(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054469
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20220331BHJP
F24F 6/16 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
F24F6/00 A
F24F6/00 H
F24F6/16
F24F6/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161539
(22)【出願日】2020-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 長
(72)【発明者】
【氏名】野口 小百合
(72)【発明者】
【氏名】井浦 真
(72)【発明者】
【氏名】今村 勇斗
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055BB03
3L055DA01
3L055DA03
3L055DA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水入れ替え動作時に安定した加湿量の加湿空気を送風可能な加湿装置を提供する。
【解決手段】ミスト運転中における水入れ替え動作時において、給水弁、及び排水弁を開弁し同時給排水を実施した後、各水位センサにより上限水位、及び下限水位が検知されなければ同時給排水を継続し、上限水位以上が検知されたら中段水位から上限水位の間で水位が変動するよう給水弁の開閉を制御し、下限水位以下が検知されたら下限水位から中段水位の間で水位が変動するよう排水弁の開閉を制御するので、水入れ替え動作時における貯水室内の水位変動幅を抑えることができ、加湿空気に含まれるミスト量にムラが生じないため、水入れ替え動作時に安定した加湿量の加湿空気を室内に送風することができる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体内にあり水を貯水する貯水室と、
前記貯水室内に下端を水没させ回転により水を汲み上げて飛散させる筒状の回転体と、当該回転体を回転駆動させるミストモータと、
前記回転体の回転により飛散された水が衝突することでミストを発生させる衝突体と
前記衝突体で発生したミストを含む加湿空気を送風口から送風する送風ファンと、
前記貯水室内の水位を検知する水位検知手段と、
前記貯水室に一端が接続され配管途中に前記貯水室への給水有無を切り替え可能な給水弁を備えた給水管と、
前記貯水室に一端が接続され配管途中に前記貯水室内の水の排水有無を切り替え可能な排水弁を備えた排水管と、
前記貯水室で発生したミストを含む加湿空気を前記送風ファンにより前記送風口から送風するミスト運転を制御する制御部と、を備え、
前記水位検知手段は、前記貯水室の水位が上限水位以上か、下限水位以下か、前記上限水位と前記下限水位との間にある中段水位以上か、をそれぞれ判断可能であり、
前記制御部は、前記ミスト運転の実施中に所定の動作開始タイミングになったと判断したら、前記ミスト運転を継続しつつ前記給水弁、及び前記排水弁を開弁して前記貯水室内の水を入れ替える水入れ替え動作を実施し、
前記水入れ替え動作の実施中、前記水位検知手段により前記貯水室の水位が前記上限水位以上だと判断したら前記給水弁を閉弁し、前記中段水位を下回ったと判断したら前記給水弁を開弁するよう、前記給水弁の開閉を制御し、
前記水位検知手段により前記貯水室の水位が前記下限水位以下だと判断したら前記排水弁を閉弁し、前記中段水位以上だと判断したら前記排水弁を開弁するよう、前記排水弁の開閉を制御することを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記水入れ替え動作の実施中、前記排水弁を前記貯水室からの排水量を制限する所定開度にすることを特徴とする請求項1記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミストを含む加湿空気を室内へ供給するミスト運転が実施可能な加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、貯水室内の水に下端が設置した回転体が回転することで吸い上げた水を周囲に飛散させ、飛散した水が衝突体に衝突することでミストを発