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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054376
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20220330BHJP
   B25J 5/02 20060101ALI20220330BHJP
   B23K 9/12 20060101ALN20220330BHJP
【FI】
B25J13/08 A
B25J5/02 Z
B23K9/12 331F
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020172850
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】520399280
【氏名又は名称】野間 信宏
(71)【出願人】
【識別番号】520399291
【氏名又は名称】青井 孝敏
(71)【出願人】
【識別番号】516022909
【氏名又は名称】河村 一郎
(72)【発明者】
【氏名】野間 信宏
(72)【発明者】
【氏名】青井 孝敏
(72)【発明者】
【氏名】河村 一郎
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS11
3C707BS15
3C707CS01
3C707CT02
3C707JS02
3C707KS07
3C707KS36
3C707KT02
3C707KT03
3C707KT05
3C707KT06
3C707LW07
3C707MS14
3C707MT02
3C707MT05
3C707NS11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】建設、造船などでの、溶接や塗装の様に大きな加工対象物を扱い、高所作業が多くなる作業への応用が広くできるロボットシステムを提供する。
【解決手段】加工用のツール15を駆動するアクチュエータとアクチュエータの移動手段を具備しており移動手段の機械要素の応答可能な制御帯域とアクチュエータの制御帯域での制御を3Dカメラ27または形状測定器などの形状情報取得手段の情報から行う。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象物上にある加工目標とする部分へ接近してツールによって
加工するロボットシステムであって、
前記ツールを装備したアクチュエータと
前記アクチュエータを搭載して移動する移動手段と、
前記移動手段を制御する第1制御手段と
前記アクチュエータを制御する第2制御手段と
前記加工目標とする部分の形状情報を取得する第1形状情報取得手段と
前記ツールが前記アクチュエータによって到達できる領域の内側にある形状情報を取得する位置に配置された第2形状情報取得手段を有し、
前記第1形状情報取得手段から取得した形状情報により前記移動手段を制御し
前記第1形状情報取得手段および前記第2形状情報取得手段から取得した
形状情報により前記アクチュエータを制御し、
前記加工目標とする部分へ前記ツールを到達させる構成であるロボットシステム。
【請求項2】
前記第1制御手段は偏差情報を前記第1形状情報取得手段からの形状情報より取得し、
前記移動手段および前記アクチュエータをフィードバック制御する構成であって、
前記第1形状情報取得手段から取得した前記偏差情報の低域成分で
前記移動手段を制御し、
前記第1形状情報取得手段からの形状情報より取得した前記偏差情報の高域成分と
前記第2形状情報取得手段からの形状情報より取得した偏差情報により
前記アクチュエータを制御する構成とした請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
加工対象物の加工目標とする部分をツールによって加工するロボットシステムであって、前記移動手段には目印表示が具備され、
前記第1形状情報取得手段による形状情報を記録し保存する保存手段を有し
加工中の外乱による前記第1制御手段または前記第2制御手段の停止が発生し、停止から
再起動する時点で、
前記保存手段から、前記停止時点以前の前記目印表示の形状情報の取得及び前記第2形状情報取得手段による前記ツールの形状情報の取得及び前記第1制御手段または前記第2制御手段の前記停止時点以前の制御情報を取得する構成とした請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記加工対象物の加工目標とする部分をツールによって加工するロボットシステムであって、前記第1形状情報取得手段もしくは第2形状情報取得手段の情報を表示する表示端末を具備し、
