(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054741
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】水系組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/86 20060101AFI20220331BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20220331BHJP
A61K 8/04 20060101ALI20220331BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20220331BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20220331BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20220331BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220331BHJP
A61K 8/22 20060101ALI20220331BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
A61K8/86
A61Q5/10
A61K8/04
A61K8/55
A61K8/41
A61K8/46
A61K8/34
A61K8/22
A61K8/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020161929
(22)【出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 紘之
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB411
4C083AB412
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC541
4C083AC542
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC781
4C083AC782
4C083AC891
4C083AC892
4C083AD042
4C083AD282
4C083AD392
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB07
4C083BB42
4C083BB43
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE07
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】シャンプータイプの酸化染毛剤等における酸、酸化剤、アルカリ剤あるいは酸化染料の配合に起因する第1剤、第2剤の調製時の低粘度、及びその粘度の経時的低下を防止できるシャンプー剤の基本配合を提供する。
【解決手段】下記の(a)~(c)成分を含有する水系組成物。
(a):(a1)酸及び(a2)酸化剤、あるいは、(a3)アルカリ剤及び/又は(a4)酸化染料
(b):(b1)両性界面活性剤、及び/又は、(b2)アニオン性界面活性剤
(c)ジエーテル基を有するノニオン性界面活性剤
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(a)~(c)成分を含有する水系組成物。
(a):(a1)酸及び(a2)酸化剤、あるいは、(a3)アルカリ剤及び/又は(a4)酸化染料
(b):(b1)両性界面活性剤、及び/又は、(b2)アニオン性界面活性剤
(c):ジエーテル基を有するノニオン性界面活性剤
【請求項2】
前記(b)成分が(b1)成分及び(b2)成分を含み、(b1)成分の含有量に対する(b2)成分の含有量の質量比(b2)/(b1)が0.7~2.3の範囲内である請求項1に記載の水系組成物。
【請求項3】
前記(c)成分の含有量が2質量%以上である請求項1又は請求項2に記載の水系組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水系組成物に関し、更に詳しくは、酸及び酸化剤、あるいは、アルカリ剤及び/又は酸化染料の配合下で好適な粘度を実現でき、その粘度を経時的に維持できる水系組成物に関する。この水系組成物は、例えば、シャンプータイプの酸化染毛剤や毛髪脱色剤、毛髪脱染剤におけるアルカリ剤を含有する剤(第1剤)や酸化剤を含有する剤(第2剤)として好ましく使用される。以下において、「酸化染毛剤等」と言うときは、酸化染毛剤、毛髪脱色剤及び毛髪脱染剤を総称している。
【背景技術】
【0002】
シャンプー剤の基本配合に対して酸化染毛剤等の有効成分を追加したシャンプーヘアカラーとでも呼ぶべき毛髪化粧料が提供されている。この毛髪化粧料によれば、日常的なシャンプー操作の中で酸化染毛剤等による染毛又は脱色・脱染効果も併せて得ることができる。
【0003】
