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特開2022-54455レーダーシステムのレーダー信号を処理する方法およびレーダーシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054455
(43)【公開日】2022-04-06
(54)【発明の名称】レーダーシステムのレーダー信号を処理する方法およびレーダーシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/02 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
G01S7/02 216
【審査請求】未請求
【請求項の数】31
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021155772
(22)【出願日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】10 2020 125 110.6
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】599158797
【氏名又は名称】インフィニオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Infineon Technologies AG
【住所又は居所原語表記】Am Campeon 1-15, 85579 Neubiberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス ビヒル
(72)【発明者】
【氏名】ファルハン ビン カリード
(72)【発明者】
【氏名】ディアン トレスナ ヌグラハ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ロジェ
(72)【発明者】
【氏名】ロマン イニアス
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AC02
5J070AC06
5J070AD09
5J070AH12
5J070AH31
5J070AH35
5J070AK40
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数のアンテナを備えたレーダーシステムのレーダー信号を処理する方法を提供する。
【解決手段】レーダーシステムから少なくとも1つの目標物までの距離および少なくとも1つの目標物の速度を決定するために複数のレーダー信号を処理し、これにより複数の処理済レーダー信号を形成することであって、ここで、複数のレーダー信号の各レーダー信号は、複数のアンテナのうちの関連付けられたアンテナによって受信されることと、少なくとも1つのビーム方向についての複数の処理済レーダー信号をデジタルビームフォーミングし、これにより複数のビームフォーミング済レーダー信号を形成することと、複数のアンテナからの複数のビームフォーミング済レーダー信号をビーム方向ごとに合計することと、を含む。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナを備えたレーダーシステムのレーダー信号を処理する方法であって、前記方法は、
・レーダーシステムから少なくとも1つの目標物までの距離および前記少なくとも1つの目標物の速度を決定するために複数のレーダー信号を処理し、これにより複数の処理済レーダー信号を形成するステップであって、前記複数のレーダー信号の各レーダー信号は、前記複数のアンテナのうちの関連付けられたアンテナによって受信されるステップと、
・少なくとも1つのビーム方向についての複数の処理済レーダー信号をデジタルビームフォーミングし、これにより複数のビームフォーミング済レーダー信号を形成するステップと、
・前記複数のアンテナからの複数のビームフォーミング済レーダー信号をビーム方向ごとに合計するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記複数のレーダー信号を処理するステップは、フーリエ変換を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記複数のレーダー信号を処理するステップは、窓関数処理を含む、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記複数のレーダー信号のうちの各レーダー信号は、複数のサンプルを含み、
前記窓関数処理は、前記サンプルのそれぞれとサンプルに固有の複素窓関数処理係数とを乗算することを含む、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記窓関数処理は、前記フーリエ変換の前に適用される、