前記第1形状情報取得手段または前記第2形状情報取得手段の形状情報の表示に重ねて、前記ツールにより加工可能な加工可能領域を表示する構成とした請求項1に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は対象物の加工を自動で行うためのロボットシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設、造船用の加工用のロボットとしては、自動溶接機が数多く提案され実施例も多くあるが広く普及している状態ではない。これは建設、造船の従事者の加工対象物が、多種多様であり、ロボットに対して作業をティーチングすることが大きな仕事量であることが第1の課題として挙げられる。第2の課題としては建設、造船の加工対象に物理的に大きな物が多く、一般的な多関節ロボットの対応範囲を超える大きな領域での作業が必要であることが挙げられる。
【0003】
ロボットシステムの制御に関しては、非特許文献1に制御の安定性の課題が開示されている。
【0004】
自動溶接機としては特許文献1の様に、曲面に倣う様に構成されたレール上を走行台車が走行し、その走行方向と直行する平面の2軸での制御で、加工目標とする部分の開先形状をレーザーセンサで検出して溶接する方法が開示されている。
また、特許文献2にある様に、レールを必要としない、クローラによる自動走行形式の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】三菱重工技報Vol.52 No.4(2015)新製品・新技術特集[文献の題名]速度飽和のあるアクチュエータを有する運動系の安定化制御
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】[公開番号]特開2012-130954(P2012-130954A) [公開日]平成24年7月12日(2012.7.12) [発明の名称]自動溶接装置
【0008】
【特許文献2】[公開番号]特開平10-230359 [公開日]平成10年(1998)9月2日 [発明の名称]クローラ走行式自動溶接装置
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ロボットシステムの中の移動手段とアクチュエータの制御を安定かつ高速化することが、本発明が解決しようとする、第1の課題である。
【0010】
機械製品の運動制御系の設計においては,システムに存在する非線形要素が系の安定性に影響を及ぼすために制御性能向上に対する障壁となっている。その中において,アクチュエータなどの制御対象物の速度飽和は,制御系の位相特性を悪化させ,系を不安定化する要因として問題になっていることが、非特許文献1で述べられている。
【0011】
特許文献1の実施例では、溶接の進行方向にはローラーチェーンまたはラックが使われることが想定されている。溶接作業にとって進行方向の速度制御は溶接の品質に関わる重要な要素である。ローラチャーンまたはラックはこの実施例の走行のための移動手段であるが、構造上速度飽和が比較的低い帯域になる。このため高速度領域までの安定した制御が行えず、外乱による負荷の変動への対応が制限されるので、高速で安定した溶接品質を得るのが難しいことが課題であった。これが第1の課題である。
【0012】
特許文献2の実施例ではクローラを具備した自動溶接装置で、左右のクローラの回転を別々に制御することで、装置の走行と同時にツールの軌跡を制御するものである。この技術ではレールが不要であることが利点とされる。しかし、クローラによって走行および方向制御を行うために、クローラの特性から速度飽和が低い帯域での制御になる。このため安定した制御が行えず、負荷の変動への対応や、第1の実施例で提示されている走行方向と直行する平面内でのトーチの精密な制御が制限され、溶接品質を安定にすることには実用的に限界があり、前記の第1の課題に含まれる課題である。
【0013】
特許文献1の実施例では溶接加工の線に対してレールを平行に設置することが必要であり、レールの設置に時間がかることが実用上好ましくない課題であった。レールの設置に時間を要することは本発明が解決しようとする第2の課題である。
【0014】
本発明が解決しようとする課題の、他の第3の課題は建設、造船における高所での作業の難しさである。特許文献1の実施例で、高所でのレールの設置作業は高所作業台車や足場による困難かつ危険な作業が必須であり課題であった。特許文献2の実施例ではクローラによる自律走行でレールを必要としないことは利点ではあるが、クローラによる走行が実用的には低速度であり、地上から離れた高所での加工部分への到達には時間がかかることが効率的でなく、実用上での課題であり、第3の課題の効果的な解決ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この様な問題を解決するために本発明は、複数の要素からなる作業用のロボットシステムであって、加工対象物上にある加工目標とする部分を加工するツールとこのツールを装備したアクチュエータと前記アクチュエータを搭載して移動する移動用のアクチュエータである移動手段と、移動手段とアクチュエータを制御する制御手段を有している。
【0016】
制御手段は加工対象物の3Dカメラやレーザースキャナなどの形状情報取得手段から制御のための偏差情報を取得する構成となっている。
制御手段による制御で、移動手段が移動することで移動手段に搭載されている前記アクチュエータが移動し、前記第2の制御手段による制御により前記アクチュエータを高い応答速度領域まで高速かつ精密に制御することで、前記ツールが前記加工対象物上にある加工目標とする部分へ接近して加工する構成である。
