(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054384
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】ピリジン複数環式化合物の廃水処理システムおよびそのプロセス
(51)【国際特許分類】
C02F 1/70 20060101AFI20220330BHJP
B01J 23/46 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
C02F1/70 Z
B01J23/46 301M
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032183
(22)【出願日】2021-03-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-08
(31)【優先権主張番号】202011024573.X
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】515190906
【氏名又は名称】南京大学
(71)【出願人】
【識別番号】521088479
【氏名又は名称】南京大学常高新国際環保産業技術研究院
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】呂路
(72)【発明者】
【氏名】王林平
(72)【発明者】
【氏名】▲るい▼傑
(72)【発明者】
【氏名】黄前霖
(72)【発明者】
【氏名】張▲うぇい▼銘
(72)【発明者】
【氏名】潘丙才
【テーマコード(参考)】
4D050
4G169
【Fターム(参考)】
4D050AA12
4D050AB34
4D050BA20
4D050BC01
4D050BC04
4D050BD02
4D050BD06
4D050BD08
4G169AA03
4G169AA15
4G169BC70A
4G169BC70B
4G169CA05
4G169CA08
4G169DA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】廃水中のピリジン複数環汚染物を効果的に分解できるだけでなく、フィラー吸収塔内のフィラーの損失を回避することもできる、ピリジン複数環式化合物の廃水処理システムおよびそのプロセスを提供する。
【解決手段】順に接続された廃液貯蔵タンク1、固定床反応器2、熱交換器3、フィラー吸収塔4および一次貯水タンク5を含み、ルテニウム基触媒を含む固定床反応器を設置することで、廃水中のピリジン複数環式化合物との還元反応を容易に引き起こし、ピリジン環中の窒素をアンモニアの形で分解し、廃水中のピリジン複数環汚染物を除去する。各反応分岐管の外部に2層らせん状保温ジャケットが設けられ、温度分布をより均一にし、熱による反応分岐管の側壁との直接接触により引き起こされる反応分岐管内の触媒局所的な焦げ、それによる触媒性能への影響を回避することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃液貯蔵タンク(1)と、
前記廃液貯蔵タンク(1)に接続された固定床反応器(2)と、
固定床反応器(2)に接続され、固定床反応器(2)の間に循環ループが構成される熱交
換器(3)と、
熱交換器(3)に接続され、水封タンク(6)を介してガソメーター(60)が接続され
るフィラー吸収塔(4)と、
フィラー吸収塔(4)に接続され、接続箇所に補水循環ポンプ(50)が設けられた一次
貯水タンク(5)と、を備え、
前記固定床反応器(2)と廃液貯蔵タンク(1)の接続箇所に、それぞれ流量計(20)
および廃液給料ポンプ(21)が設けられ、固定床反応器(2)は、内部に上から下へに
順に第1の反応チャンバー(220)、仕切りチャンバー(221)および第2の反応チ
ャンバー(222)が設けられた反応シェル(22)と、前記第1の反応チャンバー(2
20)および第2の反応チャンバー(222)内にそれぞれ設けられた反応管ラック(2
3)と、仕切りチャンバー(221)内に設けられた加熱素子(24)を含み、第1の反
応チャンバー(220)と第2の反応チャンバー(222)の側壁にそれぞれ廃水入口(
223)および排出バブル(224)が設けられ、第1の反応チャンバー(220)と第
2の反応チャンバー(222)の底端に出口(225)が設けられ、前記反応管ラック(
23)は、上部接続板(230)、下部接続板(231)、および前記上部接続板(23
0)と下部接続板(231)の間に位置し上下両端がそれぞれ前記上部接続板(230)
および下部接続板(231)を貫通して設けられた複数の反応分岐管(232)を含み、
各前記反応分岐管(232)内に垂直方向に沿って複数の案内板(2320)が交差して
分布され、反応分岐管(232)の外部に、内から外へそれぞれらせん状保温ジャケット
1(2321)およびらせん状保温ジャケット2(2322)が設けられ、前記らせん状
保温ジャケット1(2321)とらせん状保温ジャケット2(2322)の間にらせん状
保温加熱チャンバー(2323)が構成され、前記加熱素子(24)はそれぞれ各らせん
状保温加熱チャンバー(2323)の底端を貫通して接続され、
前記一次貯水タンク(5)は水封タンク(6)に水を供給し、かつ一次貯水タンク(5)
上に液面計(51)が設けられる、ことを特徴とするピリジン複数環式化合物の廃水処理
システム。
【請求項2】
前記第1の反応チャンバー(220)の第2の反応チャンバー(222)に対応する廃水
入口(223)の底端にそれぞれ均一化ディスク(226)が設けられ、各前記均一化デ
ィスク(226)の底端に、反応分岐管(232)と1対1に対応する差込口(2260
)が設けられ、各反応分岐管(232)の上端はそれぞれ上部接続板(230)を貫通し
て外部に延伸し、前記差込口(2260)は対応する反応分岐管(232)の上端の外壁
に差し込まれる、ことを特徴とする請求項1に記載のピリジン複数環式化合物の廃水処理
