(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054444
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】商品展示装置
(51)【国際特許分類】
A47F 5/11 20060101AFI20220330BHJP
A47F 5/00 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
A47F5/11
A47F5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154118
(22)【出願日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2020160335
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000133157
【氏名又は名称】株式会社TANAX
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】仲島 浩司
(72)【発明者】
【氏名】中尾 信太郎
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118FA05
3B118GA02
3B118GA04
3B118GA28
3B118GA34
(57)【要約】
【課題】配送されてきた商品をすぐに店頭に展示することができる商品展示装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る商品展示装置は、矩形状の背板111と、前記背板111の前面に取り付けられている商品取付部40と、前記背板111の左辺、右辺、上辺、及び下辺にそれぞれ延設された左折返し部112、右折返し部113、上折返し部114、及び下折返し部115とを備え、前記左折返し部112の左右方向の長さ及び前記右折返し部113の左右方向の長さが、いずれも前記背板111の左右方向の長さよりも小さく、且つ、前記左折返し部112の左右方向の長さと前記右折返し部113の左右方向の長さの合計が前記背板111の左右方向の長さよりも大きいことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の背板と、
前記背板の前面に取り付けられている商品取付部と、
前記背板の左辺、右辺、上辺、及び下辺にそれぞれ延設された左折返し部、右折返し部、上折返し部、及び下折返し部とを備え、
前記左折返し部の左右方向の長さ及び前記右折返し部の左右方向の長さが、いずれも前記背板の左右方向の長さよりも小さく、且つ、前記左折返し部の左右方向の長さと前記右折返し部の左右方向の長さの合計が前記背板の左右方向の長さよりも大きいことを特徴とする、商品展示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の商品展示装置において、
前記左折返し部及び前記右折返し部に、それぞれ前記背板の左辺及び右辺に平行な折目が設けられており、
前記左折返し部の折目から前記背板の左辺までの長さと前記右折返し部の折目から前記背板の右辺までの長さが等しく、且つ、前記左折返し部の折目から先端までの長さ、及び前記右折返し部の折目から先端までの長さの合計が、前記背板の左右方向の長さと同じか、それよりも大きいことを特徴とする、商品展示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の商品展示装置において、
前記背板、前記左折返し部、前記右折返し部、前記上折返し部、及び前記下折返し部が、1枚の段ボール紙又は厚紙から構成されていることを特徴とする、商品展示装置。
【請求項4】
矩形状の背板と、
前記背板の前面に取り付けられている商品取付部と、
前記背板の左辺及び右辺のうちの一方に延設された被覆部とを備え、
前記被覆部の左右方向の長さが、前記背板の左右方向の長さと前記商品取り付け部の前後方向の長さの2倍の長さの合計よりも大きく、且つ前記背板の左右方向の長さの2倍の長さと前記商品取付部の前後方向の長さの2倍の合計よりも小さいことを特徴とする、商品展示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の商品展示装置において、