生させ、送風ファンにより器具本体内に取り込んだ空気が貯水室を通過することで、ミストを含む加湿空気を室内に送風するミスト運転を実施する加湿装置において、ミスト運転を所定の運転時間だけ継続したと判断したら、前記ミスト運転を継続すると共に給水弁、及び排水弁の開閉を制御し、貯水室内の水位を上限水位から下限水位の間に収める水入れ替え動作を実施するものがあった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、水入れ替え動作の実施中、貯水室内の水位が上限水位から下限水位の間で変動することから、回転体で吸い上げる水量に差が生じることに伴い貯水室内で発生するミスト量が増減することで、送風口から送風される加湿空気中に含まれるミスト量が不安定となって一定の加湿量を得られないことから、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、器具本体内にあり水を貯水する貯水室と、
前記貯水室内に下端を水没させ回転により水を汲み上げて飛散させる筒状の回転体と、当該回転体を回転駆動させるミストモータと、
前記回転体の回転により飛散された水が衝突することでミストを発生させる衝突体と
前記衝突体で発生したミストを含む加湿空気を送風口から送風する送風ファンと、
前記貯水室内の水位を検知する水位検知手段と、
前記貯水室に一端が接続され配管途中に前記貯水室への給水有無を切り替え可能な給水弁を備えた給水管と、
前記貯水室に一端が接続され配管途中に前記貯水室内の水の排水有無を切り替え可能な排水弁を備えた排水管と、
前記貯水室で発生したミストを含む加湿空気を前記送風ファンにより前記送風口から送風するミスト運転を制御する制御部と、を備え、
前記水位検知手段は、前記貯水室の水位が上限水位以上か、下限水位以下か、前記上限水位と前記下限水位との間にある中段水位以上か、をそれぞれ判断可能であり、
前記制御部は、前記ミスト運転の実施中に所定の動作開始タイミングになったと判断したら、前記ミスト運転を継続しつつ前記給水弁、及び前記排水弁を開弁して前記貯水室内の水を入れ替える水入れ替え動作を実施し、
前記水入れ替え動作の実施中、前記水位検知手段により前記貯水室の水位が前記上限水位以上だと判断したら前記給水弁を閉弁し、前記中段水位を下回ったと判断したら前記給水弁を開弁するよう、前記給水弁の開閉を制御し、
前記水位検知手段により前記貯水室の水位が前記下限水位以下だと判断したら前記排水弁を閉弁し、前記中段水位以上だと判断したら前記排水弁を開弁するよう、前記排水弁の開閉を制御することを特徴としている。
【0006】
また、請求項2では、前記制御部は、前記水入れ替え動作の実施中、前記排水弁を前記貯水室からの排水量を制限する所定開度にすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、水入れ替え動作の実施中、水位検知手段により貯水室の水位が上限水位以上だと判断したら給水弁を閉弁し、中段水位を下回ったと判断したら給水弁を開弁するよう、給水弁の開閉を制御し、水位検知手段により貯水室の水位が下限水位以下だと判断したら排水弁を閉弁し、中段水位以上だと判断したら排水弁を開弁するよう、排水弁の開閉を制御するので、水入れ替え動作中における水位を中段水位から上限水位の間、中段水位付近、及び中段水位から下限水位の間のいずれかにすることができるため、加湿空気中に含まれるミスト量の変動を抑制し、安定した加湿量の加湿空気を送風することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の一実施形態の外観を説明する斜視図
【
図5】同実施形態の運転開始から終了までの動作を説明するフローチャート
【
図6】同実施形態の水入れ替え動作を説明するフローチャート
【
図7】同実施形態の水入れ替え動作を説明するフローチャート
【
図8】同実施形態の水入れ替え動作を説明するフローチャート
【
図9】同実施形態の水入れ替え動作における給水量と排水量の関係から変動する貯水室の水位を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、この発明の一実施形態におけるミスト発生装置を図に基づいて説明する。
図1を参照する。1は器具本体、2は器具本体1の正面上部を構成する上面パネル、3は器具本体1の正面下部を構成する下面パネル、4は図示しないブレーカーを隠すブレーカーカバーである。
