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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054489
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】乾燥処理装置およびその乾燥処理方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 21/04 20060101AFI20220331BHJP
   F26B 11/14 20060101ALI20220331BHJP
   F26B 21/10 20060101ALI20220331BHJP
   F26B 23/02 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
F26B21/04 B
F26B11/14
F26B21/10 A
F26B23/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161576
(22)【出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】500237014
【氏名又は名称】チッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】堀江 晃弘
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA06
3L113AB02
3L113AC04
3L113AC58
3L113AC59
3L113AC67
3L113AC87
3L113BA38
3L113CA08
3L113CB03
3L113DA10
(57)【要約】
【課題】粉体に至るまでの時間を短縮することが可能であり、粉体としたときに粉体を再利用して付加価値を高めることが可能な乾燥処理装置およびその乾燥処理方法を提供する。
【解決手段】乾燥処理装置10は、被処理物を撹拌体により撹拌および細片化する第1処理炉20と、第1処理炉20からの排気ガスを加熱して第1処理炉20のケーシング21を加熱する第2処理炉30と、第1処理炉20へ送気する熱風を冷却することで発生する温度調整用水蒸気ガスにより第1処理炉20の被処理物を加熱する第3処理炉40と、温度調整用水蒸気ガスの発生量を調整する制御装置とを備えている。そして、制御装置は、被処理物が加熱され、被処理物からの水蒸気ガスの発生に応じて、第3処理炉40から第1処理炉20への温度調整用水蒸気ガスを所定量まで低下させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を撹拌体により撹拌および細片化する第1処理炉と、前記第1処理炉からの排気ガスを加熱して前記第1処理炉のケーシングを加熱する第2処理炉と、前記第1処理炉へ送気する熱風を冷却することで発生する温度調整用水蒸気ガスにより前記第1処理炉の被処理物を加熱する第3処理炉と、温度調整用水蒸気ガスの発生量を調整する制御装置とを備え、
前記制御装置は、被処理物が加熱され、被処理物からの水蒸気ガスの発生に応じて、前記第3処理炉から前記第1処理炉への温度調整用水蒸気ガスを所定量まで低下させる乾燥処理装置。
【請求項2】
前記第1処理炉からの排気ガスが送気される配管は、前記第2処理炉と前記第3処理炉とに分岐していると共に、前記第3処理炉からの温度調整用水蒸気ガスが送気される配管は、前記第1処理炉と外部とに分岐しており、
前記制御装置は、被処理物の乾燥が終了すると、前記第1処理炉からの排気ガスを前記第3処理炉へ送気し、前記第3処理炉で温度調整用水蒸気ガスを脱臭ガスとして機能させて排気ガスを脱臭して、外部へ排気するよう制御する請求項1記載の乾燥処理装置。
【請求項3】
前記第3処理炉は、熱風を発生するバーナーと、前記バーナーによる熱風を冷却して温度調整用水蒸気ガスを発生するための噴霧器とを備え、
前記第1処理炉からの排気ガスが送気される配管は、前記バーナーと前記噴霧器との間に接続された請求項1または2記載の乾燥処理装置。
【請求項4】
制御装置は、被処理物の乾燥が終了すると、前記第2処理炉の加熱を停止する請求項1から3のいずれかの項に記載の乾燥処理装置。