前記背板と前記被覆部とが、1枚の段ボール紙又は厚紙から構成されていることを特徴とする、商品展示装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の商品展示装置において、
前記商品取付部が、取付板部と、該取付板部に設けられた挿入孔及び該挿入孔に連なる押し込み片とからなるフック取付構造と、前記挿入孔に挿入されたフックとから構成されている、商品展示装置。
【請求項7】
請求項1~5のいずれかに記載の商品展示装置において、
前記商品取付部が、前記背板の前面の上下に離間する複数個所のそれぞれに固定された矩形箱状の商品収納部から構成されている、商品収容容器
【請求項8】
矩形状の背板と、前記背板の前面に取り付けられている商品取付部とを備えた商品展示装置であって、
前記背板が、前記背板と形状が同じである背板部と、該背板部の左辺、右辺、上辺、及び下辺にそれぞれ折目を介して延設され、該折目において前記背板部の裏面側に折り曲げられて該背板部に重ねられた左折返し部、右折返し部、上折返し部、及び下折返し部とを一体的に有しており、
前記左折返し部の左右方向の長さ及び前記右折返し部の左右方向の長さが、いずれも前記背板の左右方向の長さよりも小さく、且つ、前記左折返し部の左右方向の長さと前記右折返し部の左右方向の長さの合計が前記背板の左右方向の長さよりも大きいことを特徴とする、商品展示装置。
【請求項9】
矩形状の背板と該背板の左辺及び右辺に設けられた左側板及び右側板とを有する基台と、前記背板と前記左側板及び前記右側板とで囲まれた空間に位置するように前記基台に取り付けられた商品取付部とを備えた商品展示装置であって、
前記基台が、該基台と同じ形状である基台形成部と、該基台形成部の左辺及び右辺のうちの一方に折目を介して延設され、該折目において前記基台形成部の裏面側に折り曲げられて該基台形成部に重ねられた被覆部とを一体的に有しており、
前記被覆部の左右方向の長さが、前記背板部の左右方向の長さと前記商品取付部の前後方向の長さの和よりも大きく、且つ、前記背板部の左右方向の長さの2倍と前記商品取付部の前後方向の長さの合計よりも小さいことを特徴とする、商品展示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を吊り下げて展示する商品展示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット、ドラッグストア等の販売店の店頭では、新しく販売された商品や販売を強化したい商品を他の商品と区別して販売するために、商品を吊り下げて展示する吊下げ型の商品展示装置が使用されることがある。このような装置は、例えば厚紙製や段ボール紙製の板材の表面に複数の吊下げロッドが取り付けられ、該板材の上部にその商品展示装置を壁等に吊り下げるための吊下げ紐が取り付けられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
販売店で販売される商品は、通常、箱詰めされた状態で製造工場や卸売業者から販売店に配送されてくる。したがって、上記の商品展示装置に商品を展示する際は、販売店の店員が箱から商品を取り出して、その商品自身あるいは商品の包装に設けられた孔やフック等を一つずつ吊下げロッドに通さなければならず、作業に時間がかかっていた。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、配送されてきた商品をすぐに店頭に展示することができる商品展示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために成された本発明に係る商品展示装置の第1態様は、
矩形状の背板と、
前記背板の前面に取り付けられている商品取付部と、
前記背板の左辺、右辺、上辺、及び下辺にそれぞれ延設された左折返し部、右折返し部、上折返し部、及び下折返し部とを備え、
前記左折返し部の左右方向の長さ及び前記右折返し部の左右方向の長さが、いずれも前記背板の左右方向の長さよりも小さく、且つ、前記左折返し部の左右方向の長さと前記右折返し部の左右方向の長さの合計が前記背板の左右方向の長さよりも大きいことを特徴とする。
【0007】
