しておく領域である。
【0006】
しかし、実際の扉体閉止装置の配置位置には、建屋の同一外壁面の近傍位置に存在する2つの開口部の中間位置に、前述の2つの開口部を足した面積よりも小さい保持領域しかない場合がある。前述の保持領域しか確保できない場合には、それぞれの開口部に対応した扉体閉止装置を直列に配置することができないため、各扉体閉止装置が互いに干渉しないように並列に配置しなければならない。また、扉体と開口部の対応関係が1:1であるため、2つの開口部に対して扉体閉止装置も同数の2台必要になる。
【0007】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、近傍位置に存在する2つの開口部を扉体により適切に閉止することができる扉体閉止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の扉体閉止装置は、原子力関連施設の建屋において、建屋の同一外壁面の近傍位置に存在する2つの開口部である第1の開口部と第2の開口部をそれぞれ閉止しているブローアウトパネルが開放されたときに生じる2つの開口部を閉止する扉体閉止装置であって、第1の開口部を全閉する第1の扉体と、第2の開口部を全閉する第2の扉体と、制御装置と、を備え、制御装置は、それぞれのブローアウトパネルが開放状態において、第1の扉体と第2の扉体の閉止動作を同期して開始し、それぞれのブローアウトパネルが密閉状態において第1の扉体と第2の扉体の保持位置である開位置から、第1の開口部および第2の開口部を全閉する所定の閉位置まで、第1の扉体と第2の扉体が互いに離間する方向に移動して、第1の開口部と第2の開口部を同期して全閉することを特徴とする。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、近傍位置に存在する2つの開口部を扉体により適切に閉止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】原子力関連施設の建屋における開口部の事例を示す図である。
【
図2】第1のアタッチメントの構成を示す図であり、(a)は第1のアタッチメントの正面図および側面図、(b)は第1のアタッチメントに扉体を接続した図である。
【
図3】第2のアタッチメントの構成を示す図である。
【
図4】第2のアタッチメントの歯形部を水平方向に形成した構成を示す図であり、(a)は第1のアタッチメントと第2のアタッチメントとの関係、(b)は第2のアタッチメントの移動方向である。
【
図5】第2のアタッチメントの歯形部を鉛直方向に形成した構成を示す図であり、(a)は第1のアタッチメントと第2のアタッチメントとの関係、(b)は第2のアタッチメントの移動方向である。
【
図6】第1実施形態に係る扉体閉止装置の2つの扉体の保持状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は建屋外から見た正面図である。
【
図7】第1実施形態に係る扉体閉止装置の2つの扉体の移動状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は建屋外から見た正面図である。
【
図8】第2実施形態に係る扉体閉止装置の2つの扉体の保持状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は建屋外から見た正面図である。
【
図9】第2実施形態に係る扉体閉止装置の2つの扉体の移動状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は建屋外から見た正面図である。
【
図11】第2実施形態に係る第1の駆動用連結材、第2の駆動用連結材および従動用連結材との関係を示す図である。
【
図12】第1実施形態に係る扉体閉止装置の2つの扉体の保持状態におけるシール材を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は建屋外から見た正面図である。
【