システム。
【請求項3】
前記第1の反応チャンバー(220)、仕切りチャンバー(221)および第2の反応チ
ャンバー(222)の側壁に、それぞれアクセスポート(227)が設けられ、各前記反
応分岐管(232)内にルテニウム基触媒が配置される、ことを特徴とする請求項1に記
載のピリジン複数環式化合物の廃水処理システム。
【請求項4】
前記廃液貯蔵タンク(1)内に、水平フィルター(10)が設けられ、廃液貯蔵タンク(
1)の底端の中心にスラッジ排出口(11)が設けられ、廃液貯蔵タンク(1)の底端は
円弧状の構造であり、且つ底端に前記スラッジ排出口(11)の周方向に沿って分布され
た複数本のスラッジ案内溝(110)が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の
ピリジン複数環式化合物の廃水処理システム。
【請求項5】
前記フィラー吸収塔(4)は、底端に空気入口(400)が設けられ上端に空気出口(4
01)が設けられる吸収シェル(40)、上から下へ順に前記吸収シェル(40)内に分
布されたスプレー部材(41)、フィラープレス部材(42)およびフィラー層(43)
を含み、前記フィラープレス部材(42)は、吸収シェル(40)の左右両側に対称的に
配置され側壁に上から下へに均一に複数の係合用円形穴(4200)が設けられた調節フ
レーム(420)、吸収シェル(40)内に設けられフィラー層(43)の上端に位置す
るプレスフレーム(421)、それぞれ吸収シェル(40)の外壁の左右両側に設けられ
前記プレスフレーム(421)の左右両側にそれぞれ固定に接続された2つの円弧状のバ
ックルプレート(422)を含み、前記吸収シェル(40)の側壁であって、2つの円弧
状のバックルプレート(422)の位置に垂直制限溝(402)が設けられ、前記円弧状
のバックルプレート(422)はスライドスリーブ(4220)を介して調節フレーム(
420)の外壁に接続され、且つ前記スライドスリーブ(4220)上に固定用円形穴(
4221)が設けられ、前記固定用円形穴(4221)は係合用円形穴(4200)とボ
ルトを介して接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のピリジン複数環式化合物の
廃水処理システム。
【請求項6】
前記垂直制限溝(402)の高さは、最上端と最下端の係合用円形穴(4200)間の距
離と等しく、円弧状のバックルプレート(422)の高さは垂直制限溝(402)の高さ
よりも高く、円弧状のバックルプレート(422)の内壁にシール密着層(4222)が
設けられる、ことを特徴とする請求項5に記載のピリジン複数環式化合物の廃水処理シス
テム。
【請求項7】
S1:廃水が廃液貯蔵タンク(1)に流入すると、水平フィルター(10)で廃水中の固
形不純物を濾過した後、廃液貯蔵タンク(1)に一時的に貯蔵されるステップと、
S2:加熱素子(24)を始動し、加熱素子(24)により固定床反応器(2)を加熱し
、この時、熱が各らせん状保温加熱チャンバー(2323)の底端を通ってその内部に流
れ込み、らせん状保温加熱チャンバー(2323)に沿ってらせん状に上向きに広がり、
らせん状保温ジャケット2(2322)は反応分岐管(232)から離れて配置され、熱
がらせん状保温ジャケット2(2322)を介して間接的に反応分岐管(232)に伝達
されてその内部を加熱でき、熱が直接反応分岐管(232)の側壁に接触し反応分岐管(
232)内の触媒の局所的な焦げを招き、その触媒性能に影響を与えることを回避するス
テップと、
S3:固定床反応器(2)内の温度が350℃に達したとき、30~60min安定させ
、廃液給料ポンプ(21)を始動し、廃液給料ポンプ(21)を使用して廃水を廃液貯蔵
タンク(1)から2つの廃水入口(223)を介して、それぞれ第1の反応チャンバー(
220)および第2の反応チャンバー(222)の内部の上端に汲み上げる同時に、固定
床触媒床層の温度の安定性を確保できるように、流量計(20)で汲上量を制御し、この
時、水流が均一化ディスク(226)の底端の差込口(2260)からそれぞれ様々な反
応分岐管(232)内に均一に分散し、廃水が反応分岐管(232)内のルテニウム基触
媒と反応し、還元反応後の水が熱交換器(3)に進入し、熱交換および冷却の後フィラー
吸収塔(4)に入り、フィラー吸収塔(4)内の水が反応後のアンモニアを吸収してアン
モニア水となり収集され、メタン、二酸化炭素を含むガスがガソメーターに入り貯蔵され
、処理後の水が一次貯水タンク(5)に進入し貯蔵されるステップと、
S4:上記の熱交換器(3)内の熱を回収し、固定床反応器(2)に再投入でき、水質検
出器(52)を使用して処理後の水質が基準を満たしたかどうかを検出し、基準を満たし
ていない場合、補水循環ポンプ(50)により水をフィラー吸収塔(4)に再度汲み上げ
るステップと、を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のシステムを
使用してピリジン複数環式化合物を含む廃水を処理するプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃水処理の技術分野に属し、具体的には、ピリジン複数環式化合物の廃水処理
システムおよびそのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
ピリジンおよびピリジン誘導体は非常に重要なクラスの微細化学原料または製品であり、
工業用溶剤、医薬品、農薬、飼料、染料、その他の分野で広く使用されており、複素環式
薬剤、農薬、獣用医薬品の「チップ」として知られている。その幅広い用途のために、ピ
リジンおよびピリジン誘導体は多くの産業廃水で検出することができる。ピリジンおよび
ピリジン誘導体は、しばしば悪臭を放ち、刺激性があり、それらのいくつかは、潜在的な
発癌効果、生体内蓄積または高い移動性を有し、人体および天然微生物に特定の毒性作用
