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特開2022-54350アレイ導波路回折格子、広帯域光源装置及び分光測定装置
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  • 特開-アレイ導波路回折格子、広帯域光源装置及び分光測定装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054350
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】アレイ導波路回折格子、広帯域光源装置及び分光測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/18 20060101AFI20220330BHJP
   G01J 3/32 20060101ALI20220330BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20220330BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
G01J3/18
G01J3/32
G02B6/12 336
G02B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161503
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097548
【弁理士】
【氏名又は名称】保立 浩一
(72)【発明者】
【氏名】太田 彩
【テーマコード(参考)】
2G020
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2G020AA03
2G020CA02
2G020CB23
2G020CB42
2G020CC03
2G020CC49
2G020CD03
2G020CD13
2G020CD34
2G020CD36
2H137AA14
2H137AB05
2H137AB06
2H137AB08
2H137AB09
2H137BA02
2H137BA03
2H137BA04
2H137BA15
2H137BA47
2H137BB02
2H137BB12
2H137BC01
2H137BC51
2H137BC64
2H137CC03
2H147AA02
2H147AB17
2H147BD01
2H147BE05
2H147CA01
2H147CA05
2H147CD02
2H147GA22
(57)【要約】
【課題】 アレイ導波路回折格子を分光測定に用いる場合に、出射光量を調節する機能を付加することで精度よく測定できるようにする。
【解決手段】 入射側導波路12から第一スラブ導波路13を経てアレイ導波路14で伝送された光には位相差が生じる。アレイ導波路14から出射する光は、位相差により第二スラブ導波路15の終端面151において波長に応じて異なる位置に集光し、各位置に入射端が設けられた各出射側導波路16で伝送されて出射する。少なくとも一つの出射側導波路16の入射端は入射側導波路12の出射端とコア幅が異なっており、波長分割作用とともに調光作用が発揮される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射側導波路と、
入射側導波路の出射端に接続された第一スラブ導波路と、
第一スラブ導波路の終端面に接続されたアレイ導波路と、
アレイ導波路の出射端に接続された第二スラブ導波路と、
第二スラブ導波路の終端面に入射端が設けられた複数の出射側導波路と
を備え、
アレイ導波路は、光路長が一定量ずつ異なる複数の導波路が配列された構造を有しており、
各出射側導波路の入射端は、アレイ導波路を光が伝搬する際に生じた位相差により波長に応じて異なる位置に集光する際のその各異なる位置に設けられたアレイ導波路回折格子であって、
前記複数の出射側導波路のうち、少なくとも一つの導波路の入射端のコア幅が、入射側導波路の出射端のコア幅と異なっていることを特徴とするアレイ導波路回折格子。
【請求項2】
前記出射側導波路の入射端のコア幅が、前記入射側導波路の出射端のコア幅よりも広いことを特徴とする請求項1記載のアレイ導波路回折格子。
【請求項3】
前記出射側導波路の入射端のコア幅が、前記入射側導波路の出射端のコア幅よりも狭いことを特徴とする請求項1記載のアレイ導波路回折格子。
【請求項4】
入射側導波路と、
入射側導波路の出射端に接続された第一スラブ導波路と、
第一スラブ導波路の終端面に接続されたアレイ導波路と、
アレイ導波路の出射端に接続された第二スラブ導波路と、
第二スラブ導波路の終端面に入射端が設けられた複数の出射側導波路と
を備え、
アレイ導波路は、光路長が一定量ずつ異なる複数の導波路が配列された構造を有しており、
各出射側導波路の入射端は、アレイ導波路を光が伝搬する際に生じた位相差により波長に応じて異なる位置に集光する際のその各異なる位置に設けられたアレイ導波路回折格子であって、
少なくとも一つの出射側導波路の入射端のコア幅は、他の出射側導波路の入射端のコア幅と異なっていることを特徴とするアレイ導波路回折格子。
【請求項5】
前記第二スラブ導波路の終端面において800nm以上1700nm以下の範囲内の少なくとも200nmの幅の波長域の光が波長に応じて順次異なる位置に集光するようよう前記各導波路及び前記各スラブ導波路が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4記載のアレイ導波路回折格子。
【請求項6】
広帯域光源と、
広帯域光源から出射された光が入射する位置に設けられた請求項1乃至5のいずれかに記載のアレイ導波路回折格子とを備えた広帯域光源装置であって、請求項1乃至5のいずれかに記載のアレイ導波路回折格子により波長分割された広帯域光を出射することを特徴とする広帯域光源装置。
【請求項7】
請求項6に記載の広帯域光源装置と、
この広帯域光源装置から出射された前記広帯域光が照射された対象物からの光を受光する位置に配置された受光器と、
受光器からの出力を処理して対象物の分光特性を得る演算手段と
を備えていることを特徴とする分光測定装置。
【請求項8】
前記広帯域光源装置は、経過時間と光の波長とが1対1で対応している光を前記広帯域光として出射する装置であり、
前記演算手段は、前記受光器からの出力の時間的変化を波長に変換する処理を行う手段であることを特徴とする請求項7に記載の分光測定装置。
【請求項9】
前記広帯域光源装置において、前記アレイ導波路回折格子の各出射側導波路に遅延ファイバが接続されており、各遅延ファイバは、伝送される光の波長に応じた遅延量を実現するファイバであることを特徴とする請求項8記載の分光測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、アレイ導波路回折格子及びアレイ導波路回折格子の応用技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アレイ導波路回折格子は、PLC(planar lightwave circuit,平面光回路)の一種であり分光・合波作用を持つ素子である。光通信の分野において波長分割多重通信を行うために使用されている。