図13】第1実施形態に係る扉体閉止装置の2つの扉体の閉止状態におけるシール材を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は建屋外から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、原子力関連施設の建屋1における開口部2の事例を示す図である。
図1において、原子力関連施設の建屋1の同一外壁面の近傍位置に存在する2つの開口部2(第1の開口部2aと第2の開口部2b)の中間位置に2つの開口部を足した面積より小さい保持領域が存在するケースを想定する。
【0012】
この場合、従来の水平スライド型閉止装置は、開口部と扉体の対応関係が1:1であるため、第1の開口部2aおよび第2の開口部2bを閉止するための扉体閉止装置は、開口部と同数の2台が必要となる。
【0013】
本実施形態では、ブローアウトパネル3が開放状態において、保持領域に2つの開口部2と同数の扉体閉止装置を設置することなく、2つの開口部を速やかに全閉する扉体閉止装置について説明する。なお、「保持領域」とは、原子力発電所の建屋1などに設けたブローアウトパネル3が開放されたときの2つの開口部を塞ぐための扉体を保持しておく領域である。
【0014】
扉体閉止装置は、建屋1の開口部2を閉止する扉体と、ブローアウトパネル3が密閉状態のときに建屋1の開口部2に重ならない開位置に扉体を保持する保持領域と、開位置から閉位置まで移動可能とするハンガーレールと、ハンガーレールを走行し扉体を吊下げる扉体接続材(アタッチメント)と、扉体を開閉させるための駆動装置などから構成されている。
【0015】
初めに本実施形態で使用するアタッチメントについて説明する。
図2は、第1のアタッチメントの構成を示す図であり、(a)は第1のアタッチメントの正面図および側面図、(b)は第1のアタッチメントに扉体を接続した図である。
図2を参照して、扉体接続体12(
図6参照)として、後記する第1実施形態と第2実施形態で用いられる第1のアタッチメントAT1について説明する。
【0016】
図2(a)に示す第1のアタッチメントAT1は、U字形状のアタッチメントベースATBを有し、ハンガーレール11を挟持して移動可能とする2つの車輪部13と、扉体10の上部に設置される接続部15で構成されている。
【0017】
2つの車輪部13は、アタッチメントベースATBの両サイドの内側面において対向し、同じ高さ位置になるように配置されている。
【0018】
接続部15は、扉体10と直接または間接材17を介して接続される。
図2(b)に示した接続例では、接続部15は間接材17を介して扉体に接続されている。
【0019】
図2(a)に示す側面図において、L部の寸法は、ハンガーレール11を挟持する2つの車輪部13の位置関係を考慮して定められる。
【0020】
図3は、第2のアタッチメントAT2の構成を示す図である。
図4は、第2のアタッチメントAT2の歯形部AT21を水平方向に形成した構成を示す図であり、(a)は第1のアタッチメントAT1と第2のアタッチメントAT2との関係、(b)は第2のアタッチメントAT2の移動方向である。
図5は、第2のアタッチメントAT2の歯形部AT21を鉛直方向に形成した構成を示す図であり、(a)は第1のアタッチメントAT1と第2のアタッチメントAT2との関係、(b)は第2のアタッチメントAT2の移動方向である。
図3~
図5を参照して、駆動力伝達材22(
図6参照)の一部として、第1実施形態と第2実施形態で用いられる第2のアタッチメントAT2について説明する。
図3に示す第2のアタッチメントAT2は、中継部AT22と歯形部AT21で構成されている。
【0021】
中継部AT22は、第1の扉体接続材12aと第2の扉体接続材12bが対向する面のそれぞれ上部に設置され、移動対象となる扉体10が保持領域である開位置4(
図6参照)から開口部2を全閉する所定の閉位置5(
図6参照)まで移動するために必要な長さAT2-Lと、後述する歯形部AT21が、駆動装置20の回転軸21に設置された歯車と対向して噛み合うために必要な高さAT2-Hを備えている。
【0022】
歯形部AT21は、駆動装置20の回転軸21または出力軸23に接続される歯車と対向し、歯形の先端部が水平方向または鉛直上方向の何れかを向くように前述の歯車と同じピッチで歯形が形成されており、歯形部AT21の先端部の反対側の面となる底部が中継部AT22に連結されている。