を有するため、このような有機廃水を効率的に除去することができる重要である。
【0003】
リジン複素環式化合物の化学的性質が安定しているため、ピリジン複素環式化合物を含む
有機廃水を工業的に処理できる唯一の方法は焼却である。しかし、ピリジン環には窒素原
子が含まれているため、焼却処理時に大量のCO2が発生するだけでなく、大量のNOx
が発生するため、焼却炉の排気ガス処理負荷や排出濃度が高くなると同時に、焼却処理に
も大量のエネルギーが必要になり、ある程度、その欠点は焼却技術のさらなる開発を制限
する。したがって、ピリジン複数環式化合物の廃水処理の応用ニーズおよびピリジン複数
環式化合物の特性を考慮すると、高い処理効率、徹底的な分解、省エネおよび環境保護を
備えた廃水処理システムおよびそのプロセスの開発は、良好な応用展望が期待されている
。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、廃水中のピリジン複数環汚染物を効果的に分解できるだけでなく、フィ
ラー吸収塔内のフィラーの損失を回避することもできる、ピリジン複数環式化合物の廃水
処理システムおよびそのプロセスを提供することである。
【0005】
本発明の技術的解決策として、以下を含むピリジン複数環式化合物の廃水処理システムを
提供する。
廃液貯蔵タンクは、一時的に貯蔵された廃水を濾過・攪拌し、廃水中の大きな固形不純物
を除去し、不純物がパイプラインを詰まらせたり後続の機器に侵入したりして、洗浄の難
しさを増やすのを防ぐ一方、廃水を継続的に攪拌することにより、廃水の処理の遅れによ
る水底端の酸素不足に起因して、廃水の汚染を悪化させるのを回避することができる。
前記廃液貯蔵タンクに接続された固定床反応器は、廃液貯蔵タンクとの接続箇所にそれぞ
れ流量計および廃液給料ポンプが設けられ、前記流量計は電子流量計であり、流量計およ
び廃液給料ポンプが外部のインテリジェント制御素子に電気的に接続され、外部のインテ
リジェント制御素子は、流量計の水流の大きさを検知し、廃液給料ポンプのオンオフを制
御し、同時に、明細書におkる他の電気素子も外部のインテリジェント制御素子に電気的
に接続され、固定床反応器は、内部に上から下へ順に第1の反応チャンバー、仕切りチャ
ンバーおよび第2の反応チャンバーを含む反応シェルと、それぞれ前記第1の反応チャン
バーと第2の反応チャンバー内に設けられた反応管ラックと、仕切りチャンバー内に設け
られた加熱素子とを含み、第1の反応チャンバーおよび第2の反応チャンバーの側壁にそ
れぞれ廃水入口と排出バブルが設けられ、第1の反応チャンバーおよび第2の反応チャン
バーの底端に出口が設けられ、第1の反応チャンバーおよび第2の反応チャンバーは2バ
ッチで廃水を同時に処理し、廃水の処理効率を高める。
【0006】
前記反応管ラックは、上部接続板、下部接続板および前記上部接続板と下部接続板間に位
置し上下両端がそれぞれ前記上部接続板および下部接続板を貫通して設けられた複数の反
応分岐管を含み、各前記反応分岐管内に垂直方向に沿って複数の案内板が交差して分布さ
れ、反応分岐管の外部に内から外へそれぞれらせん状保温ジャケット1およびらせん状保
温ジャケット2が設けられ、前記らせん状保温ジャケット1とらせん状保温ジャケット2
間にらせん状保温加熱チャンバーが構成され、らせん状保温加熱チャンバーの設置により
、熱が直接反応分岐管内の触媒に直接接触し、接触箇所の温度が高すぎて局所的な焦げ現
象が引き起こされ、触媒の触媒性能に影響を与え、廃水処理システム全体の処理効果を低
下させるのを回避する。
【0007】
前記加熱素子はそれぞれ各らせん状保温加熱チャンバーの底端に貫通して接続される。
固定床反応器に接続された熱交換器は、固定床反応器との間で循環ループを形成し、循環
ループの設計により、触媒反応処理後の水が熱交換器熱で交換され、水の熱を収集し、循
環ループ重新を介して固定床反応器内に流れ込んで再利用でき、省エネおよび環境保護と
いう利点を有する。
【0008】
熱交換器に接続されたフィラー吸収塔は、水封タンクを介してガソメーターが接続される
。
フィラー吸収塔に接続され接続箇所に補水循環ポンプが設けられた一次貯水タンクは、水
封タンクに水を供給し、一次貯水タンクに液面計が設けられる。
【0009】
さらに、前記第1の反応チャンバーの第2の反応チャンバーに対応する廃水入口の底端に
それぞれ均一化ディスクが設けられ、各前記均一化ディスクの底端に、反応分岐管と1対
1に対応する差込口が設けられ、各反応分岐管の上端はそれぞれ上部接続板を貫通して外
部に延伸し、前記差込口は対応する反応分岐管の上端の外壁に差し込まれ、均一化ディス
クにより、第1の反応チャンバーおよび第2の反応チャンバー内に進入した廃水が反応管
ラックの上端に均一に分布され、同時に、各反応分岐管の上端が対応する差込口に接続さ
れ、廃水が均一に分布される同時に、より正確に対応する反応分岐管内に進入でき、廃水
の処理効果を高め、廃水が固定床反応器の内壁にこぼれて内部デバイスの汚染を引き起こ
すのを回避する。
【0010】
さらに、前記第1の反応チャンバー、仕切りチャンバーおよび第2の反応チャンバーの側
壁に、それぞれアクセスポートが設けられ、各前記反応分岐管内にそれぞれルテニウム基
触媒が配置され、ピリジン複数環式化合物が酸化されにくいが、容易に還元され、還元反
応しやすいルテニウム基触媒を選択し、ピリジン環中の窒素をアンモニアの形で脱出し、
その他の炭素、水素、酸素原子もCO2、CH4、H2Oの形で放出され、廃水中のピリ
ジン複数環汚染物を除去する目的を達成し、アクセスポートの設置により各前記反応分岐
管内に配置されたルテニウム基触媒を必要に応じて交換し、廃水の処理効果を高める。
さらに、前記廃液貯蔵タンク内に水平フィルターが設けられ、廃液貯蔵タンクの底端の中
心にスラッジ排出口が設けられ、廃液貯蔵タンクの底端は円弧状の構造であり、且つ底端
に前記スラッジ排出口の周方向に沿って分布された複数本のスラッジ案内溝が設けられ、
水平フィルターにより廃水中の固形不純物を濾過し、スラッジ排出口の周方向に沿って分