第1態様の商品展示装置は、左折返し部及び右折返し部の各左右方向の長さの合計が背板の左右方向の長さよりも大きいため、左折返し部と右折返し部を背板の前面側に折り曲げたときに、背板と左折返し部及び右折返し部との間に空間が形成される。この空間に商品取付け部に取り付けられた商品を配置させれば、該商品が背板、左折返し部及び右折返し部で包囲され、さらに、上折返し部と下折返し部を背板の前面側に折り曲げることにより前記空間を上折返し部と下折返し部で塞ぐことができる。この場合、上折返し部及び下折返し部の上下方向の長さを大きくすれば、背板と左折返し部、右折返し部、上折返し部及び下折返し部によって商品取付け部に取り付けられた商品の全体を包囲することができる。このように、背板と左折返し部、右折返し部、上折返し部及び下折返し部によって商品取付け部に取り付けられた商品が包囲された状態(商品包囲状態)にある商品展示装置は、そのまま商品配送用容器として利用することができる。
【0008】
一方、商品包囲状態で配送されてきた商品展示装置は、その左折返し部、右折返し部、上折返し部、及び下折返し部を背板の後面側に折り曲げて該後面に重ね合わせることにより、商品取付部に取り付けられた商品が露出するため、そのまま展示することができる。このとき、背板が、左折返し部、右折返し部、上折返し部、及び下折返し部によって裏打ちされるため、背板を堅固なものにすることができる。
【0009】
上記の商品展示装置においては、前記左折返し部及び前記右折返し部に、それぞれ前記背板の左辺及び右辺に平行な折目が設けられており、
前記左折返し部の折目から前記背板の左辺までの長さと前記右折返し部の折目から前記背板の右辺までの長さが等しく、且つ、前記左折返し部の折目から先端までの長さ、及び前記右折返し部の折目から先端までの長さの合計が、前記背板の左右方向の長さと同じか、それよりも大きいことが好ましい。
【0010】
さらに、前記上折返し部及び前記下折返し部に、それぞれ前記背板の上辺及び下辺に平行な折目が設けられており、前記上折返し部の折目から前記背板の上辺までの長さ、前記下折返し部の折目から前記背板の下辺までの長さが、前記左折返し部の折目から前記背板の左辺までの長さと等しいことが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、左折返し部及び右折返し部を、それぞれ折目で背板の前面側に折り曲げ、さらに、前記左折返し部及び前記右折返し部の全体を前記背板の前面側に折り曲げることにより、背板と左折返し部及び右折返し部の間に断面形状が長方形状の空間が形成される。さらに、上折返し部及び下折返し部に折目が設けられている場合は、上記の断面形状が長方形状の空間が、背板と左折返し部、右折返し部、上折返し部及び下折返し部によって形成される。言い換えると、背板、左折返し部、右折返し部、上折返し部、及び下折返し部から立方体形状の箱が構成されるため、配送時に商品展示装置を取り扱い易くなる。
【0012】
また、上記課題を解決するために成された本発明に係る商品展示装置の第2態様は、
矩形状の背板と、
前記背板の前面に取り付けられている商品取付部と、
前記背板の左辺及び右辺のうちの一方に延設された被覆部とを備え、
前記被覆部の左右方向の長さが、前記背板の左右方向の長さと前記商品取り付け部の前後方向の長さの2倍の長さの合計よりも大きく、且つ前記背板の左右方向の長さの2倍の長さと前記商品取付部の前後方向の長さの2倍の合計よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
第2態様の商品展示装置は、被覆部の左右方向の長さが背板の左右方向の長さと商品取付部の前後方向の長さの2倍の長さの合計よりも大きいため、前記被覆部を背板の前面側に折り曲げることによって、背板と被覆部で商品取付部に取り付けられた商品を包囲することができる。被覆部の端部を接着剤や粘着テープ等で背板の後面に貼り付けておくことで、商品取付部に取り付けられた商品を被覆部が包囲する状態(商品包囲状態)を維持することができ、商品包囲状態にある商品展示装置は、そのまま商品配送用容器として利用することができる。
【0014】
一方、商品包囲状態で配送されてきた商品展示装置は、被覆部の端部を背板の後面から取り外し、商品取付部の少なくとも前部が開放するように被覆部を折り曲げることにより、商品取付部に取り付けられた商品が露出する。このとき、被覆部を折り曲げる箇所を調整することにより、被覆部を商品取付部の左側板又は右側板としたり、背板の裏打ち材としたりすることができる。
【0015】