【0003】
図8は、従来の一般的なアレイ導波路回折格子の概略図である。アレイ導波路回折格子は、プレーナ技術を応用して製造される素子であり、基板11上に各種機能導波路12~16を形成することで製造される。各機能導波路は、入射側導波路12と、入射側導波路の出射端に接続された第一スラブ導波路13と、第一スラブ導波路13の終端面に接続されたアレイ導波路14と、アレイ導波路14の出射端に接続された第二スラブ導波路15と、第二スラブ導波路15の終端面に入射端が設けられた複数の出射側導波路16となっている。
【0004】
アレイ導波路14は、隣接する導波路に対して長さが一定量ずつ異なる多数の導波路が配列された構造を有する。第一スラブ導波路13は自由空間であり、入射側導波路12の出射端から入射した光は、第一スラブ導波路で広がり、同位相でアレイ導波路14の各導波路に入射する。アレイ導波路14の終端に達した光は、光路長の差分だけ位相がそれぞれずれた状態で第二スラブ導波路15に出射される。第二スラブ導波路15も自由空間であり、アレイ導波路14の各導波路から出射した光は、互いに干渉し断面円弧状の終端面に達する。この際、位相差のために終端面には光は波長に応じた位置でそれぞれ集光する。即ち、終端面の各位置では、順次異なる波長の光が集光する。このため、終端面に接続された各出射側導波路16には、順次異なる波長の光が入射するようになり、光が波長に応じて空間的に分割される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“可視光アレイ導波路格子を用いた小型分光センサの設計と環境センシングへの応用”,レーザー研究,第35巻第4号,265~272頁
【非特許文献2】Vol. 25, No. 15 | 24 Jul 2017 | OPTICS EXPRESS 17918
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アレイ導波路回折格子を分光スペクトル測定(分光測定)に用いる場合、各出射端導波路から出射する異なる波長のスペクトルが、測定に用いる波長領域(測定波長領域)を形成する。このとき、測定波長領域(例えば900nmから1300nmに亘る400nmの波長領域)においては、その領域全体に亘って光量は均一であることが望ましい。その理由は以下のとおりである。
【0007】
まず、ある波長のみ光量が少ないと、その波長でのSN比が低下し測定精度が低下する。また、ある波長のみ光量が多いと、受光器の受光感度を、その光量に合わせて(その光量が測定レンジを超えないように)を下げることになり、そうなると、他の波長での測定精度が低下する。そのために、それぞれの出射側導波路から出射する各波長の光量をそろえたい。しかし、実際には、各出射側導波路から出射する各波長の光強度は均一ではなく、広い測定波長領域を設定すると、全体のスペクトル強度に対し相対的に暗い波長域が必ず存在する。また、受光器の分高感度にも波長依存があるため、光源と検出器の組み合わせにより測定SNが低くなる波長域が存在する。このような場合、暗い波長域、SNが低くなる波長域に該当するチャネルの透過光量を増やしたい。
【0008】
また、広帯域光源には非常に鋭いピークを持つものがある。例えば、アレイ導波路回折格子での分光測定に適したスーパーコンティニュウム光源のスペクトルには、シード光に由来する鋭いピークが存在する。分光スペクトル測定において、分光測定装置の測定レンジは最大値に合わせて設定されるため、特異的に高いピークがあると、低いレベルの縦軸分解能が低くなってしまう。このような場合は、所望の波長に該当するチャネルの透過光量を減らしたい。しかし、従来のアレイ導波路回折格子においては、各出射端導波路から出射する各波長の光量をそろえることは、考えられていない。
本願の発明は、このような課題を解決するために為されたものであり、アレイ導波路回折格子を分光測定に用いる場合に、出射光量を調節する機能を付加することで精度よく測定できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この明細書において、アレイ導波路回折格子、広帯域光源装置、分光測定装置の各発明が開示される。
開示された発明に係るアレイ導波路回折格子は、入射側導波路と、入射側導波路の出射端に接続された第一スラブ導波路と、第一スラブ導波路の終端面に接続されたアレイ導波路と、アレイ導波路の出射端に接続された第二スラブ導波路と、第二スラブ導波路の終端面に入射端が設けられた複数の出射側導波路とを備えている。アレイ導波路は、光路長が一定量ずつ異なる複数の導波路が配列された構造を有している。各出射側導波路の入射端は、アレイ導波路を光が伝搬する際に生じた位相差により波長に応じて異なる位置に集光する際のその各異なる位置に設けられている。そして、複数の出射側導波路のうち、少なくとも一つの導波路の入射端のコア幅が、入射側導波路の出射端のコア幅と異なっている。
このアレイ導波路回折格子は、出射側導波路の入射端のコア幅が、入射側導波路の出射端のコア幅よりも広いという構成を持ち得る。
このアレイ導波路回折格子は、出射側導波路の入射端のコア幅が、入射側導波路の出射端のコア幅よりも狭いという構成を持ち得る。
また、開示された別の発明に係るアレイ導波路回折格子は、入射側導波路と、入射側導波路の出射端に接続された第一スラブ導波路と、第一スラブ導波路の終端面に接続されたアレイ導波路と、アレイ導波路の出射端に接続された第二スラブ導波路と、第二スラブ導波路の終端面に入射端が設けられた複数の出射側導波路とを備え、アレイ導波路は、光路長が一定量ずつ異なる複数の導波路が配列された構造を有しており、各出射側導波路の入射端は、アレイ導波路を光が伝搬する際に生じた位相差により波長に応じて異なる位置に集光する際のその各異なる位置に設けられたアレイ導波路回折格子である。そして、このアレイ導波路回折格子は、少なくとも一つの出射側導波路の入射端のコア幅が、他の出射側導波路の入射端のコア幅と異なっている。
また、上記各アレイ導波路回折格子は、第二スラブ導波路の終端面において800nm以上1700nm以下の範囲内の少なくとも200nmの幅の波長域の光が波長に応じて順次異なる位置に集光するよう各導波路及び各スラブ導波路が形成されているという構成を持ち得る。
【0010】
また、開示された発明に係る広帯域光源装置は、広帯域光源と、広帯域光源から出射された光が入射する位置に設けられた上記いずれかのアレイ導波路回折格子とを備えており、上記いずれかのアレイ導波路回折格子により波長分割された広帯域光を出射する。
また、開示された発明に係る分光測定装置は、上記広帯域光源装置と、この広帯域光源装置から出射された広帯域光が照射された対象物からの光を受光する位置に配置された受光器と、受光器からの出力を処理して対象物の分光特性を得る演算手段とを備えている。
この分光測定装置は、広帯域光源装置が、経過時間と光の波長とが1対1で対応している光を広帯域光として出射する装置であり、演算手段が、受光器からの出力の時間的変化を波長に変換する処理を行う手段であるという構成を持ち得る。