請求項2を引用する請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのビーム方向は、複数のビーム方向を含む、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記複数のさらなる処理済レーダー信号をデジタルビームフォーミングするステップは、前記アンテナそれぞれのさらなる処理済レーダー信号とアンテナおよびビームに固有の複素乗算係数とを乗算することを含む、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記アンテナおよびビームに固有の複素乗算係数は、第1の次元としての前記複数のアンテナの数と第2の次元としての前記複数のビーム方向の数とを有する行列として供給される、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記合計するステップは、前記複数のアンテナからの複数のビームフォーミング済レーダー信号をビーム方向ごとにコヒーレントに合計することを含む、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの方向(b)について合計されたビームフォーミング済レーダー信号は、式
【数1】
から導出され、bはビーム方向のインデクスであり、mはアンテナのインデクスであり、ab,mはアンテナおよびビームに固有の複素乗算係数であり、
【数2】
であって、kはサンプルのインデクスであり、X(n)はサンプルkに対するアンテナmの複素窓関数w(k)と前記サンプルkに対するアンテナmのレーダー信号x(k)との乗算のフーリエ変換(DFT)であり、
任意に、
【数3】
または
【数4】
であって、b=mであり、hann()はハン窓関数である、
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
コヒーレント和は、
【数5】
である、
請求項9を引用する請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記合計するステップは、前記複数のアンテナからの前記複数のビームフォーミング済レーダー信号をビーム方向ごとに非コヒーレントに合計することをさらに含む、
請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
非コヒーレント和は、
【数6】
であり、cb,mは前記非コヒーレント和に対するアンテナおよびビームに固有の乗算係数であり、
任意に、
【数7】
または
【数8】
であり、b=mであり、hann()はハン窓関数である、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記非コヒーレントに合計することと前記コヒーレントに合計することとは、並列的に実行される、
請求項9から11までのいずれか1項および請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
前記コヒーレント和は、目標物検出を実行する目標物検出アルゴリズムにおよび/または局所最大値を探索する局所最大値探索アルゴリズムに供給される、
請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記非コヒーレント和は、目標物検出を実行する目標物検出アルゴリズムにおよび/または局所最大値を探索する局所最大値探索アルゴリズムに供給される、
請求項12または13記載の方法。
【請求項17】
前記目標物検出と前記局所最大値探索とは、並列的に実行される、
請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
レーダーシステムであって、前記レーダーシステムは、
・複数のアンテナと、
・少なくとも1つのプロセッサと、
を含み、前記プロセッサは、
・前記レーダーシステムから少なくとも1つの目標物までの距離および前記少なくとも1つの目標物の速度を決定するために複数のレーダー信号を処理し、これにより複数の処理済レーダー信号を形成し、前記複数のレーダー信号の各レーダー信号は、前記複数のアンテナのうちの関連付けられたアンテナによって受信されており、
・少なくとも1つのビーム方向についての複数の処理済レーダー信号をデジタルビームフォーミングし、これにより複数のビームフォーミング済レーダー信号を形成し、
・前記複数のアンテナからの複数のビームフォーミング済レーダー信号をビーム方向ごとに合計する
ように構成されているレーダーシステム。
【請求項19】
前記複数のレーダー信号の処理は、フーリエ変換を含む、
請求項18記載のレーダーシステム。
【請求項20】
前記複数のレーダー信号の処理は、窓関数処理を含む、
請求項18または19記載のレーダーシステム。
【請求項21】
前記複数のレーダー信号のうちの各レーダー信号は、複数のサンプルを含み、
前記窓関数処理は、前記サンプルのそれぞれとサンプルに固有の複素窓関数処理係数との乗算を含む、
請求項20記載のレーダーシステム。
【請求項22】
前記プロセッサは、前記フーリエ変換の前に前記窓関数処理を適用するようにさらに構成されている、
請求項19を引用する請求項20記載のレーダーシステム。
【請求項23】
前記少なくとも1つのビーム方向は、複数のビーム方向を含む、
請求項18から22までのいずれか1項記載のレーダーシステム。
【請求項24】
前記複数のさらなる処理済レーダー信号のデジタルビームフォーミングは、前記アンテナそれぞれのさらなる処理済レーダー信号とアンテナおよびビームに固有の複素乗算係数との乗算を含む、
請求項18から23までのいずれか1項記載のレーダーシステム。
【請求項25】
前記アンテナおよびビームに固有の複素乗算係数は、第1の次元としての前記複数のアンテナの数と第2の次元としての前記複数のビーム方向の数とを有する行列として供給される、