第1態様の商品展示装置においては、前記背板、前記左折返し部、前記右折返し部、前記上折返し部、及び前記下折返し部が、1枚の段ボール紙又は厚紙から構成されていることが好ましい。また、第2態様の商品展示装置においては、前記背板と前記被覆部とが、1枚の段ボール紙又は厚紙から構成されていることが好ましい。このような構成によれば、商品展示装置を商品配送用容器としたときに1枚の段ボール紙又は厚紙で商品取付部に取り付けられている商品を包囲することできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る商品展示装置は、背板の左右及び上下の辺から延設された左右及び上下折返し部、または背板の左辺及び右辺のうちの一方に延設された被覆部を背板の前面側に折り曲げて商品取付部に取り付けられた商品を包囲する商品配送形態にすることができるため、商品取付部に商品を取り付けた状態で配送することができる。また、配送されてきた商品展示装置は、左右及び上下の折返し部又は被覆部の折り曲げ状態を変えることで、商品配送形態から商品展示形態に簡単に変形することができるため、商品をすぐに店頭に展示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例1に係る商品展示装置の構成を示しており、展示状態にある商品展示装置の斜視図(a)、商品配送状態にある商品展示装置の斜視図(b)、商品展示状態から商品配送状態、あるいは商品配送状態から商品展示状態に変形する途中の正面図(c)、
図1(a)のD-D線に沿う概略的な横断面図(d)。
【
図2】背板部の展開図(a)、天板部の展開図(b)、取付板部の展開図(c)、基台部の展開図(d)、(a)におけるE-E線に沿う背板部の横断面図(e)。
【
図3】商品取付部からフックを取り外す様子を示す斜視図。
【
図5】本発明の実施例2に係る商品展示装置の構成を示しており、商品展示形態の斜視図(a)、商品配送形態の斜視図(b)、商品展示形態の上面図(c)、商品配送形態の上面図(d)
【
図6】後部吊下部、後部及び前部背板形成部、内部右側板形成部、第1及び第2外部右側板形成部、並びに第1及び第2被覆部のブランクシートの平面図(a)、前部吊下部用ブランクシートの平面図(b)。
【
図7】商品配送形態と商品展示形態の間で変形する途中の状態の商品展示装置の正面図(a)、
【
図8】商品収容部のブランクシートの平面図(a)、緩衝材の一例を示す図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を用いて、本発明に係る商品展示装置のいくつかの実施例を説明する。
【実施例0019】
図1(a)、(b)、(c)は、それぞれ実施例1の商品展示装置100を示しており、(a)は商品を展示する形態の斜視図、(b)は商品を配送する形態の斜視図であり、
図1(c)は商品展示形態と商品配送形態の間の中間形態であって、背板部を展開した状態にある商品展示装置100の正面図である。また、
図1(d)は、
図1(a)におけるD-D線に沿う概略的な横断面図である。
【0020】
これらの図に示すように、商品展示装置100は、縦長の矩形状の背板部10と、該背板部10の前面の上部及び下部に取り付けられた天板部20及び基台部30と、前記背板部10の前面のうち天板部20と基台部30の間の領域に取り付けられた3個の商品取付部40とを有する。以下の説明では、
図1(c)に示す正面図の上下左右を、それぞれ上下左右と定義する。
【0021】
図2(a)は背板部10の展開図である。背板部10は、1枚の段ボールシートを所定の形状に切断したブランクシート110から構成されており、該ブランクシート110は、矩形状の背板111と、該背板111の左辺、右辺、上辺、及び下辺にそれぞれ延設された、左折返し部112、右折返し部113、上折返し部114及び下折返し部115とを有する。
図2(a)に一部を切り欠いて示すように、本実施例では、波目(流れ方向)が左右方向を向くように段ボールシートを配置して背板部10が作られている。
【0022】
背板部10において、左折返し部112、右折返し部113、上折返し部114及び下折返し部115と背板111との境界には、それぞれ折目1121、1131、1141、1151が設けられている。背板111の前面側及び後面側のいずれの方向にも左折返し部112、右折返し部113、上折返し部114、下折返し部115を折り曲げ易いように、
図2(e)に示すように、折目1121、1131、1141、1151は、いずれも近接して設けられた凹条部と凸条部とから構成されている。