この分光測定装置は、広帯域光源装置において、アレイ導波路回折格子の各出射側導波路に遅延ファイバが接続されており、各遅延ファイバは、伝送される光の波長に応じた遅延量を実現するファイバであるという構成を持ち得る。
【発明の効果】
【0011】
以下に説明する通り、開示された発明に係るアレイ導波路回折格子では、第一スラブ導波路が接続された入射側導波路の出射端のコア幅と、少なくとも一つの出射側導波路の入射端のコア幅とが異なっているので、この少なくとも一つの出射側導波路の入射端において調光作用が発揮される。
また、出射側導波路の入射端のコア幅を、入射側導波路の出射端のコア幅より広くすると、当該出射側導波路を通して出射する光の量が多くなるので、スペクトルにおいて弱い波長の光強度を補償することができる。
また、出射側導波路の入射端のコア幅を、入射側導波路の出射端のコア幅より狭くすると、当該出射側導波路を通して出射する光の量が少なくすることができるので、スペクトルにおいて強い波長の光強度を低減させることができる。
また、開示された発明に係るアレイ導波路回折格子では、少なくとも一つの出射側導波路の入射端のコア幅は、他の出射側導波路の入射端のコア幅と異なっているので、アレイ導波路回折格子に入射する光の波長間での強度の調整を行うことができる。
また、このようなアレイ導波路回折格子において、第二スラブ導波路の終端面において800nm以上1700nm以下の範囲内の少なくとも200nmの幅の波長域の光が波長に応じて順次異なる位置に集光するよう各導波路及び各スラブ導波路が形成されていると、材料分析のための近赤外分光測定用として特に好適なアレイ導波路回折格子となる。
【0012】
また、開示された発明に係る広帯域光源装置によれば、開示された発明に係るアレイ導波路回折格子を備えるので、発光スペクトルにおいて弱い波長の光強度を増加させることも、強い波長の光強度を低減させることができる。このため、波長に応じて空間的に分割された光であってスペクトル強度の均一な光を出射する広帯域光源装置が提供される。
また、開示された発明に係る分光測定装置によれば、開示された発明に係るアレイ導波路回折格子を備えた広帯域光源装置から出射された光を対象物に照射して分光測定するので、任意の波長の強度が調整された光により分光測定が行える。この際に、フィルタのような素子を別途設けることは不要であり、低コストでシンプルな構成となる。
また、広帯域光源装置が経過時間と光の波長とが1対1で対応している光を出射する装置であり、演算手段が受光器からの出力の時間的変化を波長に変換する処理を行う手段である構成では、高速の分光測定が行えるという効果がさらに得られる。
この際、アレイ導波路回折格子の各出射側導波路に遅延ファイバが接続されており、各遅延ファイバは、各出射側導波路を通して伝送される光の波長に応じた遅延量を実現するファイバであると、波長分解能を測定波長域に亘って均一にすることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態のアレイ導波路回折格子の概略図である。
図2】出射側導波路の入射端を入射側導波路の出射端に対して異なるコア幅とした場合の当該出射側導波路の透過率について示した図である。
図3】実験に用いたアレイ導波路回折格子における出射側導波路の入射端付近の概略図である。
図4】アレイ導波路回折格子における新規の知見をより詳しく調べた実験について示した概略図である。
図5】実施形態の広帯域光源装置の概略図である。
図6】実施形態の分光測定装置の概略図である。
図7】分光測定装置が備える測定プログラムの一例について主要部を概略的に示した図である。
図8】従来の一般的なアレイ導波路回折格子の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、この出願の発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
図1は、実施形態のアレイ導波路回折格子の概略図である。図1に示すアレイ導波路回折格子は、図8に示すものと同様、基板11上に形成された各機能導波路12~16で構成されており、各機能導波路は、入射側導波路12と、入射側導波路の出射端に接続された第一スラブ導波路13と、第一スラブ導波路13の終端面131に接続されたアレイ導波路14と、アレイ導波路14の出射端に接続された第二スラブ導波路15と、第二スラブ導波路15の終端面151に入射端が設けられた複数の出射側導波路16となっている。
【0015】
実施形態のアレイ導波路回折格子の大きな特徴点は、第一スラブ導波路13に接続された入射側導波路12の出射端のコア幅と、少なくとも一つの出射側導波路16の入射端のコア幅とが異なっている点である。つまり、図1に拡大して示すように、入射側導波路12の出射端のコア幅をD1とし、ある一つの出射側導波路16の入射端のコア幅をD2とすると、D1≠D2となっている。なお、コア幅の直交方向であるコア厚(高さ)については、接続するファイバへのマッチングのために変える例もあるが、製造上の理由により基本的には一定である。
【0016】
図8に示す従来のアレイ導波路回折格子では、ピーク強度を重視する観点から、出射側導波路16の入射端のコア幅は、全て入射側導波路12の出射端のコア幅と同一となっている。まず、この点について図8を使用して説明する。
図8には、入射側導波路12から第一スラブ導波路13に入射する際の光Lが示されている。入射側導波路12は、光ファイバと同様、屈折率差を利用して光を伝送する伝送路である。即ち、基板11の材料に対して高い屈折率を有する材料で形成されている(この部分がコアと呼ばれる)。また、導波路外周部は基板11と同じ屈折率の材料で埋められている(この部分はクラッドと呼ばれる)。コアを伝搬可能な最大入射角度をθmaxとすると、開口数NAはn×sinθmaxと定義される。ここでnは入射媒質の屈折率で空気ならば1である。また、導波路においてコア幅DとNAの積は保存される。上述したようにコアの断面形状は方形であり、コア厚み方向もこの保存が成り立つが、ここでは、コア厚み(高さ)は同一である素子を想定しコア幅の違いに注目して説明する。
【0017】
前述したように、入射側導波路12から出射した光は、第一スラブ導波路13を広がって同位相でアレイ導波路14に入射し、アレイ導波路14を伝搬する過程で位相差が生じ、位相差を持って各導波路の出射端から第二スラブ導波路15に出射され、波長に応じた終端面151上の位置にそれぞれ集光する。そして、終端面151上に入射端が配置された各出射側導波路16は、空間的に分割された各波長の光を取り込んで出射させる。尚、以下の説明において、各出射端導波路16は、順次異なる波長の光を出射するので、「チャンネル」と呼ぶことがある。
【0018】
上記のような光の伝搬の各局面において、入射側導波路12の出射端におけるコア幅D×NAは常に保存される。NAはコアとクラッドの屈折率で決まっており通常面内で均一であるので、最も低損失に分波するには、各導波路の入出射端のコア幅を同一にすればよい。導波路のコア幅は面内でテーパー形状を持ち、端部と内側とで幅が異なる場合があるが、ここでは各出射端におけるコア幅を指す。テーパー形状を持つ場合、入射側導波路12の出射部におけるテーパー形状と、出射側導波路の入射部におけるテーパー形状とは、等しいことがより望ましい。
