IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タバタの特許一覧

<>
  • 特開-水中マスク 図1
  • 特開-水中マスク 図2
  • 特開-水中マスク 図3
  • 特開-水中マスク 図4
  • 特開-水中マスク 図5
  • 特開-水中マスク 図6
  • 特開-水中マスク 図7
  • 特開-水中マスク 図8
  • 特開-水中マスク 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054334
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】水中マスク
(51)【国際特許分類】
   A63B 33/00 20060101AFI20220330BHJP
   B63C 11/12 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
A63B33/00 A
B63C11/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161476
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000133191
【氏名又は名称】株式会社タバタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002882
【氏名又は名称】白浜国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤本 貴史
(57)【要約】
【課題】着用者の毛髪がストラップが反転可能に掛け回された掛回部に絡むのを抑制することのできるバックルを備えた水中マスクの提供。
【解決手段】水中マスク10のバックル30は、取付部18に取り付けられた前端部31と、ヘッドストラップ20が挿通される挿通部を有する後端部32と、前後端部31,32間に位置する中間部33とを有し、ヘッドストラップ20が反転可能に掛け回された掛回部63が中間部33に位置している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向及び横方向を有し、レンズフレームと、前記レンズフレームから後方へ延びるスカートとを備えるマスク本体と、前記マスク本体の両側の少なくとも一方に位置する取付部に取り付けられたバックルを介して連結されるヘッドストラップとを備える水中マスクにおいて、
前記バックルは、前記取付部に取り付けられた前端部と、前記ヘッドストラップが挿通される挿通部を有する後端部と、前記前後端部間に位置する中間部とを有し、前記ヘッドストラップが反転可能に掛け回された掛回部が前記中間部に位置していることを特徴とする水中マスク。
【請求項2】
前記掛回部は前記バックル内部に配置されて、外部に露出していない請求項1に記載の水中マスク。
【請求項3】
前記バックルと前記ヘッドストラップとは、前記バックルの係合歯と前記ヘッドストラップの係合凹部とからなるラチェット機構によって互いに連結されていて、前記係合凹部は前記ヘッドストラップの外面に位置し、着用状態において着用者の顔面側に位置していない請求項1又は2に記載の水中マスク。
【請求項4】
前記係合歯が位置する主体部を有するストッパーと、前記ラチェット機構による係合を解除するための操作部材とをさらに有し、前記操作部材は前記上下方向において離間して位置する操作部を有し、前記操作部の下面に位置する傾斜面を前記主体部の両端に位置するスライダが摺接することで、前記ストッパーが前記ヘッドストラップから離間する方向へ移動して、前記ラチェット機構による係合が解除される請求項1-3のいずれかに記載の水中マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク本体にストラップを連結するためのバックルを備える水中マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マスク本体にストラップを連結するためのバックルを備える水中マスクは公知である。たとえば、特許文献1には、レンズを固定するレンズフレームとレンズフレームから後方へ延びるスカートとを有するマスク本体と、マスク本体にストラップを連結するためのバックルとを備える水中マスクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-136057号公報(P2004-136057A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された水中マスクにおいては、バックルがストラップの長さ調整可能なアジャスター機能を備えることによって、着用者の頭部の大きさに合わせて、ストラップの長さを適宜調整することができる。