【0017】
本発明ではツールを装備したアクチュエータとアクチュエータを搭載して移動する移動手段と、アクチュエータを制御する第1制御手段とアクチュエータを制御する第2制御手段を有し、第2制御手段の駆動により前記アクチュエータに装備した前記ツールを前記アクチュエータによって到達できる領域の内側へ、前記アクチュエータを第1制御手段の制御により前記移動手段で移動する構成である。
【0018】
制御については第1形状情報取得手段の情報により前記移動手段を制御し、第2形状情報取得手段からの情報により前記アクチュエータを駆動し加工目標とする部分へ前記ツールを到達させる構成で、前記第1制御手段は前記移動手段が応答可能な低域の制御帯域の偏差情報を第1形状情報取得手段から取得して前記移動手段を制御し、第2制御手段は前記アクチュエータが応答可能な高域の制御帯域の偏差情報を第1形状情報取得手段および前記第2形状情報取得手段から取得して前記アクチュエータを制御する。
【発明の効果】
【0019】
以上で示した様に、本発明では移動手段の機械要素を従来技術から選択することで移動距離、範囲についてほぼ制限なくロボット技術を活用して実施する形態を実現することができるもので、構成要素の専用開発を必ずしも必要としないので効率的である。
【0020】
本発明では、形状情報取得手段と制御手段を移動手段とアクチュエータで構成することで、高い速度飽和帯域まで応答するシステムとなり、溶接、塗装やその他の加工に関して柔軟に対応できる。この構成によって、移動手段の速度飽和が低い帯域であっても、アクチュエータが高い速度飽和帯域まで応答するため、精度良くまた高速な加工が実現できるものである。これは前述の、発明が解決しようとする第1の課題を解決するものである。
【0021】
前記アクチュエータは主として一般的な多関節ロボットの構成要素を構成されており、可動範囲が広い。そのため加工目標とする部分への設置に幾分の誤差があったとしても、誤差を吸収してアクチュエータが加工する領域に到達することが可能であるため、ロボットシステムの加工対象物への設置は簡単である。これは前述の発明が解決しようとする第2の課題を解決するものである。
【0022】
本発明のロボットシステムはクレーンまたは高所作業者によって運搬可能な構成である。しかも、ロボットシステムに搭載されたカメラなどの形状情報取得手段を使い、ロボットシステムの加工領域への運搬および設置を、ロボットシステムに付属する端末で無線によって操作して実時間の監視をしながら指示することができる。これは前述の発明が解決しようとする第3の課題を解決するものである。
【0023】
本発明のロボットシステムは、溶接加工に限定されるものではなく、建設や造船の塗装の様に大きな範囲でかつ高所作業が必須となる作業への応用が容易に考えることができ、その応用範囲は広い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る造船現場用の溶接作業用のロボットシステムの実施例における平面図。
図2】同ロボットシステムの実施例における平面図。
図3】同ロボットシステムの実施例における正面図。
図4】同ロボットシステムの実施例における側面図。
図5】同ロボットシステムの実施例における側面図。
図6】同ロボットシステムの実施例における全体構成図。
図7】同ロボットシステムの実施例における部分的な動作の説明図。
図8】同ロボットシステムの実施例における部分的な動作の説明図。
図9】同ロボットシステムの実施例における部分的な動作の説明図。
図10】同ロボットシステムの実施例における部分的な構成の詳細平面。
図11】溶接加工部分の説明図。
図12】溶接開先の説明図。
図13】ロボットシステムの実施例の電子回路のブロック図・
図14】ロボットシステムの実施例の加工制御ルーティンのプログラム。
図15】ロボットシステムの実施例の位置決め支援プログラム。
図16】端末の位置決め支援表示における途中状態の表示例。
図17】端末の位置決め支援表示における途中状態の表示例。
図18】端末の位置決め支援表示における完了状態の表示例。
図19】実施例のロボットシステムの加工プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、発明の実施の形態を、実施例にもとづき図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態はいずれも、本発明の実施形態の例を示したものであり、本発明の範囲が狭く限定されるものではない。
【0026】
図1図2は本発明に係る造船現場用の実施例におけるロボットシステム1の平面図で、図3は正面図である。図4図5は実施例におけるロボットシステム1の側面図である。2は基台でありロボットシステムの移動手段を構成する。以下、図1から図5を参照して説明する。
【0027】
図2で3のロボットアームが基台2に載置されたスライドガイド4とスライダー5によって基台に図4に示す減速機8によって系合されている。図4でロボットアーム3には減速機8を介してスライダー5が系合している状態を示している。
【0028】