【0023】
左折返し部112と右折返し部113の左右方向の長さは、背板111の左右方向の長さとほぼ同じに設定されている。したがって、左折返し部112と右折返し部113をそれぞれ折目1121、1131で背板111の後面側に折り曲げたとき、左折返し部12と右折返し部113は、
図1(d)に示すように、背板111の後面に重ね合わされた状態になる。
【0024】
左折返し部112及び右折返し部113には、それぞれ上下方向に延びる折目1122、1132が背板111の左辺及び右辺に平行に設けられている。また、上折返し部114及び下折返し部115には、左右方向に延びる折目1142、1152が背板111の上辺及び下辺に並行に設けられている。これらの折目1122、1132、1142、1152は、それぞれに対応する折目1121、1131、1141、1151からの距離がほぼ等しくなるような位置に設けられている。特に本実施例では、折目1121、1131、1141、1151から折目1122、1132、1142、1152までの距離は、天板部20の奥行きの長さとほぼ等しくなるように構成されている。
【0025】
また、折目1122から左折返し部112の先端(左端)までの距離と、折目1132から右折返し部113の先端(右端)までの距離との合計が、背板111の左右方向の長さとほぼ等しくなるような位置に、前記折目1122、1132が設けられている。したがって、左折返し部112、右折返し部113、上折返し部114、下折返し部115を、それぞれ折目1122、1132、1142、1152で背板11の前面側に折り曲げ、さらに折目1121、1131、1141、1151で背板111の前面側に折り曲げて左折返し部112と右折返し部113の先端を突き合わせると、
図1(b)に示すように、背板111と、左折返し部112、右折返し部113、上折返し部114及び下折返し部115とから、立方体状の箱が構成される。この箱の上端及び下端にそれぞれ天板部20と基台部30が位置する。
【0026】
図2(b)は、天板部20の展開図である。天板部20は1枚の段ボールシートを所定の形状に切断したブランクシート120から構成されている。ブランクシート120は、正面部121、上面部122、下面部123及び後面部124と、上面部122の左右辺に延設されたフラップ1221、1222と、下面部23の左右辺及び後辺に延設されたフラップ1231、1232、1233と、後面部24の下辺に延設されたフラップ1241とから構成されている。フラップ1241には矩形状の切り欠き1242が形成されている。また、後面部124は、吊下げ用の紐50を通すための2個の孔1243を有している。さらに、上面部122の後部には台形状の切起こし部1223が形成されている。
【0027】
ブランクシート120を各部の境界の折目で折り曲げて立方体状に組み立て、フラップ1241を後面部124の後面に貼り付けることにより天板部20が形成される。天板部20では、孔1243は切り欠き1242の内側に位置しており、孔1243に通された紐50は切起こし部1223から天板部20の外に引き出される。そして、フラップ1241の後面を背板10の上端に貼り付けることで天板部20が背板10に取り付けられる。
【0028】
図2(d)は基台部30の展開図である。基台部30は1枚の段ボールシートを所定の形状に切断したブランクシート130から構成されている。ブランクシート130は、正面部131、上面部132、下面部133及び後面部134と、上面部132の左右辺に延設されたフラップ1321、1322と、後面部134の下辺に延設されたフラップ1341とから構成されている。ブランクシート130を各部の境界の折目で折り曲げて扁平な立方体状に組み立てることにより基台部30が形成される。基台部30は、後面部134の後面を背板部10の下端部に貼り付けることで該背板部10に取り付けられる。
【0029】
商品取付部40は、取付板部41と、該取付板部41に取り付けられた2個のフック42を有している。
図2(c)は、取付板部41の展開図である。取付板部41は1枚の矩形状の段ボール片141を二つ折りにしたもので、段ボール片141は折目よりも一方側の接着面142と他方側の取付面143とから成る。取付面143には挿入孔1441とその下に設けられた押し込み片1442とからなるフック取付部144が2個設けられている。押し込み片1442は取付面143のうちU字状のミシン目1443で囲まれた領域からなる。
