(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054372
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】家畜用重量式給餌ホッパー
(51)【国際特許分類】
A01K 5/02 20060101AFI20220330BHJP
G01G 19/52 20060101ALI20220330BHJP
G01G 17/08 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
A01K5/02
G01G19/52 G
G01G17/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020172845
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】501108647
【氏名又は名称】長野クリエート株式会社
(72)【発明者】
【氏名】細井 正明
【テーマコード(参考)】
2B102
【Fターム(参考)】
2B102AA02
2B102AA03
2B102AC01
2B102AD05
2B102AD29
2B102BA03
2B102BC02
(57)【要約】
【課題】 従来の重量式ホッパーは、計量方法が機械式秤であり、重量確認、重量の計量範囲、重量の設定変更など柔軟性が無いため手作業時間の削減効果が小さい。また、ロードセルを使用したホッパーは、自動化した移動式であるため既存畜舎への導入は、費用面、スペースなど制約があった。
【解決手段】 家畜の給餌に用いられる自動搬送給餌機により供給されるホッパーと、該ホッパーの底に設けられた供給出口で飼料を受けるように閉じると共に、給餌の際には前記供給出口を開くように作動するシャッター板と該シャッター板の下側にロードセルを備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼料を貯留する給餌ホッパーと、該給餌ホッパーの底に設けて供給出口を開閉するシャッター板と、該シャッター板の下側にシャッター板に当接させてロードセルを備えることを特徴とする家畜用重量式給餌ホッパー。
【請求項2】
前記シャッター板の下側に、該シャッター板に当接して回転可能な偏心軸を備えて、該シャッター板を前記ロードセルから浮かせることができる上下機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の家畜用重量式給餌ホッパー。
【請求項3】
前記上下機構の偏心軸は、丸棒に依って設けられていることを特徴とする請求項2記載の家畜用重量式給餌ホッパー。
【請求項4】
前記丸棒は、前記シャッター板の開放スライド方向に軸心が延設されるように配されていることを特徴とする請求項3記載の家畜用重量式給餌ホッパー。
【請求項5】
前記丸棒は、前記シャッター板に対応して左右に一対が設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の家畜用重量式給餌ホッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豚や牛等の家畜の給餌装置に備える家畜用重量式給餌ホッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家畜用給餌ホッパーには、容量式、重量式がある。給餌量は家畜の生育状況や健康状態に合わせ、飼料の種類や量を変えていく。そのためホッパーに給餌する飼料の量は、都度調整が必要となる。容量式は、ホッパー内の飼料の容量を量メモリで目視確認しながらドロップパイプの投入位置を上下させて調整する。重量式は、給餌したい重量分を別容器に移し、台秤等で計量後、ホッパーに投入し、その容量を目安にドロップパイプを上下させて調整する。これらの目視作業のバラつきによる飼料費の低減、手作業廃止の立場から改善した種類の重量式計量ホッパーは、既に秤を利用した機械式として実開昭56-150368号公報記載、実開昭56-3777号、また、ロードセルを用いた重量式ホッパーは、移動式搬送装置に蓄えた飼料の重量から給餌箇所に重量を減算して給餌する方式として特開平5-192057号公報記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】公開実用 昭和56-150368号公報
【特許文献2】公開実用 昭和56-3777号公報
【特許文献3】特開平5-192057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に述べた従来の重量式給餌ホッパーは、計量方法が機械式秤であり、重量確認、重量の計量範囲、重量の設定変更など柔軟性が低いため手作業時間の削減効果が小さい。また、ロードセルを使用したホッパーは、自動化された移動式給餌であるため新築、大規模改装が必要となるため、既存畜舎への導入は費用面、スペースなど制約があった。また、特開平5-192057号公報記載の自動給餌機は、ホッパーの頂部付近にロードセルが設けられ、飼料の供給を行いながら重量を計測する方式であるが、各ホッパーの底部に飼料供給用の駆動モータ等が必要とされ、設備費が高くなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる家畜用重量式給餌ホッパーの一形態によれば、飼料を貯留するホッパーと、該ホッパーの底に設けて供給出口を開閉するシャッター板と、該シャッター板の下側にシャッター板に当接させてロードセルを備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明にかかる家畜用重量式給餌ホッパーの一形態によれば、前記シャッター板の下側に、該シャッター板に当接して回転可能な偏心軸を備えて、該シャッター板を前記ロードセルから浮かせることができる上下機構を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明にかかる家畜用重量式給餌ホッパーの一形態によれば、前記上下機構の偏心軸は、丸棒に依って設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明にかかる家畜用重量式給餌ホッパーの一形態によれば、前記丸棒は、前記シャッター板の開放スライド方向に軸心が延設されるように配されていることを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる家畜用重量式給餌ホッパーの一形態によれば、前記丸棒は、前記シャッター板に対応して左右に一対が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の家畜用重量式ホッパーは、最近の畜産従事者の減少に伴い、給餌方法を目視作業から数値化作業に移行することにより、製品の品質向上、手作業軽減による省力化、合理化、自動化が新規設置はもとより既存畜舎への導入も可能となるため、小投資、既存スペースでの設置が可能となる。また、従来のロードセル方式と比較して、設備費が安価になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態にかかる給餌ホッパーの正面図である。