【0010】
図2を参照する。10は器具本体1内の略中段高さ位置にあって所定量の水を貯水する貯水室である。この貯水室10の内側には、水面より下に設置されON状態、OFF状態を切り替えることで貯水を加熱する加熱ヒータ11と、フロートが上下することで水位を検知する水位検知手段としての水位センサ12と、水平方向へ延びる板にミストモータ24が載置され鉛直上方向へ延びる板の上端が気水分離ケース30の下端と当接し支持可能とする仕切板14と、が設置されている。また、貯水室10内の右側上方には室内空気が流入可能な空気流入口15が形成されている。
【0011】
なお、水位センサ12は、上限水位以上かを判断する上水位センサ12aと、下限水位以下かを判断する下水位センサ12cと、上限水位と下限水位との間にある中段水位以上かを判断する中水位センサ12bとで構成されており、各水位センサ10のON/OFF状態に応じた詳細な制御内容は後述する。
【0012】
また、貯水室10の外側には、貯水室10の底面に設置され貯水室10内の貯水温度を検知する貯水温度センサ13が設置されている。
【0013】
図2を参照する。20は貯水室10の水中に下端が水没し駆動軸21に軸支され中空逆円錐形で上方に向かって円周が徐々に拡大する筒状の回転体であり、回転体20は、上部外周に所定間隔を離間させて位置し回転体20と共に回転する円筒状の枠体22と、該枠体22の全周壁に多数のスリットや金網やパンチングメタル等から成る衝突体としての多孔部23が設置されている。
【0014】
図2を参照する。24は貯水室10の上方に設置され駆動軸21と軸支することで回転体20を回転駆動させるミストモータ24であり、当該ミストモータ24が駆動すると回転体20が回転して貯水室10の内壁から汲み上げられた水が回転体20の上端に形成された複数の図示しない飛散口から外周方向へ飛散し多孔部23に衝突することで、水が微細化して粒径がナノメートル(nm)サイズのミストが多量に生成されると同時に、粒径が比較的大きな大粒水滴が発生する。また、前記回転体20、前記多孔部23、及び前記ミストモータ24で加湿空気発生手段が構成されている。
【0015】
なお、ミストモータ24は回転体20を平面視で時計回り方向のみに回転駆動させることが可能なモータを使用しており、後述するミスト運転時において、各設定状態に応じ回転体20を時計回り方向へ回転数を変化させて回動させる。
【0016】
なお、貯水室10内の水位が下限水位を下回ると、回転体20で水を汲み上げることが困難な状態になり、ミストと負イオンの発生量が減少して室内に放出される加湿空気量が減少してしまう。
また、貯水室10内の水位が上限水位を上回ると、水の粘性抵抗により回転体20の回転に対する負荷が増大することから、ミストモータ24に負荷がかかり製品寿命の低下に繋がる。
以上のことから、貯水室10内の水位を下限水位から上限水位の範囲に収めることで、回転体20による水の汲み上げ量を確保すると共にミストモータ24の負荷増大を防止することができる。
【0017】
図2を参照する。30は貯水室10の上方に位置して貯水室10と送風口40とを接続し、貯水室10内で発生したミストを含む加湿空気が通過する気水分離ケース、31は該気水分離ケース30の途中に互い違いとなるよう複数配置された板状のバッフル板である。
【0018】
気水分離ケース30内を加湿空気が通過すると加湿空気に含まれる粒径の大きな大粒水滴がバッフル板31に付着し、バッフル板31に付着した大粒水滴が溜まると気水分離ケース30の側面を流れ落ちて貯水室10へ滴下する。これにより、送風口40まで大粒水滴が案内されることがなく、送風口40付近の結露発生を未然に防止することができる。
【0019】
また、気水分離ケース30は、図示しない取手を握って器具本体1の前方向に引き出すことが可能である。これにより、定期的に気水分離ケース30を器具本体1内から取り出してメンテナンスや清掃等の作業を実施し、作業終了後に元の設置場所へ戻すことで、気水分離ケース30に起因する製品トラブルを未然に阻止することができる。
【0020】
図2を参照する。40は器具本体1上部の前面方向が開口した状態で形成された送風口であり、送風口40には、上下方向の風向を変更可能な板状のルーバー41と、室内へ送風される加湿空気の温度を検知する送風温度センサ42と、が備えられ、気水分離ケース30を通過したミストを含む加湿空気が送風口40から室内へ送風されることで室内の加湿と空気清浄とが実施可能となる。