図3に示すように、フック42は、基部1421と、該基部1421に支持された、先端がやや折れ曲がった形状の棒状部1422から成り、基部1421を挿入孔1441に挿入して取付面143に固定する。挿入孔1441に挿入されたフック42は、押し込み片1442を手指で押してミシン目1443を切り開くことで、簡単に取付板部41から取り外すことができる。取付板部41の接着面42を背板11に接着することにより商品取付部40は背板11に固定される。
【0030】
本実施例の商品展示装置100を使って商品を配送するときは、
図1(c)に示すように、背板部10が展開されている状態で、商品取付部40のフック42に商品を取り付ける。商品としては、例えばパウチ飲料やブリスターパックで包装された商品が挙げられ、これらの商品又は包装に設けられた孔をフック42に通すことで、フック42に商品を取り付けることができる。このとき、横に並んだ2個のフック42に取り付けられた商品同士の干渉を防止するため、
図1(c)に示すように、仕切板60を取り付けるようにしても良い。仕切板60は、例えば
図4(a)、(b)に示すように、1枚の略矩形状の段ボール片に切り込みを入れ、その部分を折り曲げて構成することができる。
【0031】
続いて、背板部10の上折返し部114と下折返し部115を折目1142、1152及び、折目1141、1151で背板部10の前面側に折り曲げるとともに、左折返し部112と右折返し部113を、折目1122、1132及び、折目1121、1131で背板部10の前面側に折り曲げて、左折返し部112の先端と右折返し部113の先端を突き合わせる。そして、上折返し部114から突き合わせ部分を経て下折返し部115に至るように粘着テープ16を貼り付ける。これにより、背板111と左折返し部112、右折返し部113、上折返し部114、及び下折返し部115から立方体状の箱が形成され、この箱の中に商品取付部40及びそれに取り付けられた商品が収容された商品配送形態(
図1(b)に示す形態)となる。したがって、商品展示装置100を、商品配送用の箱として使用することができる。
【0032】
商品配送形態の商品展示装置100は、箱から粘着テープ16を取り外すことにより、左折返し部112、右折返し部113、上折返し部114、及び下折返し部115を展開することができる。この状態から、天板部20が上に、基台部30が下にくるように商品展示装置100を立て、上折返し部114及び下折返し部115を折目1141及び1151で背板111の後面側に折り曲げて該後面に重ねるとともに、左折返し部112及び右折返し部113を折目1121及び1131で背板111の後面側に折り曲げて該後面に重ねる。
【0033】
これにより、左右及び上下の折返し部の全てが背板111の後面側に重ね合わされた背板部10が形成され、商品提示形態の商品展示装置100となるから、商品取付部40のフック42に吊下げられた商品の状態を整え、仕切板60を取り外す。これにより、商品展示形態の商品展示装置100を店舗の壁に吊下げて商品を展示することができる。
なお、商品展示形態の商品展示装置100では、左折返し部112と右折返し部113を粘着テープで貼り合わせるようにすると良い。こうすることで、背板111の後面に、全ての折返し部が重ね合わされた状態を維持することができる。粘着テープは、例えば
図1(c)に示すように、右折返し部113に予め貼り付けておいた両面粘着テープ70から構成することができる。
【0034】
このように本実施例の商品展示装置100は、商品配送形態と商品展示形態に変形するこことができるため、商品取付部40に商品を吊り下げた状態で商品配送形態にすることで、商品展示装置100を商品配送用の箱として使用することができる。また、商品配送形態にある商品展示装置を商品展示形態に変形するだけで、商品を吊下げた状態で店頭に展示することができる。このとき、商品配送用の箱を構成していた上下左右の折返し部12~15はすべて裏返されて背板11の後面に重ね合わされるため、配送時に折返し部12~15の表面に汚れが付いた場合でもそれを隠すことができる。
商品展示形態の商品展示装置200は、縦長の矩形状の背板210と、該背板210の上部に取り付けられた吊下部220と、前記背板210の左右部に取り付けられた左側板230及び右側板240と、前記背板210の前面に取り付けられた3個の商品収容部250とを有する。商品収容部は本発明の商品取付部に相当する。