【0019】
一方、本願の発明者は、このような従来技術の常識的な発想に反し、出射側導波路16の入射端を入射側導波路12の出射端とは異なるコア幅としたアレイ導波路回折格子の構成を想到するに至った。出射側導波路16の入射端を入射側導波路12の出射端とは異なるコア幅としたのは、波長分割作用とともに調光作用(光強度の調節作用)をアレイ導波路回折格子に持たせようという発想に基づく。以下、この点について説明する。
【0020】
発明者の研究によると、ある出射側導波路16の入射端を入射側導波路12の出射端に対して異なるコア幅とすると、透過率をコントロールできることが示された。図2は、この点を示した概略図であり、出射側導波路16の入射端を入射側導波路12の出射端に対して異なるコア幅とした場合の当該出射側導波路16の透過率について示した図である。
【0021】
図2(1)のグラフにおいて、横軸は波長、縦軸は透過率である。図2(2)は、図2(1)の結果を得た際の実験について示した概略図である。図2(2)に示すように、この実験では、スペクトルが既知である光を入射側導波路12に入射させ、あるチャンネルにおける出射光の強度を検出した。この際、そのチャンネルについて、出射側導波路16の入射端のコア幅が入射側導波路12の出射端コア幅と同じである従来構成のもの(従来タイプ)と、入射側導波路12の出射端コア幅に比べて広くしたもの(幅広タイプ)と、さらに、入射側導波路12の出射端コア幅に比べて狭くしたもの(幅狭タイプ)との三つを用意し、実験を行った。
【0022】
図2(1)のグラフにおいて、透過率は、広狭を設定したチャンネルの出射側導波路16から出射した光のスペクトルをスペクトラムアナライザ9で測定し、各波長の光強度を入射側導波路12に入射する前の各波長の光強度と比較することで得ている。図2(1)において、実線(a)は従来タイプの構成における光透過率を示し、破線(b)は幅広タイプの構成における光透過率を示し、破線(c)は幅狭タイプの光透過率を示す。
【0023】
図2(1)に示すように、幅狭タイプ(c)の場合、透過率のピーク及び全体の透過光量(スペクトル面積)とも、従来タイプ(a)と比較して低下している。これは、D×NAの保存からして当然の結果である。一方、興味深いことに、幅広タイプ(b)の場合、透過率のピークは低下するが、透過光量は従来タイプ(a)に比べて多くなっている。即ち、図2(1)に示すように、幅広タイプ(b)の場合、スペクトル面積は従来タイプ(a)に比べて多い。これは、D×NAの保存によりコア幅Dが広くなると出射側導波路16への入射許容角度が小さくなるためスペクトル中心波長での透過率が低下するが、出射側導波路16の入射端コア幅を広くしたことで、より広い波長が出射側導波路16に入るようになりスペクトル面積で見ると大きくなるためである。
【0024】
いずれにしても、出射側導波路16の入射端のコア幅を入射側導波路12の出射端のコア幅に比べて広くしておくと、透過率のピークは下がるものの1チャンネル全体の透過光量は多くなることが確認された。これは、アレイ導波路回折格子における新規の知見である。図3及び図4は、このような知見をより詳しく調べた実験について示した概略図である。
【0025】
このうち、図3には、実験に用いたアレイ導波路回折格子における出射側導波路16の入射端付近の構造が概略的に描かれている。この実験では、出射側導波路16の入射端付近の構成が異なる二つのタイプのアレイ導波路回折格子が用いられた。一つのタイプは、図3(1)に示すように、斜線で示す各出射側導波路16の入射端コア幅Dが一定のもので、入射側導波路12の出射端コア幅に一致しているものである(以下、定幅タイプという)。もう一つのタイプは、図3(2)に示すように、斜線で示す出射側導波路16の入射端コア幅Dが図の左側(長波長側)ほど広くなっているものである(以下、幅変化タイプという)。図3のピッチはここでは重要でないが、スラブ導波路15の終端面151に位置する出射側導波路の入射端コアはある曲率の円弧上に位置しており、この位置によって各チャンネルの中心波長が決まる。試作した設計ではピッチが漸次変化するよう設計し、中心波長間隔が等間隔でない。
【0026】
図4には、図3に示す各タイプのアレイ導波路回折格子において得られた光透過率と、透過光量とが示されている。図4(1)が光透過率、(2)が透過光量を示す。透過光量は、各チャンネルでの透過率スペクトル面積である。
図4(1)(2)では、煩雑さを避けるため、幾つかのチャンネルでの値のみを示している。図4(1)(2)に示すように、幅変化タイプの場合、定幅タイプに比べ、長波長側において、即ち、出射側導波路の入射端のコア幅が広くなるにつれて、透過率ピークが低くなり、それとともに、半値幅が広がって透過光量が顕著に増大している。
【0027】
このように、出射側導波路16の入射端を入射側導波路12の出射端コア幅よりも広くすると、ピーク透過率が低下するものの、1チャンネルあたりの透過率スペクトル面積(透過光量)は増大する。透過光量の増大は、その出射側導波路16から出射される光の量の増大を意味する。実施形態のアレイ導波路回折格子は、これらの知見に基づくものであり、透過光量を小さくしたい波長を含むチャンネルについては、出射側導波路16の入射端を入射側導波路12の出射端よりコア幅を狭くし、透過光量を大きくしたい波長を含むチャンネルについては出射側導波路16の入射端を入射側導波路12の出射端よりもコア幅を広くした構造としている。即ち、各出射端導波路の入射端のコア幅を適宜選定することにより、アレイ導波路回折格子において波長分割の機能に加えて調光作用も持たせた構成としている。
【0028】
尚、上記実施形態において、入射側導波路12の出射端に対して入射端のコア幅を変える出射側導波路16は、一つのみでも良く、二つ又はそれ以上であっても良い。全ての出射側導波路16の入射端を入射側導波路12の出射端に対してコア幅を変えても良い。例えば、全ての出射側導波路16の入射端を入射側導波路12の出射端に対して狭くし、波長分割作用に加えて全体の光を弱める減光作用を発揮させても良い。また、全ての出射側導波路16の入射端を入射側導波路12の出射端に対して広くし、波長分割の際の全体の(全波長での)透過光量を多くするようにしても良い。
【0029】
一方、ある波長範囲の光について選択的に減光したり、又は透過光量を多くしたりする場合、特定の出射側導波路16の入射端が他の出射側導波路16の入射端に対して異なるコア幅であれば足りる。つまり、比較の対象は、入射側導波路12の出射端でなくとも良い。したがって、例えば、全ての出射側導波路16の入射端が入射側導波路12の出射端に比べて小さくなっている構成においてさらに特定の出射側導波路16の入射端が他より狭かったり、又は広かったりしても良い。また、全ての出射側導波路16の入射端が入射側導波路12の出射端に比べて広くなっている構成においてさらに特定の出射側導波路16の入射端が他より狭かったり、又は広かったりしても良い。
【0030】
次にこのような実施形態のアレイ導波路回折格子の好適な応用例について説明する。まず、広帯域光源と組み合わせて構成した広帯域光源装置について説明する。
図5は、実施形態の広帯域光源装置の概略図である。図5に示す広帯域光源装置は、広帯域光源2と、アレイ導波路回折格子1とを備えている。