【0021】
図2を参照する。50は器具本体1の前面に形成され室内の空気が入り込む吸気口であり、吸気口50内には、所定の回転数で駆動することで室内の空気を吸引して器具本体1の上部方向へ送風する送風ファン51と、吸気口50へ吸い込まれる室内空気の雰囲気温度を検知する吸気温度センサ52と、器具本体1が設置された室内の相対湿度を検知する湿度センサ53と、を備えている。
【0022】
送風ファン51が所定の回転数で駆動すると、吸気口50から吸い込んだ室内空気が器具本体1の上部方向へ送風され、吸気口50と貯水室10とを接続する送風経路54を室内空気が通過し、貯水室10内へ流入した室内空気がミストを含んだ加湿空気となって前記気水分離ケース30内を上昇し送風口40から室内へ送風されることで、ミストを含んだ加湿空気を室内に供給することができる。
【0023】
また、55は気水分離ケース30に形成されたバイパス流入口であり、送風経路54を通過した後、貯水室10の空気流入口15へ流入せずに分流した室内空気が気水分離ケース30内へ流入する。
これにより、貯水室10を通過し気水分離ケース30を上昇する加湿空気と、バイパス流入口55から流入する室内空気とが混合し、送風口40から送風されるので、大風量で加湿空気を室内へ送風することができ、器具本体1の設置面積が大きい場合における加湿量不足を解消することができる。
【0024】
図2を参照する。60は貯水室10の側面に一端が接続され貯水室10内に市水を給水する給水管であり、給水管60の配管途中には、電磁弁を開閉して貯水室10内への給水を制御する給水弁61と、給水圧を所定値まで減圧する減圧弁62とが備えられている。
【0025】
70は貯水室10の下部に一端が接続され貯水室10内の水を器具本体1外部に排水する排水管であり、排水管70の配管途中には、電磁弁を開閉して貯水室10内水の排水を制御する排水弁71が備えられている。
【0026】
図3を参照する。80は上面パネル2に設置され複数のスイッチとランプとを備えた操作部である。
操作部80には、ミスト運転の開始及び停止を指示する運転スイッチ81と、加熱ヒータ11のON/OFF状態を切り替えることで貯水室10内の貯水温度を変化させ所定時間あたりに貯水室10から流出する水量である加湿量を変化させる3段階の加湿レベルと、湿度センサ53で検知された湿度が予め設定された湿度となるよう前記加湿レベルを変化させるオートモードとから選択可能な加湿スイッチ82と、ミストモータ24と送風ファン51との回転数の大小を設定可能な三段階の風量レベルと、湿度センサ53で設定された湿度が予め設定された湿度となるよう前記風量レベルを変化させるオートモードとから選択可能な風量スイッチ83と、が備えられている。
【0027】
図3を参照する。操作部80の各スイッチ上部には各スイッチに対応したランプが備えられており、運転スイッチ81が操作されたら点灯する運転ランプ84と、ミスト運転が所定時間以上継続したら開始する除菌運転時に点灯する除菌ランプ85と、加湿スイッチ82で設定された加湿レベルを1から3の数値とオートモードを示すAで表示する加湿レベルランプ86と、風量スイッチ83で設定された風量レベルを1から3の数値とオートモードを示すAで表示する風量レベルランプ87と、が備えられている。
【0028】
図4を参照する。90は各センサで検知された検知値や操作部80上に備えられた各スイッチでの設定内容に基づき運転内容や弁の開閉を制御するマイコンで構成された制御部であり、ミストモータ24を所定の回転数で駆動させるミストモータ制御手段91と、送風ファン51を所定の回転数で駆動させる送風ファン制御手段92と、加熱ヒータ11のON/OFF状態を切り替えて貯水室10内の水温を制御するSSR(ソリッドステートリレー)で構成される加熱ヒータ制御手段93と、が備えられている。
【0029】
次に、この一実施形態での運転開始から終了までの動作について、
図5のフローチャートを参照し説明する。
【0030】
まず、操作部80の運転スイッチ81が操作されたら、制御部90は、排水弁71を開弁して貯水室10内の水を排水し、下限水位以下となって下水位センサ12cでOFF信号が検知されたら給水弁61を開弁して貯水室10内を水で洗い流すクリーニング動作を行い、所定時間経過したら排水弁71を閉弁することで給水弁61から流入する水を貯水室10内に供給し、図示しないフローセンサにより所定量の水が貯水室10内に供給されたら給水弁61を閉弁する洗浄モードを行う(ステップS101)。
