(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054611
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】駐車場システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20220331BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20220331BHJP
G01S 13/04 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G07B15/00 Z
G01S13/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161747
(22)【出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 啓
(72)【発明者】
【氏名】高山 育健
【テーマコード(参考)】
3E127
5H181
5J070
【Fターム(参考)】
3E127AA18
3E127BA46
3E127CA23
3E127FA18
3E127FA23
5H181AA01
5H181CC12
5H181KK06
5H181KK07
5J070AC01
5J070AD05
5J070AD13
5J070AE01
5J070AF01
5J070AK40
(57)【要約】
【課題】駐車場での車両検知において、設置が容易で、かつ、誤検知を低減できる駐車場システムを提供すること。
【解決手段】駐車場PAの車室VIに向けて送信信号S1を送信(発信)するとともに、送信された送信信号S1の反射成分を受信信号S2として受信する電波センサー10と、電波センサー10での受信結果に基づき車室VIにおける車両VEの有無を検知する車両検知部20とを備える。上記のような電波センサー10及び車両検知部20を駐車場PAに設置して行う車両検知に基づき、駐車管理を行うことで、例えばループコイルによる車両検知等に比べ設置が容易で、かつ、誤検知を低減できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の車室に向けて電波を送信するとともに、送信された電波の反射成分を受信する電波センサーと、
前記電波センサーでの受信結果に基づき車室における車両の有無を検知する車両検知部と
を備える駐車場システム。
【請求項2】
前記電波センサーは、複数の送信部と複数の受信部とを、1つの筐体に収納している、請求項1に記載の駐車場システム。
【請求項3】
前記電波センサーにおいて、前記複数の受信部は、互いに異なる位置に配置され、
前記車両検知部は、前記複数の受信部における受信状況の差異に基づき受信した反射成分に対応する車室を特定する、請求項2に記載の駐車場システム。
【請求項4】
前記電波センサーは、マイクロ波帯以上であって指向性を有する500MHz以上の超広帯域の電波を送信する、請求項1~3のいずれか一項に記載の駐車場システム。
【請求項5】
前記車両検知部は、前記電波センサーでの受信結果を、駐車場の車室位置を示す地図データと照合して、車室における車両の有無を決定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の駐車場システム。
【請求項6】
前記車両検知部は、前記地図データに含まれる駐車場中の通路位置の情報に基づき、通路上における障害物の有無を検知する、請求項5に記載の駐車場システム。
【請求項7】
前記車両検知部は、一の車室に車両が一定時間以上滞在しているか否かにより駐車の判定をする駐車判定部を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の駐車場システム。
【請求項8】
前記車両検知部は、駐車場を統括管理する駐車管理部に、車室における車両の有無についての検知結果を送信する、請求項1~7のいずれか一項に記載の駐車場システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場における駐車管理として、車両検知を行う駐車場システムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路上の車両について検出を行うものとして、送信アンテナと受信アンテナとの間の所定区間における車両の存在状態を検出する車両検出装置(特許文献1参照)が知られている。
【0003】
また、駐車スペースへの車両の進入および退出を検知する車両検知装置として、車室に埋設したループコイルを利用するもの(特許文献2参照)が知られている。
【0004】
上記特許文献1のような車両の検知では、送信アンテナと受信アンテナとを、観測したい領域を挟んだ状態で道路上に設置し、観測領域の在車状態を検出することが行われているが、例えば駐車場に複数ある車室について車両がいるか否かの検知をするのに、上記特許文献1に開示の技術をこのまま利用できるとは限らない。
【0005】
また、上記特許文献2では、駐車場での車両検知装置にループコイルを利用しているが、埋設設置の工事期間や費用の問題、あるいは、例えば自転車等も車両として検知してしまう可能性がある、といったループコイルに固有の誤検知の問題が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-183799号公報
【特許文献2】特開2012-168850号公報
【発明の概要】
【0007】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、駐車場での車両検知において、設置が容易で、かつ、誤検知を低減できる駐車場システムを提供することを目的とする。
【0008】