特許文献1は酸化染毛剤に関し、第1剤がアルカリ剤、酸化染料、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有し、第2剤が酸化剤、酸(ヒドロキシエタンジホスホン酸)、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有する。そして毛髪への塗布性の点から、酸化染料の高配合(1~20質量%)に起因する酸化染毛剤(第1剤と第2剤の混合物)の粘度低下とたれ落ちの防止を発明の課題とする。なお、第1剤や第2剤に増粘性高分子を配合できることを記載するが、第1剤や第2剤の粘度及びその粘度の維持については教示しない。
【0004】
特許文献2は酸化染毛剤あるいは毛髪脱色剤に関し、第1剤がアルカリ剤、両性界面活性剤及び/又はアニオン性界面活性剤を含有し、第2剤が酸化剤、酸及びノニオン性界面活性剤を含有する。そして特許文献1と同様に毛髪への塗布性の点から酸化染毛剤(第1剤と第2剤の混合物)の粘度維持、たれ落ち防止を発明の課題とする。なお、第1剤や第2剤に増粘性高分子を配合できること、及び第1剤や第2剤の粘度について記載するが、それらの粘度の維持については教示しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-088891号公報
【特許文献2】特許第5919039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、2に見られるように、例えば酸化染毛剤における粘度の維持、たれ落ちの防止は従来より種々に試みられている。
しかし、シャンプータイプの酸化染毛剤では、シャンプー剤の基本配合に対してヘアカラーの有効成分を追加するという特有の事情がある。通常の酸化染毛剤における毛髪塗布性のための要求粘度と、シャンプータイプの酸化染毛剤におけるシャンプー剤としての要求粘度とは技術的意味が異なる。このような事情は、シャンプー剤の基本配合に対して毛髪脱色剤又は毛髪脱染剤の有効成分を追加する場合でも同様である。従ってシャンプータイプの酸化染毛剤等に対応したシャンプー剤の基本配合を新たに開発する必要がある。
【0007】
ところで、酸化染毛剤の第1剤にはアルカリ剤と酸化染料が配合され、毛髪脱色剤や毛髪脱染剤にはアルカリ剤が配合されるが、アルカリ剤及び酸化染料(特に塩形態の酸化染料)は第1剤の粘度を低下させる。
【0008】
また、酸化染毛剤等の第2剤には酸化剤である過酸化水素等が配合されると共に、酸化剤の安定化や第1剤のアルカリ剤の中和等の目的で多様な無機酸、有機酸が配合される。更に、有機酸であるヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)やその塩もキレート剤として使用される。これらの酸化剤や酸も、第2剤の粘度を低下させる。
【0009】
そこで本発明は、シャンプータイプの酸化染毛剤等に対応したシャンプー剤基本配合の開発の一環として、酸及び酸化剤、あるいは、アルカリ剤及び/又は塩形態や非塩形態の酸化染料の配合に起因する第1剤、第2剤の調製時の低粘度、及びその粘度の経時的低下を防止できるシャンプー剤の基本配合の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明は、下記の(a)~(c)成分を含有する水系組成物である。
【0011】
(a):(a1)酸及び(a2)酸化剤、あるいは、(a3)アルカリ剤及び/又は(a4)酸化染料
(b):(b1)両性界面活性剤、及び/又は、(b2)アニオン性界面活性剤
(c):ジエーテル基を有するノニオン性界面活性剤
なお、(a4)成分である酸化染料は、非塩形態の酸化染料の他、硫酸塩その他の各種塩形態の酸化染料も包含する。
【0012】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明では、前記第1発明に係る水系組成物における(b)成分が(b1)成分及び(b2)成分を含み、(b1)成分の含有量に対する(b2)成分の含有量の質量比(b2)/(b1)が0.65~2.4の範囲内である。
【0013】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明では、前記第1発明又は第2発明に係る水系組成物における(c)成分の含有量が2質量%以上である。
【発明の効果】
【0014】
(第1発明の効果)
(a)成分、即ち(a1)成分である酸及び(a2)成分である酸化剤を含有し、あるいは、(a3)成分であるアルカリ剤及び/又は(a4)成分である酸化染料を含有する水系組成物では、増粘剤を配合していても、調製時の粘度が予定より低粘度となり、また、粘度の経時的低下が起こる。特に(a4)成分である酸化染料を含有する場合、調整時の粘度が低粘度となりやすい。
【0015】
本願発明者は、水系組成物が、(a)成分と共に(b)成分、即ち(b1)成分である両性界面活性剤及び/又は(b2)成分であるアニオン性界面活性剤と、(c)成分であるジエーテル基を有するノニオン性界面活性剤とを含有する場合には、調製時の低粘度や粘度の経時的低下が抑制されることを見出した。
【0016】
このような効果が得られる理由は、(b1)成分又は(b2)成分に対して、あるいは(b1)成分と(b2)成分とのコンプレックスに対して(c)成分を共存させると、(b1)成分及び/又は(b2)成分と(c)成分間に化学的な架橋が形成される結果、水系組成物の調製時の低粘度や粘度の経時的低下が抑制されるからであると推定している。
【0017】
(第2発明の効果)