図1図2でスライドガイド4にはネジ送り構造の機構が内蔵されており連結減速機6によってモータ7に連結されており、モータ7の駆動力でスライダー5は図2のX軸の正方向、負方向へスライドする。図5に示す通りロボットアーム3には減速機8の反対側に減速機9が系合されておりブラケット10に系合している。スライドガイド4に内蔵されるネジ送り機構は内蔵であるため図示は省略している。また減速機8、9にはモータ8a.9aが内蔵されているが内蔵であるため図示は省略している。
【0029】
図5で、ブラケット10には調整軸11aを回動軸としてブラケット11が略固定されている。これはネジに調整機構でブラケット11のブラケット10に対する角度を調整可能としている。図5で12はブラケット11に連結されたスライドユニットでありモータ13によってネジ送り機構が内蔵されている。ネジ送り機構は内蔵であるため図示は省略している。これによりブラケット11は図5の矢印15aの方向へ直線的にスライド駆動される。
【0030】
(アクチュエータ)
図5でスライドユニット12にはツール保持部材14aが連結されておりツール15が固定されている。この実施例においてツール15は電気溶接トーチである。14はツール15に連結された溶接のための電流供給用のコネクタである。ツール15にはコネクタ14を介して送電ケーブル61により電流が供給される。以上の構成でスライドガイド4とスライダー5、ロボットアーム3、減速機8、9とブラケット11スライドユニット12はそれぞれ系合しており多関節のアクチュエータとなっている。なお、送電ケーブル61は図1図2図3では図示を省略している。
【0031】
(3Dカメラの視野)
図4で、25は3Dカメラで支持部材24によって基台2に結合されている。25a,25bは3Dカメラ25の視野の範囲を示す。27は同様に3Dカメラであり27a、27bは3Dカメラ27の視野の範囲を示す。3Dカメラ27は支持部材26によってレール部材20に結合されている。
24は3Dカメラ27の視野範囲を示している。40は3Dカメラ27の視野の範囲を示している。
【0032】
(形状情報取得手段である3Dカメラ)
この実施例において、3Dカメラ2、3Dカメラ27はデプスカメラと呼ばれるものであり、それぞれ2つのカメラによって、映像と共に視野内の撮影対象物との距離情報を取得できるものであり、被写体の距離に対して高精度な距離情報を3次元的に取得するものが実用化されている。このように3Dカメラは形状情報取得手段の一つとして実用化されている。
【0033】
(目印表示)
図1で、29、29a、29b、29cはU字金具でありクレーンなどの運搬手段で運搬するときにクレーンとの系合で必要なものである。U時金具29、29a、29b、29cはこの実施例ではレール部材20の両端付近に図4の固定部材28によって結合されており、ロボットシステム1を運搬するためのワイヤーロープを系合するためのものである。図2の33は3Dカメラ25の上面に印刷された目印表示である。
目印表示33は3Dカメラ27の視野40の中に位置する。目印表示33は表示内容を2次元バーコードにする実施例も考えられる。目印表示33を2次元バーコードにすれば、ロボットシステムの個体情報や使用履歴などの情報との紐付けが容易になる効果がある。
【0034】
(固定部材)
固定部材28には電磁石が内蔵されており、電磁石に電流が供給されると、固定部材28が加工対象物の鋼板32に吸着する構成である。なお、電磁石および電流の供給手段については、従来から実用化されているものであり、固定部材28に内蔵されているので図示は省略している。
【0035】
(V字型ローラ)
図5で、17、18はそれぞれ2個ずつの計4個のV字溝形状のローラであり、ローラ軸17a、18a,で基台2に4点で支持されている。16はガイドレールでありローラ17、18と系合して基台2を図2のY軸正方向、負方向へ略直線にスライドできる様にガイドする。なお、図5は側面図のためローラ17、18およびローラ軸17a、18a,はそれぞれ1個ずつ描かれている。
【0036】
図2に示す様にラック19はレール部材20に沿って、レール部材20のほぼ全長に取り付けられている。図5でガイドレール16にはラック19が装着されており、このラック19はモータ23によるピニオン22の回転駆動でガイドレール16に沿って、基台2が図2のY軸正方向、負方向へ略直線に走行する。
【0037】
以上に説明した通り、図1から図5に示した各要素でロボットシステムの実施例は構成されている。以下このロボットシステムの実施例の具体的な動作について説明する。
【0038】
(動作説明をする構成図)
図6は同溶接作業ロボットシステムの実施例における動作説明をする構成図である。32は前記の加工対象物の鋼板で、この実施例では造船の船殻外板である。31は鋼板32に板継ぎされる鋼板で鋼板32と同様に船殻外板である。造船現場ではこの様な鋼板同士を板継ぎ溶接加工が多い。
【0039】
(運搬手段)