【請求項5】
前記第1処理炉は、前記ケーシングに形成されたジャケットと、前記ジャケットに接続され、外部へ通じる配管とが形成され、
前記第2処理炉は、前記第1処理炉からの排気ガスを加熱して前記ジャケットに送気する請求項1から4のいずれかの項に記載の乾燥処理装置。
【請求項6】
第1処理炉と、第2処理炉と、第3処理炉とを備えた乾燥処理装置の乾燥処理方法であって、
前記第1処理炉が、被処理物を撹拌体により撹拌および細片化し、
前記第2処理炉が、前記第1処理炉からの排気ガスを加熱して前記第1処理炉のケーシングを加熱し、
前記第3処理炉が、前記第1処理炉へ送気する熱風を冷却することで発生する温度調整用水蒸気ガスにより前記第1処理炉の被処理物を加熱し、
制御装置が、被処理物が加熱され、被処理物からの水蒸気ガスの発生に応じて、前記第3処理炉から前記第1処理炉への温度調整用水蒸気ガスを所定量まで低下させる乾燥処理装置の乾燥処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜の死体、糞尿、食品加工工場から排出される残渣物などの被処理物を乾燥および脱臭する乾燥処理装置およびその乾燥処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家畜の死体、糞尿、食品加工工場から排出される残渣物などの被処理物を処分するときに、乾燥させ粉体化させることが行われる。
例えば、本発明者は、外部に放出する排気に臭気が混じることがないように、また、粒が細かくやわらかい粉体状となるように乾燥処理することができ、できあがりの処理物が飼料や肥料としても好適に利用できるものを、特許文献1として提案している。
【0003】
特許文献1に記載の乾燥処理装置は、加熱室と、処理室と、処理室の内部に設けられている撹拌体と、撹拌体を回転駆動する駆動装置と、加熱室に加熱空気を送る一次燃焼炉と、一次燃焼炉に、処理室で生じる臭気成分と水分を含む処理ガスを送る処理ガス送気管と、処理ガス送気管に設けられ処理ガスの流量を制御して処理室内の圧力を所要の圧力で維持する加圧制御部と、加熱室を通ったガスに含まれる臭気を外部へ排出する前に燃焼させて消臭処理する二次燃焼炉とを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-53595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の乾燥処理装置でも、充分に、乾燥および脱臭ができ、被処理物を粉体とすることができるが、粉体とするまでの時間を、短時間でできることが望まれている。
乾燥処理の時間短縮を図るために熱風を直接的に被処理物に当てると、被処理物が生物である場合に、熱風の温度が高温過ぎて被処理物の表面が組成変化してしまい、粉体としたときに飼料や肥料に再利用できない状態になるおそれがある。
【0006】
そこで本発明は、粉体に至るまでの時間を短縮することが可能であり、粉体としたときに粉体を再利用して付加価値を高めることが可能な乾燥処理装置およびその乾燥処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の乾燥処理装置は、被処理物を撹拌体により撹拌および細片化する第1処理炉と、前記第1処理炉からの排気ガスを加熱して前記第1処理炉のケーシングを加熱する第2処理炉と、前記第1処理炉へ送気する熱風を冷却することで発生する温度調整用水蒸気ガスにより前記第1処理炉の被処理物を加熱する第3処理炉と、温度調整用水蒸気ガスの発生量を調整する制御装置とを備え、前記制御装置は、被処理物が加熱され、被処理物からの水蒸気ガスの発生に応じて、前記第3処理炉から前記第1処理炉への温度調整用水蒸気ガスを所定量まで低下させることを特徴としたものである。
【0008】
また、本発明の乾燥処理装置の乾燥処理方法は、第1処理炉と第2処理炉と第3処理炉とを備えた乾燥処理装置の乾燥処理方法であって、前記第1処理炉が、被処理物を撹拌体により撹拌および細片化し、前記第2処理炉が、前記第1処理炉からの排気ガスを加熱して前記第1処理炉のケーシングを加熱し、前記第3処理炉が、前記第1処理炉へ送気する熱風を冷却することで発生する温度調整用水蒸気ガスにより前記第1処理炉の被処理物を加熱し、制御装置が、被処理物が加熱され、被処理物からの水蒸気ガスの発生に応じて、前記第3処理炉から前記第1処理炉への温度調整用水蒸気ガスを所定量まで低下させることを特徴としたものである。