上記第1発明の効果は、水系組成物における(b)成分が(b1)成分及び(b2)成分を含み、(b1)成分の含有量に対する(b2)成分の含有量の質量比(b2)/(b1)が0.7~2.3の範囲内である場合に、特に好ましく発揮される。
【0018】
(第3発明の効果)
上記第1発明の効果は、水系組成物における(c)成分の含有量が2質量%以上である場合にも、特に好ましく発揮される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態を、その最良の形態を含めて説明する。本発明の技術的範囲は以下の実施形態によって限定されない。
〔水系組成物〕
本発明において水系組成物とは、水をベースとする組成物であって、少なくとも水溶液及び水性ジェルが包含される。水性ジェル状の水系組成物が特に好ましい。
【0020】
水に非水溶性又は難水溶性の成分を懸濁させた水性懸濁液(サスペンション)も本発明の水系組成物に包含されるが、水に非溶性又は難溶性の成分を乳化させた組成物は本発明の水系組成物に包含されない。
【0021】
本発明の水系組成物は使用時に泡状やミスト状としても良い。泡状とする場合には、エアゾールフォーマー容器、ノンエアゾールフォーマー容器を使用すればよい。
また、本発明の水系組成物である第1剤や第2剤を包含する酸化染毛剤等は、3剤式以上の多剤式であってもよい。多剤式の酸化染毛剤等は、例えば第1剤中の成分を別剤とすることにより構成できる。即ち、3剤式の酸化染毛剤は、アルカリ剤及び酸化染料を含有する第1剤と、酸及び酸化剤を含有する第2剤と、第1剤からアルカリ剤及び酸化染料を除いた組成を有する第3剤とから構成される。
【0022】
水系組成物は、前提条件として水をベースとする他、(a)~(c)成分を必須成分として含有する。通常、(a)成分として(a1)酸及び(a2)酸化剤を含有する水系組成物は酸化染毛剤、毛髪脱色剤又は毛髪脱染剤のそれぞれ第2剤であり、(a)成分として(a3)アルカリ剤及び(a4)酸化染料を含有する水系組成物は酸化染毛剤の第1剤である。毛髪脱色剤又は毛髪脱染剤の第1剤は(a3)アルカリ剤を含有するが、(a4)酸化染料を含有しない。
【0023】
本発明の水系組成物を酸化染毛剤等の上記第1剤及び第2剤として組み合わせて使用する場合、使用者の簡便性の観点から、互いに重ねて周縁部をヒートシール、接着等の接合手段により液密に接合した表側フィルム/仕切りフィルム/裏側フィルムの3層のフィルムからなり、表側フィルムと仕切りフィルムの間に第1室、仕切りフィルムと裏側フィルムの間に第2室を構成したパウチ包装における第1室及び第2室の各一方に上記した第1剤と第2剤をそれぞれ封入しても良い。このような包装形態において、使用時に2室を同時に開封できるように構成することは公知であるが、その場合は使用者の手袋をした手の平の上などに第1剤及び第2剤を同時に吐出させ、混合させることができる。
【0024】
そして、第1室に第1剤を収容し、第2室に第2剤を収容する場合、第1剤中の酸化染料の酸化防止の観点から、表側フィルム及び仕切りフィルムに例えば金属箔等を含ませることにより、これらのフィルムの酸素透過度を、実質的に0mL/m2・day・MPaとすることが好ましい。一方、保存中に第2剤から発生する酸素を室外へ透過させつつ室外からの水蒸気の透過を抑制する観点から、裏側フィルムの酸素透過度は、0.5mL/m2・day・MPa以上で、かつ10mL/m2・day・MPa未満であることが好ましい。
【0025】
フィルムの構成としては、例えば、表側フィルムを外層側から内層側へ向かって順にPET/Al(アルミニウム箔)/ONY(二軸延伸ナイロン)/CPP(無延伸ポリプロピレン)の積層構造とし、仕切りフィルムを第1室側から第2室側へ向かって順にCPP/ONY/Al/ONY/LLDPE(低密度リニアポリエチレン)の積層構造とし、裏側フィルムを外層側から内層側へ向かって順にPET/ONY/LLDPEとすることができる。
【0026】
開封時のカットのし易さから、表側、仕切り、裏側の各フィルムの合計の厚さは70μm以上400μm以下であることが好ましい。パウチのサイズは内容量によって調整する必要があるが、片手で持って扱える大きさとして幅100mm以内が好ましく、開封時の吐出口がパウチの幅全体よりも細くなるように設計することが好ましい。同時吐出性と混合性の観点から、第1剤および第2剤の粘度は、7000~25000mPa・sの範囲内であることが好ましい。第1剤及び第2剤の合計量は30mL以下であることが好ましい。
【0027】
酸化染毛剤は、アルカリ剤と酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とを混合し、酸化染料を酸化剤により発色させて毛髪を染色させるものである。アルカリ剤は、毛髪を膨潤させて、染料や酸化剤の浸透を促進する作用を有し、酸化剤は、酸化染料を酸化する作用の他、毛髪の内部のメラニンを分解する作用を有している。
【0028】
毛髪脱色剤及び毛髪脱染剤は、第1剤に酸化染料を含まず、毛髪を脱色するものである。毛髪脱色剤は、毛髪中のメラニンを酸化分解することにより、毛髪を脱色するものであり、毛髪脱染剤は、染毛した毛髪から染料とメラニンを脱色するものである。
【0029】