図6の50はクレーンで実施例のロボットシステムを運搬する運搬手段である。50aはクレーン50の台座部分でクレーンアーム51、クレーン系合部材52、クレーのワイヤーロープ54、クレーンフック53aによって、ワイヤーロープ56を介して前記U時金具29、29aと系合して、前記レール部材20を介してロボットシステム1を吊り上げている状態を示している。オペレータ67が端末67aでロボットシステム1を操作している。図6で61は図5で示した送電ケーブル61である。送電ケーブル61は支持部材26を中継してケーブル60に接続している。ケーブル60は溶接に使う電流の供給とともに61aで基台2に内蔵された電子回路への電力を供給する。電子回路への電力の供給はレール部材の裏側で接続されたケーブルで行われるが図示は省略している。また電子回路の機能については後述する。
【0040】
図6では、ロボットシステム1はレール部材20に取り付けられたU時金具29、29bが上側となり、下側にU時金具29a、29cになる状態でクレーン50に吊り上げられている。この状態で矢印30a 30bに示す方向に沿って鋼板32、鋼板31に接近していく。ロボットシステム1の吊り上げは、吊り上げるU字金具を29、29b、29a、29cから選択できるので、図6とは違った垂直の姿勢にするなど、ロボットシステムの自由な設置が可能である。
【0041】
(固定部材)
この状態で前記の固定部材28、28aが十分鋼板32に接近した状態で固定部材28、28aに内蔵されている電磁石に通電されると、固定部材28、28aが鋼板32に対して磁力で吸引され固定される。ここまでの過程におけるソフトウェアによる操作支援の仕組みについては後述する。
【0042】
(スライダーの動作)
図7図8は前述のロボットアーム3、スライドガイド4、スライダー5、減速機8の回動軸であるスピンドル8a、減速機9の回動軸であるスピンドル9aの動作の説明図である。図7ではツール15の先端はレール部材20のX軸正方向の端部から図中F2の位置にあり、この時前記のスピンドル8aはレール部材20のX軸正方向の端部からG2の位置にある。図8ではスライダ-5がX軸製正方向へスライドすることでG1の位置に移動している。ツール15の先端は、スピンドル8aからのY方向の距離はD1である。
【0043】
(ロボットアーム)
次にロボットアーム3と減速機8、スピンドル8a、減速機9、スピンドル9aの働きでツール15はが姿勢を保ったまま図8から図9の状態へ平行移動できることを説明する。
図8でロボットアーム3は矢印21aの方向へスピンドル8aの周りに図5に示す減速機8の回動によって駆動するが、同時にスピンドル9aの周りに図5に示す減速機9の回動によってブラケット10が矢印21bの方向へ同じ角度だけ回動すると、ブラケット10のX軸に対する角度は変化しない。
【0044】
図8でロボットアーム3の角度はX軸に対しての角度はJ1でありこの時ツール15の先端15の先端のX軸からの距離はD2である。ツール15の先端のX軸からの距離はD2であるが、ツール15はX軸に対して平行が保たれている。
【0045】
この状態を示したのが図9である。ロボットアーム3の角度はJ1からJ2に変化しているが、減速機9の回動によってブラケット10が矢印21bの方向へ同じ度数の角度だけ逆方向に回動してツール15のX軸に対して平行が保たれる。ただし、X軸からの距離はD1からD2へと大きくなっている。以上の動きによりロボットアームはスライダー5及ぶロボットアーム3の動きによってX軸方向へツール15を平行移動することができる。またY軸方向についてもローボットアームの動きで移動が可能である。この動きはロボットアーム3、スライダー5、減速機8、減速機9の組合せで構成されるアクチュエータを後述する制御手段で制御する事で実現される。
【0046】
図7から図9の説明で、前記基台2の上でロボットアーム3がスライダー5および、図2の連結減速機6、モータ7、減速機8、9により、XY平面内でツール15をX軸に対して平行を保ったまま駆動できる仕組みであることがわかる。なお 図7から図9ではレール部材20上に配置されている図2で説明したガイドレール16、ラック19は省略している。
【0047】
(スケールの説明)
図10はガイドレール16、ラック19との関係で、レール部材20上に印刷されているスケール41の説明図である図10aはスケール41の拡大図である。スケール41はカメラ27の視野40に入っており、3Dカメラ27により取得された形状情報によって、基台2の位置を特定する。3Dカメラの形状情報取得は1秒間に数枚~数十枚程度の取得が可能であり、各形状情報取得の差分を分析することで位置及び速度、加速度の情報を得ることができる。これにより制御のための偏差情報を得ることができる。
【0048】
(スケールと目印表示)
また、目印表示33とスケール41の3Dカメラ27により取得された形状情報により、万一の停電時にロボットシステムの起動時に位置合わせの情報を得る機能を備えている。
【0049】
(溶接加工、開先の説明)
図11は溶接加工部分の説明図、図12図11のG部の拡大で溶接開先のK―K断面図とJ―J断面図である。図12の31b、32bは開先形状と呼ばれる鋼板の端部を面取り加工で、溶接加工の際に必要な形状である。ツール15は開先形状にそって図12に示した軌跡34、35の様にX方向及びZ方向にならうことが求められる。開先形状31b、32bの必要な部分は開先の底の形状情報である。図12の鋼板端部32a、31aとの交わる開先の底