布された複数本のスラッジ案内溝により、廃水中の沈殿したスラッジが各スラッジ案内溝
を介してスラッジ排出口に案内されて排出され、スラッジ排出効率を高める。
【0011】
さらに、前記フィラー吸収塔は、底端に空気入口が設けられ上端に空気出口が設けられた
吸収シェル、上から下へ順に前記吸収シェル内に分布されたスプレー部材、フィラープレ
ス部材およびフィラー層を含み、前記フィラープレス部材は、吸収シェルの左右両側に対
称的に設けられ側壁に上から下へに複数の係合用円形穴が均一に設けられた調節フレーム
、吸収シェル内であってフィラー層の上端に位置するプレスフレーム、それぞれ吸収シェ
ルの外壁の左右両側に設けられ前記プレスフレームの左右両側にそれぞれ固定に接続され
た2つの円弧状のバックルプレートを含み、前記吸収シェルの側壁であって2つの円弧状
のバックルプレートの位置に垂直制限溝が設けられ、前記円弧状のバックルプレートはス
ライドスリーブを介して調節フレームの外壁に接続され、前記スライドスリーブ上に固定
用円形穴が設けられ、前記固定用円形穴が係合用円形穴とボルトを介して接続され、スラ
イドスリーブの調節フレームからの高さを調節することで、プレスフレームとフィラー層
間の距離を調節し、フィラー層を交換する必要があると、スライドスリーブを調節フレー
ム上で上向きに移動させ、ボルトを対応の高さの固定用円形穴と係合用円形穴に挿入して
固定を行い、プレスフレームとフィラー層を分離した後交換を行い、交換が完了すると、
スライドスリーブを調節フレーム上で下向きに移動させ、ボルトを対応の高さの固定用円
形穴と係合用円形穴に挿入して固定を行い、プレスフレームでフィラー層をプレスし、フ
ィラー吸収塔の下から上昇する気流が大きい場合でも、プレスフレームがずれず、フィラ
ー層を十分にプレスすることができる。
【0012】
さらに、前記垂直制限溝の高さは、最上端と最下端の係合用円形穴間の距離と等しく、円
弧状のバックルプレートの高さが垂直制限溝の高さよりも高く、円弧状のバックルプレー
トの内壁にシール密着層が設けられ、長さが垂直制限溝よりも大きい円弧状のバックルプ
レートを設置することで、プレスフレームの上下移動中、垂直制限溝が遮断されず、空気
漏れが発生し、フィラー吸収塔の通常使用に影響を与えるのを回避することができる。
またさらに、前記一次貯水タンク内に水質検出器、攪拌素子が設けられ、前記攪拌素子は
既存の攪拌パドルであればよく、水質検出器により、処理された水の質が基準を満たして
いるかどうかを検出し、二次汚染を防止し、攪拌素子により、処理された水を攪拌して、
処理の遅れによる水の底端の酸素不足に起因する二次汚染を回避することができる。
【0013】
上記のピリジン複数環式化合物の廃水処理システムのプロセスは、具体的に以下のステッ
プを含む。
S1:廃水が廃液貯蔵タンクに流入すると、水平フィルターで廃水中の固形不純物を濾過
した後、廃液貯蔵タンクに一時的に貯蔵される。
S2:加熱素子を始動し、加熱素子により固定床反応器を加熱し、この時、熱が各らせん
状保温加熱チャンバーの底端を通ってその内部に流れ込み、らせん状保温加熱チャンバー
に沿ってらせん状に上向きに広がり、らせん状保温ジャケット2は反応分岐管から離れて
配置され、熱がらせん状保温ジャケット2を介して間接的に反応分岐管に伝達されてその
内部を加熱でき、熱が直接反応分岐管の側壁に接触し反応分岐管内の触媒の局所的な焦げ
を招き、その触媒性能に影響を与えることを回避する。
S3:固定床反応器内の温度が350℃に達したとき、30~60min安定させ、廃液
給料ポンプを始動し、廃液給料ポンプを使用して廃水を廃液貯蔵タンクから2つの廃水入
口を介して、それぞれ第1の反応チャンバーおよび第2の反応チャンバーの内部の上端に
汲み上げる同時に、固定床触媒床層の温度の安定性を確保できるように、流量計で汲上量
を制御し、この時、水流が均一化ディスクの底端の差込口からそれぞれ様々な反応分岐管
内に均一に分散し、廃水が反応分岐管内のルテニウム基触媒と反応し、還元反応後の水が
熱交換器に進入し、熱交換および冷却の後フィラー吸収塔に入り、フィラー吸収塔内の水
が反応後のアンモニアを吸収してアンモニア水となり収集され、メタン、二酸化炭素を含
むガスがガソメーターに入り貯蔵され、処理後の水が一次貯水タンクに進入し貯蔵される
。
S4:上記の熱交換器内の熱を回収し、固定床反応器に再投入でき、水質検出器を使用し
て処理後の水質が基準を満たしたかどうかを検出し、基準を満たしていない場合、補水循
環ポンプにより水をフィラー吸収塔に再度汲み上げればよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以下の有益な効果を有する。
(1)本発明のピリジン複数環式化合物は、ルテニウム基触媒の固定床反応器で還元反応
を起こし、ピリジン環中の窒素をアンモニアの形で脱出し、そのほかの炭素、水素、酸素
原子もCO2、CH4、H2Oの形で放出され、廃水中のピリジン複数環汚染物を効果的
に分解し、ピリジン複数環を含む有機廃水の処理が難しい業界の問題を解決するとともに
、本発明のシステムは高い処理効率、徹底的な分解および省エネおよび環境保護という利
点を有するため、広い分野で応用され得る。
(2)本発明の固定床反応器内に2つの反応チャンバーが設けられ、廃水を2バッチで別
々に処理する同時に、各反応チャンバー内にルテニウム基触媒を含む複数の反応分岐管が
設けられ、各反応分岐管の上端が対応する差込口に接続され、廃水が均一に分布される同
時に、対応する反応分岐管内により正確に進入でき、廃水の処理効果を高め、廃水が固定
床反応器の内壁にこぼれて内部デバイスの汚染が発生するのを回避し、各反応分岐管の外
部にまた2層のらせん状保温ジャケットが設けられ、温度の分布がより均一にし、熱が直
接反応分岐管の側壁に直接接触するによる反応分岐管内の触媒局所的な焦げを引き起こし
、その触媒性能に影響することを回避し、らせん状の保温ジャケットにより、熱がらせん