【0009】
直接的に熱風を当てて加熱しているのであれば対流伝熱より加熱されるため、被処理物の内部までには伝熱し難く、被処理物の表面温度だけが高くなり、被処理物の表面が組成変化してしまうおそれがある。しかし、本発明によれば、第2処理炉が第1処理炉のケーシングを加熱することで間接的に被処理物を加熱し、第1処理炉に投入された処理物を、第3処理炉にて熱風が噴霧された水により冷却された温度調整用水蒸気ガスにより加熱および乾燥するため、被処理物の内部まで迅速に加熱することができる。
また、被処理物が加熱され、被処理物からの水蒸気ガスの発生に応じて、制御装置が、第3処理炉から第1処理炉への温度調整用水蒸気ガスを所定量まで低下させるため、第1処理炉内に温度調整用水蒸気ガスが充満して、被処理物からの水蒸気ガスの発生が阻害されることを抑止することができるので、被処理物が粉体となるまで乾燥させることができる。
【0010】
前記第1処理炉からの排気ガスが送気される配管は、前記第2処理炉と前記第3処理炉とに分岐していると共に、前記第3処理炉からの温度調整用水蒸気ガスが送気される配管は、前記第1処理炉と外部とに分岐しており、前記制御装置は、被処理物の乾燥が終了すると、前記第1処理炉からの排気ガスを前記第3処理炉へ送気し、前記第3処理炉で温度調整用水蒸気ガスを脱臭ガスとして機能させて排気ガスを脱臭して、外部へ排気するよう制御するものとすることができる。
制御装置が、被処理物の乾燥が終了したときに、第1処理炉からの排気ガスを第3処理炉へ送気し、第3処理炉から外部へ排気するよう制御することにより、被処理物を加熱し、乾燥させるための温度調整用水蒸気ガスを、被処理物から発生する排気ガスを脱臭する脱臭ガスとして機能させることができる。
【0011】
前記第3処理炉は、熱風を発生するバーナーと、前記バーナーによる熱風を冷却して温度調整用水蒸気ガスを発生するための噴霧器とを備え、前記第1処理炉からの排気ガスが送気される配管は、前記バーナーと前記噴霧器との間に接続されたものとすることができる。
第1処理炉からの排気は、まずバーナーにより加熱されることで脱臭された熱風となり、また、噴霧器による水を通過することで、更に脱臭されるので、排気ガスに含まれる臭気を脱臭して外部に放出することができる。
【0012】
制御装置は、被処理物の乾燥が終了すると、前記第2処理炉の加熱を停止する
第2処理炉の加熱を停止することで、第1処理炉のケーシングへの加熱も停止するため、粉体となった処理物の加熱が進みすぎて焦げてしまうことを防止することができる。
【0013】
前記第1処理炉は、前記ケーシングに形成されたジャケットと、前記ジャケットに接続され、排気ガスを外部に放出するための配管とが形成され、前記第2処理炉は、前記第1処理炉からの排気ガスを加熱して前記ジャケットに送気することができる。
第1処理炉から排気ガスを第2処理炉で加熱することで脱臭することができる。第2処理炉で加熱された排気ガスは、第1処理炉のジャケットに送気されることで第1処理炉のケーシングを加熱することができる。そして、排気ガスがケーシングを加熱した後に、外部へ放出されるので、排気ガスに含まれる臭気を脱臭して外部に放出することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、温度調整用水蒸気ガスにより加熱および乾燥するため、被処理物の内部まで迅速に加熱することができ、第1処理炉内に温度調整用水蒸気ガスが充満して、被処理物からの水蒸気ガスの発生が阻害されることを抑止することができるので、被処理物が粉体となるまで乾燥させることができる。
よって、本発明は、粉体に至るまでの時間を短縮することが可能であり、粉体としたときに粉体を再利用して付加価値を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る乾燥処理装置の構成を説明するための概略図である。
図2図1に示す乾燥処理装置の各炉を軸線方向から見た図である。
図3図1に示す乾燥処理装置の加熱工程および乾燥工程を説明するための図である。
図4図1に示す乾燥処理装置の脱臭工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態に係る乾燥処理装置を、図面に基づいて説明する。