【0005】
しかしながら、ヘッドストラップの端部が掛け回されたバックルの掛回部は、バックルの後方に位置し、かつ、外部に露出した状態にあることから、着用者の毛髪が掛回部に絡まってしまうことがあった。
【0006】
本発明の課題は、従来の水中マスクの改良であって、着用者の毛髪がヘッドストラップが反転可能に掛け回された掛回部に絡むのを抑制することのできるバックルを備えた水中マスクの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明が対象とするのは、前後方向及び横方向を有し、レンズフレームと、レンズフレームから後方へ延びるスカートとを備えるマスク本体と、前記マスク本体の両側の少なくとも一方に位置する取付部に取り付けられたバックルを介して連結されるヘッドストラップとを備える水中マスクである。
【0008】
本発明に係る水中マスクは、前記バックルは、前記取付部に取り付けられた前端部と、ヘッドストラップが挿通される挿通部を有する後端部と、前記前後端部間に位置する中間部とを有し、前記ヘッドストラップが反転可能に掛け回された掛回部が前記中間部に位置していることを特徴とする。
【0009】
下記の実施の形態は、図1~9に示す水中マスクに関し、発明の不可欠な構成ばかりではなく、選択的及び好ましい構成を含む。
(1)前記掛回部は前記バックル内部に配置されて、外部に露出していない。
(2)前記バックルと前記ヘッドストラップとは、前記バックルの係合歯と前記ヘッドストラップの係合凹部とからなるラチェット機構によって互いに連結されていて、前記係合凹部は前記ヘッドストラップの外面に位置し、着用状態において着用者の顔面側に位置していない。
(3)前記係合歯が位置する主体部を有するストッパーと、前記ラチェット機構による係合を解除するための操作部材とをさらに有し、前記操作部材は前記上下方向において離間して位置する操作部を有し、前記操作部の下面に位置する傾斜面を前記主体部の両端に位置するスライダが摺接することで、前記ストッパーが前記ヘッドストラップから離間する方向へ移動して、前記ラチェット機構による係合が解除される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る水中マスクによれば、ヘッドストラップが反転可能に掛け回された掛回部がバックルの中間部に位置していることから、着用者の毛髪が掛回部に届き難く、毛髪が掛回部に絡まるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面は、本発明に係る水中マスクの特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
図1】本発明に係る水中マスクの斜視図。
図2】(a)バックルの側面図。(b)バックルの後面図。
図3】(b)バックルの分解斜視図。
図4】(a)ヘッドストラップを内面側から視た平面図。(b)ヘッドストラップの先端部を反転した状態における図。
図5】バックルを開いた状態における拡大平面図。
図6】(a)操作部材の拡大平面図。(b)ロック状態における図1のVI(b)―VI(b)線に沿う断面図。(c)ロックが解除された状態における図6(b)と同様の図。
図7図1のVII-VII線に沿う断面図。
図8】(a)ヘッドストラップの中央部の拡大平面図。(b)ヘッドストラップを長さ方向へ引っ張ったときの図8(a)と同様の図。
図9】(a)ヘッドストラップの一部拡大図。(b)エイト環が隆起部に位置する状態における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る水中マスク10の詳細を添付の図面を参照して説明すると、以下のとおりである。なお、図1において、水中マスク10の前後方向はZ、上下方向はY、幅方向はXで示されている。また、C-C線は水中マスク10の幅方向の寸法を二等分する仮想中心線であり、水中マスク10は、仮想中心線C-Cに対して対称をなしている。また、幅方向Xの内方(内側)とは、仮想中心線C-Cに向かう方向をいい、幅方向Xの外方(外側)とは、その逆の方向をいう。
【0013】
図1,2に示すとおり、水中マスク10は、一対のレンズ11が嵌められたレンズフレーム12と、レンズフレーム12から後方へ延びる可撓性のスカート15とを有するマスク本体13と、ヘッドストラップ20と、マスク本体13とヘッドストラップ20とを連結するためのバックル30とを備える。図示例では、レンズ11は一対の透明板から形成されているが連続する1枚の透明板から形成されていてもよい。また、水中マスク10は、オプションとして、ヘッドストラップ20の先端部分22A,23Aのバタつきを防止するためのエイト環(スライダ)16をさらに有する。
【0014】