上記目的を達成するための駐車場システムは、駐車場の車室に向けて電波を送信するとともに、送信された電波の反射成分を受信する電波センサーと、電波センサーでの受信結果に基づき車室における車両の有無を検知する車両検知部とを備える。
【0009】
上記駐車場システムでは、駐車場に電波センサーを設置して駐車場の車室に向けて電波を送信し、車両検知部で電波センサーから送信した電波についての受信結果から車室における車両の有無を検知する態様とすることで、例えばループコイルによる車両検知等に比べ設置が容易で、かつ、誤検知を低減できる。
【0010】
本発明の具体的な側面では、電波センサーは、複数の送信部と複数の受信部とを、1つの筐体に収納している。この場合、電波センサーの設置が容易になる。
【0011】
本発明の別の側面では、電波センサーにおいて、複数の受信部は、互いに異なる位置に配置され、車両検知部は、複数の受信部における受信状況の差異に基づき受信した反射成分に対応する車室を特定する。この場合、対象物との位置関係や形状等について異なる特徴量をより多く抽出でき、車室における車両の有無をより確実に検知できる。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、電波センサーは、マイクロ波帯以上であって指向性を有する500MHz以上の超広帯域の電波を送信する。この場合、より確実に電波の送受信ができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、車両検知部は、電波センサーでの受信結果を、駐車場の車室位置を示す地図データと照合して、車室における車両の有無を決定する。この場合、地図データに基づき車室ごとにおける車両の有無について、確実な判定ができる。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、車両検知部は、地図データに含まれる駐車場中の通路位置の情報に基づき、通路上における障害物の有無を検知する。この場合、各車室に加え、通路上の状況についても管理できる。
【0015】
本発明のさらに別の側面では、車両検知部は、一の車室に車両が一定時間以上滞在しているか否かにより駐車の判定をする駐車判定部を有する。この場合、一定時間以上の滞在を確認することすなわち猶予時間を設けることで、車室中の車両が一時的な滞在ではなく、駐車したものであることを判定できる。
【0016】
本発明のさらに別の側面では、車両検知部は、駐車場を統括管理する駐車管理部に、車室における車両の有無についての検知結果を送信する。この場合、車両検知部での検知結果に基づく駐車管理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係る駐車場システムを組み込んだ駐車場の外観について一例を示す概念的な平面図である。
【
図2】駐車場システムの一構成例について説明するためのブロック図である。
【
図3】電波の送信の様子について一例を概念的に示す側面図である。
【
図4】データ解析の様子について概念的に示すブロック図である。
【
図5】(A)は、地図データについて一例を示すデータ表であり、(B)は、判定部について一例を示すブロック図であり、(C)は、解析結果格納部について一例を示すブロック図である。
【
図6】車室に関する一連の判定処理について説明するためのフローチャートである。
【
図7】通路に関する一連の判定処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1等を参照して、本発明の一実施形態に係る駐車場システムの一例について説明する。
図1は、本実施形態に係る駐車場システム100を組み込んだ駐車場PAの外観について一例を示す概念的な平面図であり、
図2は、駐車場システム100の一構成例について説明するためのブロック図である。例えば
図1に示すように、本実施形態に係る駐車場システム100は、電波センサー10と、車両検知部20と、駐車管理部としての精算装置50とを備える。これらのうち、電波センサー10と車両検知部20とは、1つの筐体CSに収納されてユニット化されている。ここでは、筐体CSによりユニット化された電波センサー10と車両検知部20とをまとめて、車両検知ユニットDUとする。本実施形態の場合、筐体CSによりユニット化されている車両検知ユニットDUを駐車場PA中の既定の設置箇所に配置し、これを精算装置50に接続することで、駐車場システム100を構成できる。すなわち、ループコイルのように埋設工事を行う必要等がないため、設置における費用面や期間面での負担が軽減される。なお、車両検知ユニットDUすなわち電波センサー10及び車両検知部20の内部構成の詳しい一例については、
図2に示している。
【0019】
図1に示すように、電波センサー10は、駐車場PAを構成する複数の車室VIを含む駐車場PAの各所に向けて電波(送信信号S1)を送信するとともに、送信された電波(送信信号S1)の反射成分(受信信号S2)を受信する。すなわち、電波センサー10は、送信信号S1が駐車場PA内の物体(典型的には駐車場PA中の車両VE)に当たって戻ってきた受信信号S2を感知する。特に、本実施形態の一例では、上記のような電波センサー10として、MIMO(Multiple Input Multiple Output)方式のものを採用することで、伝搬特性の変化から複数ある車室VIの在車状況を検出可能としている。なお、より具体的な一構成例については、
図2を参照して後述する。
【0020】
車両検知部20は、例えばCPUやストレージデバイス等で構成され、電波センサー10に接続し、電波センサー10での送受信の結果に基づき各車室VIにおける車両VEの有無を検知すべく、各種演算処理を行う。なお、車両検知部20の詳細な構成についての一例は、
図2を参照して後述する。
【0021】
