(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054467
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】鼻孔マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220331BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20220331BHJP
A62B 23/00 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
A62B23/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161537
(22)【出願日】2020-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】312010308
【氏名又は名称】マフレン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大徳 一美
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA08
2E185BA18
2E185CA03
2E185CC06
2E185CC07
2E185CC32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】防臭機能、濾過機能を有する鼻孔マスクを提供する。
【解決手段】鼻孔挿入管を備えた鼻孔ヘッダ20をマスク30で被覆した鼻孔マスク10であり、鼻孔ヘッダは吸気口20aと呼気管23を備えており、吸気口と呼気管はそれぞれ吸気逆止弁41と呼気逆止弁42を備え、呼気と吸気が鼻孔ヘッダ内で混合しにくい構造とした。又、呼気口と呼気管をマスクに押し当てて被覆し固定リング50で固定したり、呼気口と呼気管をマスクの外に突き出したりしてフィルタで被覆し固定リングで固定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と呼気口と鼻孔挿入管を備えた外殻からなる鼻孔ヘッダがマスクで被覆されている鼻孔マスクにおいて、前記吸気口は前記外殻の両側に設けられ、前記吸気口は吸気逆止弁を備えており、前記呼気口は前記外殻に設けられた呼気管に位置しており、該呼気管には呼気逆止弁が設けられている鼻孔マスクにおいて、前記吸気口と前記呼気管が前記マスクに押し当てられており、該マスクと前記吸気口と前記呼気管は固定リングで固定されていることを特徴とする鼻孔マスク。
【請求項2】
吸気口と呼気口と鼻孔挿入管を備えた外殻からなる鼻孔ヘッダがマスクで被覆されている鼻孔マスクにおいて、前記吸気口は前記外殻の両側に設けられ、前記吸気口は吸気逆止弁を備えており、前記呼気口は前記外殻に設けられた呼気管に位置しており、該呼気管には呼気逆止弁が設けられている鼻孔マスクにおいて、前記マスクには吸気開口部と呼気開口部が設けられ、前記吸気口と前記呼気管にそれぞれ吸気フィルタと呼気フィルタが設けられており、前記吸気口と前記呼気管が前記吸気開口部と前記呼気開口部を貫通して前記マスクから露出せしめられ、前記吸気口と前記吸気フィルタ及び前記呼気管と前記呼気フィルタがそれぞれ固定リングで固定されていることを特徴とする鼻孔マスク。
【請求項3】
吸気口と呼気口と鼻孔挿入管を備えた外殻からなる鼻孔ヘッダがマスクで被覆されている鼻孔マスクにおいて、前記吸気口は前記外殻の両側に設けられ、前記吸気口は吸気逆止弁を備えており、前記呼気口は前記外殻に設けられた呼気管に位置しており、該呼気管には呼気逆止弁が設けられている鼻孔マスクにおいて、前記マスクには筒型突起が設けられており、前記吸気口と前記呼気管がそれぞれ筒型突起に収納されており、前記筒型突起と前記呼気口及び前記筒型突起と前記呼気管が固定リングで固定されていることを特徴とする鼻孔マスク。
【請求項4】
前記鼻孔挿入管は可撓性のある樹脂で形成されており、前記外殻に設けられた差し込み口に挿入され、前記鼻孔挿入管の外径は前記差し込み口の内径より大きく形成されており、前記鼻孔挿入管が前記差し込み口を摺動して前記鼻孔挿入管の突き出し長さを自在に調整するとともに、摩擦力により抜け止め防止機能を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の鼻孔マスク。