状保温加熱チャンバーを通過する時間を延長し、十分な加熱を確保する。
(3)本発明の各反応分岐管内に垂直方向に沿って複数の案内板が交差して分布され、案
内板の設置により、廃水が十分な滞留時間で反応分岐管を通過し、その内部の汚染物を完
全に分解することができる。
(4)本発明は、フィラー吸収塔内にプレスフレームを設ける同時に、プレスフレームと
フィラー層間の距離を調節可能であるため、フィラー吸収塔の下から上昇する気流が大き
い場合でも、プレスフレームのずれによるフィラーの損失を引き起こし問題を回避するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本発明の廃液貯蔵タンクの内部上面図である。
【
図3】本発明の固定床反応器の内部構造の概略図である。
【
図5】本発明のフィラー吸収塔の構造概略図である。
【
図6】本発明の円弧状のバックルプレートの構造概略図である。
【0016】
[符号の説明]
1 廃液貯蔵タンク
10 水平フィルター
11 スラッジ排出口
110 スラッジ案内溝
2 固定床反応器
20 流量計
21 廃液給料ポンプ
22 反応シェル
220 第1の反応チャンバー
221 仕切りチャンバー
222 第2の反応チャンバー
223 廃水入口
224 排出バブル
225 出口
226 均一化ディスク
2260 差込口
227 アクセスポート
23 反応管ラック
230 上部接続板
231 下部接続板
232 反応分岐管
2320 案内板
2321 らせん状保温ジャケット1
2322 らせん状保温ジャケット2
2323 らせん状保温加熱チャンバー
24 加熱素子
3 熱交換器
4 フィラー吸収塔
40 吸収シェル
400 空気入口
401 空気出口
402 垂直制限溝
41 スプレー部材
42 フィラープレス部材
420 調節フレーム
4200 係合用円形穴
421 プレスフレーム
422 円弧状のバックルプレート
4220 スライドスリーブ
4221 固定用円形穴
4222 シール密着層
43 フィラー層
5 一次貯水タンク
50 補水循環ポンプ
51 液面計
52 水質検出器
53 攪拌素子
6 水封タンク
60 ガソメーター
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施例1
ピリジン複数環式化合物の廃水処理システムは、以下を含む:
廃液貯蔵タンク1は、その内部に水平フィルター10が設けられ、廃液貯蔵タンク1の底
端の中心にスラッジ排出口11が設けられ、廃液貯蔵タンク1の底端は円弧状の構造であ
り、底端にスラッジ排出口11の周方向の沿って分布された複数本のスラッジ案内溝11
0が設けられ、
廃液貯蔵タンク1に接続された固定床反応器2は、廃液貯蔵タンク1との接続箇所にそれ
ぞれ流量計20および廃液給料ポンプ21が設けられ、固定床反応器2は、内部に上から
下へ順に第1の反応チャンバー220、仕切りチャンバー221および第2の反応チャン
バー222が設けられた反応シェル22、それぞれ第1の反応チャンバー220および第
2の反応チャンバー222内に設けられた反応管ラック23、仕切りチャンバー221内
に設けられた加熱素子24を含み、第1の反応チャンバー220および第2の反応チャン
バー222の側壁に廃水入口223と排出バブル224が設けられ、第1の反応チャンバ
ー220と第2の反応チャンバー222の底端に出口225が設けられ、
反応管ラック23は上部接続板230、下部接続板231および上部接続板230と下部
接続板231間に位置し上下両端がそれぞれ上部接続板230および下部接続板231を
貫通して設けられた複数の反応分岐管232を含み、各反応分岐管232内に垂直方向に
沿って複数の案内板2320が交差して分布され、反応分岐管232の外部に内から外へ
それぞれらせん状保温ジャケット1 2321およびらせん状保温ジャケット2 232
2が設けられ、らせん状保温ジャケット1 2321とらせん状保温ジャケット2 23
22間でらせん状保温加熱チャンバー2323が構成され、
加熱素子24はそれぞれ各らせん状保温加熱チャンバー2323の底端を貫通して接続さ
れ、第1の反応チャンバー220の第2の反応チャンバー222に対応する廃水入口22
3の底端にそれぞれ均一化ディスク226が設けられ、各均一化ディスク226の底端に
反応分岐管232と1対1に対応する差込口2260が設けられ、各反応分岐管232の
上端がそれぞれ上部接続板230を貫通して外部に延伸し、差込口2260が対応する反
応分岐管232の上端の外壁に差し込まれ、
固定床反応器2に接続された熱交換器3は、固定床反応器2との間で循環ループが構成さ
れ、第1の反応チャンバー220、仕切りチャンバー221および第2の反応チャンバー
222の側壁にそれぞれアクセスポート227が設けられ、各反応分岐管232内にニッ
ケル触媒が配置され、
熱交換器3に接続されたフィラー吸収塔4は、水封タンク6を介してガソメーター60が
接続され、フィラー吸収塔4は既存のフィラー吸収塔を採用し、
フィラー吸収塔4に接続され接続箇所に補水循環ポンプ50が設けられた一次貯水タンク
5は、水封タンク6に水を供給し、一次貯水タンク5上に液面計51が設けられ、一次貯
水タンク5内に水質検出器52および攪拌素子53が設けられ、攪拌素子53は既存の攪
拌パドルであればよい。
【0018】
上記ピリジン複数環式化合物の廃水処理システムのプロセスは、具体的に以下のステップ
を含む:
S1:廃水が廃液貯蔵タンク1に流入すると、水平フィルター10で廃水中の固形不純物
を濾過した後、廃液貯蔵タンク1に一時的に貯蔵される、
S2:加熱素子24を始動し、加熱素子24により固定床反応器2を加熱し、この時、熱
が各らせん状保温加熱チャンバー2323の底端を通ってその内部に流れ込み、らせん状
保温加熱チャンバー2323に沿ってらせん状に上向きに広がり、らせん状保温ジャケッ
ト2 2322は反応分岐管232から離れて配置され、熱がらせん状保温ジャケット2