精算装置50は、車両の出場に際して必要な種々の精算処理を行う。また、ここでは、精算装置50は、上記精算処理のほか、車両検知部20での検知結果すなわち駐車状況に基づく空き情状況の確認等を含め、車室ごとに車両の入庫時刻や出庫時刻、在車の管理といった駐車管理の全般を行う駐車管理部として機能する。言い換えると、精算装置50は、車両検知部20の上位装置であり、車両検知部20は、駐車場PAを統括管理する駐車管理部としての精算装置50に、各車室VIにおける車両VEの有無についての検知結果を送信する態様となっている。
【0022】
また、本実施形態では、駐車場システム100は、駐車場PAのうち、各車室VIを検知対象範囲とするほか、さらに、各車室VI以外の領域(範囲)である通路PPの領域についても電波の送受信を行っている。すなわち、図示のように、電波センサー10は、通路PPについても検知対象範囲とすべく、電波を送信し、当該範囲に関する検知結果に基づいて、車両検知部20において、車室VIではない箇所である通路PPでの障害物(不正な物体)の有無を併せて検知している。
【0023】
以下、
図2を参照して、電波センサー10及び車両検知部20について、一構成例の詳細を説明する。
【0024】
まず、電波センサー10の構成について説明する。電波センサー10は、MIMO方式を採用すべく、複数の送信部で構成される送信アンテナ部Txと、複数の受信部で構成される受信アンテナ部Rxとを備える。図示の例では、送信アンテナ部Txは、4つの送信アンテナTx1~Tx4で構成されており、各送信アンテナTx1~Tx4から種々の態様で送信信号S1が発信される。また、受信アンテナ部Rxは、4つの受信アンテナRx1~Rx4で構成されており、送信信号S1についての反射成分としての受信信号S2を受信する。また、電波センサー10では、これら8つのアンテナTx1~Tx4,Rx1~Rx4が、互いに異なる位置に配置された状態を維持して、1つの筐体CS1に収納されている。
【0025】
以下、電波センサー10の構成や動作等について、より詳細に説明する。まず、送信側及び受信側の双方において、各アンテナTx1~Tx4,Rx1~Rx4は、既述のように、互いに異なる位置に配置されている(例えば、少しずつ離して設置されている)。さらに言い換えると、アンテナTx1~Tx4,Rx1~Rx4ごとに、物理的実装位置に差異が設けられている。これにより、各受信アンテナRx1~Rx4でそれぞれ受信する物体からの反射信号(受信信号S2)は、物体との位置関係や形状、材質による影響を受け、異なる特徴量が抽出されることになる。したがって、例えば、送信側の各アンテナTx1~Tx4から、異なる信号を同じタイミングで送信信号S1をそれぞれ発信しても、受信側の各アンテナRx1~Rx4では、それらについての反射成分としての受信信号S2が合成された状態で受け取られるに際して、少しずつ異なってくる。以上を踏まえて、まず、前提として、各アンテナRx1~Rx4において、物体までの距離や、信号到来方向、受信強度の違いによって、電波(信号)がどのように受信されるかを、アンテナの組み合わせ(上記一例では4×4=16パターン)ごとに予め測定し、特徴量の基準を決定しておく。この上で、駐車場PAに設置された状態にある上記電波センサー10での送受信に関する信号のデータ解析をして得た特徴量を、上記基準と比較することで、電波センサー10での送受信結果に基づいて、電波センサー10の設置位置と検知された物体との相対的な位置関係を把握できる。
【0026】
さらに、本実施形態では、使用する電波すなわち送信アンテナTx1~Tx4からの送信信号S1として、指向性(高直進性)があり、かつ、マイクロ波帯以上の高域の周波数帯であって、さらに、500MHz以上の超広帯域のもの(例えば1GHz~1.5GHz帯の波長)を用いている。この上で、当該送信信号S1に関する反射成分としての受信信号S2を、既述のように、互いに異なる位置に配置された受信アンテナRx1~Rx4で受け取ることで、高距離分解能による特徴抽出の簡易化を図っている。分解能を十分に高くしておくことで、例えば各車室VIにおいて、20cm~30cm程度の間隔での物体の有無を検出可能となり、これと受信信号S2の受信強度や信号幅等の情報を組み合わせることで、各車室VIに物体が存在するか否か、また、存在する物体が、車両すなわち自動車程度の大きさを有するか否か、といったことについて判定が可能になる。例えば、1つの車室VIに相当する位置範囲からの受信信号S2すなわち反射成分として検出される総個数や、20cm~30cm程度の間隔で検出される空間上隣接するものと捉えられる受信信号S2の個数等に基づいて、車室VIに存在する物体の大きさを推定することで、当該物体が車両VEであるか否かを判定できる。
【0027】
また、詳しくは後述するが、上記1つの車室VIに相当する位置範囲(領域)については、車両検知部20において、駐車場PAのレイアウト情報すなわち地図データを用いることで、検知された物体(典型的には車両VE)が駐車場PAのどこにいるかを把握できるようになっている。つまり、各受信信号S2が駐車場PAのうちどの車室VIからのものかを、地図データとの照合により判別することが可能となっている。
【0028】
次に、車両検知部20の構成について説明する。車両検知部20は、既述のように、CPUやストレージデバイス等で構成され、ここでは、これらにより、主制御部MPと、記憶部MEとを有する構成になっているものとする。車両検知部20は、電波センサー10に接続されて電波センサー10に各種信号指令を送り、電波センサー10における送受信の動作を制御する一方、電波センサー10における電波の送受信結果を受け取り、受け取った情報に基づいて、駐車場PAの各車室VIにおける車両VEの有無等についての検知を行う。
【0029】