フォームの始まり
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防臭機能や、花粉、粉塵、ウイルス、細菌などの人体への浸入を防止する濾過機能を有する鼻孔マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
マスクは花粉、煤塵、ウイルス、細菌、微粒子、臭気などの体内への侵入防止に使用されている。ウイルスはくしゃみや咳で飛散し、エアロゾルの状態で数時間密閉空間に漂うため従来のマスクでは完全に遮断できなかった。又、排出した呼気がマスク内に滞留し、呼気の水分や臭いや二酸化炭素が充満し息苦しく不快感があった。呼気排出専用の逆止弁付きマスクは、濾過機能はなく、マスクの中に呼気を滞留させるため臭い、湿気などの改善効果は皆無であった。
【0003】
実開昭63-130063号広報において、着脱可能なフィルタと吸気逆止弁と呼気逆止弁を設けた鼻腔マスクが提案されている。この方法においては、鼻孔挿入管でそれぞれの鼻孔をシールせず、鼻孔周辺をパットで覆ってシールしているため、外気が浸入しやすい。又、フィルタの濾過能力が小さく、浮遊物の除去が不十分であり、通気抵抗も大きく息苦しかった。又、装着時の外見に違和感があり、外出時の装着は抵抗があった。
【0004】
特開平8-299478号広報において、箱の本体に鼻孔への挿入筒を設け、箱の一面にフィルタを設け、他の2面を排気口とし、逆止弁を設けた鼻孔マスクが提案されている。この方法においては、フィルタの通気抵抗は小さいが、濾過能力が小さく浮遊物の除去が不十分であった。又、フィルタの交換ができず、長期使用不可であった。又、装着時の外見に違和感があり、外出時の装着は抵抗があった。
【0005】
特開平3-191966号広報において、鼻カニューラを隠蔽用マスクで被覆して、呼吸用気体を供給する方法が提案されている。この方法においては、1)呼吸用気体の供給装置が必要であり携行性が悪かった。2)吸気はカニューラから吸引され、呼気はカニューラと鼻孔の隙間から排気されるため、カニューラと鼻孔には必ず隙間が必要であり、この隙間から大気が浸入する問題があった。
【0006】
特開2002-253689号広報において、逆止弁の作用をする可撓性フラップを設けた排気弁付きマスクが提案されている。この方法においては、マスク内の呼気を排気弁で排出しやすいが、1)マスク内に呼気が充満した後フラップが開いて排出されるため、マスク内が水蒸気や熱気で蒸し暑く、吸気時は炭酸ガスを大量に含んだ残留呼気を吸い込むため息苦しかった、2)経時的にマスク内が臭くなり不快であった。
【0007】
特開2007-181661号広報において、使用者の外鼻外周面にドーム状の隔壁を備えたマスクに、吸入用ガス投入手段を備えた吸入用ガス供給用マスクが示されている。この方法においては、マスク内に呼吸用ガスを送り込むので呼吸は楽であるが、吸入用ガスを供給する装置が必要であり、簡便に携行できるものではなかった。
【0008】
特開2007-151823号広報において、携帯型空調装置を首に提げて鼻腔に空気を送る方法が提案されている。この方法においては、1)通気管内のシール性が悪いので外気が浸入する。2)吸入用ガスを供給する装置が必要であり携帯性に問題があった。
【0009】
韓国公開特許第10-2004-0107333号広報において、吸気口と呼気口と鼻孔挿入管を備えた鼻孔ヘッダが、マスクに取り付けた袋状フィルタに収納されており、吸気口に吸気逆止弁と呼気口に呼気逆止弁を備えたマスクが提案されている。この方法においては、1)袋状フィルタを取り付けて鼻孔ヘッダを挿入するため、装着に複雑な工程が必要である。2)鼻孔ヘッダと袋状フィルタが一体であり着脱できない。3)鼻孔ヘッダが使い捨てでありコスト高である。4)マスクと袋状フィルタに開口部が3箇所有り、加工が複雑でシール性が悪い。5)吸息と呼息の切り替え時に呼気口から外気を吸引するなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開昭63-130063号広報