【0023】
図4に示すように、前述した第1のアタッチメントAT1は、開口部2を全閉する扉体10の上部に少なくとも一つ以上設置されている。2つの開口部2をそれぞれ閉止する第1の扉体10aおよび第2の扉体10bには、それぞれ同じ種類の第1のアタッチメントAT1が設置されるため、区別するために第1の扉体10a用を第1のアタッチメントAT1A、第2の扉体10b用を第1のアタッチメントAT1Bとする。
【0024】
第2のアタッチメントAT2は、第1の扉体10a用と第2の扉体10b用があり、区別するため第1の扉体10a用を第2のアタッチメントAT2A、第2の扉体10b用を第2のアタッチメントAT2Bとする。
【0025】
図4に、第2のアタッチメントAT2の歯形部AT21を水平方向に形成した構成を示す。第2のアタッチメントAT2の歯形部AT21を水平方向に形成し、対向する駆動用連結材27の歯車と噛み合うように配設されている。このため、駆動用連結材27が回転すると、第1の扉体10a用の第2のアタッチメントAT2Aは、
図4(b)に示す左方向に移動し、一方、第2の扉体10b用の第2のアタッチメントAT2Bは、
図4(b)に示す右方向に移動することができる。
【0026】
図5に、第2のアタッチメントAT2の歯形部AT21を鉛直方向に形成した構成を示す。第2のアタッチメントAT2の歯形部AT21を鉛直方向に形成している。第1の扉体10a用の第2のアタッチメントAT2Aは、対向する第1の駆動用連結材28aの歯車と噛み合うように配設されている。他方、第2の扉体10b用の第2のアタッチメントAT2Bは、従動用連結材29を介して、第2の駆動用連結材28bの歯車と噛み合うように配設されている。このため、第1の駆動用連結材28aおよび第2の駆動用連結材28bが回転すると、第1の扉体10a用の第2のアタッチメントAT2Aは、
図5(b)に示す左方向に移動し、一方、第2の扉体10b用の第2のアタッチメントAT2Bは、
図5(b)に示す右方向に移動することができる。
【0027】
<<第1実施形態>>
図6は、第1実施形態に係る扉体閉止装置の2つの扉体の保持状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は建屋外から見た正面図である。
図7は、第1実施形態に係る扉体閉止装置の2つの扉体の移動状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は建屋外から見た正面図である。
【0028】
第1実施形態では、第1の開口部2aと第2の開口部2bの中間位置に、第1の開口部2aと第2の開口部2bを足した面積よりも小さい保持領域がある。制御装置30は、第1の開口部2aと第2の開口部2bをそれぞれ全閉する第1の扉体10aおよび第2の扉体10bの閉止動作を同期して開始し、開位置4から第1の閉位置5aおよび第2の閉位置5bまで、第1の扉体10aと第2の扉体10bが互いに離間する方向に移動して、第1の開口部2aと第2の開口部2bを同期して全閉するケースを示している。第1実施形態は、ラックアンドピニオン方式による移動機構である。
【0029】
ここで、以降に使用する用語を説明する。
2つの開口部2とは、原子力関連施設の建屋1の同一外壁面の近傍位置に存在し、ブローアウトパネル3が開放状態のときに建屋1の外側と内側が貫通している箇所を指す。2つの開口部2を区別するため、第1の開口部2aおよび第2の開口部2bとする。
【0030】
開位置4とは、ブローアウトパネル3が密閉状態において、第1の開口部2aと第2の開口部2bの中間位置に、それぞれの開口部2を閉止しているブローアウトパネル3に重ならず、第1の開口部2aと第2の開口部2bを足した面積よりも小さい領域が存在する位置を指す。開位置4において第1の扉体10aと第2の扉体10bを保持する領域を保持領域とする。保持領域における保持状態は後述する制御装置30からの保持指令により行われている。
【0031】