レンズフレーム12とバックル30とは、硬質プラスチック材料から形成される。一方、スカート15及びヘッドストラップ14は軟質材料、例えば、天然又は合成ゴム、シリコーン樹脂や熱可塑性合成樹脂等から形成される。
【0015】
バックル30をマスク本体13に取り付けるための取付部18は、マスク本体13のうちのレンズフレームではなく、スカート15の両側に位置している。バックル30がかかる配置態様を有することから、着用状態において、ヘッドストラップ20による後方へ引っ張ろうとする力がバックル30を介してマスク本体13に作用したとしても、レンズフレーム12が後方へ顔面に向かって移動することはなく、マスク10内部が必要以上に陰圧となるのを抑制することができる。
【0016】
図4(a),(b)を参照すると、ヘッドストラップ20は、着用者の後頭部に当接される二股状の中央部21とその両側に位置する第1及び第2延出部22,23とを有する。ヘッドストラップ20は、着用者の顔面に対向する内面20aとその反対側に位置する外面20bとを有する。
【0017】
第1及び第2延出部22,23の外面20bには、ヘッドストラップ20の長さ方向及び幅方向において間隔を空けて配置された複数の係合凹部25と、係合凹部25の間に位置する平坦部26とを有する。すなわち、平坦部26は、ヘッドストラップ20の外面のうちの複数の係合凹部25が形成されていない部分であるといえる。また、ヘッドストラップ20の先端側の内面には、凸曲状を有する第1隆起部27と第2隆起部28とが位置する。
【0018】
また、第1及び第2延出部22,23は、バックル30の掛回部63を介して反転した状態において、中央部21と隣接し、かつ、着用者の顔面側に位置する基端部分22B,23Bと、それと対向して位置する先端部分22A,23Aとを有する。なお、後記において、ヘッドストラップ20の第1及び第2延出部22,23のうちの第1延出部22とバックル30についてのみ説明するが、第2延出部23についても同様の構成を有する。ただし、必要に応じて、バックル30は、ヘッドストラップ20の第1及び第2延出部22,23のうちの一方側にのみ取り付けられていてもよい。
【0019】
図2(a),(b)を参照すると、バックル30は、外面と、着用者の顔面に対向する内面と、取付部18に旋回可能に取り付けられた前端部31と、ヘッドストラップ20が挿通される内外側挿通部(挿通部)35,36を有する後端部32と、前後端部31,32間に位置する中間部33とを有する。バックルの後端部32は、上下方向Yにおいて対向して位置する一対の操作部32を有する。また、後端部32は、ヘッドストラップ20の基端部分22Bが挿通される内側挿通部35と、先端部分22Aが挿通される外側挿通部36とを有する。
【0020】
ヘッドストラップ20を反転させるための掛回部63は、バックル30の中間部33の内部に位置している。ここで、図7(a)に示すとおり、前後端部31,32と中間部33との区分は、バックル30の前後方向Zの寸法を3等分したものであって、掛回部63はバックル30のうちで前端部31側に位置していることが好ましい。
【0021】
図3を参照すると、バックル30は、取付部18の挿通孔18aに挿通される旋回軸19が固定されたバックル本体40と、バックル本体40に開閉可能に取り付けられたカバー50と、ヘッドストラップ20が掛け回される掛回部とヘッドストラップ20の係合凹部25に係合される係合歯61とを有するストッパー60と、ストッパー60を操作してヘッドストラップ14の長さ調整を可能とするための操作部材70とを含む。
【0022】
図3,5を参照すると、バックル本体40は、上下方向Yにおいて互いに対向して前後方向Zへ延びる両側壁40aと、両側壁40a間に位置する底壁40bとを有する。両側壁40aは、それぞれ、旋回軸19が挿通される第1透孔41を有するアームと、カバー50の旋回軸52が係止される第2透孔42と、掛回部63が挿通される第3透孔43と、操作部72が挿通される第4透孔44とを有する。また、バックル本体40の後端部は、第1延出部22の先端部分22Aが挿通される外側挿通部36と、操作部材70の一部が篏挿される支持フレーム46と、カバー50に係止される被係止部47とを有する。
【0023】
カバー50は、バックル本体40の第2透孔42に旋回可能に係止される旋回軸52を有する一対の前方アーム51と、その後方に位置する、第1延出部22の先端部分22Aが挿通される内側挿通部35とその開口縁から前方へ突出する係止突起53とを有する。カバー50の係止突起53をバックル本体40の第2透孔42に係止した状態において、カバー50の後端部をバックル本体40に押し当てて係止突起53をバックル本体40の被係止部47に係止させることで、カバー50をバックル本体40に取り付けることができる。
【0024】