【特許文献2】特開平8-299478号広報
【特許文献3】特開平3-191966号広報
【特許文献4】特開2002-253689号広報
【特許文献5】特開2007-181661号広報
【特許文献6】特開2007-151823号広報
【特許文献7】韓国公開特許第10-2004-0107333号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の鼻孔挿入管を直接鼻孔に挿入して吸息(吸気運動)・呼息(呼気運動)する方法はフィルタの容量が小さく濾過機能が不十分であった。又、鼻孔挿入管が露出するため外見が悪く外出時に装着するのは抵抗があった。鼻孔周辺を部分的にカバーして空気や酸素を供給する方法は、シール性が不十分でありウイルスなどの微粒子を吸引する問題があった。
【0012】
従来の布やフェルトを使用したマスクでは、呼息運動により排出された呼気はマスク内に充満し、マスク内の圧力がマスクの通気抵抗まで上昇した後、マスクから外気に排出される。吸息運動では、最初にマスク内で混ざり合った清浄空気と呼気の混合空気を吸気し、マスク内の圧力がマスクの通気抵抗まで低下した後、外気からの清浄空気がマスク内に浸入することになる。従って、マスク内では吸気(外気からの清浄空気)と呼気(鼻孔からの吐出空気)が一旦混ざり合った状態になることを避けることはできない。そのため、吸引開始時は、残存している二酸化炭素や水蒸気を吸引せざるを得ず呼吸効率が悪く息苦しかった。
【0013】
大気中の二酸化炭素量は0.04%程度であるが、呼気には4%の二酸化炭素が含まれている。従って、大気中の酸素量は21%であるが、呼気中では17%程度に低下するのでマスク呼吸は息苦しくなる。一般に人間の正常な活動における酸素濃度は18%以上である。マスク装着時の呼吸を快適に保つためにはマスクの改善が望まれる。
【0014】
米国労働安全衛生局はN95マスクの認定をしている。N95とは非耐油性で、0.3μm以上の塩化ナトリウム結晶の捕集効率が95%以上を意味している。日本の国家検定ではDS2クラスがN95と理論上は同様の効果がある。マスクの規格はあくまでも機械的な捕集効率であり重要なのは顔面へのフィット性である。現実には、全ての人の顔面に的確にフィットするマスクを提供するのは困難であり、マスクの周縁からバイパスして浸入するエアロゾル、花粉、PM2.5などの微小有害物を完全に遮断するのは困難である。くしゃみや咳から生じるエアロゾルは密閉空間では2~3時間空中を漂うとされておりウイルス感染源となっている。
【0015】
本発明はマスクの問題点を解決し、シール性に優れ、確実にウイルスや粉塵を濾過して清浄化された空気の吸引を可能にすることであり、以下の課題を解決することである。1)吸気される清浄空気と鼻から呼気される排出空気の混合を最小限にして、マスク内で清浄な吸気と呼気が混合し汚染されるのを防止し、二酸化炭素の少ない清浄な空気を吸引することにより息苦しさを軽減する。2)呼気による湿度の上昇を防止しメガネが曇らないようにする。3)マスク内の臭いや不快感を解消する。4)マスクの湿気による目詰まりや雑菌の繁殖を低減し、マスクを衛生的に使用できる時間を延長せしめる。5)マスクと顔面に空気溜まりとなる空間を形成し、マスクの有効濾過面積を広くして濾過機能と通気性を向上せしめる。6)鼻孔ヘッダをマスクで被覆することにより外見の違和感を解消する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、吸気口と呼気口と鼻孔挿入管を備えた外殻からなる鼻孔ヘッダがマスクで被覆されている鼻孔マスクにおいて、前記吸気口は前記外殻の両側に設けられ、前記吸気口は吸気逆止弁を備えており、前記呼気口は前記外殻に設けられた呼気管に位置しており、該呼気管には呼気逆止弁が設けられている鼻孔マスクにおいて、前記吸気口と前記呼気管が前記マスクに押し当てられており、該マスクと前記吸気口と前記呼気管は固定リングで固定されていることを特徴とする鼻孔マスクである。
【0017】