水系組成物のpHは特に制限されないが、水に10質量%の濃度で溶解した際25℃において、(a1)酸及び(a2)酸化剤を含有する水系組成物では好ましくはpH1~6以下であり、より好ましくはpH1.5~5.5であり、更に好ましくはpH2~5.2であり、特に好ましくはpH2.5~5である。(a3)アルカリ剤、あるいはアルカリ剤と(a4)酸化染料を含有する水系組成物では好ましくはpH7.0~13.0であり、より好ましくはpH7.5~12.0であり、更に好ましくはpH8.0~11.0である。
【0030】
〔(a1)酸〕
(a1)成分である酸は水系組成物である第2剤に配合され、アルカリ剤を含有する水系組成物である第1剤との混合時に、アルカリ剤を中和する効果を示す。酸としては、リン酸、ピロリン酸等のリン酸類、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類、クエン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸、レブリン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、アスコルビン酸、安息香酸等の有機酸類が例示される。リン酸類やクエン酸等の価数が三価以上の酸が好ましく、中でもリン酸類又は価数が三価以上の有機酸類が好ましく、特にリン酸、クエン酸又はヒドロキシエタンジホスホン酸が好ましい。
【0031】
価数が三価以上の酸を含有することにより、毛髪の感触、耐褪色性、酸化剤の安定性、塗布操作性を向上することができる。更に、酸の添加による色調の変化が抑制されるという効果も奏する。
【0032】
水系組成物における酸の含有量は特に限定されないが、下限値として好ましくは0.01質量%、より好ましくは0.05質量%、特に好ましくは0.1質量%である。
また、酸の含有量の上限値も特に制限されないが、水系組成物に含有される酸化剤の安定性等の点から、好ましくは1.0質量%であり、より好ましくは0.5質量%であり、特に好ましくは0.3質量%である。酸の含有量を1.0質量%以下とすることにより、水系組成物に含有される酸化剤の安定性や、染毛力や塗布操作性等の毛髪処理剤としての性能を向上することができる。
【0033】
〔(a2)酸化剤〕
(a2)成分である酸化剤は、酸化染料を酸化して発色させる作用や毛髪の内部のメラニンを分解する作用を有する。具体的には、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物、過酢酸及びその塩、過ギ酸及びその塩、過マンガン酸塩、臭素酸塩等が例示される。これらの中でも、過酸化水素が好ましい。また、水系組成物が毛髪脱染剤の第2剤である場合、更に過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等を酸化助剤として含有する。
【0034】
水系組成物における酸化剤の含有量は特に限定されないが、下限値は、染毛力、脱染・脱色性能等の点から、好ましくは0.1質量%、より好ましくは2質量%、特に好ましくは3質量%であり、上限値は、毛髪損傷抑制等の点から、好ましくは15質量%、より好ましくは9質量%、特に好ましくは6質量%である。
【0035】
水系組成物が酸化剤として過酸化水素を含有する場合、その安定性を向上させる安定化剤として、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩等を配合することが好ましい。
【0036】
〔(a3)アルカリ剤〕
(a3)成分であるアルカリ剤は、酸化染毛剤、毛髪脱色剤又は毛髪脱染剤の第1剤である水系組成物に配合される。
【0037】
アルカリ剤としてはアンモニアが代表的であるが、その他にモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、イソプロピルアミン等のアルカノールアミンが例示される。ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩も例示される。炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム、炭酸グアニジン等の炭酸塩も例示される。更に、各種の炭酸水素塩、メタケイ酸塩、リン酸塩、塩基性アミノ酸、水酸化物等も例示される。好ましいアルカリ剤としては、アンモニアおよびモノエタノールアミンである。
【0038】
水系組成物におけるアルカリ剤の含有量は特に限定されないが、下限値は、染毛力、脱染・脱色性能等の点から、好ましくは0.01質量%、より好ましくは0.1質量%、特に好ましくは1.0質量%であり、上限値は、毛髪損傷抑制等の点から、好ましくは20質量%、より好ましくは15質量%、特に好ましくは12質量%である。
【0039】
〔(a4)酸化染料〕
(a4)成分である酸化染料は酸化染毛剤の第1剤である水系組成物に配合される。酸化染料は、染料中間体、又は染料中間体及びカプラーである。なお、酸化染料と共に、酸性染料、塩基性染料、天然染料、ニトロ染料、HC染料、分散染料等の直接染料も適宜に配合することができるが、これらについては、詳しくは後述する。
【0040】