2322を介して間接的に反応分岐管232に伝達されてその内部を加熱でき、熱が直
接反応分岐管232の側壁に接触し反応分岐管232内の触媒の局所的な焦げを招き、そ
の触媒性能に影響を与えることを回避する、
S3:固定床反応器2内の温度が250℃に達したとき、30min安定させ、廃液給料
ポンプ21を始動し、廃液給料ポンプ21を使用して廃水を廃液貯蔵タンク1から2つの
廃水入口223を介して、それぞれ第1の反応チャンバー220および第2の反応チャン
バー222の内部の上端に汲み上げる同時に、固定床触媒床層の温度の安定性を確保でき
るように、流量計20で汲上量を制御し、この時、水流が均一化ディスク226の底端の
差込口2260からそれぞれ様々な反応分岐管232内に均一に分散し、廃水が反応分岐
管232内のルテニウム基触媒と反応し、還元反応後の水が熱交換器3に進入し、熱交換
および冷却の後フィラー吸収塔4に入り、フィラー吸収塔4内の水が反応後のアンモニア
を吸収してアンモニア水となり収集され、メタン、二酸化炭素を含むガスがガソメーター
に入り貯蔵され、処理後の水が一次貯水タンク5に進入し貯蔵される、
S4:上記の熱交換器3内の熱を回収し、固定床反応器2に再投入でき、水質検出器52
を使用して処理後の水質が基準を満たしたかどうかを検出し、基準を満たしていない場合
、補水循環ポンプ50により水をフィラー吸収塔4に再度汲み上げればよい。
既存のフィラー吸収塔4を使用して廃水を処理する場合、
【0019】
実施例2
本実施例は以下のところを除いて実施例1とほぼ同じである。
フィラー吸収塔4は、底端に空気入口400が設けられ上端に空気出口401が設けられ
た吸収シェル40、上から下へ順に吸収シェル40内に分布されたスプレー部材41、フ
ィラープレス部材42およびフィラー層43を含み、フィラープレス部材42は、吸収シ
ェル40の左右両側に対称的に設けられ側壁に上から下へ複数の係合用円形穴4200が
均一に設けられた調節フレーム420、吸収シェル40内に設けられフィラー層43の上
端に位置するプレスフレーム421、それぞれ吸収シェル40の外壁の左右両側に設けら
れプレスフレーム421の左右両側にそれぞれ固定に接続された2つの円弧状のバックル
プレート422を含み、吸収シェル40の側壁であって2つの円弧状のバックルプレート
422の位置に垂直制限溝402が設けられ、円弧状のバックルプレート422はスライ
ドスリーブ4220を介して調節フレーム420の外壁に接続され、スライドスリーブ4
220上に固定用円形穴4221が設けられ、固定用円形穴4221は係合用円形穴42
00とボルトを介して接続され、
垂直制限溝402の高さは最上端と最下端の係合用円形穴4200間の距離と等しく、円
弧状のバックルプレート422の高さが垂直制限溝402の高さよりも大きく、円弧状の
バックルプレート422の内壁にシール密着層4222が設けられる。
上記フィラー吸収塔4は以下のように動作する:
スライドスリーブ4220の調節フレーム420からの高さを調節することで、プレスフ
レーム421とフィラー層43間の距離を調節し、フィラー層43を交換する必要がある
と、スライドスリーブ4220を調節フレーム420上で上向きに移動させ、ボルトを対
応の高さの固定用円形穴4221と係合用円形穴4200に挿入して固定を行い、プレス
フレーム421とフィラー層43を分離した後交換を行い、交換が完了すると、スライド
スリーブ4220を調節フレーム420上で下向きに移動させ、ボルトを対応の高さの固
定用円形穴4221と係合用円形穴4200に挿入して固定を行い、プレスフレーム42
1でフィラー層43をプレスし、フィラー吸収塔4の下から上昇する気流が大きい場合で
も、プレスフレーム421がずれない。
上記の実施例1~2の結果を統計学的に分析したところ、廃水中の汚染物の処理効果に対
する異なるフィラー吸収塔4の影響を得て、具体的には以下の通りである。
結論1:従来の市販されているフィラー吸収塔4を使用する時、フィラー吸収塔4の下か
ら上昇する気流が大きい場合、その内部フィラーが損失しやすい問題があるため、廃水中
の汚染物の全体的な除去率はわずか46.23%であるが、本願のフィラー吸収塔4は内
部にプレスフレームがある同時に、プレスフレームとフィラー層間の距離が調節可能であ
り、フィラーの損失可能性を大幅に低減できるため、廃水中の汚染物の全体的な除去率は
59.6%である。
【0020】
実施例3
本実施例は以下のことを除いて実施例2とほぼ同じである。
各反応分岐管232内に配置された触媒はルテニウム基触媒であり、廃水中のピリジン複
数環式化合物の除去率は76.58%である。
上記の実施例2~3の結果を統計的に分析したところ、廃水中の主要汚染物であるピリジ
ン複数環式化合物の処理効果に対する様々な触媒の影響を得、具体的な結論は以下の通り
である。
結論2:その他の機器およびパラメータが同じである場合、ニッケル触媒による廃水中の
主要汚染物であるピリジン複数環式化合物に対する除去率は59.6%であり、ルテニウ
ム基触媒による廃水中の主要汚染物であるピリジン複数環式化合物に対する除去率は76
.58%であるため、ルテニウム基触媒を使用した場合の効果がより高い。
【0021】
実施例4
本実施例は以下のことを除いて実施例3とほぼ同じである。
加熱素子24の固定床反応器2に対する加熱温度が300℃であり、安定時間が30mi
nであり、廃水中のピリジン複数環式化合物の除去率が78.26%であった。
【0022】
実施例5
本実施例は以下のことを除いて実施例4とほぼ同じである。
加熱素子24の固定床反応器2に対する加熱温度が320℃であり、安定時間が30mi
nであり、廃水中のピリジン複数環式化合物の除去率が80.12%であった。
【0023】
実施例6
本実施例は以下のことを除いて実施例4とほぼ同じである。
加熱素子24の固定床反応器2に対する加熱温度が350℃であり、安定時間が30mi
nであり、廃水中のピリジン複数環式化合物の除去率が89.36%であった。
【0024】
実施例7