の形状情報を3Dカメラ25による取得する。36はすでに溶接が完了した領域を示している。36aは溶接完了と未だ完了していない領域の境界である。この境界36aは3Dカメラ25が取得した形状情報からソフトウェアのプログラムにより認識することができる。これによりオペレータ67は溶接を開始する位置を指定することができる。
【0050】
(電子回路のブロック図)
図13はロボットシステムの実施例の電子回路のブロック図である。制御手段を含む電子回路は基台2の中に内蔵されている。第1形状情報入力手段71、第2形状情報入力手段72、第1制御手段73、第2制御手段74はCPU70のプログラムで実装されている。このプログラムの働きについては後述する。第1形状情報入力手段71、第2形状情報入力手段72は3Dカメラ25、27のインターフェースであり、それぞれの3Dカメラの情報を取得し、第1制御手段73、第2制御手段74へ送る。
【0051】
図13で80の前記モータ23、81の前記モータ7、83の前記モータ8a、83の前記モータ
9a、84の前記モータ13はそれぞれ、モータ23駆動回路、モータ7駆動回路、モータ8駆動回路、モータ9駆動回路、モータ13駆動回路に接続されている。前記モータ23は図5で、前記モータ7は図1、2の説明にある。前記モータ8aおよび前記モータ9aは図4、5の説明の減速機8、9に内蔵されているモータである。前記モータ13は図4図5の説明で前述している。88は通信手段であり、高速無線LANモジュールが実装され図6の端末67aと通信する。
【0052】
基台2は80のモータ23で駆動され、図13の85に示す移動手段駆動である。ロボットアーム3、スライダー5、減速機8、減速機9の組合せで構成されるアクチュエータは図13の81のモータ7、82のモータ8a、83のモータ9a、84のモータ13で駆動され、86のアクチュエータ駆動で表している。
【0053】
図13に示す68はデータベースで回路基板に実装された半導体メモリーによってデータが記憶される。回路基板69には前述のCPU70、第1形状情報入力手段71、第2形状情報入力手段72、モータ23駆動回路、モータ7駆動回路、モータ8a駆動回路、モータ9a駆動回路,モータ13駆動回路が実装され基台2に内蔵されている。
データベース68には、使用が想定される溶接条件でのツールの目標速度、様々な開先形状に対しての目標となるツール軌跡、ロボットアーム3の制御のパラメータが格納されている。
【0054】
(加工制御ルーティンのプログラム)
図14図13の第1制御手段73、第2制御手段74による加工制御ルーティンのプログラムを示している。以下プログラムの各ステップを説明する。この加工制御ルーティンは後述するオペレータ67からの加工開始の指示があって開始する。オペレータ67からの加工開始の指示があればプログラムはまずデータベース68から目標速度S91に示す受付けを行う。ついで、S92に示すツールの目標軌跡を受け付ける。次にS93に示す第1形状情報を取得し、S95に示す目標速度との偏差を計算する。ついで、S97に示すPID制御でのフィードバックを計算する。
【0055】
(PID制御)
PID制御は古典制御理論に基づく現在主流の制御方式で、プログラム化されたものが多く知られており広く活用されている要素技術である。PID制御はフィードバック制御であり、入力値の制御を出力値と目標値との偏差、その積分、およびその微分の3つの要素によってフィードバックを行う方法である。この実施例ではこのPID制御をソフトウェアのプログラムで実装している。
【0056】
(フィードバックの成分)
S100に示すフィードバックのY軸低域成分を分離し、S101フィードバックのY軸高域成分を分離する。ここで、Y軸低域成分の分離はローパスフィルタの特性を具備したソフトウェアのプログラムによって行う。またY軸高域成分を分離についてはバンドパスフィルターの特性を具備したプログラムで行う。ついでS102でモータ8a、9aの駆動パターンの適用を行う。この駆動パターンは前述のデータベース68に保存されており、ツール15との位置関係での必要な動作をパターン化したものである。
【0057】
S100のフィードバックのY軸低域成分によってS104に示すモータ23の駆動回路へ指令が発出され、図13図5のモータ23が駆動され移動手段である基台2が走行する。この目標速度は図14のS91で受け付けられた目標速度である。
【0058】
S102のモータ8a、9aの駆動パターンの適用でモータ8a,9aへの指令が出て、図13のモータ8a,9aが駆動される。この時、Y軸高域成分での駆動であるので、これはモータ23による基台2の走行では補えない高い帯域の駆動となる。図14のS103に示すモータ8a.9aの駆動による成分の影響とは、図8のロボットアーム3がモータ8a,9aによってY軸方向への駆動成分が発生すると、図7、8に示すD1またはD2の変化が生じるため、X軸方向への影響が出るのでS103でX軸成分の影響を計算する。
【0059】
S92で受け付けた目標軌道の制御は第2形状情報入力手段72からの形状情報取得で行われる。これは図13に示す3Dカメラ25から取得したもので、カメラ25は図11に示す様に鋼板32、31の端部31a、32aを図2の24で示す視野で捉えている。この視野24の形状情報取得は第2形状情報入力手段72からの形状情報取得である。
【0060】
