(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054643
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
F24H 3/04 20220101AFI20220331BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
F24H3/04 302
H05B3/20 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161788
(22)【出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】318009838
【氏名又は名称】藤橋 洋ロバート
(71)【出願人】
【識別番号】514240703
【氏名又は名称】安井 重樹
(74)【代理人】
【識別番号】100117260
【弁理士】
【氏名又は名称】福永 正也
(72)【発明者】
【氏名】藤橋 洋ロバート
(72)【発明者】
【氏名】安井 重樹
【テーマコード(参考)】
3K034
3L028
【Fターム(参考)】
3K034AA12
3K034BB04
3K034BC06
3K034HA06
3K034JA10
3L028BA03
3L028BB01
(57)【要約】
【課題】ボイラーなどの規模の大きな機器類を用いることなく、高い効率で短時間に空気を加熱することが可能な加熱装置を提供する。
【解決手段】ヒータは、コイル状に形成されたカンタル部材を円柱状の絶縁体の周囲に巻き回してあり、複数のヒータを並列に等間隔に並べて配置したヒータ支持部材を有する。給気口から空気が供給され、供給された空気が排気口へ誘導されるまでの筐体内に、複数の前記ヒータが空気の流れに交差するよう複数の前記ヒータ支持部材が配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンタル部材からなるヒータを用いて空気を加熱する加熱装置において、
前記ヒータは、コイル状に形成されたカンタル部材を円柱状の絶縁体の周囲に巻き回してあり、
複数の前記ヒータを並列に等間隔に並べて配置したヒータ支持部材を有し、
給気口から空気が供給され、供給された空気が排気口へ誘導されるまでの筐体内に、複数の前記ヒータが空気の流れに交差するよう複数の前記ヒータ支持部材が配置されていることを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記ヒータ支持部材は、供給された空気の流れ方向に対して直交する正方形状を有しており、
並列に並べた複数の前記ヒータのうち、前記ヒータ支持部材の端部から最も外側に配置されている前記ヒータまでの距離が上下で相違しており、
前記ヒータ支持部材の端部から最も外側に配置されている前記ヒータまでの距離の差が隣接する前記ヒータの間隔よりも短くなっており、
隣接する前記ヒータ支持部材が順次180度回転されつつ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記ヒータ支持部材は、供給された空気の流れ方向に対して直交する正方形状を有しており、
並列に並べた複数の前記ヒータが互いに交差して格子状となるよう、隣接する前記ヒータ支持部材が順次90度回転されつつ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易な構造で100℃~1000℃の熱風を生成する加熱装置に関し、特に消費電力を抑制しつつ急速に熱風を生成することが可能な加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等の生産設備で90℃前後の温水が必要となる場合、通常はボイラーにて130℃前後の蒸気を生成して、温度を調整する温調タンク等で蒸気を温水へと減温することにより90℃前後の温水を生成していた。ボイラーを使う場合、小型還流ボイラーであっても年間の燃料費は1000万円単位となる。
【0003】