【
図2】本発明の実施形態にかかる給餌ホッパーのシャッター板部の上面図である。
【
図3】本発明の実施形態にかかる給餌ホッパーの飼料計量時の側面図である。
【
図4】本発明の実施形態にかかる計量時のロードセルと上下棒の状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態にかかる給餌ホッパーの飼料開放時の側面図である。
【
図6】本発明の実施形態にかかるシャッター飼料開放時のロードセルと上下棒の状態を示す斜視図データある。
【
図7】本発明の実施にかかる自動給餌搬送ラインの形態例を示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施にかかる自動給餌搬送ラインのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の家畜用重量式給餌ホッパーを適用した場合の実施形態を、手動開放式例として図面に基づいて説明する。
【0013】
家畜用給餌ホッパーは、
図1に示すように、固定型の容器で、家畜1頭に対して1台設置される。給餌ホッパー1に自動給餌搬送装置より、ドロップパイプ3から飼料が投入され、所定量を計量し蓄えた後、ドロップパイプ3からの供給を止め、底部のシャッター板2を開放して給餌する。
【0014】
図1の給餌ホッパー1の底部に配された板厚が6ミリメートル未満のシャッター板2の下部に、シャッター板2に当接させて
図2の位置にロードセル5a,5b,5c,5dを配し設置固定する。上下機構の構成要素の一例である上下棒6a,6bも設置する。
【0015】
上下棒6a,6bは、本実施例では丸棒の中心より3ミリメートルずらした位置に軸心(偏心軸)を設け、両者は同様な上下位置関係で取付ける。該上下棒6a,6bの両者を同時に180度回転してシャッター板2を偏心分上下移動可能にすることにより、シャッター板2を下げたときにはロードセル5a,5b,5c,5dと接触し、飼料及びシャッター板2の重量を直接受けて、
図4の計量状態になる。計量状態から逆方向に180度戻すことによりシャッター板2が上昇し、ロードセル5a,5b,5c,5dとシャッター板2が非接触の状態になって、シャッター板2を容易に引出し又は挿入可能になって、ロードセル5a,5b,5c,5dの摩耗や損傷を防ぐことができる。
【0016】
飼料計量時は、シャッター板2を押し入れて閉じ、上下棒6a,6bに取り付けられた上下棒操作ハンドル7a,7bで180度回転操作し、シャッター板2を下降させ、該ロードセルとシャッター板2を直接接触させて計量する。ドロップパイプ3から供給された飼料の重量は、シャッター板2からロードセルを経由して計測表示器ユニット8に入力されて計量し、重量等を表示し、操作スイッチ9の操作により供給を停止する。
【0017】
飼料開放時は、
図6上下棒6a,6bを上下棒操作ハンドル7a,7bでロードセル5a,5b,5c,5dを傷めないようにするため、逆方向に180度回転させ、ロードセル5a,5b,5c,5dからシャッター板2を上昇させる。
ロードセル5a,5b,5c,5dから非接触となったシャッター板2を上下棒6a,6bに沿わせて引き出し開放する。このときシャッター板2略円筒形の棒材の上を摺動するのみであるため、摩擦抵抗を減少させ小さな力で開放操作を行うことができる。
【0018】
給餌終了後、上下棒6a,6bに沿わせてシャッター板2を閉じ、
図4における上下棒6a,6bを上下棒操作ハンドル7a,7bで逆方向に180度回し、シャッター板2とロードセル5a,5b,5c,5dを接触させ給餌待機となる。飼料計量状態時、上下棒操作ハンドル6a,6bが上向きのときにシャッター2が下がった状態になるように設定しておくと、上下棒操作ハンドル7a,7bがシャッター板2の引き出し用取っ手の中に配するため、シャッター板2は引き出せない状態となるため計量時には誤開放を防止することができる。
【実施例0019】
以下、本発明の家畜用重量式ホッパー1を複数台使用した場合の自動化の実施形態を
図8のフローチャート、
図7の自動搬送給餌ラインに基づいて説明する。
【0020】
図7に示す自動搬送給餌ラインにおいて、予め設定された給餌時間に、シャッター2を開放可能になるよう水平方向に移動する一斉シャッター電動開閉装置13が動作し、飼料搬送機に連結された複数台の家畜用重量式ホッパー1のシャッターが開放され給餌が行われる。
【0021】
一斉シャッター電動開閉装置13は、家畜用重量式ホッパー1のシャッター板2が開放するストローク端に設けられたスイッチに達すると、逆方向に転じ、閉じ動作に移る。
【0022】
一斉シャッター電動開閉装置13は、閉じる方向のストローク端スイッチに達すると各ホッパーのシャッター板2が閉じ動作を終了すると、飼料搬送機11が作動して、内部に設けられたケーブルやスクリューオーガー等により搬送を開始する。
【0023】
図7に示す飼料タンク10より飼料搬送機11によって家畜用重量式ホッパー1へ飼料を供給し、家畜用重量式ホッパー1に設定された所定重量に到達すると、計測表示器ユニット8より電気信号が出力し、供給電動開閉シャッター12を閉じて飼料の供給を停止する。飼料搬送機11は搬送を続行し、次のホッパーに飼料を供給する。
【0024】
複数台設けられた家畜用重量式ホッパー1は、それぞれ前項の動作を繰り返し、それぞれ所定量の飼料をホッパーに蓄える。
【0025】
本実施例は、複数台設けられた最後の家畜用重量式ホッパー1No.(n)に、所定量の飼料が供給されると計測表示器ユニット8より電気信号が出力され、飼料搬送機11を停止させ、次の給餌時間まで待機となる自動給餌システムである。
最近の畜産従事者の減少に伴い、給餌方法を目視作業から数値化作業に移行することにより、製品の品質向上、手作業軽減による省力化、合理化、自動化が新規設置はもとより既存畜舎への導入も可能となるため、小投資、既存スペースで自動化が可能となる。
本実施例では豚や牛等の大型の動物に使用する装置について説明したが、大きさや規模を変更することによって鶏や小型のペット等の動物の飼育にも適用できる。