(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054471
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】ソケット付パテベラ
(51)【国際特許分類】
E04F 21/16 20060101AFI20220331BHJP
B25F 1/02 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
E04F21/16 K
B25F1/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161541
(22)【出願日】2020-09-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】520375538
【氏名又は名称】芳賀 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100206461
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 司
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 徹
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AC14
3C064AD02
3C064AD03
3C064BA12
3C064BA13
3C064BB32
3C064CB93
(57)【要約】
【課題】パテ塗布の作業中に、工具を持ち替えることなくビスの締め込みを可能とするパテベラを提供とする。
【解決手段】パテを塗布するブレード11と、ブレード11の後端を挟持するベース部12aと、ベース部12aの後端に連設される握持部12bとからなるパテベラ10であって、ベース部12aの略中央部分に各種ビットを嵌脱可能とするソケット13を備えた構成とし、ソケット13は、ビット取り付け部分が握持部を手で握った場合に手の甲側になるように取り付けられている構成とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パテを塗布するブレードと、ブレードの後端を挟持するベース部と、ベース部の後端に連設される握持部とからなるパテベラであって、前記ベース部の略中央部分に各種ビットを嵌脱可能とするソケットを備えていることを特徴とするソケット付パテベラ。
【請求項2】
前記ソケットは、六角ビットが嵌脱自在な六角対辺のソケットであることを特徴とする請求項1記載のソケット付パテベラ。
【請求項3】
前記ソケットは、ビット取り付け部分が握持部を手で握った場合に手の甲側になるように取り付けられていることを特徴とするソケット付パテベラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば内装改修工事の際に下地を平滑に調整するなど、パテ塗布作業に使用するパテベラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内装工事においては壁や天井の下地材として、主に石膏ボードなどが使用されており、これらはビスで固定されている。そして、このような下地を平滑にするためには、下地材の継ぎ目やビスの頭にパテを塗布する必要がある。
【0003】
しかしながら、ビスの締め込み不足により、下地材よりもビスが突出している場合があり、その際は、別所からドライバ―などの工具を取り出し、それまで持っていたパテベラと工具を持ち替えてビスの締め込みをしなければならなかった。
【0004】
現在の内装仕上げ工事は、石膏ボードをビスで固定する工法が主流であり、一般的な住宅でも、8000本から10000本のビスが石膏ボードの固定に使用されている。そのうち5パーセントのビスが締め込み不足の場合、400回から500回は、パテベラと工具を持ち替える動作と、ビスを締め込むために手首を捻る動作を繰り返さなければならない。これは、大きな作業ロスであるとともに、作業者の体、特に手首に大変な負担をかけていることになる。
【0005】
そこで、下記特許文献のように、グリップ後端にネジ回しを取り付けたパテベラなどが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、結局、ネジ回し使用するにはパテベラを持ち替えなければならず、上記問題点は解消されていない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、パテ塗布の作業中であっても、パテベラを持ち替えることなく、スムーズにビスの締め込み作業を行うことのできるパテベラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、パテを撫で付けるブレードと、ブレードの後端を挟持するベース部と、ベース部の後端に連設された握持部とからなるパテベラであって、前記ベース部の略中央部分に各種ビットが嵌脱自在なソケット部を備えた構成としている。
【0010】
また、本発明は、前記ソケット部を六角ビットが嵌脱自在な六角対辺のソケットとしている。
【0011】
また、前記ソケットは、ビット取り付け部分が握持部を手で握った場合に手の甲側になるように取り付けられている構成としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パテの塗布作業中に締め込み不足のビスがあったとしても、パテベラからドライバーなどの工具に持ち替えることなくビスの締め込みをすることができ、作業効率を高めることができる。
【0013】