乾燥処理装置は、家畜の死体、糞尿、加工場から排出される残渣物などの被処理物を乾燥すると共に脱臭して粉体とするものである。
【0017】
(乾燥処理装置10の構成の説明)
まず、本実施の形態に係る乾燥処理装置を図1および図2に基づいて説明する。
乾燥処理装置10は、第1処理炉20と、第2処理炉30と、第3処理炉40と、制御装置(図示せず)とを備えている。
【0018】
第1処理炉20は、投入された被処理物を乾燥して粉体とする乾燥炉として機能するものである。
第1処理炉20は、両端が閉鎖された円筒形状のケーシング21の内部に処理室22が形成されている。ケーシング21の円周壁には、3層のジャケット23が形成されている。ケーシング21には、上部中央に被処理物が投入される投入口24が形成されている。
ケーシング21における長手方向の一方の上端部には、ジャケット23から外部に煙を排出するために排煙用ファン51が配管P21により接続された排煙排出口25が形成されている。ケーシング21における長手方向の他方の上端部には、第3処理室42側からの配管P22により温度調整用水蒸気ガスが導入される蒸気導入口26が形成されている。
【0019】
投入口24と排煙排出口25との間には、処理室22内の水蒸気ガスを排気ガスとして第2処理炉30に排出するために排気用ファン52が配管P23により接続された第1蒸気排出口27が形成されている。更に、ケーシング21の側面には、処理室22内の水蒸気ガスを排気ガスとして第2処理炉30に追加的に排出するために排気用ファン53が配管P24により接続された第2蒸気排出口28が形成されている。
【0020】
処理室22には、被処理物を撹拌すると共に破砕および破断して細片化する撹拌体(図示せず)が配置されている。この撹拌体は、例えば、特許文献1に記載の乾燥処理装置に設けられた撹拌体が使用できる。ケーシング21の一方の端部には、撹拌体の軸部を軸回転させるモーター29が配置されている。
【0021】
第2処理炉30は、第1処理炉20からの排気ガスを脱臭する脱臭炉として機能するものである。
第2処理炉30は、第1処理炉20の下方に配置されている。第2処理炉30は、両端が閉鎖された円筒形状のケーシング31の内部に処理室32が形成されている。
排気用ファン52からの配管P31が電動弁V31を介して接続された第1蒸気導入口33がケーシング31に形成されている。また、ケーシング31には、排気用ファン53からの配管P32が接続された第2蒸気導入口34が形成されている。
ケーシング31における長手方向の一方の端面には、バーナー35が配置されている。また、他方の端部の上面には、熱風路36が形成され、その上端部が第1処理炉20のジャケット23に連結されている(図2参照)。
【0022】
第3処理炉40は、第1処理炉20へ送気する温度調整した温度調整用水蒸気ガスを生成すると共に、被処理物の乾燥後に、第1処理炉20からのガスを脱臭する脱臭炉として機能するものである。
第3処理炉40は、第1処理炉20とほぼ同じ高さに並べられて配置されている。第3処理炉40は、両端が閉鎖された円筒形状のケーシング41の内部に区画された処理室42が形成されている。
【0023】
ケーシング41の長手方向の一方の端部には、温度調整用水蒸気ガスの原水となる箱状の給水タンク43が配置されている。給水タンク43には、貯留された水を吸い上げるための配管P41が接続されている。配管P41には、給水ポンプ44が接続されている。給水ポンプ44には、配管P42により安全弁V41が接続されている。安全弁V41には、処理室42の両方の側壁に延びる配管P43,P44が接続されている。配管P43,P44には、処理室42の側壁に配置された噴霧器45が接続されている。
【0024】
処理室42における長手方向の一方の端部には、バーナー46が配置されている。処理室42の天面には、配管P45が接続された蒸気送気口47が形成されている。
配管P45には、電動弁V42,V43が接続されている。この電動弁V42は、配管P22により、蒸気導入口26に接続されている。
また、電動弁V43には、配管P46が接続されている。配管P46は、設置場所の外部に通じている。
【0025】