そこで、近赤外線を用いて温水を生成することが試みられている。例えば特許文献1には、近赤外線ランプが金属加熱に有利である特性を活かして、所定方向に流れる空気などの流体を加熱するための流体加熱装置が開示されている。特許文献1では、流体として空気を加熱することができるので、加熱された空気を用いて液体を加熱することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている流体加熱装置では、流れる空気をゆるやかに加熱するだけであり、一気に高温にまで加熱することはできない。しかも、近赤外線を直接流体にさらしているので、熱が散逸する割合が高い。また、筐体の構造は可能な限り単純で安価な構造としたい。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ボイラーなどの規模の大きな機器類を用いることなく、高い効率で短時間に空気を加熱することが可能な加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係る加熱装置は、カンタル部材からなるヒータを用いて空気を加熱する加熱装置において、前記ヒータは、コイル状に形成されたカンタル部材を円柱状の絶縁体の周囲に巻き回してあり、複数の前記ヒータを並列に等間隔に並べて配置したヒータ支持部材を有し、給気口から空気が供給され、供給された空気が排気口へ誘導されるまでの筐体内に、複数の前記ヒータが空気の流れに交差するよう複数の前記ヒータ支持部材が配置されていることを特徴とする。
【0008】
上記発明では、発熱量の比較的大きいカンタル部材からなるヒータを並列に並べたヒータ支持部材を、複数のヒータが空気の流れに交差するように配置している。これにより、ボイラー等の大型の設備を用いることなく、高効率に供給された空気(外気)を加熱することができ、カンタルヒータの本数に応じて最大1000℃前後の熱風を排気することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る加熱装置は、前記ヒータ支持部材は、供給された空気の流れ方向に対して直交する正方形状を有しており、並列に並べた複数の前記ヒータのうち、前記ヒータ支持部材の端部から最も外側に配置されている前記ヒータまでの距離が上下で相違しており、前記ヒータ支持部材の端部から最も外側に配置されている前記ヒータまでの距離の差が隣接する前記ヒータの間隔よりも短くなっており、隣接する前記ヒータ支持部材が順次180度回転されつつ配置されていることが好ましい。
【0010】
上記発明では、隣接するヒータ支持部材に取り付けられているヒータ間の間隔が、空気の給気口側から見て狭くなるので、より高効率に供給された空気(外気)を加熱することができ、カンタルヒータの本数に応じて最大1000℃前後の熱風を排気することが可能となる。
【0011】
また、本発明に係る加熱装置は、前記ヒータ支持部材は、供給された空気の流れ方向に対して直交する正方形状を有しており、並列に並べた複数の前記ヒータが互いに交差して格子状となるよう、隣接する前記ヒータ支持部材が順次90度回転されつつ配置されていることが好ましい。
【0012】
上記発明では、隣接するヒータ支持部材に取り付けられているヒータが、空気の給気口側から見て格子状に配置されるので、より高効率に供給された空気(外気)を加熱することができ、カンタルヒータの本数に応じて最大1000℃前後の熱風を排気することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
上記発明によれば、発熱量の比較的大きいカンタル部材を円柱状の絶縁体に巻き回したヒータを並列に複数備えているので、給気口から供給された空気が通過する間に高温にまで加熱される。これにより、ボイラー等の大型の設備を用いることなく、高効率に供給された空気(外気)を加熱することができ、カンタルヒータの本数に応じて最大1000℃前後の熱風を排気することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る加熱装置の構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る加熱装置のカンタルヒータの構成を示す模式図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る加熱装置のカンタルヒータの
図2のA-A断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る加熱装置のカンタルヒータの他の構成を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る加熱装置のカンタルヒータをヒータ支持部材に取り付けた状態を示す模式図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る加熱装置のカンタルヒータをヒータ支持部材へ取り付けた状態の詳細を示す模式図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る加熱装置のカンタルヒータをヒータ支持部材へ取り付けた