ブランクシート300は、後部背板形成部310と、該後部背板形成部310の左辺、右辺、及び上辺にそれぞれ折目311、313、312を介して延設された前部背板形成部330、内部右側板形成部340、及び後部吊下部形成部320と、内部右側板形成部340の右辺に折目351を介して延設された第1外部右側板形成部350と、該第1外部右側板形成部350の右辺に折目352を介して延設された第2外部右側板形成部360と、第2外部右側板形成部360の右辺に折目353を介して延設された第1被覆部370と、該第1被覆部370の右辺に折目354を介して延設された第2被覆部380とを有する。また、前部背板形成部330の左辺には折目331を介してフラップ332が延設されている。折目311、351、354はそれぞれ2本ずつ、残りの折目312、313、331、352、353はそれぞれ1本ずつ設けられている。内部右側形成部340、第1及び第2外部内側形成部350,360、第1及び第2被覆部370,380が本発明の被覆部に相当する。
吊下部220の後部吊下部222は、ブランクシート300の後部吊下部形成部320の左右部及び上部の三辺に位置するフラップ325を折目で谷折りしたものである。また、前部吊下部221は、前部吊下部用ブランクシート321の左右部及び上部の三辺に位置するフラップ326を折目で山折りしたものである。上記のような後部吊下部222と前部吊下部221を合わせ、前部吊下部221の差し込み片を後部吊下部222の差し込み孔に挿入することにより、下面が開放された矩形箱状の吊下部220が形成される。
ブランクシート251は、矩形状の正面部252、該正面部252の左右の辺に折目を介して延設された台形状の左側面部253及び右側面部254、右側面部254の右辺に折目を介して延設された縦長の矩形状の後面部255、正面部252及び左右の側面部253、254の下辺並びに後面部255の下辺及び右辺にそれぞれ折目を介して延設された複数のフラップ256を有する。
正面部252の上辺には、2本の折目252aを介して裏面部252bが延設されている。裏面部252bは正面部252とほぼ同じ形状を有している。後面部255の上辺には、該後面部255よりも上下方向の長さが小さい前被覆部255bが折目255aを介して延設されている。また、後面部255の上端部の左右の2箇所と、折目255aを挟んで該2箇所に対応する前被覆部255bの2箇所には、それぞれ紐通し孔259が形成されている。
後面部255の左側のフラップ256には両面粘着テープ257が貼り付けられている。また、後面部255の表面には長尺な両面粘着テープ258が、裏面には短尺な両面粘着テープ258がそれぞれ斜め方向と左右方向に貼り付けられている。また、左側面部253の左端、右側面部254の下部にはそれぞれ両面接着テープ258が貼り付けられている。詳しい説明は省略するが、両面接着テープ257,258には剥離紙が取り付けられており、所定の箇所に貼り付ける際はそれぞれの剥離紙を取り外すものとする。
上記構成のブランクシート251を折目に沿って各部を山折りにし、正面部252、左右の側面部253、254、及び後面部255の下辺の4個のフラップ256同士を嵌め合わせるとともに、後面部255の右辺のフラップ256の両面接着テープ257を左側面部253の左端の裏面に貼り付ける。そして、折目252aに沿って裏面部252bを正面部252の裏側に折り返すとともに、前被覆部255bを折目255aに沿って後面部255の裏側に折り返す。これにより箱状の商品収容部250が組み立てられる。
商品配送形態の商品展示装置200では、ブランクシート300は2本の折目311においてそれぞれ約90°の角度で谷折りされ、前部背板形成部330と後部背板形成部310が重ね合わされる。このとき、折目331においてフラップ332が約180°の角度で折り曲げられ、該フラップ332に後部背板形成部310が接着される。これにより、前部背板形成部330、後部背板形成部310及びフラップ332から背板210が構成される。