車両検知部20のうち、主制御部MPは、CPU等で構成され、送受信データ取得部DAと、データ解析部ANと、判定部JDとを備える。すなわち、主制御部MPは、必要に応じて、記憶部MEに格納された各種データやプログラム等を読み出して、各種演算処理等を行うことで、送受信データ取得部DA等として機能する。
【0030】
送受信データ取得部DAは、電波センサー10からの出力信号を受け取る。ここでは、当該出力信号には、電波センサー10においてなされた各アンテナでの送受信の結果に関するデータ(以下、送受信データとする)が含まれている。
【0031】
データ解析部ANは、送受信データ取得部DAで取得した送受信データについて駐車場PAの領域ごとに分類する。すなわち、電波センサー10について上述した複数の送信部及び複数の受信部での送受信に関する組合せに基づいて、送受信データから特徴量を抽出することで、各受信信号S2が駐車場PAのうちどの車室VIからのものかを判別し、車室VIごとにおける物体の有無について解析を行う。
【0032】
判定部JDは、データ解析部ANでの解析結果すなわちデータの領域ごとの分類に基づいて、車両(物体)の有無等を判定する。ここでは、一例として、判定部JDは、各車室VIにおける車両の有無を判定する車室判定部JDrと、通路PPにおける障害物(典型的には適切でない位置に駐車している車両)の有無を判定する通路判定部JDpとを有する。
【0033】
記憶部MEは、ストレージデバイス等で構成され、地図データ格納部MDと、解析結果格納部ARとを備える。地図データ格納部MDには、駐車場PAを構成する車室VIや通路PPさらには、駐車場システム100を構成する各部の設置・配置の位置についてのデータ等が格納されている。解析結果格納部ARには、データ解析部ANでの解析結果、すなわち送受信データを駐車場PAの領域ごとに分類した結果についてのデータ等が格納されている。
【0034】
主制御部MPの判定部JDは、記憶部MEに格納されたこれらのデータと、送受信データとに基づいて、車室VIや通路PPに物体が存在するか否かを判断する。言い換えると、車両検知部20は、電波センサー10での受信結果を、駐車場PAの車室位置を示す地図データと照合して、車室VIにおける車両VEの有無を決定する。
【0035】
以上により、車両検知部20のうち判定部JDは、車室判定部JDrにおいて、複数の受信部を構成する受信アンテナ部Rxにおける受信状況の差異に基づき受信した反射成分である受信信号S2に対応する車室VIを特定する。また、車両検知部20は、車室判定部JDrにおいて、受信信号S2に対応する通路PP上における物体(障害物)の有無を特定する。つまり、車両検知部20は、地図データ格納部MDの地図データに含まれる駐車場PA中の通路PPの位置の情報に基づき、通路PP上における障害物の有無を検知する。
【0036】
なお、以上において、地図データ格納部MDに格納される地図データ、すなわち駐車場PAの車室VI等の物理的配置であるレイアウト情報については、電波センサー10を設置する駐車場PAや、当該駐車場PAにおける電波センサー10の設置位置ごとに異なっている。例えば、駐車場PAの形状や大きさ、あるいは電波の送受信環境等によって、1つの駐車場PAの中に2以上の電波センサー10を設置する、といったことも考えられる。この場合、当該2以上の電波センサー10は、設置される箇所ごとに応じて、予め個々に準備された地図データを有している。つまり、車室VI配置が異なる駐車場PAごとに、物体の有無の判定のための最適化がなされる。
【0037】
ここで、
図3を参照して、電波センサー10を設置する高さについて一例を説明する。電波センサー10から発信する送信信号S1については、既述のように、指向性(高直進性)があり、かつ、対象物としての車両VEに当たって電波センサー10側に戻ってくるようにすることが望ましい。かかる観点から、図示のように、電波センサー10を構成する送信アンテナ部Tx及び受信アンテナ部Rxの設置位置や送受信の方向については、地上すなわち路面SSの位置からの高さHHが、車両VEの車高についての中心位置程度(例えば数十cmから1m程度)となってることが望ましく、さらに、送信信号S1を発信する際の中心方向が、路面SSに対して平行な方向に沿っていることが望ましい。このようにすることで、反射成分としての受信信号S2をより効率的かつ確実に受信できる。
【0038】
以下、
図4等を参照して、車両検知部20における送受信データの取り扱いに関して、一例を説明する。
図4は、車両検知部20におけるデータ解析の様子について概念的に示すブロック図であり、
図5は、データ解析や解析結果に基づく判定に際して使用されるデータや判定部の構成について説明するための図である。
【0039】
図4に示すように、まず、第1の前提として、車両検知部20の地図データ格納部MDに格納される地図データの情報として、駐車場PAを座標化した(図示の例ではxy平面座標)、駐車場地図データGGが準備されている。ここでは、座標化された駐車場地図データGGのどこで反射があったか(すなわち座標中のどの領域で反射が検知されたか)を、車両検知部20において解析することで、各車室VIや通路PPにおいて車両VE等が存在しているか否かを確認する。なお、図示の例では、xy平面座標すなわち2次元的な座標としているが、さらに高さ方向までも含めた3次元座標としてもよい。
【0040】
また、図示の例では、駐車場PAにおいて、y座標に関して上方側(+側)と下方側(-側)とに4つずつx方向に並ぶ合計8つの車室VIが設けられており、また、これらの間を通過するためのT字状の通路PPが設けられている。したがって、この場合、車両検知部20は、8つの車室VIに対応する領域を区切って、区切った領域ごとで、物体(車両VE)の有無を検知する。同様に、T字状の通路PPにおいても、物体(障害物)の有無を検知する。なお、ここでは、通路PPの範囲が各車室VIに比して大きい(広い)ため、通路PPをさらにいくつかの領域で区切って、区切った領域ごとで、物体の有無を検知することとする。