状態の詳細を示す他の模式図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る加熱装置のヒータ支持部材の構成を示す模式図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る加熱装置のヒータ支持部材の配置方法を説明する模式図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係る加熱装置のヒータ支持部材の配置方法を説明する他の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る加熱装置について、図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施の形態は、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、実施の形態の中で説明されている特徴的事項の組み合わせの全てが解決手段の必須事項であるとは限らないことは言うまでもない。
【0016】
また、本発明は多くの異なる態様にて実施することが可能であり、実施の形態の記載内容に限定して解釈されるべきものではない。実施の形態を通じて同じ要素には同一の符号を付している。
【0017】
本発明の実施の形態によれば、発熱量の比較的大きいカンタル部材を円柱状の絶縁体に巻き回したヒータを経入れるに複数備えているので、給気口から供給された空気が通過する間に高温にまで加熱される。これにより、ボイラー等の大型の設備を用いることなく、高効率に供給された空気(外気)を加熱することができ、カンタルヒータの本数に応じて最大1000℃前後の熱風を排気することが可能となる。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る加熱装置の構成を示す模式図である。
図1(a)は、本実施の形態に係る加熱装置1の構成を示す正面模式図であり、
図1(b)は、本実施の形態に係る加熱装置1の構成を示す平面模式図であり、
図1(c)は、本実施の形態に係る加熱装置1の構成を示す側面模式図である。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る加熱装置1は、筐体10内に加熱槽20を設け、加熱槽20の前後に給気口40と排気口50とを設けている。給気口40には、外気を加熱槽20の内部へ供給する供給ファン25を設けており、供給ファン25により供給された外気は、加熱槽20を通過して排気口50へと流れる。
【0020】
加熱槽20内には、カンタル(KANTHAL(登録商標))社製のカンタル部材31を用いたカンタルヒータ30を複数本備えている。
図2は、本発明の実施の形態に係る加熱装置1のカンタルヒータ30の構成を示す模式図である。
【0021】
図2において、カンタル部材31は、鉄Fe-クロムCr-アルミニウムAl-コバルトCo合金であり、Feを主成分とし、その他の含有率は、Cr20%、Al15%、Co2%である。電熱線としては、ニクロム線材が1000℃前後までの用途に使われているが、カンタル部材31は耐酸化性に優れており、1250℃前後まで使用することが可能である。
【0022】
カンタルヒータ30は、カンタル部材31をコイル状に形成し、耐熱性を有する絶縁体32の外周に沿って巻き回されている。絶縁体32としては、円柱状に形成された耐熱性に富む石英柱が好ましい。もちろん、導電性を有さなければ良いので、耐熱性を有するセラミック素材であっても良いし、耐熱ガラスであっても良いことは言うまでもない。
【0023】
図3は、本発明の実施の形態に係る加熱装置1のカンタルヒータ30の
図2のA-A断面図である。
図3に示すように、円柱状に形成された、耐熱性を有する絶縁体32の外面に沿って、カンタル部材31が巻き回されている。
【0024】
カンタルヒータ30は、
図2に示すように二本一組とすることが好ましい。この場合、隣接するカンタルヒータ30をリード線70で接続することにより、電源に接続するリード線60を一方向に集約することが可能となり、電源との接続が容易となる。
【0025】
なお、カンタルヒータ30を二本一組とすることに限定されるものではなく、一本ずつ独立していても良い。
図4は、本発明の実施の形態に係る加熱装置1のカンタルヒータ30の他の構成を示す模式図である。
【0026】
図4に示すように、カンタルヒータ30は、それぞれ電源と接続するリード線60を設けており、それぞれ電源と接続することができる。
【0027】