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、吸気口と呼気口と鼻孔挿入管を備えた外殻からなる鼻孔ヘッダがマスクで被覆されている鼻孔マスクにおいて、前記吸気口は前記外殻の両側に設けられ、前記吸気口は吸気逆止弁を備えており、前記呼気口は前記外殻に設けられた呼気管に位置しており、該呼気管には呼気逆止弁が設けられている鼻孔マスクにおいて、前記マスクには吸気開口部と呼気開口部が設けられ、前記吸気口と前記呼気管にそれぞれ吸気フィルタと呼気フィルタが設けられており、前記吸気口と前記呼気管が前記吸気開口部と前記呼気開口部を貫通して前記マスクから露出せしめられ、前記吸気口と前記吸気フィルタ及び前記呼気管と前記呼気フィルタがそれぞれ固定リングで固定されていることを特徴とする鼻孔マスクである。
【0018】
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、吸気口と呼気口と鼻孔挿入管を備えた外殻からなる鼻孔ヘッダがマスクで被覆されている鼻孔マスクにおいて、前記吸気口は前記外殻の両側に設けられ、前記吸気口は吸気逆止弁を備えており、前記呼気口は前記外殻に設けられた呼気管に位置しており、該呼気管には呼気逆止弁が設けられている鼻孔マスクにおいて、前記マスクには筒型突起が設けられており、前記吸気口と前記呼気管がそれぞれ筒型突起に収納されており、前記筒型突起と前記呼気口及び前記筒型突起と前記呼気管が固定リングで固定されていることを特徴とする鼻孔マスクである。
【0019】
第4の解決手段は特許請求項4に示すように、前記鼻孔挿入管は可撓性のある樹脂で形成されており、前記外殻に設けられた差し込み口に挿入され、前記鼻孔挿入管の外径は前記差し込み口の内径より大きく形成されており、前記鼻孔挿入管が前記差し込み口を摺動して前記鼻孔挿入管の突き出し長さを自在に調整するとともに、摩擦力により抜け止め防止機能を有していることを特徴とする鼻孔マスクである。
【発明の効果】
【0020】
第1の解決手段による効果は、1)吸気口には吸気逆止弁、呼気口には呼気逆止弁を備えているので、吸気は吸気口のみから吸引され、呼気は呼気口のみから排出されるので、マスク内に呼気が充満することがなく、呼気による湿度の上昇を防止し、二酸化炭素による息苦しさや口臭を解消できる。2)吸気口と呼気管をマスクで被覆しているので新たにフィルタを取付ける必要がない。3)固定リングでマスクと吸気口及び呼気管をそれぞれ固定しているので、マスクが外れることがない。3)呼気管より径の大きな呼気フランジでマスク面を囲んで呼気フィルタを形成しているので、通気抵抗が小さくなり呼吸が楽である。4)呼気の湿気によるマスクの目詰まりや雑菌の繁殖を低減し、マスクを清潔に爽やかに使用できる時間を延長できる。5)顔面に湿気を含んだマスク素材が接触しないので不快感がなく、湿気でメガネが曇ることがない。6)鼻孔ヘッダとマスクの間に空間を形成できるので、顔面とマスクの間に空気溜まりが形成されエアタンクの役割をするので呼吸が楽になり、又、顔面とマスクの接触面積が小さくなり、有効濾過面積が拡大し通気性が向上する。7)くしゃみや咳をした場合に放散されるエアロゾルはマスクで遮断できる。8)鼻孔ヘッダがマスクで被覆されるので外見の違和感を解消できる。
【0021】
第2の解決手段による効果は、1)ウイルスや花粉などの濾過対象物に応じて吸気フィルタの性能を自在に変えることができる。2)吸気口のフィルタよりも呼気管のフィルタの通気抵抗を小さくできるので呼気を素早く排出できる。3)吸気口と呼気管がマスクの外にあるので、マスク内に呼気を吐出することがない。又、呼気が口から排出された場合でも、吸気口がマスク外に出ているので、二酸化炭素や口臭や湿気が充満したマスク内の空気を吸引することがない。
【0022】
第3の解決手段による効果は、1)吸気筒型突起と呼気筒型突起は袋状になっているので、吸気口と呼気管をそれぞれ挿入することにより取付けやすい。又、筒型突起とそれぞれ吸気口及び呼気管を固定リングを固定しやすい。2)吸気筒型突起と呼気筒型突起の中に追加のフィルタで被覆することにより濾過能力を調整できる。3)顔面形状に合わせてマスクに筒型突起をあらかじめ形成できるので、鼻孔ヘッダ専用の顔面にフィットしたマスクを製造できる。
【0023】