請求項24記載のレーダーシステム。
【請求項26】
前記合計は、前記複数のアンテナからの複数のビームフォーミング済レーダー信号の、ビーム方向ごとのコヒーレントな合計を含む、
請求項18から25までのいずれか1項記載のレーダーシステム。
【請求項27】
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの方向(b)について合計されたビームフォーミング済レーダー信号を、式
【数9】
から導出するようにさらに構成されており、bはビーム方向のインデクスであり、mはアンテナのインデクスであり、ab,mはアンテナおよびビームに固有の複素乗算係数であり、
【数10】
であって、kはサンプルのインデクスであり、X(n)はサンプルkに対するアンテナmの複素窓関数w(k)と前記サンプルkに対するアンテナmのレーダー信号x(k)との乗算のフーリエ変換(DFT)であり、
任意に、
【数11】
または
【数12】
であって、b=mであり、hann()はハン窓関数である、
請求項18から26までのいずれか1項記載のレーダーシステム。
【請求項28】
コヒーレント和は、
【数13】
である、
請求項26を引用する請求項27記載のレーダーシステム。
【請求項29】
前記合計は、さらに、前記複数のアンテナからの前記複数のビームフォーミング済レーダー信号の、ビーム方向ごとの非コヒーレントな合計を含む、
請求項27または28記載のレーダーシステム。
【請求項30】
非コヒーレント和は、
【数14】
であり、cb,mは前記非コヒーレント和に対するアンテナおよびビームに固有の乗算係数であり、
任意に、
【数15】
または
【数16】
であり、b=mであり、hann()はハン窓関数である、
請求項29記載のレーダーシステム。
【請求項31】
前記プロセッサは、前記非コヒーレントな合計と前記コヒーレントな合計とを並列的に実行するようにさらに構成されている、
請求項26から28までのいずれか1項および請求項29または30記載のレーダーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
種々の実施形態は、全体として、レーダーシステムのレーダー信号を処理する方法およびレーダーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術のレーダー信号を処理する方法は、レーダー信号をビームフォーミングすることを含みうる。幾つかのビームフォーミング方法が利用可能であり、その1つが、きわめて良好に確立されたデジタルビームフォーミングである。
【0003】
レーダー信号をビームフォーミングするために、特定の方向から到来する信号の一部をデジタル増幅することができる。このことは2つの動作を要しうる。第1の動作では信号が所与の方向へステアリング可能となり、第2の動作では信号が増幅可能となる。
【0004】
ビームフォーミング信号を生成することには信号処理ユニットの2回の通過が必要となりうるが、ここで、第1の通過ではビームのステアリングを行うことができ、別の通過ではビームがステアリングされないまま信号を処理することができる。
【0005】
こうしたプロシージャ、特に2回の通過には時間がかかり、かつ充分に最適とならないことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
複数のアンテナを備えたレーダーシステムのレーダー信号を処理する方法を提供する。当該方法は、レーダーシステムから少なくとも1つの目標物までの距離および少なくとも1つの目標物の速度を決定するために複数のレーダー信号を処理し、これにより複数の処理済レーダー信号を形成することであって、ここで、複数のレーダー信号の各レーダー信号は、複数のアンテナのうちの関連付けられたアンテナによって受信されることと、少なくとも1つのビーム方向についての複数の処理済レーダー信号をデジタルビームフォーミングして、これにより複数のビームフォーミング済レーダー信号を形成することと、複数のアンテナからの複数のビームフォーミング済レーダー信号をビーム方向ごとに合計することと、を含みうる。
【0007】
図面においては、種々の図を通して、同一の部材に全体として同様の参照符号が付してある。図面は必ずしも縮尺通りに描かれてはおらず、むしろ、発明の基本方式の説明に応じて、全体として強調を行ったところがある。以下の説明では、以下の図面を参照しながら、発明の種々の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】レーダー信号をどのように処理するかおよび処理済レーダー信号を図示するための、自動車の例示的配置を示す図である。
図1B】ビームステアリング済レーダー信号を示す図である。
図1C】従来技術によるレーダーシステムの一部を概略的に示す図である。
図1D】従来技術によるレーダーシステムの一部を概略的に示す図である。
図2A】種々の実施形態によるレーダーシステムの一部を概略的に示す図である。
図2B】種々の実施形態によるレーダーシステムの一部を概略的に示す図である。
図3】種々の実施形態によるレーダーシステムを概略的に示す図である。
図4】種々の実施形態によるレーダーシステムのレーダー信号を処理する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、例示として、発明を実施可能にする特定の詳細および実施形態を示した添付の図面を参照している。