なお、カンタルヒータ30自体が高温になることから、電源と接続するリード線60及び隣接するカンタルヒータ30間を接続するリード線70は、高温に耐え得る漏電防止ガラス等で養生することが好ましい。このようにすることで、熱伝導が原因となる電源自体の熱損傷を未然に回避することができる。
【0028】
本実施の形態では、カンタルヒータ30は、ヒータ支持部材45に並列に並べて取り付けられている。
図5は、本発明の実施の形態に係る加熱装置1のカンタルヒータ30をヒータ支持部材45に取り付けた状態を示す模式図である。
図5(a)は、本実施の形態に係る加熱装置1のカンタルヒータ30をヒータ支持部材45に取り付けた状態を示す正面模式図であり、
図5(b)は、本実施の形態に係る加熱装置1のカンタルヒータ30をヒータ支持部材45に取り付けた状態を示す平面模式図であり、
図5(c)は、本実施の形態に係る加熱装置1のカンタルヒータ30をヒータ支持部材45に取り付けた状態を示す側面模式図である。
【0029】
図5(a)に示すように、ヒータ支持部材45は正方形状を有しており、カンタルヒータ30は、ヒータ支持部材45に並列に等間隔に並べて取り付けられている。ヒータ支持部材45を、
図1に示すように供給された空気の流れ方向に対して直交するように配置することで、隣接するカンタルヒータ30間を通過する場合に空気が加熱される。本実施の形態では、
図1に示すように、ヒータ支持部材45を4枚設けている。もちろん、これに限定されるものではなく、加熱効率の高い枚数に設定すれば良い。
【0030】
図6は、本発明の実施の形態に係る加熱装置1のカンタルヒータ30をヒータ支持部材45へ取り付けた状態の詳細を示す模式図である。
図6は、
図4に示す電極が両側に延びているカンタルヒータ30を、上から下へ等間隔でヒータ支持部材45に取り付けた状態を示している。リード線60は、それぞれ両側で集約されて電源へと誘導される。
【0031】
図7は、本発明の実施の形態に係る加熱装置1のカンタルヒータ30をヒータ支持部材45へ取り付けた状態の詳細を示す他の模式図である。
図7は、
図2に示す二本一組となっているカンタルヒータ30を、上から下へ等間隔でヒータ支持部材45に取り付けた状態を示している。隣接するカンタルヒータ30は、耐熱性を高めるべく養生されたリード線70で接続されており、一方側のリード線60が集約されて電源へと誘導される。
【0032】
ここで、並列に並べた複数のカンタルヒータ30のうち最下部のカンタルヒータ30の取り付け高さと、180度回転させた場合の最下部のカンタルヒータ30の取り付け高さとが相違していることが好ましい。ここで、取り付け高さとは、ヒータ支持部材45の端部からヒータ支持部材455の筐体10への取付部455を含み、最も外側に取り付けられているカンタルヒータ30までの距離を意味している。
【0033】
すなわち、
図5において、ヒータ支持部材45の端部から最も外側に配置されているカンタルヒータ30までの距離h1と距離h2とが相違している(h1<h2とする。)。そして、両者の距離の差(h2-h1)を隣接するカンタルヒータ30間の距離dより小さくすることで、隣接するヒータ支持部材45を順次180度回転させつつ配置した場合に、給気口40側から見て最も近い距離にあるヒータ支持部材45に取り付けられているカンタルヒータ30の間に、次に配置されているヒータ支持部材45に取り付けられているカンタルヒータ30が見えるように配置することができる。
【0034】
図8は、本発明の実施の形態に係る加熱装置1のヒータ支持部材45の構成を示す模式図である。
図8(a)は、給気口40側から見て奇数番目に配置されているヒータ支持部材45aの構成を、
図8(b)は、給気口40側から見て偶数番目に配置されているヒータ支持部材45aの構成を、それぞれ示している。
【0035】
図8(a)のヒータ支持部材45aを180度回転させて次のヒータ支持部材45bを配置することにより、カンタルヒータ30の高さが相違するようになり、並列に並べた複数のカンタルヒータ30の間に次のヒータ支持部材45に取り付けられているカンタルヒータ30が位置するようになる。これにより、空気の通り道の間隔がより狭くなり、より効果的に供給された外気を加熱することが可能となる。
【0036】
図9は、本発明の実施の形態に係る加熱装置1のヒータ支持部材45の配置方法を説明する模式図である。
図9(a)は、本実施の形態に係る加熱装置1のヒータ支持部材45の配列を示す模式図であり、
図9(b)は、本実施の形態に係る加熱装置1のカンタルヒータ30の配置状況を示す給気口側から見た模式図である。
図9(a)における矢印方向は、
図5及び