【0031】
広帯域光源2は、アレイ導波路回折格子1を波長分割素子として使用するので、分割する意義のある程度に広い帯域の光を出射する光源という意味である。各種LED光源や各種ランプを広帯域光源2として使用できる。レーザー源を使用する場合であっても、ある程度広い帯域の光を出射するものであったり、後述するようなスーパーコンティニウム光を出射するものであったりした場合、広帯域光源2として使用できる。
特にスーパーコンティニウム光源は、波長400nm~2400nmと非常に広帯域であり、ファイバ出射であることから光導波路へ高効率で入射できる点で好適である。
このような広帯域光源2は、特有の発光スペクトルを有しており、多くの場合、スペクトル強度は完全に均一ではない。均一ではない発光スペクトルの一例が、図5(A)に示されている。
【0032】
このような広帯域光源2とともに用いられるアレイ導波路回折格子1は、波長分割機能とともに広帯域光源2の発光スペクトルを補正する調光作用を持つものとなっている。具体的には、広帯域光源2の発光スペクトルにおいて平均強度(波長平均した強度)より高い強度の波長に対応したチャンネルについては透過率を低くしている。平均より高い強度の波長の典型的な例は、図5(A)に示すように強度がスパイク状の高くなっている部分でのピーク波長である。また、平均よりも強度が低い波長に対応したチャンネルについては、透過光量を高くしている。
【0033】
「波長に対応したチャンネル」とは、上述したように、当該波長の光が集光する位置に入射端が設けられた出射側導波路16ということである。「透過率を低くしている」とは、前述したように、出射側導波路16の入射端コア幅を入射側導波路12の出射端コア幅よりも狭くしているということである。「透過光量を多くしている」とは、前述したように、出射側導波路16の入射端コア幅を入射側導波路12の出射端コア幅よりも広くしているということである。図5(B)において、各チャンネルの透過率が示されている。
【0034】
図5(C)には、さらに、このようなアレイ導波路回折格子1の各出射側導波路16から出射された各波長の光の強度が示されている。即ち、図5(A)に示すようなスペクトルの光は、図5(B)に示すチャンネル透過率を有するアレイ導波路回折格子1に通される結果、図5(C)に示すように、波長分割とともに強度調節がされた状態で出射される。図5(C)に示すように、出射光のスペクトルは、波長分割のために飛び飛びであるが、ピーク強度の均一性が高められた状態となっている。
尚、図5(B)には、小さな多数のパルス波形が裾において少し重なった状態で示されているが、各パルス波形が各チャンネルでの透過率を示している。
【0035】
つまり、実施形態の広帯域光源装置は、広帯域光源2における発光スペクトル強度の不均一性を補正しつつ当該広帯域光を波長に応じて空間的に分割する装置となっている。このような広帯域光源装置は、種々の用途に使用できる。各波長の光が空間的に分割されているために、例えば選択された一つの波長の光のみを対象物に照射したり、選択された複数の波長の光のみを対象物に照射したりすることも可能である。この際、波長を切り替えた場合でも、対象物における照度の変化は小さく抑えられる。
【0036】
尚、図5に示す例では、広帯域光源2からの光をファイバ200で導いてアレイ導波路回折格子1の入射側導波路12に入射させる構成となっているが、種々の構成を採用し得る。例えば、広帯域光源2からの光をミラーで導いてレンズで集光してアレイ導波路回折格子1に入射させても良いし、ファイバ200をUV接着樹脂でアレイ導波路回折格子1に接合して入射させても良い。
【0037】
次に、上記のようなアレイ導波路回折格子の応用例として、アレイ導波路回折格子で波長分割された光を照射して分光測定を行う分光測定装置の例を採り上げる。
図6は、実施形態の分光測定装置の概略図である。実施形態の分光測定装置は、経過時間と光の波長とが1対1で対応している光を対象物Sに照射して分光測定する装置となっている。より具体的には、この分光測定装置は、広帯域光源装置20と、広帯域光源装置20からの光が照射された対象物Sからの光を受光する位置に配置された受光器3と、受光器3からの出力をスペクトルに変換する処理を行う演算手段4とを備えている。また、光の照射位置に対象物Sを保持する受け具5が設けられている。
【0038】
広帯域光源装置20は、上記実施形態のものをより具現化したものとなっている。具体的には、広帯域光源装置20は、いわゆるスーパーコンティニウム光(以下、SC光という。)を出射する光源となっている。SC光は、パルスレーザからの光をファイバのような高非線形素子通し、非線形光学効果により波長を広帯域化させることで得られる光である。
【0039】
具体的には、広帯域光源装置20は、短パルスレーザ源21と、高非線形素子22とを備えている。短パルスレーザ源21としては、ファイバーレーザ、マイクロチップレーザ等を短パルスレーザ源21として用いることができる。
高非線形素子22としては、光ファイバが使用される場合が多い。例えば、フォトニッククリスタルファイバやその他のファイバも高非線形素子22として使用できる。ファイバのモードとしてはシングルモードの場合が多いが、マルチモードであっても十分な非線形性を示すものであれば、高非線形素子22として使用できる。
【0040】
図6の下側に、各光の時間対強度、波長対強度との関係をそれぞれ示す。ここに示されているように、短パルスレーザ源21からの出射される短パルス光L1は、線幅50nm以下程度のほぼ単一波長(発振波長λo)の狭い波長幅である。この短パルス光L1が高非線形素子22に通されると、非線形光学効果により波長幅が広がった広帯域パルス光L2が出射される。但し、同じ時間において多くの波長が重なっている。即ち、この段階では、時間対波長の一意性は達成されていない。
【0041】
実施形態の分光測定装置は、アレイ導波路回折格子を利用して光を波長に応じて分割し、波長毎に伝送素子で伝送しながら最適な遅延量を確保する構成を採用している。即ち、広帯域光源装置20は、高非線形素子22の出射側にアレイ導波路回折格子1を備えている。そして、図6に示すように、アレイ導波路回折格子1の各出射側導波路16に、長さの異なるファイバである遅延ファイバ61が接続されている。
【0042】
各遅延ファイバ61は、最終的には一つに束ねられてバンドルファイバとなっている。バンドルファイバの出射端には出射端ユニット62が設けられており、各遅延ファイバ61から出射する光が対象物Sに集合的に照射される状態とされる。対象物Sに照射される光は、元の一つのパルス光であった広帯域パルス光L2を分割後に再び集めたものである。以下、この光を合成パルス光といい、図6にL3で示す。
【0043】
上記各遅延ファイバ61には、アレイ導波路回折格子1で波長分割された光、即ち、順次異なる波長の光が入射するが、各遅延ファイバ61は、入射する光の波長に応じて適宜の長さ及び材質となっている。適宜の長さ及び材質とは、合成パルス光L3において経過時間と波長との1対1対応性が達成される遅延量となるように長さ及び材質が選定されるということである。シンプルな構成としては、各遅延ファイバ61はみな同じファイバ(同じコア材料で同じクラッド材料のファイバ)とされ、長さのみが異なる構成があり得る。例えば、各遅延ファイバ61が一般的なシリカファイバで1mずつ長さが異なる場合、各チャンネル毎の時間差は5nsとなる。つまり30チャンネルであれば、5ns間隔で30個のパルス列となってバンドルファイバから出射される。遅延ファイバ長さは、時間間隔×チャンネル数<光源の繰り返し周期となるように設定する。このようにすることで、あるトリガ信号からの経過時間と波長が対応するようになる。