第4の解決手段による効果は、1)樹脂のように可撓性のある材料を用いることにとのより、径の大きな鼻孔挿入管を径の小さな鼻孔ヘッダの穴に押込んで取付けることができる。2)鼻孔挿入管は鼻孔ヘッダの穴との間で自在に動かせるので、鼻孔挿入管の長さを個人の顔面に合わせて調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】は装着された開口部付き鼻孔マスクの部分断面平面図。
【
図5】は開口部付きマスクに鼻孔ヘッダを装着した鼻孔マスク正面図。
【
図7】は筒型突起を設けたマスクに鼻孔ヘッダを装着した鼻孔マスクの正面図。
【
図9】は鼻孔挿入管を外殻に差し込んだ状態を示す部分断面正面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態を請求項1~4及び
図1~5に基づいて説明する。
【0026】
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、吸気口20aと呼気口20bと鼻孔挿入管22を備えた外殻21からなる鼻孔ヘッダ20がマスク30で被覆されている鼻孔マスク10において、前記吸気口20aは前記外殻21の両側に設けられ、前記吸気口20aは吸気逆止弁41を備えており、前記呼気口20bは前記外殻21に設けられた呼気管23に位置しており、該呼気管23には呼気逆止弁42が設けられている鼻孔マスク10において、前記吸気口20aと前記呼気管23が前記マスク30に押し当てられており、該マスク30と前記吸気口20aと前記呼気管23は固定リング50で固定されていることを特徴とする鼻孔マスク10である。
【0027】
図1は、装着した鼻孔マスク10の部分断面平面図である。鼻孔ヘッダ20の外殻21に設けられた挿入口20cに鼻孔挿入管22が設けられ鼻孔に挿入されている。外気はマスク30を通過する際に清浄化され鼻孔ヘッダ20に流入し、鼻孔挿入管22を通して吸気される。呼気は鼻孔挿入管22を通して鼻孔ヘッダ20に流入し、鼻孔ヘッダ20の外殻21に設けられた呼気管23とマスク30を通過して排出される。鼻孔挿入管22は吸気と呼気が交互に往来する共通の通路となっており、鼻孔ヘッダ20は呼気と吸気が一時的に混在する交換部となる。鼻孔ヘッダ20の容積はマスク30の容積に比して小さいので鼻孔ヘッダ20に流入した呼気は瞬時に呼気口20bから排出される。
【0028】
吸気口20aがマスク30に押し付けられ固定リング50で固定されている。吸気口20aはマスク30で完全に密閉された状態で被覆される。吸気口20aを被覆しているマスク30部分は吸気フィルタ31となって吸気を濾過する機能を有している。吸気口20aから流入した吸気は吸気逆止弁41を通過し濾過された状態で鼻孔挿入管22から吸引される。鼻孔挿入管22から排出された呼気は、呼気逆止弁42を通り呼気管23に被覆されたマスク30を通過して大気に排出される。呼気口20bはマスク30で完全に密閉された状態で被覆される。呼気口20bを被覆しているマスク30部分は呼気フィルタ32となって呼気を濾過する機能を有している。
【0029】
吸息運動のときは、吸気逆止弁41は開となり、呼気逆止弁42は閉になる。呼息運動のときは、呼気逆止弁42が開になり、吸気逆止弁41が閉になる。吸気口20aと呼気口20bに設けた逆止弁40により吸気と呼気は一方通行となりお互いに混合しにくい構造となっている。
【0030】
呼気フィルタ32は呼気に含有されるウイルスや菌を清浄化して排出する。又、呼気逆止弁が開閉する際に瞬間的に吸引される外気を濾過する機能を有する。鼻孔ヘッダ20内の圧力は呼気時は正圧であり、吸気時は負圧となることから、正圧と負圧が切り替わる瞬間に呼気逆止弁42から外気が流入するタイミングが生じる。この時に外気に含有されるウイルスや塵埃を呼気フィルタ32で遮断することができる。
【0031】
図2は装着された鼻孔マスク10の部分断面側面図である。呼気口20bと対向するマスク30部分に呼気管23の呼気口20bを押し当てて、呼気フィルタ32が形成されている。固定リング50により呼気管23とマスク30が固定されているので、呼気はマスク30内に逆流することなく呼気逆止弁42を通り呼気フィルタ32で濾過されて大気に排気される。
【0032】