所定の閉位置5とは、開位置4で保持されていた第1の扉体10aと第2の扉体10bが、互いに離間する方向に移動して第1の開口部2aまたは第2の開口部2bを全閉する位置を指す。区別するため、第1の扉体10aが第1の開口部2aを全閉する位置を第1の閉位置5a、第2の扉体10bが第2の開口部2bを全閉する位置を第2の閉位置5bとする。
【0032】
扉体10の移動方向については、閉位置方向とは、開位置4から所定の閉位置5に向かう方向であり、開位置方向とは、所定の閉位置5から開位置4に向かう方向である。
【0033】
駆動装置20は、回転軸21を有し、回転軸21に回動力を付与するものである。
駆動力伝達材22は、前述した回動力を水平方向への推力に変換するものである。
ハンガーレール11は、開口部2の上部周縁部に設置され、開位置4から、第1の開口部2aまたは第2の開口部2bの開位置側に対向する一端まで延伸し、第1の扉体10aまたは第2の扉体10bを吊り下げるものである。
【0034】
扉体接続材12は、第1の扉体10aあるいは第2の扉体10bの上部に少なくとも一つ以上設置されるとともに、ハンガーレール11を移動可能となるように挟持するものである。
【0035】
図6および
図7の事例では、第1の開口部2aと第2の開口部2bおよび保持領域の大きさは同等で、ブローアウトパネル3が密閉状態において、第1の扉体10aおよび第2の扉体10bは、それぞれの両端部が揃った形で、建屋外壁面に対して平行な向きに保持領域にて保持されている。
【0036】
第1の扉体10aに関係するものとして、第1の駆動力伝達材22aは、駆動装置20の回転軸21に接続される駆動用連結材27、駆動用連結材27に対向し、開位置4から第1の閉位置5aまで移動可能な長さだけ駆動用連結材27と同じピッチの歯形が形成された第2のアタッチメントA(AT2A)(
図4参照)を備えている。
【0037】
さらに、開口部2の上部周縁部に設置され第1の扉体10aを吊り下げる第1のハンガーレール11a、第1の扉体10aの上部に少なくとも一つ以上設置されるとともに、第1の扉体10aが第1のハンガーレール11aを移動可能となるように挟持する第1の扉体接続材として第1のアタッチメントA(AT1A)が備えられている。第1実施形態では、第1のアタッチメントA(AT1A)は、第1の扉体10aの上部3箇所(左端部、中央、右端部)に設置されている。
【0038】
第2の扉体10bに関係するものとして、第2の駆動力伝達材22bは、駆動装置20の回転軸21に接続される駆動用連結材27、駆動用連結材27に対向し、開位置4から第2の閉位置5bまで移動可能な長さだけ駆動用連結材27と同じピッチの歯形が形成された第2のアタッチメントB(AT2B)(
図4参照)を備えている。
【0039】
さらに、第2の開口部2bの上部周縁部で第1のハンガーレール11aよりも建屋1の外側方向に設置され、第2の扉体10bを吊り下げる第2のハンガーレール11b、第2の扉体10bの上部に少なくとも一つ以上設置されるとともに、第2の扉体10bが第2のハンガーレール11bを移動可能となるように挟持する第2の扉体接続材12bとして第1のアタッチメントB(AT1B)(
図4参照)が備えられている。第1実施形態では、第1のアタッチメントB(AT1B)は第2の扉体10bの上部3箇所(左端部、中央、右端部)に設置されている。第1実施形態において、駆動用連結材27は、第1の駆動力伝達材22aおよび第2の駆動力伝達材22bとして、共通のものである。
【0040】
駆動装置20の駆動力は、第1の駆動力伝達材22aが第1の扉体接続材12aに接続されることで第1の扉体10aに、および、駆動力連結材27が第2の駆動力伝達材22bが第2の扉体接続材12bに接続されることで第2の扉体10bに、それぞれ伝達されている。
【0041】
制御装置30は、ブローアウトパネル3近傍に設置したセンサから信号を取り込むことでブローアウトパネル3が密閉状態または開放状態の何れかであるかを検知し、ブローアウトパネル3が開放状態のときに開位置4における第1の扉体10aと第2の扉体10bの保持状態を解除するとともに、駆動装置20に駆動命令を送信し、駆動装置20を駆動させ、第1の扉体10aと第2の扉体10bを互いに離間する方向に同期して移動させ、第1の開口部2aおよび第2の開口部2bを同期して全閉させる。