各遅延ファイバ61で生じた群遅延により、図6に示すように、合成パルス光L3において、経過時間と波長との一意性(1対1での対応性)が達成される。
アレイ導波路回折格子で分割された光を遅延ファイバで遅延させた後、バンドルファイバでなく、もう一つの別のアレイ導波路回折格子に逆入射することで合波して出射しても良い。バンドルファイバを用いると、バンドルファイバからの出射端面は各チャンネル数に応じた数のコアを有し、各コアから異なる波長が出射される。一方、アレイ導波路回折格子に逆入射して出射すると、単一コアから合成パルス光が得られることになる。
【0044】
この場合、各遅延ファイバ61が全て同じ長さであっても、ファイバの波長分散を用いて時間対波長の一意性が達成され得る。例えば、各遅延ファイバ61が同じ材料の同じ長さのファイバであっても、波長域全域において分散パラメータが正または負であり、所望の波長分解能が得られるだけの十分な長さを有している場合、その波長域において経過時間と波長との一意性は実現できる。この手法では、ファイバの波長分散は波長に対し一定でないため、時間差が波長に依って異なることになる。また、通常kmオーダーのファイバ長さが必要となり損失が大きくなる可能性がある。
したがって、前述の各遅延ファイバ61の長さ調節による時間差を用いる手法は、経過時間の違いによる波長の違い(Δλ/Δt)を全波長域において均一にするという意義がある。また、ファイバ長さは5ns間隔(=1m)×30チャンネルであれば、最長で30mで達成できるため遅延ファイバでの損失はごく僅かである。
【0045】
尚、出射端ユニット62は、コリメータレンズ等の素子を含んでおり、各遅延ファイバ61で伝送されたパルス光が対象物Sにおいて重なって照射されるようにするユニットである。「重なって照射される」とは、対象物Sが静止している場合、空間的に重なった状態を形成しつつ照射されるという意味である。対象物Sが移動している状態で合成パルス光L3が対象物Sに照射される場合、一つの遅延ファイバ61から出射されるパルス光と別の遅延ファイバ61から出射されるパルス光が対象物S上の異なる場所に照射されることもある。
【0046】
この実施形態の分光測定装置は、対象物Sの透過スペクトルを測定する装置であるため、受光器3は、対象物Sからの透過光を受光する位置に設けられている。受け具5は透光性であるか、スリットや穴が設けられており、対象物S及び受け具5を透過した光を受光する位置に受光器3が設けられている。
受け具5は、移動機構を備えていてもよい。例えばベルトコンベアや回転円盤の外周部などに光が透過する部分を有し、その透過部にサンプルを設置できるようになっているような構成が考えられる。
演算手段4としては、この実施形態では汎用PCが使用されている。さらに、受光器3と演算手段4の間には、ADコンバータ31が設けられており、受光器3の出力はADコンバータ31を介して演算手段4に入力される。
演算手段4は、プロセッサ41や記憶部(ハードディスク、メモリ等)42を備えている。記憶部42には、受光器3からの出力データを処理してスペクトルを算出する測定プログラム43やその他の必要なプログラムがインストールされている。図7は、分光測定装置が備える測定プログラムの一例について主要部を概略的に示した図である。
【0047】
透過スペクトルの算出に際しては、基準スペクトル強度が使用される。基準スペクトル強度は、透過スペクトルを算出するための基準となる波長毎の値であり、対象物Sを受け具5に配置しない状態で測定を行うことで予め取得される。基準スペクトル強度は、時間分解能Δtごとの値であり、Δtごとの各時刻(t,t,t3,・・・)の基準強度として記憶される(V,V,V3,・・・)。
【0048】
各時刻t,t,t3,・・・での基準強度V,V,V3,・・・は、対応する各波長λ,λ,λ3,・・・の強度(スペクトル)である。経過時間即ち合成パルス内の時刻t,t,t3,・・・と波長との関係が予め調べられており、各時刻の値V,V,V3,・・・が各λ,λ,λ3,・・・の値であると取り扱われる。
そして、対象物Sを経た光を受光した受光器3からの出力は、ADコンバータ31を経て同様に各時刻t,t,t3,・・・の値(測定値)としてメモリに記憶される(v,v,v3,・・・)。各測定値は、基準スペクトル強度と比較され(v/V,v/V,v3/V3,・・・)、その結果が透過スペクトルとなる(必要に応じて逆数の対数を取って吸収スペクトルとする)。上記のような演算処理をするよう、測定プログラム43はプログラミングされている。
尚、合成パルスL3における経過時間を特定するため、基準時刻が別途付与される構成もあり得る。例えば、短パルスレーザ源21におけるパルス発振を検出してトリガ信号を発生させ、トリガ信号の時刻を基準時刻として演算手段4に入力する構成があり得る。
【0049】
このような実施形態の分光測定装置を使用して分光測定する場合、受け具5上に対象物Sを載置し、広帯域光源装置20を動作させる。短パルスレーザ源21からの短パルス光L1は高非線形素子22により広帯域化して広帯域パルス光(SC光)L2となってアレイ導波路回折格子1に入射する。そして、アレイ導波路回折格子1において各波長の光に分割され、各出射側導波路16から各遅延ファイバ61に伝送される。各遅延ファイバ61では、長さや材料に応じた遅延が生じ、合成パルス光L3となって対象物Sに照射される。
合成パルス光L3が照射された対象物Sの透過光は、受光器3に達して出力を生じさせる。受光器3の出力は、ADコンバータ31を介して演算手段に入力され、測定プログラム43が実行されて対象物Sの透過スペクトルが得られる。
【0050】
このような実施形態の分光測定装置において、アレイ導波路回折格子1における各出射側導波路16の入射端のコア幅は、前述したように調光作用を発揮すべく最適化される。例えば、調光作用は、測定光の縦軸分解能を高くするための調光作用とされ得る。
測定光の縦軸分解能が高い程微小な強度変化を捉えることができる。検出器で受光した強度情報を出力する測定機器がデジタル信号の場合、縦軸分割数は8bit(256分割)や12bit(4096分割)など、測定器ごとに一定の値を持っている。測定光がある波長において特に高いピークを持つ場合、検出器の感度をこのピーク値に合わせて設定することになり一定の分割数である縦軸の範囲が広いと縦軸分解能を下げてしまう。一方でピークでないレベルに合わせて感度設定しようとすると、受光器に強い光が入射してしまい、損傷が生じる場合もあり得る。このため測定光のスペクトルがフラットであると、高精度な測定が可能となる。
【0051】
近赤外分光においてはケモメトリクスのような統計的手法が採用される。近赤外域の吸収は微弱でありスペクトル上に僅かな変化しか現れない。このような場合、測定光には高い縦軸分解能が必要とされる。