【0041】
上記領域ごとの検知を行うため、地図データ格納部MDには、さらに、駐車場地図データGGに対応する駐車場地図分類データGDが格納されている。駐車場地図分類データGDは、図示のように、y座標に関して上方側と下方側とに4つずつの領域A1~A4と、領域B1~B4との合計8つの領域が設けられている。これらは、駐車場地図データGGにおける8つの車室VIに対応する領域である。また、駐車場地図分類データGDは、図示のように、駐車場地図データGGにおける通路PPに対応する領域として、4つの領域PS1~PS4が設けられている。言い換えると、通路PPに対応する領域が、駐車場地図分類データGDにおいて4つに分割されている。そのほか、駐車場地図分類データGDには、検知範囲外領域XXが設けられている。なお、
図5(A)に例示するように、これらの検知範囲領域の座標データが、地図データとして格納されている。
【0042】
図4に戻って、上記第1の前提とは別の第2の前提として、説明の簡易化のため、電波センサー10からの送受信データについては、1回のデータとして、駐車場PAの全体すなわち駐車場地図データGGの全体に相当する範囲について電波の送受信を行った結果が、例えば一定時間ごとに出力されるものとする。なお、図示の例では、1回分の送受信データを、フェーズ単位で、車両検知部20において周期的に取得されるもの(フェーズ1,2,3,…)として示している。言い換えると、各フェーズ1,2,3,…で電波センサー10から出力される送受信データは、一定時間ごとで区切った各時刻における駐車場PA全体における駐車状況を示す原データとなっており、これを車両検知部20のデータ解析部ANにおいて解析する、という態様になっている。
【0043】
以上を前提とした上で、車両検知部20におけるデータ解析について説明する。まず、送受信データ取得部DAにおいて、1回分の送受信データ(例えばフェーズ1のデータ)が取得されると、データ解析部ANは、当該送受信データについて、駐車場PAの領域ごとに分類する。すなわち、駐車場PAのうちどこに物体が存在するかを解析する。より具体的には、まず、送受信データから特徴量を抽出して、物体があるとされた位置すなわちxy平面座標上の点を抽出し、駐車場地図分類データGD上のどこに相当するか、すなわち
図5(A)に例示する各領域A1等に対応する座標に関するデータ表から、当該点に対応する箇所を照合し、照合結果に応じて、
図5(B)に例示する解析結果格納部ARの車室データRD又は通路データPDに格納される。すなわち、物体があるとされた点が、
図5(A)のデータ表との照合結果から、領域A1~A4,B1~B4のいずれかである場合には、車室データRDの所定格納領域に物体ありを示すデータとして格納され、領域PS1~PS4のいずれかである場合には、通路データPDの所定格納領域に物体ありを示すデータとして格納される。より具体的には、
図5(B)に例示するように、車室データRDについては、領域A1~A4,B1~B4に対応するデータ格納部Da1~Da4,Db1~Db4が設けられており、通路データPDについては、領域PS1~PS4に対応するデータ格納部Ds1~Ds4が設けられており、格納領域ごとにデータがそれぞれ記憶される。なお、ここでの一例では、領域A1~A4,B1~B4及び領域PS1~PS4以外の領域である検知範囲外領域XXについては、仮に、物体検知がなされたとしても、取り扱う対象データとはならず、消去される。
【0044】
以上のようにして、データ解析部ANにより1つのフェーズに対する各点(各座標位置)での物体の有無についての解析すなわち領域ごとの分類がなされると、判定部JDを構成する車室判定部JDrと通路判定部JDpとは、車室データRDと通路データPDとに格納されたデータに基づき、車両VE等の有無についての判定を行う。ここでの一例では、
図5(C)に示すように、車室判定部JDrは、8つの車室VIについて判定をそれぞれ行うべく、これらに対応する領域A1~A4及び領域B1~B4について、車室A1判定部Ja1~車室A4判定部Ja4及び車室B1判定部Jb1~車室B4判定部Jb4を有している。同様に、通路判定部JDpは、通路PS1判定部Js1~通路PS4判定部Js4を有している。
【0045】
例えば、車室判定部JDrの車室A1判定部Ja1は、データ格納部Da1に格納された物体ありを示すデータの総個数や空間上隣接するとみなせるデータの個数等をカウントし、カウント結果が予め定めた車両として認めるべきサイズの条件を満たしていれば、車両有りと判定する。
【0046】
また、例えば、通路判定部JDpの通路PS1判定部Js1は、データ格納部Ds1に格納された物体ありを示すデータの総個数や空間上隣接するとみなせるデータの個数等をカウントし、カウント結果が予め定めたサイズの条件を満たしていれば、障害物有りと判定する。なお、障害物有りと判定するための基準については、種々設定可能であるが、例えば、通路状において回避して通行することが不能となる程度の大きさ(例えば30cm以上)を、基準とすることが考えられる。
【0047】
以上のようにして、車両検知部20におけるデータ解析から、各車室VIにおける車両VEの有無や通路PP上における障害物の有無が判定される。
【0048】
以下、
図6のフローチャートを参照して、駐車場PAの車室VIに関する一連の判定処理について説明する。なお、ここでは、環境変化等による瞬時的な誤検知の回避や、一時的な車室VIへの入室であって駐車ではない場合等を想定して、在車判定の猶予時間を設けた態様について説明する。具体的には、車両検知部20の主制御部MPが、一の車室VIに車両VEが一定時間以上滞在しているか否かにより駐車の判定をする駐車判定部としての機能を有する態様となっている。
【0049】