染料中間体の具体例としてp-フェニレンジアミン、p-トルエンジアミン、p-アミノフェノール、2,2'-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール及びこれらの塩が挙げられる。その他にも、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、o-アミノフェノール、p-メチルアミノフェノール、2-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、o-クロル-p-フェニレンジアミン、4-アミノ-m-クレゾール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4-ジアミノフェノール、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン及びこれらの塩が挙げられる。
【0041】
カプラーの具体例として塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノ-o-クレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、レゾルシン、m-アミノフェノール、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸、ハイドロキノン、m-フェニレンジアミン、トルエン-3,4-ジアミン、ジフェニルアミン、3,3’-イミノジフェニール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、タンニン酸、及びこれらの塩が挙げられる。
【0042】
水系組成物における酸化染料の含有量は特に限定されないが、その下限値は、染毛力等の点から、好ましくは0.01質量%、より好ましくは0.05質量%、特に好ましくは0.1質量%であり、上限値は、好ましくは7質量%、より好ましくは5質量%、特に好ましくは3質量%である。
【0043】
〔(b1)両性界面活性剤〕
(b1)成分である両性界面活性剤は、酸化染毛剤等の第1剤(アルカリ剤を含有する水系組成物)及び/又は第2剤(酸化剤を含有する水系組成物)に配合される。
【0044】
両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
アミノ酸型両性界面活性剤としては、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸Na)、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、パーム油脂肪酸アシル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムなどのグリシン型両性界面活性剤、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミンなどのアミノプロピオン酸型両性界面活性剤等が例示される。
【0045】
ベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタインなどのアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルホベタインなどのスルホベタイン型両性界面活性剤等が例示される。好ましい両性界面活性剤としては、コカミドプロピルベタインおよびラウリルベタインである。
【0046】
水系組成物における両性界面活性剤の含有量は、水系組成物の調製時の低粘度及び粘度の経時的低下を抑制する見地から、その下限値が好ましくは0.1質量%、より好ましくは0.5質量%、更に好ましくは1.0質量である。また、その上限値が好ましくは15質量%、より好ましくは10質量%、更に好ましくは5質量%である。
【0047】
〔(b2)アニオン性界面活性剤〕
(b2)成分であるアニオン性界面活性剤は、酸化染毛剤等の第1剤(アルカリ剤を含有する水系組成物)及び/又は第2剤(酸化剤を含有する水系組成物)に配合される。
【0048】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステルおよび高級脂肪酸が例示される。
【0049】
特に、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩であるアニオン性界面活性剤が好ましく、炭素数が14~16である炭素鎖部分を含むアニオン性界面活性剤も好ましい。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンは、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンのいずれであってもよい。
【0050】
具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(以下、「POE」と表記する)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリルエーテル硫酸アンモニウム、POEステアリルエーテル硫酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N-ラウロイルグルタミン酸塩類(ラウロイルグルタミン酸ナトリウム等)、N-ラウロイルメチル-β-アラニン塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、高級脂肪酸であるラウリン酸、ミリスチン酸及びこれらの高級脂肪酸の塩が例示される。アニオン性界面活性剤として、好ましくはオレフィン(C14-16)スルホン酸ナトリウムおよびラウレス硫酸ナトリウムである。