鼻孔ヘッダ20の材質は、軽量で剛性があり機械加工性の優れた樹脂類が使用できる。例えば、シリコン、ポリプロピレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP/OPP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS/OPS)、アクリル(AC)などである。鼻孔ヘッダは人間の肌に接触することからシリコンが望ましい。鼻孔ヘッダ20の外径は10~30mmがよい。10mmより小さいと息苦しい。30mmより大きいとマスク30が顔面から大きく突出するので違和感が生じる。
【0033】
鼻孔ヘッダ20は軽量であり、鼻孔と鼻孔挿入管22の摩擦力による保持力と、マスク30が鼻孔ヘッダ20を顔面に押付ける力により、マスク30内に保持できる。又、保持力を確実にするため鼻孔ヘッダ20に紐を付けてマスク30のように耳に引っ掛けて保持することもできる。
【0034】
吸気逆止弁41や呼気逆止弁42は、スペーサ40a、フラップ40b、接合部40cなどから構成される。フラップ40bは接着剤やピンなどでスペーサ40aに取り付けて固定することができる。逆止弁40の態様は実施例以外にも多種あり呼吸運動に合わせて開閉できれば使用できる。
【0035】
フラップ41は可撓性のある柔らかいゴムや樹脂例えば、シリコン、ポリプロピレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP/OPP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS/OPS)などからなる厚み0.1~1.0mmの薄板を使用できる。
【0036】
鼻孔ヘッダ20の吸気と呼気の交換機能により、呼気と吸気が瞬間的に混合するタイミングがあるが瞬間的であり、鼻孔ヘッダ20の容積が吸気量に比べて圧倒的に小さく、鼻孔ヘッダ20に残留した呼気中の臭いや二酸化炭素は希釈されてしまうので快適な吸息運動ができる。鼻孔ヘッダ20内に二酸化炭素や水分を大量に含有した呼気が残留することがなく、呼気の水分で吸気フィルタ31が湿ることがないので、雑菌や臭いの発生を防止できる。鼻呼吸を主体にすることで、マスク30は咳やくしゃみや会話などによる飛沫やエアロゾルを遮断するだけの機能に特化することができる。
【0037】
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、吸気口20aと呼気口20bと鼻孔挿入管22を備えた外殻21からなる鼻孔ヘッダ20がマスク30で被覆されている鼻孔マスク10において、前記吸気口20aは前記外殻21の両側に設けられ、前記吸気口20aは吸気逆止弁41を備えており、前記呼気口20bは前記外殻21に設けられた呼気管23に位置しており、該呼気管23には呼気逆止弁42が設けられている鼻孔マスク10において、前記マスク30には吸気開口部30bと呼気開口部30cが設けられ、前記吸気口20aと前記呼気管23にそれぞれ吸気フィルタ33と呼気フィルタ34が設けられており、前記吸気口20aと前記呼気管23が前記吸気開口部30bと前記呼気開口部30cを貫通して前記マスク30から露出せしめられ、前記吸気口20aと前記吸気フィルタ33及び前記呼気管23と前記呼気フィルタ34がそれぞれ固定リング50で固定されていることを特徴とする鼻孔マスク10である。
【0038】
図3は装着した鼻孔マスク10の部分断面平面図で、マスク30に吸気開口部30bと呼気開口部30cを設けている。
図4は装着した鼻孔マスク10の部分断面側面図で、マスク30に呼気開口部30bを設けている。
図5は鼻孔マスク30を装着した鼻孔マスク10の部分断面正面図である。
図6は吸気開口部30bと呼気開口部30cを設けたマスク30の斜視図である。
【0039】
マスク30には、吸気口20aと呼気管23に対向する部分に吸気開口部30bと呼気開口部30cが設けられている。吸気用開口部30bや呼気用開口部30cは呼気口20aや呼気管23の外径よりもやや小さく形成して、シール性能を高めるのがよい。マスク素材は布やフェルトや樹脂製なので伸縮性が有ることから、呼気口20aや呼気管23の外径で押し広げて密接させることができる。吸気口20aと呼気管23にそれぞれ吸気フィルタ33と呼気フィルタ34が設けられている。吸気口20aと呼気管23が吸気開口部30bと呼気開口部30cを貫通してマスク30から露出せしめられ、吸気口20aと吸気フィルタ33及び呼気管23と呼気フィルタ34がそれぞれ固定リング50で固定されている。