また、ブランクシート300は、内部右側板形成部340と第1外部右側板形成部350のなす角度が約90°となるように2本の折目351において谷折りされる。これにより、内部右側板形成部340は、背板210の右端部から前方に延びた状態となる。この状態で、上記構成の商品収容部250を、その後面部255、右側面部254のそれぞれに貼り付けられている両面接着テープ258によって背板210の前面(前部背板形成部330の前面)、内部右側板形成部340に取り付ける。このとき、裏面部252bは商品収容部250の内側に位置しており、正面部252を裏打ち(補強)する。また、前被覆部255bも商品収容部250の内側に折り曲げられて短尺な両面接着テープ258に貼り付けられる。前被覆部255bは後面部255よりも上下方向の長さが小さいため、後面部255の裏面の上部分のみを覆うことになるが、商品収容部250に商品が収容された状態では、後面部255のうち前被覆部255bによって覆われていない部分は商品によって隠される。
次に、ブランクシート300は、第1外部右側板形成部350と第2外部右側板形成部360のなす角度、第1被覆部370と第2被覆部380のなす角度がそれぞれ約90°となるように1本の折目352、2本の折目354において、谷折りされる。このとき、ブランクシート300は折目353の箇所で折り曲げられておらず、第2外部右側板形成部360と第1被覆部370はほぼ同一面上にある。これにより、第2外部右側板形成部360及び第1被覆部370は商品収容部250を左側方から覆い、第2被覆部380は背板部210の一部を後方から覆った状態となる。また、吊下部220は折目311で約90°の角度、折り曲げられて該商品展示装置200の上面を塞いだ状態とされる。つまり、商品配送形態の商品展示装置200は、後部背板形成部310、内部右側面形成部340、第1及び第2外部右側面形成部350,360、第1及び第2被覆部370,380によって周囲が覆われ、上面が吊下げ部220でふさがれた状態となる。この状態が維持されるように、通常、第2被覆部380は背板220の後面(後部背板形成部310)に粘着テープによって貼り付けられている。
商品展示装置200を商品配送形態から商品展示形態に変形するときは、まず、第2被覆部380を背板220の後面に貼り付けていた粘着テープをはがす。そして、第2被覆部380,第1被覆部370、第2外部右側板形成部360、第1外部右側板形成部350を、折目351を中心に逆時計回りに回動させ、折目351において約180°の角度で山折りし、第1及び第2外部右側板形成部350、360を内部側板形成部340に重ね合わせる。次に、折目353において約90°の角度で山折りし、第1被覆部370を背板220の後面に重ね、さらに、折目354において約90°の角度で山折りし、第2被覆部380を背板220の左端部よりも前方に突出させる。そして、商品収容部250の左側面部253に貼り付けられている両面接着テープ258に第2被覆部380を貼り付ける。また、吊下部220を、背板210の上部に立設させる。これにより、商品展示形態の商品展示装置200となる。
つまり、商品展示形態においては、第2被覆部380から左側板230が構成され、第1被覆部370、後部背板形成部310、及び前部背板形成部330から背板210が構成され、第1及び第2外部右側板形成部350、360と内部右側板形成部340から右側板240が構成される。
このように、本実施例では、折目351を起点として第1及び第2外部右側面部350,360、第1及び第2被覆部370,380の間の適宜の折目を山折り又は谷折りすることによって、商品展示装置200を商品展示形態と商品配送形態に変形することができる。したがって、商品収容部250に商品を収容したまま商品展示装置200を商品配送用の箱として使用することができる。また、商品展示装置200を商品配送形態から商品展示形態に変形するだけで店頭に展示することができるため、商品収容部に商品を収容する作業が不要となる。さらに、商品配送用の箱の外面は、商品展示形態ではすべて前方から見えない面となるため、配送時に箱の外面に汚れが付いた場合でもそれを隠すことができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、適宜の変更が可能である。例えば、実施例2では、商品展示形態の商品展示装置200が左右の側板を有するように構成したが、左右の側板のうちの一方のみを有するようにしてもよい。この場合、左右の側板のうちの一方と背板に商品収容部(箱状部材)が固定されることになる。
実施例1の商品展示装置100の背板に実施例2の商品収容部を取り付けてもよく、実施例2の商品展示装置200の背板に実施例1の商品取付部40を取り付けてもよい。