【0051】
水系組成物におけるアニオン性界面活性剤の含有量は、水系組成物の調製時の低粘度及び調製後の粘度の経時的低下を抑制する見地から、下限値が、好ましくは0.1質量%、より好ましくは0.5質量%、更に好ましくは1.0質量である。また、上限値が好ましくは15質量%、より好ましくは10質量%、更に好ましくは6質量%である。
【0052】
〔質量比(b2)/(b1)〕
水系組成物が(b1)、(b2)両成分の一方のみを含有しても良いが、水系組成物の調製時の低粘度及び調製後の粘度の経時的低下を抑制する見地からは、両成分を含有することがより好ましく、(b1)成分の含有量に対する(b2)成分の含有量の質量比(b2)/(b1)が0.7~2.3の範囲内であることが好ましく、(b2)/(b1)が0.8~2.2の範囲内であることが特に好ましく、(b2)/(b1)が1.0~2.0の範囲内であることがとりわけ好ましい。(b1)、(b2)成分の好ましい組み合わせとしては、(b1)コカミドプロピルベタインと(b2)オレフィン(C14-16)スルホン酸ナトリウムである。
【0053】
〔(c)ジエーテル基を有するノニオン性界面活性剤〕
(c)成分であるジエーテル基を有するノニオン性界面活性剤は、酸化染毛剤等の第1剤(アルカリ剤を含有する水系組成物)及び/又は第2剤(酸化剤を含有する水系組成物)に配合される。
【0054】
ジエーテル基を有するノニオン性界面活性剤としては、特にPOEアルキルジエーテルが好ましく、中でもエチレン単位数が20~150程度であるPOE部分を持つものが好ましい。エチレン単位数は更に好ましくは50~120であり、特に好ましくは60である。
【0055】
水系組成物における(c)成分の含有量は、水系組成物の調製時の低粘度及び調製後の粘度の経時的低下を抑制する見地から、下限値が好ましくは0.5質量%、より好ましくは1質量%、更に好ましくは2質量%である。また、上限値が、好ましくは10質量%、より好ましくは5質量%、更に好ましくは3質量%である。
【0056】
〔水系組成物における任意成分〕
本発明の水系組成物には、上記の(a)~(c)成分以外にも、本発明の効果を助長し、あるいは、少なくとも本発明の効果を阻害しない限りにおいて、以下に例示するような各種の任意成分を配合することができる。
【0057】
〔界面活性剤〕
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、(c)成分以外のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0058】
(カチオン性界面活性剤)
カチオン性界面活性剤としては、モノアルキル型、ジアルキル型、トリアルキル型、ベンザルコニウム型、モノアルキルエーテル型等のアルキル4級アンモニウム塩類の他、各種のアミン塩類や塩化ベンゼトニウム等も例示される。
【0059】
具体的には、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(12~15)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(12~18)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(14~18)ジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化イソステアリルラウリルジメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0060】
水系組成物におけるカチオン性界面活性剤の含有量は特に限定されず、例えば0.01~1.0質量%の範囲内で適宜に選択できる。水系組成物の透明性を高める見地からは、0.5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以下であることが特に好ましい。
【0061】
((c)成分以外のノニオン性界面活性剤)
(c)成分以外のノニオン性界面活性剤としては、POEアルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEモノ脂肪酸エステル類、POEグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、アルキルポリグルコシド類等が挙げられる。
【0062】
POEアルキルエーテル類の具体例として、POE(2)ラウリルエーテル、POE(7)セチルエーテル、POE(20)ステアリルエーテル、POE(10)オレイルエーテル、POE(5)ベヘニルエーテル、POE(50)オレイルエーテル、POE(100)ラウリルエーテル等が例示される。
【0063】
水系組成物における(c)成分以外のノニオン性界面活性剤の含有量は特に限定されず、例えば0.01~40質量%の範囲内で適宜に選択でき、好ましくは0.01~30質量%、さらに好ましくは0.05~20質量%である。
【0064】
(直接染料)
前記した直接染料のうち、酸性染料としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号の(1)、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、緑色3号、緑色204号、緑色401号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、かっ色201号、黒色401号等を例示できる。