【0010】
「例示」なる語は、本明細書において、「例、事例または図示としての使用」を意味するために用いられる。「例示」として本明細書において説明する任意の実施形態または設計は、必ずしも他の実施形態または設計に比べて好ましいもしくは有利なものと考えなくてよい。
【0011】
開示の種々の態様はデバイスについて、また方法について提供される。装置の基本的特性が方法の基本的特性にも当てはまり、また逆に方法の基本的特性が装置の基本的特性にも当てはまることは理解されるであろう。したがって、簡明性のために、こうした特性の説明を二重に行うことは省略した。
【0012】
図1Aでは、上図において、レーダーシステムのレーダー信号が例えば図1Cに示されているレーダーシステムの一部100においてどのように処理されうるかを図示するために、RSとして標示された対象物(このケースでは自動車)内で動作するレーダーシステムによって検出すべき目標物T1,T2(例えば他の自動車)の例示的配置が示されており、下図においては、正規化されたパワー対レンジ(ここで、レンジとはレーダーシステムから対応する目標物までの距離である)としての、第1の目標物T1および第2の目標物T2の処理済レーダー信号が示されている。図1Aに示されているレーダー信号はステアリングされていなくてよく、0°の角度についての(言い換えれば、対象物RSの正面前方の)ビームステアリング済レーダー信号と類似していてよく、または同一であってもよい。
【0013】
図1Bには、5つの異なるビームステアリング角度すなわち-40°,-25°,0°,25°,40°でのビームステアリング済レーダー信号が示されている。これらの5つの角度は図1Aにも示されている。ビームステアリングレーダー信号において見て取れるように、2つの目標物T1,T2が全てのビームステアリング済信号において検出されているが、2つの目標物T1,T2の相対信号強度は変化しうる。ほとんどのビームステアリング角度に対して、2つの目標物T1,T2のうちより近い第1の目標物T1から反射されたレーダー信号の正規化されたパワーのほうがT2でのパワーよりも大きくなりうるので、レーダーシステムRSと目標物T1とのなす角度0°に対応するビームステアリング角度においてその最大絶対値を有しうる。第2の目標物T2へ向かう方向に対応するビームステアリング角度-25°では、第2の目標物T2の信号強度がその最大値に達し、これはほぼ第1の目標物T1での大きさに相当する。これにより、第1の目標物T1および第2の目標物T2へ向かう方向の検出が可能となる。
【0014】
視覚的に言えば、デジタルビームステアリングは、所望のステアリング角度の方向に位置しているはずの目標物が複数の受信器に生じさせた相対位相遅延が考慮されるように、複数の受信器で受信されたレーダー信号を結合することを含みうる。
【0015】
図1Cには、従来技術によるデジタルビームステアリングを適用するように構成可能なレーダーシステムの部分100が概略的に示されている。
【0016】
レーダーシステムは、入力アレイ102が供給する、複数のアンテナからのレーダー信号をコヒーレントに統合するように構成可能である。コヒーレントな統合部は上方の分岐に示されており、ここでは、ビームフォーミング部104、複素窓関数処理部106、(高速)フーリエ変換部108、複数のアンテナからの、ビームフォーミングされ、窓関数処理され、さらにフーリエ変換された信号のコヒーレント合計部110(クロスアンテナ合計部とも称される)、および後続の振幅検出部112(「パワー部」と標示されている)を含みうる。
【0017】
レーダーシステムはさらに、入力アレイ102が供給する、複数のアンテナからのレーダー信号を非コヒーレントに統合するように構成可能である。非コヒーレントな統合部は下方の分岐に示されており、ここでは、複素窓関数処理部114、(高速)フーリエ変換部116、振幅検出部118(「パワー部」と標示されている;なぜなら、これは合計の前に適用され、位相情報が失われて、合計が非コヒーレントとなるからである)、および複数のアンテナからの、窓関数処理され、さらにフーリエ変換された信号の絶対値の非コヒーレント合計部120(クロスアンテナ合計部とも称される)を含みうる。
【0018】
コヒーレント和と非コヒーレント和とは、目標物検出のための検出ブロック122、例えば処理済信号のCFAR(constant false alarm rate)を決定して処理済信号が当該CFARを上回るかどうかおよびどこで上回るかを判定するように構成された検出ブロック122へ渡されうる。
【0019】
上述したビームフォーミングでは信号処理ユニットを2回通過する必要があるが、1回はビームがステアリングされる箇所(上方の分岐のコヒーレントな統合部)を通過し、もう1回はビームがステアリングされないままの箇所(下方の分岐の非コヒーレントな統合部)を通過する。
【0020】
図1Dには、図1Cのレーダーシステムの部分100の一部101のいっそうの詳細が概略的に示されている。特に、ビームフォーミング104および複素窓関数処理106がどのように実行されうるかが示されており、また所与のビームステアリング角度方向(ビームのインデクスbで示される)についてのデジタルビームフォーミング後のフーリエ変換であるDBF(n)を計算するための式が提示されている。式中の変数または記号の説明は、以下の表1において行う。