第1処理炉20からの配管P31には、電動弁V31が接続されていると共に、第3処理炉40側に分岐して電動弁V44が接続されている。電動弁V44には、脱臭用導入口48に接続する配管P47が接続されている。
【0026】
制御装置(図示せず)は、電動弁V31,V42~V44の開放および閉鎖、バーナー35,46の点火および消火、排煙用ファン51および排気用ファン52,53の始動および停止、給水ポンプ44の始動および停止、撹拌体の始動および停止、給水ポンプ44の始動、停止および水量調整を制御する機能を有する。
【0027】
(乾燥処理装置10の動作および使用状態の説明)
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る乾燥処理装置10の動作および使用状態を図面に基づいて説明する。
(加熱工程)
まず、電動弁V31,V42は開放状態であり、電動弁V44と電動弁V43は閉鎖状態である。そして、バーナー35,46は点火状態である。
更に、第1処理炉20のケーシング21内には、被処理物が投入され、モーター29が始動状態であるため、撹拌体(図示せず)は撹拌や粉砕、破断をしている状態である。
【0028】
このような状態で、給水ポンプ44が給水タンク43から吸い上げた水は、配管P42~P44を通じて、噴霧器45から処理室42に噴霧される。
噴霧された水は、バーナー46からの熱風により加熱されると共に、熱風を冷却することで高温の温度調整用水蒸気ガスとなり、蒸気送気口47から配管P45を通じて電動弁V42へ送気される(図3のS10参照)。
【0029】
温度調整用水蒸気ガスは、閉鎖状態の電動弁V43により配管P46には送気されず、開放状態の電動弁P42および配管P22を通じて、蒸気導入口26から第1処理炉20処理室22へ送気される(図3のS11参照)。
このように、第3処理炉40からの熱風が直接的に第1処理炉20へ送気されるのではなく、第3処理炉40にて熱風が噴霧された水により冷却されて、約450℃から約500℃の温度調整用水蒸気ガスとなって送気される。
温度調整用水蒸気ガスは、第1処理炉20の処理室22内に送気されることで、撹拌、粉砕および破断されている被処理物を加熱する。
【0030】
直接的に熱風を当てて加熱しているのであれば対流伝熱より加熱されるため、被処理物の内部までには伝熱し難く、被処理物の表面温度だけが高くなり、被処理物の表面が組成変化してしまうおそれがある。しかし、乾燥処理装置10では、温度調整用水蒸気ガスにより被処理物を加熱するため、対流伝熱だけでなく、伝導による伝熱、輻射(放射)による伝熱も加わるので、被処理物の内部まで熱が浸透する。従って、細片化された被処理物を早く均一に温度上昇させることが可能である。
【0031】
また、第2処理炉30の処理室32では、処理室32内の空気が加熱され、熱風路36から第1処理炉20のジャケット23に送気される(図3のS12参照)。ジャケット23に送気された熱風は、ジャケット23を巡回してケーシング21全体を加熱する。従って、第1処理炉20のケーシング21が加熱されることで、被処理物の周囲の雰囲気が加熱される。
【0032】
(乾燥工程)
第1処理炉20の処理室22内の被処理物が加熱されると、被処理物から水分が気化して水蒸気ガスとなって処理室22へ放出される。この水蒸気ガスには被処理物の臭気が含まれる。
【0033】
第1処理炉20の処理室22からの水蒸気ガスは、第1蒸気排出口27から排気用ファン52により配管P23を通じて排気され、排気用ファン52から配管P31と電動弁V31とを通じて第1蒸気導入口33から第2処理炉30へ導入される(図3のS21参照)。
また、含水量が多い被処理物を乾燥させる場合には、処理室22内の水蒸気ガス量が多くなるため、追加的に排気用ファン53を始動させることで、第2蒸気排出口28から配管P24を通じて排気され、排気用ファン53から配管P32を通じて第2蒸気導入口34から第2処理炉30へ導入される(図3のS22参照)。
【0034】
第2処理炉30の処理室32では、バーナー35による加熱により水蒸気ガスに含まれる臭気が除去されることで、脱臭される。脱臭された水蒸気ガスは、上述したように、熱風路36から第1処理炉20のジャケット23に送気される。