本実施例は以下のことを除いて実施例4とほぼ同じである。
加熱素子24の固定床反応器2に対する加熱温度が400℃であり、安定時間が30mi
nであり、廃水中のピリジン複数環式化合物の除去率が68.12%であった。
上記の実施例4~7の結果を統計的に分析したところ、廃水中の主要汚染物であるピリジ
ン複数環式化合物の処理効果に対する異なる加熱温度の影響を得て、具体的な結論は以下
の通りである。
結論3:その他の機器および関連するパラメータが一定の場合、加熱温度が上昇すると、
廃水中の主要汚染物であるピリジン複数環式化合物の除去率が徐々に増加し、加熱温度が
350℃の場合、除去率が最大に達し、具体的には89.36%であり、その後、温度の
さらなる上昇につれて、廃水中のピリジン複数環式化合物の除去率が徐々に低下するため
、加熱温度が350℃の場合、加熱温度が最大に達した。
【0025】
実施例8
本実施例は以下のことを除いて実施例6とほぼ同じである。
固定床反応器2を加熱した後、安定時間が45minであり、廃水中のピリジン複数環式
化合物の除去率が90.13%であった。
【0026】
実施例9
本実施例は以下のことを除いて実施例6とほぼ同じである。
固定床反応器2を加熱した後、安定時間が50minであり、廃水中のピリジン複数環式
化合物の除去率が91.16%であった。
【0027】
実施例10
本実施例は以下のことを除いて実施例6とほぼ同じである。
固定床反応器2を加熱した後、安定時間が55minであり、廃水中のピリジン複数環式
化合物の除去率が93.26%であった。
【0028】
実施例11
本実施例は以下のことを除いて実施例6とほぼ同じである。
固定床反応器2を加熱した後、安定時間が60minであり、廃水中のピリジン複数環式
化合物の除去率が96.58%であった。
【0029】
実施例12
本実施例は以下のことを除いて実施例6とほぼ同じである。
固定床反応器2を加熱した後、安定時間が65minであり、廃水中のピリジン複数環式
化合物の除去率が86.95%であった。
【0030】
実施例13
本実施例は以下のことを除いて実施例6とほぼ同じである。
固定床反応器2を加熱した後、安定時間が70minであり、廃水中のピリジン複数環式
化合物の除去率が76.56%であった。
上記の実施例8~13の結果を統計的に分析したところ、廃水中の主要汚染物であるピリ
ジン複数環式化合物の処理効果に対する様々な温度および時間の影響を得て、具体的な結
論は以下の通りである。
結論4:その他の機器および関連するパラメータが一定の場合、安定時間の増加につれて
、廃水中の主要汚染物であるピリジン複数環式化合物の除去率が徐々に増加し、安定時間
が60minの場合、ピリジン複数環式化合物の除去率が最大に達し、具体的に96.5
8%であり、安定時間が60minを超えると、ピリジン複数環式化合物の除去率が徐々
に低下し、これは、安定時間が長くなるほど温度が上昇し続け、最適な加熱温度を超える
と、ピリジン複数環式化合物の除去率が低下するため、最適な安定時間が60minであ
る。
【0031】
試験例
350℃の温度条件下で、本実施例の廃水処理システムおよび従来の廃水処理システムを
使用して、ピリジン有機物の同量の廃水をそれぞれ処理し、処理時間が2hであり、ピリ
ジン有機物を含む廃水の検出指標パラメータテーブルは表1に示され、両者の廃水処理性
能の比較表は表2に示される。
表1:ピリジン有機物を含む廃水の検出指標パラメータテーブル
【0032】
【0033】
表2:本実施例のシステムと従来技術システムの廃水処理性能の比較表
【0034】
【0035】
以上のように、同じ温度で、本実施例の廃水処理システムおよび従来技術の廃水処理シス
テムを使用して、同じピリジン有機物を含む廃水を同じ時間で処理する場合、本実施例の
効果は従来技術の廃水処理効果よりも著しく良好であることが分かる。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃液貯蔵タンク(1)と、
前記廃液貯蔵タンク(1)に接続され、ルテニウム触媒またはニッケル触媒が固定されて
いる固定床反応器(2)と、
固定床反応器(2)に接続され、固定床反応器(2)の間に循環ループが構成される熱交
換器(3)と、
熱交換器(3)に接続され、水封タンク(6)を介してガソメーター(60)が接続され
るアンモニアを吸収するフィラー吸収塔(4)と、
フィラー吸収塔(4)に接続され、接続箇所に補水循環ポンプ(50)が設けられた一次
貯水タンク(5)と、を備え、
前記固定床反応器(2)と廃液貯蔵タンク(1)の接続箇所に、それぞれ流量計(20)
および廃液汲み上げポンプ(21)が設けられ、固定床反応器(2)は、内部に上から下
へに順に第1の反応チャンバー(220)、仕切りチャンバー(221)および第2の反
応チャンバー(222)が設けられた反応シェル(22)と、前記第1の反応チャンバー
(220)および第2の反応チャンバー(222)内にそれぞれ設けられた反応管ラック
(23)と、仕切りチャンバー(221)内に設けられた加熱素子(24)を含み、第1
の反応チャンバー(220)と第2の反応チャンバー(222)の側壁にそれぞれ廃水入
口(223)および排出バブル(224)が設けられ、第1の反応チャンバー(220)
と第2の反応チャンバー(222)の底端に出口(225)が設けられ、前記反応管ラッ
ク(23)は、上部接続板(230)、下部接続板(231)、および前記上部接続板(
230)と下部接続板(231)の間に位置し上下両端がそれぞれ前記上部接続板(23
0)および下部接続板(231)を貫通して設けられた複数の反応分岐管(232)を含
み、各前記反応分岐管(232)内に垂直方向に沿って複数の案内板(2320)が交差
して分布され、反応分岐管(232)の外部に、内から外へそれぞれらせん状保温ジャケ
ット1(2321)およびらせん状保温ジャケット2(2322)が設けられ、前記らせ
ん状保温ジャケット1(2321)とらせん状保温ジャケット2(2322)の間にらせ