【0031】
ステップS101の洗浄モードが終了したら、制御部90は、貯水温度センサ13で検知される貯水温度が室温と同値になるまで加熱ヒータ制御手段93で加熱ヒータ11をON状態にして、ミストモータ24及び送風ファン51が所定の回転数となるようミストモータ制御手段91及び送風ファン制御手段92で制御する立ち上げ動作を実行する立ち上げモードを行う(ステップS102)。
【0032】
ステップS102の立ち上げモードが終了したら、制御部90は、加湿スイッチ82及び風量スイッチ83で設定された加湿レベルと風量レベルとに基づいて、ミストモータ24と送風ファン51とが所定の回転数で駆動するようミストモータ制御手段91と送風ファン制御手段92とで回転数を制御し、加熱ヒータ11のON/OFF状態を加熱ヒータ制御手段93で切り替えて制御して、加湿レベルと風量レベルとに合わせた所定の温度範囲内にするミスト運転を実行する通常運転モードを行う(ステップS103)。
【0033】
また、制御部90は、前記ミスト運転中に貯水室10の水位が下限水位以下となって下水位センサ12cがOFF信号を出力したと判断したら、給水弁61を開弁して貯水室10内への給水を開始し、貯水室10の水位が上限水位以上となって上水位センサ12aがON信号を出力したと判断したら、給水弁61を閉弁して貯水室10内への給水を停止することで、常時ミスト運転が実施可能な水位を保持することができる。
【0034】
また、制御部90は、ミスト運転時における水位センサ12のON/OFF回数と図示しないフローセンサとから貯水室10内への積算給水量を算出し、積算給水量が所定値に達したことで所定の動作開始タイミングになったと判断したら、ミスト運転を継続しつつ貯水室10内の水を入れ替える水入れ替え動作を実施し、貯水室10内におけるスケール発生を抑制する。
水入れ替え動作の詳細な動作内容については後述する。
【0035】
また、前記水入れ替え動作時において下水位センサ12cが下限水位を検知する所定の排水時間内に下限水位を検知しなかった場合、制御部90は、エラーと判断してミストモータ24と送風ファン51との駆動を停止させ、運転ランプ84を点滅させることでエラーを報知すると共に、運転スイッチ81を操作することでのミスト運転の実施を禁止するエラー状態に切り替わる。そして、作業者によるメンテナンスが実施された後に制御部90にある図示しない特定のスイッチが操作される等の所定のエラー解除動作が実行されたと制御部90が判断したら、エラー状態を解除して運転スイッチ81を操作することでミスト運転の実施が可能な状態に切り替わる。
【0036】
ステップS103の通常運転モードが開始されてから経過した時間が16時間となったか、または通常運転モード中に運転スイッチ81が操作されミスト運転終了の指示があったと判断したら、制御部90は、ミストモータ24を停止させてから排水弁71を開弁して貯水室10内の水を排水し、所定時間経過したら給水弁61を開弁して貯水室10内を洗浄してから排水弁71を閉弁して貯水室10内に所定量だけ貯水する洗浄運転を行い、その後、加熱ヒータ11をON状態にして水を65℃前後に加熱し除菌を行う除菌運転を10分間実施し、10分経過後に貯水室10内を冷却する冷却運転を実行し、貯水温度が60℃未満になったら排水弁71を開弁して排水するクリーニングモードを行う(ステップS104)。
【0037】
ステップS104のクリーニングモードが終了したら、制御部90は、乾燥モード(ステップS105)に移行し、送風ファン51が所定の回転数(例えば、800rpm)で駆動するよう送風ファン制御手段92で制御し、所定時間(例えば3時間)だけ送風ファン51を駆動させ続ける乾燥運転を実施して、3時間経過したと判断したら、送風ファン51を停止させて運転を終了する。
【0038】
次に、本実施形態における通常運転モード時の水入れ替え動作について説明する。
図6を参照する。制御部90は、ミスト運転時における貯水室10内への積算給水量が所定値に達したと判断したら、ミスト運転を継続しつつ給水弁61、及び排水弁71を開弁して貯水室10への同時給排水を実施し、更に、給水弁61の開弁時間と給水流量から水入れ替え動作時における積算給水量のカウントを開始する(ステップS201)。
【0039】