【0042】
それぞれのブローアウトパネル3が開放状態において、
図7に示すように、第1の扉体10aおよび第2の扉体10bの閉止動作を同期して開始し、第1の扉体10aが開位置4から第1の閉位置5aまで、および、第2の扉体10bが開位置4から第2の閉位置5bまで、互いに離間する方向に移動して、第1の開口部2aおよび第2の開口部2bを同期して全閉するようになっている。
【0043】
第1実施形態の場合、第1の扉体10aの移動距離:L1、第2の扉体10bの移動距離:L2としたとき、L1=L2となり、第1の扉体10aおよび第2の扉体10bの移動距離は同じとなる。
【0044】
本実施形態に係る扉体閉止装置100は、原子力関連施設の建屋1において、建屋1の同一外壁面の近傍位置に存在する2つの開口部2である第1の開口部2aと第2の開口部2bをそれぞれ閉止しているブローアウトパネル3が開放されたときに生じる2つの開口部2を閉止する扉体閉止装置である。
【0045】
扉体閉止装置100は、第1の開口部2aを全閉する第1の扉体10aと、第2の開口部2bを全閉する第2の扉体10bと、制御装置30と、を備え、制御装置30は、それぞれのブローアウトパネル3が開放状態において、第1の扉体10aと第2の扉体10bの閉止動作を同期して開始し、それぞれのブローアウトパネル3が密閉状態において第1の扉体10aと第2の扉体10bの保持位置である開位置4から、第1の開口部2aおよび第2の開口部2bを全閉する所定の閉位置5まで、第1の扉体10aと第2の扉体10bが互いに離間する方向に移動して、第1の開口部2aと第2の開口部2bを同期して全閉する。これにより、近傍位置に存在する2つの開口部2を扉体10により適切に閉止することができる。
【0046】
扉体閉止装置100は、回転軸21を有し、回転軸21に回動力を付与する駆動装置20と、回動力を水平方向への推力に変換する駆動力伝達材22と、開口部2の上部周縁部に設置され、開位置4から、開口部2の開位置側に対向する一端まで延伸し、第1の扉体または第2の扉体を吊り下げるハンガーレール11と、第1の扉体10aまたは第2の扉体10bの上部に少なくとも一つ以上設置されるとともに、ハンガーレール11を移動可能となるように挟持する扉体接続材12と、を備え、扉体接続材12が駆動力伝達材22に接続されて、第1の扉体10aと第2の扉体10bとが水平方向に移動することができる。
【0047】
扉体閉止装置100は、駆動装置20の回転軸21に接続される第1の駆動力伝達材22aおよび第2の駆動力伝達材22bと、第1の扉体10aを吊り下げる第1のハンガーレール11aおよび第1のハンガーレール11aよりも建屋1の外側方向に設置され第2の扉体10bを吊り下げる第2のハンガーレール11bと、第1の扉体10aに設置される第1の扉体接続材12aおよび第2の扉体10bに設置される第2の扉体接続材12bと、を備え、それぞれのブローアウトパネル3が開放状態において、第1の扉体接続材12aが第1の駆動力伝達材22aに、および、第2の扉体接続材12bが第2の駆動力伝達材22bに、それぞれ接続されて第1の扉体10aと第2の扉体10bとが移動することができる。
【0048】
<<第2実施形態>>
図8は、第2実施形態に係る扉体閉止装置の2つの扉体の保持状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は建屋外から見た正面図である。
図9は、第2実施形態に係る扉体閉止装置の2つの扉体の移動状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は建屋外から見た正面図である。
【0049】
図8および
図9は、第2実施形態として、大きさが異なる第1の開口部2aと第2の開口部2bAの中間位置に、第1の開口部2aと第2の開口部2bAを足した面積よりも小さい保持領域があり、第1の扉体10aと第2の扉体10bAの閉止動作を同期して開始し、開位置4から第1の閉位置5aおよび第2の閉位置5bAまで、互いに離間する方向に移動して、第1の開口部2aおよび第2の開口部2bAを全閉するケースを示している。第2実施形態は、ラックアンドピニオン方式による移動機構である。