【0021】
特に、第1の数学演算(MATH1)では、異なるサンプルに対して異なりうるが異なるビーム偏向角度および異なるアンテナに対しては同一でありうる窓関数係数w(k)と、異なるビーム方向bおよび異なるアンテナmに対して異なりうるが異なるサンプルに対しては同一でありうるアンテナ係数a(b,m)とも称される重み係数と、の双方を含む、単一の複素乗算器134を設けることができる。したがって、乗算器134は、「窓関数処理によって乗算されるアンテナ係数」(a(b,m)・w(k))として記述可能である。乗算器134は、メモリ内、例えばコンフィグレーションRAM内に記憶可能である。
【0022】
ビームのインデクスbを有する所望の各ビームステアリング方向では、M×K(M個のアンテナ、アンテナごとのK個のサンプル)の記憶が要求されうる。したがって、大規模メモリが要求されうる。例えば、M=8,K=1024のとき、コンフィグレーションRAMサイズの複素32bit→64KiBが要求されうることとなり、これにより典型的なコンフィグレーションRAMのサイズが超過されてしまうことがある。
【0023】
さらに、M×Kの要素は、例えばCPUによって、異なるビーム方向(異なるビームのインデクスb)を目標とした連続ループ間で更新可能であるが、これは大きな更新遅延を生じさせうる。
【0024】
種々の実施形態で、レーダー信号のそれぞれコヒーレントな統合および非コヒーレントな統合に対するアンテナごとの複素乗算係数の使用を支援する、レーダーシステムおよびレーダーシステムからのレーダー信号を処理する方法が提供される。
【0025】
種々の実施形態で、アンテナごとに固定のデジタルビームフォーミング(DBF)係数は、アンテナごとのビームステアリングが可能となるように供給することができる。
【0026】
種々の実施形態で、微細ビームフォーミング、例えばサンプルごとのビームステアリングは、ベクトル係数を供給することによって可能とすることができる。
【0027】
種々の実施形態で、窓関数処理係数w(k)とアンテナ係数a(b,m)とが分離可能となる。これにより、フーリエ変換後のビームステアリングが実行可能となり、言い換えればポストFFTビームステアリングが可能となり、このことはビームステアリングが並列的に実行可能であることを意味する。例示的な一実施形態では、これにより、処理ステップごとに(2.5msのうち)500μsまでが節約可能となる。
【0028】
図3には、種々の実施形態によるレーダーシステム300が示されており、図2Aには、種々の実施形態、例えば図3のレーダーシステム300の実施形態によるレーダーシステムの部分200が概略的に示されており、図2Bには、図2Aのレーダーシステムの部分200の一部201が概略的に示されている。
【0029】
次の表は、図1D図2Bおよび本文献のその他の箇所に提示されている式で使用される記号の説明であり、
【表1】
である。
【0030】
レーダーシステム300は、複数のアンテナ330(例えばM個のアンテナには、m=0,…,M-1とのアドレスが付されている)と、レーダーシステム300から少なくとも1つの目標物までの距離および少なくとも1つの目標物の速度を決定するために複数のレーダー信号x(k)を処理するように構成された少なくとも1つのプロセッサ332と、を含みうる。全体的な動作方式、ジオメトリなどを視覚化するために、図1Aもここでまた考察可能である。
【0031】
種々の実施形態で、複数の処理済レーダー信号DFTが形成可能となり、ここで、複数のレーダー信号の各レーダー信号は複数のアンテナ330の関連するアンテナによって受信可能である。言い換えれば、アンテナ330ごとに1つのレーダー信号が生成可能である。種々の実施形態で、アンテナ330ごとに複数のサンプル(例えばK個のサンプルには、k=0,…,K-1とのアドレスが付されている)が生成可能である。
【0032】
プロセッサ332はさらに、少なくとも1つのビーム方向b、任意に複数のビーム方向、例えばb=0,…,D-1とのアドレスが付されたD個のビーム方向についての複数の処理済レーダー信号DFTをデジタルビームフォーミングして(例えば図2Aおよび図2Bの204を参照)、これにより複数のビームフォーミング済レーダー信号を形成し、複数のアンテナ330からの複数のビームフォーミング済レーダー信号をビーム方向bごとに合計する(例えば図2Aおよび図2Bの210を参照)ように構成可能である。結果は、ビーム方向bについての(または複数のビーム方向bのそれぞれについての)デジタルビームフォーミング済レーダー信号のフーリエ変換DBF(n)となりうる。
【0033】
複数のレーダー信号x(k)の処理には、少なくとも1つのフーリエ変換208、例えばN点フーリエ変換および/または窓関数処理プロセス206が含まれうる。フーリエ変換および/または窓関数処理は、目標物の距離および/またはドップラー速度の決定に用いることができる。視覚化については図2Aおよび図2Bを参照されたい。
【0034】
フーリエ変換および/または窓関数処理は、実質的には、当該分野において公知のように実行可能である。例えば、窓関数処理には、サンプルのそれぞれとサンプルに固有の複素窓関数処理係数w(k)との乗算が含まれうる。窓関数処理は、種々の実施形態において、フーリエ変換の前に実行可能である。
【0035】