この時、排水弁71は全開である0°にせず、所定開度である30°だけ開弁した状態にする。これは、スケールによる排水詰まりを予め想定し、貯水室10への給排水の関係が、給水量<排水量となるよう設計されていることから、排水過多状態が長時間継続しないようにする目的である。
【0040】
前記ステップS201で給水弁61、及び排水弁71を開弁したら、制御部90は、下水位センサ12cがON状態で貯水室10の検知水位が下限水位より高いか判断し(ステップS202)、検知水位が下限水位より高くYes判断であれば、上水位センサ12aがOFF状態で貯水室10の検知水位が上限水位より低いか判断し(ステップS203)、検知水位が上限水位より低くYes判断であれば、貯水室10内へ流入する給水量、及び排水量が同等であり、給水弁61、及び排水弁71を開弁した状態を継続する。
【0041】
前記ステップS203でYes判断をしたら、制御部90は、水入れ替え動作の実施開始からの積算給水量が28L以上かを判断し(S204)、積算給水量が28L以上でYes判断であれば、給水弁61、及び排水弁71を閉弁し積算給水量のカウントを終了して水入れ替え動作を終了させ(ステップS205)、積算給水量が28L未満でNo判断であれば、前記ステップS202の判断を繰り返す。
【0042】
図9を参照する。このように、水入れ替え動作時において貯水室10への給水量、排水量が同等な状態が維持されていれば、(1)の状態で示すように、上限水位と下限水位との間に位置する一定の水位を保持することができるため、水位変動がほとんどないことから加湿空気中に含まれるミスト量に変動が生じず、安定した加湿量の加湿空気を室内に送風し続けることができる。
また、水入れ替え動作の開始から終了まで給水弁61、及び排水弁71をそれぞれ1回だけ開閉するのみであることから、給水弁61、及び排水弁71が開閉動作を繰り返すことでの消耗を抑えることができる。
【0043】
図7を参照する。前記ステップS202で下水位センサ12cがOFF状態であり、貯水室10の検知水位が下限水位以下でNo判断であれば、制御部90は、排水過多状態であるとして排水弁71を閉弁し(ステップS210)、貯水室10からの排水を停止する。
【0044】
そして、前記ステップS210の処理を完了させたら、制御部90は、中水位センサ12bがON状態であり、貯水室10の検知水位が中段水位以上であるか判断し(ステップS211)、検知水位が中段水位以上でYes判断であれば次のステップへ進み、検知水位が中段水位より低くNo判断であれば、前記ステップS211の判断を繰り返す。
【0045】
前記ステップS211でYes判断をしたら、制御部90は、水入れ替え動作の実施開始からの積算給水量が28L以上かを判断し(S212)、積算給水量が28L以上でYes判断であれば、前記ステップS205へ進み水入れ替え動作を終了させ、積算給水量が28L未満でNo判断であれば、排水弁71を30°開弁した状態に戻し(ステップS213)、前記ステップS202の判断を繰り返す。
【0046】
図9を参照する。このように、水入れ替え動作時において貯水室10への給排水量の関係が給水量<排水量の状態であれば、(2)で示すように、貯水室10の水位を中段水位と下限水位との間での変動に維持することができるため、水位の変動幅が大きいことで加湿空気中に含まれるミスト量の増減が大きくなり、加湿量にムラが生じることを抑制することができる。
【0047】
図8を参照する。前記ステップS203で上水位センサ12aがON状態であり、貯水室10の検知水位が上限水位以上でNo判断であれば、制御部90は、給水過多状態であるとして給水弁61を閉弁し(ステップS220)、貯水室10への給水を停止する。
【0048】
そして、前記ステップS220の処理を完了させたら、制御部90は、中水位センサ12bがOFF状態であり、貯水室10の検知水位が中段水位より低いか判断し(ステップS221)、検知水位が中段水位より低くYes判断であれば、給水弁61を開弁した状態に戻し(ステップS222)、その後、前記ステップS202の判断を繰り返し、検知水位が中段水位以上でNo判断であれば、前記ステップS221の判断を繰り返す。
【0049】
図9を参照する。このように、水入れ替え動作時において貯水室10への給排水量の関係が給水量>排水量の状態であれば、(3)で示すように、貯水室10の水位を上限水位と中段水位との間での変動に維持することができるため、水位の変動幅が大きいことで加湿空気中に含まれるミスト量の増減が大きくなり、加湿量にムラが生じることを抑制することができる。