図13に示す3Dカメラ25から取得した形状情報取得は3Dカメラによる形状情報取得であり、前述の様に3次元の情報を含む。図12のX-Z平面内での軌跡34、35を目標軌跡として3Dカメラ25から取得した形状情報で目標軌跡との偏差を計算する。この軌跡に沿う様にツール15を移動させるのが図2のモータ7、モータ13である。図14のS94で取得した第2形状情報取得からS96で目標軌跡と偏差を計算し、S98でPID制御でのフィードバックを計算しS106、S107でX軸成分とY軸成分に分離しS109、S110でそれぞれ駆動回路へ指令する。
【0061】
S108はS109から得られるモータ8a,9aの駆動によるX成分の影響をS106から得られるX成分と合成してS109でのモータ7への駆動回路への指令をおこなう。
【0062】
以上がS93、S94で第1形状情報取得の取得と、第2形状情報取得の取得からS104、S105、S109、およびS110までの制御ルーティーンである。このルーティーンはプログラムのループであり、形状情報取得の取得回数より速いループになることが好ましい。
【0063】
(位置決め操作支援のプログラム)
図15はロボットシステムの実施例の位置決め支援プログラムを示している。図6の説明で示したソフトウェアによる操作支援の仕組みを実装したプログララムである。S119でプログラムを開始すると、S120で第1形状情報取得の取得が行われる。ついでプログラムによりS121で加工可能範囲の表示と重ね合わせが行われる。
【0064】
図15はS111のロボットシステム、S112の端末、S113のオペレータの3つの要素の動きを各列のプログラムの流れで示している。
ロボットシステムはこれまで図1から図10及び図13図14で説明してきた構成である。この構成ロボットシステムは図6のオペレータ67が端末67aで操作する。オペレータ67をS113のオペレータの列、端末67aがS112の端末の列が対応する。
【0065】
図6のクレーン50でロボットシステム1が鋼板32に接近した状態で端末67aの操作で図15のプログラムがS119で示すステップで開始される。これはオペレータ67の入力による。次のステップでS120の第1形状情報を取得がおこなわれる。次にS121で加工可能範囲の表示との重ね合わせが行われる。S122はこれから加工しようとする加工部分が加工可能領域内にあるかの条件分岐のステップである。S122の条件分岐でNOつまり、加工範囲にない場合、S123で図6のオペレータ67の端末67aへ加工可能範囲内でないことを通知する。
【0066】
図16が端末の位置決め支援表示180における途中状態の表示例で、この通知の例である。図16で加工可能領域の画面内の表示は183aであり、鋼板32の端面32a、鋼板31の端面31a図16で32a、31bは加工可能領域に入っていない。この表示は3Dカメラ27の形状情報取得と3Dカメラ27から得る距離情報とこの情報から表示した領域表示183aを重ねたものである。
【0067】
S124でオペレータが運搬手段であるクレーン50を操作してロボットシステムの位置を調整する。プログラムとしては第1形状情報取得の取得を1秒に10数枚程度以上連続して行うため、動画として端末67aでの表示が行われるので、オペレータ67は端末67aの表示を見ながらクレーン50を操作できる。S125で第1形状情報取得からロボットシステムと加工対象物との距離を検出する。これは、前述のカメラ27から取得する距離情報で検出される。次にS126の条件分岐で固定部材28と鋼板32の距離が電磁石での吸着可能範囲かの判断をする。
【0068】
ここで条件分岐がNOの場合S127でオペレータの端末へ電磁石の吸着可能範囲でないことを通知される。この通知の表示が図17の181aの支援表示が示す様に左側が30cm遠くなっているため(前進)の表示が出る。この表示は3Dカメラ27の形状情報取得と3Dカメラ27から得る距離情報とこの情報から表示した領域表示183を重ねたものである。
【0069】
この情報を得てオペレータが運搬手段であるクレーン50を操作してロボットシステムの位置を調整する。このオペレータの調整は図17の動画表示を確認しながら行われるので簡便である。オペレータによる調整がS126の条件分岐がYESになるとS129にプログラムのステップは移りS129で示すようにオペレータの端末へ電磁石の吸着可能範囲にあることを通知する。この通知の表示を示したのが図18である。図18では左の支援表示181bはOKの表示とともに0cmの表示となっている。この通知を受け、オペレータ67が端末でロボットシステムの電磁石を作動させるとS131でロボットシステムは加工対象物である鋼板32へ電磁石で固定する。
【0070】
次のステップでS132において端末がロボットシステムの加工対象物への固定を受付し表示する。S133でロボットシステムの加工対象物への固定を確認して、ロボットシステムの実施例の位置決め支援プログラムがS134で完了する。以上の様に実施例ではロボットシステムの運搬の支援手段も提供できるもので利便性は極めて高い。
【0071】
図19はロボットシステムの実施例の加工プログラムを示している。図19図15と同様でS211のロボットシステム、S212の端末、S213のオペレータの3つの列でそれぞれのプログラムの動きを示している。