【0052】
これらを考慮し、実施形態の分光測定装置は、アレイ導波路回折格子1において調光作用を発揮させている。以下、波長分割作用とともに調光作用を発揮させる出射側導波路の入射端を調光兼用入射端と呼ぶ。図5と同様に、高非線形素子22から出射する広帯域パルス光L2について、高い強度を持つ波長(例えばピーク波長)のチャンネルについては出射側導波路16の入射端コア幅は入射側導波路12の出射端コア幅に比べて小さくなっている。したがって、この出射側導波路16の入射端は調光兼用入射端である。また、広帯域パルス光L2において弱い波長に対応したチャンネルについては、出射側導波路16の入射端を入射側導波路12の出射端に比べて大きくなっている。したがって、この出射側導波路16の入射端も調光兼用入射端である。これら構成により発揮される調光作用により、測定光である合成パルス光L3の測定スペクトルがフラット化しより好ましい分光測定が行えるようになる。
【0053】
この実施形態では広帯域パルス光L2はSC光であり、SC光の生成の際には元の短パルスレーザ光L1の波長λoの光が高いピーク強度を持って残留し易い。したがって、短パルスレーザ光L1の波長λoに対応したチャンネルについて、出射側導波路16の入射端を入射側導波路12の出射端に比べて小さくして減光する構成が特に効果的である。このような減光は、波長選択的に減光を行うフィルタ(ノッチフィルタ等)を使用して減光することもできるが、アレイ導波路回折格子1において減光する構成では、フィルタ等を別途配置する必要がなく、コスト低減や装置構成の複雑化回避の面でも好適である。
SC光源におけるピークは半値幅10nm以下である場合が多く、このような狭帯域ノッチフィルタは作成難易度が高いため、本手法はなお有効である。
【0054】
尚、上記のようにアレイ導波路回折格子1の出射側導波路16の入射端を入射側導波路12の出射端よりも広くすると、図2に示すように横軸を波長にした際の透過率の半値幅が広がるので、波長分解能が低下する。しかしながら、近赤外分光におけるケモメトリクスのような統計的手法により定量分析を行う場合、上記のように出射側導波路16の入射端を広くすることによる波長分解能の低下が測定精度に与える影響は小さいことが判っており、縦軸分解能を上げるメリットの方が遙かに大きい。
【0055】
また、近赤外域光の分光用という用途を想定すると、アレイ導波路回折格子は、例えば800~1700nmの範囲内の少なくとも200nmの幅の波長域において波長分割できる素子であることが好ましい。この場合、アレイ導波路回折格子は、第二スラブ導波路15の終端面において、800~1700nmの範囲内の少なくとも200nmの幅の波長域の光が波長に応じて順次異なる位置に集光するよう各機能導波路12~16が構成される。
【0056】
上記実施形態において、広帯域光源装置20としては、短パルスレーザ源21を備えて高非線形素子22によってSC光を出射するものの他、ASE(Amplified Spontaneous Emission)光源、SLD(Superluminescent diode)光源を備え、いずれかの光源からの光をアレイ導波路回折格子1で波長分割して各遅延ファイバ61で遅延させる構成が採用されることもあり得る。ASE光源は、ファイバ内で発生する光なので、アレイ導波路回折格子1との親和性が高く、低損失で入射側導波路12に入射させることができ、高効率で合成パルス光L3を出射させることができる。また、SLD光源も、狭い活性層での発光を取り出すのでアレイ導波路回折格子1に低損失で入射させることができ、高効率で合成パルス光L3を出射させることができる。
【0057】
尚、分光測定の例として透過スペクトルの測定を採り上げたが、反射スペクトルの測定であっても良く、散乱スペクトルの測定であっても良い。これらの場合、受光器は、対象物からの反射光を受光する位置や、散乱光を受光する位置に配置される。
また、光源の時間的な強度変動の影響を低減する目的で、分光測定における参照光を取ることが考えられる。構成としては、出射端ユニット62からの光をビームスプリッタで分割し、一方を測定用として対象物Sに照射し、他方を参照用として対象物Sを経ることなく参照用受光器で受光する構成があり得る。参照光用受光器の手前に基準サンプルを設置し、基準サンプルの透過光を基準スペクトルとして用いてもよい。基準サンプルは、測定波長範囲においてフラットな透過スペクトルを有する方が好ましく、拡散板などの散乱体がよく用いられる。測定光と同時取得された参照用受光器の出力を基準スペクトル強度とし、基準スペクトルと測定スペクトルの比を取る。
【符号の説明】
【0058】
1 アレイ導波路回折格子
11 基板
12 入射側導波路
13 第一スラブ導波路
131
14 アレイ導波路
15 第二スラブ導波路
16 出射側導波路
2 広帯域光源
20 広帯域光源装置
21 短パルスレーザ源
22 高非線形素子
3 受光器
31 ADコンバータ
4 演算手段
41 プロセッサ
42 記憶部
43 測定プログラム
5 受け具
61 遅延ファイバ
62 出射端ユニット
9 スペクトラムアナライザ
S 対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
図8は、従来の一般的なアレイ導波路回折格子の概略図である。アレイ導波路回折格子は、プレーナ技術を応用して製造される素子であり、基板11上に各種機能導波路12~16を形成することで製造される。各機能導波路は、入射側導波路12と、入射側導波路12の出射端に接続された第一スラブ導波路13と、第一スラブ導波路13の終端面に接続されたアレイ導波路14と、アレイ導波路14の出射端に接続された第二スラブ導波路15と、第二スラブ導波路15の終端面に入射端が設けられた複数の出射側導波路16となっている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
アレイ導波路14は、隣接する導波路に対して長さが一定量ずつ異なる多数の導波路が配列された構造を有する。第一スラブ導波路13は自由空間であり、入射側導波路12の出射端から入射した光は、第一スラブ導波路で広がり、同位相でアレイ導波路14の各導波路に入射する。アレイ導波路14の終端に達した光は、光路長の差分だけ位相がそれぞれずれた状態で第二スラブ導波路15に出射される。第二スラブ導波路15も自由空間であり、アレイ導波路14の各導波路から出射した光は、互いに干渉し断面円弧状の終端面に達する。この際、位相差のために終端面には光は波長に応じた位置でそれぞれ集光する。即ち、終端面の各位置では、順次異なる波長の光が集光する。このため、終端面に接続された各出射側導波路16には、順次異なる波長の光が入射するようになり、光が波長に応じて空間的に分割される。尚、以下の説明において、各出射端導波路16は、順次異なる波長の光を出射するので、「チャンネル」と呼ぶことがある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