複数のさらなる処理済レーダー信号のデジタルビームフォーミング204には、アンテナ330それぞれのさらなる処理済レーダー信号とアンテナおよびビームに固有の複素乗算係数ab,mとの乗算が含まれうる。
【0036】
種々の実施形態において、アンテナおよびビームに固有の乗算係数ab,mは、第1の次元としての複数のアンテナの数Mと第2の次元としての複数のビーム方向の数Dとを有する行列として供給可能である。
【0037】
合計210には、複数のアンテナ330からの複数のビームフォーミング済レーダー信号をビーム方向bごとにコヒーレントに合計することが含まれうる。
【0038】
種々の実施形態において、少なくとも1つのビーム方向(b)について合計されたビームフォーミング済レーダー信号は、式
【数1】
にしたがって形成可能であり、ここで、bはビーム方向のインデクスであり、mはアンテナのインデクスであり、ab,mはアンテナおよびビームに固有の複素乗算係数であり、
【数2】
であって、ここで、kはサンプルのインデクスであり、X(n)は、サンプルkに対するアンテナmの複素窓関数w(k)とサンプルkに対するアンテナmのレーダー信号x(k)との乗算のフーリエ変換(DFT)である。
【0039】
種々の実施形態では、ビームフォーミング204は、メモリ236内、例えばバッファ内に記憶可能な窓関数処理済レーダー信号からオンザフライで、乗算係数ab,mとの複素乗算の実行による合計の前に実行可能である。
【0040】
アンテナおよびビームに固有の複素乗算係数ab,mは、種々の実施形態において、
【数3】
として、または
【数4】
として決定可能であり、ここで、bはビームのインデクスであり、mはアンテナのインデクスであり、hann()はハン窓関数であってよい。
【0041】
したがって、ビームフォーミング済レーダー信号において大きな重みで受信されるビーム方向を示す角度θは、アンテナおよびビームに固有の複素乗算係数ab,mに作用しうる。
【0042】
コヒーレント和は、種々の実施形態において、
【数5】
から決定可能である。
【0043】
種々の実施形態において、合計にはさらに、複数のアンテナ330からの複数のビームフォーミング済レーダー信号をビーム方向θごとに非コヒーレントに合計することが含まれうる。図2Aに示されている例示的な実施形態では、このことは、下方の分岐において実行可能である。ビームフォーミング216は、メモリ236内、例えばバッファ内に記憶可能な窓関数処理済レーダー信号から、オンザフライで、パワーの決定および合計の前に実行可能である。
【0044】
非コヒーレント和は、種々の実施形態において、
【数6】
から決定可能であり、ここで、cb,mは、非コヒーレント和についてのアンテナおよびビームに固有の乗算係数であり、これは、コヒーレント和についてのアンテナおよびビームに固有の乗算係数ab,mと同一であってもよいし、または異なっていてもよい。
【0045】
非コヒーレント和についてのアンテナおよびビームに固有の乗算係数cb,mは、種々の実施形態において、
【数7】
または
【数8】
から決定可能であり、ここで、bはビームのインデクスであり、mはアンテナのインデクスであり、hann()はハン窓関数である。非コヒーレント和についてのアンテナおよびビームに固有の乗算係数cb,mは、ab,mと同様の手法で、および/またはアンテナのインデクスmに適する窓関数との組み合わせとしても、取得可能である。
【0046】
種々の実施形態において、プロセッサ332は、非コヒーレントな合計とコヒーレントな合計とを並列的に実行するように構成可能である。
【0047】
よって、種々の実施形態では、(図1Cおよび図1Dの従来技術の例と比較して)1つの付加的な複素乗数ab,mが供給され、これが“MATH2”とされた部分において処理される。当該付加的な複素乗数ab,mは、アンテナ係数a(b,m)と窓関数処理w(k)とを分離することによって生成可能である。
【0048】
要求されるメモリスペースの比較のために、上述したのと同じ例(例えばM=8個のアンテナ、K=1024個のサンプル、および窓関数処理w(k)、リアル32bit)を使用すると、4KiB(すなわち、従来技術によるメモリ要求の約1/16のみ)が要求されることになる。アンテナ係数a(b,m)は、アンテナごとのストレージ空間の1byte、つまり全体で約64byteしか要求しない。
【0049】
種々の実施形態では、アンテナ係数a(b,m)は、プロセッサ332、例えばCPUにより、種々のビームループ間で、すなわち種々のビームのインデクスでの実行過程において更新可能であり、または固定のコンフィグレーションとして記憶可能である。特に後者は、実行速度は増大するものの、アンテナ係数ab,mのサイズの小ささに起因して、アンテナ係数a(b,m)の更新も従来技術における場合よりもかなり高速となりうる。
【0050】
種々の実施形態では、レーダーシステム300はさらに、アンテナ330ごとに少なくとも1つのレジスタ(例えば64bit)を含みうる。少なくとも1つのレジスタは、例えば、レーダーシステム300のうち、NCIモジュールとも称される、非コヒーレントな統合(NCI)が実行される部分に含まれうる。
【0051】
種々の実施形態では、コヒーレントに統合されたレーダー信号と非コヒーレントに統合されたレーダー信号との双方が検出ブロック122へ供給可能となり、当該検出ブロック122は従来技術で使用されている検出ブロックと類似または同一のものであってよい。コヒーレントに統合されたレーダー信号と非コヒーレントに統合されたレーダー信号とは、偽の検出を排除するために、言い換えれば「真」の目標物を識別するために、総合的に処理可能である。