【0065】
塩基性染料としては、Basic Blue 3、Basic Blue 6、Basic Blue 7、Basic Blue 9、Basic Blue 26、Basic Blue 41、Basic Blue 47、Basic Blue 75、Basic Blue 99、Basic Blue 124、Basic Brown 4、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Green 1、Basic Green 4、Basic Orange 1、Basic Orange 2、Basic Orange 31、Basic Red 1、Basic Red 2、Basic Red 22、Basic Red 46、Basic Red 51、Basic Red 76、Basic Red 118、Basic Violet 1、Basic Violet 3、Basic Violet 4、Basic Violet 10、Basic Violet11:1、Basic Violet 14、Basic Violet 16、Basic Yellow 11、Basic Yellow 28、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87等を例示できる。
【0066】
天然染料としては、クチナシ色素、ウコン色素、アナトー色素、銅クロロフィリンナトリウム、パプリカ色素、ラック色素、ヘナ等を例示できる。
上記ニトロ染料としては、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、2-アミノ-5-ニトロフェノール、ピクラミン酸、ピクリン酸、及びそれらの塩等を例示できる。
【0067】
HC染料としては、HC Blue No.2、HC Blue No.5、HC Blue No.6、HC Blue No.9、HC Blue No.10、HC Blue No.11、HC Blue No.12、HC Blue No.13、HC Orange No.1、HC Orange No.2、HC Orange No.3、HC Red No.1、HC Red No.3、HC Red No.7、HC Red No.10、HC Red No.11、HC Red No.13、HC Red No.14、HC Violet No.1、HC Violet No.2、HC Yellow No.2、HC Yellow No.4、HC Yellow No.5、HC Yellow No.6、HC Yellow No.9、HC Yellow No.10、HC Yellow No.11、HC Yellow No.12、HC Yellow No.13、HC Yellow No.14、HC Yellow No.15等を例示できる。
【0068】
分散染料としては、Disperse Black 9、Disperse Blue 1、Disperse Blue 3、Disperse Blue 7、Disperse Brown 4、Disperse Orange 3、Disperse Red 11、Disperse Red 15、Disperse Red 17、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Violet 15等を例示できる。
【0069】
(油性成分)
油性成分としては、高級アルコール、油脂、ロウ類、炭化水素、エステル類、シリコーン油等が例示される。
【0070】
高級アルコールとしてはセチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール等が例示され、油脂としてはオリーブ油、ツバキ油、シア脂、サフラワー油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、小麦胚芽油、卵黄油等が例示され、ロウ類としてはミツロウ(蜜蝋)、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン、鯨ロウ等が例示され、炭化水素としては流動パラフィン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、α-オレフィンオリゴマー等が例示され、高級脂肪酸としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸等例示され、エステル類としてはアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、オクタン酸セチル等が例示され、シリコーン油としてはジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコン)、ヒドロキシ末端基を有するジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコノール)、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等が例示される。
【0071】
(その他の任意成分)