まず、ある波長のみ光量が少ないと、その波長でのSN比が低下し測定精度が低下する。また、ある波長のみ光量が多いと、受光器の受光感度を、その光量に合わせて(その光量が測定レンジを超えないように下げることになり、そうなると、他の波長での測定精度が低下する。そのために、それぞれの出射側導波路から出射する各波長の光量をそろえたい。しかし、実際には、各出射側導波路から出射する各波長の光強度は均一ではなく、広い測定波長領域を設定すると、全体のスペクトル強度に対し相対的に暗い波長域が必ず存在する。また、受光器の分高感度にも波長依存があるため、光源と検出器の組み合わせにより測定SNが低くなる波長域が存在する。このような場合、暗い波長域、SNが低くなる波長域に該当するチャネルの透過光量を増やしたい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
前述したように、入射側導波路12から出射した光は、第一スラブ導波路13を広がって同位相でアレイ導波路14に入射し、アレイ導波路14を伝搬する過程で位相差が生じ、位相差を持って各導波路の出射端から第二スラブ導波路15に出射され、波長に応じた終端面151上の位置にそれぞれ集光する。そして、終端面151上に入射端が配置された各出射側導波路16は、空間的に分割された各波長の光を取り込んで出射させる
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
上記のような光の伝搬の各局面において、入射側導波路12の出射端におけるコア幅D×NAは常に保存される。NAはコアとクラッドの屈折率で決まっており通常面内で均一であるので、最も低損失に分波するには、各導波路の入出射端のコア幅を同一にすればよい。導波路がテーパー形状を持ち、端部と内側とで幅が異なる場合があるが、ここでは各出射端におけるコア幅を指す。テーパー形状を持つ場合、入射側導波路12の出射部におけるテーパー形状と、出射側導波路の入射部におけるテーパー形状とは、等しいことがより望ましい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
広帯域光源2は、アレイ導波路回折格子1を波長分割素子として使用するので、分割する意義のある程度に広い帯域の光を出射する光源という意味である。各種LED光源や各種ランプを広帯域光源2として使用できる。レーザー源を使用する場合であっても、ある程度広い帯域の光を出射するものであったり、後述するようなスーパーコンティニウム光を出射するものであったりした場合、広帯域光源2として使用できる。
特にスーパーコンティニウム光源は、波長400nm~2400nmと非常に広帯域であり、ファイバ出射であることから光導波路へ高効率で光を入射できる点で好適である。
このような広帯域光源2は、特有の発光スペクトルを有しており、多くの場合、スペクトル強度は完全に均一ではない。均一ではない発光スペクトルの一例が、図5(A)に示されている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
具体的には、広帯域光源装置20は、短パルスレーザ源21と、高非線形素子22とを備えている。短パルスレーザ源21としては、ファイバーレーザ、マイクロチップレーザ等を用いることができる。
高非線形素子22としては、光ファイバが使用される場合が多い。例えば、フォトニッククリスタルファイバやその他のファイバも高非線形素子22として使用できる。ファイバのモードとしてはシングルモードの場合が多いが、マルチモードであっても十分な非線形性を示すものであれば、高非線形素子22として使用できる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
上記各遅延ファイバ61には、アレイ導波路回折格子1で波長分割された光、即ち、順次異なる波長の光が入射するが、各遅延ファイバ61は、入射する光の波長に応じて適宜の長さ及び材質となっている。適宜の長さ及び材質とは、合成パルス光L3において経過時間と波長との1対1対応性が達成される遅延量となるように長さ及び材質が選定されるということである。シンプルな構成としては、各遅延ファイバ61はみな同じファイバ(同じコア材料で同じクラッド材料のファイバ)とされ、長さのみが異なる構成があり得る。例えば、各遅延ファイバ61が一般的なシリカファイバで1mずつ長さが異なる場合、各チャンネル毎の時間差は5nsとなる。つまり30チャンネルであれば、5ns間隔で30個のパルス列となってバンドルファイバから出射される。遅延ファイバ長さは、時間間隔×チャンネル数<光源の繰り返し周期となるように設定する。このようにすることで、あるトリガ信号からの経過時間と波長が対応するようになる。各遅延ファイバ61で生じた群遅延により、図6に示すように、合成パルス光L3において、経過時間と波長との一意性(1対1での対応性)が達成される。
アレイ導波路回折格子で分割された光を各遅延ファイバ61で遅延させた後、バンドルファイバでなく、もう一つの別のアレイ導波路回折格子に逆入射させることで合波して出射させても良い。バンドルファイバを用いる場合、バンドルファイバはチャンネル数に応じた数のコアを有し、各コアから異なる波長が出射される。一方、別のアレイ導波路回折格子に逆入射させて出射させると、単一コアから合成パルス光が得られることになる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
これらの場合、各遅延ファイバ61が全て同じ長さであっても、ファイバの波長分散を用いて時間対波長の一意性が達成され得る。例えば、各遅延ファイバ61が同じ材料の同じ長さのファイバであっても、波長域全域において分散パラメータが正または負であり、所望の波長分解能が得られるだけの十分な長さを有している場合、その波長域において経過時間と波長との一意性は実現できる。この手法では、ファイバの波長分散は波長に対し一定でないため、時間差が波長に依って異なることになる。また、通常kmオーダーのファイバ長さが必要となり損失が大きくなる可能性がある。
したがって、前述の各遅延ファイバ61の長さ調節による時間差を用いる手法は、経過時間の違いによる波長の違い(Δλ/Δt)を全波長域において均一にするという意義がある。また、ファイバ長さは5ns間隔(=1m)×30チャンネルであれば、最長で30mで達成できるため遅延ファイバ61での損失はごく僅かである。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
このような実施形態の分光測定装置において、アレイ導波路回折格子1における各出射側導波路16の入射端のコア幅は、前述したように調光作用を発揮すべく最適化される。例えば、調光作用は、測定光の縦軸分解能を高くするための調光作用とされ得る。
測定光の縦軸分解能が高いほど、微小な強度変化を捉えることができる。受光器で受光した強度情報を出力する測定機器がデジタル信号の場合、縦軸分割数は8bit(256分割)や12bit(4096分割)など、測定機器ごとに一定の値となっている。測定光がある波長において特に高いピークを持つ場合、受光器の感度をこのピーク値に合わせて設定することになり、一定の分割数である縦軸の範囲が広がって縦軸分解能を下げてしまう。一方でピークでないレベルに合わせて感度設定しようとすると、受光器に強い光が入射してしまい、損傷が生じる場合もあり得る。このため測定光のスペクトルがフラットであると、高精度な測定が可能となる。