【0052】
図4には、種々の実施形態によるレーダーシステムのレーダー信号を処理する方法のフローチャート400が示されている。
【0053】
方法は、レーダーシステムから少なくとも1つの目標物までの距離および少なくとも1つの目標物の速度を決定するために複数のレーダー信号を処理し、これにより複数の処理済レーダー信号を形成することであって、ここで、複数のレーダー信号の各レーダー信号は、複数のアンテナのうちの関連付けられたアンテナによって受信されること(410)と、少なくとも1つのビーム方向についての複数の処理済レーダー信号をデジタルビームフォーミングし、これにより複数のビームフォーミング済レーダー信号を形成すること(420)と、複数のアンテナからの複数のビームフォーミング済レーダー信号をビーム方向ごとに合計すること(430)と、を含みうる。
【0054】
種々の実施例を以下に示す。
【0055】
実施例1は、複数のアンテナを備えたレーダーシステムのレーダー信号を処理する方法である。当該方法は、レーダーシステムから少なくとも1つの目標物までの距離および少なくとも1つの目標物の速度を決定するために複数のレーダー信号を処理し、これにより複数の処理済レーダー信号を形成することであって、ここで、複数のレーダー信号の各レーダー信号は、複数のアンテナのうちの関連付けられたアンテナによって受信されることと、少なくとも1つのビーム方向についての複数の処理済レーダー信号をデジタルビームフォーミングし、これにより複数のビームフォーミング済レーダー信号を形成することと、複数のアンテナからの複数のビームフォーミング済レーダー信号をビーム方向ごとに合計することと、を含みうる。
【0056】
実施例2には、複数のレーダー信号を処理することがフーリエ変換を行うことを含む、
実施例1の主題が任意に含まれうる。
【0057】
実施例3には、複数のレーダー信号を処理することが窓関数処理を行うことを含む、実施例1または2の主題が任意に含まれうる。
【0058】
実施例4には、複数のレーダー信号のうちの各レーダー信号が複数のサンプルを含み、窓関数処理を行うことが、サンプルのそれぞれとサンプルに固有の複素窓関数処理係数とを乗算することを含む、実施例3の主題が任意に含まれうる。
【0059】
実施例5には、窓関数処理を行うことがフーリエ変換を行うことの前に適用される、実施例2および3の主題が任意に含まれうる。
【0060】
実施例6には、少なくとも1つのビーム方向が複数のビーム方向を含む、実施例1から5までのいずれか1つの主題が任意に含まれうる。
【0061】
実施例7には、複数のさらなる処理済レーダー信号をデジタルビームフォーミングすることが、アンテナそれぞれのさらなる処理済レーダー信号とアンテナおよびビームに固有の複素乗算係数とを乗算することを含む、実施例1から6までのいずれか1つの主題が任意に含まれうる。
【0062】
実施例8には、アンテナおよびビームに固有の複素乗算係数が、第1の次元としての複数のアンテナの数と第2の次元としての複数のビーム方向の数とを有する行列として供給される、実施例7の主題が任意に含まれうる。
【0063】
実施例9には、合計することが、複数のアンテナからの複数のビームフォーミング済レーダー信号をビーム方向ごとにコヒーレントに合計することを含む、実施例1から8までのいずれか1つの主題が任意に含まれうる。
【0064】
実施例10には、少なくとも1つの方向(b)について合計されたビームフォーミング済レーダー信号が、式
【数9】
から導出され、ここで、bはビーム方向のインデクスであり、mはアンテナのインデクスであり、ab,mはアンテナおよびビームに固有の複素乗算係数であり、
【数10】
であって、ここで、kはサンプルのインデクスであり、X(n)はサンプルkに対するアンテナmの複素窓関数w(k)とサンプルkに対するアンテナmのレーダー信号x(k)との乗算のフーリエ変換(DFT)であり、ここで、任意に、
【数11】
または
【数12】
であって、ここで、b=mであり、hann()はハン窓関数である、実施例1から9までのいずれか1つの主題が任意に含まれうる。
【0065】
実施例11には、コヒーレント和が、
【数13】
である、実施例9および10の主題が任意に含まれうる。
【0066】
実施例12には、合計することが、さらに、複数のアンテナからの複数のビームフォーミング済レーダー信号をビーム方向ごとに非コヒーレントに合計することを含む、実施例9から11までのいずれか1つの主題が任意に含まれうる。
【0067】
実施例13には、非コヒーレント和が、
【数14】
であり、ここで、cb,mは当該非コヒーレント和に対するアンテナおよびビームに固有の乗算係数であり、ここで、任意に、
【数15】
または
【数16】
であり、ここで、b=mであり、hann()はハン窓関数である、実施例12の主題が任意に含まれうる。
【0068】
実施例14には、非コヒーレントに合計することとコヒーレントに合計することとが並列的に実行される、実施例9から11までのいずれか1つおよび実施例12または13の主題が任意に含まれうる。
【0069】
実施例15には、コヒーレント和が、目標物検出を実行する目標物検出アルゴリズムにおよび/または局所最大値を探索する局所最大値探索アルゴリズムに供給される、実施例9から11までのいずれか1つの主題が任意に含まれうる。