図8における矢印方向と同じ意味、すなわちヒータ支持部材45の下から上に向かう方向を示している。
【0037】
図9(a)に示すように、
図8(a)のヒータ支持部材45aを180度回転させて次のヒータ支持部材45bを配置し、順次180度回転させてヒータ支持部材45a、45bを配置する。これにより、並列に並べた複数のカンタルヒータ30の間隔が、ヒータ支持部材45に取り付けられているカンタルヒータ30の間隔の約半分になる。
【0038】
図9(b)は、
図8(a)のヒータ支持部材45aを180度回転させて次のヒータ支持部材45bを配置した場合の、給気口40側から見たカンタルヒータ30の位置を示す模式図である。
図9では、簡略化するためにヒータ支持部材45にカンタルヒータ30を4本取り付けてある場合を示している。
【0039】
図9(b)に示すように、ヒータ支持部材45を方向を変えることなく配置した場合には、給気口40側から見てカンタルヒータ30は4本しか見えない。しかし、
図8(a)のヒータ支持部材45を順次180度回転させて配置した場合には、給気口40側から見てカンタルヒータ30は8本存在するように見える。したがって、圧力損失は増大するものの供給ファン25の風量を調整することで、より効果的に外気を加熱することが可能となる。
【0040】
ヒータ支持部材45が正方形状である場合、順次180度回転させて配置することに限定されるものではなく、順次90度回転させて配置しても良い。この場合、並列に並べた複数のカンタルヒータ30の間に次の次のヒータ支持部材45に取り付けられているカンタルヒータ30が位置するとともに、カンタルヒータ30が互いに直交して格子状に配置される。これにより、空気の通り道の間隔がより狭くなり、より効果的に供給された外気を加熱することが可能となる。
【0041】
図10は、本発明の実施の形態に係る加熱装置1のヒータ支持部材45の配置方法を説明する他の模式図である。
図10(a)は、本実施の形態に係る加熱装置1のヒータ支持部材45の配列を示す模式図であり、
図10(b)は、本実施の形態に係る加熱装置1のカンタルヒータ30の配置状況を示す給気口側から見た模式図である。
図10(a)における矢印方向は、
図5及び
図8における矢印方向と同じ意味、すなわちヒータ支持部材45の下から上に向かう方向を示している。
【0042】
図10(a)に示すように、
図8(a)のヒータ支持部材45を90度回転させて次のヒータ支持部材45を配置し、順次90度回転させてヒータ支持部材45を配置する。これにより、並列に並べた複数のカンタルヒータ30の間隔が、ヒータ支持部材45に取り付けられているカンタルヒータ30の間隔の約半分になるとともに、カンタルヒータ30が互いに直交して格子状に配置される。
【0043】
図10(b)は、
図8(a)のヒータ支持部材45aを順次90度回転させて4つのヒータ支持部材45を配置した場合の、給気口40側から見たカンタルヒータ30の位置を示している。
図10では、簡略化するためにヒータ支持部材45にカンタルヒータ30を4本取り付けてある場合を示している。
【0044】
図10(b)に示すように、ヒータ支持部材45を方向を変えることなく配置した場合には、給気口40側から見てカンタルヒータ30は4本しか見えない。しかし、
図8(a)のヒータ支持部材45を順次90度回転させて配置した場合には、給気口40側から見て8本存在するように見えるカンタルヒータ30が、互いに直交して格子状に見える。したがって、圧力損失は増大するものの供給ファン25の風量を調整することで、より効果的に外気を加熱することが可能となる。
【0045】
以上のように本実施の形態によれば、発熱量の比較的大きいカンタル部材31を内蔵した通気管32内を、給気口40から供給された空気(外気)が通過する間に高温にまで加熱される。これにより、ボイラー等の大型の設備を用いることなく、高効率に供給された空気(外気)を加熱することができ、カンタルヒータ30の本数に応じて最大1000℃前後の熱風を排気することが可能となる。
【0046】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能であることは言うまでもない。耐熱性の許す限りカンタルヒータ30の本数を増やしても良いし、カンタルヒータ30を一列に並べて配置しても良いし、複数列に並べて配置しても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 加熱装置
10 筐体
20 加熱槽
25 供給ファン
30 カンタルヒータ
31 カンタル部材
32 通気管
40 給気口
45、45a、45b ヒータ支持部材
50 排気口