また、以下では、領域A1に対応する車室VIについての一連の判定処理について説明し、他の車室VIについては、同様であるので、説明を省略する。
【0050】
まず、例えば駐車場システム100の車両検知部20等に設けられた開始スイッチ(図示省略)が押されて、各部が起動し、電波センサー10からの最初の送受信データ(フェーズ1)を、車両検知部20が取得すると(ステップS101)、車両検知部20は、当該最初の送受信データに基づく領域A1における車両の有無について判定を、車室判定部JDrの車室A1判定部Ja1により行い(ステップS102)、判定結果を、例えば、データ格納部Da1に記録する(ステップS103)。なお、以下では、図中においてフローチャートの欄外に示すように、ステップS102等の判定において「車両無し」と判定された場合には、×(バツ、クロス)で示す。一方、「車両有り」と判定された場合には、△(三角)又は〇(丸)で示す。△(三角)は、車両有りであるが、その車室VI(領域A1)において駐車したか否かについては未確定の状態にあることを示し、〇(丸)は、車両有りで、かつ、その車室VI(領域A1)において駐車したことが確定した状態にあることを示す。なお、ステップS102は、最初の存在判定であるため、車両有りであっても、その時点ではまだ駐車したことが確定することにはならず、△(三角)となる。すなわち、ステップS103では、×(バツ、クロス)か、△(三角)のいずれかが記録される。なお、ステップS102において、車両無しの判定がなされた場合、車両検知部20の主制御部MPは、駐車判定部として、領域A1において車両無しの状態にあることを駐車管理部(精算装置50)へ出力する。すなわち、主制御部MPは、駐車場PAを統括管理する駐車管理部に、領域A1に対応する車室VIにおける車両の有無についての検知結果として、送信する。
【0051】
ステップS103での記録後、車両検知部20は、次の電波センサー10からの送受信データ(フェーズ2以降)を待つ(ステップS104)。なお、車両検知部20の主制御部MPは、電波センサー10からのデータ出力処理が終わるまで(ステップS105)、すなわち、一連の判定処理が終了するまで(ステップS105:Yes)次のデータ出力を待つ。
【0052】
ステップS104において、次のデータが出力されると(ステップS104:Yes)、車室A1判定部Ja1は、これに対応した車両の有無について判定を行う(ステップS106)。
【0053】
ステップS106での判定結果において、車両有りの判定がなされた場合(ステップS107:Yes)、車室A1判定部Ja1は、前回すなわち1つ前の送受信データに対する判定の結果を参照し、その時点において、車両有りと判定されていたか否かを確認する(ステップS108)。
【0054】
ステップS108において、車両有りと判定されていない場合(ステップS108:No)、すなわち1つ前では車両無しの判定であったものが、今回車両有りの判定となった場合、主制御部MPは、データの書換えを行う。すなわち、データ格納部Da1に×(バツ、クロス)と記録されていたものを、△(三角)に書き換える(ステップS109)。
【0055】
一方、ステップS108において、車両有りと判定されていた場合(ステップS108:Yes)、すなわち1つ前の判定においても今回の判定においても車両有りとなっている場合、主制御部MPは、車両有りの状態が所定時間以上続いているかを確認する(ステップS110)。ステップS110において、所定時間に達していない場合(ステップS110:No)、主制御部MPは、車両有りの状態となる時間が増えたことを例えばデータ格納部Da1に記録する一方、△(三角)については、これを維持する(ステップS111)。これに対して、ステップS110において、所定時間に達した場合(ステップS110:Yes)、データ格納部Da1に△(三角)と記録されていたものを、〇(丸)に書き換える(ステップS112)。つまり、主制御部MPは、駐車が完了したと判定する。また、これとともに、主制御部MPは、領域A1において車両の駐車が確定したことを、駐車管理部(精算装置50)へ出力する(ステップS113)。すなわち、主制御部MPは、駐車場PAを統括管理する駐車管理部に、領域A1に対応する車室VIにおける車両の有無についての検知結果を、送信する。なお、ステップS112において、データ格納部Da1に既に〇(丸)と記録されていた場合、〇(丸)のままの状態が維持される。
【0056】
上記ステップS109、ステップS111、ステップS113のいずれかがなされると、主制御部MPは、電波センサー10からのデータ出力処理が終わったか否か(すなわち、一連の判定処理が終了したか否か)、を確認し(ステップS114)、終了していなければ(ステップS114:No)、ステップS104からの動作を繰り返す。つまり、車両検知部20は、次の電波センサー10からの送受信データ(フェーズ3以降)を待つ。ステップS114において、終了が確認されると(ステップS114:Yes)、車両検知部20は、一連の動作を終了する。
【0057】
一方、ステップS106での判定結果において、車両有りの判定がなされない場合(ステップS107:No)、すなわち、車両無しの判定がなされた場合、車室A1判定部Ja1は、前回すなわち1つ前の送受信データに対する判定の結果を参照し、その時点において、車両有りと判定されていたか否かを確認する(ステップS115)。
【0058】
ステップS115において、車両有りと判定されていた場合(ステップS115:Yes)、すなわち1つ前では車両有りの判定であったものが、今回車両無しの判定となった場合、主制御部MPは、データの書換えを行う。すなわち、データ格納部Da1に△(三角)又は〇(丸)と記録されていたものを、×(バツ、クロス)に書き換える(ステップS116)。つまり、主制御部MPは、領域A1に対応する車室VIが空いたと判定する。また、これとともに、主制御部MPは、領域A1において車両無しの状態が確定したことを、駐車管理部(精算装置50)へ出力する(ステップS117)。すなわち、主制御部MPは、駐車場PAを統括管理する駐車管理部に、領域A1に対応する車室VIにおける車両の有無についての検知結果を、送信する。