【0040】
吸気フィルタ33の濾過特性を向上せしめるためにマスク30よりも高性能な材料を使用できる。例えばマスク30全体を高性能材質で形成するとコスト高になるので、吸気フィルタ33だけを高性能材質で形成し、呼気フィルタ34やマスク30自体は通常材質で形成してコスト低減できる。又、ウイルスや花粉などの濾過対象物に応じて吸気フィルタ33の性能を自在に変えることができる。吸気口20aと呼気管23がマスク30の外にあるので、マスク30内に呼気を吐出することがなくマスク30内の臭いや湿気やメガネのくもりを解消できる。
【0041】
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、吸気口20aと呼気口20bと鼻孔挿入管22を備えた外殻21からなる鼻孔ヘッダ20がマスク30で被覆されている鼻孔マスク10において、前記吸気口20aは前記外殻21の両側に設けられ、前記吸気口20aは吸気逆止弁41を備えており、前記呼気口23は前記外殻21に設けられた呼気管23に位置しており、該呼気管23には呼気逆止弁42が設けられている鼻孔マスク10において、前記マスク10には筒型突起35が設けられており、前記吸気口20aと前記呼気管23がそれぞれ筒型突起35に収納されており、前記筒型突起35と前記吸気口20a及び前記筒型突起35と前記呼気管23が固定リング50で固定されていることを特徴とする鼻孔マスク10である。
【0042】
図7はマスク30に筒型突起35を設けて鼻孔ヘッダ20をマスク30に収納した部分断面正面図である。
図8は筒型突起35を設けたマスク30の斜視図ある。筒型突起35は鼻孔ヘッダ20の吸気口20aと呼気管23に対応するように配置されている。筒型突起35に吸気口20aと呼気管23が収納されるので、マスク30がずれて局部的に顔面とマスク30に大きな隙間が生じたりすることがない。筒型突起35は布やフェルトなどを筒型にプレス成形して形成できる。あるいは筒型突起35を接着剤や縫製して取付けてもよい。筒型突起35をマスク30と一体型に形成することにより、鼻孔ヘッダ20を簡単にマスク30の中に収納できる。又、固定リング50で筒型突起35と吸気口20a及び呼気管23を固定するのでシール性がよくマスク30内に呼気が逆流することがない。
【0043】
第4の解決手段は特許請求項4に示すように、前記鼻孔挿入管22は可撓性のある樹脂で形成されており、前記外殻21に設けられた差し込み口21aに挿入され、前記鼻孔挿入管22の外径Dは前記差し込み口21aの内径dより大きく形成されており、前記鼻孔挿入管22が前記差し込み口21aを摺動して前記鼻孔挿入管22の突き出し長さLを自在に調整するとともに、摩擦力により抜け止め防止機能を有していることを特徴とする鼻孔マスク10である。
【0044】
図9(a)は外殻21の差し込み口21aに鼻孔挿入管22を挿入した正面図である。
図9(b)は鼻孔挿入管であり円筒形である。鼻孔挿入管22を差し込み口21aに挿入すると、鼻孔挿入管22は可撓性により差し込み口21aの内径dに合わせて収縮し密接する。鼻孔挿入管22は外部から内側に向けて押し付け力が加わると力の方向に座屈する傾向があるので、このとき鼻孔挿入管22の長さ方向に張力を付加することにより鼻孔挿入管22の径Dが収縮し座屈すること無くきれいな円周形を保持せしめながら差し込み口21aに密接させることができる。鼻孔挿入管22を差し込み口21aで摺動させることにより鼻孔挿入管22の突き出し高さLを自在に調整することができる。人間の鼻孔の口径や鼻孔周りの大きさは個人差があるので鼻孔挿入管22の突き出し長さLを調整可能にしておけば各人の個性に合わせて対応できる。
【符号の説明】
【0045】
10:鼻孔マスク
20:鼻孔ヘッダ
20a:吸気口
20b:呼気口
21:外殻
21a:差し込み口
22:鼻孔挿入管
23:呼気管
30:マスク
30a:外周部
30b:吸気開口部
30c:呼気開口部
31:吸気フィルタ
32:呼気フィルタ
33:吸気フィルタ
34:呼気フィルタ
35:筒型突起
40:逆止弁
40a:スペーサ
40b:フラップ
40c:接合部
41:吸気逆止弁
42:呼気逆止弁
50:固定リング
d:差し込み口内径
D:鼻孔挿入管外径
L:突き出し長さ