ストッパー60は、上下方向Yに間隔を空けて並んだ係合歯61を有する主体部62と、主体部62の前方に位置するヘッドストラップ20の第1延出部22を反転させるための掛回部63とを有する。主体部62の両端は、後記の操作部材70の操作部72の内面からなる傾斜面73に摺接可能なスライダ64を有する。
【0025】
掛回部63は、案内軸65と、中央に貫通孔66aを有する一対の回転カバー66とを含む。回転カバー66は、例えば、シリコーンや軟質ゴム等の軟質材料から形成されていて、案内軸65の両端に着脱可能に篏挿される。回転カバー66の貫通孔66aは案内軸65の両端よりもひと回り大きく、ヘッドストラップ20の第1延出部22が摺接する際に回転することで、ヘッドストラップ20の滑らかな引張操作を実現している。
【0026】
回転カバー66は、案内軸65の中心に向かって次第に先細、すなわち、外側から内側へ向かってテーパー状を有する。これによって、ヘッドストラップ20が引っ張られて回転カバー66が回転する際に回転カバー66が上下にぶれることなく、内側の部分を支点として安定して回転させることができる。
【0027】
図3及び図6(a)を参照すると、操作部材70は、上下方向Yに蛇行しながら延びるばね部71と、ばね部71の両端に設けられた外面に複数の滑り止め凸部72aが形成された着用者の指先が宛がわれる操作部72とを有する。操作部72の内面には、傾斜状の傾斜(摺接)面73が位置している。また、ばね部71の中央には支持片74が位置している。着用者が指先で操作部72を押圧すると、ばね部71の両端部の間隔がその拡開作用に抗して小さくなり、かつ、その押圧を解放すると、ばね部71が復元する。
【0028】
図5図6(b)及び図7(a)を参照すると、バックル30にヘッドストラップ20が取り付けられた状態において、ストッパー60の係合歯61がヘッドストラップ20の先端部分22Aの係合凹部25に係合されている。
【0029】
図6(c)及び図7(b)を参照すると、かかる状態において、操作部72を押圧すると、ストッパー60のスライダ64が傾斜面73を滑るようにして内方へ移動する。すなわち、ストッパー60が先端部分22Aと離間する方向へ移動することから、係合歯61と係合凹部25との係合が解除される。かかる状態で、着用者が先端部分22Aを引っ張り、エイト環16を移動させることで、ヘッドストラップ20の長さを自由に調整することができる。
【0030】
従来の水中マスクでは、ヘッドストラップの掛回部が、バックルの後端縁部に位置して外部に露出していることから、掛回部とヘッドストラップとの隙間に着用者の毛髪が入り込んで絡みついてしまうことがあった。本発明においては、ヘッドストラップ20の掛回部63が、バックル30の中間部32に位置し、ヘッドストラップ20の移動を規制する手段、すなわち、係合歯61と係合凹部25とからなるラチェット機構よりも前方に位置していることで、着用者の毛髪が掛回部63にまで届き難く、掛回部63に絡みつくのを効果的に抑制しうる。
【0031】
また、ヘッドストラップ20は内外面20a,20bから突出する複数の係合歯を有しておらず、外面20bは平坦部26によるフラットな形状を有している。したがって、図2(b)を参照すると、バックル30の後面視において、バックル30の内外側挿通部35,36の開口縁とヘッドストラップ20との間には殆ど隙間が形成されておらず、掛回部63が外部から視認されることはない。すなわち、掛回部63がバックル30の内部に位置し、完全に被覆されて外部に露出していないことから、毛髪がバックル30内部に侵入して、掛回部63に絡み付くのをさらに抑制することができる。
【0032】
また、従来の水中マスクでは、掛回部では反転したヘッドストラップが湾曲状に弛んでダブつくことから、掛回部がバックルの後端に位置する場合にはヘッドストラップのダブついた部分が視認されて見た目が悪くなっていた。本発明に係る水中マスク10では、掛回部63がバックル30の中間部32の内部に位置していることから、掛回部63におけるダブつきが外部に視認されることはない。また、先端部分22Aと基端部分22Bとはそれぞれ内外側挿通部35,36に挿通されていることから、弛んでダブつくことはなく直線的に後方へ延びて、すっきりとした印象を与えることができる。
【0033】
ヘッドストラップ20の係合凹部25が着用者の顔面と対向する内面20aに形成されている場合には、毛髪が係合凹部25に絡まってバックル30内部に侵入するおそれがあるところ、本発明では係合凹部25が外面20bに形成されていることで、先端部分22Aと基端部分22Bとの互いに対向する面に位置している。
【0034】
したがって、毛髪が係合凹部25に絡まるのを効果的に抑制することができる。また、既述のとおり、ラチェット機構では、複数の係合凹部25と複数の係合歯61とから構成されていることから、単一の係合凹部25と単一の係合歯61とから構成される場合に比べて、前後方向Z及び上下方向Yにおいて安定して係合されるといえる。