【0059】
一方、ステップS115において、車両有りと判定されていない場合(ステップS115:No)、すなわち1つ前の判定においても今回の判定においても車両無しとなっている場合、データ格納部Da1に記録されている×(バツ、クロス)については、これを維持する(ステップS118)。
【0060】
上記ステップS117又はステップS118のいずれかがなされると、主制御部MPは、上記ステップS109、ステップS111、ステップS113のいずれかの場合と同様、ステップS114以降の動作を行う。
【0061】
以上のように、本実施形態に係る駐車場システム100は、駐車場PAの車室VIに向けて電波(送信信号S1)を送信するとともに、送信された電波(送信信号S1)の反射成分(受信信号S2)を受信する電波センサー10と、電波センサー10での受信結果に基づき車室VIにおける車両VEの有無を検知する車両検知部20とを備える。
【0062】
上記駐車場システム100では、駐車場PAに電波センサー10を設置して駐車場PAを構成する複数の車室VIに向けて電波(送信信号S1)を送信し、車両検知部20で電波センサー10から送信した電波についての受信結果(送受信データ)から各車室VIにおける車両VEの有無を検知する態様とすることで、例えばループコイルによる車両検知等に比べ設置が容易で、かつ、誤検知を低減できる。
【0063】
以下、
図7のフローチャートを参照して、駐車場PAの通路PPに関する一連の判定処理について説明する。なお、ここでは、環境変化等による瞬時的な誤検知の回避や、車両の一時的な通路PPの通行等であって障害物が存在しているのではない場合等を想定して、物体存在判定の猶予時間を設けた態様について説明する。具体的には、車両検知部20の主制御部MPが、通路PPを構成する一領域に物体が一定時間以上滞在しているか否かにより障害物の存否を判定する態様となっている。
【0064】
また、以下では、通路PPを構成する領域PS1~PS4のうち、一の領域PS1についての一連の判定処理について説明し、通路PPを構成する他の領域については、同様であるので、説明を省略する。
【0065】
図6に例示した領域A1に関する判定の場合と同様に、駐車場システム100の各部が起動し、電波センサー10からの最初の送受信データを、車両検知部20が取得すると(ステップS201)、車両検知部20は、当該最初の送受信データに基づく領域PS1における車両の有無についての判定を、通路判定部JDpの通路PS1判定部Js1により行い(ステップS202)、判定結果を、例えば、データ格納部Ds1に記録する(ステップS203)。なお、以下では、図中においてフローチャートの欄外に示すように、ステップS102等の判定において「物体無し」と判定された場合すなわち通路PPの一部である領域PS1上に物体が無い正常な状態である場合については、「正」で示す。一方、「物体有り」と判定された場合には、注意を示す「注」又は異常を示す「異」で示す。「注」は、物体有りであるが、その領域PS1において存在する物体が障害物であるか否かが未確定の状態にあることを示し、「異」は、物体有りで、かつ、その領域PS1において障害物が存在することが確定した状態にあることを示す。なお、ステップS202は、最初の存在判定であるため、物体有りであっても、その時点ではまだ当該物体が障害物であることが確定することにはならず、「注」となる。すなわち、ステップS203では、「正」か、「注」のいずれかが記録される。
【0066】
ステップS203での記録後、車両検知部20は、次の電波センサー10からの送受信データ(フェーズ2以降)を待って(ステップS204)、新たな記録をする等、
図6のステップS104~S107における車両の有無判定と同様の動作処理として、物体の有無判定の処理を行う(ステップS204~S207)。
【0067】
ステップS206での判定結果において、物体有りの判定がなされた場合(ステップS207:Yes)、通路PS1判定部Js1は、前回すなわち1つ前の送受信データに対する判定の結果を参照し、その時点において、物体有りと判定されていたか否かを確認する(ステップS208)。
【0068】
ステップS208において、物体有りと判定されていない場合(ステップS208:No)、すなわち1つ前では物体無しの判定であったものが、今回物体有りの判定となった場合、主制御部MPは、データの書換えを行う。すなわち、データ格納部Ds1に「正」と記録されていたものを、「注」に書き換える(ステップS209)。
【0069】
一方、ステップS208において、物体有りと判定されていた場合(ステップS208:Yes)、すなわち1つ前の判定においても今回の判定においても物体有りとなっている場合、主制御部MPは、物体有りの状態が所定時間以上続いているかを確認し(ステップS210)、所定時間に達していない場合(ステップS210:No)、物体有りの状態となる時間が増えたことを例えばデータ格納部Ds1に記録する一方、「注」については、これを維持する(ステップS211)。これに対して、ステップS210において、所定時間に達した場合(ステップS210:Yes)、主制御部MPは、障害物が発生していることを異常報告として、駐車管理部(精算装置50)へ出力する(ステップS212)。なお、この際、併せて、データ格納部Ds1に「注」と記録されていたものを、「異」に書き換える。また、ステップS212において、データ格納部Ds1に既に「異」と記録されていた場合、「異」のままの状態が維持される。
【0070】