【0050】
図8および
図9の事例では、第1の開口部2aと保持領域の大きさは同等であり、第2の開口部2bAは、水平方向の大きさが第1の開口部2aの半分である。それゆえ第2の扉体10bAの水平方向の大きさは第1の扉体10aの半分になっている。
【0051】
ブローアウトパネル3が密閉状態において、第1の扉体10aおよび第2の扉体10bが保持領域にて、建屋外壁面に対して水平方向に保持されている。
【0052】
駆動装置20は、回転軸21とともに、回転軸21に直交する出力軸23を有し、回転軸21の回動力を出力軸23に伝達して、前述の出力軸23に回動力(第2の回動力)を付与するものである。
【0053】
第1の扉体10aに関係するものとして、第3の駆動力伝達材22cは、駆動装置20の出力軸23の片側端部に接続される第1の駆動用連結材28a、第1の駆動用連結材28aに対向し開位置4から第1の閉位置5aまで移動可能な長さだけ第1の駆動用連結材28aと同じピッチの歯形が形成された第2のアタッチメントA(AT2A)(
図5参照)を備えている。
【0054】
さらに、第1の開口部2aの上部周縁部に設置され第1の扉体10aを吊り下げる第1のハンガーレール11a、第1の扉体10aの上部に少なくとも一つ以上設置されるとともに、第1の扉体10aが第1のハンガーレール11aを移動可能となるように挟持する第1の扉体接続材12aとして第1のアタッチメントA(AT1A)が備えられている。第2実施形態では、第1のアタッチメントA(AT1A)は第1の扉体10aの上部3箇所(左端部、中央、右端部)に設置されている。
【0055】
第2の扉体10bAに関係するものとしては、第4の駆動力伝達材22dとして、駆動装置20の出力軸23の他方端部に接続される第2の駆動用連結材28b、第2の駆動用連結材28bに対向し回転方向が第2の駆動用連結材28bとは逆向きになるように設置される従動用連結材29、従動用連結材29に対向し開位置4から第2の閉位置5bAまで移動可能な長さだけ従動用連結材29と同じピッチの歯形が形成された第2のアタッチメントB(AT2B)(
図5参照)を備えている。
【0056】
さらに、第2の開口部2bAの上部周縁部で第1のハンガーレール11aよりも建屋1の外側方向に設置され、第2の扉体10bAを吊り下げる第2のハンガーレール11b、第2の扉体10bAの上部に少なくとも一つ以上設置されるとともに、第2の扉体10bAが第2のハンガーレール11bを移動可能となるように挟持する第2の扉体接続材12bとして第1のアタッチメントB(AT1B)が備えられている。第2実施形態では、第1のアタッチメントB(AT1B)は第2の扉体10bAの上部3箇所(左端部、中央、右端部)に設置されている。
【0057】
駆動装置20の駆動力は、第3の駆動力伝達材22cが第1の扉体接続材12aに接続されることで第1の扉体10aに、および、第4の駆動力伝達材22dが第2の扉体接続材12bに接続されることで第2の扉体10bAに、それぞれ伝達されている。
【0058】
制御装置30は、ブローアウトパネル3近傍に設置したセンサから信号を取り込むことでブローアウトパネル3が密閉状態または開放状態の何れかであるかを検知し、ブローアウトパネル3が開放状態のときに開位置4における第1の扉体10aと第2の扉体10bAの保持状態を解除するとともに、駆動装置20に駆動命令を送信し、駆動装置20を駆動させ、第1の扉体10aと第2の扉体10bAを互いに離間する方向に同期して移動させ、第1の開口部2aおよび第2の開口部2bAを同期して全閉させる。
【0059】
それぞれのブローアウトパネル3が開放状態において、
図9に示すように、第1の扉体10aおよび第2の扉体10bAの閉止動作を同期して開始し、第1の扉体10aが開位置4から第1の閉位置5aまで、および、第2の扉体10bAが開位置4から第2の閉位置5bAまで、互いに離間する方向に移動して、第1の開口部2aおよび第2の開口部2bAを同期して全閉するようになっている。
【0060】
第2実施形態の場合、第1の扉体10aの移動距離:L1、第2の扉体10bAの移動距離:L2としたとき、L2=(1/2)×L1となり、第2の扉体10bAの移動距離は第1の扉体10aの半分となる。