ロボットシステム1が加工対象物である鋼板32に対して固定部材28、28aに内蔵された電磁石により吸着固定されている。プログラムがS219で開始すると、まずS220で第2形状情報を取得し、S211で加工可能範囲の表示と重ね合わせが行われる。
【0072】
次にS222で端末への前記形状情報の送信が行われる。ついで端末へS223でツールおよびアクチュエータの加工可能範囲を表示が行われる。図6のオペレータ67が加工開始の前に調整が必要かを判断する。オペレータ67により調整が必要と判断された際にはS227の条件分岐でYESとなりS226オペレータの入力に従って第1、2制御手段へ指示が端末から発出される。この場合はS225で第1、2制御手段から駆動手段へ指令が出される。
【0073】
オペレータ67により調整が不要と判断された際にはS227の調整が必要か?の条件分岐でNOとなり、オペレータがS228の調整完了入力で端末の表示画面の調整完了ボタンをクリックすることでS229へ遷移する。次に端末にてS229で加工パラメータのメニューを表示する。この表示をオペレータ67がS229aで確認し加工パラメータを選択し指示する。S230で図6の端末67aがこれを受けて第1、第2制御手段の加工パラメータの設定をロボットシステムS211に指示する。
【0074】
これを受けてS231でロボットシステムが第1、第2制御手段の加工パラメータを設定する。次にS232でロボットシステムが第1、第2制御手段の加工パラメータ設定完了を通知する。これを受けてS233で端末が第1、第2制御手段の加工パラメータの設定完了を受付し表示する。
【0075】
次にS234でオペレータ67が加工開始を指示する。S235で端末が第1、第2制御手段へ加工開始を指示する。するとロボットシステムはS236でツールを加工状態へ設定する。この時のツールの設定はツール15の電流を流す溶接電源の起動が行われる。次にS237で加工制御ルーティンを開始する。この加工制御ルーティンは図15の説明のものである。
【0076】
加工制御ルーティンが開始すると端末はS238で加工制御ルーティンの現状を受付し表示する。オペレータは適宜S239で加工制御ルーティンの現状を確認するだけでよい。
S240は条件分岐で加工制御ルーティンに異常があるか?を判定し、異常発生時にはS241で異常警告の表示およびアラームでの警報発出および停止の指示を端末に表示する。この時は異常発生として、ロボットシステムS211の停止を行う。S242は条件分岐で加工制御ルーティンが完了位置かの条件分岐を行う。ここでは開始時に設定した完了位置に到達しているかどうかの判断をする。S245、S246、S247、S248は完了位置に到達した際の完了ステップである。
【0077】
以上で説明したのは、造船の溶接加工に関するロボットシステムの実施例である。この中で形状情報取得手段は3Dカメラとしたが、他の形式の形状情報取得手段でも良く、例えば3Dスキャナーであっても良い。またレーザーによる形状測定器を併用する実施例もあり得る。この場合は第2の形状情報取得し手段の代わりにレーザーによる形状測定器で図5に示すX―Z平面の測定を高速で行うことができ、同様の制御ルーティンの構成が可能である。
【0078】
また、以上で説明した溶接加工に関するロボットシステムの実施例では、ロボットシステムと端末間の通信は無線であるが、雑音対策のために有線にする実施例も容易に考えることができる。また、ロボットアームに繋がる2つのスライドユニットと2つの減速機による多関節ロボットの形式を取ったが、ロボットアームの可動要素の数を減らすなどの簡便な実施例、または可動要素の数を増やした実施例も本発明の実施例として考えられる。
【0079】
以上の実施例は溶接加工に関するものであるが、ツール部分を塗装の吹き付けのノズルに変更することで、塗装用のロボットシステムも本発明の実施例として考えられる。
また
ビル壁面、窓の清掃用途への応用も実施例として考えられる。
また、以上の実施例でクレーンを運搬手段の例として説明したが、ロボットシステムを軽量に設計することで、運搬手段をドローンに置き換えた実施形態も考えることができる。
【符号の説明】
【0080】
1 ロボットシステム
2 基台
3 ロボットアーム
4 スライドガイド
5 スライダー
6 連結減速機
7 モータ
8 減速機
9 減速機
10 ブラケット
11 ブラケット
11a 回動軸
12 スライドユニット
13 モータ
14 電源供給用コネクタ
14a ツール保持部材
15 ツール
16 送電ケーブル
17 ローラ
18 ローラ
19 ラック
20 レール部材
24 視野
25 3Dカメラ
25a 25b 視野
27 3Dカメラ
28 固定部材
29、29a、29b、29c U字金具
31 鋼板
32 鋼板
33 目印表示
40 視野
41 スケール
50 クレーン
60 オペレータ
61 端末
68 データベース
71 第1形状情報入力手段
72 第2形状情報入力手段
73 第1制御手段
74 第2制御手段
180 支援表示
181、182 支援表示窓
183a、183b、183c 領域表示
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19