ジャケット23に送気された水蒸気ガスは、第1処理炉20のケーシング21を加熱することで、間接的に、処理室22内の被処理物を加熱することができる。そのため、被処理物の表面を過度に加熱することなく、被処理物全体の乾燥を促進させることができる。
【0035】
更に、被処理物が加熱され、被処理物から水蒸気ガスが大量に発生し始めると、制御装置は、第3処理炉40の給水ポンプ44による水の吸い上げ量を、所定量まで徐々に低下させ、温度調整用水蒸気ガスの発生量を低下させる。
そうすることで、処理室22内における被処理物の雰囲気の温度調整用水蒸気ガスの量が低下するため、被処理物の水分のガス化が促進される。
この温度調整用水蒸気ガスの生成量を低下させる制御装置のタイミングについては、加熱開始から、被処理物から水蒸気ガスが大量に発生し始めるまでの時間を、予め測定するなどして、把握することで決定することができる。このタイミングは、被処理物の含水量により適宜変更することが可能である。
【0036】
(脱臭工程)
被処理物の乾燥が完了すると、制御装置は、第2処理炉30のバーナー35を停止すると共に、電動弁V31,V42を閉鎖状態とし、電動弁V44,V43を開放状態とする。この被処理物の乾燥完了のタイミングも、温度調整用水蒸気ガスの生成量の低下と同様に、加熱開始からの時間により決定することができる。
第2処理炉30のバーナー35を停止することで、第1処理炉20のケーシング21への加熱も停止するため、粉体となった処理物の加熱が進みすぎて焦げてしまうことを防止することができる。
【0037】
電動弁V42が閉鎖状態となることで、温度調整用水蒸気ガスは第1処理炉20へは送気されなくなる。
そして、第1処理炉20の処理室22内のガスは、第1蒸気排出口27から排気用ファン52により配管P23を通じて排気され、排気用ファン52から配管P31と電動弁V44とを通じて脱臭用導入口48から第3処理炉40へ導入される(図4のS31参照)。
【0038】
第3処理炉40では、第1処理炉20からの排気ガスは、処理室42内でバーナー46の加熱により脱臭される。また、バーナー46により加熱された排気ガスは、噴霧器45により噴霧された水が温度調整用水蒸気ガスとなるが、温度調整用水蒸気ガスが脱臭ガスとして機能することで、排気ガスの臭気もこの脱臭ガスによっても脱臭が促進される。
そして、蒸気送気口47から配管P45と電動弁V43と配管P46を通じて外部へ排出される(図4のS32参照)。従って、第1処理炉20からの排気ガスに含まれる臭気を脱臭して外部へ放出することができる。
【0039】
以上のように本発明の実施の形態に係る乾燥処理装置10によれば、第1処理炉20に投入された処理物を、第3処理炉40にて熱風が噴霧された水により冷却された温度調整用水蒸気ガスにより加熱および乾燥するため、被処理物の表面を組成変化(蛋白変成)させることなく、被処理物の内部まで迅速に加熱することができるので、乾燥時間の短縮を図ることができる。
また、被処理物が加熱され、被処理物からの水蒸気ガスの発生に応じて、制御装置が、第3処理炉40から第1処理炉20への温度調整用水蒸気ガスを所定量まで低下させるため、第1処理炉20内に温度調整用水蒸気ガスが充満して、被処理物からの水蒸気ガスの発生が阻害されることを抑止することができるので、被処理物が粉体となるまで乾燥させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、乾燥させるまでの時間が短く、細かな粉体とすることができるため、家畜の死体、糞尿、加工場から排出される残渣物などの被処理物を乾燥および脱臭する際に好適であるため、畜産、食品加工などで使用できる。
【符号の説明】
【0041】
10 乾燥処理装置
20 第1処理炉
21 ケーシング
22 処理室
23 ジャケット
24 投入口
25 排煙排出口
26 蒸気導入口
27 第1蒸気排出口
28 第2蒸気排出口
29 モーター
30 第2処理炉
31 ケーシング
32 処理室
33 第1蒸気導入口
34 第2蒸気導入口
35 バーナー
36 熱風路
40 第3処理炉
41 ケーシング
42 処理室
43 給水タンク
44 給水ポンプ
45 噴霧器
46 バーナー
47 蒸気送気口
48 脱臭用導入口
51 排煙用ファン
52,53 排気用ファン
P21~P24,P31,P32,P41~P47 配管
V31,V42,V43,V44 電動弁
V41 安全弁
図1
図2
図3
図4