【0061】
図10は、スプロケットを示す図である。
図11は、第2実施形態に係る第1の駆動用連結材28a、第2の駆動用連結材28bおよび従動用連結材29との関係を示す図である。
図11は、
図8及び
図9で示した事例におけるギア比の計算例を示したものである。ここでは、第3の駆動力伝達材22cである第1の駆動用連結材28a、および、第4の駆動力伝達材22dである第2の駆動用連結材28b、従動用連結材29のそれぞれのピッチ、ピッチ円直径、モジュールの決め方を説明する。さらに、第2の駆動用連結材28bと従動用連結材29の配置関係を説明する。
【0062】
Δh :第1の駆動用連結材28aと従動用連結材29の軸穴中心間の鉛直方向距離
Dp1:第1の駆動用連結材28aのピッチ円直径
Dp2:第2の駆動用連結材28bのピッチ円直径
Dp3:従動用連結材29のピッチ円直径
θ :LとΔhで成す角度
L=(Dp2/2)+(Dp3/2)
とすると、Δhとθには、式(1)の関係がある。
Δh=L×cosθ ・・・(1)
この関係により、従動用連結材29の配置位置により、Δhを定めることができる。
【0063】
さらに、歯車の基礎として、歯車のピッチとモジュールについて説明する。
ピッチ(p):歯と歯の間隔
モジュール :ピッチ円直径を歯数で割った値
歯車対 :噛み合う2枚の歯車の組み
とすると、『歯車対が噛み合う条件』として、モジュールが等しくなければならない。
【0064】
上記を式で表すと次のようになる。
ピッチ:p、ピッチ円直径:D、歯数:Z、モジュール:mとすると
p=(D×π)/Z ・・・(2)
m=D/Z ・・・(3)
【0065】
数値例として、ピッチ円直径が80mm、歯数が20枚の歯車のモジュールは、
m=D/Zより、m=80/20=4(mm)となる。
【0066】
設計思想として、第1の駆動用連結材28a、第2の駆動用連結材28bおよび従動用連結材29に使用するラック・ピニオンのピッチは同じとするため、
p1:第1の駆動用連結材28aのピッチ
p2:第2の駆動用連結材28bのピッチ
p3:従動用連結材29のピッチ、とすると、
p1=p2=p3 ・・・(4)
となる。
【0067】
また、第2の駆動用連結材28bおよび従動用連結材29は、ピッチ円直径、歯数、モジュールが等しいものを用いるとすると、従動用連結材29の歯数を、第1の駆動用連結材28aの歯数の1/2にしたときの従動用連結材29のピッチ円直径Dp3がどのようになるかを検討する。
Z1:第1の駆動用連結材28aの歯数
Z3:従動用連結材29の歯数 とすると、
従動用連結材29の歯数を第1の駆動用連結材28aの半分(1/2)にするので、
Z3=(1/2)×Z1 ・・・(5)
【0068】
式(4)より、p1=p3となるので、モジュールが等しくなるためには、
(Dp1×π)/Z1=(Dp3×π)/Z3
Dp1/Z1=Dp3/Z3 ・・・(6)
【0069】
式(6)を変形して
Dp1=Dp3×(Z1/Z3) ・・・(7)
式(5)を式(7)に代入すると
Dp3=(1/2)・Dp1 ・・・(8)
となる。
【0070】
従って、第1の駆動用連結材28aと従動用連結材29のピッチを同じにした上で、従動用連結材29の歯車の歯数:Z3を、第1の駆動用連結材28aの歯車の歯数:Z1の1/2にしたとき、従動用連結材29のピッチ円直径Dp3も第1の駆動用連結材28aのピッチ円直径の1/2になる。
【0071】
この計算例で示すように、第1の扉体10aおよび第2の扉体10bAの移動距離に基づいてギア比を決定することで、第2実施形態のように第1の開口部2aと第2の開口部2bAの大きさがそれぞれ異なるケースであっても柔軟に対応できる。
【0072】