本発明の水系組成物には、上記の任意成分以外に、安息香酸ナトリウム等の防腐剤、エタノール等の有機溶剤、ソルビトール、マルトース等の糖類、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等の水溶性高分子、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム液、塩化ジアリルジメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース等のカチオン化水溶性高分子、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール、塩化ナトリウム等の無機塩、炭酸水素アンモニウム等のpH調整剤、直接染料、育毛成分、植物抽出物、生薬抽出物、アミノ酸・ペプチド、尿素、ビタミン類、香料、及び紫外線吸収剤等を任意に含有することができる。
【0072】
なお、調整後の粘度の経時的低下を抑制する見地から、本発明の水系組成物は、高分子化合物等の増粘剤を1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下含み、最も好ましくは実質的に含まない。
【実施例0073】
以下に本発明の実施例を、対応する比較例と共に説明する。本発明の技術的範囲は、これらの実施例、比較例によって限定されない。
〔実施例、比較例の調製〕
末尾の表1に示す水系組成物(酸化染毛剤の第1剤)である実施例1~10、表2に示す水系組成物(酸化染毛剤の第2剤)である実施例11~20、表3に示す水系組成物(酸化染毛剤の第1剤)である比較例1~8、表4に示す水系組成物(酸化染毛剤の第2剤)である比較例9~比較例16、及び表5に示す水系組成物(毛髪脱色・脱染剤の第1剤)である実施例21~28を常法に従って室温下で調製した。
【0074】
なお、本発明は水系組成物である酸化染毛剤等の第1剤及び第2剤における調製時の低粘度と経時的粘度低下の防止を目的とする。そのため、第1剤と第2剤を混合して毛髪に適用する酸化染毛試験や毛髪脱色試験等の詳細な説明は省略するが、これらの第1剤と第2剤を用いた酸化染毛試験及び毛髪脱色試験の結果には問題がなかった。
【0075】
表1~表5において、成分名の欄に示す成分が本発明の(a1)~(a4)、(b1)~(b2)、(c)のいずれかに該当する場合は、成分記号の欄にその旨を付記した。また、表3及び表4の成分記号の欄に「c比」と付記した成分は、(c)成分に対する比較用の成分であることを示している。各成分について含有量を示す数値は、各実施例又は各比較例に係る第1剤又は第2剤中の当該成分の質量%単位の含有量を意味する。
【0076】
表1、表2及び表5の成分記号の欄に「(b2)/(b1)」と表記した項は、各実施例及び各比較例に係る第1剤又は第2剤中の(b1)成分の含有量に対する(b2)成分の含有量の質量比を示したものである。
【0077】
〔実施例、比較例の評価〕
(粘度の評価)
表1~表5に示す各実施例及び各比較例に係る第1剤、第2剤の各一部を用い、調製直後に粘度を測定した。粘度測定にはVISCOMETER TV-10粘度計(東機産業株式会社製)を使用し、粘度2500mPa・s以上10000mPa・s未満の場合は、25℃、1分間、回転速度:12rpm、3号ローター使用の条件下で測定した。粘度10000mPa・s以上50000mPa・s未満の場合は、25℃、1分間、回転速度:12rpm、4号ローター使用の条件下で測定した。このときに測定された粘度を「第1粘度」と呼ぶ。
【0078】
第1粘度が10000mPa・s以上である場合に最高ランクの「5」とし、以下、5000 mPa・s以上で10000mPa・s未満である場合にランク「4」とし、3000 mPa・s以上で5000mPa・s未満である場合にランク「3」、2000 mPa・s以上で3000mPa・s未満である場合にランク「2」、2000mPa・s未満である場合に最低ランクの「1」とした。この評価ランクを表1~表5の「粘度」の欄に示す。
【0079】
(粘度安定性の評価)
各実施例及び各比較例に係る第1剤、第2剤の他の一部を調製後に25℃で24時間保管した後に、同上の測定条件で粘度を測定した。このときに測定されたmPa・s単位の粘度を「第2粘度」と呼ぶ。
【0080】
次に、各実施例及び各比較例に係る第1剤、第2剤の更に他の一部を調製後に60℃で24時間保管した後に、同上の測定条件で粘度を測定した。このときに測定されたmPa・s単位の粘度を「第3粘度」と呼ぶ。
【0081】
そして、第2粘度の測定値に対する第3粘度の測定値の比率「第3粘度/第2粘度」を百分比で表したときに、95以上である場合を最高ランクの「5」とし、以下、80以上で95未満である場合をランク「4」とし、45以上で80未満である場合をランク「3」とし、20以上で45未満である場合をランク「2」とし、20未満である場合に最低ランクの「1」とした。この評価ランクを表1~表5の「粘度安定性」の欄に示す。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
本発明によれば、シャンプータイプの酸化染毛剤等における酸、酸化剤、アルカリ剤あるいは酸化染料の配合に起因する第1剤、第2剤の調製時の低粘度、及びその粘度の経時的低下を防止できるシャンプー剤の基本配合が提供される。