【0035】
また、ヘッドストラップ20では、外面20bから突出する係合歯ではなく凹となる係合凹部25が位置し、係合凹部25間に位置する平坦部26が掛回部63に摺接されることから、ヘッドストラップ20の長さ調整をする際に、ガタつくことなくスムーズに引っ張ることができる。このように、平坦部26によってスムーズな摺接を実現するためには、ヘッドストラップ20の幅方向又は長さ方向のみならず、図示例のように、幅方向及び長さ方向において係合凹部25が非連続的に間隔を空けて配置されていることが好ましい。
【0036】
再び図4(a)を参照すると、係合凹部25は、有底であって、その溝の中央部21側の端縁25aよりも先端側の端縁25bの方が深くなるように形成されていて、底面25cが端縁25aから端縁25bへ、かつ、外面20b側から内面20a側へ向かって上り勾配となるように傾斜した形状をなしている。図7(a)に示すように、係合凹部25の底面25cがかかる形状を有することによって、係合歯61が係合凹部25の端縁25aから進入しやすくなる一方、進入した後に係合歯61の先端が係合凹部25の端縁25aに当接して係合が解除され難くなるといえる。
【0037】
図8(a)を参照すると、ヘッドストラップ20の二股状の中央部21は、上側部分21Aと下側部分21Bとを有する。上側部分21Aの長さ寸法は下側部分21Bの長さ寸法よりも小さくなっている。具体的には、上側部分21Aよりも下側部分21Bが外方へ大きくカーブした形状であって、下側部分21Bの長さ寸法が上側部分21Aのそれよりも大きくなっている。そのために、着用者の後頭部の下側が上側に比べて出っ張ったような形状であっても、下側部分21Bが比較的に長いことから頭部の形状に沿ってヘッドストラップ20をフィットさせることができる。
【0038】
また、上側部分21Aの厚さ寸法が下側部分21Bの厚さ寸法よりも小さくなっていて、上側部分21Aは下側部分21Bに比べて着用者の頭部に沿って伸び易くなっている。
【0039】
図8(b)を参照すると、例えば、着用者の後頭部の上側が下側に比べて出っ張ったような形状の場合、着用状態において、上側部分21Aが伸びて下側部分21Bと同じような長さ寸法となり、頭部の形状に沿ってヘッドストラップ20をフィットさせることができる。このように、中央部21の上下側部分21A,21Bの構成が異なり、頭部の形状に合わせて変形することで、様々な形状の後頭部に対してもヘッドストラップ20をフィットさせることができるといえる。
【0040】
図9(a)を参照すると、ヘッドストラップ20の第1延出部22の内面20aには第3隆起部29が位置する。エイト環16を先端部分22Aの第1隆起部27と第2隆起部28との間に配置し、バックル30の操作部72を押圧してラチェット機構の係合を解除した状態において、着用者がヘッドストラップ20の先端部分22Aを把持して後方へ引っ張るとエイト環16は第3隆起部29に到達する。エイト環16は、第1及び第2隆起部27,28間に位置することでヘッドストラップ20の長さ方向の移動が規制されて位置決めされているといえる。
【0041】
第3隆起部29に差し掛かったときに、エイト環16のうちの先端部分22Aと基端部分22Bとの間に介在して位置する壁部16aが第3隆起部29に当たって後方への移動が規制される。それによって、着用者が先端部分22Aから手を離した瞬間に、ヘッドストラップ20は引張力から解放されてその復元力によって、エイト環6は前方へ移動する。このように、水中マスク10は、エイト環16を第3隆起部29まで引っ張ることによって、自動でエイト環16を前方へ返戻する自動返戻システムを有するといえる。
【0042】
本明細書において、水中マスク10を構成する各構成材料には、特に記述がなされている場合を除き、この種の分野において通常用いられている、各種の公知の材料を制限なく用いることができる。また、本明細書において使用されている「第1」、「第2」及び「第3」等の用語は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いてある。
【符号の説明】
【0043】
10 水中マスク
12 レンズフレーム
13 マスク本体
20 ヘッドストラップ
21 ヘッドストラップの中央部
21A 上側部分
21B 下側部分
30 バックル
31 前端部
32 中間部
33 後端部
60 ストッパー
61 係合歯
62 主体部
63 掛回部
64 スライダ
70 操作部材
72 操作部
73 傾斜面
X 横方向
Z 前後方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9