本実施形態に係る扉体閉止装置100は、駆動装置20は、回転軸21に対して直交する出力軸23を有し回動力を出力軸23に伝達して出力軸23に第2の回動力を付与し、出力軸23に接続される第3の駆動力伝達材22cおよび第4の駆動力伝達材22dと、第1の扉体10aを吊り下げる第1のハンガーレール11aおよび第1のハンガーレール11aよりも建屋1の外側方向に設置され第2の扉体10bAを吊り下げる第2のハンガーレール11bと、第1の扉体10aに設置される第1の扉体接続材12aおよび第2の扉体10bAに設置される第2の扉体接続材12bと、を備え、それぞれのブローアウトパネル3が開放状態において、第1の扉体接続材12aが第3の駆動力伝達材22cに、および、第2の扉体接続材12bが第4の駆動力伝達材22dに、それぞれ接続されて第1の扉体10aと第2の扉体10bAが移動する。これにより、近傍位置に存在する2つの開口部2を扉体10により適切に閉止することができる。
【0073】
扉体閉止装置100は、第1の扉体10aが開位置4から第1の開口部2aを閉止する位置である第1の閉位置5aまで移動する移動距離と、第2の扉体10bAが開位置4から第2の開口部2bを閉止する位置である第2の閉位置5bまで移動する移動距離と、に基づいて、第3の駆動力伝達材22cおよび第4の駆動力伝達材22dで用いるギア比をそれぞれ決定するとよい。
【0074】
扉体閉止装置100は、それぞれのブローアウトパネル3が密閉状態において、第1の開口部2aと第2の開口部2bの中間位置で、第1の開口部2aと第2の開口部2bを足した面積よりも小さい領域に第1の扉体10aと第2の扉体10bAを建屋外壁面に対して平行な向きに重ねて保持することができる。
【0075】
<気密機構>
扉体閉止装置100の気密機構について、第1実施形態を例に説明する。
図12は、第1実施形態に係る扉体閉止装置100の2つの扉体10の保持状態におけるシール材を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は建屋外から見た正面図である。
図13は、第1実施形態に係る扉体閉止装置100の2つの扉体10の閉止状態におけるシール材を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は建屋外から見た正面図である。
【0076】
第1実施形態では、ブローアウトパネル3が開放状態において、保持領域に2つの開口部2と同数の扉体閉止装置を設置することなく、2つの開口部2(第1の開口部2aと第2の開口部2b)を速やかに全閉する扉体閉止装置100について説明した。ここでは、複数の扉体10の閉止状態における気密機構について説明する。
【0077】
図12に示すように、第1の開口部2aの外周からの漏洩に対して、第1の開口部2aの外周に第1のシール材51が建屋側に設けられている。第1のシール材51の厚みは、第1の扉体10aと建屋壁面との間隙の分を考慮して設定される。
【0078】
また、第2の開口部2bの外周からの漏洩に対して、第2の開口部2bの外周に第2のシール材52が建屋側に設けられている。第2のシール材52の厚みは、第2の扉体10bと建屋壁面との間隙の分を考慮して設定される。
【0079】
図13を参照すると、第1のシール材51により、第1の開口部2aの外周からの漏洩に対して気密を保持できることがわかる。また、第2のシール材52により、第2の開口部2bの外周からの漏洩に対して気密を保持できることがわかる。
【0080】
図12および
図13では、第1実施形態の気密機構を説明したが、第2実施形態についても同様に気密機構を実現できる。
【符号の説明】
【0081】
1 建屋
2 開口部
2a 第1の開口部
2b,2bA 第2の開口部
3 ブローアウトパネル
4 開位置
5 所定の閉位置
10 扉体
10a 第1の扉体
10b,10bA 第2の扉体
11 ハンガーレール
11a 第1のハンガーレール
11b 第2のハンガーレール
12 扉体接続材
12a 第1の扉体接続材
12b 第2の扉体接続材
13 車輪部
14 接続用金具
15 接続部
17 間接材
20 駆動装置
21 回転軸
22 駆動力伝達材
22a 第1の駆動力伝達材
22b 第2の駆動力伝達材
22c 第3の駆動力伝達材
22d 第4の駆動力伝達材
23 出力軸
27 駆動用連結材
28a 第1の駆動用連結材
28b 第2の駆動用連結材
29 従動用連結材
30 制御装置
51 第1のシール材
52 第2のシール材
100 扉体閉止装置
AT1 第1のアタッチメント
AT2 第2のアタッチメント
AT21 歯形部
AT22 中継部
ATB アタッチメントベース