【0070】
実施例16には、非コヒーレント和が、目標物検出を実行する目標物検出アルゴリズムにおよび/または局所最大値を探索する局所最大値探索アルゴリズムに供給される、
実施例12または13の主題が任意に含まれうる。
【0071】
実施例17には、目標物検出と局所最大値探索とが並列的に実行される、実施例12または13の主題が任意に含まれうる。
【0072】
実施例18は、レーダーシステムである。当該レーダーシステムは、複数のアンテナと、少なくとも1つのプロセッサと、を含み、プロセッサは、レーダーシステムから少なくとも1つの目標物までの距離および少なくとも1つの目標物の速度を決定するために複数のレーダー信号を処理し、これにより複数の処理済レーダー信号を形成し、ここで、複数のレーダー信号の各レーダー信号は、複数のアンテナのうちの関連付けられたアンテナによって受信されており、少なくとも1つのビーム方向についての複数の処理済レーダー信号をデジタルビームフォーミングし、これにより複数のビームフォーミング済レーダー信号を形成し、複数のアンテナからの複数のビームフォーミング済レーダー信号をビーム方向ごとに合計するように構成されている。
【0073】
実施例19には、複数のレーダー信号の処理がフーリエ変換を含む、実施例18の主題が任意に含まれうる。
【0074】
実施例20には、複数のレーダー信号の処理が窓関数処理を含む、実施例18または19の主題が任意に含まれうる。
【0075】
実施例21には、複数のレーダー信号のうちの各レーダー信号が複数のサンプルを含み、窓関数処理が、サンプルのそれぞれとサンプルに固有の複素窓関数処理係数との乗算を含む、実施例20の主題が任意に含まれうる。
【0076】
実施例22には、プロセッサがさらに、フーリエ変換の前に窓関数処理を適用するように構成されている、実施例20および21の主題が任意に含まれうる。
【0077】
実施例23には、少なくとも1つのビーム方向が、複数のビーム方向を含む、実施例18から22までのいずれか1つの主題が任意に含まれうる。
【0078】
実施例24には、複数のさらなる処理済レーダー信号のデジタルビームフォーミングが、アンテナそれぞれのさらなる処理済レーダー信号とアンテナおよびビームに固有の複素乗算係数との乗算を含む、実施例18から23までのいずれか1つの主題が任意に含まれうる。
【0079】
実施例25には、アンテナおよびビームに固有の複素乗算係数が、第1の次元としての複数のアンテナの数と第2の次元としての複数のビーム方向の数とを有する行列として供給される、実施例24の主題が任意に含まれうる。
【0080】
実施例26には、合計が、複数のアンテナからの複数のビームフォーミング済レーダー信号の、ビーム方向ごとのコヒーレントな合計を含む、実施例18から25までのいずれか1つの主題が任意に含まれうる。
【0081】
実施例27には、プロセッサがさらに、少なくとも1つの方向(b)について合計されたビームフォーミング済レーダー信号を、式
【数17】
から導出するように構成されており、ここで、bはビーム方向のインデクスであり、mはアンテナのインデクスであり、ab,mはアンテナおよびビームに固有の複素乗算係数であり、
【数18】
であって、ここで、kはサンプルのインデクスであり、X(n)はサンプルkに対するアンテナmの複素窓関数w(k)とサンプルkに対するアンテナmのレーダー信号x(k)との乗算のフーリエ変換(DFT)であり、ここで、任意に、
【数19】
または
【数20】
であって、ここで、b=mであり、hann()はハン窓関数である、実施例18から26までのいずれか1つの主題が任意に含まれうる。
【0082】
実施例28には、コヒーレント和が、
【数21】
である、実施例26および27の主題が任意に含まれうる。
【0083】
実施例29には、合計が、さらに、複数のアンテナからの複数のビームフォーミング済レーダー信号の、ビーム方向ごとの非コヒーレントな合計を含む、実施例27または28の主題が任意に含まれうる。
【0084】
実施例30には、非コヒーレント和が、
【数22】
であり、ここで、cb,mは当該非コヒーレント和に対するアンテナおよびビームに固有の乗算係数であり、ここで、任意に、
【数23】
または
【数24】
であり、ここで、b=mであり、hann()はハン窓関数である、実施例29の主題が任意に含まれうる。
【0085】
実施例31には、プロセッサがさらに、非コヒーレントな合計とコヒーレントな合計とを並列的に実行するように構成されている、実施例26から28までのいずれか1つおよび実施例29または30の主題が任意に含まれうる。
【0086】
特定の実施形態を参照して発明を特に図示および説明してきたが、当業者には、添付の特許請求の範囲に規定された発明の思想および範囲から逸脱することなく、各実施形態における形状および詳細の点で種々の変更がなされうることを理解されたい。したがって、発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって示されるものであり、よって、当該特許請求の範囲の意味および等価物の範囲に該当する全ての変更が包含されることを意図している。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4
【外国語明細書】