また、本発明によれば、ビスを締め込むときに従来の手首を捻る動作がなくなり、肘を時計回りに落とすような軽い力で締め込むことが可能となり、作業者の体の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明に係るソケット付パテベラを示す平面図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るソケット付パテベラの構成を示す説明図である。
【
図3】
図2は、本発明に係るソケット付パテベラを示す分解側面図である。
【
図4】
図3は、ビット嵌着時のソケット付パテベラを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明に係るソケット付パテベラを示す平面図、
図2は本発明に係るソケット付パテベラの構成を示す説明図、
図3は本発明に係るソケット付パテベラを示す分解側面図、
図4はビット嵌着時のソケット付パテベラを示す側面図である。
【0016】
本発明に係るパテベラ10は、
図1に示すように、略台形状のブレード11と、ブレード11の後端に連設される略T字状ハンドル12とから構成される。
【0017】
ブレード11は、塗布面にパテを塗布する部分であり、先端が幅広となっている。ブレード11の素材は、硬質な合成樹脂製としているが、その他の素材、例えばステンレス鋼などの金属製であってもよい。
【0018】
ハンドル12は、ブレード11を挟持するベース部12aと、これに続く握持部12bとから構成されており、これらは一体的に加工されている。なお、本実施の形態においては、ハンドル12は木製とするのが好ましいが、必ずしもこれに限定されず、合成樹脂製やその他の素材であってもよい。
【0019】
ベース部12aの前端には、
図3及び4に示すように、スリット18が長手方向全体にわたって形成されており、該スリット18にブレード11の後端が挿入されて、一定の間隔で複数の締結具16を取り付けることにブレード11がベース部12aに固定される。なお、締結具16としては、例えばリベットやビス止めなどが使用される。
【0020】
握持部12bは、パテ塗布を行う際に作業者がパテベラ10を握る部分であり、板状の形状を有している。なお、
図2に示すように、この握持部12bの中心軸Aは、ブレード11の中心軸Bに対して傾斜して形成されて、作業者の手首に負担とならないような構成となっている。特に
図1及び2に示すパテベラ10は右利き用のものであり、左利き用の場合は、これとは逆側に握持部12bの中心軸が傾斜することになる。
【0021】
また、握持部12bの後端部には、パテベラ12をフック等に引っ掛ける際に用いる掛止孔18が備えられている。
【0022】
ベース部12aの略中央部には金属製のソケット13が取り付けられる。ソケット13は、プラスドライバーやマイナスドライバーなどの各種のビットを取り付け可能とするものである。
【0023】
このソケット13の取り付け方法としては、ベース部12aの略中央部に所定の大きさの貫通孔を設け、この貫通孔にソケット13を挿嵌して取り付けられる。なお、ソケット13の外周縁には、複数の凸部15が形成されていて、この凸部15により、ビット14を使用したビスの締め込み作業の際のソケット13の回動が防止される。
【0024】
また、ソケット13は、握持部12bを手で持ったときにビット14の取り付け部分が手の甲側になるような構成とする。これは、パテベラ10を持った場合に、手の甲側でビスの締め込み作業をした方が作業者の負担にならないからである。
【0025】
なお、ソケット13は、ベース部12aに固着されることが望ましいが、ベース部12aに対して着脱可能とした構成とすることも考えられる。
【0026】
なお、ソケット13及びビット14としては、六角対辺のソケット及びビットが好ましいが、必ずしもこれに限られるものではない。
【0027】
また、パテベラ10において、各構成の材質、形状及び大きさは、パテを塗布する対象物に応じて適宜定めることが可能である。
【0028】
次に、上記発明の実施の形態に基づく作用について説明する。まず、パテの塗布作業を行う前に、石膏ボードなどの下地材に用いられているビスに対応する工具、例えばプラスドライバーのビットを、ソケット16にあらかじめ取り付けておく。
【0029】
そして、利き手で握持部12aを握り、ブレード11を使って、下地材の上にパテを塗布していく。このとき、下地材に用いられているビスであって締め込み不足のビスがあれば、パテベラ10を握ったまま、ソケット16に取り付けたビット14を用いて締め込みを行い、締め込みが終われば、またパテの塗布作業を行っていくことになる。
【0030】
このように、本発明のパテベラによれば、他の工具に持ち替えることなくビスの締め込み作業をすることができ、また、作業者の負担も軽減することができる。
【0031】
なお、この発明は、上記発明の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限りにおいて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 パテベラ
11 ブレード
12 ハンドル
12a ベース部
12b 握持部
13 ソケット
14 ビット
15 凸部
17 スリット
18 掛止部
【手続補正書】
【提出日】2021-02-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パテを塗布するブレードと、ブレードの後端を挟持するベース部と、ベース部の後端に連設される握持部とからなるパテベラであって、前記ベース部の略中央部分に六角ビットが嵌脱自在な六角対辺のソケットを備えており、前記ソケットのビット取付部分が、握持部を手で握った場合の手の甲側に取り付けられていることを特徴とするソケット付パテベラ。