【0050】
なお、本実施形態では前記ステップS220で給水弁61を閉弁して貯水室10内の検知水位が上限水位より低くなるようにしているが、これに限らず、排水弁71の開度を大きくして排水量を増加させてもよい。これにより、貯水室10内の水位を低下させることができるため、給水弁61を閉弁することと同様の効果が見込まれる。
【0051】
次に、本発明の効果を説明する。
【0052】
ミスト運転中における水入れ替え動作時において、給水弁61、及び排水弁71を開弁し同時給排水を実施した後、各水位センサ12により上限水位、及び下限水位が検知されなければ同時給排水を継続し、上限水位以上が検知されたら中段水位から上限水位の間で水位が変動するよう給水弁61の開閉を制御し、下限水位以下が検知されたら下限水位から中段水位の間で水位が変動するよう排水弁71の開閉を制御するので、水入れ替え動作時における貯水室10内の水位変動幅を抑えることができ、加湿空気に含まれるミスト量にムラが生じないため、水入れ替え動作時に安定した加湿量の加湿空気を室内に送風することができる。
【0053】
また、水入れ替え動作の実施中、排水弁71の開度を貯水室10からの排水量を制限する所定開度である30°にするので、給水量<排水量の関係である排水過多の状態が長時間続くことで、貯水室10における水位変動の回数が増加し、加湿空気に含まれるミスト量にムラが生じることで、安定した加湿空気が送風できなくなることを阻止することができる。
【0054】
なお、本実施形態では水入れ替え動作時において排水弁71の開度を所定開度である30°で固定しているが、これに限られない。
例えば、水入れ替え動作の実施時における給水弁61、及び排水弁71の閉弁時間に基づき、排水弁71の開度を変更する制御であってもよい。
【0055】
具体的に説明すると、水入れ替え動作時において、給水量<排水量の関係である排水過多状態の時に実施される前記ステップS210で、排水弁71を閉弁してから前記ステップS213で排水弁71を開弁するまでの時間をカウントし、カウント時間に比例して前記ステップS213で排水弁71の開弁する時における開弁開度を絞る方向へ変更する制御であってもよい。
【0056】
これにより、水入れ替え動作時における貯水室10からの排水量を低下するので、給水量と排水量とを同量に近づけることができ、水位変動幅が小さな時間を長く保持することができるため、加湿空気中に含まれるミスト量の増減を抑え、安定した加湿量の加湿空気を室内へ送風することができる。
【0057】
また、水入れ替え動作時において、給水量>排水量の関係である給水過多状態の時に実施される前記ステップS220で、給水弁61を閉弁してから前記ステップS222で開弁するまでの時間をカウントし、カウント時間に比例して排水弁71の開弁角度を開く方向に変更し、前記ステップS222で給水弁61を開弁すると共に排水弁71を変更した開度にする制御であってもよい。
【0058】
これにより、水入れ替え動作時における貯水室10からの排水量が増加するので、給水量と排水量とを同量に近づけることができ、水位変動幅が小さな時間を長く保持することができるため、加湿空気中に含まれるミスト量の増減を抑え、安定した加湿量の加湿空気を室内へ送風することができる。
【0059】
また、水入れ替え動作時において排水弁71の開度を変更することで給排水量を同量に近づけるだけでなく、給水弁61の開度を変更する等して水入れ替え動作時における給水量を変更し、給水過多状態の時は給水量を低下させ、排水過多状態の時は給水量を増加させることで、給排水量を同量に近づける制御であってもよい。
【0060】
また、本実施形態では、水入れ替え動作が開始される所定の動作開始タイミングについて、ミスト運転中における積算給水量が所定値に達したことで判断しているが、これに限らず、ミスト運転の実施時間が予め設定した所定時間経過した後、水入れ替え動作を実施する内容であってもよく、ミスト運転中に貯水室10内にある水の汚れ具合が大きくなったタイミングで水入れ替え動作が実施される内容であれば、本発明の範疇に入る。
【符号の説明】
【0061】
1 器具本体
10 貯水室
12 水位センサ(水位検知手段)
12a 上水位センサ
12b 中水位センサ
12c 下水位センサ
20 回転体
23 多孔部(衝突体)
24 ミストモータ
40 送風口
51 送風ファン
60 給水管
61 給水弁
70 排水管
71 排水弁
90 制御部