上記ステップS209、ステップS211、ステップS212のいずれかがなされると、主制御部MPは、電波センサー10からのデータ出力処理が終わったか否か(すなわち、一連の判定処理が終了したか否か)、を確認し(ステップS213)、終了していなければ(ステップS213:No)、ステップS204からの動作を繰り返す。ステップS213において、終了が確認されると(ステップS213:Yes)、車両検知部20は、一連の動作を終了する。
【0071】
また、ステップS206での判定結果において、物体有りの判定がなされない場合(ステップS207:No)、すなわち、物体無しの判定がなされた場合、通路PS1判定部Js1は、前回すなわち1つ前の送受信データに対する判定の結果を参照し、その時点において、物体有りと判定されていたか否かを確認し(ステップS214)、物体有りと判定されていた場合(ステップS214:Yes)、すなわち1つ前では物体有りの判定であったものが、今回物体無しの判定となった場合、主制御部MPは、データの書換えを行う。すなわち、データ格納部Ds1に「注」又は「異」と記録されていたものを、「正」に書き換える(ステップS215)。
【0072】
一方、ステップS214において、物体有りと判定されていない場合(ステップS214:No)、すなわち1つ前の判定においても今回の判定においても物体無しとなっている場合、データ格納部Ds1に記録されている「正」については、これを維持する(ステップS216)。
【0073】
上記ステップS215又はステップS216のいずれかがなされると、主制御部MPは、上記ステップS209等の場合と同様、ステップS213以降の動作を行う。
【0074】
なお、上記において、ステップS212に示す異常報告を行う場合、一連の判定処理が終了したか否かを確認することなく、動作を中断し、当該異常が解消されるまで再開しない態様としてもよい。
【0075】
上記動作処理により、駐車場PAの通路PPにおける障害物の有無についての判定が可能となる。また、この場合、各車室における車両の有無の判定処理と並行して、通路における異常検知を行うことが可能になる。
【0076】
〔その他〕
この発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0077】
例えば、上記において、車室VIにおいても、障害物(異物)の検出を行う態様としてもよい。例えば、車室VIにおいて、ある程度以上(例えば30cm以上)であるが、自動車未満のサイズの物体が検出された場合、これを異物として捉え、異常報告を行う態様としてもよい。なお、この場合においても、障害物(異物)であることを確定するまでの時間猶予を設けるようにしてもよい。
【0078】
また、電波センサー10における信号送受信についても、種々の態様とすることができ、例えば信号送信(発信)において、間欠にしたり、周波数をスイープしたりすることで、検出精度を高めるようにしてもよい。また、発信のさせ方や周波数の調整等により、他の電波との干渉を回避することもできる。また、上記一例では、送信側受信側ともに4つずつとする4×4=16パターンの組み合わせとしているが、これに限らず、種々の個数や組み合わせのアンテナを採用できる。また、電波を利用していることで、例えばカメラを設置して画像から車両を検知する場合に比べて、夜等の暗くて視界が悪いといった状況下においても確実に車両検知が行え、また、検知範囲も広くすることが可能である。
【0079】
また、上記では、例えば
図6において、△(三角)の場合には、精算装置50である上位装置に報告をしていないが、これらについても、都度報告し、精算装置50での管理情報として利用可能な態様としてもよい。
【0080】
また、上記一例では、駐車管理部に関して、精算装置50において駐車管理も併せて行うことで駐車管理部として機能する態様としており、車両検知部20は、上位装置としての精算装置50に対して検知結果等を報告しているが、このような限らず、種々の態様で駐車管理を行う駐車管理システムにおいて、適用が可能である。例えば、駐車場から離隔して通信により駐車管理を行う駐車管理部として、例えばクラウド型のサーバーにより駐車管理部を構成する場合であれば、当該通信先に車両検知部20の検知結果等を送信する態様とすることも可能である。また、各駐車場にフラップを設けて管理を行うものや、駐車場の出入り口にゲートを設けるものにおいて、適用することも可能である。例えば、出入り口にゲートを設ける場合、この個所についても、電波センサー10から発信を行って車両検知部20において検知する態様としてもよい。さらに、駐車場PAすなわち検知対象である現場には、電波センサー10のみを設置し、電波センサー10の受信結果を遠隔地にある車両検知部20に送信する態様としてもよい。
【0081】
また、複数の駐車場PAにそれぞれ配置された電波センサー10及び車両検知部20からの情報を、共通の駐車管理部で一括管理する構成するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10…電波センサー、20…車両検知部、50…精算装置、100…駐車場システム、A1~A4,B1~B4,PS1~PS4…領域、AN…データ解析部、AR…解析結果格納部、CS,CS1…筐体、DA…送受信データ取得部、DU…車両検知ユニット、Da1~Da4,Db1~Db4,Ds1~Ds4……データ格納部、GD…駐車場地図分類データ、GG…駐車場地図データ、JD…判定部、JDp…通路判定部、JDr…車室判定部、Ja1~Ja4,Jb1~Jb4,Js1~Js4…判定部、MD…地図データ格納部、ME…記憶部、MP…主制御部、PA…駐車場、PD…通路データ、PP…通路、RD…車室データ、Rx…受信アンテナ部、Rx1~Rx4…受信アンテナ、S1…送信信号、S2…受信信号、SS…路面、Tx…送信アンテナ部、Tx1~Tx4…送信アンテナ、VE…車両、VI…車室、XX…検知範囲外領域