ん状保温加熱チャンバー(2323)が構成され、前記加熱素子(24)はそれぞれ各ら
せん状保温加熱チャンバー(2323)の底端を貫通して接続され、
前記一次貯水タンク(5)は水封タンク(6)に水を供給し、かつ一次貯水タンク(5)
上に液面計(51)が設けられ、
各反応分岐管内(232)に触媒が配置され、前記触媒はニッケル触媒またはルテニウム
触媒であり、
前記フィラー吸収塔(4)は、底端に空気入口(400)が設けられ上端に空気出口(4
01)が設けられる吸収シェル(40)、上から下へ順に前記吸収シェル(40)内に分
布されたスプレー部材(41)、フィラープレス部材(42)およびフィラー層(43)
を含み、前記フィラープレス部材(42)は、吸収シェル(40)の左右両側に対称的に
配置され側壁に上から下へに均一に複数の係合用円形穴(4200)が設けられた調節フ
レーム(420)、吸収シェル(40)内に設けられフィラー層(43)の上端に位置す
るプレスフレーム(421)、それぞれ吸収シェル(40)の外壁の左右両側に設けられ
前記プレスフレーム(421)の左右両側にそれぞれ固定に接続された2つの円弧状のバ
ックルプレート(422)を含み、前記吸収シェル(40)の側壁であって、2つの円弧
状のバックルプレート(422)の位置に垂直制限溝(402)が設けられ、前記円弧状
のバックルプレート(422)はスライドスリーブ(4220)を介して調節フレーム(
420)の外壁に接続され、且つ前記スライドスリーブ(4220)上に固定用円形穴(
4221)が設けられ、前記固定用円形穴(4221)は係合用円形穴(4200)とボ
ルトを介して接続される、
ことを特徴とするピリジン複数環式化合物の廃水処理システム。
【請求項2】
前記第1の反応チャンバー(220)の第2の反応チャンバー(222)に対応する廃水
入口(223)の底端にそれぞれ均一化ディスク(226)が設けられ、各前記均一化デ
ィスク(226)の底端に、反応分岐管(232)と1対1に対応する差込口(2260
)が設けられ、各反応分岐管(232)の上端はそれぞれ上部接続板(230)を貫通し
て外部に延伸し、前記差込口(2260)は対応する反応分岐管(232)の上端の外壁
に差し込まれる、ことを特徴とする請求項1に記載のピリジン複数環式化合物の廃水処理
システム。
【請求項3】
前記第1の反応チャンバー(220)、仕切りチャンバー(221)および第2の反応チ
ャンバー(222)の側壁に、それぞれアクセスポート(227)が設けられ、各前記反
応分岐管(232)内にルテニウム基触媒が配置される、ことを特徴とする請求項1に記
載のピリジン複数環式化合物の廃水処理システム。
【請求項4】
前記廃液貯蔵タンク(1)内に、水平フィルター(10)が設けられ、廃液貯蔵タンク(
1)の底端の中心にスラッジ排出口(11)が設けられ、廃液貯蔵タンク(1)の底端は
円弧状の構造であり、且つ底端に前記スラッジ排出口(11)の周方向に沿って分布され
た複数本のスラッジ案内溝(110)が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の
ピリジン複数環式化合物の廃水処理システム。
【請求項5】
前記垂直制限溝(402)の高さは、最上端と最下端の係合用円形穴(4200)間の距
離と等しく、円弧状のバックルプレート(422)の高さは垂直制限溝(402)の高さ
よりも高く、円弧状のバックルプレート(422)の内壁にシール密着層(4222)が
設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のピリジン複数環式化合物の廃水処理シス
テム。
【請求項6】
S1:廃水が廃液貯蔵タンク(1)に流入すると、水平フィルター(10)で廃水中の固
形不純物を濾過した後、廃液貯蔵タンク(1)に一時的に貯蔵されるステップと、
S2:加熱素子(24)を始動し、加熱素子(24)により固定床反応器(2)を加熱し
、この時、熱が各らせん状保温加熱チャンバー(2323)の底端を通ってその内部に流
れ込み、らせん状保温加熱チャンバー(2323)に沿ってらせん状に上向きに広がり、
らせん状保温ジャケット2(2322)は反応分岐管(232)から離れて配置され、熱
がらせん状保温ジャケット2(2322)を介して間接的に反応分岐管(232)に伝達
されてその内部を加熱でき、熱が直接反応分岐管(232)の側壁に接触し反応分岐管(
232)内の触媒の局所的な焦げを招き、その触媒性能に影響を与えることを回避するス
テップと、
S3:固定床反応器(2)内の温度が350℃に達したとき、30~60min安定させ
、廃液汲み上げポンプ(21)を始動し、廃液汲み上げポンプ(21)を使用して廃水を
廃液貯蔵タンク(1)から2つの廃水入口(223)を介して、それぞれ第1の反応チャ
ンバー(220)および第2の反応チャンバー(222)の内部の上端に汲み上げると同
時に、固定床触媒床層の温度の安定性を確保できるように、流量計(20)で汲上量を制
御し、この時、水流が均一化ディスク(226)の底端の差込口(2260)からそれぞ
れ様々な反応分岐管(232)内に均一に分散し、廃水が反応分岐管(232)内のルテ
ニウム基触媒と反応し、還元反応後の水が熱交換器(3)に進入し、熱交換および冷却の
後フィラー吸収塔(4)に入り、フィラー吸収塔(4)内の水が反応後のアンモニアを吸
収してアンモニア水となり収集され、メタン、二酸化炭素を含むガスがガソメーターに入
り貯蔵され、処理後の水が一次貯水タンク(5)に進入し貯蔵されるステップと、
S4:上記の熱交換器(3)内の熱を回収し、固定床反応器(2)に再投入でき、水質検
出器(52)を使用して処理後の水質が基準を満たしたかどうかを検出し、基準を満たし
ていない場合、補水循環ポンプ(50)により水をフィラー吸収塔(4)に再度汲み上げ
るステップと、を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のシステムを
使用してピリジン複数環式化合物を含む廃水を処理するプロセス。